説明

偏光方法を有する立体液晶ディスプレイ(LCD)

画像を立体表示するディスプレイシステムは、互いに角度を成すように配置された1対の広視野角ディスプレイであって、各々が面偏光によって形成された画像を提供する1対の広視野角ディスプレイを含む。ビームコンバイナが一方のディスプレイからの光を透過させ他方のディスプレイからの光を反射するようにディスプレイ間に設けられ、それにより透過光および反射光がビームコンバイナを介して実質的に同一の方向に供給される。広視野角ディスプレイの一方は実質的に垂直の偏光を有し、広視野角ディスプレイの他方は実質的に水平の偏光を有する。ディスプレイシステムは広い水平および垂直視野角で高解像度の立体表示を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、3次元画像を表示する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元ディスプレイのなかには、斜め視図による見掛け上の立体的効果(立体効果および/または、3次元または3D効果とも呼ぶ)を提供する撮像技術に基づくもの、あるいは例えば光の偏光特性または何か他の手段により区別または差別化されて分離された状態で提供される2つの画像(観察主体、例えば人間、の右目と左目で例えば1対の立体的画像を見るような場合)に基づくものがある。1対の立体的画像(立体的画像対とも呼ぶ)の一例は、観察者がある場面を見ているときに右目と左目でそれぞれ見ることができるものを表す、2つのよく似た画像またはビューを含み得る。両目は間隔が開いているため、異なる角度から場面を見、これにより観察者に奥行き情報、3次元情報、立体的情報などを与える。
【0003】
3次元ディスプレイシステムの一例はFergasonに付与された米国特許第6,703,988号に開示されており、上記特許の全体を参考のため本明細書に援用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶ディスプレイ(LCD)装置の性能は進歩を続けており、例えば解像度の向上、視野角の向上が見られ、より手に入り易くなっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一局面は、ディスプレイシステムであって、互いに角度を成すように配置された1対の広視野角ディスプレイであって、各々が面偏光によって形成された画像を提供する1対のディスプレイと、前記ディスプレイ間に設けられたビームコンバイナであって、一方の前記ディスプレイからの光を透過させ他方の前記ディスプレイからの光を反射するように配置され、それにより透過光および反射光がビームコンバイナを介して実質的に同一の方向に供給される、ビームコンバイナとを備え、一方の前記広視野角ディスプレイが実質的に垂直の偏光を有し、前記広視野角ディスプレイの他方が実質的に水平の偏光を有する、ディスプレイシステムに関する。
【0006】
本発明の別の局面は、ディスプレイシステムであって、互いに角度を成すように配置された1対のアクティブマトリクス液晶ディスプレイ(AMLCD)であって、各々が同一の相対的向きを有し、互いに直交する偏光を有する画像を生成する、1対のAMLCDと、前記AMLCD間に設けられたビームコンバイナであって、一方の前記AMLCDからの光を透過させ他方の前記AMLCDからの光を反射するように配置された、ビームコンバイナとを備えたディスプレイシステムに関する。
【0007】
本発明の別の局面は、立体的画像を表示する方法であって、第1の広視野角ディスプレイ上の左目画像と第2の広視野角ディスプレイ上の右目画像とを同時に表示し、前記左目画像と前記右目画像とが互いに直交する方向の光学偏光を有するようにすることと、ビームコンバイナであって、一方が前記ビームコンバイナから直接見ることができ、他方が前記ビームコンバイナからの反射光によって見ることができるように、前記2つの広視野角ディスプレイに対して配置されたビームコンバイナを用いることと、前記左目画像と前記右目画像とを共通の光路上で組み合わせ、左目画像部分の光学偏光と右目画像部分の光学偏光とが前記共通の光路内で異なり、前記画像部分が前記光学偏光に基づいて分離可能であるようにすることとを含む方法に関する。
【0008】
本発明の別の局面は、1対の高解像度広視野角ディスプレイを含む高解像度広視野角立体ディスプレイシステムを提供する方法であって、各々の前記高解像度広視野角ディスプレイが相対的に垂直方向の面偏光子と相対的に水平方向の後偏光子とを有し、前記偏光子の一方が対応する前記高解像度広視野角ディスプレイの前方にあり他方が後方にある、高解像度広視野角立体ディスプレイシステムを提供する方法であって、一方の前記高解像度広視野角ディスプレイに対して前記前後偏光子を90度回転させて方向づけし直すことと、前記高解像度広視野角ディスプレイを互いに角度を成すように配置し、ビームコンバイナを、一方の前記高解像度広視野角ディスプレイからの光を透過させ他方の前記高解像度広視野角ディスプレイからの光を実質的に同一の方向に反射するように前記高解像度広視野角ディスプレイ間に設け、それにより前記ディスプレイからの光が直交偏光となるようにすることとを含む方法に関する。
【0009】
本発明の別の局面は、ディスプレイシステムを製造する方法であって、1対の偏光子と、光の偏光方向を選択的に変えるように動作可能なように前記偏光子間に設けられた光学材料とを有する第1の液晶ディスプレイ(LCD)を選択することと、前記第1のLCDと実質的に同一の第2のLCDを選択することと、前記第2のLCDの偏光子を、前記第1のLCDの対応する偏光子に実質的に直交するように前記光学材料に対して位置づけ直すこととを含む方法に関する。
【0010】
本発明の別の局面は、液晶セルと、前記液晶セルの互いに対向する側に取り付けられた1対の偏光子とを有する液晶ディスプレイを準備する方法であって、前記液晶セルから前記1対の偏光子を取り外し、前記液晶セルの互いに対向する側に、元の向きに対して90度の向きに取り付け直すことを含む方法に関する。
【0011】
本発明の別の局面は、ディスプレイシステムであって、1対の液晶セルであって、広視野角を提供する液晶整合特性を有する1対の液晶セルと、前記1対の液晶セルからの画像を組み合わせるビームコンバイナとを備え、各々の前記液晶セルが1対の平面状偏光子を含み、各々の前記液晶セルに対応する前記1対の平面状偏光子の向きが、一方の前記液晶セルからの面偏光の偏光方向が前記ビームコンバイナの面に平行であり、他方の前記液晶セルからの面偏光の偏光方向が前記一方の液晶セルからの面偏光の偏光方向に直交するようになっている、ディスプレイシステムに関する。
【0012】
本発明の別の局面は、ディスプレイシステムであって、互いに角度を成すように配置された1対の広視野角ディスプレイであって、各々が面偏光によって形成された画像を提供する1対の広視野角ディスプレイと、前記ディスプレイ間に設けられたビームコンバイナであって、一方の前記ディスプレイからの光を透過させ他方の前記ディスプレイからの光を反射するように配置され、それにより透過光および反射光がビームコンバイナを介して実質的に同一の方向に供給される、ビームコンバイナとを備え、一方の前記広視野角ディスプレイから前記ビームコンバイナに入射した光が実質的に垂直偏光を有し、他方の前記広視野角ディスプレイから前記ビームコンバイナに入射した光が実質的に水平偏光を有する、ディスプレイシステムに関する。
【0013】
上記および関連する目的を達成するために、本発明は、本明細書の以下の部分で十分に述べ且つ特許請求の範囲で特に指摘する特徴を含む。以下の記載および添付の図面は本発明を説明するいくつかの実施形態を詳細に示す。しかしこれらの実施形態は、本発明の原理が採用され得る多くの様式の一部を示すものにすぎない。
【0014】
本発明による他のシステム、方法、特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明を検討すれば当業者には明らかとなる。これら追加のシステム、方法、特徴および利点はすべて本明細書に含まれ、本発明の範囲内であり、特許請求の範囲により保護されることが意図されている。
【0015】
本発明を1以上の実施形態に照らして示し記載するが、当業者であれば本明細書を読んで理解することにより均等物および改変を考えつくことが理解されるべきである。本発明はそのような均等物および改変をすべて含み、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0016】
さらに様々な特徴をそれぞれの図面/実施形態により記載し説明するが、所与の図面または実施形態の特徴は、本発明の1以上の他の図面または実施形態でも用いることができることが理解される。
【0017】
本発明の上記および他の特徴は以下の記載および図面を参照することにより明らかとなる。図面はある程度模式的であり、必ずしも実際の寸法に比例していない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図面を参照する。複数の図面において、同様の参照符号は同様の部分を示す。まず図1に、高解像度3次元画像を示すディスプレイシステムを参照符号10で模式的に示す。図示するように、例えばディスプレイシステム10は個人12によって見られている。個人12は、ディスプレイシステム10によって提供または提示される画像の観察者である。
【0019】
ディスプレイシステム10は、互いに角度を成すように設けられた1対の広視野角ディスプレイ14a、14bと、ビームコンバイナ15(ビームスプリッタとも呼ぶ)とを含む。ビームコンバイナ15は、一方のディスプレイからの光を透過させ他方のディスプレイからの光を反射するようにディスプレイ間に設けられている。ディスプレイ14a、14bからの光は、ビームコンバイナ15が共通の光路15aに沿って観察者12に提供する画像を表す。観察者12はそれぞれの画像を見ることができる。
