説明

作業機

【課題】メモリを追加することなく複数の言語で情報を表示し得る作業機の提供。
【解決手段】作業機であるコンバインは、表示コントローラ110、コラムコントローラ130、エンジンコントローラ150、走行コントローラ170、脱穀コントローラ190の各コントローラと、これらを相互に接続するCAN通信バス100とを備えている。表示コントローラ110が備えるEEPROM112には、制御プログラムの他、情報を日本語により表示するための日本語表示データ、情報を画像により表示するための共通画像データを格納する。一方、他のコントローラ(130〜190)には、制御プログラムの他に他言語用の表示データを格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の言語で情報を表示し得る作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、田植機、コンバイン等の農業用の作業機には液晶ディスプレイ装置、表示計器等の表示装置が設けられており、これらの表示装置に作業機各部の状態情報を表示させることにより、作業者に対して作業状況を知らせることができるようにしていた(例えば、特許文献1,2参照)
【0003】
このような作業機の海外での使用を想定している場合、その国で使用される言語のデータを予め記憶させておく必要がある。そのため、複数の言語によるデータ、画像データなどの表示データを所定のデータ形式でROMに記憶させておき、ディップスイッチ又は操作パネルから所定の操作を実行することにより、表示言語を設定するようにしていた。
【特許文献1】特開平10−114241号公報
【特許文献2】特開平10−304710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示データを格納しているROMは、一般的に液晶ディスプレイ装置などの表示装置内に内蔵されるものであり、そのメモリ容量によって表示データ量が制限されている。したがって、表示装置内のROMのメモリ容量によって表示できる画面数が限られ、画面の追加が容易にできないという問題点を有していた。例えば、多国言語対応の表示装置の場合、多国言語の文字データをROMに記憶させておき、仕向先で表示を切り替えれば部品を共通化できるが、メモリ容量に余裕がない装置では対応できないという問題点を有していた。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、制御データを記憶する制御データ記憶部と、制御データに従って作業部の動作を制御する制御部と、情報を表示する表示部とを備える作業機において、表示部に表示させるデータの一部を制御データ記憶部に記憶する構成とすることにより、表示部が備えるメモリの空き容量が不足しているような状況下であっても、新たなメモリを追加することなく表示できる情報を増やすことができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る作業機は、所定の作業を行う作業部と、該作業部の動作を制御する制御データを記憶する制御データ記憶部と、前記制御データに従って前記作業部の動作を制御する制御部とを備える作業機において、情報を表示する表示部と、該表示部に表示させるべき情報に対応した表示データを記憶する表示データ記憶部とを備え、前記表示部に表示させる表示データの一部を前記制御データ記憶部に記憶するようにしてあることを特徴とする。
【0007】
第1発明にあっては、制御データを記憶する制御データ記憶部と、制御データに従って作業部の動作を制御する制御部と、情報を表示する表示部とを備え、表示部に表示させるべき情報に対応した表示データの一部を制御データ記憶部に記憶するようにしている。例えば、制御データ記憶部の記憶容量を256Kバイト、制御データを100Kバイトとした場合、制御データ記憶部には156Kバイトの空き容量ができるため、表示データ記憶部に空き容量がない場合であっても、表示データの一部を制御データ記憶部に記憶させることができ、表示データ記憶部のみを使用する場合と比較して表示できる情報量が増加する。
【0008】
第2発明に係る作業機は、前記情報を複数の言語で表示すべく、前記表示データ記憶部及び前記制御データ記憶部に夫々異なる言語用の表示データを記憶するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
第2発明にあっては、表示データ記憶部及び制御データ記憶部に夫々異なる言語用の表示データを記憶するようにしている。表示データ記憶部と制御データ記憶部とで異なる言語用の表示データを記憶させておくことで2種類の言語で情報を表示させることが可能となる。また、コンバインなどの作業機では、コラムコントローラ、エンジンコントローラ、走行コントローラ、脱穀コントローラなどの複数の制御部を有しているが、各制御部が使用する制御データ記憶部の空き容量に夫々異なる言語用の表示データを記憶させることにより、多国語表示が可能となる。
