作業車両の制御装置
【課題】良好な掘削作業を可能とする。
【解決手段】パワーモードまたはエコノミーモードを選択する選択手段19と、速度比検出手段14,15により検出されたトルコン速度比eが所定値ea以下、かつ、負荷圧検出手段16により検出された作業用ポンプ7の負荷圧Pが所定値PB以上である速度制限条件の成否を判定する判定手段10と、判定手段10により速度制限条件が成立と判定されたときは、エコノミーモード選択時のエンジン最高回転速度NEをパワーモード選択時のエンジン最高回転速度NPよりも低速側に制限するエンジン回転速度制限手段10,22と、判定手段10により速度制限条件が非成立と判定されたときは、エコノミーモード選択時の最高車速をパワーモード選択時の最高車速よりも低速側に制限する車速制限手段10,22とを備える。
【解決手段】パワーモードまたはエコノミーモードを選択する選択手段19と、速度比検出手段14,15により検出されたトルコン速度比eが所定値ea以下、かつ、負荷圧検出手段16により検出された作業用ポンプ7の負荷圧Pが所定値PB以上である速度制限条件の成否を判定する判定手段10と、判定手段10により速度制限条件が成立と判定されたときは、エコノミーモード選択時のエンジン最高回転速度NEをパワーモード選択時のエンジン最高回転速度NPよりも低速側に制限するエンジン回転速度制限手段10,22と、判定手段10により速度制限条件が非成立と判定されたときは、エコノミーモード選択時の最高車速をパワーモード選択時の最高車速よりも低速側に制限する車速制限手段10,22とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールローダ等の作業車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンジンで駆動される油圧ポンプの吐出油によって作業アクチュエータを操作し、エンジン出力をトルコンと変速装置を介して走行駆動力として用いるホイールローダが知られており、作業量モードと省燃費モードのモード選択に応じてエンジン出力トルク特性を変更するようにしたホイールローダが知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の装置では、省燃費モード選択時に作業量モード選択時よりも高回転領域におけるエンジン出力トルクを小さめに設定するとともに、その分最大ポンプ吸収トルクを小さめに設定する。これにより省燃費モード時にも、大きな走行駆動力を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−61322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えばホイールローダにより掘削作業を行う場合、走行駆動力が大きいと、バケットを地山に突っ込んだ際にリフトアームに作用する反力が大きくなり、リフトアームの持ち上げ力が減少して、作業性の悪化を伴うおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による作業車両の制御装置は、アクセルペダルの操作量に応じて原動機の回転速度を制御する回転速度制御手段と、原動機により駆動され、走行駆動力に応じた反力が作用する作業用アクチュエータに対し駆動圧を供給する油圧ポンプと、原動機の回転をトルクコンバータを介して車輪に伝達する走行駆動装置と、トルクコンバータの入力軸と出力軸の速度比を検出する速度比検出手段と、油圧ポンプの負荷圧を検出する負荷圧検出手段と、パワーモードまたはエコノミーモードを選択する選択手段と、速度比検出手段により検出された速度比が所定値以下、かつ、負荷圧検出手段により検出された負荷圧が所定値以上である速度制限条件の成否を判定する判定手段と、判定手段により速度制限条件が成立と判定されたときは、エコノミーモード選択時の原動機の最高回転速度をパワーモード選択時の原動機の最高回転速度よりも低速側に制限するエンジン回転速度制限手段と、判定手段により速度制限条件が非成立と判定されたときは、エコノミーモード選択時の最高車速をパワーモード選択時の最高車速よりも低速側に制限する車速制限手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、エコノミーモード選択時の原動機の最高回転速度をパワーモード選択時の原動機の最高回転速度よりも低速側に制限するとともに、エコノミーモード選択時の最高車速をパワーモード選択時の最高車速よりも低速側に制限するので、作業時の走行駆動力を抑えることができるとともに、選択手段の操作によりオペレータのイメージに合致した走行および作業が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態に係る作業車両の一例であるホイールローダの側面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る制御装置の概略構成を示す図。
【図3】モード切替スイッチの例を示す図。
【図4】各速度段の車速と走行駆動力との関係を示す図。
【図5】トルコン速度比基準による変速タイミングを示す図。
【図6】Vサイクル積み込み作業を示す図。
【図7】掘削動作を示す図。
【図8】速度制限条件の成立範囲を示す図。
【図9】掘削時におけるトルコン速度比とエンジン最高回転速度との関係を示す図。
【図10】本実施の形態に係る制御装置により得られるトルク特性を示す図。
【図11】本実施の形態に係る制御装置による走行性能線図。
【図12】本実施の形態に係る制御装置によるエンジン制御に係る処理の一例を示すフローチャート。
【図13】本実施の形態に係る制御装置による自動変速制御に係る処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1〜図13を参照して本発明の実施の形態に係る作業車両の制御装置について説明する。
図1は、本実施の形態に係る制御装置が適用される作業車両の一例であるホイールローダの側面図である。ホイールローダ100は、アーム111,バケット112,タイヤ113等を有する前部車体110と、運転室121,エンジン室122,タイヤ123等を有する後部車体120とで構成される。アーム111はアームシリンダ114の駆動により上下方向に回動(俯仰動)し、バケット112はバケットシリンダ115の駆動により上下方向に回動(ダンプまたはクラウド)する。前部車体110と後部車体120はセンタピン101により互いに回動自在に連結され、ステアリングシリンダ(不図示)の伸縮により後部車体120に対し前部車体110が左右に屈折する。
【0009】
図2は、本実施の形態に係る制御装置の概略構成を示す図である。エンジン1の出力軸にはトルクコンバータ2(以下、トルコン)の入力軸が連結され、トルコン2の出力軸はトランスミッション3に連結されている。トルコン2は周知のインペラ,タービン,ステータからなる流体クラッチであり、エンジン1の回転はトルコン2を介してトランスミッション3に伝達される。トランスミッション3は、その速度段を変速する液圧クラッチを有し、トルコン2の出力軸の回転はトランスミッション3で変速される。変速後の回転は、プロペラシャフト4,アクスル5を介してタイヤ6(図1の113,123)に伝達され、車両が走行する。
【0010】
可変容量型の作業用油圧ポンプ7はエンジン1により駆動され、圧油を吐出する。油圧ポンプ7からの吐出油はコントロールバルブ8を介して作業用アクチュエータ9(例えばアームシリンダ114)に導かれ、アクチュエータ9が駆動される。コントロールバルブ8は図示しない操作レバーにより操作され、油圧ポンプ7からアクチュエータ9への圧油の流れを制御する。ポンプ容量はレギュレータ7aにより変更される。レギュレータ7aはポンプ吐出圧に応じてポンプ容量を変更し、例えば作業トルクが一定となるような定トルク制御を行う。なお、油圧ポンプ7をギヤポンプ等の固定容量型ポンプとしてもよい。
