説明

作物の一部を採取するための装置及び方法

作物の一部を分離するための装置及び方法。作物部分が、切断ブレードのような分離手段を具備する装置によって、はさまれる。この作物部分をはさむことが、2つのローラによって行われ、これら両ローラ間に前記作物部分が受けられる。前記作物部分は、前記両ローラ間に実質的にはさまれ、この装置は、この作物の残りの部分から前記作物部分を分離するための最良の位置まで、前記作物部分に沿って移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物の残りの部分から一部、例えば葉もしくは実を採取するための装置に関わる。本発明は、例えば、作物から葉や実、例えばトマトやキュウリなどを採取することに関わる。このことを達成するために、切断システムが取り付けられたロボットアームを使用した葉や実などの採取のための従来技術で、種々の提案がある。このロボットアームは、作物中へと移動され、作物と作物の該当する部分との間の所望の位置での分離を行うように、視覚技術が適用される。
【背景技術】
【0002】
しかしながら、作物の一部を残りの部分から所望の位置で分離することが必ずしも可能でないという問題が、しばしば生じる。
【0003】
例えば、トマトや他の作物の場合、葉は、可能な限り主茎の近くから採取されることが望ましい。このことは、葉の柄が、柄と主茎との接続部の可能な限り近くで切断されなければならないことを意味している。切断ブレードを備えたロボットが、作物を通り抜けて移動される場合、多くの場合このような位置に達することができない。それでもなお所望の位置に達するためにアームに力が与えられると、通例この力は、主茎を押しのけるのみである。このことは、作物が予想外の負荷を受けることと、考慮される目的即ち最適な位置での分離を果たすことが達成されなくなることとを、意味する。
【0004】
茶葉を収穫するための収穫装置が、特許文献1によって知られている。この収穫装置では、作物の上側が、2つのローラ間にはさまれて、傾けられる。そして、作物の該当する部分の下側の位置で、切断が行われる。前記2つのローラ間で作物の一部をはさむことによって、切断装置の位置が、変わらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】GB673306
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、前記所望の位置に最良の方法で達することができ、且つ、この後に分離が、この位置で実際に行われることができるようにするための、方法と装置とを提供することである。
【0007】
この目的は、作物部分の切断される部分が把持部の延長部分に置かれるように切断手段が取り付けられている上記のような装置によって、果たされる。
【0008】
本発明に従えば、作物の該当する部分がはさまれ、この後にブレードのような分離手段の移動が、作物のこの部分に対して行われる。これは積極的な移動であり、把持手段(エンドエフェクタ)を備えたロボットが、主茎に向かって更に移動することができることを意味するが、柄を引っ張って、前記エンドエフェクタを備えたロボットに近づけることも可能である(もしくは、これら両方の組み合わせが可能である)。しかしながら、どちらの場合でも、作物部分自体が、可能な切断位置を選択するため判断の基準と見なされる。従って、作物部分が所望の分離位置ではさまれ得ないような状況が、生じない。本発明に従えば、作物は、切り落とされることも傾けられることもなく、切断は、前記把持部に移動する方向に沿って行われる。好ましくは、切断は、前記主茎と前記把持部との間に位置する地点、即ち、把持部の前方で行われる。この目的のために、この動作の間、前記切断手段は、好ましくは装置の配置方向に、前記把持部の前方へと移動される。
【0009】
本発明の特定の実施形態に従えば、前記該当する作物部分は、例えば、切断もしくは刈り取り(clipping)による分離の後、投下されず、適切に配置される。
【0010】
回転可能な部材は、考えられ得るいかなる形状を有していても良い。従って、ローラは、楕円形状に形成されることが可能である。また、ローラは、円筒形状に形成され、平坦に切断された部分を設けることができる。好ましくは、前記ローラは、可撓性の材料で形成されている。平坦に切断された部分を有するローラの実施形態が適用される場合、2つのローラの平坦に切断された部分が、互いに対向して位置されると、これらの間に、柄の部分が受けられ得る間隙が生じる。これら両ローラの回転の間、両ローラ間の柄部分は、両ローラによってはさまれてしっかりと保持される。そして、前記両ローラが取着されたアームに対して、上記のような柄部分の移動が、行われ得る。終わりの位置、即ち、両ローラに対する作物部分の移動の終点が、はさむ力が最大に達することによって、もしくは両ローラの回転が好ましくはとぎれる当接部に達することによって、決定される。
