説明

偏光フィルムを有する車両内表示装置用表示要素

本発明は、車両の表示装置用の表示要素(1)であって、基板(1.1)と偏光フィルム(1.2)とから形成される前記表示要素(1)に関する。表示要素は、光源によって背後から光を当てられる。基板には、図形記号(4)がインプリントされている。偏光フィルムは、円偏光フィルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の表示装置用の表示要素に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォトエマルジョン層からなるカラーフィルター及び/又は被覆マトリックスを貼り付ける方法と、フォトエマルジョン層とを有する貼り付け用の積層体とが開示されている。この方法では、少なくとも1つのフォトエマルジョン層からなるカラーフィルター及び/又は被覆マトリックスが、硬い基板、特に液晶ディスプレイの構造用のガラス基板に貼り付けられ、この少なくとも1つのフォトエマルジョン層が可撓性偏光フィルムの一方の面に貼り付けられる。接着剤層が偏光フィルムの他方の面に貼り付けられ、偏光フィルムに貼り付けられたこの接着剤層を有する層構造が基板上に積層される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許発明第19804150号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術と比較して改良された車両の表示装置用の表示要素を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載された特徴を用いて、本発明により達成される。
【0006】
本発明の有利な発展形は、従属請求項の主題である。
【0007】
車両の表示装置のための本発明の表示要素において、表示要素は基板と偏光フィルムとから形成される。
【0008】
表示要素は、詳細には、車両の多機能表示装置である表示装置の構成要素である。
【0009】
表示要素が偏光フィルムと基板とから形成されることによって、基板の後ろに生じる電磁放射の透過、すなわち、可視光の透過が増大され、表示要素自体によって引き起こされる反射が有利なことに大部分は排除される。また、偏光フィルムの効果は、表示要素を見る人がその輪郭に気付かないか、又は少なくともほとんど気付かないことである。
【0010】
この目的のために、偏光フィルムは、不完全な、完全な、及び/又は接着による方法で、基板に直接貼り付けられる。反射を避けることに加えて、偏光フィルムの基板への不完全な、完全な、及び/又は接着による直接的固定の効果は、表示要素への粉塵及び/又は水分の侵入を低減することである。更に、不完全な、完全な、及び/又は接着による固定は、基板及び/又は偏光フィルムが動くことを概ね防ぐ。
【0011】
例えば、偏光フィルムは、リベット及び/又はラッチ接続によって基板に固定される。
【0012】
接着促進剤を用いて偏光フィルムを基板に接着することが特に好ましく、接着促進剤は、好ましくは、基板及び/又は偏光フィルムの表面に完全に塗布されるのではなく、一部の領域にのみ塗布される。例えば、接着剤は偏光フィルム及び/又は基板のエッジ領域にのみ塗布され、それによって表示要素への粉塵及び/又は水分の侵入が妨げられる。
【0013】
代わりに、偏光フィルムは、積層法で基板に貼り付けることができる。そのために、偏光フィルムは、一方ではホットラミネーションによって、他方ではコールドラミネーションによって、基板に貼り付けることができる。ホットラミネーションの場合、室温では固体である偏光フィルムの接着剤が基板と融合する。そのために、偏光フィルムは、例えば、基板上に正確に合わせて配置され、例えば、積層ユニットのホットロール上に案内され、そして偏光フィルムを基板に熱で接続する。この接続は、基板と偏光フィルムとからユニットを形成し、破壊的にのみこの接続を外すことができる。
【0014】
更なる代替的な実施形態において、偏光フィルムは、更なる固定手段なしで基板に配置することができる。そのために、偏光フィルムは単に基板上に置かれるだけである。
【0015】
偏光フィルムは、詳細には、円偏光フィルムであり、この偏光フィルムによって、とりわけ、外部から表示要素に入射した光が再帰反射されることが防止される。
【0016】
表示要素の基板は、好ましくはインプリントされ、例えば、スケール表示部、及び/又は、記号の形のグラフィック表示要素を、車両のドライバーのための情報として、基板上に印刷することができる。代わりに又は加えて、基板には、例えば、テキストなどの他の表現がインプリントされることもできる。
【0017】
基板及び偏光フィルムは、好ましくは、偏光フィルムが基板の全域を覆うように、ほぼ同じ大きさを有する。したがって、表示要素の照明によって生じることがある反射が、基板の全領域に対して防止され、又は少なくとも低減される。
【0018】
代替案として、偏光フィルムは、基板の小領域のみが偏光フィルムで覆われるような寸法を有することができる。
【0019】
表示装置は、好ましくは、表示要素に光を当てることができるように、少なくとも1つの光源を備える。偏光フィルムは表示要素によって反射された光が見る人から見えることを防ぐので、表示要素が照らされていない場合、インプリントされた基板は偏光フィルムによって目に見えない。この場合、表示要素は、照明のスイッチが入れられ、照明、特にバックライトによって、図形記号及びスケール表示部が目に見えるようになるまで、均一的に黒く見える。この効果は、ブラックパネル効果とも表される。
【0020】
本発明は、添付の概略図を用いて、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】車両用表示装置の表示要素の概略図を示す。
【図2】表示要素の断面の概略図を示す。
【図3】表示要素の分解表示の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
互いに対応する部品には、全ての図面において同じ参照符号が付されている。
【0023】
図1は、車両用表示装置の表示要素1の正面図を示し、表示装置は多機能表示装置の構成要素であることができる。
【0024】
2つのスケール表示部2と、方向指示器3と、車両のドライバーのための情報用の図形記号4とが、表示要素1上に示される。
【0025】