【0011】
コントローラ10は、CPU,ROM,RAM,その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含んで構成される。コントローラ10には、アクセルペダル11の操作量を検出するアクセル操作量検出器12と、トランスミッション3の出力軸の回転速度、つまり車速を検出する車速検出器13と、トルコン2の入力軸の回転速度Niを検出する回転速度検出器14と、トルコン2の出力軸の回転速度Ntを検出する回転速度検出器15と、油圧ポンプ7の吐出圧Pを検出する圧力検出器16と、車両の前後進を指令する前後進切換スイッチ17と、1速〜4速の間で速度段の上限を指令するシフトスイッチ18と、作業性を重視したパワーモード(以下、Pモード)または燃費を重視したエコノミーモード(以下、Eモード)を選択するモード切替スイッチ19からの信号がそれぞれ入力される。
【0012】
モード切替スイッチ19は、図3に示すようにP位置とE位置とに切替操作可能なオルタネイト式スイッチにより構成される。なお、本実施の形態ではモード切替スイッチ19の操作によりPモードとEモードにモード切替可能であるが、図示しないスイッチ操作によりPモード、Eモード以外の通常モードにモードを切り換えることもできる。
【0013】
トルコン2は入力トルクに対し出力トルクを増大させる機能、つまりトルク比を1以上とする機能を有する。トルク比は、トルコン2の入力軸と出力軸の回転速度の比であるトルコン速度比e(出力回転速度Nt/入力回転速度Ni)の増加に伴い小さくなる。例えばエンジン回転速度が一定状態で走行中に走行負荷が大きくなると、トルコン2の出力回転速度Nt、つまり車速が減少し、トルコン速度比eが小さくなる。このとき、トルク比は増加するため、より大きな駆動力(牽引力)で車両走行が可能となる。
【0014】
各速度段毎の車速と駆動力との関係は図4に示す通りであり、同一速度段で比較すると車速が遅いと駆動力は大きく(低速高トルク)、車速が速いと駆動力は小さくなる(高速低トルク)。また、速度段が小さいほど、同一車速において大きな駆動力を得ることができる。本実施の形態では、後述するようにこの図4の特性を走行モードに応じて異なったものとする。
【0015】
トランスミッション3は、1速〜4速の各速度段に対応したソレノイド弁を有する自動変速機である。これらソレノイド弁は、コントローラ10からソレノイド制御部21へ出力される制御信号によって駆動される。自動変速制御には、トルコン速度比eが所定値に達すると変速するトルコン速度比基準制御と、車速が所定値に達すると変速する車速基準制御の2つの方式がある。本実施の形態では、トルコン速度比基準制御によりトランスミッション3の速度段を制御するものとして説明する。
【0016】
図5は、トルコン速度比基準制御による変速のタイミングを示す図である。コントローラ10には、予めシフトアップの基準となるトルコン速度比e1と、シフトダウンの基準となるトルコン速度比e2が記憶されている。
【0017】
コントローラ10は、回転速度検出器14,15からの信号によりトルコン速度比eを算出し、算出した速度比eが基準速度比e1より大きくなるとシフトアップ信号を、基準速度比e2より小さくなるとシフトダウン信号を、それぞれソレノイド制御部21に出力する。これによりトランスミッション3の速度段がトルコン速度比eに応じて1速〜4速の間で自動的に変更される。すなわち走行負荷が低くなり、トルコン速度比eが増加してトルコン速度比eが所定値e1以上になると、速度段は1段シフトアップする。反対に走行負荷が高くなり、トルコン速度比eが低下してトルコン速度比eが所定値e2以下になると、速度段は1段シフトダウンする。この際、シフトスイッチ18により選択された速度段を上限として自動変速される。例えばシフトスイッチ18により2速が選択されたときは速度段は1速または2速となり、1速が選択されたときは速度段は1速に固定される。
【0018】
コントローラ10は、アクセルペダル11の操作量に応じた目標エンジン速度にエンジン回転速度を制御する。すなわちアクセルペダル11の踏み込み量が大きくなると目標エンジン速度が大きくなり、コントローラ10はこの目標エンジン速度に対応した制御信号をエンジン制御部22(図2)に出力し、エンジン回転速度を制御する。走行速度を増加または走行駆動力を増加させたい場合に、オペレータはアクセルペダル11の踏み込み量を増やし、エンジン回転速度を大きくする。
【0019】
図6は、ホイールローダによる作業の一例(Vサイクル積み込み作業)を示す図である。この作業では、まず、(a)ホイールローダを前進走行させてバケット112を地山100に突っ込み、バケット内に土砂を収容した後、(b)後進走行させて車両の向きを変える。次いで、(c)ダンプ101に向けて前進し、バケット内の土砂をダンプに積み込み、(d)後進走行させて元の位置に戻る。以上の動作(a)〜(d)を繰り返すことにより作業が行われる。ここでの作業動作は掘削動作と走行動作(積込、運搬、走行)の二つに大別される。
【0020】
本実施の形態では、以下のように掘削動作時に作業モードに応じてエンジン最高回転速度を制限し、走行動作時に走行モードに応じて最高車速を制限する。なお、作業モード(Eモード/Pモード)および走行モード(Eモード/Pモード)は図3に示した単一のモード切替スイッチ19により同時に選択される。
【0021】
まず、掘削時の最高回転速度制限について説明する。掘削時には、図7に示すようにバケット112を地山100に突っ込み、リフトアーム111を駆動するため、トルコン速度比eが小さく、かつ、ポンプ負荷圧Pが大きくなる。この点を考慮して、掘削動作であるか否かを速度制限条件の成否により判定する。
【0022】
図8は、速度制限条件の成立範囲を示す図である。速度制限条件は、シフトスイッチ18により1速段または2速段が選択され、かつ、図8において、トルコン速度比eが予め定められた掘削時のトルコン速度比である所定値ea(例えば0.3)以下、かつ、ポンプ負荷圧Pが予め定められた掘削時の負荷圧である所定値PB以上(斜線領域)のときに、成立する。このとき、コントローラ10は車両が掘削動作中であると判定する。なお、図中のPrは油圧ポンプ7のリリーフ圧に相当する。速度制限条件が非成立のとき、コントローラ10は走行動作中であると判定する。
【0023】
図9は、掘削時のトルコン速度比eとエンジン最高回転速度Nlimとの関係を示す図である。掘削時においては、コントローラ10からエンジン制御部22に制御信号を出力することにより、Pモード時のエンジン最高回転速度は予め定められた所定値NPに制限され、Eモード時のエンジン回転速度は予め定められた所定値NE(<NP)に制限される。すなわちEモード時のエンジン最高回転速度はPモード時のエンジン最高回転速度よりも低速側に制限される。
【0024】
図10は、掘削時にアクセルペダル12を最大に踏み込んだときのエンジン回転速度とトルクの関係を示すトルク線図である。図中、特性Aはエンジン出力トルクであり、とくに特性A0はエンジン回転速度を制限しない通常モード時におけるエンジン出力トルク、特性A1はPモード時におけるエンジン出力トルク、特性A2はEモード時におけるエンジン出力トルクである。Eモード時はPモード時よりもエンジン最高回転速度の制限量が大きく、特性A2は特性A1よりも低速側にシフトする。
【0025】
