説明

伝送システム

【課題】基地局から送信先に対してデータを伝送する伝送システムにおいて、効率的な伝送を行うことを実現する。
【解決手段】基地局1から送信先(本社2)に対してデータを伝送する伝送システムにおいて、前記基地局1では、蓄積手段14が伝送対象となるデータをパケット化されたファイル形式のファイル単位で一時的に蓄積し、送信手段15、16が前記蓄積手段14に蓄積されたデータを前記送信先(本社2)に対して送信する。そして、前記蓄積手段14から前記送信手段15、16への出力レートを前記ファイル単位で調節することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送システムに関し、特に、効率的な伝送を行う伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、遠隔制御監視システムの一例として、FPU(Field Pick−up Unit)を用いた基地局間の固定無線伝送を含むマイクロ受信基地局システムが挙げられる。このマイクロ受信基地局システムは、放送システムで使用されて、放送番組の素材(例えば、映像や音声)を伝送する。
図8には、マイクロ受信基地局システムの構成例(系統の一例)を示してある。
本例のマイクロ受信基地局システムは、送信点201(送信点A)、基地局202、送信点203(送信点B)、本社204を備えている。
【0003】
送信点201は、送信部211、アンテナ212を備えている。
基地局202は、回転受信アンテナ装置221、受信部222、送信部223、固定アンテナ224、変復調部225、被制御端局226を備えている。
送信点203は、送信部231、アンテナ232を備えている。
本社204は、固定アンテナ241、受信部242、回転受信アンテナ装置243、受信部244、復号部245、情報生成部246、情報編集部247、操作端末248、制御端局249、変復調部250を備えている。
【0004】
本例のマイクロ受信基地局システムにおいて行われる動作の例を示す。
本例では、送信点201及び送信点203から本社204へ素材を伝送する場合を考える。
本社から遠距離にある送信点201からの素材は基地局202を通して本社204へ無線伝送される。まず、送信点201にある送信部211は、素材を無線伝送可能なマイクロ波信号に変換し、アンテナ212からその電波を送信する。ここで、送信部211は、SDI(Serial Digital Interface)信号をFPUでの伝送に用いられる固定長のパケット形式のフレームフォーマットであるTS(Transport Stream)信号に符号化し、それを中間周波信号に変調した後に、マイクロ波帯へ周波数変換してアンテナ212へ伝送する機能を有する。
【0005】
送信された電波は基地局202内の回転受信アンテナ装置221で受信され、受信部222に送られる。ここで、受信部222は、マイクロ波帯の信号を中間周波信号へ周波数変換し、前記したTS信号へ復調し、前記したSDI信号へ復号する機能を有する。但し、基地局202内の受信部222においては、最小限、信号劣化のない前記TS信号へ変換するまでの機能があればよい。
このTS信号は、送信部223へ送られ、固定アンテナ224から電波で送信される。前記した受信部222と同様に、基地局202内の送信部223は、最小限、TS信号をマイクロ波帯へ変換する機能があればよい。
【0006】
基地局202から送信された電波は、本社204の固定アンテナ241で受信され、受信部242、復号部245によって、SDI信号へ復号され、本線へ送られる。
また、本社204から近距離にある送信点203からの素材は、送信部231を通りアンテナ232から送信され、直接、本社204の回転受信アンテナ装置243で受信され、受信部244、復号部245によって復号され本線へ送られる。
【0007】
このシステムを用いた無線伝送では、基地局202において送信点201からの電波を如何に効率よく受信できるかが重要となってくる。つまり、送信点201の位置によって、基地局202内の受信アンテナ(回転受信アンテナ装置221)は方向を変えられねばならない。このため、マイクロ受信基地局システムでは、この受信アンテナ(回転受信アンテナ装置221)は、本社204からの遠隔制御により回転が可能な回転架台となっている。
【0008】
この受信アンテナ(回転受信アンテナ装置221)の制御監視方法を説明する。
本社204内、操作端末248よりネットワークに送信された制御パケットは、制御端局249で受信され、シリアル信号に変換される。ここで、ネットワークに複数の操作端末、複数の制御端局をつなげ、それぞれの機器IDによって送信・受信相手を特定して送受信することも可能である。
変換されたシリアル信号は、更に、変復調部250において、例えばアナログ信号に変調され、基地局202へ向けて送信される。
【0009】
前記アナログ信号は、基地局202内の変復調部225で受信され、前記したシリアル信号に復調された後に、被制御端局226へ送信される。被制御端局226は、その信号(制御信号)を解読して、回転受信アンテナ装置221へ制御を行う。
回転受信アンテナ装置221における角度などの監視情報は、監視信号として被制御端局226へ送られる。被制御端局226は、その監視情報をシリアル信号として変復調部225へ送信し、変復調部225は、そのシリアル信号を例えばアナログ信号に変調して本社204に向けて送信する。そして、本社204内の変復調部250で受信した信号を前記したシリアル信号へ復調し、制御端局249へ送信する。制御端局249は、受信したシリアル信号を解読し、監視パケットを前記したネットワークへ送信する。操作端末248はその監視パケットを受信し、端末の画面上に情報として表示する。
【0010】
