説明

保持器セグメントのためのガイドリムを備えるアキシャルピストン機械

【課題】保持器セグメントのためのガイドリムを有するアキシャルピストン機械を提供する。
【解決手段】本発明は、斜板(12)のための回転軸(13a)を有する2個のピボットベアリング部分(13b及び13c)を含み、ピボットベアリング部分の間に円弧状にカーブしたギャップ(a)を有し、ギャップの中に保持器セグメント(15)を有し、保持器セグメントをガイド要素(19)によって誘導するアキシャルピストン機械に関し、本発明のアキシャルピストン機械では、ガイド要素はギャップを横断する第1のガイドリムを有し、第1のガイドリムはその端部で第2のガイドリムに連結し、第2のガイドリムは第1のガイドリムの回転平面(E4)に対して横方向に延びる。また保持器セグメントの誘導を改善するために、第1のガイドリム及び/または第2のガイドリムはそれぞれ横長の成形物(25)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアキシャルピストン機械に関する。
【背景技術】
【0002】
斜板式アキシャルピストン機械では、斜板を同一回転軸を有する2個のピボットベアリング部分(Schwenklagerteilen)の1つの上に形成する方式が知られ、この方式では、この2個のベアリング部分はお互いに向き合う2個の表面として円弧状の形にカーブしたガイド表面を有しており、この2個のガイド表面の間には円弧状の形にカーブしたギャップが存在し、このギャップの中にはいくつかの転動体を有する保持器セグメントが保持されている。この場合、このアキシャルピストン機械は、可変容量型(veraenderliches Durchsatzvolumen)の1つであり、このアキシャルピストン機械の斜板は、調節装置(Verstellvorrichtung)によって(上述した)いわゆるクレードルベアリング中で軸を中心に前後に回転させることができる。円弧状の形のカーブの円周に沿ったこのような軸を中心とする運動によって、保持器セグメントもまた円弧状の方向に運動するが、転動体のローリング作用のために保持器セグメントの運動の長さは、斜板の軸を中心とする運動の長さの実質的に半分にしかならない。アキシャルピストン機械を作動させる際、特に斜板が前後にすばやく運動する場合に、前記保持器セグメントが前記円弧状の方向の中で与えられる軸を中心とする回転範囲に関してその目標とされる位置からずれる可能性を排除することはできない。これは、このように運動することによって前記保持器セグメントがその望まれるベアリング上の配置位置から逸脱するので、望ましくない。
【0003】
上記した保持器セグメントのベアリング中の位置の望ましくないずれは、前記アキシャルピストン機械の軸を中心とする機能的作動において、該保持器セグメントの前記転動体がピボットベアリング部分のカーブしたベアリング表面に小さな磨耗によるへこみを作ることによって助長される。このような磨耗によるへこみは、特に保持器セグメントが保持器セグメントの軸を中心とした運動の範囲の端の部分に位置するとき、該保持器セグメントの望ましくないずれを促進する。
【0004】
このような保持器セグメントの位置のずれを防ぐための方式として以下の方式が知られている。即ちこの方式では、保持器セグメントが軸を中心とした回転中の望まれる位置に配置されるのを確実にするために、横長の角のあるガイド要素を有するガイド装置を利用しており、これは例えば1つのガイドリム(Fuehrungsschenkel)を含み、このガイドリムは該保持器セグメントに支持され、前記ピボットベアリング部分の間のギャップを部分的にまたぎ、そして該1つのガイドリムに対して横向きに配列される別のガイドリムによって例えばピボットベアリング部分の一方に連結されるが、そこでは該1つのガイドリムは軸を中心として回転可能な状態に維持される。この既知のガイド装置は、少ないコストで製造できる小さな場所をとらないデザインをしているのではあるが、前記角のあるガイド要素が特に前記保持器セグメントがずれる際などに生じる過重負担によって変形する危険性を有している。
【0005】
特許文献1に記載されるガイド装置は、金属線で単体として形成される横長のガイド要素を有し、該ガイド要素はその両端及び中央領域のそれぞれにおいて該金属線を曲げることによって形成される円形の金属線ループを有する。前記ガイド要素は、前記保持器セグメントから側面に突き出したベアリングピンに、回転軸平面に平行なその中央部の金属線ループ部分で支持され、そこでは該ガイド要素は回転軸に関して回転可能な状態に維持される。前記ガイド要素は、この場合、その中央部においては回転可能に、そしてその縦方向には固定されてガイドセグメントに連結される。前記ガイド要素の両端の金属線ループは、それぞれガイド要素の縦方向の連結リンクガイドによって前記ピボットベアリング部分上に移動可能に支持される。
