説明

作業用ゴンドラ

【課題】建物の洗浄作業等に使用する作業用ゴンドラであって、洗浄液等の飛散物が建物外部へ飛散することを防止する樋を有する作業用ゴンドラを提供する。
【解決手段】ゴンドラ本体1aの下部外面に、上方が開口する横樋3Aを横方向に配設し、横樋3Aの左右両側に、横樋3A側に向かって開口する縦樋3B,3Cを設ける、そして縦樋3B,3Cの下端を横樋3Aに連接して上下方向に配設した作業用ゴンドラ。縦樋3B,3C及び横樋3Aを弾性材で形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業用ゴンドラに関するもので、詳しくは、既設建物等において、外壁面の洗浄、補修、塗装等の作業をする場合に、その作業者が乗る作業用ゴンドラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記のような作業用ゴンドラにおいて、その作業用ゴンドラの前側の下部に、建物の外壁面に接する受板を突設し、洗浄作用により外壁面から落下する洗浄液(廃液)を前記受板で受けて、廃液が地上へ落下しないようにしたものが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記のように、作業用ゴンドラの前側の下部のみに受板を突設するものにおいては、洗浄等の作業時に、外壁面に対して左右方向へ飛散した洗浄液等の飛散物を捕獲収集できず、建物の外部へ飛散する問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、前記のように、外壁面の左右方向へ飛散する飛散物も良好に捕集できる作業用ゴンドラを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、ゴンドラ本体の下部外面に、上方が開口する横樋を横方向に配設し、該横樋の両側に、該横樋側が開口する縦樋を、その下端を前記横樋に連接して上下方向に配設したことを特徴とするものである。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、ゴンドラ本体における前面側と一方の側面側を開口し、前記横樋が、前記前面側開口部と側面側開口部に配置され、前記前面側開口部における前部の横樋は左右方向に配設し、前記側面側開口部における側部の横樋は前後方向に配設するとともに、これら両横樋を連接し、前記縦樋は、前記前部の横樋における前記側部の横樋との連接側と反対側に設けた前部の縦樋と、前記側部の横樋における前記前部の横樋との連接側と反対側に設けた後部の縦樋とからなり、前記前部の横樋側が開口する前部の縦樋を、その下端を前記前部の横樋に連接して配設し、前記側部の横樋側が開口する後部の縦樋を、その下端を前記側部の横樋に連接して配設したことを特徴とするものである。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記横樋と縦樋を弾性材で形成するとともに、該横樋と縦樋の長手方向と直交する横断面形状を凹状に形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業用ゴンドラの横樋と縦樋を建物の外壁面に接触させて、その外壁面の洗浄を行うことにより、外壁面を落下する洗浄後の廃液は、横樋上に落下する。また、外壁面の左右方向に飛散した廃液は、作業用ゴンドラの左右側に設けられた両側縦樋に当り、左右方向から外部へ飛散することが防止される。
【0009】
しかも、この左右の縦樋に当った廃液は、この両縦樋を流下して、該両縦樋の下端に連接した横樋へ誘導され、該横樋から所定の場所へ排出される。
【0010】
また、前記廃液以外の飛散物の外部への飛散も防止される。
従って、飛散物の外部への飛散防止と捕集が良好に行える。
【0011】
また、請求項2記載の発明によれば、更に、建物の外壁面の入隅部における前記の飛散防止と飛散物の捕集が良好に行える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1の作業用ゴンドラの配置例を示す略平面図。
【図2】本発明の実施例1の作業用ゴンドラを示す斜視図。
【図3】図2の一部を示す平断面図。
【図4】図3の前面図。
【図5】図3の底面図。
【図6】図4におけるE−E線断面図。
【図7】本発明の実施例2の作業用ゴンドラを建物の入隅部に配置した状態の略平面図。
【図8】本発明の実施例2の作業用ゴンドラを示す斜視図。
【図9】図8の一部を示す平断面図。