上述のようにして、基地局202内の回転受信アンテナ装置221の制御監視が可能であるが、このマイクロ受信基地局システムでは、基地局202に設置された受信部222や送信部223における受信・送信レベル、送受信チャンネル(周波数帯)、変調方式、送信出力、復号方式、また、例えば、信号切替器の接点選択、信号多重・分離装置の信号入力・出力選択などは、回転受信アンテナ装置221への制御監視と同様に、概略的には、操作端末248、制御端局249、被制御端局226、制御装置(制御される装置)という一連の信号伝達によって、制御監視が可能である。また、送信点203からの素材伝送用に本社204に直接送信する場合には、操作端末248、制御端局249、制御装置(制御される装置)という信号伝達経路を用いて、本社204に存在する回転受信アンテナ装置243や受信部244などの装置に対して制御監視が可能である。
【0011】
また、本例のマイクロ受信基地局システムでは、受信アンテナの方向調整を行うためのより詳細な情報の提供として、各受信部222、244における受信周波数や変調方式などの伝送パラメータを含むTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)情報、受信レベル、余裕度(Margin Degree)、BER(Bit Error Rate)、MER(Modulation Error Ratio)、遅延プロファイル、コンスタレーションなどの支援データを前記したTS信号に重畳させて本社204(受信部244については、直接、情報生成部246)へ伝送し、この情報を情報生成部246によって分離し、情報編集部247によって編集し、操作端末248の画面上に表示させる方法がある。
【0012】
ここで、上記のようなマイクロ受信基地局システムにおいてしばしば構成に組み込まれる処理部として、前記したTSの多重部及び蓄積部が考えられる。
図9及び図10を参照して、これらの処理部の使用例を示す。
図9には、従来のシステムにおける多重部の利用例として、多重部313を使用した基地局301の構成例を示してある。
本例の基地局301は、第1の回転受信アンテナ装置311−1、第2の回転受信アンテナ装置311−2、第1の受信部312−1、第2の受信部312−2、多重部313、送信部314、固定アンテナ315、変復調部316、被制御端局317を備えている。
【0013】
ここで、本例の基地局301の構成は、2個の回転受信アンテナ装置311−1、311−2、2個の受信部312−1、312−2を備え、受信部312−1、312−2と送信部314との間に多重部313を備える点を除いて、概略的には、図8に示される基地局202の構成と同様である。
【0014】
本例の基地局301では、回転受信アンテナ装置311−1、311−2及び受信部312−1、312−2が複数になった構成を有しており、受信部312−1、312−2と送信部314との間に多重部313が加わったものとなっている。そして、第1の回転受信アンテナ装置311−1により受信された信号は第1の受信部312−1により処理された後に多重部313へ送られ、第2の回転受信アンテナ装置311−2により受信された信号は第2の受信部312−2により処理された後に多重部313へ送られ、多重部313はこれら2つの入力信号を多重して送信部314へ出力する。
【0015】
このような構成において、多重部313は、複数の入力TSパケットを1つのTSパケットに多重し、送出する機能を持つ。この無線システムにおける固定無線伝送回線は、例えば、ARIB(Association of Radio Industries and Businesses)規格によって定められたビットレートを使用することとなっている。
多重部313は、このような固定ビットレートを送出ビットレートとし、複数の入力TSパケットの合計ビットレートがこの送出ビットレートに収まる範囲で、複数のTSを1つのTSに多重することができる。また、通常では、固定無線伝送回線の受信側では、多重部313と対向を為す分離部が存在する。この分離部は、多重部313が1つにまとめたTSを元の複数のTSに分離する機能を持つ。
【0016】
図10には、従来のシステムにおける蓄積部の利用例として、蓄積部333を使用した基地局321の構成例を示してある。
本例の基地局321は、回転受信アンテナ装置331、受信部332、蓄積部333、送信部334、固定アンテナ335、変復調部336、被制御端局337を備えている。
ここで、本例の基地局321の構成は、受信部332と送信部334との間に蓄積部333を備える点を除いて、概略的には、図8に示される基地局202の構成と同様である。
【0017】
本例の基地局321では、受信部332と送信部334との間に蓄積部333が挿入されたものとなっている。そして、受信部332からの出力信号が蓄積部333を介して送信部334へ送られる。
このような構成において、蓄積部333は、受信部332より送出されたTSパケットをデータとして一時蓄積する機能を保持する。また、蓄積部333は、本例の制御監視システムを用いたユーザの操作によって、送信部334が送出可能となった時点において蓄積したデータをTSパケットに変換して送出する機能を保持する。
【0018】
この場合において、送信部334が送出可能となる時点としては、例えば、基地局321と本社204との間に中継基地局が存在し、当該中継基地局の入力伝送信号の中で当該基地局321の信号を本社204へ伝送することができるようになった時点や、また、例えば、単純に基地局321と本社204で固定無線伝送路が確立している状態で、本社204側において当該基地局321の受信準備ができた時点、等を指す。
【0019】