【0006】
この既知の構造による前記金属線のループ形状によって前記ガイド要素はその両端が安定化されるのではあるが、該ガイド要素はその中央部がそこでは金属線ループがコイル状の形態をとるため金属線横断面よりも相当広いばかりでなく、該ガイド要素は曲げ荷重をかけられた場合の弾力性も比較的弱い。
【0007】
特許文献2では、保持器セグメントをガイドする2個のバネ要素を有する既存のガイド装置が記載されており、そこでは該2個のバネ要素はU字型のバネのリムによって形成され、U字型のバネはピボットベアリング部分の一方のみに連結され、そしてU字型のバネのリムは該ピボットベアリング部分の間のギャップに横から延長され、そして該保持器セグメントにこれを一緒に引っ張っていくような形で連結される。
【0008】
全ての既知のガイド装置は、保持器セグメントのずれの初期の段階においては、該保持器セグメントにそのそれぞれの目標とする軸を中心とする回転中の位置を確保させるためにわずかなバネ力しか利用可能でないという不利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第0649974B1号明細書
【特許文献2】独国特許発明第2625298A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、アキシャルピストン機械における保持器セグメントの誘導を改良することである。ガイド要素の弾力性及び/または復元力を増加させるべきである。さらに、保持器ガイドの小さく特に狭い構造を達成する一方、強く弾力のある構造もまた達成すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は請求項1の特徴によって達成される。本発明の有利な展開は従属クレームに記載される。
【0012】
本発明は、ガイド要素は、保持器セグメントに対して、一方においては十分に弾力性のある柔軟な保持力及び引っ張り力を作用させることができ、そして他方では空間的に好ましい構造を有する必要があるという知見に基づいてなされている。
【0013】
本発明の請求項1による構造においては、ガイド要素の第1のガイドリム及び/または第2のガイドリムはそれぞれの場合において横向きに配列された成形物を有する。この結果、角のあるガイド要素の弾力性がある一方での柔軟性は、該ガイド要素の弾力性の抵抗モーメントを実質的に損なうこと無しに増加させられる。前記第1のガイドリム及び/または第2のガイドリムの領域においては、例えばすき間などを形成する十分に大きな側方の排除がそれぞれの場合に利用可能であるので、本発明による構造は空間的に良好な様式でも実現され得る。成形物は関係するガイドリムまたは両方のガイドリムを外側に曲げることによって単純かつ安価に生産することができるので、構築物を安価に製造する目標も達成される。
【0014】
本発明の目的はまた、独立請求項6の特徴によっても達成される。
【0015】
本発明によるこの構造においては、前記第1のガイドリムの両側に配列されそして回転軸平面において作用する2つのバネ要素によって、ガイドリム上に前記保持器セグメントは支持され、そこでは該バネ要素は該ガイドリムに対して予め圧力をかけている。前記保持器セグメントがそのそれぞれの目標位置からずれる際には、0から始まるのではなく予め圧力がかけられていたためにある一定の大きさから始まり、そしてそれゆえ該保持器セグメントのずれの始まりから既に効果を有する誘導力または復元力が、この結果利用可能となる。従って、この結果保持器セグメントのずれは十分に大きなバネの力によってその初期段階から既に妨げられており、この十分に大きなバネの力は誘導機能をかなり改善し、そしてこのバネの力のために、目標とする位置からずれ得るのではあるが、該保持器セグメントをこの目標とする位置により効果的に保持する。
【0016】
単純化のためにU字型バネのリムを使用してバネ要素を形成する方式もまた有利である。この方式では、両リムが例えば共通ストップ部分などに予め圧力をかけさせられており、この共通ストップ部分は前記ガイド要素の関係する横断面の寸法に相当する距離だけお互いに離れた位置に前記リムを配置し、前記U字型バネのリムはバネ押し付け要素の間に実質的に何の押し付け効果も無しに該ガイド要素をはさむことができ、そしてそこで縦方向に移動可能に支持される。これは、単純な構築物の安価な製造を可能にする結果となり、この構築物は空間配置も良好で、ピボットベアリングの設計図中に何の問題もなく組み込むことができる。