【図10】図9の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1乃至図6は本発明の実施例1を示す。
本実施例1は、建物における外壁面において、その洗浄、補修、塗装作業を一平面の外壁面104で行う場合に使用する作業用ゴンドラに適用した実施例である。
【0015】
図1では、この実施例1の作業用ゴンドラ1を建物101の外壁102における出隅部103の近傍の外壁面104に配置した状態を示す。
【0016】
図2乃至図6はこの実施例1の作業用ゴンドラ1を示す。
図において作業用ゴンドラ1は、建物101の外壁面104に沿って昇降可能に配置され、ワイヤ30を巻回した周知の昇降駆動手段31により昇降される。
【0017】
作業用ゴンドラ1のゴンドラ本体1aは周知の構成のものを使用でき、その前側A、すなわち、建物101の外壁面104と対向する側は開口し、作業者がゴンドラ本体1a内から、前部開口部1gを通じて建物101の壁面104の洗浄作業等が行えるようになっている。
【0018】
なお、図においてAを前側、Bを後側とし、このA−Bと直交する方向C−Dを左右方向とし、このA−B方向とC−D方向を横方向とする。
【0019】
前記ゴンドラ本体1aの底板1bの周囲には、ゴンドラ本体1aの下部に位置して、前枠板1c、後枠板1d、左右の側枠板1eが立設されている。
【0020】
前記前枠板1cの前側には、前部の横樋(以下、前横樋という)3Aが、ゴンドラ本体1aの左右方向に配置されている。該前横樋3Aは、長手方向(左右方向)と直交する横断面が図6に示すように、底片3b、内側突片3a、外側突片3cにより、上方が開口する凹状に形成されて樋溝3fが形成され、左右方向がゴンドラ本体1aの左右方向全長にわたる長尺に形成されている。また、該前横樋3Aは、可撓性を有し、かつ、復元性を有する(腰を有する)材質で形成され、例えば、発泡ポリエチレン、ゴム等の弾性材で形成されている。更に、該前横樋3Aの内側突片3aは前記前枠板1cにボルト・ナット等の取付手段3eにより固着されている。
【0021】
前記前横樋3Aは、前記ゴンドラ本体1aの底板1bの下面から前側へ突出する支持部材4で支持されている。該支持部材4は、上下方向に可撓性を有し、かつ、復元性を有する(腰を有する)金属製の短冊状の板材で形成され、その基部側4aを前記床板1bの下面にボルト・ナット等の取付手段4bにより固着し、先部4dを自由端として前記前横樋3Aの下面に当接し、前横樋3Aを摺動可能に支承している。また、該支持部材4は、左右方向C−Dにおいて適宜間隔を有して複数設けられている。
【0022】
前記床板1bの下面には、通水箱5が固設されており、該通水箱5は、底板5aと周壁5bを有し、上方が開口し、その上端鍔部5cがゴンドラ本体1aの底板1bに固着されている。該通水箱5の底板5aには出口穴5dが形成され、周壁5bの前側壁5eには入口穴5fが形成されている。該出口穴5dと入口穴5fは、左右方向において、相互に偏芯して形成されている。
【0023】
前記前横樋3Aと前記通水箱5とは、連通樋(呼び樋)6で連通されている。該連通樋6は、入口管6aと出口管6bからなり、入口管6aは図6に示すように、前記前横樋3Aに形成した排出口3gに連通し、出口管6bは、前記通水箱5に向って水平方向に配置され、その先部6cは、その直径を前記入口穴5fの直径より小さくして、入口穴5fに対し、摺動可能に挿入されている。
【0024】
前記の構成により、ゴンドラ本体1aが建物101方向(図6の矢印X方向)へ異常に移動し、前横樋3Aがゴンドラ本体1a側(反矢印方向側)へ異常に押された場合には、前横樋3Aが前記支持部材4上をゴンドラ本体1a側へ移動したり上下に傾いて、入口管6aと出口管6bが通水箱5方向へ移動し、緩衝する。
【0025】
前記通水箱5の底板5aの下面側には、排水ホース9が、その上端口を前記底板5aの出口穴5dに連通して、適宜の取付手段10により吊り下げ状態に設けられている。
【0026】
前記排水ホース9は、可撓性を有し、かつ、耐圧性、折れ防止の高いフレキシブルパイプで形成され、例えば、可撓性(屈曲性)を有する樹脂パイプ9aの外周に、樹脂製のコイル9bを巻設した市販のものを使用してもよい。また、該ホース9の直径は約20〜30mmのものを使用する。
【0027】
なお、この排水ホース9の長さは洗浄時の作業をする建物101に合せて、その作業部から地上に達する長さに設定する。
【0028】