この無線伝送システムにおいて、基地局321での受信データ(伝送の「素材」と称する)の蓄積は有用である。その理由は、蓄積部333が設置される基地局321より後段の中継局又は本社204の側の受信状況や都合等に因らず、基地局321より前段からの素材を受信することができるためである。無線伝送を用いたシステムにおいては、限られた時間の中で伝送路を確保し、送信素材を伝送する必要がある。送信から、複数の基地局を中継し、本社204へ伝送するシステム等では、通常、系統上の全ての局を一定時間占有する必要も出てくる。これに対して、蓄積部333を用いれば、ある時点での占有局を一部に限定し、時間をずらして順次本社204へ伝送することが可能となる。これは、基地局321の時間的利用効率を考慮する場合に非常に有効と言える。
【0020】
但し、これらの蓄積手法としては、本例の遠隔制御監視システムのユーザが、基地局の前段の受信可能性や後段への伝送可能性を判断した上で、明示的な機能切り替え操作を行うというのが現状であり、時間効率を上げるとはいえ、ユーザの手間を余計にかけてしまうというのではシステム全体として画期的な機能向上とは言えない。
【0021】
なお、従来技術の一例として、ディジタル無線伝送システムにおいて、2系統の低ビットレートデータを多重化して所定の高ビットレートのデータストリームとして後段に伝送する際に、複数系統の低ビットレートデータを多重化したときの合計ビットレートが高ビットレートを越えないように制御する技術が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2004−040659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
上述のように、図8〜図10に示されるようなマイクロ受信基地局システムでは、素材の伝送に関して、更に効率化を図ることが要求されていた。
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、効率的な伝送を行うことができる伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するため、本発明では、基地局から送信先に対してデータを伝送する伝送システムにおいて、次のような構成とした。
すなわち、前記基地局では、蓄積手段が伝送対象となるデータをパケット化されたファイル形式のファイル単位で一時的に蓄積し、送信手段が前記蓄積手段に蓄積されたデータを前記送信先に対して送信する。そして、前記蓄積手段から前記送信手段への出力レートを前記ファイル単位で調節することが可能である。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明に係る伝送システムによると、効率的な伝送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施例に係る伝送システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る伝送システムの構成例を示す図である。
【図3】(a)、(b)、(c)は多重部の総入力ビットレートを考慮したデータTSの伝送中の例を説明するための図である。
【図4】データTSパケットの構成例を示す図である。
【図5】データTSの欠損時における補完処理の実施時系列の一例を示す図である。
【図6】本発明の第3実施例に係る伝送システムの構成例を示す図である。
【図7】本発明の第4実施例に係る伝送システムの構成例を示す図である。
【図8】マイクロ受信基地局システムの構成例を示す図である。
【図9】多重部を使用した基地局の構成例を示す図である。
【図10】蓄積部を使用した基地局の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
本実施例は、例えば、放送システムにおける図8に示されるマイクロ受信基地局システムなどに適用することができる。
【実施例1】
【0028】
本発明の第1実施例を説明する。
図1には、本発明の一実施例に係る伝送システムの構成例を示してある。
本例では、蓄積部14を利用した基地局1を有するシステムの系統例を示してある。
また、本例の伝送システムでは、全体のシステム構成の様子を示すために、基地局1を本社2側と併せて示してある。
【0029】
基地局1は、第1の回転受信アンテナ装置11−1、第1の受信部12−1、第2の回転受信アンテナ装置11−2、第2の受信部12−2、素材選択部13、蓄積部14、送信部15、固定アンテナ16、変復調部17、被制御端局18を備えている。
本社2は、固定アンテナ21、受信部22、回転受信アンテナ装置23、受信部24、復号部25、蓄積部26、操作端末27、制御端局28、変復調部29を備えている。
【0030】
ここで、本例の基地局1の構成は、2個の回転受信アンテナ装置11−1、11−2、2個の受信部12−1、12−2を備え、受信部12−1、12−2と送信部15との間に素材選択部13、蓄積部14を備える点を除いて、概略的には、図8に示される基地局202の構成と同様である。
また、本例の本社2の構成は、図8に示される情報生成部246及び情報編集部247の代わりに蓄積部26を備える点を除いて、概略的には、図8に示される本社204の構成と同様である。
【0031】
なお、基地局31の蓄積部14は、概略的には、例えば、図10に示される蓄積部333と同様な機能を有している。
本例では、第1の回転受信アンテナ装置11−1により受信された信号は第1の受信部12−1により処理された後に素材選択部13へ送られ、第2の回転受信アンテナ装置11−2により受信された信号は第2の受信部12−2により処理された後に素材選択部13へ送られ、また、蓄積部14からの出力信号が素材選択部13に入力され、素材選択部13はこれら3つの入力信号をそれぞれ所定の出力先(送信部15又は蓄積部14)へ出力する。
また、本社2の蓄積部26は、基地局1の蓄積部14と同様に、データを一時的に蓄積する機能を有しており、本例では、IP(Internet Protocol)ネットワークと接続されてデータを送受信することが可能である。
【0032】
本例の特徴について更に詳しく説明する。