【0017】
設計理由として、特に回転ベアリングを形成する軸を中心として回転するピン上で、前記保持器セグメントに前記バネ要素または前記U字型バネを保持する方式をサポートすることは有利である。
【発明の効果】
【0018】
弾力性を改善するために、そのU字のウェブの領域にバネコイルを有するU字型バネを形成することは有利である。この構造はまた原理上小さな構築物をもたらすだけでなく、保持器セグメント上の前記U字型バネの配置も改善する。
【0019】
本発明の更なる展開によって、加えてガイド要素の弾力性抵抗モーメントが改善され、そしてピボットベアリング部分の間のガイド要素の単純化及び空間的に良好な配列化にも貢献する。
【0020】
前記ガイド装置の組み立て及び分解はまた、本発明の更なる展開によって改善される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の有利な構造が、より詳細に以下に実施形態及び図面を参照して説明される。図は:
【図1】本発明によるアキシャルピストン機械の軸に沿った断面を示す。
【図2】アキシャルピストン機械のピボットベアリングの保持器セグメントのための本発明によるガイド装置の透視図を示す。
【図3】ガイド要素の正面図を示す。
【図4】ガイド要素の側面図を示す。
【図5】ガイド要素の上面図を示す。
【図6】アキシャルピストン機械の本発明によるガイド装置の変更構造の軸に沿った断面図かつ拡大図を示す。
【図7】図6によるガイド装置の右からの側面図を示す。
【図8】図6中のVIII−VIII直線に沿って切断した部分切断図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1によると、その全体を1で指定される前記アキシャルピストン機械は、シリンダードラム2を有し、シリンダードラム2はシャフト3上にシャフトに対して回転できない状態で適切な軸穴を用いて据え付けられ、そしてシリンダードラムは示されるハウジング4中にハウジングに対して回転可能な状態でシャフト3を用いて支持される。
【0023】
前記ハウジングは、例えばハウジング土台4aを有し、ハウジング土台4aからは全体がつぼ型となるように、部分的に示されている円周方向壁4bが覆い5へと延び、覆い5はつぼ型ハウジング4を閉じそして油圧回路の供給路及び除去路のためのいわゆる連結体(Anschlussteil)を形成する。前記シャフト3は、前記ハウジング土台4a及び前記覆い5に接して設けられた回転ベアリング6及び7に回転可能な状態で支持され、該シャフト3は、前記アキシャルピストン機械1をポンプとして使用するかまたはモーターとして使用するかによって、駆動シャフト3かまたは出力シャフト3となる。
【0024】
円周に沿って配置される前記シリンダードラム2中にいくつかのシリンダーボア8が配列される。前記シリンダーボアは前記シャフト3の回転軸3aに平行かまたは該回転軸に対して一定の角度をもって傾斜させて延ばすことができ、シリンダーボア中ではピストン9が前後に移動可能に支持され、該ピストンは前記覆い5と反対の方向に面する側から前記シリンダードラム2から突き出、そして斜板12上のスライドシュー11によって支持される。前記斜板12は、ピボットベアリング13において回転軸13aを中心に前後に回転可能な状態で支持される。前記回転軸13aは、前記回転軸3aを含むアキシャル平面E2に対して直角に位置する横平面E1中を延びる。
【0025】
1つの共通のピボットベアリング13を回転軸3aを通って前記シャフト3の両側に横に延ばす方式、または2個のピボットベアリング13をそれぞれ該シャフト3の両側に配列させる方式をとることができる。
【0026】
示唆的にのみ示されている調整要素14を使用して前記斜板12を回転させることによって、前記アキシャルピストン機械1の処理用量を随意に減少または増加させることができる。0°の回転位置においては、アキシャルピストンの運動及び前記処理用量は0またはあっても非常に少量である。図2による回転角W1によって最大限に回転させられた回転位置においては、前記ピストンの運動及び前記処理用量は最大となる。
【0027】