【0011】
一方の場合では、特に、左右対称の構造を有する両ローラ、例えば平坦な断面部を有する両ローラの実施形態では、はさむ作用がなくなるまで、回転が最大限に続けられる。もう一方の場合では、作物部分への最大のはさむ力が、例えば、前記両ローラのモータでのエネルギー消費量によって測定され得る。このエネルギー消費量が所定の最大値を超えると、作物部分と前記両ローラとの移動は、これ以上行われ得ない。
【0012】
前記両ローラは、好ましくは、機械的手段によってそれぞれ接続されている。
【0013】
葉の部分の更なる固定のために、柄の部分を受けるための収容部が、前記両ローラ間の把持部の延長部分にあり、この収容部では、前記両ローラの少なくとも1つの側で、柄の部分が受けられる。このような収容部の1つは、柄の部分が所望の位置で主茎から採取されることができるように、ブレードの切断エッジと協動して作用できるように形成されている。このブレード、特にこのブレードの外側のエッジは、前記ローラの中心線にほぼ平行して延びている。
【0014】
しかしながら、ブレードもしくは他のいかなる分離手段を、前記両ローラの両側に取り付けることも可能であり、このことによって、装置が、葉や実の柄に対して最適な位置に、簡単に配置されることができる。前記両ローラの駆動手段が、好ましくは、中心に位置され、また、前記ローラから相当の間隔、例えば20cmの間隔で離間されている。
【0015】
しかしながら、上記の実施形態は、単なる例であることが理解され得る。前記両ローラの駆動手段もしくは他の電子部材は、考えられ得るいかなる方法で形成されても良い。
【0016】
本発明の更なる特定の実施形態に従えば、前記両ローラは、互いにほぼ同じ直径を有しており、より詳しくは、ほぼ同じ形状を有している。
【0017】
本発明によって、特定の方法で、(葉の)柄をはさんで刈り取ることが可能である。
【0018】
前記把持手段が取り付けられたロボットは、考えられ得るいかなる方法で形成されても良い。種々の例は、(入れ子式の)ロボットアームや3つのスポークを操作するロボットなどを含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1a】図1aは、葉の分離の例の概略斜視図である。
【図1b】図1bは、葉の分離の例の概略斜視図である。
【図1c】図1cは、葉の分離の例の概略斜視図である。
【図2】図2は、複数の茎から葉の部分が採取される本発明に従って概略的に図示された構成を示す図である。
【図3】図3は、柄の部分の採取の間の、本発明に係るアーム示す図である。
【図4】図4は、柄の部分をはさむ動作の間の、本発明に係る分離手段を示す図である。
【図5】図5は、本発明に係る柄の部分がはさまれた状態での移動の間の、本発明に係る分離手段を示す図である。
【図6】図6は、本発明に係る装置によって主茎から柄部材を切断する動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る方法は、図1a乃至図1cを参照して、詳しく概略的に説明される。
【0021】
図1a乃至図1cには、中心の主茎12と、柄13によってこの主茎に接続されている複数の葉14と、実19とを有する作物11が、示されている。目的の作物に応じて、前記主茎11は、考えられ得るいかなる形状を有していても良く、また同じことが作物の異なる部分に当てはまることが理解され得る。概略的に図示されたカメラ16があり、矢印25が、分離動作を示している。
【0022】
図1aから明らかなように、前記カメラ16は、(例えば45度の角度傾けて)作物の(斜め)下に配置される。作物は、下から観察され、図1aから明らかなように、前記カメラは、第1の最も低い位置にある葉14を見る。そして、以下に例が挙げられる分離手段が、作物のこの最も低い位置にある葉14から柄13を採取するために、前記カメラ16の視界の中に移動される。
【0023】
この採取は、例えば切断もしくは刈り取りによる柄と茎との分離だけでなく、作物からこのようにして得られた柄と葉との分離も、含んでいる。
【0024】
そして、図1bに示されている状況が、生じる。前記カメラ16が作動するのに従って、次の葉14が、図1aの状況とは異なって、この場合は遮るもの無く観察される。再び、概略的に図示されている葉の分離動作が、矢印25に示されているように行われる。
【0025】
そして、図1cに示されている状況が、生じる。この状況では、カメラ16が、上方にある実19と葉14とを識別し、そして、矢印25に従ってこの葉14は採取されるが、実19は採取されない。葉は、葉の採取が所望の程度果たされるまで、このようにして作物から1つ1つ採取される。他のカメラ16が使用されても良いことが、理解され得る。
【0026】