本例では、蓄積部14、26は、自身で入出力するTSを、パケット化されたファイル形式のデータTSとし、当該蓄積部14、26の内部の保持形式はファイル形式とする。このとき、通常、本システムにて使用されるベースバンドTS(例えば、映像等の素材をSDIにて再生し、当該SDIをエンコードしたものがTSとなる)に関係する、従来の符号・復号化機器への互換性は失うこととなる。これは、あくまでも、蓄積部14、26同士で行う伝送であり、その間で符号化された伝送形式がTSストリームパケットとなっているためである。
【0033】
但し、蓄積部14、26内での形式はファイル形式であることから、例えば、ファイル形式で記録媒体やコンピュータなどに存在する素材をTSとして伝送することができる。また、映像等の素材を作成した際にエディタなどで作成したメモのファイル、別のカメラなどで撮影した画像のファイル、大きな映像素材をベースバンドTSで送る前の事前のサムネイルのファイル等、様々な用途のファイルを伝送することが可能となる。また、そもそもファイル形式の素材をベースバンド信号に落とす必要がなくなる。これは、従来の無線伝送路の画期的な利用形態となる。
【0034】
本例の基地局1では、蓄積部14を素材選択部13の1出力先としてある。
素材選択部13は、本例では、複数の入力を複数の出力先に個別任意に送出できる、素材マトリクスのクロスポイント選択機器から構成されている。
また、蓄積部14からの出力は、素材選択部13にリエントリする形になっている。これは、蓄積部14を介さない受信部12−1から送信部15へのベースバンド伝送を可能とし、且つ蓄積部14に対して入力と出力の両方を可能とするための処置である。
また、本例の本社2側では、受信部22からの出力を復号部25と蓄積部26に分配している。この理由は、いずれのTS(ベースバンドTS、データTS)でも正常に受信可能とするためである。
【0035】
まず、データTSとベースバンドTSが第1の受信部12−1及び第2の受信部12−2を通じて別々に基地局1に伝送される場合について説明する。
この場合、素材選択部13にてベースバンドTSの入力を送信部15へ出力し、データTSの入力を蓄積部14へ出力する。ここで、素材選択部13の入出力クロスポイントの切り替えは、本例の遠隔制御監視システムの制御監視回線を用いて、本社2の操作端末27からの操作によって、例えば図8に示されるシステムの場合と同様にして、制御することが可能である。
【0036】
また、第1の受信部12−1と第2の受信部12−2をベースバンドTS用、素材TS(データTS)用と分別しておけば、そもそもクロスポイントを事前に設定し、余計な操作を軽減することができる。
本例によれば、例えば、ベースバンドTS素材を伝送し終えた後に、蓄積部14で蓄積したファイルデータを改めてデータTSとし、素材選択部13から送信部15へ送出することで、本社2へ伝送することができる。
例えば、ベースバンドTSを受信する受信部が信号断となった時点や電源オフ(電源OFF)とした時点を契機として、素材選択部13のクロスポイントを制御することにより自動化することが可能である。
【0037】
次に、送信部15からの伝送路について、例えば、悪天候やフェージングなどの影響で、伝送路をより強固にするために伝送ビットレートを下げる対策を考える。
従来の蓄積部では、ベースバンドTSの蓄積及び再生であったため、以前に受信・蓄積したベースバンドTSについて、ビットレートを変更することができなかった。これでは、例えば、伝送ビットレートが前記した対策より前の伝送ビットレートであった場合には、対策後の伝送路では伝送できなくなってしまう。
【0038】
これに対して、本例の蓄積部14では、自身の中でファイルを改めてTSにするため、ファイル単位であればその送出ビットレートを容易に変更することが可能となる。従って、例えば、送信部15の余計なレート調整(レートコンバート:送信部15で入力ビットレートを出力ビットレートに合うようにNULLパケット挿入で調節する機能。当然、入力<出力、である)の機能を使用することなく、伝送路の最大ビットレートにて送出することができる。
【0039】
以上のように、本例の伝送システムでは、無線によりデータ伝送を行うための遠隔制御監視システムにおいて、伝送ストリームの蓄積部14はパケット化されたファイル形式のデータをファイル単位で受信、蓄積、及び送出し、また、当該蓄積部14からの送出のビットレート(例えば、送出パケットのビットレート)をファイル単位で調節する機能を有する。
【0040】
本例では、蓄積部14を用いたファイル毎のデータTSの伝送を併用することにより、例えば、現状の利用形態を維持した上でファイル伝送機能を具備させ、利便性と機能性を向上させることができる。
このように、本例では、現状の伝送路リソースを効率良く利用して、ファイルベースの素材を伝送することが可能となる。一例として、自動化を図ることによりユーザの操作負担を軽減し、限られた伝送リソースの中で素材を効率良く伝送することができる。
【0041】
ここで、本例では、ベースバンドTSをパケット化されたファイル形式のデータTSへ変換する処理は、例えば、素材選択部13から蓄積部14へベースバンドTSが入力された際に、蓄積部14により行われるが、他の構成例として、このような処理が他の処理部により行われてもよい。
また、本例では、蓄積部14にファイル単位で蓄積されたデータTSを(必要な場合には)送信用の形式へ変換する処理は、例えば、蓄積部14から素材選択部13へ出力される際に蓄積部14により行われるが、他の構成例として、このような処理が他の処理部により行われてもよい。
また、本例では、蓄積部14からデータTSを出力する際に出力の量(送出ビットレート)を調節する処理は、例えば、予め設定された規則に従って自動的に又は手動による指示に応じて、蓄積部14により行われる。