前記斜板12は、2個のピボットベアリング部分13b及び13cによって形成される前記ピボットベアリング13に回転可能な状態で支持される。この2個のピボットベアリング部分は、前記回転軸3aの方向にお互いに近接して配列され、前記シャフト3の両側でお互いに向き合う側にそれぞれ2個の円弧状の形にカーブしたベアリング表面13d及び13eを有し、これらの表面はお互いに一定の、前記回転軸3aの方向に離れた距離を保つ。このようにして形成されたギャップ中には、いくつかの転動体13fを有する保持器セグメント15が配列される。実施形態では、前記ベアリング表面は、円筒の一部の形に形成され、前記転動体13fは円筒状に形成される。半径方向に外側にあるピボットベアリング部分13bは、2個のベアリングシェルによって形成することができ、該2個のベアリングシェルは、回転軸3aの両側に側方に導かれそして軸に中心をおいて前記ハウジング土台4aの内部に配列される。
【0028】
本発明の範囲では、前記シャフト3の両側に存在する前記ベアリング表面13d及び13eをそれぞれ1個の共通のベアリング表面によって形成することもできる。このとき、この共通のベアリング表面には軸受筒穴16を設け該シャフト3を通し、この軸受筒穴は、回転可能なピボットベアリング部分13cの回転運動が実行可能であるように、両矢印17によって示される回転方向に沿って例えば横長の穴として大きく広げる。
【0029】
実施形態では、回転可能なピボットベアリング部分13cが斜板12を形成し、そこでは該斜板12のレベル摺動表面12a(ebene Gleitflaeche)と関係するベアリング表面またはベアリング表面13eとがお互いに反対する方向を向いて該斜版12の側面に配列される。
【0030】
前記アキシャルピストン機械1を作動させて機能させる場合、前記斜板12を回転させるとき、前記保持器セグメント15の回転距離はそれぞれ該斜版12の回転距離の半分の大きさである。これは、前記転動体13fが転動することによって予定される状態である。前記ピボットベアリング部分13b及び13cと前記転動体13fの間には積極的な連結はないので、特に突然の及び素早いピボットベアリングの運動の際に、前記保持器セグメント15が、該ピボットベアリング部分13b及び13cに関して回転方向17の1つまたはもう1つの方向にその位置を移動する、またはいわば滑る危険性がある。前記ピボットベアリング13はこれに悪影響される。
【0031】
これを防ぐため、その全体が18として指定され、横長のガイド要素19を有するガイド装置が、それぞれ保持器セグメントまたは保持器セグメント群15に割り当てられる。このガイド要素は、前記ギャップを横断し、前記保持器セグメント15及び前記ピボットベアリング部分13b及び13cに、それぞれの場合において回転可能な状態で及び例えばまたその縦方向に運動可能な状態で、連結され、そしてそれゆえ該ピボットベアリング部分13b及び13cに関して望まれる位置に該保持器セグメント15を保持することができ、及び該保持器セグメントをその回転運動の回転モードの中で誘導または制御することができる。
【0032】
前記ガイド要素19は、例えば弾力性があり柔軟である材料でできた、横長の、特にピンの形をした部品であり、そして実施形態では、例えば、特に例えばバネ鋼などの鋼鉄などの金属でできた、金属線の形態の、輪郭体(Profilstueck)で形成される。前記ガイド要素19の横断面の形は、好ましくは円形である。前記ガイド要素19は、その2つの端のうちの1つでベアリング穴21aを有する回転ベアリング21によって回転可能な状態で支持され、ベアリング穴21aはピボットベアリングの回転軸13aと平行に延びそしてその中に前記ガイド要素19から横に突き出すガイドリム19bが、関係する回転軸21を中心に回転可能な状態で格納される。前記ガイドリム19bは、例えばもう一方のガイドリム19aに対して直角に折り曲げたガイド要素19の折り曲げた直線部分である。この第1の回転ベアリング21において、前記ガイド要素19は、その縦方向には運動不能な状態で、前記回転可能なピボットベアリング部分13cに支持される。
【0033】
前記ガイド要素19は、前記ピボットベアリングの回転軸13aと平行に延びる回転軸22cを中心にして前記保持器セグメント15と共に回転可能な状態で、第2の回転ベアリング22によって支持される。ここでは、この第2の回転ベアリング22は、前記ガイド要素19が該第2の回転ベアリング22における回転運動の間にその縦方向の一方または他方へ縦方向の運動を行うことができるように、該ガイド要素19の第1の縦方向のガイド23と連合させられる。
【0034】