【0020】
ディスプレイシステム10の一実施形態では、ディスプレイ14a、14bおよびビームコンバイナ15は概して平面上の装置であってよい。ディスプレイおよびビームコンバイナの互いの向きは、ディスプレイどうしが互いに角度を成し、ビームスプリッタがその角度の二等分線上にあり、その結果それぞれのディスプレイからの透過画像および反射画像を光路15aに沿って観察者12に提供するようになっている。本発明の思想および範囲内で他の形態のディスプレイとビームコンバイナを用いてもよい。図1はある意味で観察者12とディスプレイシステム10の上面を見下ろしており、ディスプレイ14a、14bは垂直面内にあり、図1では各ディスプレイの上端が見えている。所望であれば、ディスプレイ14a、14bは別の形態であってもよく、例えば図2にディスプレイシステム10’として模式的に示すように上下に配置されてもよい。例えば図2の場合は、第1のディスプレイ14aが実質的に垂直面内にあり、第2のディスプレイ14bが概して水平または第1のディスプレイに対して上方に角度を成す面内にある。角度アルファ(α)は、図2に示すように約120度(120°)であるが、本発明は図2に限定されない。上記のように、他の構造および角度を用いてもよい。
【0021】
ビームコンバイナ15に供給される光は面偏光(直線偏光などと呼ぶこともある)されている。一方のディスプレイからの画像を表す光の偏光方向(偏光面の方向とも呼ぶ)は、光がビームコンバイナに入射するときにはビームコンバイナ15の面に平行である。他方のディスプレイからの画像を表す光の偏光方向は、光がビームコンバイナに入射するときには上記一方のディスプレイからの画像を表す光の偏光方向に直交する(直角を成す)。例えば、ビームコンバイナ15によって観察者12方向に反射された光の偏光方向が、ビームコンバイナの面内にあってもよいし、ビームコンバイナ15を透過して観察者12方向に向かう光の偏光方向がビームコンバイナの面内にあってもよい。
【0022】
図1のディスプレイシステム10において、矢印Aは、例えばディスプレイ14aからの画像を表しビームコンバイナ15に入射する光の偏光方向を示す。矢印Bの後端は文字「X」で示されており、ディスプレイ14bからの画像を表しビームコンバイナ15に入射する光の偏光方向を示す。偏光方向AおよびBは互いに直交する(直角を成す)。例えば一方は図の紙面上で垂直方向に延び、他方は紙面の奥行き方向(水平方向とも呼ぶ)に延びている。説明の便宜上、方向AおよびBをそれぞれ、90度(90°)例えば垂直、およびゼロ度(0°)例えば水平の偏光方向(面偏光の面の方向)と呼んだり捉えたりしてもよい。
【0023】
例えばビームコンバイナ15は、両方のディスプレイ14a、14bからの画像、例えばビームコンバイナを透過して光路15aに向かう画像と、ビームコンバイナによって反射されて光路15aに向かう画像とがそれぞれ観察者12の左目12Lおよび右目12Rによって見られるように配置されてもよい。ディスプレイ14a、14bによって提供される画像はそれぞれ立体対の左目画像および右目画像であり、これらは例えば識別装置16によって識別することができる。識別装置16は例えば眼鏡、ゴーグルなどであり、面偏光子16R、16L、偏光レンズなどを含む。面偏光子16R、16Lの偏光方向は互いに直交しており、一方がディスプレイ14aおよび14bの一方からの光を透過し他方からの光を遮断する。他方の面偏光子(16Rおよび16Lのうちの他方)は逆の動作をする。識別装置16を介して立体対画像を見る際に一方の目で一方のディスプレイからの画像を見て他方の目で他方のディスプレイからの画像を見ることにより、観察者12は3次元(立体または3D)画像として感知される画像を見ることができる。このようにして、ディスプレイシステム10により3次元または立体ディスプレイが得られる。
【0024】
図3および図4に模式的に示すように、各ディスプレイ14a、14bは液晶セル17と1対の偏光子18a、18bとを含んでもよい。必要に応じて1以上のリタデーションフィルム(図示せず)を液晶セルと一方または両方の偏光子との間に含んでもよい。光源19は入射光を供給する。偏光子18a、18bは面偏光子であってもよく、例えばその偏光方向(例えば所与の偏光子を透過した面偏光の偏光方向)が互いに直交するように、例えば交差偏光子となるように配置されてもよく、これは図において矢印と文字「X」(矢印の後端を表す)による従来の様式で表されている。液晶セル17またはその一部分、例えば偏光子18a、18bと関連する一部分は、光の偏光に選択的に影響を与えるように且つそれによりディスプレイを透過する光を選択的に制御するように動作してもよい。これにより、例えばツイステッドネマティック(TN)液晶ディスプレイ(LCD)、アクティブマトリクス液晶ディスプレイ(AMLCD)(例えば垂直整合(VA)LCDおよび面内スイッチング(IPS)LCDなど)、並びに少なくともいくつかの他のLCDにおけるように像が形成される。
【0025】
本発明の一実施形態では、ディスプレイ14aおよび14bは、ディスプレイからビームコンバイナ15に供給される光の偏光方向が互いに直交している(互いに直角を成す)点以外は同一である。例えば、各ディスプレイは同一の視野角特性、画素(ピクチャーエレメントなどとも呼ぶ)配置、解像度、色特性、ガンマ、および/または駆動または動作特性を有していてもよい。
【0026】
本発明の一実施形態では、ディスプレイ14a、14bとして2つの同一タイプのディスプレイが用いられてもよく、例えば一方のディスプレイに関連する偏光子18a、18bがその液晶セル17に対して90度(90°)回転していてもよい。回転すると、本明細書に記載するように、同一タイプのディスプレイからビームコンバイナ15に供給される偏光が互いに直交するという関係が得られる。
【0027】
本発明の一実施形態では、ディスプレイ14a、14bは広視野角特性を有する。例えばディスプレイは、法線(例えばディスプレイの面または平面に対して直交する方向)から測定して比較的大きな角度から見た場合の画像を良好なコントラストで提供する。ディスプレイのコントラスト比が小さすぎると、画像が色褪せて見えたり、画像によって提示されるべき情報が失われたり判りにくかったりする。広視野角特性ディスプレイの一例では、ディスプレイに対する法線(直角を成す)から最大80度(80°)もの視角で、少なくとも約10:1のオーダーのコントラスト比を得ることができる。コントラスト比は、視角が法線に近づくにつれて高くなってもよく、従ってこのようなディスプレイの広視野角または視野角は約160度(160°)となる。別の例では、LCDによって視角85度(85°)で少なくとも約10:1のコントラスト比が供給されることがある。この場合、広視野角特性または視野角は約170度(170°)となる。
【0028】
例えば、ディスプレイ14a、14bは、広視野角特性を有するアクティブマトリクス液晶ディスプレイ(AMLCD)であってもよい。本発明で使用可能なAMLCDの例は、垂直整合ネマティック(VAN)LCD、面内スイッチング(IPS)LCD、マルチドメイン垂直整合(MVA)LCD、軸対称垂直整合(ASV)LCD(アドバンスト・スーパー・ビュー(ASV)LCDとも呼ぶ)、パターン化垂直整合(PVA)LCD、スーパーPVA(S−PVA)LCDなどとして知られ呼ばれている液晶セルを含む。ディスプレイの他の例としては、光制御複屈折(OCB)ディスプレイおよび所謂「PIセル」が含まれ得る。現在存在する他のディスプレイ装置または将来開発されるディスプレイ装置であって、高解像度と広い水平および垂直視野角特性とを有し、偏光子が回転しても受容可能なコントラスト比を維持するディスプレイ装置も、本発明の範囲から逸脱しない限り使用可能であることが理解されるべきである。
【0029】
図3および図4に示すように、例としてのAMLCD14a、14bは、液晶セル17と1対の面偏光子18a、18bとを含む。図1および図4のディスプレイ14bは図1および図3のディスプレイ14aと類似であってよい。但し、ディスプレイ14bの液晶セル17に対する偏光子18a、18bの向きは、ディスプレイ14aの液晶セル17に対する偏光子18a、18bの向きに対して90度(90°)回転している。図3および図4の液晶セル17は、ディスプレイ14a、14bに広視野角特性を提供する。それぞれの前側および後側(後部とも呼ぶ)偏光子18a、18bはそれぞれ、例えば対応する光源19から対応する液晶セルに供給される光を偏光し、対応する液晶セルからの、従って対応するディスプレイ14a、14bからの出力として供給される光を偏光する。
【0030】
本発明の一実施形態では、ディスプレイ14a、14bの液晶セル17は同一、例えば同一タイプである。同一タイプであれば、液晶セルは例えば、同じ配置の画素、同じ整合形態の液晶材料のうちの少なくともいずれかを有することができ、実質的に同じ様式で駆動され動作する。但し、ディスプレイ14bの液晶セルに対する偏光子の配置は、ディスプレイ14bからの画像を表し前側または出力側偏光子18aによってビームコンバイナ15方向に供給される光の偏光方向が、ディスプレイ14aからの画像を表しビームコンバイナ15に入射する光の偏光方向に対して直交するようになっている。ディスプレイ14bの液晶セル17に対する偏光子の配置により、上記したように偏光方向20bが偏光方向20aに対して直交する。
【0031】