図10において、特性Bは、油圧ポンプの最大吸収トルク(ポンプ入力トルク)分だけ特性Aを下側にシフトした特性であり、走行に使用可能な走行用エンジントルクに相当する。なお、ポンプ入力トルクは作業内容に応じて変化し、それによって走行に使用可能なトルクも変化するが、図では掘削作業時の代表的なポンプ入力トルクに対応した走行用エンジントルクの特性Bを示している。
【0026】
図10において、特性C0、C1は、エンジン1によりトルコン2が駆動されるときのトルコン2の入力トルク(トルコン入力トルク)であり、エンジン回転速度Nが上昇するにしたがってトルコン入力トルクは増大している。特性C0、C1はそれぞれトルコン速度比eが0、eaのときの特性であり、トルコン速度比eが大きくなるに従いトルコン入力トルクは小さくなる。
【0027】
特性Bと特性C0,C1との交点は掘削時のマッチング点であり、エンジン回転速度はこのマッチング点の値となる。例えばPモード時のマッチング点におけるエンジン回転速度はNp、Nbであり、ポンプ入力トルクを一定とすると、掘削時にエンジン回転速度はこの範囲内で変化し、Pモード時のエンジン回転速度の最大値はNpとなる。一方、Eモード時のマッチング点におけるエンジン回転速度の最大値はNeであり、Pモード時のエンジン回転速度Npよりも小さくなる。なお、特性A0と特性C0との交点は、ポンプ入力トルクが0のとき、つまりポンプ7が無負荷状態におけるマッチング点であり、そのときのエンジン回転速度はNaである。ポンプ無負荷状態におけるエンジン最高回転速度はNcである。
【0028】
エンジン回転速度がマッチング点にあるとき、走行駆動力はこのエンジン回転速度の2乗に比例する。バケット112を地山100に突っ込んだ際には、土砂等からリフトアーム111に反力が作用するが、この際、走行駆動力が大きすぎると、反力も大きくなり、リフトアームの持ち上げ力が減少して作業性が悪化する。
【0029】
この点、本実施の形態では、上述したようにPモード、Eモードの順にエンジン最高回転速度を低めに制限するので、エンジン回転速度のマッチング点が下がり、走行駆動力を減少させることができる。すなわちEモード時の走行駆動力はPモード時の走行駆動力の(NE/NP)2となる。これによりEモード時にはPモード時よりも走行駆動力が減少し、土砂等からアーム111に作用する反力が減少する。その結果、アクセルペダル11を最大に踏み込んでも走行駆動力が大きくなりすぎず、バケット112を容易に持ち上げることができる。
【0030】
次に、走行時の最高車速制限について説明する。図11は、アクセルペダル11の最大踏み込み時における各モード毎の車速と駆動力との関係を示す走行性能線図である。本実施の形態では、走行時にコントローラ10からエンジン制御部22に制御信号を出力することにより、Eモード時のエンジン最高回転速度がPモード時のエンジン最高回転速度よりも低速側に制限される。このため、Eモード時の特性はPモード時の特性よりも左側にシフトする。すなわち同一車速で比較すると、各速度段ともPモード時の方がEモード時よりも走行駆動力が大きい。また、各速度段における最高車速は、Pモード時の方がEモード時よりも速い。例えば2速度段におけるPモード時の最高車速はV2hi、Eモード時の最高車速はV2’hi(<V2hi)となる。
【0031】
1速度段と2速度段の特性の交点、2速度段と3速度段の特性の交点、3速度段と4速度段の特性の交点は、それぞれ自動変速時における変速ポイントである。すなわちPモード時においては、駆動力が減少して車速がV1に達すると2速度段にシフトアップし、車速がV2に達すると3速度段にシフトアップし、車速がV3に達すると4速度段にシフトアップする。Eモード時においては、駆動力が減少して車速がV1’に達すると2速度段にシフトアップし、車速がV2’に達すると3速度段にシフトアップし、車速がV3’に達すると4速度段にシフトアップする。
【0032】
ここで、Eモード時の変速ポイントの車速V1’,V2’,V3’は、Pモード時の変速ポイントの車速V1,V2,V3よりも低く、Eモード時にはPモード時よりも早いタイミングでシフトアップする。
【0033】
以上の動作はコントローラ10におけるエンジン制御および自動変速制御によって実現可能である。図12は、エンジン制御に係る処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えばエンジンキースイッチのオンによって開始される。ステップS1では、各種検出器12〜16およびスイッチ17〜19からの信号を読み込む。
【0034】
ステップS2では、速度制限条件の成否を判定する。シフトスイッチ18により1速度段または2速度段が選択され、かつ、回転速度検出器14,15により検出されたトルコン速度比eが所定値ea以下で、かつ、圧力検出器16により検出された負荷圧Pが所定値PB以上のときに速度制限条件が成立と判定される。ステップS2が肯定されるとステップS3に進み、モード切替スイッチ19からの信号によりPモードとEモードのいずれが選択されているかを判定する。
【0035】
ステップS3でPモードと判定されるとステップS4に進み、エンジン最高回転速度Nlimが所定値NPとなるようにエンジン制御部22に制御信号を出力する。これにより掘削時のエンジン出力トルク特性が図10の特性A1となる。これに対し、ステップS3でEモードと判定されるとステップS5に進み、エンジン最高回転速度Nlimが所定値NEとなるようにエンジン制御部22に制御信号を出力する。これにより掘削時のエンジン出力トルク特性が図10の特性A2となる。
【0036】
一方、ステップS2で速度制限条件が非成立と判定されるとステップS6に進み、モード切替スイッチ19からの信号によりPモードとEモードのいずれが選択されているかを判定する。ステップS6でPモードと判定されるとステップS7に進み、Eモード判定されるとステップS8に進む。ステップS7では、エンジン最高回転速度Nlimが所定値NP’となるようにエンジン制御部22に制御信号を出力し、ステップS8では、エンジン最高回転速度NlimがNP’より小さい所定値NE’となるようにエンジン制御部22に制御信号を出力する。なお、所定値NP’,NE’は所定値NP,NEとは異なる値に設定されている。これにより図11に示すようにEモード時の最高車速がPモード時の最高車速よりも低速側に制限される。
【0037】
図13は、自動変速制御に係る処理、とくにシフトアップに係る処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えばエンジンキースイッチのオンにより開始される。ステップS11では、各種検出器12〜16およびスイッチ17〜19からの信号を読み込む。
【0038】
ステップS12では、トルコン速度比eが所定値e2(図5)以上か否か、すなわちシフトアップ条件が成立したか否かを判定する。ステップS12が肯定されるとステップS13に進み、否定されるとリターンする。ステップS13では、現在の速度段がシフトスイッチ18により設定された最高段であるか否かを判定する。ステップS13が否定されるとステップS14に進み、肯定されるとリターンする。
【0039】
ステップS14では、モード切替スイッチ19からの信号によりPモードとEモードのいずれが選択されているかを判定する。ステップS14でPモードと判定されるとステップS15に進み、車速検出器13により検出された車速vが予め定めた設定車速vp以上か否かを判定する。設定車速vpは各速度段毎に設定され、1速度段〜3速度段の設定車速vpは例えば図11のv1、v2,v3である。ステップS15が肯定されるとステップS17に進み、否定されるとリターンする。ステップS17ではソレノイド制御部21にシフトアップ信号を出力する。これにより速度段が1段シフトアップする。
【0040】