前記第2の回転ベアリング22は、ピボットピン22aによって形成される。該ピボットピン22aは、側方に開くベアリング穴22d中に、前記ピボットベアリングの回転軸13aと平行して延びる統合された軸(Gelenkachse)22cを中心にして回転可能な状態で、関係する保持器セグメント15中に支持され、該ガイド要素19は、ほとんど動きのゆとりがない状態でピボットピン22aのガイド穴22b中を通される。これによって、第1の縦方向のガイド23が形成される。
【0035】
前記ガイド要素19は、前記第1の回転ベアリング21に対して反対に面するその端部領域で、連結リンクガイド24によって前記回転不能ピボットベアリング部分13bに連結する。前記連結リンクガイド24は、回転ベアリング24aと前記ガイド要素19の縦方向のガイド24bと前記ガイドリム19aとによって形成され、丸い統合されたピン24cを有し、該統合されたピン24cは、前記ピボットベアリングの回転軸13aと平行させて前記ピボットベアリング13b中に配列される回転ベアリング穴24d中に回転可能な状態で支持され、そして縦方向のガイド24bを形成する横に開けられたベアリング穴24eを有し、このベアリング穴に該ガイド要素19またはそのガイドリム19aが移動可能な状態で支持される。前記回転ベアリング24aの同様にできた前記ピボットベアリングの回転軸13aと平行な回転軸は、24fと指定される。
【0036】
前記横に開けられたベアリング穴24cは、前記ピボットベアリング部分13b中のすき間13gがある領域に位置するので、前記ガイド要素19または前記ガイドリム19aはその中で回転できる。
【0037】
ガイド要素19が回転不能回転ベアリング部分13bに近接して側方に位置する構造においては、すき間13gは側方の排除によって形成できる。
【0038】
上述した構造においては、前記ガイド要素19は単体の金属線を曲げて形成されるが、これは、材料消費量を減らし、低重量でそして比較的に高い強度を有することで優れている。
【0039】
前記アキシャルピストン機械1の機能的作動においては、前記回転可能なピボットベアリング部分13cは、番号14によって示唆的にのみ示される前記調整装置によって、図1に示す角度0°の位置と図2に示される最大の回転角の位置との間で前後に回転するよう調整することができる。この場合、前記ガイド要素19も必然的に回転させられ、任意の回転位置において前記保持器セグメント15に対する誘導機能を発揮する。
【0040】
前記ガイドリム19a及び19bの間の弾力性のある屈折能力を増加させるために、該ガイドリム19a中及び/または該ガイドリム19b中に横向きに配列された成形物25が配列される。前記横向きに配列された成形物はそれぞれ好ましくは、特に屈折させる部分においては単体の部品であるガイド要素19の前記ガイドリムまたはガイドリム19a及び19bを外側に曲げることによって形成される。
【0041】
本発明の範囲においては、一方のガイドリムの前記成形物25は他方のガイドリムまでまたは他方のガイドリムを越えて延長することができる。そこでは、図1〜5に示すように、前記成形物25を他方のガイドリム(示さず)の自由端に向かってまたは他方のガイドリムの対面しない側の自由端に向かって成形することができる。前記2本のガイドリム19a及び19bは、お互いに近接させて交差させることができる。そこでは、前記成形物25は、例えば両方のガイドリム19a及び19bのためのループ25aの形態で共通成形物(gemeinsame Ausforming)25となり、そして前記ガイドリム19a及び19bの両方の自由端から離れる方向に面する。前記ループ25aの形は、円形、三角形、または四角形にすることができ、好ましくは丸い角を有する。前記ガイドリム19a及び19bの中心線は、好ましくは共通平面E3(図3及び図7参照)中に位置し、この共通平面E3は前記回転ベアリング21及び24aの中心線も含む。この配置を確保するために、前記ループ25aは、この平面E3に対して横向きにまたは斜め方向に形成され(図5参照)、前記ガイドリム19a及び19bの交点から離れる方向に面する該ループ25aの領域26が、該平面E3と鋭角W2をなす。前記第1のガイドリム19aは、S字型に曲げられた前記ガイド要素19の縦方向にのびる部分27によって、平面E3から側方にはずして置かれる前記ループ25aの領域に連結される。
【0042】
