説明

保護フィルム貼付機

【課題】 畝が変形している場合でも保護フィルムを安定的な品質で貼り付けることができるようにする。
【解決手段】 本発明の保護フィルム貼付機1は、畝UのマルチフィルムS上に生長する苗Nを畝幅方向における所定位置Pに寄せる位置寄せ部2と、左右両側辺に接着面Taを備えた保護フィルムTを畝Uに対して繰り出す繰出部3と、位置寄せ部2の後方で、苗Nを覆うように該保護フィルムTをマルチフィルムS上に貼り付ける貼付部4とが、走行車輪7により畝長さ方向へ走行自在に支持された機体6に装備している。そして、位置寄せ部2及び貼付部4は、それぞれ機体6に対して略上下移動自在に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチ栽培される苗を保護するための保護フィルムをマルチフィルム上に貼り付けるための保護フィルム貼付機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の保護フィルム貼付機として、特許文献1記載のマルチ栽培苗の保護フィルム貼付け機を例示する。この保護フィルム貼付け機は、図6及び図7に示すように、両側辺に接着面82aを備えた苗保護フィルム82を原反ロール83から繰り出して、畝のマルチフィルム上に貼付けてゆくものである。そして、原反ロール83を横架支持するロール支持台84と、マルチフィルムが被覆された畝上を転動する4つのフィルム押付けローラ87と、原反ロール83から繰り出された全幅伸展状態の保護フィルム82をV字状に案内する一対の傾斜ガイド88と、保護フィルム82の中央に作用して保護フィルム82を下方に垂ませる押下げガイド89と、折り曲げによって幅が縮少された保護フィルム82を偏平状に折り重ねてフィルム押付けローラ87の下方に案内する折り重ねガイド92とを走行機枠93に装備してある。
【0003】
そして、保護フィルム82は皺のない全幅伸展状態で原反ロールから繰り出され、左右一対の傾斜ガイド88と押し下げガイド89とによってV字形に幅寄せされた後、横長の折り重ねガイド92に導かれて扁平状に折り重ねられ、所定の幅に狭められた状態で左右のフィルム押付けローラ87の下方に案内されてマルチフィルム上に貼付けられてゆくようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−154504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、走行機枠93に4つのフィルム押し付けローラ87が直接的に支持されているため、畝が変形している場合に、その変形形状にフィルム押し付けローラ87が追従できず、保護フィルム82の押さえ具合にバラツキがでることがあるという課題がある。
【0006】
また、いもの苗のように、畝表面に沿って広範囲に生長する場合、そのまま保護フィルム82を貼ったのでは該保護フィルム82の側辺から苗がはみ出てしまう。このため、苗を保護フィルム82を貼り付ける範囲内に集めてから貼る必要があり、手間が掛かるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の保護フィルム貼付機は、
畝のマルチフィルム上に生長する苗を畝幅方向における所定位置に寄せる位置寄せ部と、
左右両側辺に接着面を備えた保護フィルムを畝に対して繰り出す繰出部と、
前記位置寄せ部の後方で、前記苗を覆うように該保護フィルムを前記マルチフィルム上に貼り付ける貼付部とが、走行手段により畝長さ方向へ走行自在に支持された機体に装備された保護フィルム貼付機であって、
前記位置寄せ部及び前記貼付部は、それぞれ前記機体に対して略上下移動自在に支持されている。
【0008】
この構成によれば、畝が変形していても、前記位置寄せ部及び前記貼付部が略上下移動し、該変動を吸収するようになっている。このように、畝上面における前記苗及び前記保護フィルムに対しそれぞれ前記位置寄せ部及び前記貼付部がそれぞれの機能を安定的に発揮することができる。
【0009】
前記位置寄せ部は、前記所定位置の左右に位置するようにそれぞれ配設されており、
該両位置寄せ部は、前記機体に対して互いに独立に略上下移動自在に支持された態様を例示する。
【0010】
この構成によれば、畝上面における左右両側の相対高さが変動しても、前記両位置寄せ部が互いに独立に略上下移動し、該変動を吸収するようになっている。このため、畝上面における前記苗に対し前記両位置寄せ部がそれぞれの機能を安定的に発揮するようになっている。
【0011】
前記貼付部は、前記所定位置の左右に位置するようにそれぞれ配設されており、