一方、ステップS14でEモードと判定されるとステップS16に進み、車速vが予め定めた設定車速ve以上か否かを判定する。設定車速veは各速度段毎に設定され、1速度段〜3速度段の設定車速veは例えば図11のv1’、v2’,v3’である。すなわちEモード時の設定車速veはPモード時の設定車速vpよりも低い値に設定されている。ステップS16が肯定されるとステップS17に進み、否定されるとリターンする。
【0041】
以上の制御装置において、オペレータがEモードを選択すれば、エンジン最高回転速度がPモードよりも低くなり、掘削時の駆動力が低めに抑えられ、タイヤ6はスリップしにくくなる。また、走行時の加速性能は滑らかとなり、自動変速のシフトアップタイミングも早くなってエンジン回転速度が低速でもシフトアップし、最高車速も抑えられる。このため、掘削作業全体において車両の動きが滑らかとなり、車両全体の動きがEモード選択時のオペレータのイメージに合致する。
【0042】
一方、オペレータがPモードを選択すれば、エンジン最高回転速度がEモードよりも高くなり、タイヤ6がスリップするぐらいに掘削時の駆動力が大きくなる。また、走行時の加速性が高まり、自動変速のタイミングが遅くなってエンジン回転速度が高速でシフトアップし、最高車速が速くなる。このため、掘削作業全体において車両が力強く、加速感のある動きになり、車両全体の動きがPモード選択時のオペレータのイメージに合致する。
【0043】
本実施の形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)トランスミッション3の速度段が2速以下、かつトルコン速度比eが所定値ea以下、かつポンプ負荷圧Pが所定値PB以上であるか否か、すなわち速度制限条件が成立するか否かにより掘削動作中であるか否かを判定し、掘削動作時におけるEモードのエンジン最高回転速度NEをPモードのエンジン最高回転速度NPよりも低速側に制限するようにした。これにより掘削作業時の走行駆動力の増加を抑えることができ、バケット112の持ち上げが容易になり、作業性を高めることができる。
(2)速度制限条件が非成立の走行動作時におけるEモードのエンジン最高回転速度NE’をPモードのエンジン最高回転速度NP’よりも低速側に制限するようにした。これによりEモード時の最高車速が低速側に抑えられ、車速制限した走行が可能である。
(3)Eモード時におけるシフトアップ許可の設定車速VeをPモード時におけるシフトアップ許可の設定車速Vpよりも低く設定するので、Eモード時にはPモード時よりも早いタイミングでシフトアップが可能であり、滑らかな走行が可能である。
(4)作業モードと走行モードを単一のモード切替スイッチ19により選択するので、スイッチの構成が容易であり、スイッチ操作も煩雑とならずに済む。また、燃費低減重視または軽負荷作業時にはEモードを、作業量重視または重掘削作業時にはPモードを選択することにより、作業時および走行時ともオペレータのイメージに合致した車両の動きとすることができる。
【0044】
なお、上記実施の形態では、コントローラ10での処理により、トランスミッション3の速度段が2速以下、かつトルコン速度比eが所定値ea以下、かつポンプ負荷圧Pが所定値PB以上のときに速度制限条件が成立と判定したが、少なくともトルコン速度比eが所定値ea以下、かつポンプ負荷圧Pが所定値PB以上のときに速度制限条件が成立と判定したのでもよく、判定手段は上述したものに限らない。速度制限条件の成立時に、Eモードのエンジン最高回転速度をPモードのエンジン最高回転速度よりも低速側に制限するのであれば、エンジン回転速度制限手段としてのコントローラ10およびエンジン制御部22の構成はいかなるものでもよい。
【0045】
上記実施の形態では、速度制限条件の非成立時に、エンジン制御部22に制御信号を出力することによりEモードのエンジン最高回転速度NE’をPモードのエンジン最高回転速度NP’よりも低速側に制限するようにしたが、Eモードの最高車速をPモードの最高車速よりも低速側に制限するのであれば、車速制限手段の構成はいかなるものでもよい。掘削時および走行時とも、Pモード時にエンジン最高回転速度を制限しないようにしてもよい。モード切替スイッチ19によりPモードとEモードを選択するようにしたが、選択手段はこれに限らない。回転速度検出器14,15によりトルコン速度比eを検出したが、速度比検出手段の構成はこれに限らない。圧力検出器16によりポンプ負荷圧Pを検出したが、負荷圧検出手段の構成はこれに限らない。アクセルペダル11の操作量に応じてエンジン回転速度を制御するのであれば、回転速度制御手段の構成はいかなるものでもよい。
【0046】
エンジン1の回転をトルコン2,トランスミッション3,プロペラシャフト4,アクスル5を介してタイヤ113,123に伝達するようにしたが、走行駆動装置の構成はいかなるものでもよい。トルコン速度比eに応じてトランスミッション3の速度段を変更するのであれば、変速手段の構成はいかなるものでもよい。車速検出器13により車速を検出したが、車速検出手段の構成はいかなるもでもよい。変速制御手段としてのコントローラ10での処理により、Eモード時に車速がVe(第1の所定値)以上であることを条件としてシフトアップを許可し、Pモード時に車速がVp(第2の所定値)以上であることを条件としてシフトアップを許可するようにしたが、このシフトアップの条件を省略してもよい。
【0047】
以上では、本発明をホイールローダに適用する例について説明したが、他の作業車両にも本発明は同様に適用可能である。すなわち本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の制御装置に限定されない。
【符号の説明】
【0048】
1 エンジン
2 トルクコンバータ
3 トランスミッション
7 油圧ポンプ
10 コントローラ
11 アクセルペダル
13 車速検出器
14,15 回転速度検出器
16 負荷圧検出器
19 モード切替スイッチ
21 ソレノイド制御部
22 エンジン制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールローダ等の作業車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンジンで駆動される油圧ポンプの吐出油によって作業アクチュエータを操作し、エンジン出力をトルコンと変速装置を介して走行駆動力として用いるホイールローダが知られており、作業量モードと省燃費モードのモード選択に応じてエンジン出力トルク特性を変更するようにしたホイールローダが知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の装置では、省燃費モード選択時に作業量モード選択時よりも高回転領域におけるエンジン出力トルクを小さめに設定するとともに、その分最大ポンプ吸収トルクを小さめに設定する。