また、蓄積部14の動作(例えば、入力、蓄積、出力)や素材選択部13の動作(例えば、入力の選択、入力と出力との接続)は、それぞれ、例えば、基地局1に設けられた制御監視機能や、本社2に設けられた制御監視機能の一方又は両方により制御されることが可能である。
【0042】
なお、本例の伝送システムにおける基地局1では、蓄積部14の機能により蓄積手段が構成されており、送信部15や固定アンテナ16の機能により送信手段が構成されており、蓄積部14の出力レートを調節する機能により出力レート調節手段が構成されており、素材選択部13の機能により切り替え手段が構成されている。
【実施例2】
【0043】
本発明の第2実施例を説明する。
図2には、本発明の一実施例に係る伝送システムの構成例を示してある。
本例では、蓄積部44及び多重部45を利用した基地局31を有するシステムの系統例を示してある。
また、本例の伝送システムでは、全体のシステム構成の様子を示すために、基地局31を本社32側と併せて示してある。
【0044】
基地局31は、第1の回転受信アンテナ装置41−1、第1の受信部42−1、第2の回転受信アンテナ装置41−2、第2の受信部42−2、素材選択部43、蓄積部44、多重部45、送信部46、固定アンテナ47、変復調部48、被制御端局49を備えている。
本社32は、固定アンテナ51、受信部52、回転受信アンテナ装置53、受信部54、分離部55、素材選択部56、復号部57、蓄積部58、操作端末59、制御端局60、変復調部61を備えている。
【0045】
ここで、本例の基地局31の構成は、素材選択部43と送信部46との間に多重部45を備える点を除いて、概略的には、図1に示される基地局1の構成と同様である。
また、本例の本社32の構成は、受信部52の後段に分離部55と素材選択部56を備え、前記素材選択部56の後段に復号部57と蓄積部58があり、また、受信部54の後段に前記素材選択部56がある点を除いて、概略的には、図1に示される本社2の構成と同様である。
【0046】
基地局31では、素材選択部43は3つの信号(最大で3つの信号)を多重部45へ出力し、多重部45は入力された3つの信号(最大で3つの信号)を多重して送信部46へ出力する。
本社32では、分離部55は受信部52からの出力信号を3つの信号(最大で3つの信号)に分離して素材選択部56へ出力し、また、素材選択部56には受信部54からの出力信号が入力され、素材選択部56はこれら4つの入力信号をそれぞれ所定の出力先(復号部57又は蓄積部58)へ出力する。
【0047】
本例の特徴について更に詳しく説明する。
本例では、蓄積部14の送出ビットレート調節機能をより効果的に利用する方式を示す。
本例では、基地局31に多重部45が備えられ、本社32に分離部55が備えられた構成となっている。ここで、多重・分離のTS数については3を例とした。このため、本社32側の分離部55の後段では素材選択部56を設けて復号部57と蓄積部58への送出の分別を切り替え制御にて実現している。
【0048】
このとき、基地局31の多重部45では、例えば、ベースバンドTSの伝送を当該多重部45の第1のTS(TS1)及び第2のTS(TS2)の入力とし、蓄積部44からの出力を当該多重部45の第3のTS(TS3)の入力とすることが考えられる。この理由は、伝送路のリソースが限られている中で、現状のベースバンドの映像等の素材を最優先で通すようにするための配慮である。
ここで、多重部45の各TS入力には、通常それぞれの優先度が設けられている。具体例として、多重部45の送出ビットレートに対して、入力TSの総ビットレートが多い場合には、優先度の高いTSを伝送することとし、優先度の低いTSから破綻させるようにする(伝送しないようにする)ものである。本例での優先度は、TS1>TS2>TS3とする(大きい方が優先度が高い)。
【0049】
図3(a)、(b)、(c)を参照して、多重部45の総入力ビットレートを考慮したデータTSの伝送中の例を説明する。
本例では、基地局31内の蓄積部44には、予め基地局31の受信部42−1、42−2を通じて受信されたデータTSを蓄積した、本社32へ送出すべきファイルデータが存在しているものとする。つまり、素材選択部43から蓄積部44へ出力されたデータがファイル単位で蓄積部44に蓄積されているとする。
【0050】
図3(a)に示される状態では、多重部45の利用状況はTS1とTS2であり、ビットレートに余裕がある状態となっている。なお、多重部45に余裕がある状態であるかどうかは、本例の制御監視システムにおいて多重部45の総入力ビットレートを監視しておくことで容易に検出することが可能である。
このような状態となった場合には、本例の制御監視システムは、蓄積部44に対し、剰余のビットレートにてデータTSを送出するように、制御を行う。これにより、図3(b)に示される状態へ遷移する。
【0051】
図3(b)に示される状態では、多重部45の利用状況はTS1とTS2とTS3となる。このように、ベースバンドTSの剰余のビットレートでファイル毎に送出を設定することで、蓄積部44はファイルデータを効率良く送出することができる。
ここで、蓄積部44がファイル単位で送出を完了する前に、ベースバンドTSのビットレートが増大した場合には、図3(c)に示される状態となり、優先度の設定により、送出データTS(ここでは、TS3)は入力レートオーバーとなり、伝送不可になる。しかしながら、本方式では、例えば、このような伝送未完結となる状態を補完し、欠損したデータTSのみを再送することで、オーバーヘッドを最小限にとどめる対策を講じることができる。
【0052】
図4には、本例のデータTSパケットの構成例を示してある。
本例のデータTSパケットは、TSヘッダ、識別番号及びデータからなるペイロード、RSから構成されている。なお、初期にファイルの総ブロック数を伝送する。