【0010】
第3発明に係る作業機は、前記表示データ記憶部に記憶する表示データは、画像データ及び文字コードであり、前記制御データ記憶部に記憶する表示データは、文字コードであることを特徴とする。
【0011】
第3発明にあっては、表示データ記憶部には画像データ及び文字コードを記憶させ、制御データ記憶部には文字コードを記憶させることにより、マークやピクトグラムなどの表示言語に依存せずに使用できる画像データを共通のデータとして記憶することで、メモリ資源の削減が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
第1発明による場合は、制御データを記憶する制御データ記憶部と、制御データに従って作業部の動作を制御する制御部と、情報を表示する表示部とを備え、表示部に表示させるべき情報に対応した表示データの一部を制御データ記憶部に記憶するようにしている。例えば、制御データ記憶部の記憶容量を256Kバイト、制御データを100Kバイトとした場合、制御データ記憶部には156Kバイトの空き容量ができるため、表示データ記憶部に空き容量がない場合であっても、表示データの一部を制御データ記憶部に記憶させることができ、表示データ記憶部のみを使用する場合と比較して表示できる情報量を増やすことができる。
【0013】
第2発明による場合は、表示データ記憶部及び制御データ記憶部に夫々異なる言語用の表示データを記憶するようにしている。したがって、表示データ記憶部と制御データ記憶部とで異なる言語用の表示データを記憶させておくことにより2種類の言語で情報を表示させることができる。また、コンバインなどの作業機では、コラムコントローラ、エンジンコントローラ、走行コントローラ、脱穀コントローラなどの複数の制御部を有しているが、各制御部が使用する制御データ記憶部の空き容量に夫々異なる言語用の表示データを記憶させることにより、情報の多国語表示が可能となる。
【0014】
第3発明による場合は、表示データ記憶部には画像データ及び文字コードを記憶させ、制御データ記憶部には文字コードを記憶させている。したがって、マークやピクトグラムなどの表示言語に依存せずに使用できる画像データを共通のデータとして記憶することで、メモリ資源の削減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本実施の形態に係るコンバインの平面図であり、図2は同じく左側側面図である。図中1は左右一対の走行クローラ2にて支持された走行機体であり、走行機体1の進行方向右側には、操縦座席、走行機体1を操向操作するための操向ハンドル、刈取作業、脱穀作業、排出作業等を指示するための各種コントローラを備える操縦室3が設けられている。また、その後方には収穫した穀物を貯留するための穀物タンク7が設けられている。更に、操縦室3の下部にはエンジンが設けられており、エンジンの動力を走行用ミッションケースを介して走行クローラ2に伝達させることにより、走行機体1を走行させるように構成されている。
【0016】
走行機体1の前部には、複数組の分草体41、穀稈引起装置42、及び刈刃43、並びに穀稈搬送装置44を備えた刈取部4が昇降シリンダ45を介して昇降可能に装着されている。また、走行機体1の左側には、フィードチェーン51が装備された脱穀装置5が配設されており、刈取部4から搬送された穀稈の根元部をフィードチェーン51にて受け継いで挟持搬送すると共に、その穀稈の穂先部を脱穀装置5内の扱胴52及び処理胴53にて脱穀するようにしている。なお、排藁は、フィードチェーン51の後端で排藁チェーン55に受け継がれ、走行機体1の後端から圃場に排出される。扱胴52の下方には、チャフシーブ等による搖動選別と唐箕ファンの風による風選別とを行うための選別装置56が設けられている。選別装置56にて選別されて集積された穀粒は、図示しない揚穀コンベアによって穀物タンク7内に集められる。穀物タンク7内に集められた穀粒は、エンジンの動力にて回転するスクリューコンベアを装備した底コンベア71から、排出オーガ8を介して、穀物搬送用のトラックの荷台等に排出される。
【0017】
次に、操縦室3内に配置されている各種操作用のレバー、スイッチ類の構成について説明する。図3は操縦室3の概略構成を示す斜視図である。運転席31前方のフロントコラム32から突出するハンドル軸には、走行機体1を操向操作するための操向ハンドル33が取付けられている。
【0018】
フロントコラム32の上端部位には、表示手段としての液晶表示装置60が、平面視で操向ハンドル33における略半円形状のハンドルホイル33aの内側に位置するように取付けられている。この液晶表示装置60は、操向ハンドル33には連結されておらず、フロントコラム32のみに固定されているため、操向ハンドル33を回動させた場合であっても液晶表示装置60は動かないように構成されている。また、操向ハンドル33近傍の左右側方には、操作パネル34,34が配設されている。これらの操作パネル34,34には、選別調節ダイヤル、刈取自動昇降スイッチ等の各種スイッチ類が配置されている。更に、操向ハンドル33のハンドルホイル33a内側の左右対称位置には、機体水平制御用、刈取昇降自動制御用・扱深さ自動制御用などの操作スイッチがそれぞれ設けられている。