ディスプレイ14a、14bの液晶セル17が互いに、さらにビームコンバイナ15に対して同一または実質的に同一の向きとなり、且つディスプレイ14a、14bからビームコンバイナ15に入射する光が互いに直交する偏光方向A、Bを有するようにするために、一方のディスプレイの液晶セルに関連する偏光子を、他方のディスプレイの液晶セルに関連する偏光子に対して90度(90°)回転させてもよい。図1および図3に示す実施形態では、ディスプレイ14aの偏光子18a、18bの向きは、前側または出力側偏光子18aが図における垂直偏光方向Aの光を供給するようになっている。図1、図2および図4に示すように、ディスプレイ14bの出力側偏光子18aの偏光方向Bは水平方向であり、例えば偏光方向Aに交わる。本明細書で記載する方向は相対的なものであり、本発明の説明の便宜上、提供する。上方、下方、左、右、上、下などの方向は例えば、ディスプレイシステム10を動作させるために本発明のパーツが有する上記関係を維持しながら所望に応じて変更してもよい。
【0032】
図3および図4では、ディスプレイ14a、14bの液晶セル17を、垂直面内にあるもの、例えば同一の向きにあるものとして示している。しかし図4に示すように、ディスプレイ14bの液晶セルに関連する1対の偏光子18a、18bは、ディスプレイ14aの液晶セル17に関連する偏光子18a、18bに対して90度(90°)シフトまたは回転している。そのため、ディスプレイ14a、14bの出力側または前側偏光子18aからの出力として供給される面偏光の偏光方向は、方向を示す矢印20aと矢印後端20bとの直交関係により示されている。この方向は図1にA、Bで示すものと同じである。
【0033】
図5は、例示的AMLCD14aの、概して図3の矢印5−5方向に沿った断面を上から見た模式的である。図5は、ディスプレイ14a、14b各々の構造の一例を示す。ディスプレイ14aは複数の行21rと複数の列21cの画素(ピクチャーエレメントなどと呼ぶこともある)を有する。これらの画素はディスプレイ上に画像を提供または提示するように動作させることができる。各行の画素数は同一であっても異なっていてもよく、各列の画素数は同一であっても異なっていてもよい。行の画素数は列の画素数と同一であっても異なっていてもよい。本発明の一実施形態では、ディスプレイ14a、14bの液晶セルのビームコンバイナ15に対する向きは、2つのディスプレイからの画像が概して重複し光路15aに沿って進んで観察者12に届くようになっている。ビームコンバイナ15を介して見ると、それぞれのディスプレイの画素の配置は、ディスプレイ14aにより表示されてビームコンバイナ15を透過する画像を形成する画素が、ディスプレイ14bにより表示されてビームコンバイナ15によって反射される画像を形成する画素と概して整合するか、またはある意味で重複するようになっている。例えば図5を参照すると、ディスプレイ14aにより表示されてビームコンバイナ15を透過する画像の一部を形成する画素21nまたは画素群と、ディスプレイ14bにより表示されてビームコンバイナ15によって反射される画像の一部を形成する対応画素21nまたは画素群とが比較的正確に重複していてもよい。換言すると、例えばディスプレイ14a、14bはほぼ同一の幅/高さアスペクト比を有していてもよく、ビームコンバイナ15から見た場合に、2つのディスプレイの幅および高さは実質的に一致していてもよい。
【0034】
ディスプレイ14a、14bが同一または実質的に同一あれば、例えば画素の配置が同一または実質的に同一であり駆動方法または動作方法が同一または実質的に同一であれば、これらのディスプレイが提供する画像の調整を容易にすることができ比較的最適化することができる。このように調整および最適化することにより、一方のディスプレイの画素、従ってそのディスプレイが提供する画像と、他方のディスプレイの画素、従って従ってそのディスプレイが提供する画像とを整合させることが可能となる。2つの画像は同一または実質的に同一の解像度、色、輝度、ガンマで提示することができ、2つのディスプレイ14a、14bの他の特性を比較的容易に均衡させたり調整したりなどすることができる。広視野角ディスプレイ14a、14bを用いると、観察者12がディスプレイシステム10を見る視野角が比較的広い状態で、このように均衡、調整などを施された特性を達成することができる。
【0035】
ディスプレイシステム10内で1対の実質的に同一または類似のディスプレイ14a、14bを用いるためには、一方のディスプレイの偏光子18a、18bをその液晶セル17から取り外し、90度(90°)回転させ、液晶セル上に又は液晶セルに対して配置しなおしてもよい。これにより本明細書に記載したように、他方のディスプレイの液晶セルの偏光子に対して直交した向きとなる。例えば、図4に示すディスプレイ14bが元々図3のディスプレイ14aと同一であったとする。しかし、システム10内でディスプレイ14bを用いるために、偏光子18a、18bを液晶セル17から取り外し液晶セルに対して配置し直すことにより、元の図3の配置ではなく図4に示すディスプレイ14bの偏光方向を達成することができる。
【0036】
一実施形態では、偏光子18a、18bを機械的手段(例えば、偏光子の角を持って残りの部分をゆっくりと引っ張る、または細いワイヤを用いて接着剤を剥がす)により液晶セルから取り外すことができる。別の実施形態では、化学的手段(例えば適切な化学溶剤)を用いて偏光子を液晶セル(または何かの中間面)に保持している接着剤を溶かすことにより、偏光子18a、18bを液晶セルから取り外すことができる。必要に応じて、機械的手段または化学的手段と共に熱を用いて取り外しプロセスを補助することができる。偏光子を取り外すと、ディスプレイを洗浄し、新しい偏光子を元の偏光子の向き(および対応するディスプレイの偏光子の向き)に対して90度回転させた状態で液晶セル(または何かの中間面)に積層するとよい。積層プロセスは当業者には周知であり、例えば接着剤を偏光子および/または液晶セル(または何かの中間面)に付与することと、一方側から他方側に向けて圧力を偏光子に付与する(例えばローラを用いて)ことにより液晶セルに対して偏光子をスムーズに且つしっかりと取り付けることとを含み得る。
【0037】
液晶ディスプレイ14a、例えばAMLCDの広視野角特性は、液晶セル17に対する偏光子18a、18bの向きを改変して例えば図4に示す向きにした後も、同一または少なくとも実質的に同一に維持することができる。
【0038】
あるいはディスプレイ14a、14bをまず以下のように製造してもよい。すなわち、液晶セル17が同一で、一方のディスプレイの1対の偏光子が液晶セルに対して第1の相対的向きで付与され、取り付けられ、または位置づけられ、他方のディスプレイの他方の液晶セルに関連する偏光子が最初の液晶セルの偏光子に対して直交する方向に向けられるように製造してもよい。
【0039】
従来のAMLCD、例えばディスプレイ14aなどでは、偏光子18a、18bは液晶セル17に取り付けられている。しかし偏光子は液晶セルから分離していてもよく、例えば液晶セルと距離を保っていてもよい。このような分離した偏光子18a’、18b’を例として図1に波線で示す。これらはディスプレイ14a、14bの液晶セルに取り付けられた又は関連する偏光子に代えて(またはこれに加えて)用いられる。上記波線で示す分離した偏光子を用いる場合、それぞれのディスプレイの液晶セル17に取り付けられた偏光子が不要となることもある。一実施形態では各ディスプレイは、液晶セルと一方または両方の偏光子との間に1以上のリタデーションフィルム(例えば複屈折材料)を含んでもよい。これにより各ディスプレイの視野角がさらに向上する。
【0040】
ディスプレイ14a、14bおよびビームコンバイナ15は、図1および図2に概して参照符号22で示す基板または支持構造に搭載され、取り付けられ、または支持されたりなどしてもよい。ディスプレイ14a、14bの向きは、互いに角度アルファ(α)を成し、且つそれらの面が直線軸23に平行または一致する直線に沿って互いに交差するようになっている。角度アルファ(α)は90度(90°)より小さくても大きくてもよく、最高180度(180°)(またはビームコンバイナを介して立体的効果を提供しながら、できるだけ180度に近い角度)でもよい。ディスプレイ14a、14b間の角度アルファ(α)は例えば、約120度(120°)のオーダーであってもよい。ビームコンバイナ15は平面状または実質的に平面状であり、その向きは、その面が軸23に平行であるように、且つその面またはビームコンバイナ自体が実際に角度アルファ(α)の二等分線上にあるようになっている。従ってビームコンバイナ15とディスプレイ14a、14bの各々との角度は、角度アルファ(α)の半分(1/2)である。他の角度関係を用いてもよいが、その場合はディスプレイ14a、14bによって提供される画像間の所望の相関関係を達成するために補償が必要となるかもしれない。基板22、軸23、ディスプレイおよびビームコンバイナを含む構造、配置、搭載などは上記のFergasonによる米国特許第6,703,988号に開示したものに沿ってもよい。
【0041】
本発明をAMLCDのいくつかの例を用いて説明しているが、本発明は、ディスプレイから出力される光が、例えば光路上の1以上の偏光子を用いて偏光されるか又は所与の偏光特性を与えるものであれば、他のディスプレイまたは画像生成器を用いてもよいことが理解される。説明の便宜上、そして不要な冗長を避けるために、画像生成器またはディスプレイは本明細書においてAMLCDとして考慮し記載するが、他のディスプレイまたは画像生成器を用いてもよいことが理解される。
【0042】
