説明

保形成形型

【課題】接着テープを使用することなく組み立てることができ、また、取り外す場合には道具を用いないで内容物の形をくずすことなく簡単に取り外すことができる保形成形型を提供する。
【解決手段】両端に継目部を有する可撓性の帯材2と、一方の継目部3から長手方向に延設された凸状の差込み片4a,4bと、他方の継目部5に形成され、差込み片4a,4bが挿入される切込み部6a,6bと、継目部のいずれか一方に形成され、切込み部6a,6bに挿入された差込み片4a,4bの抜けを防止する抜け止め片9と、継目部のいずれか他方に形成され、抜け止め片9が係止される第二の切込み部8とを備えてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性材料を型に入れて固める場合や脆弱な材料の形くずれを防止するために使用される保形成形型に関し、特に、ムースのような洋生菓子類を作る際の成形型として好適な保形成形型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケーキなどの洋生菓子類は一般的に脆弱であり、中でもゼラチン質のムースケーキは形がくずれ易く、その作り方は流動性材料を型に入れて冷却し固めるようになっている。
【0003】
この種のムースケーキを作る場合、通常、帯状の透明樹脂フィルムの両端を折り曲げて円筒状にし、その重ね合せ部分に両面接着テープを貼り付けることにより組み立てられた保形成形型が使用されている。上記両面接着テープは、ムースケーキが固まる途中で外れることがないよう、重ね合せ部分の強固な結合を優先させており接着力の高いものが使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の保形成形型では、内容物の形くずれ防止を優先させるべく接着力の高い両面接着テープを使用しているため、保形成形型を外そうとする際に、保形成形型の継目を外すことが容易でなく、無理に外そうとすると、ムースケーキを崩してしまうということが多々あった。
【0005】
また、保形成形型にハサミを入れて切断することも考えられるが、その場合、ハサミの片方の先端がムースケーキ中に入ってしまい、結局、ムースケーキを崩してしまうことになる。
【0006】
なお、帯状樹脂フィルムの両端に差込み形状を施し、両端を互いに連結するようにした保形成形型も知られているが、この種の保形成形型は使用時に外れやすいという欠点がある。
【0007】
本発明は以上のような従来の保形成形型における課題を考慮してなされたものであり、接着テープを使用することなく組み立てることができ、また、取り外す場合には道具を用いないで内容物の形をくずすことなく簡単に取り外すことができる保形成形型を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、両端に継目部を有する可撓性の帯材と、
一方の上記継目部から長手方向に延設された凸状の差込み片と、
他方の上記継目部に形成され、上記差込み片が挿入される切込み部と、
上記継目部のいずれか一方に形成され、上記切込み部に挿入された上記差込み片の抜けを防止する抜け止め片と、
上記継目部のいずれか他方に形成され、上記抜け止め片が係止される第二の切込み部と、
を備えてなる保形成形型である。
【0009】
本発明において、上記差込み片および上記切込み部は、それぞれ上記帯材の幅方向に一対形成することが好ましい。
【0010】
本発明において上記差込み片の近傍に、上記切込み部に挿入された上記差込み片を引き抜くためのタブを形成することが好ましい。
【0011】
本発明において、上記保形成形型は合成樹脂フィルムから構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の保形成形型によれば、両面接着テープを使用することなく組み立てることができ、また、取り外す場合には道具を用いないで、しかも内容物をくずすことなく簡単に取り外すことができるという長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る保形成形型の展開図である。
【図2】本発明に係る保形成形型の組立状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る保形成形型の展開状態を示す展開図である。
【0016】
同図において、保形成形型1は、厚さ0.2〜0.3mmのポリプロピレン製樹脂フィルムを所定の形状に打ち抜き加工またはカットすることによって構成されている。
【0017】
保形成形型1は、両端に継目部を有する可撓性の帯材2からなり、その帯材2の一方の継目部3に凸状の差込み片4a,4bが一対形成され、他方の継目部5に上記差込み片4a,4bが挿入される切込み部6a,6bが一対形成されている。
【0018】
1.一方の継目部の構成
一方の継目部3に形成されている差込み片4a,4bは、それぞれ舌状に形成されており、これらの差込み片4aおよび4bは、帯材2から平行(X−X′方向)に延設されており、且つ帯材2の幅方向(Y−Y′方向)に離れた状態で帯材縁部2a寄りに形成されている。
【0019】
また、上記差込み片4a,4bの間には、差込み片4a,4bと同じ延設長さで引張り用のタブ7が舌状に形成されている。
【0020】
このタブ7より後方(X方向)の帯材2には、後述する抜け止め片と係止される第二の切込み部8がY−Y′方向に形成されている。
【0021】
2.他方の継目部の構成