これにより省燃費モード時にも、大きな走行駆動力を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−61322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えばホイールローダにより掘削作業を行う場合、走行駆動力が大きいと、バケットを地山に突っ込んだ際にリフトアームに作用する反力が大きくなり、リフトアームの持ち上げ力が減少して、作業性の悪化を伴うおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による作業車両の制御装置は、アクセルペダルの操作量に応じて原動機の回転速度を制御する回転速度制御手段と、原動機により駆動され、走行駆動力に応じた反力が作用する作業用アクチュエータに対し駆動圧を供給する油圧ポンプと、原動機の回転をトルクコンバータを介して車輪に伝達する走行駆動装置と、トルクコンバータの入力軸と出力軸の速度比を検出する速度比検出手段と、油圧ポンプの負荷圧を検出する負荷圧検出手段と、パワーモードまたはエコノミーモードを選択する選択手段と、速度比検出手段により検出された速度比が所定値以下、かつ、負荷圧検出手段により検出された負荷圧が所定値以上である速度制限条件の成否を判定する判定手段と、判定手段により速度制限条件が成立と判定されたときは、エコノミーモード選択時の原動機の最高回転速度をパワーモード選択時の原動機の最高回転速度よりも低速側に制限するエンジン回転速度制限手段と、判定手段により速度制限条件が非成立と判定されたときは、エコノミーモード選択時の最高車速をパワーモード選択時の最高車速よりも低速側に制限する車速制限手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、エコノミーモード選択時の原動機の最高回転速度をパワーモード選択時の原動機の最高回転速度よりも低速側に制限するとともに、エコノミーモード選択時の最高車速をパワーモード選択時の最高車速よりも低速側に制限するので、作業時の走行駆動力を抑えることができるとともに、選択手段の操作によりオペレータのイメージに合致した走行および作業が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態に係る作業車両の一例であるホイールローダの側面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る制御装置の概略構成を示す図。
【図3】モード切替スイッチの例を示す図。
【図4】各速度段の車速と走行駆動力との関係を示す図。
【図5】トルコン速度比基準による変速タイミングを示す図。
【図6】Vサイクル積み込み作業を示す図。
【図7】掘削動作を示す図。
【図8】速度制限条件の成立範囲を示す図。
【図9】掘削時におけるトルコン速度比とエンジン最高回転速度との関係を示す図。
【図10】本実施の形態に係る制御装置により得られるトルク特性を示す図。
【図11】本実施の形態に係る制御装置による走行性能線図。
【図12】本実施の形態に係る制御装置によるエンジン制御に係る処理の一例を示すフローチャート。
【図13】本実施の形態に係る制御装置による自動変速制御に係る処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1〜図13を参照して本発明の実施の形態に係る作業車両の制御装置について説明する。
図1は、本実施の形態に係る制御装置が適用される作業車両の一例であるホイールローダの側面図である。ホイールローダ100は、アーム111,バケット112,タイヤ113等を有する前部車体110と、運転室121,エンジン室122,タイヤ123等を有する後部車体120とで構成される。アーム111はアームシリンダ114の駆動により上下方向に回動(俯仰動)し、バケット112はバケットシリンダ115の駆動により上下方向に回動(ダンプまたはクラウド)する。前部車体110と後部車体120はセンタピン101により互いに回動自在に連結され、ステアリングシリンダ(不図示)の伸縮により後部車体120に対し前部車体110が左右に屈折する。
【0009】
図2は、本実施の形態に係る制御装置の概略構成を示す図である。エンジン1の出力軸にはトルクコンバータ2(以下、トルコン)の入力軸が連結され、トルコン2の出力軸はトランスミッション3に連結されている。トルコン2は周知のインペラ,タービン,ステータからなる流体クラッチであり、エンジン1の回転はトルコン2を介してトランスミッション3に伝達される。トランスミッション3は、その速度段を変速する液圧クラッチを有し、トルコン2の出力軸の回転はトランスミッション3で変速される。変速後の回転は、プロペラシャフト4,アクスル5を介してタイヤ6(図1の113,123)に伝達され、車両が走行する。
【0010】
可変容量型の作業用油圧ポンプ7はエンジン1により駆動され、圧油を吐出する。油圧ポンプ7からの吐出油はコントロールバルブ8を介して作業用アクチュエータ9(例えばアームシリンダ114)に導かれ、アクチュエータ9が駆動される。コントロールバルブ8は図示しない操作レバーにより操作され、油圧ポンプ7からアクチュエータ9への圧油の流れを制御する。ポンプ容量はレギュレータ7aにより変更される。レギュレータ7aはポンプ吐出圧に応じてポンプ容量を変更し、例えば作業トルクが一定となるような定トルク制御を行う。なお、油圧ポンプ7をギヤポンプ等の固定容量型ポンプとしてもよい。
【0011】
コントローラ10は、CPU,ROM,RAM,その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含んで構成される。コントローラ10には、アクセルペダル11の操作量を検出するアクセル操作量検出器12と、トランスミッション3の出力軸の回転速度、つまり車速を検出する車速検出器13と、トルコン2の入力軸の回転速度Niを検出する回転速度検出器14と、トルコン2の出力軸の回転速度Ntを検出する回転速度検出器15と、油圧ポンプ7の吐出圧Pを検出する圧力検出器16と、車両の前後進を指令する前後進切換スイッチ17と、1速〜4速の間で速度段の上限を指令するシフトスイッチ18と、作業性を重視したパワーモード(以下、Pモード)または燃費を重視したエコノミーモード(以下、Eモード)を選択するモード切替スイッチ19からの信号がそれぞれ入力される。
【0012】
モード切替スイッチ19は、図3に示すようにP位置とE位置とに切替操作可能なオルタネイト式スイッチにより構成される。なお、本実施の形態ではモード切替スイッチ19の操作によりPモードとEモードにモード切替可能であるが、図示しないスイッチ操作によりPモード、Eモード以外の通常モードにモードを切り換えることもできる。
【0013】
トルコン2は入力トルクに対し出力トルクを増大させる機能、つまりトルク比を1以上とする機能を有する。トルク比は、トルコン2の入力軸と出力軸の回転速度の比であるトルコン速度比e(出力回転速度Nt/入力回転速度Ni)の増加に伴い小さくなる。例えばエンジン回転速度が一定状態で走行中に走行負荷が大きくなると、トルコン2の出力回転速度Nt、つまり車速が減少し、トルコン速度比eが小さくなる。このとき、トルク比は増加するため、より大きな駆動力(牽引力)で車両走行が可能となる。
【0014】
各速度段毎の車速と駆動力との関係は図4に示す通りであり、同一速度段で比較すると車速が遅いと駆動力は大きく(低速高トルク)、車速が速いと駆動力は小さくなる(高速低トルク)。また、速度段が小さいほど、同一車速において大きな駆動力を得ることができる。本実施の形態では、後述するようにこの図4の特性を走行モードに応じて異なったものとする。
【0015】
トランスミッション3は、1速〜4速の各速度段に対応したソレノイド弁を有する自動変速機である。これらソレノイド弁は、コントローラ10からソレノイド制御部21へ出力される制御信号によって駆動される。自動変速制御には、トルコン速度比eが所定値に達すると変速するトルコン速度比基準制御と、車速が所定値に達すると変速する車速基準制御の2つの方式がある。本実施の形態では、トルコン速度比基準制御によりトランスミッション3の速度段を制御するものとして説明する。
【0016】
図5は、トルコン速度比基準制御による変速のタイミングを示す図である。コントローラ10には、予めシフトアップの基準となるトルコン速度比e1と、シフトダウンの基準となるトルコン速度比e2が記憶されている。
【0017】