立体対の左画像および右の画像に対応する電子信号が受信される場合、画像を2つの液晶ディスプレイ14a、14bに別々に表示することができる。液晶ディスプレイ14a、14bはディスプレイパネル、フラットディスプレイ、フラットスクリーンディスプレイなどと呼ぶこともある。画像は、ビューイング装置16を用いて正当な順番で左目12L、右目12Rで見ることができる。ビューイング装置16は、光学偏光に基づいて画像対の画像を識別または区別する。上記のように一実施形態では、ビューイング装置は眼鏡を含んでもよく、眼鏡のレンズは互いに直角に、且つ左目用または右目用の画像に平行に直線偏光される。
【0043】
ディスプレイ14a、14bは、ビームコンバイナ15に直線偏光または面偏光した画像を供給する。図示する実施形態では、ディスプレイ14aからの光がビームコンバイナ15を直接透過したときに、ディスプレイ14aからの画像が観察者12に直接見られる。図示する実施形態では、ディスプレイ14aからの画像が実質的に垂直に(例えば90度)偏光されている。ディスプレイ14bからの画像は観察者15に反射されて観察者12方向に向けられる。ディスプレイ14bからの直線偏光の偏光方向は、ディスプレイ14aからの画像の偏光に直交する(例えば実質的に水平またはゼロ(0)度である)。そのため、光路15aに沿って観察者12に達する光はディスプレイ14a、14bの各々から1画像ずつ、2つの画像を含む。これらの画像を表す直線偏光または面偏光の偏光方向は互いに交差する(例えば上記のように互いに90度を成す)。ディスプレイ14bからの画像は、ビームコンバイナによる反射の鏡像効果によって水平方向に反転する。例えば図1の例ではこのような反転が水平方向に起こる。ディスプレイシステム10のディスプレイの向きを変更したディスプレイ10’では、反転は別の方向、例えば垂直方向に起こってもよい。このような反転はFergasonの米国特許第6,703,988号により詳しく記載されている。上記特許の全体を参考のため本明細書に援用する。以下により詳細に述べるが、ディスプレイ14bに提示される画像データが反転し、その結果、ビームコンバイナ15によって画像が反射したときに反射画像(バーチャル画像と呼ぶこともある)とディスプレイ14aを透過した画像とが正当な関係で実質的に重複して観察者12が立体画像を見ることができる。
【0044】
図示する実施形態では、観察者12が直線(面)偏光子16L、16Rを用いてディスプレイシステム10からの左目画像および右目画像を眼で見る。
【0045】
一実施形態では、ビームコンバイナ15は、複数の薄膜蒸着コーティングを施したガラスシートであってもよい。これは入射光の約50%を透過させ、約50%を反射する。あるいはビームコンバイナは50%前後を透過させ、残りの50%前後を反射してもよい。50/50の実施形態では、ビームコンバイナの透過率は50%から離れることもあり、この場合、垂直偏光画像の輝度がばらつく。以下に述べるように、輝度のばらつきはディスプレイシステムの立体という性質に致命的影響を与えることはないが、適切な補償手段を用いて補償することができる。一実施形態ではビームコンバイナは、一偏光軸、例えば垂直偏光軸を透過させ、これに直交する偏光軸、例えば水平偏光軸を反射する偏光ビームスプリッタであってもよい。このような偏光ビームスプリッタは反射と透過による画像を組み合わせ、組み合わせた画像を共通の光路に供給することができる。この場合、入射する面偏光の偏光面方向は変化させない。本発明の範囲を逸脱することなく、他のタイプのビームコンバイナまたはビームスプリッタも使用可能であることが理解される。
【0046】
図1のディスプレイシステム10は上記のように配置された部分を有することが理解される。例えばディスプレイ14a、14bは垂直方向、水平方向、または他の共通の方向に配置されたフラットパネルディスプレイであってもよい。これらのディスプレイの面は仮想直線軸23に平行であり、仮想直線軸23は図1の紙面に直交する方向に延びる。さらに観察者12の目は図面に対してある程度透視的であるように示されている。この形態は、最もよく見えるように観察者12の目が軸23に平行であるときの典型であるが、多少軸から外れてた整合も受容可能である。ディスプレイ14a、14bは横に並べても、図2に示すように上下に並べても、他の適切な形態で配置してもよいことが理解される。さらに一実施形態では、ディスプレイは互いに約90度(90°)〜約120度(120°)の角度を成すように配置されてもよい。別の実施形態では、ディスプレイは互いに約60度(60°)〜約140度(140°)の角度を成すように配置されてもよい。さらに別の実施形態では、ディスプレイは互いに最高180度(180°)の角度を成すように配置されてもよい。
【0047】
画像信号源24を説明する。画像信号源は映像源、コンピュータ、テーププレーヤ、CDプレーヤ、DVDプレーヤなどであってよい。画像信号源が遠隔にあって画像信号がネットワークなどを介して供給されてもよい。画像信号源は、通常の映像回路またはビデオカードがディスプレイに信号を供給して見るための画像を作成するのと同様に、ディスプレイ14a、14bに信号を供給してもよい。所望であれば画像信号源24は、走査方向を逆転させるか又は対応するディスプレイに提供された画像を逆転させる回路を含むことにより、上記の反転を行ってもよい。さらに画像信号源24は輝度のばらつきを補償する回路を含んでもよく、このことは以下により詳細に説明する。
【0048】
図6に、本発明を実施するシステムを参照符号50で示す。システム50は、上記の立体ディスプレイシステム10、10’のようなディスプレイ51を含む。システム50はさらに画像信号源52を含み、ディスプレイ51に適切な信号を供給して見るための画像を作成する。画像信号源52は例えば、コンピュータ53と画像源54とを含む。画像源54は情報を含むか又はコンピュータ53に情報を提供する。コンピュータ53はディスプレイ51に信号を供給して見るための画像を作成する。画像源は例えば、映像源、テーププレーヤ、CDプレーヤ、DVDプレーヤ、遠隔の装置からの信号を受け取るネットワークへの接続、またはコンピュータプログラムであってもよい。コンピュータプログラムは例えばコンピュータ53上で動作可能であり、ゲームをする、医学的画像を提示する、建築図面または機械図面などを提示するための画像を作成する。コンピュータ53は、入力装置54a、例えばキーボード、マウス、ポインティングデバイス、または入力をコンピュータに供給して所望の様式でコンピュータを動作させる他の入力信号供給機構とも関連している。
【0049】
コンピュータ53は、プロセッサ55とメモリ56とを含む。プロセッサは従来のマイクロプロセッサであってよい。メモリ56は、ROM、CD−ROM、DVDなどの不揮発性メモリおよび/またはランダムアクセスメモリなどの揮発性メモリを含んでもよい。メモリ56の一部は、図示するようフレームグラバ57およびフレームバッファ58として指定してもよい。コンピュータ53はさらに輝度補償プロセッサ59を含んでもよい。上記のように輝度のばらつきは、ビームコンバイナ15の反射および透過特性によることがある。これらの輝度のばらつきは、多層ビームコンバイナ15の各層での界面効果およびビームコンバイナの透過/反射率ばらつきによることもある。
【0050】
ビームコンバイナにより透過または反射した画像のばらつきは、一方の目で捉える輝度の僅かな差異として現れることがある。輝度のばらつきはさらに観察者の視角に依存することもある。上記輝度のばらつきがディスプレイシステムの立体性能に悪影響をもたらしてはならないことが理解されるべきである。一実施形態では、輝度補償プロセッサ59が平均的な視角での輝度のばらつきを補償することができる。当業者であれば理解するが、平均的な視角は従来の様式で計算することができる。別の実施形態では輝度をディスプレイごとに手動で設定することができ、複数のディスプレイの輝度が法線の視角でほぼ一致するようになっている。
【0051】
本明細書で述べるコンピュータ53のいくつかの部分は例示であることが理解される。本発明に関して本明細書で開示および記載する様々な機能を実行するために、通常用いられる、現在使用可能である、および/または将来開発され得る、プロセッサ、メモリ、入力/出力装置などの他のコンポーネントを用いてもよく、これらは本明細書で説明し記載する例示的実施形態の均等物である。
【0052】
画像または画像の特性を表す信号がプロセッサ55に供給される。これらの信号は画像源54を介して供給されてもよい(輝度補償59の有無にかかわらない)。あるいは所望であれば、画像源54は、メモリ56、例えばCD−ROM、DVD、またはコンピュータ53に含まれるかコンピュータ53に接続されて画像情報を供給する他の装置などの一部であってもよい。多くのディスプレイシステムでは、画像はディスプレイ51などのディスプレイ上に、連続提示される一連のフレームとして提供される。例えば画像源54からの所与のフレームを表す信号は、プロセッサ55からフレームグラバ57に供給されてもよい。フレームグラバは、メモリ56の一部であって、所与の画像フレームに関連する情報を捕獲し蓄積するために選択された一部であってもよい。画像信号が立体画像、例えば左画像および右画像(立体対と呼ぶこともある)を含む場合、フレームグラバ57は2つの部分、すなわち所与の立体画像の所与のフレームまたはフレーム対の左画像を捕獲し保存する部分と右画像を捕獲し保存する部分を含んでもよい。フレームバッファ58には、例えばビットマップに基づく(またはその他に基づく)の画像信号が供給される。フレームバッファ58は、これらの信号をプロセッサ55を介してディスプレイ51に供給して観察者が見ることができるようにする。フレームバッファ58は2つの部分、例えば左画像を保存する部分と右画像を保存する部分とを含んでもよく、プロセッサはそれぞれの画像情報を例えば対応するディスプレイ14a、14b(図1)に向ける。