【0019】
運転席31の左方には、前後に長いサイドコラム35が配設されており、このサイドコラム35には、車速を無段階変速させる主変速レバー36、作業状態に応じて走行駆動部の出力及び回転数を所定範囲に設定保持する副変速レバー37が設けられている。これらのレバー36,37は前後回動可能に構成されている。なお、主変速レバー36の握り部36aには、刈取部4を強制的に上昇させるオートリフトスイッチ、刈取部を所定の刈高さまで強制的に下降させるオートセットスイッチ、刈取部4の昇降移動を手動操作するための刈取昇降スイッチ等の複数のスイッチが設けられている。
【0020】
さらに、副変速レバーの後方部位には作業クラッチレバー38が設けられている。作業クラッチレバー38は平面視逆L字状のガイド溝に沿って移動可能に構成されており、ガイド溝の後端左寄り位置に作業クラッチレバー38が位置するときには、刈取スイッチ及び脱穀スイッチが切り作動して刈取クラッチ「切り」かつ脱穀クラッチ「切り」の状態となる。左右反対側となる後端右寄り位置では脱穀スイッチのみが入り作動して刈取クラッチ「切り」かつ脱穀クラッチ「入り」状態となり、ガイド溝の前端である位置では脱穀スイッチとともに刈取スイッチが入り作動して刈取クラッチ「入り」かつ脱穀クラッチ「入り」の状態となるように構成されている。
【0021】
図4は操縦室3に設けられている液晶表示装置60の構成を示す模式図である。液晶表示装置60は、文字、記号、画像等の情報を表示できる表示手段としての液晶パネル60aと、これを収納するケース60bとにより構成されている。液晶パネル60aとしては、モノクロ又はカラーのドットマトリクスパネルを用いることができる。
【0022】
液晶パネル60aは、ケース60b表面の前後左右略中央に配置されている。液晶パネル60aの近傍外周部には、液晶パネル60aに表示する画面の切替操作を行うための画面切替スイッチ61〜64が左右各2つずつ設けられており、液晶パネル60aの上側には、液晶パネル60aに情報を表示する際の言語を切替えるための言語切替スイッチ65が設けられている。画面切替スイッチ61〜64は、一回の押下操作により一つのオンパルス信号が出力されるいわゆるプッシュスイッチであり、ノンロックタイプのものである。言語切替スイッチ65は、例えば、3つのディップスイッチ65a,65b,65cからなり、各スイッチ65a,65b,65cのオン・オフの状態によって言語を切替えるように構成されている。
【0023】
図5は言語切替スイッチ65による表示言語の選択状態を示す概念図である。前述したように言語切替スイッチ65が備える3つのディップスイッチ65a〜65cのオン・オフの状態に応じて表示言語が選択される。例えば、3つのディップスイッチ65a〜65cが全てオフである場合、表示言語として日本語が選択され、3つのディップスイッチ65a〜65cのうち1つ(例えば、ディップスイッチ65c)がオンとなっている場合、表示言語として英語が選択される。なお、ディップスイッチ65a〜65cのオン・オフの状態と選択される表示言語との関係は、後述する表示コントローラ110内のEEPROM112に格納されている制御プログラムによって定義されているものとする(図6参照)。
【0024】
次に、コンバインの制御系の構成について説明する。図6はコンバインの制御系の全体構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るコンバインの制御系は、表示コントローラ110、コラムコントローラ130、エンジンコントローラ150、走行コントローラ170、及び脱穀コントローラ190の各コントローラと、これらを相互に接続するCAN通信バス100とにより構成されている。
【0025】
表示コントローラ110は、内蔵された各種ハードウェアを制御するための制御プログラムを格納したEEPROM112を備えている。EEPROM112は、例えば、1024Kバイトの容量を有しており、制御プログラムの他、液晶パネル60aに表示する表示データが格納されている。本実施の形態では、情報を日本語で表示するために日本語用の表示データ(以下、日本語表示データ)と、情報を画像により表示するための画像データ(以下、共通画像データ)とをEEPROM112に格納している。ここで、日本語表示データには、日本語の文字コードとその文字コードに対応したドットデータとが含まれる。また、共通画像データには、表示言語に依存しないマーク、ピクトグラムなどの画像データが含まれる。例えば、図4に示した例では、「負荷モニタ」、「タンク」、「車高左」、「車高右」、「副変速」、「刈取変速」などが日本語表示データにより表示され、タンクのレベル表示、車速のレベル表示、車高のレベル表示、燃料の残量レベル表示が共通画像データによって表示されている。