前記ゴンドラ本体1aにおける底板1bの下側には、金属製のケーブルやワイヤやワイヤーロープ等、引張りに強く、可撓性を有する線状部材(以下ケーブルという)13が、その上端をゴンドラ本体1aの底板1bに保持されて吊り下げ状態に設けられている。該ケーブル13の保持手段14としては、例えば、図6に示すように床板1bにフック15を設け、該フック15にケーブル13の上端に設けた環状部13aを引っ掛ける。なお、該ケーブル13の上端をゴンドラ本体1aに連結するとは、ゴンドラ本体1aに直接連結したり、ゴンドラ本体1aに強固に設けられた部材に連結することも含むものとする。
【0029】
該ケーブル13は、その長さを、前記ホース9と同長に形成し、かつ、ホース9に近接して並行に配置されている。
【0030】
前記ホース9とケーブル13とは、その軸方向(長手方向)において、適宜間隔を有して複数配置した連結手段16で連結されている。
【0031】
前記前横樋3Aの左右方向の両端には、左側において上下方向に配置された前部の縦樋(以下、前縦樋という)3Bと、右側において上下方向に配置された前部の縦樋(以下、前縦樋という)3Cが、その下端で連接されている。
【0032】
該左右の前縦樋3B,3Cは、前記前横樋3Aと同一材料で一体に、すなわち、前横樋3Aと左右の前縦樋3B,3Cの長さの総合計の長さを有する一体の樋を、前横樋3Aの両側部で上方へ折曲して継目なく形成されている。該左右の縦樋3B,3Cは、前記の前横樋3Aと同様に、その横断面形状が、底片3b、内側突片3a、外側突片3cにより、ゴンドラ本体1aの左右方向の中央側に向って、すなわち、前横樋3A側に向って開口する凹状に形成されている。従って、前横樋3Aの各片3a,3b,3cと左右の縦樋3B,3Cの各片3a,3b,3cは連続し、かつ、前横樋3Aの樋溝3fと左右の縦樋3B,3Cの樋溝3fは連通している。
【0033】
前記左側の前縦樋3Bは、ゴンドラ本体1aの前側における左側の縦枠1hの前側に位置して固着され、右側の前縦樋3Cは、ゴンドラ本体1aの前側における右側の縦枠1iの前側に位置して固着されている。この固着構造は、前記前横樋3Aと枠板1cとの取付構造と同様である。すなわち、左右の前縦樋3B,3Cの内側突片3aが取付手段3eにより縦枠1h,1iに取付けられ、底片3bが、縦枠1h,1iに、前記と同様の支持部材4を設けて該支持部材4で支持されている。なお、前記両縦樋3B,3Cの上方への長さは所定の長さに設定される。
【0034】
前記の構成により、ゴンドラ本体1aの前部開口部1gにおける下縁部と左右縁部において、該前部開口部1gを一連に囲む樋が形成され、かつ、前横樋3Aと左右の前縦樋3B,3Cの各外側突片3cの外面が略同一平面に位置される。なお、前記ゴンドラ本体1aの左右の側面20,21と後面22と上面23は、図2に示すように、養生ネット24が張設され、洗浄液等が、ゴンドラ本体1a内から外部へ飛散しないようになっている。
【0035】
次に、前記実施例1の作業用ゴンドラ1による作業と、作用、効果について説明する。
前記作業用ゴンドラ1を、図1に示すように、その前部開口部1gを有する前側Aを建物101側に向け、建物101の出隅部103における一方の外壁面(単一の平面)104に配置し、昇降手段31により建物101の作業位置に置く。なお、作業用ゴンドラ1の配置は、図1のような、出隅部103の近傍に限らず、他の一平面部に配置してもよい。
【0036】
前記のように、配置された作業用ゴンドラ1を、その前横樋3Aと左右の前縦樋3B,3Cの外側突片3cが、外壁面104に当接又は圧接するように吊下げる。この当接又は圧接は、作業用ゴンドラ1の自重又は作業用ゴンドラ1を壁面方向へ押圧する公知の手段で行う。
【0037】
これにより、作業用ゴンドラ1の前部開口部1gの下側における作業用ゴンドラ本体1aと外壁面104との間は前横樋3Aにより閉塞され、前部開口部1gの左右側におけるゴンドラ本体1aと外壁面104との間は左右の前縦樋3B,3Cにより閉塞される。このとき、前横樋3A及び左右の前縦樋3B,3Cは弾性材で形成されているため、各外側突片3cの外壁面104への密着性がよく、閉塞が良好に行われる。
【0038】
また、ゴンドラ本体1aが揺動して建物の外壁面104側へ移動し、前横樋3Aが異常に押された場合は、前横樋3A、入口管6a、出口管6bが通水箱5側へ移動し、前横樋3Aの損傷を防止する。
【0039】
そして、ゴンドラ本体部1a内の作業者が、前部開口部1gを通じて外壁面104の洗浄作業を行うと、その洗浄後の廃液が外壁面104を伝って流下するか、外壁面104の近傍において落下する。これらの廃液は、前横樋3A内に入り、その後、排出口3g、連通樋6、通水箱5内へ落下し、更に、ホース9により適宜場所へ排出される。