該両貼付部は、前記機体に対して左右に揺動自在に支持された態様を例示する。
【0012】
この構成によれば、前記機体に対する畝上面の傾きが変動しても、前記両貼付部が適宜左右に揺動し、該変動を吸収するようになっている。このため、畝上面における前記保護フィルムに対し前記両貼付部がそれぞれの機能を安定的に発揮するようになっている。
【0013】
前記位置寄せ部は、前記機体に対して略上下移動自在に支持されるとともに、畝上面側を転動する畝ガイドローラを介して畝上の所定高さに支持されるように構成された態様を例示する。
【0014】
この構成によれば、前記ブラシは前記畝上面ガイドローラにより畝上の前記所定高さに支持されているので、前記苗に過大な力が掛かることを防止し、該苗を傷めることを防止できる。
【0015】
前記位置寄せ部は、前記機体に対して略上下移動自在に支持されるとともに、該位置寄せ部の近傍における畝側面側を転動する畝側面ガイドローラを介して畝幅方向へガイドされるように構成された態様を例示する。
【0016】
この構成によれば、前記位置寄せ部は前記畝側面ガイドローラにより畝幅方向へガイドされているので、畝曲がり等の畝幅方向への畝の変形に追従するようになっている。また、該位置寄せ部を介して前記機体の進行方向も畝幅方向への畝の変形に追従するようになっている。
【0017】
前記貼付部は、該貼付部の近傍における畝側面側を転動する畝側面ガイドローラを介して畝幅方向へガイドされるように構成された態様を例示する。
【0018】
この構成によれば、前記貼付部は前記畝側面ガイドローラにより畝幅方向へガイドされているので、畝曲がり等の畝幅方向への畝の変形に追従するようになっている。また、該貼付部を介して前記機体の進行方向も畝幅方向への畝の変形に追従するようになっている。そして、前記位置寄せ部の近傍と、前記貼付部の近傍との両方に前記畝側面ガイドローラを設けると、畝幅方向への畝の変形に対する前記機体の進行方向の追従性をさらに向上させることができる。
【0019】
前記位置寄せ部又は/及び前記貼付部は、該機体上方へ退避した退避位置へ移動可能に構成された態様を例示する。
【0020】
この構成によれば、保護フィルムを貼り付ける作業を行わないときは、前記位置寄せ部又は/及び前記貼付部を前記退避位置に移動させることができるので、例えば前記機体を畝に沿って走行させるときでも、畝や畝上の苗と前記位置寄せ部又は/及び前記貼付部とが互いに干渉することがなく、前記機体をスムーズに走行させることができる。
【0021】
前記位置寄せ部及び前記貼付部は、該機体上方へ退避した退避位置へ連動して移動可能に構成された態様を例示する。
【0022】
この構成によれば、前記位置寄せ部及び前記貼付部を前記退避位置へ移動させる作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る保護フィルム貼付機によれば、畝が変形している場合でも保護フィルムを安定的な品質で貼り付けることができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1〜図5は本発明を具体化した第一実施形態の保護フィルム貼付機1を示している。この保護フィルム貼付機1は、畝UのマルチフィルムS上に生長する苗Nを畝幅方向における所定位置P(図2参照)に寄せる位置寄せ部2と、左右両側辺に接着面Taを備えた保護フィルムTを畝Uに対して繰り出す繰出部3と、位置寄せ部2の後方で、苗Nを覆うように該保護フィルムTをマルチフィルムS上に貼り付ける貼付部4と、手押し式ハンドル5とが、走行手段により畝長さ方向へ走行自在に支持された機体6に装備されている。本例では、走行手段として、畝両側における畝間をそれぞれ走行する左右一対の走行車輪7を用いている。なお、各図において、矢印Fは機体前側を指し示している。
【0025】
機体6は、両端部がそれぞれ伸縮可能に構成された横フレーム11と、該横フレーム11の両側に上下高さ調節可能に取り付けられた一対の脚フレーム12とを備えている。脚フレーム12の下側先端部には走行車輪7が回転自在に軸支されており、横フレーム11の両端部を伸縮させることにより走行車輪7の間隔が調節可能になっている。
【0026】
