説明

作業車両

【課題】本発明の課題は、ブレーキペダルを前後進ペダル側とは反対側に配置することによって、坂道発進時でのブレーキ操作を可能とし、且つ、ブレーキペダルの非踏込み操作位置を規制する規制部材とモアーの最上げ位置を規制する規制部材を兼用化し、安価に実施できる作業車両を提供する。
【解決手段】操作コラム3を立設するフロア5の左右一方側には踏込み操作によって車両を制動するブレーキペダル4を設け、フロア5の他方側には車両の前進及び後進を実行する前後進ペダル6F,6Bを配置して設け、フロア5の下側には、前記ブレーキペダル4の非踏込み操作位置を規制すると共に、上下動可能に装備したモアー18の最上げ位置を規制する共通の規制部材20を設けたことを特徴とする作業車両の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、芝刈用モアー等を備えた作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されているように、踏込み操作によって車両を制動するブレーキペダルと油圧式無段変速装置(HST)を制御して機体の前進及び後進を司る前後進ペダルとは、操作コラムの左右一方側に集中して配置されたものである。
【特許文献1】特開2007−145083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来構成のものでは、ブレーキペダルが前後進ペダル側に配置されているため、特に傾斜の大きい坂道の発進時などではブレーキ操作ができず、安全性に問題があった。
本発明の課題は、ブレーキペダルを前後進ペダル側とは反対側に配置することによって、坂道発進時でのブレーキ操作を可能とし、且つ、ブレーキペダルの非踏込み操作位置を規制する規制部材とモアーの最上げ位置を規制する規制部材を兼用化し、安価に実施できる作業車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、操作コラム(3)を立設するフロア(5)の左右一方側には踏込み操作によって車両を制動するブレーキペダル(4)を設け、フロア(5)の他方側には車両の前進及び後進を実行する前後進ペダル(6F),(6B)を配置して設け、フロア(5)の下側には、前記ブレーキペダル(4)の非踏込み操作位置を規制すると共に、上下動可能に装備したモアー(18)の最上げ位置を規制する共通の規制部材(20)を設けたことを特徴とする作業車両としたものである。
【0005】
操作コラム(3)の右側に位置する前進ペダル(6F)を踏込み操作すると油圧式無段変速装置(HST)の制御によって機体は前進し、後進ペダル(6B)を踏込み操作すると機体は後進する。
【0006】
操作コラム(3)の左側に位置するブレーキペダル(4)を踏込み操作すると、車両の制動装置が作動して左右の後車輪が制動される。ブレーキペダルから足を離すと、ブレーキペダルは所定の非踏込み操作位置に復帰し規制部材(20)によって規制される。また、モアー(18)の最上げ位置は前記ブレーキペダル(4)と共通の規制部材(20)によって規制される。
【0007】
前後進ペダル(6F),(6B)は右足で踏込み操作し、ブレーキペダル(4)は左足で踏込み操作することができるので、急な坂道の発進時にあっても安全に走行運転することができる。
【0008】
ブレーキペダル(4)の非踏込み操作位置での規制部材(20)とモアー最上げ位置での規制部材(20)を兼用化することができるので、ブレーキペダル(4)専用の規制部材を省略できて安価に実施することができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の本発明によれば、ブレーキペダル(4)と前後進ペダル(6F),(6B)を操作コラム(3)の左右に配置したので、左右の足で踏込み操作することができ、急な坂道の発進時にあっても車両を安全に運転することができる。
【0010】
また、ブレーキペダル(4)の規制部材(20)とモアーの規制部材(20)を兼用化できて安価に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
作業車両1の機体フレーム2上には、その前部中央に左右の前車輪を操舵するステアリングハンドル等を備えた操作コラム3が突設されている。操作コラム3の左側には、踏込み操作によって車両の左右後車輪を制動するブレーキペダル4が配置されフロア5から上方に突出して設けられている。操作コラム3の右側には、車両の前進及び後進を司る前後進ペダル6F,6Bが配置され、前進ペダル6Fの踏込み操作で油圧式無段変速装置(HST)の制御により機体は前進し、後進ペダル6Bの踏込み操作で機体が後進するように構成されている。
【0012】