コントローラ10は、回転速度検出器14,15からの信号によりトルコン速度比eを算出し、算出した速度比eが基準速度比e1より大きくなるとシフトアップ信号を、基準速度比e2より小さくなるとシフトダウン信号を、それぞれソレノイド制御部21に出力する。これによりトランスミッション3の速度段がトルコン速度比eに応じて1速〜4速の間で自動的に変更される。すなわち走行負荷が低くなり、トルコン速度比eが増加してトルコン速度比eが所定値e1以上になると、速度段は1段シフトアップする。反対に走行負荷が高くなり、トルコン速度比eが低下してトルコン速度比eが所定値e2以下になると、速度段は1段シフトダウンする。この際、シフトスイッチ18により選択された速度段を上限として自動変速される。例えばシフトスイッチ18により2速が選択されたときは速度段は1速または2速となり、1速が選択されたときは速度段は1速に固定される。
【0018】
コントローラ10は、アクセルペダル11の操作量に応じた目標エンジン速度にエンジン回転速度を制御する。すなわちアクセルペダル11の踏み込み量が大きくなると目標エンジン速度が大きくなり、コントローラ10はこの目標エンジン速度に対応した制御信号をエンジン制御部22(図2)に出力し、エンジン回転速度を制御する。走行速度を増加または走行駆動力を増加させたい場合に、オペレータはアクセルペダル11の踏み込み量を増やし、エンジン回転速度を大きくする。
【0019】
図6は、ホイールローダによる作業の一例(Vサイクル積み込み作業)を示す図である。この作業では、まず、(a)ホイールローダを前進走行させてバケット112を地山100に突っ込み、バケット内に土砂を収容した後、(b)後進走行させて車両の向きを変える。次いで、(c)ダンプ101に向けて前進し、バケット内の土砂をダンプに積み込み、(d)後進走行させて元の位置に戻る。以上の動作(a)〜(d)を繰り返すことにより作業が行われる。ここでの作業動作は掘削動作と走行動作(積込、運搬、走行)の二つに大別される。
【0020】
本実施の形態では、以下のように掘削動作時に作業モードに応じてエンジン最高回転速度を制限し、走行動作時に走行モードに応じて最高車速を制限する。なお、作業モード(Eモード/Pモード)および走行モード(Eモード/Pモード)は図3に示した単一のモード切替スイッチ19により同時に選択される。
【0021】
まず、掘削時の最高回転速度制限について説明する。掘削時には、図7に示すようにバケット112を地山100に突っ込み、リフトアーム111を駆動するため、トルコン速度比eが小さく、かつ、ポンプ負荷圧Pが大きくなる。この点を考慮して、掘削動作であるか否かを速度制限条件の成否により判定する。
【0022】
図8は、速度制限条件の成立範囲を示す図である。速度制限条件は、シフトスイッチ18により1速段または2速段が選択され、かつ、図8において、トルコン速度比eが予め定められた掘削時のトルコン速度比である所定値ea(例えば0.3)以下、かつ、ポンプ負荷圧Pが予め定められた掘削時の負荷圧である所定値PB以上(斜線領域)のときに、成立する。このとき、コントローラ10は車両が掘削動作中であると判定する。なお、図中のPrは油圧ポンプ7のリリーフ圧に相当する。速度制限条件が非成立のとき、コントローラ10は走行動作中であると判定する。
【0023】
図9は、掘削時のトルコン速度比eとエンジン最高回転速度Nlimとの関係を示す図である。掘削時においては、コントローラ10からエンジン制御部22に制御信号を出力することにより、Pモード時のエンジン最高回転速度は予め定められた所定値NPに制限され、Eモード時のエンジン回転速度は予め定められた所定値NE(<NP)に制限される。すなわちEモード時のエンジン最高回転速度はPモード時のエンジン最高回転速度よりも低速側に制限される。
【0024】
図10は、掘削時にアクセルペダル12を最大に踏み込んだときのエンジン回転速度とトルクの関係を示すトルク線図である。図中、特性Aはエンジン出力トルクであり、とくに特性A0はエンジン回転速度を制限しない通常モード時におけるエンジン出力トルク、特性A1はPモード時におけるエンジン出力トルク、特性A2はEモード時におけるエンジン出力トルクである。Eモード時はPモード時よりもエンジン最高回転速度の制限量が大きく、特性A2は特性A1よりも低速側にシフトする。
【0025】
図10において、特性Bは、油圧ポンプの最大吸収トルク(ポンプ入力トルク)分だけ特性Aを下側にシフトした特性であり、走行に使用可能な走行用エンジントルクに相当する。なお、ポンプ入力トルクは作業内容に応じて変化し、それによって走行に使用可能なトルクも変化するが、図では掘削作業時の代表的なポンプ入力トルクに対応した走行用エンジントルクの特性Bを示している。
【0026】
図10において、特性C0、C1は、エンジン1によりトルコン2が駆動されるときのトルコン2の入力トルク(トルコン入力トルク)であり、エンジン回転速度Nが上昇するにしたがってトルコン入力トルクは増大している。特性C0、C1はそれぞれトルコン速度比eが0、eaのときの特性であり、トルコン速度比eが大きくなるに従いトルコン入力トルクは小さくなる。
【0027】
特性Bと特性C0,C1との交点は掘削時のマッチング点であり、エンジン回転速度はこのマッチング点の値となる。例えばPモード時のマッチング点におけるエンジン回転速度はNp、Nbであり、ポンプ入力トルクを一定とすると、掘削時にエンジン回転速度はこの範囲内で変化し、Pモード時のエンジン回転速度の最大値はNpとなる。一方、Eモード時のマッチング点におけるエンジン回転速度の最大値はNeであり、Pモード時のエンジン回転速度Npよりも小さくなる。なお、特性A0と特性C0との交点は、ポンプ入力トルクが0のとき、つまりポンプ7が無負荷状態におけるマッチング点であり、そのときのエンジン回転速度はNaである。ポンプ無負荷状態におけるエンジン最高回転速度はNcである。
【0028】
エンジン回転速度がマッチング点にあるとき、走行駆動力はこのエンジン回転速度の2乗に比例する。バケット112を地山100に突っ込んだ際には、土砂等からリフトアーム111に反力が作用するが、この際、走行駆動力が大きすぎると、反力も大きくなり、リフトアームの持ち上げ力が減少して作業性が悪化する。
【0029】
この点、本実施の形態では、上述したようにPモード、Eモードの順にエンジン最高回転速度を低めに制限するので、エンジン回転速度のマッチング点が下がり、走行駆動力を減少させることができる。すなわちEモード時の走行駆動力はPモード時の走行駆動力の(NE/NP)2となる。これによりEモード時にはPモード時よりも走行駆動力が減少し、土砂等からアーム111に作用する反力が減少する。その結果、アクセルペダル11を最大に踏み込んでも走行駆動力が大きくなりすぎず、バケット112を容易に持ち上げることができる。
【0030】
次に、走行時の最高車速制限について説明する。図11は、アクセルペダル11の最大踏み込み時における各モード毎の車速と駆動力との関係を示す走行性能線図である。本実施の形態では、走行時にコントローラ10からエンジン制御部22に制御信号を出力することにより、Eモード時のエンジン最高回転速度がPモード時のエンジン最高回転速度よりも低速側に制限される。このため、Eモード時の特性はPモード時の特性よりも左側にシフトする。すなわち同一車速で比較すると、各速度段ともPモード時の方がEモード時よりも走行駆動力が大きい。また、各速度段における最高車速は、Pモード時の方がEモード時よりも速い。例えば2速度段におけるPモード時の最高車速はV2hi、Eモード時の最高車速はV2’hi(<V2hi)となる。
【0031】