図2では、(ロボット)アーム1が、本発明に係る例として示されている。このアーム1は、以下に説明される種々の部分を収容しているフレーム2を有している。2つのローラ部材3が、互いに対向して、配置されている。これら両ローラ部材3は、完全ではなく、各々に凹部4が設けられている。図2に示されているような状態では、前記凹部が、図2のように、前記両ローラ部材3の間に相当の間隙を設けている。この間隙は、参照符号23で示されている。この間隙は、収容部7によって両側が規定されている。
【0027】
前記両ローラ部材は、シャフト5によって歯車6に接続されている。これら歯車6は、互いに歯合しており、かくして前記両ローラ部材3の同期した回転を確実にしている。共通の駆動モータが、詳しくは示されないが、存在し、このモータは、ここでは示されないが後に説明される制御ユニットによって、制御される。前記両ローラ部材が回転すると、前記間隙23は、前記両ローラ部材の外面が互いに当接するまで、狭められる。前記両ローラ部材は、好ましくはゴム材のような変形可能な材料から成り、かくして、間に配置される柄の部分のような作物部分が、以下に説明されるようにしっかりとはさまれることができる。
【0028】
前記収容部7の1つもしくは双方は、切断エッジ22を備えたブレード8が前記収容部に沿って往復移動できるように、構成されている。このブレード8のための駆動ユニットが、例えば、図示されていないが制御システムによって制御される空気圧シリンダ9によって、駆動される。前記アーム1は、細長い形状であり、長軸21を有している。ここに示されているアームは、単なる例であることが理解され得る。このアームは、例えば、入れ子式に構成されることができるが、他のいかなる可動の構造体の部分を成すこともできる。本分離装置に関しては、前記アームの端部とこのアームの駆動システムとだけが、最も重要である。
【0029】
図3は、本発明に係る装置の概略的な構成を示している。この装置は、パイプレールトロリーのような、駆動装置26を備えたトロリー10を有している。3つのカメラ16が、このトロリーに配置されており、この例では、互いに近接している2つのカメラが有効である。更に、本発明に係るアーム1が、前記トロリーに取り付けられており、このアームは、そりの構造体27を備えたトロリーに対して移動可能である。前記アーム1の作動範囲は、前記カメラ16の作動範囲にほぼ対応することが、図3によって明らかであり、従って、前記アーム1を妨害するいかなる障害物も、前記カメラ16によって観察され得る。
【0030】
本発明に従えば、前記トロリー10は、矢印18の方向に、作物の1つの主茎12の下側まで移動される。そして、前記カメラ16は、作動を始め、下側から作物を観察する。この観察は、円錐形状の範囲で行われる。そして、視覚技術によって、採取される葉の柄がどこに位置しているかが、決定される。そして、前記アーム1は、制御ユニットによって操作される。縦方向にいくらかの距離だけ前記アーム1を移動させるための機構(図示されていない)があることが、理解され得る。斜め方向の操作も可能である。同様に、横軸及び縦軸を中心とした回転と、長軸に沿った平行移動とのような、すべての他の考えられる移動が、可能である。
【0031】
図4は、前述されたことの過程を、より詳細に示している。アーム1が、最良の方法で、即ち柄13をはさむための最良の機会を与えるような方法で、この柄13に接近する。アーム1は、通例、葉14と主茎12との間の接続点に近づく。両ローラ部材が、図4に示されているような位置にある。即ち、前記両ローラ部材間に比較的大きな開口部23がある。前記柄は、この開口部と収容部7との中に受けられる。この位置は、柄をはさむためには最適であるが、この位置は、主茎から柄を分離させるためには、望ましい位置ではない。主茎から柄を分離させるために、この主茎12により近い位置を選択する必要がある。これを果たすために、前記両ローラ部材は、次に、制御ユニットによって回転される。このことによって、前記両ローラ部材間の間隙23が、前記柄が最終的にはさまれるまで、狭められる。この状態が、図5に示されている。更なる回転で、柄に対するはさみ作用が、この柄を引く。このことは、前記装置が主茎に接触するまで、行われる。
【0032】
このような動作によって、作物の他の部分が、ダメージを与えられることなく、押し出される。
【0033】
前記アームが、柄を主茎12から分離させるために、この柄の最適な位置に達すると、切断が、図6に示されているように行われる。前記主茎の最も近くに配置されたブレード8が、この目的のために使用される。この柄は、前記2つのローラ3間の間隙内に保持されたままである。そして、前記アームは、作物から離れるように移動され、葉は、前記両ローラ3の回転によって再び放される。例えば実を収穫する時、作物の残りの部分から実を分離した後、また例えば、容器の中に実を置いた後、他のブレードを積極的に配置に付かせ得るようにすることが、可能である。このことによって、前記両ローラ部材間にはさまれた実の押圧された柄の部分の採取が、可能となる。
【0034】