【0040】
したがって、一平面内での洗浄液の建物外部への飛散が良好に防止でき、かつ、飛散した洗浄廃液の捕集が良好に行われる。
【0041】
なお、前記の例は、外壁面の洗浄作業について説明したが、本発明の前記の作業用ゴンドラは、外壁面の補修、塗装作業においても使用し、補修、塗装により飛散する飛散物の建物外部への飛散を防止することができる。
なお、補修、塗装の作業においては、前記排出口3gは、粘着テープ等で閉塞する。
【実施例2】
【0042】
図7乃至図10は実施例2を示す。
本実施例2は、図7に示すように、建物101の外壁102が、建物101の内側へ突出する入隅部106、すなわち、外壁102の2つの外壁面107,108が、建物の外側部での相互の角度が90°で交わる部分の外壁面を洗浄、補修、塗装する場合に、本発明を適用する実施例である。
【0043】
本実施例2において、作業用ゴンドラ1Aのゴンドラ本体部1aは、前記の作業用ゴンドラ1に対し、その一方の側面20は養生ネット24が張設されておらず開口され、前面の後述するL1の範囲には養生ネット24が張設されている点が相違し、その他の構造は前記実施例1のゴンドラ本体部1aと同様である。そのため、前記実施例1のゴンドラ本体部1aと同様の部分には、前記と同一符号を付してその説明は省略する。
【0044】
前記ゴンドラ本体部1aの前板1cの前側には、前記実施例1と同様の前横樋3Aが前記と同様の取付構造により配置されている。該前横樋3Aは、前記実施例1と同様の弾性材で形成され、かつ、前記と同様に横断面が、上方が開口する凹状に形成されている。該前横樋3Aにおいて、前記実施例1と同一部分には、前記と同一符号を付してその説明を省略する。
【0045】
前記前横樋3Aの左右方向の他方の側部(右側部)には、前記実施例1の前縦樋3Cと同様の前縦樋3Cが一連に設けられている。
【0046】
該前縦樋3Cは、前記の前横樋3Aと同様の弾性材で形成され、かつ、前記と同様に横断面が凹状に形成されている。該前縦樋3Cにおいて、前記実施例1と同一部分には前記と同一符号を付してその説明を省略する。
【0047】
なお、前記前縦樋3Cは、ゴンドラ本体1Aの左右方向の他方の側部(右側D部)の端より所定量L1分内側に入った位置に設けられており、ゴンドラ本体1aに設けた縦枠1kに前記実施例1の前縦樋3Cと同様の取付構造により取付けられている。
【0048】
前記前縦樋3Cとゴンドラ本体1aの他方の側端(右側D)との間(L1部分)は、養生ネット24が張設されている。
【0049】
ゴンドラ本体1aの一方の側面20は、養生ネット24は張設されておらず開口されており、ゴンドラ本体1a内から、作業者が、この一方の側面20の側面側開口部20aを通じて建物の外壁面の洗浄等の作業が行えるようになっている。
【0050】
ゴンドラ本体1aにおける下部の一方(左側)の側枠体1eの外側には、側方へ突出する側部の横樋(以下側横樋という)3Dがゴンドラ本体1aの前後方向において配置されている。該側横樋3Dは、前記前横樋3Aと同様の弾性材で形成され、かつ、その長手方向(前後方向)と直交する横断面が前記前横樋3Aと同様に、上方が開口する凹状に形成されている。該側縦樋3Dにおいて、前記実施例1と同一部分には前記と同一符号を付してその説明を省略する。更に、該側横樋3Dは、ゴンドラ本体1aの前後方向の全長に亘って設けられ、その前側、すなわち、前記前横樋3A側が、前横樋3Aと一体的に連通しているとともに、前記前横樋3A側が若干下降するように傾斜している。
【0051】
したがって、側横樋3Dの各片3a,3b,3cと前記前横樋3Aの各片3a,3b,3cは連続し、かつ、側横樋3Dの樋溝3fと前記前横樋3Aの樋溝3fは連通している。
【0052】
なお、前記側横樋3Dの前記側枠体1eに対する取付け構造は、前記前横樋3Aと同様である。
【0053】
前記ゴンドラ本体1aにおける前記側横樋3Dが取り付けられた一方の側面20の後部には側方へ突出する後部の縦樋(以下、後縦樋という)3Eが上下方向に配置されている。該後縦樋3Eは、前記前横樋3Aと同様の弾性材で形成され、かつ、その長手方向(上下方向)と直交する横断面が前記前横樋3Aと同様に凹状に形成されている。すなわち、前記の側横樋3D側が開口している。前記後縦樋3Eにおいて、前記実施例1と同一部分には前記と同一符号を付してその説明を省略する。更に、該後縦樋3Eは、ゴンドラ本体1aの上下方向の全長に亘って設けられ、その下端が側横樋3Dの後端と連接している。なお、該後縦樋3Eと側横樋3Dは、一枚の樋を途中で曲折して形成されている。