少なくとも1個の成形物25またはループ25aのために、前記ガイドリム19a及び19bは、外に曲げられた曲げ部分によってお互いに連結され、これは、該ガイドリム19a及び19bの間の弾力性抵抗モーメントを実質的に損なうことなしに、該ガイドリム19a及び19bの間の弾力性のある柔軟性を増加させる。このように、前記ガイド要素19は、その弾力性で前記保持器セグメント15の位置のずれを調整し、そして該保持器セグメント15をこの場合に生じる逆方向に曲がろうとする張力によって再び目標位置に戻すことができる。特に図1から推察できるように、図2による実施形態の成形物25は、前記ピボットベアリング部分13d中の例えば側方に開放されそして例えば丸くされたすき間13h中に空間的に良好に配置され、または図1による実施形態の成形物25は、前記ハウジングの内部のピボットベアリング部分13cに隣接する自由空間中に良好に配置される。
【0043】
上述の実施形態では1個のバネが角を有するガイド要素19に統合されているが、図6〜8による実施形態(これらの中では同一のまたは対応する部品には同じ参照符号が与えられている)においては、2個の別のバネ要素30a及び30bが存在し、これらは、硬いまたは同様に弾力性があり柔軟性があるガイド要素19がその回転平面E4から両側方に向かってずれるのを制限し、そしてその弾力をもって前記保持器セグメント15を回転方向17の両方に関して前記ガイドリム19a上に保持する。前記ガイド要素19が保持器セグメント15のずれによる負荷によって側方に外側に向かって回転平面E4内で曲がる場合(ガイドリム19aは弾力性があり屈折可能に形成されている)または前記ガイド要素19がそれぞれの目標位置から側方に逸れる場合(ガイドリム19aは弾力性があり屈折可能かまたは硬く形成されている)、該ガイド要素19のそれぞれ関係する側面に配列されているバネ要素30aまたは30bは、そのバネ力に抗する力を該ガイド要素19から受け、該バネ要素30aまたは30bは弾力性を持ってへこみそしてこの場合に有効なバネをリセットする力31aまたは31bが該ガイド要素19及び該保持器セグメント15を元に戻すために利用可能となる。
【0044】
前記バネ要素30a及び30bにその開始位置から予め圧力をかけられるようにすることは重要であり、該バネ要素30a及び30bは前記ガイド要素19に対して向けられた予めかけられた圧力で該ガイド要素19が側方に外側に曲げられないように支持し、これはそれぞれの場合において関係するバネ力31a及び31bを産出する。この予めかけられた圧力のために、前記ガイド要素またはガイドリム19aが側方にずれる際、前記バネ力31a及び31bは0の力からではなく、より大きな予めかけられた力から作用するので、該ガイド要素19及び前記保持器セグメント15をそれぞれの目標位置に誘導し確保するためにより大きなバネ力31a及び31bが直接利用可能となる。この場合、関係するバネ要素30a及び30bで前記ガイド要素19に作用する側方の負荷力が弾性のある有効なバネ力または予めかけられた力31a及び31bを超えるとき、バネ要素30a及び30bの必要とされる弾性のある柔軟性は維持される。前記保持器セグメント15の位置が目標とされる位置から回転方向17に沿ってずれる場合、前記関係するバネ要素30aまたは30bには圧力がかかり、関係するバネ力及び予めかけられた力31a及び31bが該保持器セグメント15をその目標位置に戻すのに利用可能となる。
【0045】
図6〜8による実施形態においては、前記バネ要素30a及び30bは前記保持器セグメント15上に支持されて、前記ガイドリム19aから引き離され得及び該ガイドリムへ再び押し付けられ得る。この場合、前記バネ要素30a及び30bは、関係する第2の回転ベアリング22及びその両側に配列するために関係する第2の縦方向のガイド24bを形成することができる。ここでガイドリム19aを押し付け効果から保護するためには、前記バネ要素30a及び30bの圧力を予めそれぞれストップA1及びストップA2かけ、特に前記ガイドリム19aの直径などの関係するガイドリム19aの横断面寸法に相当する距離Xだけ該バネ要素30a及び30bを離して位置させ、ほとんど動きのゆとりのない状態で適用可能ならば、その間で該ガイドリム19aを容易に移動可能にすることが有利である。
【0046】
正確に言うと特にバネ要素30a及び30bが少なくともお互いに向き合う側面の横断面が丸いとき、特にそれぞれが丸いピンを形成するときに、バネ要素30a及び30bはまた回転ベアリング22を形成する。
【0047】