以上を読み終えた後、当業者は、他の実施形態に容易に気付くだろう。このような他の実施形態は、添付の請求項の範囲及び精神に含まれるものであり、また、前述の説明に従えば、明らかである。例えば、前記両ローラは、楕円形状を有することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
葉や実のような作物部分のための複数の把持手段(3)が設けられたキャリア(2)と、前記作物部分のための切断手段(8)と、を具備する、作物から前記作物部分を分離するための装置(1)であり、
前記複数の把持手段(3)は、互いに対向して配置されている複数の回転可能な部材(3)から成り、これら回転可能な部材(3)間には、採取される前記作物部分を取り込むための把持部(23)が規定されている、この装置(1)において、
前記切断手段(8)は、前記作物部分の切断される部分が前記把持部の延長部分に置かれるように配置されていることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記複数の回転可能な部分は、それぞれローラ部材から成る、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数のローラ部材は、平坦に切断された部分を有している、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数のローラ部材は、楕円形である、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記切断手段は、可動のブレードを有しており、このブレードの切断エッジ(22)は、前記把持部(23)の延長部分に沿って移動され得る、請求項1乃至4のいずれか1に記載の装置。
【請求項6】
互いに一定の間隔で離間されている2つの切断ブレードを具備している、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
ガイド(7)が、採取される前記作物部分のための前記把持部の延長部分の接線上に設けられている、請求項1乃至6のいずれか1に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の回転可能な部分(3)の駆動手段が、これら回転可能な部分(3)から少なくとも20cmの間隔で離間されて配置されている、請求項1乃至7のいずれか1に記載の装置。
【請求項9】
前記キャリアは、ロボットの可動部分によって形成されている、請求項1乃至8のいずれか1に記載の装置。
【請求項10】
作物から葉や実のような作物部分を分離するための方法であり、前記作物部分をはさむことと、前記作物の主茎に近い位置で、切断手段によって前記作物から前記作物部分を分離することとを具備する、前記方法において、
前記作物部分をはさんだ後に、前記切断手段は、分離が行われる前に、前記作物部分に対して移動されることを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記作物部分は、柄によって作物の主茎に接続されており、前記分離は、前記分離手段の前記主茎の柄の近くへの位置付けを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記位置づけは、前記作物部分がはさまれている間に、前記作物部分が前記分離手段へ移動することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記分離は、切断もしくは刈り取りを含む、請求項10乃至12のいずれか1に記載の方法。
【請求項14】
前記作物部分は、作物からの分離の後、はさまれたままであり、前記作物の一定の範囲から運び出される、請求項1乃至13のいずれか1に記載の方法。
【請求項15】
前記分離は、2つの離間された位置での分離を含む、請求項1乃至14のいずれか1に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−517572(P2011−517572A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504945(P2011−504945)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【国際出願番号】PCT/NL2009/050190
【国際公開番号】WO2009/128711
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(510273433)プリグロウ・トメーション・ビー.ブイ. (1)
【氏名又は名称原語表記】Prigrow Tomation B.V.
【住所又は居所原語表記】Blaakse Wetering 44, NL−3176 XB Poortugaal, the Netherlands
【Fターム(参考)】