【0053】
システム50の動作をまとめると、プロセッサ55が画像源から画像信号(および輝度補償情報)を受け取り、所与のフレームまたはフレーム対を表す対応データを画像グラバ57に供給する。フレームグラバ57内の所与の画像または画像対(左画像および右画像)を表すデータが完成すると、プロセッサはフレームデータをフレームバッファ58内に保存し、フレームバッファ58から直接またはVGAカードなどの適切な出力回路を介してディスプレイ51に供給し、観察者12が見ることができるように提示する。画像データを獲得しフレームバッファ58に供給するには様々な手法を用いることができる。フレームグラバ57を用いることが不要な場合もある。その場合、画像データが例えば何らかの画像源54からプロセッサ55を介して直接フレームバッファに供給される。画像データを獲得しデータを処理してディスプレイ51に供給するために他の装置を用いてもよく、コンピュータ53はこのような装置および方法の一例にすぎない。
【0054】
上記のように、ディスプレイ14b(図1)から供給された画像はビームコンバイナ15によって反射されて出力の一部として観察者12に供給される。このような反射画像はある意味でバーチャル画像である。なぜならビームコンバイナに反射されることにより逆転するからである。さらに上記のように、ディスプレイ14bにより提示される画像が反転し、その結果ビームコンバイナ15によって反射すると、反射したバーチャル画像とビームコンバイナ15を透過したディスプレイ14aからの画像とが正当な関係で実質的に重複して、観察者12が立体画像を見ることができるようになる。ディスプレイ14bにより提示される画像の反転は、多くの異なる方法で達成することができ、そのうちのいくつかはFergasonの米国特許第6,703,988号に記載されている。均等物である他の方法も用いることができる。
【0055】
ディスプレイシステム10、10’は、以下の特徴の1以上を有するディスプレイ14a、14b(一体型偏光子18a、18bまたは分離型偏光子18a’、18b’を含む)を含んでもよい:(1)高解像度出力(一実施形態では、1.5メガピクセルを超える)、(2)広い水平および垂直視野角(一実施形態では水平および垂直で約160度を超え、別の実施形態では水平および垂直で約170度を超える)、(3)視野角内でグレーレベルの反転がない、(4)視野角内でグレーレベルの分離を維持する。
【0056】
従って、本明細書に記載する本発明の例示的実施形態は、グレーレベル(およびおそらく色の組み合わせ)が非常に厳密でなければならない適用分野に用いることができる。例えばこのような適用分野は、医療用撮像および他の診断用撮像、衛星写真表示、娯楽用表示(ビデオゲーム表示など)ならびに他の立体画像表示が望ましい地勢撮像分野または撮像分野を含み得る。
【0057】
一実施形態では、広い水平および垂直視野角を、ディスプレイが少なくとも10:1のコントラスト比を維持する視野角として定義することができる。当業者であれば理解するが、他の受容可能なまたは望ましい視野角の測定基準を用いてもよいことが理解されるべきである。
【0058】
ディスプレイ14a、14bは偏光され、例えば偏光方向を有する光を供給する。一実施形態ではこのような偏光は、ビームコンバイナ15の面に平行な偏光方向を有しており、ディスプレイどうしの偏光方向は互いに直交する。このディスプレイ構造は、広視野角AMLCDを用いて構築することができる。広視野角AMLCDでは、一方のディスプレイで、前後の偏光子が取り外され元の向きに対して90度回転した状態で配置し直されたり方向づけし直された場合でも、水平と垂直のいずれの方向においても高解像度特性と広視野角特性(さらに他の上記特性)が失われることはない。
【0059】
上記のように一実施形態では、AMLCDから元の前側偏光子(典型的には垂直に向けらている)と元の後側偏光子(典型的には水平に向けらている)を取り外し、前後偏光子を標準の製造に対して90度回転させて取り付け直す、例えば積層することができる。あるいはディスプレイを製造する際に、前後偏光子を90度回転させた状態で製造することもできる。一実施形態では、各ディスプレイがデュアル輝度上昇フィルム(DBEF)を含んでもよい。デュアル輝度上昇フィルムは、後側偏光子の向きを一致させ、必要に応じて後側偏光子の後方に設けられる。
【0060】
図7〜図12に、視野角(プロットの水平軸および垂直軸に表示)に亘る輝度(グレースケールで表示)と視野角に亘るコントラスト比(CR)(グレースケールで表示)をプロットしたものを示す。このプロットは、偏光子を回転させた場合とさせない場合とについて、いくつかの例示的ディスプレイ用に供給したものであり、本明細書に記載のディスプレイシステム10、10’と共にこれらの例示的ディスプレイを用いることの適応性をテストするために行う。図7〜図12に示す測定を行うために用いた装置は、Eldim(フランス)タイプのEZ−コントラストモデル160−Rによって作成されている。当業者であれば理解するが、これは偏光撮像装置であり、法線に対して80度までの傾斜角および全方位角0度〜360度での輝度を記録する。輝度単位は、目の応答曲線(明所視)に対して較正され、1平方メートル当たりのカンデラ(cd/m2)である。コントラスト比(CR)はスクリーンの白像を撮像し、そのデータを黒スクリーンの角度に亘って輝度で除算することにより計算した。
【0061】
図7は、IDTechディスプレイ、モデルT221、9.2MP(メガピクセル)について様々な角度で測定した輝度を示す。偏光子は、白、赤、緑、青、および黒スクリーンに対して回転(例えば前側偏光子の向きが水平)させている。加えてCRも演算する。比較のために図8に、偏光子の向きを通常にして(例えば前側偏光子の向きが垂直)同一のIDTech T221ディスプレイに対してプロットしたものを示す。さらに図9は、IDTech T221ディスプレイに標準の偏光子(上)と回転した偏光子(下)を設けた状態でCRをプロットしたものとを直接比較している。これからわかるように、図9の2つのプロットの差異はごく僅かである。例えば2つのCRプロットはほぼ同一の形状または輪郭を有し(偏光子が回転するかしないかにかかわらず)ている。いずれの場合も、水平方向(左/右)でも垂直(上/下)でも良好な視野角が維持されている。このことは、このタイプのディスプレイが本明細書に記載するディスプレイシステムの例示的実施形態に用いるに最も適していると考えられることを示している。
【0062】
図10は、一例としてのIDTech、モデルC5i、5MPディスプレイについて、偏光子を通常の位置に設けた場合(上側の2つのプロットに示す)と、偏光子を黒および白スクリーンに対して回転させた(下側の2つのプロットに示す)場合に、様々な角度で測定した輝度を示す。さらに図11は、IDTechについて、偏光子を通常の位置に設けた場合(上側)と、偏光子を回転させた場合(下側)場合に、様々な角度でプロットしたCRを示す。ここでもプロットからわかるように、このディスプレイに対して偏光子を回転させた場合も、水平と垂直のいずれの方向でも広視野角が維持されている。さらに2つのCRプロットはほぼ同一の形状または輪郭を有している。
【0063】
図12は、一例としてのNEC−Q3c、3MPカラーディスプレイについての輝度とCRのプロットを示す。3つの左側のプロットが偏光子を通常の位置に設けた場合を示し、3つの右側のプロットが偏光子を回転させた場合を示す。ここでもこれらのディスプレイはCRプロットの形状または輪郭において大きな差異はなく、偏光子を回転させた場合もほぼ同一のビューを示す。
【0064】
上記のように、これらの例としてのディスプレイは、本発明で使用可能な多くのAMLCDの一部を表しているにすぎない。
【0065】
ここで図13および図14を参照する。上記の例示的実施形態では、ディスプレイに対して単一の位置(潜在的に視角は変化する)にいる単一の観察者(あるいは複数の観察者であって、図1の光路15aに沿って画像を見るに十分近い距離にいる複数の観察者)に立体画像を提供することを述べてきた。図1に関連して記載し説明したディスプレイシステムは、1以上の追加の観察者が見ることを容易にするために変換または改変が可能であることが理解されるべきである。例えば図13は、複数の観察者12、12’が見るための3次元ディスプレイシステム10の模式図である。図1を参照して記載し説明したディスプレイシステムは、1以上の追加の観察者が見ることを容易にするために変換可能であることが理解されるべきである。図13は、複数の観察者12、12’が同一方向に向いて横に並んだ場合の実施形態を示す。図14は、観察者12、12’が互いに逆方向を向いている場合を示す。これらの例示的実施形態のいずれにおいても、ディスプレイシステム10’は図1を参照して述べたコンポーネントをすべて含む。さらに図13および図14の例示的実施形態は、ビームコンバイナ15からの画像を反射またはその他の方法により追加の観察者方向に向ける追加のコーティング付き前ミラー15’を含む。ミラー15’によって反射される画像は、それぞれ異なる相対的偏光特性を維持し、それにより追加の観察者が偏光子を用いて立体画像対を互いに識別することができるようになっていることが理解されるべきである。
【0066】
図13の実施形態では、ディスプレイシステム10は、図示するようにビームコンバイナ15に略平行かつオフセットしたミラー15’を含む。この例示的実施形態では、ディスプレイ14aからの画像がビームコンバイナ15により反射されてミラー15’方向に進む。ミラー15’はその画像を反射して第2の観察者12’に向ける。さらにディスプレイ14bからの画像がビームコンバイナ15を透過してミラー15’方向に進む。ミラー15’は画像を反射して第2の観察者12’に向ける。