位置寄せ部2は、基端側が横フレーム11の左右に間隔をおいてそれぞれ上下揺動自在に軸支されて前方に延びる一対の前揺動アーム13の先端部において、前後に間隔をおいて略平行に列設された前後一対の第1ブラシ14及び第2ブラシ15を備えている。図2に示すように、左右の第1ブラシ14と左右の第2ブラシ15は、それぞれ機体後方になるほど互いの間隔が徐々に狭くなるように略ハ字状に配設されており、機体6の前方への進行に伴って畝上に広がる苗Nを所定位置Pに寄せるようになっている。また、一対の第1ブラシ14の後端部同士の間隔よりも、その後方にある一対の第2ブラシ15の後端部同士の間隔を狭くすることにより、苗Nを無理なく確実に所定位置Pに寄せるようになっている。図1〜図3に示すように、各前揺動アーム13の先端側は、畝上面側を転動する畝上面ガイドローラ16を介して畝上の所定高さに支持されるように構成されるとともに、畝側面側を転動する畝側面ガイドローラ17を介して畝幅方向へガイドされるように構成されている。また、各前揺動アーム13は、繰出部3に係止されるように取り付けられた係止片18により、所定角度よりも下方に回動しないようになっている。
【0027】
繰出部3は、横フレーム11に支持され、フィルムロールRを回転自在に支持するロール支持部21と、該ロール支持部21の下方において横フレーム11に支持され、フィルムロールRから繰り出された保護フィルムTを機体後方へガイドするガイドローラ22とを備えている。ロール支持部21は、横フレーム11の両端側にそれぞれ前方へ突設された一対のロール支持アーム23と、該両ロール支持アーム23の先端に取り付けられたロール取付ホルダー24とを備えている。両ロール取付ホルダー24は、フィルムロールRの芯部を挟持可能に、それぞれ機体内方へスライド自在に支持されるとともに、該機体内方へ付勢手段としてのバネ25により付勢されている。
【0028】
貼付部4は、基端側が横フレーム11の中央部に上下揺動自在に軸支されて後方に延びる後揺動アーム27の先端部に設けられた左右一対のフィルム圧着ローラ28を備えている。図1、図2及び図4に示すように、フィルム圧着ローラ28は、所定位置Pの左右に位置するようにそれぞれ配設されており、該両フィルム圧着ローラ28は、後揺動アーム27と略平行な軸27aを中心にして、機体6に対して左右に揺動自在に支持されている。後揺動アーム27は、その基端側に固定された軸29を中心に回動自在に支持されており、該軸29には、回動レバー30の中央部が固定されている。回動レバー30は、前端側が付勢手段としての引張バネ31により上方に付勢されており、後端側が後述する操作レバー35にワイヤ32を介して連結されている。
【0029】
ハンドル5は、機体6の横フレーム11の中央部において、後斜め上方に延びるように、傾斜角度調節可能に取り付けられている。ハンドル5の後端部には、操作レバー35と、該操作レバー35が握られた状態を固定又は解除するためのロックレバー36が設けられている。そして、操作レバー35を握ると、図5に示すように、ワイヤ32、回動レバー30、及び後揺動アーム27を介してフィルム圧着ローラ28が機体上方へ退避した退避位置Q1に移動するようになっており、さらに、ロックレバー36を操作することによりフィルム圧着ローラ28を退避位置Q1に固定することができるようになっている。
【0030】
次に、本保護フィルム貼付機1の動作について説明する。本例では、いもの苗Nを保護フィルムTで覆う場合であり、畝幅方向における所定位置Pとして畝幅方向の略中央部としている。まず、保護フィルム貼付機1の機体6が保護フィルム貼付対象の畝Uを跨ぐとともに畝長さ方向かつ進行方向を向くように配置する。このとき、ロックレバー36は操作レバー35の固定を解除した状態にしておく。次いで、保護フィルムTの先端部をフィルムロールRから引き出して、畝上面の所定位置Pを覆うように貼り付ける。次いで、ハンドル5を押して、機体6を前方に進行させる。すると、機体6の進行に伴って、位置寄せ部2の左右のブラシ14,15が苗Nを所定位置Pに寄せて行く。これと同時に、繰出部3から保護フィルムTが引き出され、該苗Nを覆うように被せられ、貼付部4の両フィルム圧着ローラ28により保護フィルムTの両側辺の接着面TaがマルチフィルムSに圧着されて貼り付けられて行くようになっている。
【0031】
また、シート貼付作業を行わずに保護フィルム貼付機1を畝長さ方向へ走行させるときは、まず、ハンドル5を下方に押し下げて機体6を後方に倒すことにより、該機体6に対し相対的に貼付部4が退避位置Q1になるようにする(操作レバー35を握ることにより貼付部4を退避位置Q1に移動させるようにしてもよい)。この状態をロックレバー36により固定する。次いで、ハンドル5を操作することにより機体6の傾きを調節し、図5に示すように、貼付部4が畝上方に退避した状態になるとともに、位置寄せ部2も係止片18により係止されることにより、畝上方の退避位置Q2に退避した状態にする。この状態で、ハンドル5を押すと、機体6を楽に走行させることができるようになっている。