ブレーキペダル4は、フロア5の下側に架設されたブレーキ軸7を回動支点として上下揺動可能に軸支された構成であり、ブレーキアーム8と、係止突起9a及び軸受ボス9bを有する基部アーム部材9などからなる。基部アーム部材9は、軸受ボス部9bをブレーキ軸7に嵌合して止着すると共に、ブレーキアーム8に対しボルト10等によって着脱自在に装着している。軸受ボス部9bから突設する作動アーム11はブレーキロッド12を介して後車輪制動用制動装置13に連動連結し、ブレーキペダル4の踏込み操作によって制動装置13が作動して左右の後車輪を制動する構成になっている。
【0013】
ブレーキアーム8と機体フレーム2との間には戻しスプリング14を介装し、踏込み操作後、ブレーキペダル4から足を離すとブレーキペダルが所定の非踏込み操作位置に復帰するよう構成されている。戻しスプリング14は、機体フレーム2側取付部14aをフロア補強部材15とフロアリブ5aとの段差隙間部16に設けることにより該スプリング取付部を最上部に設けられる。
【0014】
フロア5の下方には、芝刈用モアー18がモア−リンク19を介して上下動可能に装備されている。また、フロア5の下側にはモア−リンクの最上げ位置を規制する規制部材(ストッパ)20が機体フレーム2側に固着支持されている。また、この規制部材20は、前記ブレーキペダル8の非踏込み操作位置を規制するための規制部材を兼用するようになっており、ブレーキペダル4の踏込み操作位置から非踏込み操作位置への復帰時には、基部アーム部材9の係止突起9aがその規制部材20に接当係止して非踏込み操作位置を維持する構成になっている。
【0015】
パーキングレバー23は、操作コラム3の右側に設けられたスロットルレバー22とは反対側(左側)に設けられている。パーキングレバー23に連動するパーキングロッド24を介してパーキング係止プレート25を作動させ、ブレーキペダルを踏込み操作位置にて係止する構成としている。
【0016】
図4、図5に示す実施例は、フェンダー30を樹脂化すると共に、そのフェンダー30の取付部31をロプス受け座33とロプス取付プレート34とで挟み込み、ボルト・ナット35にて共締めする構成としている。フェンダー自体の樹脂化並びにロプス取付との共締め構成により安価に実施することができる。なお、この実施例では樹脂フェンダー30とチェンジガイド部35とを樹脂にて一体成形した構成としている。
【0017】
また、図6〜図8に示すように、フェンダー30、チェンジガイド部35、フロア5を樹脂材にて一体成形する構成とすることにより、部品点数並びに原価削減を図ることができる。
【0018】
固定ロプスに安全標識プレートを設ける場合の構成について説明する。従来の安全標識プレートは別の取付プレートをロプスに溶接し、ボルト・ナット等で組み付ける構成であり、部品点数が多く、また、ボルトネジ部がむき出しになり、レバー操作時に障害(左腕損傷等)となる問題があった。
【0019】
本例では、図9に示すように、安全標識プレート36の取付プレート部37の取付穴38を利用してロプス32に直接溶着する構成としたものである。これにより、部品点数、組立工数が削減でき、ボルトネジ部のむき出しが無くなるため、レバー操作時の障害にならない。また、この安全標識プレート36は、最外側(ウインカー40の下方でウインカガード41よりは若干内側)位置に設けることにより、オペレータが後方に振り向いても邪魔にならない配置構成としている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】作業車両の要部の側面図
【図2】同上要部の平面図
【図3】同上要部の背面図
【図4】フェンダー要部の平面図
【図5】フェンダーの取付機構を示す側断面図
【図6】フェンダーとフロアの一体化構成の側面図
【図7】同上平面図
【図8】同上正面図
【図9】作業車両の要部の背面図
【符号の説明】
【0021】
3 操作コラム
4 ブレーキペダル
5 フロア
6F 前進ペダル
6B 後進ペダル
18 芝刈用モアー
19 モアーリンク
20 規制部材(ストッパ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作コラム(3)を立設するフロア(5)の左右一方側には踏込み操作によって車両を制動するブレーキペダル(4)を設け、フロア(5)の他方側には車両の前進及び後進を実行する前後進ペダル(6F),(6B)を配置して設け、フロア(5)の下側には、前記ブレーキペダル(4)の非踏込み操作位置を規制すると共に、上下動可能に装備したモアー(18)の最上げ位置を規制する共通の規制部材(20)を設けたことを特徴とする作業車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−262729(P2009−262729A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113838(P2008−113838)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】