本例では、蓄積部44の送受信用のデータTSパケットの構成について、データが挿入されるペイロード領域に、本来のファイルデータに加えて識別番号を付加している。この理由は、ファイルを複数の識別番号で分割し、それぞれに対して識別番号を付加しておくことで、部分的な欠損の検出を可能とするためのものである。
【0053】
ここで、本社32側の蓄積部58において、例えば、前記したオーバーフロー(入力レートオーバー)による伝送不可、又は空中無線回線での欠損等があった場合には、本社32の蓄積部58は、本例の制御監視システムを通じて、欠損情報を通知する。そして、本例の制御監視システムは、基地局31側の蓄積部44に対し、この欠損部分の再送を要求する。これにより、基地局31側の蓄積部44は、自動的に欠損部分のみを再送することが可能となる。
【0054】
また、本例のデータTSパケットの構成においては、データTSパケット送出の初期段階において、ファイル単位での最終の識別番号を通知しておくことが望ましい。この理由は、ファイル伝送のトータル伝送時間(予想伝送時間)の予測のほか、現状での伝送完了割合、残り伝送時間等を調査するのに有用であるためである。
【0055】
図5には、データTSの欠損時における補完処理の実施時系列の一例を示してある。
図5のグラフでは、横軸は時間を表しており、縦軸は多重部45の入力ビットレートを表している。また、多重部45の送出(出力)ビットレートは、最大値が一定である。
【0056】
段階A1において、他の素材TS(ベースバンドTSのビットレートの合計)に対して多重部45の送出ビットレート(例えば、送信部46により送信が可能な最大のビットレート)に剰余があることから、蓄積部44から蓄積素材ファイル1を伝送し、完了している。
同様に、段階A2において、他の素材TS(ベースバンドTSのビットレートの合計)に対して多重部45の送出ビットレートに剰余があることから、蓄積部44から蓄積素材ファイル2を伝送し、完了している。
【0057】
続いて、段階A2において、他の素材TS(ベースバンドTSのビットレートの合計)に対して多重部45の送出ビットレートに剰余があることから、蓄積部44から蓄積素材ファイル3を伝送し始めている。
ここで、段階A3において、蓄積部44からのデータTS(蓄積素材ファイル3)の送出中に次のベースバンドTSの伝送が入り、当該データTSのオーバーフローが発生する。蓄積素材ファイル3は伝送未完となる。この時、本社32の蓄積部58は、データTS(蓄積素材ファイル3)の欠損を検出する。
【0058】
そして、段階A4で、本社32では、識別番号の検出に基づいて最終データTSの到達があった後や、又は前記した予想伝送時間を考慮したタイムアウト設定等の後に、欠損情報の再送を要求する。ここでの、欠損情報の再送の要求は、必ずしも何らかの回線を通じて自動的に基地局31の蓄積部44に送出される方式に限定されず、例えば、本社32の蓄積部58に具備された表示機能部(例えば、画面など)上に再送すべき識別番号を表示させ、再送を通告させることで、人為的に基地局31の蓄積部44に対して当該識別番号の再送を制御するなどという方式が用いられても構わない。
【0059】
上記のような自動通知又は手動制御等を通して欠損情報を受信した基地局31側の蓄積部44は、現状の剰余のビットレートを考慮して、欠損部のデータTS(ここでは、蓄積素材ファイル3の欠損部)を再送する。
上記により、欠損したデータTSの再送をロスを最小限にとどめて完了することができる。
【0060】
以上のように、本例の伝送システムでは、ストリームパケットの多重部45を基地局31に具備し、ストリームの多重部45の総入力ビットレートを示す監視情報に基づいて、蓄積部44からの送出のビットレート(例えば、送出パケットのビットレート)を自動的に調節する機能を具備する。
また、本例の伝送システムでは、蓄積部44はストリームパケット内に挿入された識別番号の検出によるパケット欠損検出機能を有し、受信した蓄積部44(例えば、前段の蓄積部)からの送出パケットに欠損があった場合に当該欠損部分のみの再送を要求する機能を具備する。
【0061】
このように、本例では、総入力ビットレートに応じて出力ビットレートを調整することや、パケットロスを検出した場合にロス部分のみを再送要求することができる。
本例の伝送システムでは、現状の伝送路リソースを効率良く利用して、ファイルベースの素材を伝送することが可能となり、また、基本であるベースバンド伝送で余ったリソースを自動的な制御で有効活用することにより、従来方式の運用を維持した上での更なるシステム拡張となり、利便性と機能性の大きな向上を図ることができる。一例として、自動化を図ることによりユーザの操作負担を軽減し、限られた伝送リソースの中で素材を効率良く伝送することができる。
【0062】
ここで、図4に示されるようなパケットを生成する処理は、例えば、蓄積部44により行われるが、他の構成例として、このような処理が他の処理部により行われてもよい。また、蓄積部44では、例えば、図4に示されるパケットの形式で蓄積や送出(出力)が行われてもよく、或いは、図4に示されるパケット以外の形式でファイル単位でデータを蓄積し、送出(出力)するときに図4に示されるパケットの形式へ変換するような構成が用いられてもよい。
また、図4に示される各パケットの識別番号は、例えば、蓄積部44により記憶されて管理されるが、他の構成例として、他の処理部により管理されてもよい。
また、蓄積部44の動作(例えば、入力、蓄積、出力)や素材選択部43の動作(例えば、入力の選択、入力と出力との接続)や、パケットの識別番号を用いて再送を要求することを可能とするための動作は、それぞれ、例えば、基地局31に設けられた制御監視機能や、本社32に設けられた制御監視機能の一方又は両方により制御されることが可能である。
【0063】
なお、本例の伝送システムにおける基地局31では、蓄積部44の機能により蓄積手段が構成されており、送信部46や固定アンテナ47の機能により送信手段が構成されており、蓄積部44の出力レートを調節する機能により出力レート調節手段が構成されており、素材選択部43の機能により切り替え手段が構成されており、多重部45の機能により多重手段が構成されている。