【0026】
また、コラムコントローラ130は、例えば、256Kバイトの記憶容量を有するEEPROM132を備えている。そのうち、100Kバイト程度は、コラムコントローラ130に内蔵された各種ハードウェアを制御するための制御プログラムを格納するための記憶領域として利用され、残りは、情報を英語で表示するための英語用の表示データ(英語表示データ)を格納する記憶領域として利用されている。このEEPROM132に格納されている英語表示データは、表示コントローラ110からの要求がある場合に読出され、CAN通信バス100を介して表示コントローラ110へ送信される。
【0027】
エンジンコントローラ150、走行コントローラ170、及び脱穀コントローラ190についてもコラムコントローラ130と同様である。すなわち、エンジンコントローラ150、走行コントローラ170、及び脱穀コントローラ190は、それぞれ256Kバイトの記憶容量を有するEEPROM152,172,192を備えており、各EEPROM152,172,192には制御プログラムの他、情報を中国語で表示する中国語表示データ、台湾語で表示する台湾語表示データ、韓国語で表示する韓国語表示データをそれぞれ格納している。これらの表示データは、表示コントローラ110からの要求がある場合に読出され、CAN通信バス100を介して表示コントローラ110へ送信される。なお、これらのコントローラ110〜190が備えるEEPROM112〜192としては、フラッシュメモリが使用される。
【0028】
以下、各コントローラの構成について説明する。
図7は表示コントローラ110の内部構成、及び表示コントローラ110に接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。表示コントローラ110は、CPU111、EEPROM112、RAM113、CANコントローラ114、入力インタフェース115、出力インタフェース116を備える。
【0029】
入力インタフェース115に接続されている入力機器としては、前述した液晶表示装置60に設けられている画面切替スイッチ61〜64及び言語切替スイッチ65が挙げられる。また、出力インタフェース116に接続されている出力機器としては、液晶パネル60aが挙げられる。
【0030】
CPU111は、EEPROM112に格納されている制御プログラムを実行することにより、CANコントローラ114又は入力インタフェース115を通じて入力される信号に従って表示すべき画面を生成し、液晶パネル60aに適宜の情報を表示させる。
【0031】
図8はコラムコントローラ130の内部構成、及びコラムコントローラ130に接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。コラムコントローラ130は、CPU131、EEPROM132、RAM133、CANコントローラ134、入力インタフェース135、出力インタフェース136を備える。
【0032】
入力インタフェース135に接続されている入力機器としては、前述した主変速レバー36、副変速レバー37の他、オートリフトスイッチ141、オートセットスイッチ142、刈取昇降スイッチ143、刈取スイッチ144、脱穀スイッチ145、副変速位置検出センサ146などが挙げられる。また、出力インタフェース136に接続されている出力機器としては、ブザー147が挙げられる。
【0033】
CPU131は、EEPROM132に格納されている制御プログラムを実行することにより、入力インタフェース135を通じて入力された各種の情報をCANコントローラ134を通じて表示コントローラ110に通知すると共に、必要に応じてブザー147を作動させて警報音を出力させる。
【0034】
図9はエンジンコントローラ150の内部構成、及びエンジンコントローラ150に接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。エンジンコントローラ150は、CPU151、EEPROM152、RAM153、CANコントローラ154、入力インタフェース155、出力インタフェース156を備える。
【0035】
入力インタフェース155に接続されている入力機器としては、エンジン回転数センサ161、エンジンオイル量センサ162、エンジン水温センサ163、燃料噴射ポンプラック位置センサ164、エンジンスタータスイッチ165などが挙げられる。また、出力インタフェース156に接続されている出力機器としては、燃料噴射ポンプラックアクチュエータ166、エンジンスタータリレー167などが挙げられる。
【0036】
CPU151は、EEPROM152に格納されている制御プログラムを実行することにより、入力インタフェース155を通じて入力された各種の情報をCANコントローラ154を通じて表示コントローラ110に通知すると共に、必要に応じて燃料噴射ポンプラックアクチュエータ166、エンジンスタータリレー167などを作動させる。
【0037】