前記ガイドリム19aの回転平面E4に対して横方向に延び、該ガイドリム19aをその二また部中に部分的に覆い、そしてその該ガイドリム19aから離れる方向に面する端部領域が前記保持器セグメント15に保持される2本の棒を有するバネがバネ要素30a及び30bとして適当である。これらの2本の棒を有するバネを誘導するために、外側に開く溝32を前記保持器セグメント15中に配置することができ、この溝の底部の表面にストップA1及びA2を形成させることができる。
【0048】
この実施形態では前記バネ要素13a及び13bは、U字型共通バネ30のリムによって形成され、関係するバネウェブ30cを有する該U字型共通バネ30のリムの端部は、例えば転動体13fと、前記保持器セグメント15中の溝32の底部表面間に配列されるピボットピン22aのウェブ34との間などの、該保持器セグメント15のすき間33中に設置される。
【0049】
前記共通バネ30の弾力性を改善するためには、U字型バネのバネリムを連結するバネウェブ30cをバネコイル35によって形成するのが有利であり、そこではバネコイル35はバネリムのバネ平面に対して横方向に延長され、これによって棒状のバネ要素30a及び30bをお互いに連結する。
【符号の説明】
【0050】
1 アキシャルピストン機械
2 シリンダードラム
3 シャフト
3a 回転軸
4 ハウジング
4a ハウジング土台
4b 円周方向壁
5 覆い
6,7 回転ベアリング
8 シリンダーボア
9 ピストン
11 スライドシュー
12 斜板
13 ピボットベアリング
13a 回転軸
13b ピボットベアリング部分(回転不能)
13c ピボットベアリング部分(回転可能)
13d、13e ベアリング表面
13f 転動体
13g すき間
14 調整要素
15 保持器セグメント
16 軸受筒穴
17 両矢印で示された回転方向
18 ガイド装置
19 横長のガイド
19a,19b ガイドリム
21 第1の回転ベアリング
21a ベアリング穴
22 第2の回転ベアリング
22a ピボットピン
22b ガイド穴
22c 統合された軸
22d ベアリング穴
23 第1の縦方向のガイド
24 連結リンクガイド
24a 回転ベアリング
24b 縦方向のガイド
24c 丸い統合されたピン
24d 回転ベアリング穴
24e 横に開けられたベアリング穴
25 成形物
25a ループ
27 縦方向の部分
30a,30b バネ要素
30c バネウェブ
31a,31b バネをリセットする力
32 溝
33 すき間
34 ウェブ
a ギャップ
A1,A2 ストップ
E1 横平面
E2 アキシャル平面
E3 共通平面
W1 回転角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜板(Schraegscheibe)(12)のための回転軸(13a)を有する2個のピボットベアリング部分(Schwenklagerteien)(13b及び13c)を含むピボットベアリング(Schwenklager)(13)を有するアキシャルピストン機械(1)であって、該ピボットベアリング部分(13b及び13c)がお互いに向き合う側に円弧の形にカーブしたベアリング表面(13d及び13e)を有し、該ベアリング表面の間にはギャップ(a)が配列され、該ギャップの中には複数の転動体(13f)を有する保持器セグメント(Kaefigsegment)(15)が同様に該回転軸(13a)を中心に回転可能な状態で支持され、該保持器セグメント(15)は角のあるガイド要素(19)によって誘導され、該角のあるガイド要素は該ギャップ(a)を横に延びそして横断する第1のガイドリムを有し、該第1のガイドリムは該回転軸(13a)と平行に延びる第1の回転軸(21b)を中心に回転可能な状態で第1の回転ベアリング(21)によっておよび該保持器セグメント(15)上で移動可能な状態の第1の縦方向のガイド(23)によって支持され、そしてその端部で第2のガイドリムに連結し、該第2のガイドリムは該第1のガイドリムの回転平面(E4)に対して横方向に延び、第2の回転ベアリング(24a)によって回転可能な状態で一方のピボットベアリング部分(13b)に連結され、及び第2の縦方向のガイド(23)によってもう一方のピボットベアリング部分に移動可能かつ回転可能な状態で連結され、該第1のガイドリム及び/または該第2のガイドリムはそれぞれ横に配向する成形物(25)を有するアキシャルピストン機械。
【請求項2】
前記成形物(25)によって前記ガイドリム(19a及び19b)がお互いに連結されることを特徴とする、請求項1に記載のアキシャルピストン機械。
【請求項3】
少なくとも一方のガイドリムが他方のガイドリムと交差し、前記成形物(25)がループ(25a)を形成することを特徴とする、請求項2に記載のアキシャルピストン機械。