また、本例の伝送システムでは、蓄積部44からのデータ伝送の欠損を検出する機能により欠損検出手段が構成されており、パケットの識別番号で特定して欠損したデータの再送を要求する機能により再送要求手段が構成されており、再送の要求に応じて蓄積部44からデータを再送する機能により再送手段が構成されている。
【実施例3】
【0064】
本発明の第3実施例を説明する。
図6には、本発明の一実施例に係る伝送システムの構成例として、基地局81の構成例を示してある。
本例の基地局81は、第1の回転受信アンテナ装置91−1、第1の受信部92−1、第2の回転受信アンテナ装置91−2、第2の受信部92−2、素材選択部93、蓄積部94、多重部95、被制御端局96、光変換部97を備えている。
【0065】
ここで、本例の基地局81の構成は、図2に示される送信部46、固定アンテナ47、変復調部48の代わりに光変換部97を備える点を除いて、概略的には、図2に示される基地局31の構成と同様である。
本例では、基地局81と本社とが光回線を用いて接続されており、本社についても光回線を用いた通信が可能な構成となっている。具体的には、多重部95からの出力信号が光変換部97により電気信号から光信号へ変換されて光回線へ出力され、この信号は本社の受信部(図2に示される受信部52に対応するもの)により受信される。また、被制御端局96と光変換部97との間ではIP通信が行われ、被制御端局96からの信号が光変換部97により電気信号から光信号へ変換されて光回線へ出力され、この信号は本社の制御端局(図2に示される制御端局60に対応するもの)により受信され、また、本社の制御端局からの信号が光信号として光回線を介して光変換部97により受信されて光信号から電気信号へ変換されて被制御端局96に入力される。
【0066】
以上のように、本例では、光回線を利用した伝送システムを実現することができる。このように、基地局と本社との間の伝送路としては、必ずしも無線伝送の伝送路に限られない。
【0067】
なお、本例の伝送システムにおける基地局81では、蓄積部94の機能により蓄積手段が構成されており、光変換部97の機能により送信手段が構成されており、蓄積部94の出力レートを調節する機能により出力レート調節手段が構成されており、素材選択部93の機能により切り替え手段が構成されており、多重部95の機能により多重手段が構成されている。
【実施例4】
【0068】
本発明の第4実施例を説明する。
図7には、本発明の一実施例に係る伝送システムの構成例として、基地局101の構成例を示してある。
本例の基地局101は、第1の回転受信アンテナ装置111−1、第1の受信部112−1、第2の回転受信アンテナ装置111−2、第2の受信部112−2、素材選択部113、蓄積部114、多重部115、IP変換部116、被制御端局117、IPルータ118を備えている。
【0069】
ここで、本例の基地局101の構成は、図2に示される送信部46、固定アンテナ47、変復調部48の代わりにIP変換部116、IPルータ118を備える点を除いて、概略的には、図2に示される基地局31の構成と同様である。
本例では、基地局101と本社とがIP回線を用いて接続されており、本社についてもIP回線を用いた通信が可能な構成となっている。具体的には、多重部115からの出力信号がIP変換部116によりIP信号へ変換されてIPルータ118を介してIP回線へ出力され、この信号は本社の受信部(図2に示される受信部52に対応するもの)により受信される。また、被制御端局117とIPルータ118との間ではIP通信が行われ、被制御端局117からの信号がIPルータ118によりIP回線へ出力され、この信号は本社の制御端局(図2に示される制御端局60に対応するもの)により受信され、また、本社の制御端局からの信号がIP回線を介してIPルータ118により受信されて被制御端局117に入力される。
【0070】
以上のように、本例では、IP回線を利用した伝送システムを実現することができる。このように、基地局と本社との間の伝送路としては、必ずしも無線伝送の伝送路に限られない。
【0071】
なお、本例の伝送システムにおける基地局101では、蓄積部114の機能により蓄積手段が構成されており、IP変換部116やIPルータ118の機能により送信手段が構成されており、蓄積部114の出力レートを調節する機能により出力レート調節手段が構成されており、素材選択部113の機能により切り替え手段が構成されており、多重部115の機能により多重手段が構成されている。
【0072】
(実施例のまとめ)
(以下、構成例の説明)
(構成例1)
一構成例として、基地局から送信先に対してデータを伝送する伝送システムにおいて、次のような構成とした。
すなわち、前記基地局では、蓄積手段が伝送対象となるデータをパケット化されたファイル形式のファイル単位で一時的に蓄積し、送信手段が前記蓄積手段に蓄積されたデータを前記送信先に対して送信する。そして、前記蓄積手段から前記送信手段への出力レートを前記ファイル単位で調節することが可能である。
従って、蓄積されたデータの出力レートをファイル単位で調節することが可能であり、効率的な伝送を行うことができる。
【0073】
ここで、基地局や送信先(例えば、本社など)としては、それぞれ、種々な構成のものが用いられてもよい。
また、伝送対象となるデータとしては、種々なものが用いられてもよく、例えば、放送番組の素材のデータを用いることができる。
また、パケットやファイルの形式としては、それぞれ、種々なものが用いられてもよい。
また、蓄積手段は、例えば、データを記憶(蓄積)するメモリなどを用いて構成することができる。
また、出力レートとしては、種々なものが用いられてもよく、例えば、出力のビットレートを用いることができる。