【0067】
図14の例示的装置は図13の装置と同様に動作するが、図示するようにミラー15’がビームコンバイナ15に略直交し且つオフセットしている点が異なる。
【0068】
図13および図14の例示的実施形態は2人の観察者を想定して示したが、ディスプレイシステムを適切に改変することにより、観察者をさらに加えてもよいことが理解されるべきである。
【0069】
本発明をいくつかの実施形態により示し説明してきたが、当業者が本明細書および添付の図面を読んで理解すると均等な変更および改変を考えつく。特に上記独立ユニット(コンポーネント、アセンブリ、装置、コンポジションなど)による様々な機能に関して、このような独立ユニットを説明する用語(「手段」と呼ばれるものを含む)は、他に断りがない限り、その独立ユニットの特定の機能を達成する(すなわち機能的に均等である)いずれの独立ユニットにも対応することが意図される。このことは、本発明の例示的実施形態の機能を達成する上記開示された構成に対して構造的には均等でないものについても適用される。さらに、本発明の特定の特徴が複数の実施形態のうちの1つでしか説明されていないこともあり得るが、このような特徴も他の実施形態の1以上の他の特徴と組み合わせることができ、これは所与の又は特定の適用分野においては望まれ得るし、有利であり得る。
【0070】
本発明の一部は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせとして実施可能であることが理解される。上記の実施形態では、複数の工程または方法が、メモリに保存され適切な指示実行システムによって実行されるソフトウェアまたはファームウェアとして実施可能である。例えば別の実施形態のようにハードウェアとして実施する場合は、当該分野で周知の以下の技術のいずれか又はそれらの組み合わせにより実施してもよい:データ信号に対する論理機能を実施する論理ゲートを有する離散論理回路、適切な組み合わせ論理ゲートを有する特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など。
【0071】
フローチャート内のプロセスまたは方法の記載、あるいはブロックは、プロセスの特定の論理機能または工程を実行するモジュール、セグメントまたは1以上の実行可能な指示を含むコードの一部を表すものとして理解することができる。上記で示した又は論じた順番とは異なる順番で機能が実行され得る別の実施も本発明の好ましい実施形態の範囲内に含まれる。異なる順番とは、機能にもよるが、実質的に同時に行われる場合または逆の順番で行われる場合を含む。このことは本発明の当業者であれば理解できる。
【0072】
上記の記載および添付の図面は、本発明の様々な特徴を示す。当業者であれば上記で説明し図面に示した様々な工程および手順を実行するために適切なコンピュータコードを準備できることが理解される。さらに上記の様々な端子、コンピュータ、サーバ、ネットワークなどは実質的に任意のタイプであり得、本発明を実行するために上記開示による装置を用いてコンピュータコードが準備できることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は見るためおよび/または別の使用のための立体(3次元の)画像を提供するために用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の例示的実施形態による3次元ディスプレイシステムの模式図である。
【図2】本発明による3次元ディスプレイシステムにおいてディスプレイを上下に配置した状態を示す模式図である。
【図3】図1および図2のディスプレイシステムで有用な2つのディスプレイの模式的側面図である。
【図4】図1および図2に示すディスプレイシステムで有用な2つのディスプレイの模式的側面図である。
【図5】図3のディスプレイを5−5線の方向に見た模式的平面図である。
【図6】図1および図2に示すディスプレイシステムの模式図であって、オペレーティングシステムのいくつかの部分を示す図である。
【図7A】本発明の例示的実施形態に関連して用いられる例示的ディスプレイの輝度およびコントラスト比のプロットであって、偏光子を回転させた場合とさせない場合についてディスプレイの適応性を示す図である。
【図7B】本発明の例示的実施形態に関連して用いられる例示的ディスプレイの輝度およびコントラスト比のプロットであって、偏光子を回転させた場合とさせない場合についてディスプレイの適応性を示す図である。
【図7C】本発明の例示的実施形態に関連して用いられる例示的ディスプレイの輝度およびコントラスト比のプロットであって、偏光子を回転させた場合とさせない場合についてディスプレイの適応性を示す図である。
【図8A】本発明の例示的実施形態に関連して用いられる例示的ディスプレイの輝度およびコントラスト比のプロットであって、偏光子を回転させた場合とさせない場合についてディスプレイの適応性を示す図である。
【図8B】本発明の例示的実施形態に関連して用いられる例示的ディスプレイの輝度およびコントラスト比のプロットであって、偏光子を回転させた場合とさせない場合についてディスプレイの適応性を示す図である。
【図8C】本発明の例示的実施形態に関連して用いられる例示的ディスプレイの輝度およびコントラスト比のプロットであって、偏光子を回転させた場合とさせない場合についてディスプレイの適応性を示す図である。
【図9】本発明の例示的実施形態に関連して用いられる例示的ディスプレイの輝度およびコントラスト比のプロットであって、偏光子を回転させた場合とさせない場合についてディスプレイの適応性を示す図である。
【図10A】本発明の例示的実施形態に関連して用いられる例示的ディスプレイの輝度およびコントラスト比のプロットであって、偏光子を回転させた場合とさせない場合についてディスプレイの適応性を示す図である。
【図10B】本発明の例示的実施形態に関連して用いられる例示的ディスプレイの輝度およびコントラスト比のプロットであって、偏光子を回転させた場合とさせない場合についてディスプレイの適応性を示す図である。
【図11】本発明の例示的実施形態に関連して用いられる例示的ディスプレイの輝度およびコントラスト比のプロットであって、偏光子を回転させた場合とさせない場合についてディスプレイの適応性を示す図である。
【図12A】本発明の例示的実施形態に関連して用いられる例示的ディスプレイの輝度およびコントラスト比のプロットであって、偏光子を回転させた場合とさせない場合についてディスプレイの適応性を示す図である。
【図12B】本発明の例示的実施形態に関連して用いられる例示的ディスプレイの輝度およびコントラスト比のプロットであって、偏光子を回転させた場合とさせない場合についてディスプレイの適応性を示す図である。
【図12C】本発明の例示的実施形態に関連して用いられる例示的ディスプレイの輝度およびコントラスト比のプロットであって、偏光子を回転させた場合とさせない場合についてディスプレイの適応性を示す図である。
【図13】本発明の別の例示的実施形態による、複数の観察者が見るための3次元ディスプレイシステムの模式図である。
【図14】本発明の別の例示的実施形態による、複数の観察者が見るための3次元ディスプレイシステムの模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに角度を成すように配置され、各々が面偏光によって形成された画像を提供する1対の広視野角ディスプレイと、
一方の前記ディスプレイからの光を透過させ他方の前記ディスプレイからの光を反射して、透過光および反射光が実質的に同一の方向に供給されるように、前記ディスプレイ間に配置されたビームコンバイナと、
を備え、
一方の前記広視野角ディスプレイが実質的に垂直の偏光を有し、前記広視野角ディスプレイの他方が実質的に水平の偏光を有することを特徴とするディスプレイシステム。
【請求項2】
前記ディスプレイが実質的に同一であり、各々の前記ディスプレイが1対の偏光子および前記1対の偏光子間に設けられた光学活性材料を関連して有し、前記光学活性材料がそれ自体を透過する光の偏光方向を変化させるように又はさせないように動作可能である、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項3】
一方の前記ディスプレイの前記偏光子が他方の前記ディスプレイの対応する偏光子に対して90度回転している、請求項2に記載のディスプレイシステム。
【請求項4】
一方の前記ディスプレイの前記偏光子が他方の前記ディスプレイの対応する偏光子に対して90度回転した状態にある、請求項2に記載のディスプレイシステム。
【請求項5】
前記偏光子が平面状の偏光子である、請求項2に記載のディスプレイシステム。
【請求項6】
前記ディスプレイが同一の幅/高さアスペクト比を有する、請求項3に記載のディスプレイシステム。
【請求項7】
前記ディスプレイが同一の幅を有し、前記ディスプレイが同一の高さを有し、前記ビームコンバイナから見たときにそれぞれの幅および高さが実質的に一致している、請求項3に記載のディスプレイシステム。
【請求項8】
前記ディスプレイがアクティブマトリクス液晶ディスプレイ(AMLCD)である、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項9】
両方の前記AMLCDが少なくとも160度の水平および垂直視野角を有する、請求項8に記載のディスプレイシステム。
【請求項10】
各々の前記ディスプレイが少なくとも170度の視野角を有する、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項11】