1速度段と2速度段の特性の交点、2速度段と3速度段の特性の交点、3速度段と4速度段の特性の交点は、それぞれ自動変速時における変速ポイントである。すなわちPモード時においては、駆動力が減少して車速がV1に達すると2速度段にシフトアップし、車速がV2に達すると3速度段にシフトアップし、車速がV3に達すると4速度段にシフトアップする。Eモード時においては、駆動力が減少して車速がV1’に達すると2速度段にシフトアップし、車速がV2’に達すると3速度段にシフトアップし、車速がV3’に達すると4速度段にシフトアップする。
【0032】
ここで、Eモード時の変速ポイントの車速V1’,V2’,V3’は、Pモード時の変速ポイントの車速V1,V2,V3よりも低く、Eモード時にはPモード時よりも早いタイミングでシフトアップする。
【0033】
以上の動作はコントローラ10におけるエンジン制御および自動変速制御によって実現可能である。図12は、エンジン制御に係る処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えばエンジンキースイッチのオンによって開始される。ステップS1では、各種検出器12〜16およびスイッチ17〜19からの信号を読み込む。
【0034】
ステップS2では、速度制限条件の成否を判定する。シフトスイッチ18により1速度段または2速度段が選択され、かつ、回転速度検出器14,15により検出されたトルコン速度比eが所定値ea以下で、かつ、圧力検出器16により検出された負荷圧Pが所定値PB以上のときに速度制限条件が成立と判定される。ステップS2が肯定されるとステップS3に進み、モード切替スイッチ19からの信号によりPモードとEモードのいずれが選択されているかを判定する。
【0035】
ステップS3でPモードと判定されるとステップS4に進み、エンジン最高回転速度Nlimが所定値NPとなるようにエンジン制御部22に制御信号を出力する。これにより掘削時のエンジン出力トルク特性が図10の特性A1となる。これに対し、ステップS3でEモードと判定されるとステップS5に進み、エンジン最高回転速度Nlimが所定値NEとなるようにエンジン制御部22に制御信号を出力する。これにより掘削時のエンジン出力トルク特性が図10の特性A2となる。
【0036】
一方、ステップS2で速度制限条件が非成立と判定されるとステップS6に進み、モード切替スイッチ19からの信号によりPモードとEモードのいずれが選択されているかを判定する。ステップS6でPモードと判定されるとステップS7に進み、Eモード判定されるとステップS8に進む。ステップS7では、エンジン最高回転速度Nlimが所定値NP’となるようにエンジン制御部22に制御信号を出力し、ステップS8では、エンジン最高回転速度NlimがNP’より小さい所定値NE’となるようにエンジン制御部22に制御信号を出力する。なお、所定値NP’,NE’は所定値NP,NEとは異なる値に設定されている。これにより図11に示すようにEモード時の最高車速がPモード時の最高車速よりも低速側に制限される。
【0037】
図13は、自動変速制御に係る処理、とくにシフトアップに係る処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えばエンジンキースイッチのオンにより開始される。ステップS11では、各種検出器12〜16およびスイッチ17〜19からの信号を読み込む。
【0038】
ステップS12では、トルコン速度比eが所定値e2(図5)以上か否か、すなわちシフトアップ条件が成立したか否かを判定する。ステップS12が肯定されるとステップS13に進み、否定されるとリターンする。ステップS13では、現在の速度段がシフトスイッチ18により設定された最高段であるか否かを判定する。ステップS13が否定されるとステップS14に進み、肯定されるとリターンする。
【0039】
ステップS14では、モード切替スイッチ19からの信号によりPモードとEモードのいずれが選択されているかを判定する。ステップS14でPモードと判定されるとステップS15に進み、車速検出器13により検出された車速vが予め定めた設定車速vp以上か否かを判定する。設定車速vpは各速度段毎に設定され、1速度段〜3速度段の設定車速vpは例えば図11のv1、v2,v3である。ステップS15が肯定されるとステップS17に進み、否定されるとリターンする。ステップS17ではソレノイド制御部21にシフトアップ信号を出力する。これにより速度段が1段シフトアップする。
【0040】
一方、ステップS14でEモードと判定されるとステップS16に進み、車速vが予め定めた設定車速ve以上か否かを判定する。設定車速veは各速度段毎に設定され、1速度段〜3速度段の設定車速veは例えば図11のv1’、v2’,v3’である。すなわちEモード時の設定車速veはPモード時の設定車速vpよりも低い値に設定されている。ステップS16が肯定されるとステップS17に進み、否定されるとリターンする。
【0041】
以上の制御装置において、オペレータがEモードを選択すれば、エンジン最高回転速度がPモードよりも低くなり、掘削時の駆動力が低めに抑えられ、タイヤ6はスリップしにくくなる。また、走行時の加速性能は滑らかとなり、自動変速のシフトアップタイミングも早くなってエンジン回転速度が低速でもシフトアップし、最高車速も抑えられる。このため、掘削作業全体において車両の動きが滑らかとなり、車両全体の動きがEモード選択時のオペレータのイメージに合致する。
【0042】
一方、オペレータがPモードを選択すれば、エンジン最高回転速度がEモードよりも高くなり、タイヤ6がスリップするぐらいに掘削時の駆動力が大きくなる。また、走行時の加速性が高まり、自動変速のタイミングが遅くなってエンジン回転速度が高速でシフトアップし、最高車速が速くなる。このため、掘削作業全体において車両が力強く、加速感のある動きになり、車両全体の動きがPモード選択時のオペレータのイメージに合致する。
【0043】
本実施の形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)トランスミッション3の速度段が2速以下、かつトルコン速度比eが所定値ea以下、かつポンプ負荷圧Pが所定値PB以上であるか否か、すなわち速度制限条件が成立するか否かにより掘削動作中であるか否かを判定し、掘削動作時におけるEモードのエンジン最高回転速度NEをPモードのエンジン最高回転速度NPよりも低速側に制限するようにした。これにより掘削作業時の走行駆動力の増加を抑えることができ、バケット112の持ち上げが容易になり、作業性を高めることができる。
(2)速度制限条件が非成立の走行動作時におけるEモードのエンジン最高回転速度NE’をPモードのエンジン最高回転速度NP’よりも低速側に制限するようにした。これによりEモード時の最高車速が低速側に抑えられ、車速制限した走行が可能である。
(3)Eモード時におけるシフトアップ許可の設定車速VeをPモード時におけるシフトアップ許可の設定車速Vpよりも低く設定するので、Eモード時にはPモード時よりも早いタイミングでシフトアップが可能であり、滑らかな走行が可能である。
(4)作業モードと走行モードを単一のモード切替スイッチ19により選択するので、スイッチの構成が容易であり、スイッチ操作も煩雑とならずに済む。また、燃費低減重視または軽負荷作業時にはEモードを、作業量重視または重掘削作業時にはPモードを選択することにより、作業時および走行時ともオペレータのイメージに合致した車両の動きとすることができる。
【0044】