表示要素1は、表示要素1の後ろに配置された少なくとも1つの光源(詳細には図示せず)により光を当てること、すなわち、バックライトで照らすことができる。スケール表示部2は、例えば点火装置(イグニッション)又は車両照明のスイッチが入れられた場合に照明され、この場合、一例として、運転方向を表示するために作動レバーが作動されると、適切な方向表示3が点灯され、その結果、方向指示器3が点滅する。
【0026】
表示要素1の図形記号4は、適切な機能の起動時及び/又は停止時に点灯される。
【0027】
表示要素1は、基板1.1(図2及び図3に詳細には図示せず)と、可撓性偏光フィルム1.2とから形成され、基板1.1には、スケール表示部2と、方向指示器3と、図形記号4とがインプリントされている。
【0028】
ここで、円偏光フィルムである偏光フィルム1.2は、基板1.1のインプリント側、表示要素1を見る人に面する側に貼り付けられる。すなわち、偏光フィルム1.2は、見る人に面し且つ見る人から見えるように基板1.1上に配置される。
【0029】
偏光フィルム1.2は表示要素1によって反射された光が見る人から見えることを防ぐので、偏光フィルム1.2の効果は、照明されていない表示要素1が見えないことである。また、偏光フィルム1.2の効果は、光源から放射される光の透過レベルを上げることである。点火装置又は車両照明のスイッチが入れられていない場合、表示要素1は均一な黒に見え、スケール表示部2及び/又は図形記号4は光源の作動時にのみ見えるようになり、このことは、いわゆるブラックパネル効果とも表される。
【0030】
偏光フィルム1.2は接着促進剤によって基板1.1上に接着させることができ、接着促進剤は、好ましくは、基板1.1及び/又は偏光フィルム1.2のエッジ領域にのみ塗布される。偏光フィルム1.2は、基板1.1に対して平らに支持される。これにより、粉塵及び/又は水分がエッジ領域を通って表示要素1に入る可能性が防止される。
【0031】
偏光フィルム1.2は、好ましくは基板1.1上に積層され、一方ではホットラミネーションによって、他方ではコールドラミネーションによって、偏光フィルム1.2を基板1.1に貼り付けることができる。
【0032】
偏光フィルム1.2が基板1.1上に積層されている場合、偏光フィルム1.2は基板1.1の全域に渡って固定され、その結果、水分及び/又はごみの侵入防止に最適である。
【0033】
偏光フィルム1.2が接着促進剤によって基板1.1上に接着されるか、及び/又は積層されるかにかかわらず、この接続は、破壊的にのみ外すことができる。
【0034】
代替案として、偏光フィルム1.2はまた、基板1.1に固定せずに配置することができ、偏光フィルム1.2は基板1.1上に置かれる。
【0035】
図2は、基板1.1上に固定された偏光フィルム1.2の断面図を示す。ここには、偏光フィルム1.2がその全領域にわたって基板1.1に当接し、基板1.1の寸法が偏光フィルム1.2の寸法より大きくなるように選択されることが示されている。
【0036】
代替案として、偏光フィルム1.2はまた、基板1.1が一部の領域のみ偏光フィルム1.2によって覆われるような寸法を有することもできる。
【0037】
図3は、基板1.1及び偏光フィルム1.2の配置の分解図を示す。
【0038】
偏光フィルム1.2は表示要素1によって反射された光が見る人から容易に見えるのを防ぐので、照らされた表示要素1は偏光フィルム1.2の下で目に見えない。
【符号の説明】
【0039】
1 表示要素
1.1 基板
1.2 偏光フィルム
2 スケール表示部
3 方向指示器
4 図形記号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の表示装置用の表示要素(1)であって、基板(1.1)と偏光フィルム(1.2)とから形成されることを特徴とする表示要素(1)。
【請求項2】
前記偏光フィルム(1.2)が前記基板の前面(1.1)に貼り付けられることを特徴とする、請求項1に記載の表示要素(1)。
【請求項3】
前記偏光フィルム(1.2)が不完全な、完全な、及び/又は接着による方法で前記基板(1.1)に貼り付けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の表示要素(1)。
【請求項4】
前記偏光フィルム(1.2)が前記基板(1.1)に接着されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示要素(1)。
【請求項5】
前記偏光フィルム(1.2)が前記基板(1.1)上に積層されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示要素(1)。
【請求項6】
前記偏光フィルム(1.2)が円偏光フィルムであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示要素(1)。
【請求項7】
前記基板(1.1)が印刷されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示要素(1)。
【請求項8】
前記基板(1.1)及び前記偏光フィルム(1.2)がほぼ同じ寸法を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示要素(1)。
【請求項9】
前記表示要素(1)が少なくとも1つの光源によって背後から光を当てられることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示要素(1)。
【請求項10】
前記表示装置が車両の多機能表示装置の構成要素であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示要素(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−519097(P2013−519097A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552283(P2012−552283)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070807
【国際公開番号】WO2011/098190
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(508039825)ジョンソン コントロールズ オートモーティブ エレクトロニクス ゲーエムベーハー (9)
【Fターム(参考)】