各々の前記ディスプレイが面内スイッチング(IPS)液晶ディスプレイ(LCD)である、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項12】
各々の前記ディスプレイがマルチドメイン垂直整合(MVA)LCDである、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項13】
各々の前記ディスプレイが軸対称垂直整合(ASV)LCDである、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項14】
各々の前記ディスプレイが広い水平視野角を維持する、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項15】
各々の前記ディスプレイが広い垂直視野角を維持する、請求項14に記載のディスプレイシステム。
【請求項16】
各々の前記ディスプレイが法線視方向から垂直方向に少なくとも80度の範囲の視野角に亘って少なくとも10:1のコントラスト比を維持する、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項17】
各々の前記ディスプレイが法線方向視角から水平方向に少なくとも80度の範囲の視野角に亘って少なくとも10:1のコントラスト比を維持する、請求項16に記載のディスプレイシステム。
【請求項18】
一方の前記ディスプレイが法線方向視角から垂直方向に少なくとも80度の範囲の視野角に亘って少なくとも10:1のコントラスト比を維持する、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項19】
一方の前記ディスプレイが法線方向視角から水平方向に少なくとも80度の範囲の視野角に亘って少なくとも10:1のコントラスト比を維持する、請求項18に記載のディスプレイシステム。
【請求項20】
他方の前記ディスプレイが法線方向視角から垂直方向に少なくとも80度の範囲の視野角に亘って少なくとも10:1のコントラスト比を維持する、請求項19に記載のディスプレイシステム。
【請求項21】
他方の前記ディスプレイが法線方向視角から水平方向に少なくとも80度の範囲の視野角に亘って少なくとも10:1のコントラスト比を維持する、請求項20に記載のディスプレイシステム。
【請求項22】
前記ビームコンバイナが両方の前記ディスプレイからの画像を組み合わせて、交差偏光を有して視覚可能で重複する画像を提供する、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項23】
前記ディスプレイが互いに約90度から約120度の範囲の角度を成すように配置されている、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項24】
前記ディスプレイが互いに約60度から約140度の範囲の角度を成すように配置されている、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項25】
前記ディスプレイが互いにほぼ直交するように配置されている、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項26】
前記ビームコンバイナが前記2つのディスプレイ間の角度のほぼ二等分線上に位置する、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項27】
前記ディスプレイが略平面状であり、その面が直線軸に沿って互いに交差するように配置され、前記ビームコンバイナが略平面状でありその面が前記直線軸に平行である、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項28】
前記ディスプレイからの画像を右目で見る画像と左目で見る画像とに分離するために偏光子が用いられる、請求項6に記載のディスプレイシステム。
【請求項29】
前記偏光子が眼鏡フレーム内の偏光レンズである、請求項28に記載のディスプレイシステム。
【請求項30】
前記ディスプレイを面内で互いに約60度から約140度の範囲の角度を成すように位置づけるマウントをさらに含む、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項31】
前記マウントが前記ビームコンバイナ用のマウントを含む、請求項30に記載のディスプレイシステム。
【請求項32】
前記ディスプレイと前記ビームコンバイナとを収容するパッケージをさらに含む、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項33】
前記パッケージが、ヒンジで連結されたカバー部分を含み、前記カバー部分は前記ディスプレイと前記ビームコンバイナとを収容して保護するように移動可能であり、且つ前記ディスプレイおよび前記ビームコンバイナへのアクセスと使用とを可能にする、請求項32に記載のディスプレイシステム。
【請求項34】
画像データを獲得して整理し前記画像データを表示用に提示するデータ処理システムをさらに含む、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項35】
前記データ処理システムが、プロセッサと、メモリと、対応する前記ディスプレイへの接続とを含む、請求項34に記載のディスプレイシステム。
【請求項36】
一方の前記ディスプレイに提示するデータを反転させて、他方の前記ディスプレイによって表示されるデータに対して反転した状態で表示するオペレーティングソフトウェアをさらに含む、請求項35に記載のディスプレイシステム。
【請求項37】
前記データ処理システムが輝度補償手段を含む、請求項36に記載のディスプレイシステム。
【請求項38】
前記輝度補償手段が垂直偏光画像の輝度ばらつきを補償する、請求項37に記載のディスプレイシステム。
【請求項39】
前記輝度補償手段が平均視角から見た垂直偏光画像の輝度ばらつきを補償する、請求項37に記載のディスプレイシステム。
【請求項40】
前記ビームコンバイナが50/50ビームスプリッタである、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項41】
前記ビームコンバイナが多層薄膜蒸着を含む、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項42】
前記ビームコンバイナが偏光ビームスプリッタである、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項43】
前記ビームコンバイナが第1の方向に沿った偏光を有する光を優先的に透過させ、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿った偏光を有する光を優先的に反射する、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項44】
前記ビームコンバイナが垂直方向に沿った偏光を有する光を透過させ、水平方向に沿った偏光を有する光を反射する、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項45】
各々の前記ディスプレイが1.5メガピクセルよりも高い解像度を有する、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項46】
前記ディスプレイが約160度の垂直視野角範囲内でグレーレベルの反転を示さない、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項47】
前記ディスプレイが約160度の水平視野角範囲内でグレーレベルの反転を示さない、請求項46に記載のディスプレイシステム。
【請求項48】
前記ディスプレイが約160度の垂直視野角範囲内でグレーレベルの分離を維持する、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項49】
前記ディスプレイが約160度の水平視野角範囲内でグレーレベルの分離を維持する、請求項48に記載のディスプレイシステム。
【請求項50】
両方の前記ディスプレイが短辺と長辺とを有する矩形であり、前記ディスプレイの向きは、両方の前記ディスプレイの短辺または長辺が共通の直線軸に平行であり、一方の前記ディスプレイが前記直線軸に平行な偏光方向を有し、他方の前記ディスプレイが前記直線軸に直交する偏光方向を有するようになっている、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項51】
各々の前記ディスプレイが少なくとも160度の水平視野角を有する、請求項50に記載のディスプレイシステム。
【請求項52】
各々の前記ディスプレイが少なくとも160度の垂直視野角を有する、請求項51に記載のディスプレイシステム。
【請求項53】
前記ビームコンバイナに略平行且つオフセットした位置に設けられたミラーをさらに含み、前記ミラーが、前記ビームコンバイナを透過した前記他方のディスプレイからの光と前記ビームコンバイナによって反射された前記一方のディスプレイからの光とを少なくとも第2の観察者に向けて実質的に同一の方向に反射するような位置に設けられている、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項54】
前記ミラーが、両方の前記ディスプレイからの光を反射し、前記反射光はそれぞれ実質的に垂直および水平な偏光を有する、請求項53に記載のディスプレイシステム。
【請求項55】