他方の継目部5に形成されている切込み部6a,6bは、上記差込み片4aおよび4bのX−X′方向延長線上に形成されており、保形成形型1の両端を折り曲げて筒状にした際に、上記差込み片4aおよび4bを差し込むことができるようになっている。
【0022】
上記切込み部6a,6bより左側の帯材2には、その帯材2に円弧状の切れ目を入れることによって抜け止め片9が半円状に形成されている。
【0023】
図2は上記保形成形型1の組立状態を示す説明図である。
【0024】
同図において、保形成形型1の両端を折り曲げて円筒状にすると、一方の継目部3と他方の継目部5が重ね合わされる。図中、符号10は重ね合せ代を示している。
【0025】
次いで、差込み片4aは切込み部6aに、差込片4bは切込み部6bにそれぞれ差し込まれる。
【0026】
また、保形成形型1を折り曲げて円筒状にすると、折り曲げ力が働かない抜け止め片9は接線方向、すなわち外側に向けて若干迫り出される。
【0027】
この状態で一方の継目部3を緩める方向(A方向)にわずかにずらすと、その迫り出した抜け止め片9が第二の切込み部8にはまり込む。
【0028】
それにより、差込み片4aおよび差込片4bの抜けが防止され、保形成形型1は円筒状に強固に保持される。
【0029】
この状態で保形成形型1内に、例えばムースを流し込み、冷蔵庫で冷やして固めればムースケーキを作ることができ、保形成形型1は容易に外れない。ムースが固まった後、保形成形型1を取り外す場合には、タブ7を矢印B方向に引っ張れば、差込み片4a,4bを切込み部6a,6bから簡単に外すことができ、同時に抜け止め片9も矢印B方向に撓むため、第二の切込み部8から簡単に外すことができる。
【0030】
このように、タブ7を引っ張るだけのワンタッチ操作で保形成形型1を元の帯状に展開することができるため、脆弱なムースケーキに対して形くずれを発生させずに保形成形型1を取り外すことができる。
【0031】
なお、上記実施形態では帯材2をポリプロピレン製樹脂フィルムで構成したが、可撓性を有する樹脂フィルムであればポリプロピレン製に限らず、PVC、PET、PE等の樹脂フィルムを使用することもできる。
【0032】
また、樹脂以外に、可撓性を有するクラフト紙、上質紙等の紙類、若しくは紙とフィルムの積層体を使用することもできる。
【0033】
帯材2は透明であってもよく、不透明であってもよく、さらに、印刷を施したものであってもよい。なお、印刷を施す場合は、帯材を2層構造とし、その内層に印刷を施すことが好ましい。
【0034】
さらにまた、可撓性を有する金属製薄板、例えばアルミニウム製薄板を使用することもできる。本発明の保形成形型は簡単に円筒状に組み立てることができ、また、簡単に帯状に展開することができ、展開したものは運搬に嵩張らないため、特に、上記金属製薄板で構成した保形成形型は、コンロの炎を取り囲んで炎をガードするキャンプ用品として利用することもできる。
【0035】
また、本発明の保形成形型を複数用意し、第一の保形成形型の切込み部に第二の保形成形型の差込み片を差込み、第一の保形成形型の抜け止め片9と第二の保形成形型の第二の切込み部とを係合させれば、保形成形型1を長手方向に複数連結することができ、異なる径の型材を構成することが可能になる。
【0036】
また、本発明の実施形態では差込み片を一対設けたが、例えば帯材2の幅が短かく、一つの差込み片を一つの切込み部に差込むだけで帯材2を円筒状に固定できる場合は、一つの差込み片と一つの切込み部で本発明を構成することができる。
【0037】
また、本発明の保形成形型は、上記実施形態ではムースを成形する場合を例に取り説明したが、食品以外にも例えば、蝋等の流動性材料の成形用型材として使用することもできる。
【0038】
また、90°の折り目を帯材2に4箇所付けておけば、角形に成形するための保形成形型として使用することもできる。
【符号の説明】
【0039】
1 保形成形型
2 帯材
3 一方の継目部
4a,4b 差込み片
5 他方の継目部
6a,6b 切込み部
7 タブ
8 第二の切込み部
9 抜け止め片
10 重ね合せ代

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に継目部を有する可撓性の帯材と、
一方の上記継目部から長手方向に延設された凸状の差込み片と、
他方の上記継目部に形成され、上記差込み片が挿入される切込み部と、
上記継目部のいずれか一方に形成され、上記切込み部に挿入された上記差込み片の抜けを防止する抜け止め片と、
上記継目部のいずれか他方に形成され、上記抜け止め片が係止される第二の切込み部と、
を備えてなることを特徴とする保形成形型。
【請求項2】
上記差込み片および上記切込み部が、それぞれ上記帯材の幅方向に一対形成されている請求項1に記載の保形成形型。
【請求項3】
上記差込み片の近傍に、上記切込み部に挿入された上記差込み片を引き抜くためのタブが形成されている請求項1または2に記載の保形成形型。
【請求項4】
上記保形成形型が合成樹脂フィルムから構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の保形成形型。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−75392(P2012−75392A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224209(P2010−224209)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(593186493)木村アルミ箔株式会社 (3)
【Fターム(参考)】