図10は走行コントローラ170の内部構成、及び走行コントローラ170に接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。走行コントローラ170は、CPU171、EEPROM172、RAM173、CANコントローラ174、入力インタフェース175、出力インタフェース176を備える。
【0038】
入力インタフェース175に接続されている入力機器としては、車速センサ181、走行ハンドルリミットスイッチ182、昇降ポジションセンサ183、超音波センサ184、穀稈搬送センサ185、扱い深さセンサ186などが挙げられる。また、出力インタフェース176に接続されている出力機器としては、扱い深さ制御モータ制御回路187、オーガクラッチモータ制御回路188などが挙げられる。
【0039】
CPU171は、EEPROM172に格納されている制御プログラムを実行することにより、入力インタフェース175を通じて入力された各種の情報をCANコントローラ174を通じて表示コントローラ110に通知すると共に、必要に応じて扱い深さ制御モータ制御回路187、オーガクラッチモータ制御回路188などへ制御信号を出力する。
【0040】
図11は脱穀コントローラ190の内部構成、及び脱穀コントローラ190に接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。脱穀コントローラ190は、CPU191、EEPROM192、RAM193、CANコントローラ194、入力インタフェース195、出力インタフェース196を備える。
【0041】
入力インタフェース195に接続されている入力機器としては、燃料センサ201、車高センサ202、籾流量センサ203、旋回角センサ204、上下回動角センサ205、オーガクラッチセンサ206、扱胴回転センサ207、処理胴回転センサ208、排出オーガ過負荷センサ209、摺動選別過負荷センサ210などが挙げられる。また、出力インタフェース196に接続されている出力機器としては、刈取昇降用油圧シリンダ用電磁ソレノイド211、上下回動用油圧シリンダ用電磁ソレノイド212、FCクラッチ駆動回路213、排出オーガブレーキ214、摺動選別駆動モータ215などが挙げられる。
【0042】
CPU191は、EEPROM192に格納されている制御プログラムを実行することにより、入力インタフェース195を通じて入力された各種の情報をCANコントローラ194を通じて表示コントローラ110に通知すると共に、必要に応じて刈取昇降用油圧シリンダ用電磁ソレノイド211、上下回動用油圧シリンダ用電磁ソレノイド212、FCクラッチ駆動回路213、排出オーガブレーキ214、摺動選別駆動モータ215などを作動させる。
【0043】
次に、液晶表示装置60の液晶パネル60aに情報を表示する際の処理の手順について説明する。図12は液晶パネル60aに情報を表示する際に表示コントローラ110が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。まず、表示コントローラ110のCPU111は、RAM113に記憶されているデータの消去などを実行して、ハードウェアの初期化を行う(ステップS1)。次いで、CANコントローラ114及び入力インタフェース115に入力される信号を監視して、新たなイベントを検出したか否かを判断する(ステップS2)。イベントを検出していない場合(S2:NO)、イベントを検出するまで待機する。
【0044】
新たなイベントを検出したと判断した場合(S2:YES)、CPU111は、言語切替スイッチ65を構成するディップスイッチ65a〜65cのオン・オフの状態を検出することにより、表示言語の特定を行う(ステップS3)。
【0045】
次いで、CPU111は、現在の表示言語が日本語であるか否かを判断する(ステップS4)。現在の表示言語が日本語であると判断した場合(S4:YES)、表示コントローラ110のEEPROM112から表示データの読出しを行う(ステップS5)。一方、現在の表示言語が日本語でないと判断した場合(S4:NO)、他のコントローラ(130〜190)から表示データの読出しを行う(ステップS6)。例えば、ステップS3で特定した表示言語が英語である場合、CPU111は表示すべき情報に対応した英語表示データの読出し要求コマンドを生成し、生成したコマンドをCANコントローラ114を介してコラムコントローラ130へ送信する。そして、CAN通信バス100を通じて送信されてくる英語表示データを受信することで表示すべき情報に対応した英語表示データを取得する。他の言語についても同様である。
【0046】
表示データの読出しを行った後、CPU111は、液晶パネル60aに表示すべき表示画面の生成を行う(ステップS7)。このときCPU111は、必要に応じて表示コントローラ110のEEPROM112から所望の共通画像データを読出し、文字と画像とからなる表示画面を生成する。CPU111は、生成した表示画面のデータを出力インタフェース116から出力して液晶パネル60aに表示させる(ステップS8)。日本語表示及び英語表示による表示画面の一例をそれぞれ図13及び図14の模式図に示す。