前記ミラーが、前記ビームコンバイナによる透過光および反射光と実質的に同一の方向に光を反射する、請求項53に記載のディスプレイシステム。
【請求項56】
前記ビームコンバイナに略直交かつオフセットした位置に設けられたミラーをさらに含み、前記ミラーが、前記ビームコンバイナを透過した前記他方のディスプレイからの光と前記ビームコンバイナによって反射された前記一方のディスプレイからの光とを少なくとも第2の観察者に向けて実質的に同一の方向に反射する、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項57】
前記ミラーが、両方の前記ディスプレイからの光を反射し、前記反射光はそれぞれ実質的に垂直および水平な偏光を有する、請求項56に記載のディスプレイシステム。
【請求項58】
前記ミラーが、前記ビームコンバイナによる透過光および反射光と実質的に反対の方向に光を反射する、請求項56に記載のディスプレイシステム。
【請求項59】
ディスプレイシステムであって、
互いに角度を成すように配置された1対のアクティブマトリクス液晶ディスプレイ(AMLCD)であって、各々が同一の相対的向きを有し、互いに直交する偏光を有する画像を生成する、1対のAMLCDと、
前記AMLCD間に設けられたビームコンバイナであって、一方の前記AMLCDからの光を透過させ他方の前記AMLCDからの光を反射するように配置された、ビームコンバイナと、
を備えたディスプレイシステム。
【請求項60】
両方の前記AMLCDが広視野角を有する、請求項59に記載のディスプレイシステム。
【請求項61】
両方の前記AMLCDが少なくとも160度の水平および垂直視野角を有する、請求項59に記載のディスプレイシステム。
【請求項62】
両方の前記ディスプレイが少なくとも160度の水平および垂直視野角に亘って少なくとも10:1のコントラスト比を維持する、請求項61に記載のディスプレイシステム。
【請求項63】
各々の前記AMLCDが、
互いに直交する偏光を有する前偏光子および後偏光子と、
前記後偏光子の向きに一致するデュアル輝度上昇フィルム(DBEF)と、
を含む、請求項59に記載のディスプレイシステム。
【請求項64】
両方の前記AMLCDが短辺と長辺とを有する矩形であり、前記AMLCDの向きは、両方の前記AMLCDの短辺または長辺が共通の直線軸に平行であり、一方の前記AMLCDが前記直線軸に平行な偏光方向を有し、他方の前記AMLCDが前記直線軸に直交する偏光方向を有するようになっている、請求項59に記載のディスプレイシステム。
【請求項65】
各々の前記AMLCDが少なくとも160度の水平視野角を有する、請求項64に記載のディスプレイシステム。
【請求項66】
各々の前記AMLCDが少なくとも160度の垂直視野角を有する、請求項65に記載のディスプレイシステム。
【請求項67】
立体的画像を表示する方法であって、
第1の広視野角ディスプレイ上の左目画像と第2の広視野角ディスプレイ上の右目画像とを同時に表示し、前記左目画像と前記右目画像とが互いに直交する方向の光学偏光を有するようにすることと、
ビームコンバイナであって、一方が前記ビームコンバイナから直接見ることができ、他方が前記ビームコンバイナからの反射光によって見ることができるように、前記2つの広視野角ディスプレイに対して配置されたビームコンバイナを用いることと、
前記左目画像と前記右目画像とを共通の光路上で組み合わせ、左目画像部分の光学偏光と右目画像部分の光学偏光とが前記共通の光路内で異なり、前記画像部分が前記光学偏光に基づいて分離可能であるようにすることと、
を含む方法。
【請求項68】
一方の前記広視野角ディスプレイが実質的に垂直の偏光を有し、他方の前記広視野角ディスプレイが実質的に水平の偏光を有する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記第1および第2の広視野角ディスプレイがアクティブマトリクス液晶ディスプレイ(AMLCD)である、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
両方の前記AMLCDが少なくとも160度の水平および垂直視野角を有する、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
実質的に垂直偏光された画像の輝度ばらつきを補償することをさらに含む、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記補償工程が、平均視角から見た垂直偏光画像の輝度ばらつきを補償することを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
1対の高解像度広視野角ディスプレイを含む高解像度広視野角立体ディスプレイシステムを提供する方法であって、各々の前記高解像度広視野角ディスプレイが相対的に垂直方向の面偏光子と相対的に水平方向の後偏光子とを有し、前記偏光子の一方が対応する前記高解像度広視野角ディスプレイの前方にあり他方が後方にある、高解像度広視野角立体ディスプレイシステムを提供する方法であって、
一方の前記高解像度広視野角ディスプレイに対して前記前後偏光子を90度回転させて方向づけし直すことと、
前記高解像度広視野角ディスプレイを互いに角度を成すように配置し、ビームコンバイナを、一方の前記高解像度広視野角ディスプレイからの光を透過させ他方の前記高解像度広視野角ディスプレイからの光を実質的に同一の方向に反射するように前記高解像度広視野角ディスプレイ間に設け、それにより前記ディスプレイからの光が直交偏光となるようにすることと、
を含む方法。
【請求項74】
ディスプレイシステムを製造する方法であって、
1対の偏光子と、光の偏光方向を選択的に変えるように動作可能なように前記偏光子間に設けられた光学材料とを有する第1の液晶ディスプレイ(LCD)を選択することと、
前記第1のLCDと実質的に同一の第2のLCDを選択することと、
前記第2のLCDの偏光子を、前記第1のLCDの対応する偏光子に実質的に直交するように前記光学材料に対して位置づけ直すことと、
を含む方法。
【請求項75】
前記第1および第2のLCDを互いに角度を成すように配置し、ビームコンバイナを、一方の前記LCDからの光を透過させ他方の前記LCDからの光を実質的に同一の方向に反射するように前記第1のLCDと前記第2のLCDとの間に設け、それにより前記LCDからの光が直交偏光となるようにすることをさらに含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
液晶セルと、前記液晶セルの互いに対向する側に取り付けられた1対の偏光子とを有する液晶ディスプレイを準備する方法であって、
前記液晶セルから前記1対の偏光子を取り外し、前記液晶セルの互いに対向する側に、元の向きに対して90度の向きに取り付け直すことを含む方法。
【請求項77】
ディスプレイシステムであって、
1対の液晶セルであって、広視野角を提供する液晶整合特性を有する1対の液晶セルと、
前記1対の液晶セルからの画像を組み合わせるビームコンバイナと、
を備え、
各々の前記液晶セルが1対の平面状偏光子を含み、各々の前記液晶セルに対応する前記1対の平面状偏光子の向きが、一方の前記液晶セルからの面偏光の偏光方向が前記ビームコンバイナの面に平行であり、他方の前記液晶セルからの面偏光の偏光方向が前記一方の液晶セルからの面偏光の偏光方向に直交するようになっている、ディスプレイシステム。
【請求項78】
各々の前記液晶セルが垂直整合ネマティック(VAN)液晶材料を含む、請求項77に記載のディスプレイシステム。
【請求項79】
各々の前記液晶セルが、面内スイッチング(IPS)液晶セル、マルチドメイン垂直整合(MVA)液晶セル、軸対称垂直整合(ASV)液晶セル、パターン化垂直整合(PVA)液晶セル、超PVA(S−PVA)液晶セルのうち少なくとも1つを含む、請求項78に記載のディスプレイシステム。
【請求項80】
ディスプレイシステムであって、
互いに角度を成すように配置された1対の広視野角ディスプレイであって、各々が面偏光によって形成された画像を提供する1対の広視野角ディスプレイと、
前記ディスプレイ間に設けられたビームコンバイナであって、一方の前記ディスプレイからの光を透過させ他方の前記ディスプレイからの光を反射するように配置され、それにより透過光および反射光がビームコンバイナを介して実質的に同一の方向に供給される、ビームコンバイナと、
を備え、
一方の前記広視野角ディスプレイから前記ビームコンバイナに入射した光が実質的に垂直偏光を有し、他方の前記広視野角ディスプレイから前記ビームコンバイナに入射した光が実質的に水平偏光を有する、ディスプレイシステム。
【請求項81】
一方の前記広視野角ディスプレイが実質的に垂直偏光を有し、他方の前記広視野角ディスプレイが実質的に水平偏光を有する、請求項80に記載のディスプレイシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−521064(P2008−521064A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543455(P2007−543455)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/042499
【国際公開番号】WO2006/058094
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(507168915)ファーガソン パテント プロパティーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (2)
【Fターム(参考)】