【0054】
したがって、後縦樋3Eの各片3a,3b,3cと側横樋3Dの各片3a,3b,3cは連続し、かつ、後縦樋3Eの樋溝3fと側横樋3Dの樋溝3fは連通している。
【0055】
該後縦樋3Eは、図9に示すように、ゴンドラ本体1aの後部隅部に設けられた後部縦枠1nに、前記前横樋3Aと同様の取付構造で取り付けられている。そのため、前記と同一部分には、前記と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0056】
次に、実施例2における作業用ゴンドラ1Aによる作業と、作用、効果について説明する。
【0057】
図7に示すように、建物101の外壁102における入隅部106において、前記の作業用ゴンドラ1Aを、その前横樋3Aの外側突片3cと、前縦樋3Cの外側突片3cが、直交する一方の外壁面107に当接し、側横樋3Dの外側突片3cが他方の外壁部108に当接し、後縦樋3Eの外側突片3cが他方の外壁面108に当接するように配置する。
【0058】
これにより、ゴンドラ本体1aの前部開口部1gを通じて外壁面107の洗浄等の作業を行い、側面側開口部20aを通じて外壁面108の洗浄等の作業を行う。
【0059】
この作業において、入隅部106の一方の外壁面107から落下した洗浄後の廃液等は、前横樋3Aの樋溝3f上に落下する。また、入隅部106の他方の外壁面108から落下した廃液等は側横樋3Dの樋溝3f内に落下し、その後、前横樋3Aの樋溝3f内へ流れる。
【0060】
また、両外壁面107,108から側方へ飛散した廃液等は、前縦樋3C及び後縦樋3Eに当って外部への飛散が阻止され、その廃液等は、前縦樋3Cから前横樋3A上へ流れ、また、後縦樋3Eから側横樋3D上へ流れた後に、前横樋3A上へ流されて、前横樋3A上に捕集される。
【0061】
そして、前記のように前横樋3Aに流れてた廃液は、前記実施例1と同様に、排水口3gから排水ホース9を経て所定の場所へ排出される。
【0062】
したがって、前記実施例2の作業用ゴンドラ1Aによれば、これを建物の壁面の入隅部に配置することにより、その配置状態で入隅部の直交した両外壁面の洗浄等の作業が容易に行えるとともに、その作業で落下、飛散した廃液等の外部への飛散を防止できる。そのため、1つの入隅部での作業において、作業用ゴンドラの配置換えする手間を要しない。
【符号の説明】
【0063】
1,1A 作業用ゴンドラ
1a ゴンドラ本体
3A 前部の横樋
3B,3C 前部の縦樋
3D 後部の縦樋


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴンドラ本体の下部外面に、上方が開口する横樋を横方向に配設し、該横樋の両側に、該横樋側が開口する縦樋を、その下端を前記横樋に連接して上下方向に配設したことを特徴とする作業用ゴンドラ。
【請求項2】
ゴンドラ本体における前面側と一方の側面側を開口し、前記横樋が、前記前面側開口部と側面側開口部に配置され、前記前面側開口部における前部の横樋は左右方向に配設し、前記側面側開口部における側部の横樋は前後方向に配設するとともに、これら両横樋を連接し、前記縦樋は、前記前部の横樋における前記側部の横樋との連接側と反対側に設けた前部の縦樋と、前記側部の横樋における前記前部の横樋との連接側と反対側に設けた後部の縦樋とからなり、前記前部の横樋側が開口する前部の縦樋を、その下端を前記前部の横樋に連接して配設し、前記側部の横樋側が開口する後部の縦樋を、その下端を前記側部の横樋に連接して配設したことを特徴とする請求項1記載の作業用ゴンドラ。
【請求項3】
前記横樋と縦樋を弾性材で形成するとともに、該横樋と縦樋の長手方向と直交する横断面形状を凹状に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の作業用ゴンドラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−97423(P2012−97423A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244359(P2010−244359)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(507418474)中日装業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】