【0032】
以上のように構成された本例の保護フィルム貼付機1によれば、畝Uが変形していても、位置寄せ部2及び貼付部4が略上下移動し、該変動を吸収するようになっている。このように、畝上面における苗N及び保護フィルムTに対しそれぞれ位置寄せ部2及び貼付部4がそれぞれの機能を安定的に発揮することができる。
【0033】
位置寄せ部2は、所定位置Pの左右に位置するようにそれぞれ配設されており、該両位置寄せ部2は、機体6に対して互いに独立に略上下移動自在に支持されているので、畝上面における左右両側の相対高さが変動しても、両位置寄せ部2が互いに独立に略上下移動し、該変動を吸収するようになっている。このため、畝上面における苗Nに対し両位置寄せ部2がそれぞれの機能を安定的に発揮するようになっている。
【0034】
貼付部4は、所定位置Pの左右に位置するようにそれぞれ配設されており、該両貼付部4は、機体6に対して左右に揺動自在に支持されているので、機体6に対する畝上面の傾きが変動しても、両貼付部4が適宜左右に揺動し、該変動を吸収するようになっている。このため、畝上面における保護フィルムTに対し両貼付部4がそれぞれの機能を安定的に発揮するようになっている。
【0035】
位置寄せ部2は、畝上面ガイドローラ16により畝上の前記所定高さに支持されているので、苗Nに過大な力が掛かることを防止し、該苗Nを傷めることを防止できる。
【0036】
位置寄せ部2は畝側面ガイドローラ17により畝幅方向へガイドされているので、畝曲がり等の畝幅方向への畝Uの変形に追従するようになっている。また、該位置寄せ部2を介して機体6の進行方向も畝幅方向への畝Uの変形に追従するようになっている。
【0037】
貼付部4及び位置寄せ部2は、該機体上方へ退避した退避位置Q1,Q2へそれぞれ移動可能に構成されているので、これらを該退避位置Q1,Q2へ移動させることにより、例えば機体6を畝Uに沿って走行させるときでも、畝Uや畝上の苗Nと貼付部4とが互いに干渉することがなく、機体6をスムーズに走行させることができる。
【0038】
次に、図8〜図12は本発明を具体化した第二実施形態を示している。この保護フィルム貼付機40は、以下に示す点において、主に第一実施形態と相違している。従って、同実施形態と共通する部分については、同一符号を付することにより重複説明を省く。
【0039】
機体6は、図9及び図11に示すように、その横フレーム11に、左右に間隔をおいて下方へ突設された一対の下垂フレーム11aを備えている。また、機体6は、図8に示すように、上下に延びる一対の脚フレーム12を備えている。各脚フレーム12の上端部には、保護フィルムとしての紙シートTが巻かれてなる予備の紙シートロールRが搭載可能になっている。また、各脚フレーム12の下端部には、走行車輪7がそれぞれ回転自在に軸支されている。本例では、脚フレーム12が上下に直線的に延びており、ハンドル5から走行車輪7の回転軸までの距離が第一実施形態のものよりも長くなるので、ハンドル5の操作量に対する機体の反応が緩やかになる。これにより、一般に急激なハンドル操作が必要ない保護フィルム貼付作業においては、操縦性が向上する。
【0040】
機体6の一側方側には、図8に示すように、略扇形に形成されたベースプレート41が固定されており、該ベースプレート41における扇形の略中心位置には、機体内方へ支軸42が突設されている。支軸42には、該軸回りに回動可能かつ該軸長さ方向へ傾動可能にスタンド43が支持されている。スタンド43は、それが支軸42の軸長さ方向へ傾動しないようにする付勢手段としてのバネ44によりベースプレート側へ付勢されており、スタンド43のベースプレート側に突設された係止凸部43aをベースプレート41の上端縁、下端縁、又はベースプレート41に設けられた係止穴41aに係止することにより、機体6を地面に支持する下降位置(図8に実線で示す位置)や、上方に退避した上昇位置(図8に二点鎖線示す位置)等に位置決めするようになっている。スタンド43の位置変更は、バネ44に逆らってスタンド43を支軸42の軸長さ方向へ傾動させ、前記係止を解除することにより行うようになっている。
【0041】