なお、上記実施の形態では、コントローラ10での処理により、トランスミッション3の速度段が2速以下、かつトルコン速度比eが所定値ea以下、かつポンプ負荷圧Pが所定値PB以上のときに速度制限条件が成立と判定したが、少なくともトルコン速度比eが所定値ea以下、かつポンプ負荷圧Pが所定値PB以上のときに速度制限条件が成立と判定したのでもよく、判定手段は上述したものに限らない。速度制限条件の成立時に、Eモードのエンジン最高回転速度をPモードのエンジン最高回転速度よりも低速側に制限するのであれば、エンジン回転速度制限手段としてのコントローラ10およびエンジン制御部22の構成はいかなるものでもよい。
【0045】
上記実施の形態では、速度制限条件の非成立時に、エンジン制御部22に制御信号を出力することによりEモードのエンジン最高回転速度NE’をPモードのエンジン最高回転速度NP’よりも低速側に制限するようにしたが、Eモードの最高車速をPモードの最高車速よりも低速側に制限するのであれば、車速制限手段の構成はいかなるものでもよい。掘削時および走行時とも、Pモード時にエンジン最高回転速度を制限しないようにしてもよい。モード切替スイッチ19によりPモードとEモードを選択するようにしたが、選択手段はこれに限らない。回転速度検出器14,15によりトルコン速度比eを検出したが、速度比検出手段の構成はこれに限らない。圧力検出器16によりポンプ負荷圧Pを検出したが、負荷圧検出手段の構成はこれに限らない。アクセルペダル11の操作量に応じてエンジン回転速度を制御するのであれば、回転速度制御手段の構成はいかなるものでもよい。
【0046】
エンジン1の回転をトルコン2,トランスミッション3,プロペラシャフト4,アクスル5を介してタイヤ113,123に伝達するようにしたが、走行駆動装置の構成はいかなるものでもよい。トルコン速度比eに応じてトランスミッション3の速度段を変更するのであれば、変速手段の構成はいかなるものでもよい。車速検出器13により車速を検出したが、車速検出手段の構成はいかなるもでもよい。変速制御手段としてのコントローラ10での処理により、Eモード時に車速がVe(第1の所定値)以上であることを条件としてシフトアップを許可し、Pモード時に車速がVp(第2の所定値)以上であることを条件としてシフトアップを許可するようにしたが、このシフトアップの条件を省略してもよい。
【0047】
以上では、本発明をホイールローダに適用する例について説明したが、他の作業車両にも本発明は同様に適用可能である。すなわち本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の制御装置に限定されない。
【符号の説明】
【0048】
1 エンジン
2 トルクコンバータ
3 トランスミッション
7 油圧ポンプ
10 コントローラ
11 アクセルペダル
13 車速検出器
14,15 回転速度検出器
16 負荷圧検出器
19 モード切替スイッチ
21 ソレノイド制御部
22 エンジン制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルペダルの操作量に応じて原動機の回転速度を制御する回転速度制御手段と、
前記原動機により駆動され、走行駆動力に応じた反力が作用する作業用アクチュエータに対し駆動圧を供給する油圧ポンプと、
前記原動機の回転をトルクコンバータを介して車輪に伝達する走行駆動装置と、
前記トルクコンバータの入力軸と出力軸の速度比を検出する速度比検出手段と、
前記油圧ポンプの負荷圧を検出する負荷圧検出手段と、
パワーモードまたはエコノミーモードを選択する選択手段と、
前記速度比検出手段により検出された速度比が所定値以下、かつ、前記負荷圧検出手段により検出された負荷圧が所定値以上である速度制限条件の成否を判定する判定手段と、
前記判定手段により速度制限条件が成立と判定されたときは、前記エコノミーモード選択時の前記原動機の最高回転速度を前記パワーモード選択時の前記原動機の最高回転速度よりも低速側に制限するエンジン回転速度制限手段と、
前記判定手段により速度制限条件が非成立と判定されたときは、前記エコノミーモード選択時の最高車速を前記パワーモード選択時の最高車速よりも低速側に制限する車速制限手段とを備えることを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作業車両の制御装置において、
前記速度比検出手段により検出された速度比に応じてトランスミッションの速度段を変更する変速手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記車速検出手段により検出された車速が所定値以上であることを条件として前記変速手段によるシフトアップを許可する変速制御手段とを備え、
前記変速制御手段は、
前記エコノミーモード選択時に前記判定手段により速度制限条件が非成立と判定されると、検出された車速が第1の所定値以上であることを条件としてシフトアップを許可し、前記パワーモード選択時に前記判定手段により速度制限条件が非成立と判定されると、検出された車速が前記第1の所定値よりも大きい第2の所定値以上であることを条件としてシフトアップを許可することを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項1】
アクセルペダルの操作量に応じて原動機の回転速度を制御する回転速度制御手段と、
前記原動機により駆動され、走行駆動力に応じた反力が作用する作業用アクチュエータに対し駆動圧を供給する油圧ポンプと、
前記原動機の回転をトルクコンバータを介して車輪に伝達する走行駆動装置と、
前記トルクコンバータの入力軸と出力軸の速度比を検出する速度比検出手段と、
前記油圧ポンプの負荷圧を検出する負荷圧検出手段と、
パワーモードまたはエコノミーモードを選択する選択手段と、
前記速度比検出手段により検出された速度比が所定値以下、かつ、前記負荷圧検出手段により検出された負荷圧が所定値以上である速度制限条件の成否を判定する判定手段と、
前記判定手段により速度制限条件が成立と判定されたときは、前記エコノミーモード選択時の前記原動機の最高回転速度を前記パワーモード選択時の前記原動機の最高回転速度よりも低速側に制限するエンジン回転速度制限手段と、
前記判定手段により速度制限条件が非成立と判定されたときは、前記エコノミーモード選択時の最高車速を前記パワーモード選択時の最高車速よりも低速側に制限する車速制限手段とを備えることを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作業車両の制御装置において、
前記速度比検出手段により検出された速度比に応じてトランスミッションの速度段を変更する変速手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記車速検出手段により検出された車速が所定値以上であることを条件として前記変速手段によるシフトアップを許可する変速制御手段とを備え、
前記変速制御手段は、
前記エコノミーモード選択時に前記判定手段により速度制限条件が非成立と判定されると、検出された車速が第1の所定値以上であることを条件としてシフトアップを許可し、前記パワーモード選択時に前記判定手段により速度制限条件が非成立と判定されると、検出された車速が前記第1の所定値よりも大きい第2の所定値以上であることを条件としてシフトアップを許可することを特徴とする作業車両の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−1896(P2011−1896A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146198(P2009−146198)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
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