また、蓄積手段から送信手段への出力レートをファイル単位で調節する処理は、例えば、このような処理を行う手段(出力レート調節手段)を備えて、予め設定された態様で自動的に行われてもよく、或いは、ユーザによる操作など(手動)に応じて行われてもよい。
【0074】
(構成例2)
一構成例として、(構成例1)に記載の伝送システムにおいて、
前記基地局は、前記蓄積手段に蓄積される伝送対象となるデータを含む複数の系統の伝送対象となるデータを多重する多重手段を備え、
前記送信手段は、前記多重手段により多重されたデータを前記送信先に対して送信し、
前記多重手段への総入力レート(全ての入力の合計のレート)に基づいて前記蓄積手段から前記多重手段を介した前記送信手段への出力レートを調節することが可能である、
ことを特徴とする伝送システム。
従って、複数の系統の伝送対象となるデータを多重手段により多重して送信する場合に、多重手段への総入力レートに応じて、蓄積されたデータの出力レートを調節することが可能であり、効率的な伝送を行うことができる。
【0075】
ここで、複数の系統の数としては、種々な数が用いられてもよい。
また、多重の方法としては、種々な方法が用いられてもよい。
また、多重手段への総入力レートに基づいて、蓄積手段から多重手段を介した送信手段への出力レートを調節する処理は、例えば、このような処理を行う手段(出力レート調節手段)を備えて、予め設定された態様で自動的に行われてもよく、或いは、ユーザによる操作など(手動)に応じて行われてもよい。
【0076】
(構成例3)
(構成例1)又は(構成例2)に記載の伝送システムにおいて、
前記蓄積手段から出力される伝送対象のデータのパケットには識別番号が含まれ、
前記蓄積手段からのデータ伝送に欠損があった場合に(前記識別番号に基づいて)当該欠損があった部分のみの再送を要求することが可能である、
ことを特徴とする伝送システム。
従って、蓄積されたデータの伝送に欠損があった場合には、当該欠損があった部分のみの再送を要求することが可能であるため、効率的な伝送を行うことができる。
【0077】
ここで、蓄積手段からのデータ伝送に欠損があったことを検出する処理や、蓄積手段からのデータ伝送に欠損があった場合に当該欠損があった部分のみの再送を要求する処理や、再送の要求に応じて蓄積手段からデータを再送する処理は、それぞれ、例えば、このような処理を行う手段(それぞれ、欠損検出手段、再送要求手段、再送手段)を備えて、予め設定された態様で自動的に行われてもよく、或いは、ユーザによる操作など(手動)に応じて行われてもよい。
【0078】
(構成例4)
(構成例1)乃至(構成例3)のいずれかに記載の伝送システムにおいて、
前記基地局は、複数の入力端と複数の出力端との接続状態を切り替えることが可能な切り替え手段を、前記蓄積手段と前記送信手段(又は、前記多重手段)との間に備えた、
ことを特徴とする伝送システム。
従って、複数の入力端と複数の出力端との接続状態を切り替えることにより、状況に応じて、効率的な伝送を行うことができる。
【0079】
ここで、切り替え手段は、例えば、蓄積手段からの出力を入力する入力端や、蓄積手段以外の1つ以上の系統(例えば、受信系統)からの出力を入力する当該1つ以上の入力端を有するとともに、蓄積手段への出力端や、送信手段(又は、多重手段)への出力端を有する。
(以上、構成例の説明)
【0080】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【符号の説明】
【0081】
1、31、81、202、301、321・・基地局、 2、32、204・・本社、 11−1、11−2、23、41−1、41−2、53、91−1、91−2、111−1、111−2、221、243、311−1、311−2、331・・回転受信アンテナ装置、 12−1、12−2、22、24、42−1、42−2、52、54、92−1、92−2、112−1、112−2、222、242、244、312−1、312−2、332・・受信部、 13、43、56、93、113・・素材選択部、 14、26、44、58、94、114、333・・蓄積部、 15、46、211、223、231、314、334・・送信部、 16、21、47、51、224、241、315、335・・固定アンテナ、 17、29、48、61、225、250、316、336・・変復調部、 18、49、96、117、226、317、337・・被制御端局、 25、57、245・・復号部、 27、59、248・・操作端末、 28、60、249・・制御端局、 45、95、115、313・・多重部、 55・・分離部、 97・・光変換部、 116・・IP変換部、 118・・IPルータ、 201、203・・送信点、 212、232・・アンテナ、 246・・情報生成部、 247・・情報編集部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局から送信先に対してデータを伝送する伝送システムにおいて、
前記基地局は、伝送対象となるデータをパケット化されたファイル形式のファイル単位で一時的に蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積されたデータを前記送信先に対して送信する送信手段と、を備え、
前記蓄積手段から前記送信手段への出力レートを前記ファイル単位で調節することが可能である、
ことを特徴とする伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−34114(P2012−34114A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170897(P2010−170897)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】