位置寄せ部2は、図11に示すように、両下垂フレーム11aに回転自在に軸支され、横フレーム11と平行に延びる横軸体46と、前揺動アーム13を昇降駆動するために、横軸体46に中央部が固定された駆動レバー47と、横軸体46に対して一定角度範囲内で相対回動可能に外挿された一対の筒体48とを備えている。一対の前揺動アーム13は、一対の筒体48に各基端側がそれぞれ固定されている。本例では、横軸体46及び筒体48の両方にそれらの径方向へ延びる貫通穴46a,48aが設けられ、少なくともいずれか一方の貫通穴よりも小径に形成されたピン49が該両貫通穴46a,48aに挿入された状態で設けられることにより、横軸体46に対して筒体48が一定角度範囲内で相対回動可能となるように構成している。このようにして、本例の前揺動アーム13は回動角度範囲が規制されるようになっており、第一実施形態における係止片18を備えていない。また、本例の位置寄せ部2は、第一実施形態における畝上面ガイドローラ16を備えておらず、前後一対の第1ブラシ14及び第2ブラシ15により、各前揺動アーム13の先端側が畝上の所定高さに支持されるようになっている。
【0042】
繰出部3は、図9及び図10に示すように、紙シートロールRを取り付けるためのロール取付ホルダー24を機体外方へ移動させた状態で保持するストッパー手段を備えている。本例では、ロール取付ホルダー24における機体外方側は、ロール支持アーム23に設けられた貫通穴23aにスライド自在かつ回転自在に挿入されるとともに抜け止め24aが設けられており、該抜け止め24aのところにストッパ−手段としてのストッパー金具51が取り付けられている。このストッパー金具51は、先端部51aが機体内方へ向くように折曲形成されてなる略L字状に形成されており、図10に二点鎖線で示すように、該先端部51aをロール支持アーム23の機体外方側面に乗り上げさせることによって、ロール取付ホルダー24を機体外方へ移動させた状態で保持するようにしており、これにより紙シートロールRの取り付けを容易にできるようにしている。
【0043】
貼付部4における軸29には、機体前方へ延びる回動レバー30が固定されている。回動レバー30の先端側は、付勢手段としての引張バネ31により上方に付勢されるとともに、駆動レバー47の後端側に押し下げられるようになっている。また、両フィルム圧着ローラ28の軸の先端部には、図8及び図9に示すように、ロール支持フレーム53を介して、畝側面側を転動する畝側面ガイドローラ54が支持されている。本例では、畝形状に応じて畝側面ガイドローラ54の位置が適宜調節可能となるように、ロール支持フレーム53は、フィルム圧着ローラ28の軸の軸長さ方向及び軸周方向における取付位置が調節可能になっている。このように、本例の貼付部4は、該貼付部4の近傍における畝側面側を転動する畝側面ガイドローラ54を介して畝幅方向へガイドされるように構成されている。
【0044】
ハンドル5は、図8及び図12に示すように、操作レバー35の支軸の位置と、該操作レバー35におけるワイヤ32の連結位置を工夫することにより、第一実施形態におけるロックレバー36を設けずに、操作レバー35の状態が保持されるように構成している。この操作レバー35は、ワイヤ32を介して駆動レバー47の前端側に連結されている。本例では、図8に示すように、操作レバー35を前側に倒すと、ワイヤ32が緩んで、駆動レバー47の前端側が前方に回動し、横軸体46、ピン49、及び筒体48を介して前揺動アーム13が上下に回動可能となることにより、位置寄せ部2が使用位置になる。これとともに、駆動レバー47の後端側が上がるので、回動レバー30の先端側が上がり、後揺動アーム27も上下に回動可能となることにより、貼付部4も使用位置になる。また、図12に示すように、操作レバー35を後側に倒すと、ワイヤ32が張って駆動レバー47の前端側が後方に引かれ、横軸体46、ピン49、及び筒体48を介して前揺動アーム13が上方に持ち上げられることにより、位置寄せ部2が退避位置Q2になる。これとともに、駆動レバー47の後端側が下がるので、回動レバー30の先端側が押し下げられ、後揺動アーム27が上方に持ち上げられることにより、貼付部4も退避位置Q1になる。このように、位置寄せ部2及び貼付部4は、該機体上方へ退避した退避位置Q2,Q1へ連動して移動可能に構成されている。このため、第一実施形態とは異なり、位置寄せ部2及び貼付部4の両方が上方に退避するので、非作業中にハンドル5を押し下げて機体6の傾きを調節する必要がなく、作業者が作業中、非作業中に関わらず同じ姿勢でハンドル5の操作をすることができる。
【0045】
本例の保護フィルム貼付機によれば、第一実施形態と同様の効果に加え、上記本例特有の効果を得ることができる。
【0046】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)位置寄せ部2における左右のブラシをそれぞれ1列又は3列以上にすること。