【請求項4】
前記成形物(25)または前記ループ(25a)が該成形物(25)またはループ(25a)の面に対して横向きの方向にも成形されることを特徴とする、請求項3に記載のアキシャルピストン機械。
【請求項5】
前記成形物(25)またはループ(25a)がS字型成形物部分またはループ部分(27)によって一方のガイドリム(19a)に連結されることを特徴とする、請求項3または4に記載のアキシャルピストン機械。
【請求項6】
斜板(12)のための回転軸(13a)を有する2個のピボットベアリング部分(13b及び13c)を含むピボットベアリング(13)を有するアキシャルピストン機械(1)であって、該ピボットベアリング部分(13b及び13c)がお互いに向き合う側に円弧の形にカーブしたベアリング表面(13d及び13e)を有し、該ベアリング表面の間にはギャップ(a)が配列され、該ギャップの中には複数の転動体(13f)を有する保持器セグメント(15)が同様に該回転軸(13a)を中心に回転可能な状態で支持され、該保持器セグメント(15)は該ギャップ(a)に対して横方向に横切る第1のガイドリム(19a)によって誘導され、該第1のガイドリムはその回転平面(E4)中で回転可能な状態でそれぞれ回転ベアリング(21、22、及び24a)によって2個のピボットベアリング部分(13b及び13c)並びに該保持器セグメント(15)に連結され、そして該2個のピボットベアリング部分(13b及び13c)並びに該保持器セグメントからなる3部分の1つに運動不能な状態で連結されかつ縦方向のガイド(23及び24b)によってそれぞれ他の2つの部分に縦方向に移動可能な状態で連結され、該保持器セグメント(15)は該第1のガイドリム(19a)上に、該第1のガイドリム(19a)の両側に配列されその回転平面(E4)内で伸縮可能な状態である2個のバネ要素(30a及び30b)によって支持され、該バネ要素(30a及び30b)の圧力が該第1のガイドリム(19a)に対して予めかけられているアキシャルピストン機械。
【請求項7】
前記バネ要素(30a及び30b)が前記保持器セグメント(15)上、特に該保持器セグメント(15)に回転可能な状態で支持されるピボットピン(22a)上に支持されることを特徴とする、請求項6に記載のアキシャルピストン機械。
【請求項8】
前記バネ要素(30a及び30b)それぞれの圧力が前記保持器セグメント(15)上または前記ピボットピン(22a)上に配列されるストップ(A1及びA2)に予めかけられることを特徴とする、請求項7に記載のアキシャルピストン機械。
【請求項9】
1端で二またの形の中で前記第1のガイドリム(19a)を部分的に覆い、もう一方の端で前記保持器セグメント(15)またはピボットピン(22a)上に支持される棒状のバネリムによって前記バネ要素(30a及び30b)が形成されることを特徴とする、請求項7または8に記載のアキシャルピストン機械。
【請求項10】
前記棒状のバネリムが前記保持器セグメント(15)または前記ピボットピン(22a)の中のすき間または溝(32)の中に配列されることを特徴とする、請求項9に記載のアキシャルピストン機械。
【請求項11】
前記すき間または溝(32)の底部表面にストップ(A1及びA2)が形成されることを特徴とする、請求項10に記載のアキシャルピストン機械。
【請求項12】
前記バネリムがU字型共通バネ(30)の一部であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載のアキシャルピストン機械。
【請求項13】
前記バネリムがお互いにコイル状のバネウェブ(30c)によって連結されることを特徴とする、請求項12に記載のアキシャルピストン機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−537737(P2009−537737A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511371(P2009−511371)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004322
【国際公開番号】WO2007/134757
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(506010219)ブリューニングハウス ハイドロマティック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (13)
【Fターム(参考)】