【0047】
次いで、CPU111は、液晶表示装置60の電源オフなどによる割込み処理があるか否かを判断する(ステップS9)。割込み処理がないと判断した場合(S9:NO)、CPU111は処理をステップS2へ戻し、割込み処理があると判断した場合(S9:YES)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0048】
このように本発明では、表示コントローラ110が大容量のメモリを備えていない場合であっても、他のコントローラの空き容量を利用することにより、多言語の情報表示が可能となる。
【0049】
なお、本実施の形態では、表示コントローラ110、コラムコントローラ130などの各コントローラ毎に異なる言語の表示データを記憶するようにしたが、空き容量があれば、複数の言語の表示データを各コントローラに記憶するようにしてもよい。また、マーク、ピクトグラムなどの画像データも表示コントローラ以外のコントローラ(130〜190)に記憶するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施の形態に係るコンバインの平面図である。
【図2】本実施の形態に係るコンバインの左側側面図である。
【図3】操縦室の概略構成を示す斜視図である。
【図4】操縦室に設けられている液晶表示装置の構成を示す模式図である。
【図5】言語切替スイッチによる表示言語の選択状態を示す概念図である。
【図6】コンバインの制御系の全体構成を示すブロック図である。
【図7】表示コントローラの内部構成、及び表示コントローラに接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。
【図8】コラムコントローラの内部構成、及びコラムコントローラに接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。
【図9】エンジンコントローラの内部構成、及びエンジンコントローラに接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。
【図10】走行コントローラの内部構成、及び走行コントローラに接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。
【図11】脱穀コントローラの内部構成、及び脱穀コントローラに接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。
【図12】液晶パネルに情報を表示する際に表示コントローラが実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
【図13】日本語表示による表示画面の一例を示す模式図である。
【図14】英語表示による表示画面の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0051】
60a 液晶パネル
100 CAN通信バス
110 表示コントローラ
111 CPU
112 EEPROM
113 RAM
114 CANコントローラ
115 入力インタフェース
116 出力インタフェース
130 コラムコントローラ
150 エンジンコントローラ
170 走行コントローラ
190 脱穀コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作業を行う作業部と、該作業部の動作を制御する制御データを記憶する制御データ記憶部と、前記制御データに従って前記作業部の動作を制御する制御部とを備える作業機において、
情報を表示する表示部と、該表示部に表示させるべき情報に対応した表示データを記憶する表示データ記憶部とを備え、前記表示部に表示させる表示データの一部を前記制御データ記憶部に記憶するようにしてあることを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記情報を複数の言語で表示すべく、前記表示データ記憶部及び前記制御データ記憶部に夫々異なる言語用の表示データを記憶するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記表示データ記憶部に記憶する表示データは、画像データ及び文字コードであり、前記制御データ記憶部に記憶する表示データは、文字コードであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−244208(P2007−244208A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67979(P2006−67979)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】