(2)左右の畝側面ガイドローラ17を省くこと。
(3)第二実施形態の保護フィルム貼付機40に、第一実施形態における畝上面ガイドローラ16を設けること。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を具体化した第一実施形態に係る保護フィルム貼付機の側面図である。
【図2】同保護フィルム貼付機の平面図である。
【図3】同保護フィルム貼付機の畝上面ガイドローラ及び畝側面ガイドローラを示す正面図である。
【図4】同保護フィルム貼付機のフィルム圧着ローラを示す正面図である。
【図5】貼付部及び位置寄せ部を退避位置に移動させた状態における同保護フィルム貼付機の側面図である。
【図6】従来の保護フィルム貼付機の側面図である。
【図7】同保護フィルム貼付機の平面図である。
【図8】本発明を具体化した第二実施形態に係る保護フィルム貼付機の側面図である。
【図9】同保護フィルム貼付機の平面図である。
【図10】同保護フィルム貼付機の正面図である。
【図11】図9のXI−XI線断面図である。
【図12】貼付部及び位置寄せ部を退避位置に移動させた状態における同保護フィルム貼付機の側面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 保護フィルム貼付機
2 位置寄せ部
3 繰出部
4 貼付部
5 ハンドル
6 機体
7 走行車輪
14 第1ブラシ
15 第2ブラシ
16 畝上面ガイドローラ
17 畝側面ガイドローラ
18 係止片
21 ロール支持部
22 ガイドローラ
28 フィルム圧着ローラ
40 保護フィルム貼付機
54 畝側面ガイドローラ
N 苗
P 所定位置
Q1 退避位置
Q2 退避位置
R フィルムロール
S マルチフィルム
T 保護フィルム
Ta 接着面
U 畝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
畝のマルチフィルム上に生長する苗を畝幅方向における所定位置に寄せる位置寄せ部と、
左右両側辺に接着面を備えた保護フィルムを畝に対して繰り出す繰出部と、
前記位置寄せ部の後方で、前記苗を覆うように該保護フィルムを前記マルチフィルム上に貼り付ける貼付部とが、走行手段により畝長さ方向へ走行自在に支持された機体に装備された保護フィルム貼付機であって、
前記位置寄せ部及び前記貼付部は、それぞれ前記機体に対して略上下移動自在に支持された保護フィルム貼付機。
【請求項2】
前記位置寄せ部は、前記所定位置の左右に位置するようにそれぞれ配設されており、
該両位置寄せ部は、前記機体に対して互いに独立に略上下移動自在に支持された請求項1記載の保護フィルム貼付機。
【請求項3】
前記貼付部は、前記所定位置の左右に位置するようにそれぞれ配設されており、
該両貼付部は、前記機体に対して左右に揺動自在に支持された請求項1又は2記載の保護フィルム貼付機。
【請求項4】
前記位置寄せ部は、前記機体に対して略上下移動自在に支持されるとともに、畝上面側を転動する畝上面ガイドローラを介して畝上の所定高さに支持されるように構成された請求項1〜3のいずれか一項に記載の保護フィルム貼付機。
【請求項5】
前記位置寄せ部は、前記機体に対して略上下移動自在に支持されるとともに、該位置寄せ部の近傍における畝側面側を転動する畝側面ガイドローラを介して畝幅方向へガイドされるように構成された請求項1〜4のいずれか一項に記載の保護フィルム貼付機。
【請求項6】
前記貼付部は、該貼付部の近傍における畝側面側を転動する畝側面ガイドローラを介して畝幅方向へガイドされるように構成された請求項1〜5のいずれか一項に記載の保護フィルム貼付機。
【請求項7】
前記位置寄せ部又は/及び前記貼付部は、該機体上方へ退避した退避位置へ移動可能に構成された請求項1〜6のいずれか一項に記載の保護フィルム貼付機。
【請求項8】
前記位置寄せ部及び前記貼付部は、該機体上方へ退避した退避位置へ連動して移動可能に構成された請求項1〜6のいずれか一項に記載の保護フィルム貼付機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−89559(P2007−89559A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376679(P2005−376679)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000100469)みのる産業株式会社 (158)
【Fターム(参考)】