健康履き具
【課題】履き具の限られた厚さでも圧電体から十分な起電流を得ることができ、しかも圧電体に大きな衝撃が加わっても圧電体が割れることなく、履き具に圧電体を設けて履いても、異物感の無い履き心地の良い健康履き具を提供する。
【解決手段】適当な厚みで適当に撓んで弾性を持つ金属やプラスチックやゴムで基板3を形成し、その基板上に圧電体4を平薄状に設けることで、基板上に加わるいかなる方向からの圧力でも起電できる。また圧電体自体を適当に撓む圧電フィルム体で形成し、圧電フィルム上に荷重による圧力が加わると、その圧電フィルム体が持つ弾性と履き具内の下敷きの持つ弾性で元の形に戻るため同様に起電できる。その基板または圧電フィルム体を履き具内に設ける。そしてその履き具に足を載せた状態で歩行することで継続して起電でき、圧電体で起電する微弱電流を導電部から接面する皮膚組織内に通電する構成。
【解決手段】適当な厚みで適当に撓んで弾性を持つ金属やプラスチックやゴムで基板3を形成し、その基板上に圧電体4を平薄状に設けることで、基板上に加わるいかなる方向からの圧力でも起電できる。また圧電体自体を適当に撓む圧電フィルム体で形成し、圧電フィルム上に荷重による圧力が加わると、その圧電フィルム体が持つ弾性と履き具内の下敷きの持つ弾性で元の形に戻るため同様に起電できる。その基板または圧電フィルム体を履き具内に設ける。そしてその履き具に足を載せた状態で歩行することで継続して起電でき、圧電体で起電する微弱電流を導電部から接面する皮膚組織内に通電する構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康を促進する健康履き具に関する。
【背景技術】
【0002】
足の裏は第2の心臓と言われ、足の裏を刺激すると血行が良くなり、内臓の働きも良くなって基礎代謝を上げることができ、ダイエット効果もある。そして体内には100〜200μAの生体電流が流れており、神経繊維や筋繊維では微弱な電流刺激によって、その細胞膜に一連の電気的変化が生じると、1ヵ所に生じた電気的変化により隣接部が刺激されて次々と興奮を起こし、その興奮が繊維を伝わっていく性質がある。そして足の裏には体の各器官に対応した反射区があり、各つぼを刺激したりマッサージする反射学(リフレクソロジー)療法として、図12に示すように、30に及ぶつぼ、1.大脳の左半球2.前頭洞3.小脳・脳幹4.脳下垂体5.三叉神経6.鼻7.頚部(首)8.左目9.左耳11.右の僧帽筋(首の右半分と右肩) 12.甲状腺13.副甲状腺14.右の肺と気管支15.胃16.十二指腸17.すい臓18.肝臓19.胆のう20.腹腔神経そう(消化器)21.右副腎 22.右腎臓23.右輸尿管24.膀胱25.小腸26.盲腸(虫垂)27.回盲弁28.上行結腸29.横行結腸36.右の生殖腺(卵巣・睾丸)53.けい椎・脳幹があり、各つぼを刺激することで、そのつぼに対応した各器官の機能を活性化できる。
足の裏のつぼを刺激する方法としては、押圧の刺激を与える方法(指圧等)、熱の刺激を与える方法(温灸等)、電気的刺激を与える方法(磁気、低周波電流、微弱電流)の3通りがあり、パルス状の微弱電流を細胞組織内に流すのが最も効果的である。(磁気は磁界の中で発生する微小な起電流を利用するものである。また低周波治療のミリアンペアの電流は皮下しかほとんど流れない。)そして外部から微弱電流(マイクロカレント)を流してやることで、細胞の活動に必要なエネルギーであるATP(アデノシン三燐酸)の生成が細胞内で促進されることがわかっている。
そこで足の裏のつぼに電気的刺激を与える履き具として、本発明者は特開2005−287920号公報を出願している。然し履き具の構成として、スリッパやサンダル等の履き具で足を載せる部分は、通常数mm程度と限られた厚さしかなく、その履き具内に厚さのある圧電素子を実際に設けることは非常に困難であって、その公報に記載してる図7の各構成を設けることは、非常に困難で実際には実施できなかった。
【0003】
また公知公報で例えば実開昭53−91387号公報が提案する構成として、厚さのある圧電素子全体に圧縮の応力を加え、その圧電素子が圧縮するひずみで起電させる構成が提案されてるが、その構成を実際の中敷きや履き物の履き具に設けた場合、以下のような不具合がある。
1)圧縮のひずみによる圧電素子から十分な起電流を得るためには、圧電素子をある程度厚くして設けなければならないが、履き具の限られた厚さの中では、その中に設ける圧電素子の厚さに限界があり、その厚さの圧電素子では十分な起電流が得られない。
2)踵部分には体の荷重がもろにかかって大きな衝撃が加わるが、厚みのある圧電素子にはほとんど弾性がないため、その衝撃によって圧電素子に大きな荷重が加わると圧電素子が割れてしまう。(例えば体重50kgの人で踵部分にかかる荷重は1平方センチメートルあたり2kg前後あり、歩行するとさらに数倍の荷重が加わる。)
3)圧電素子は圧縮方向の圧力(衝撃)に対して僅かにしか歪まないため、足の裏にかかる衝撃を吸収できず、その衝撃が足の裏にもろに加わるため、実際に歩くと痛くてしょうがないし、その部分は常に違物感があって履き心地が良くない。
【0004】
【特許文献1】特開2005−287920実開昭53−91387
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述の問題に鑑みてなされたもので、履き具の限られた厚さでも圧電体から十分な起電流を得ることができ、しかも圧電体に大きな衝撃が加わっても圧電体が割れることなく、そして履き具に圧電体を設けて履いても、異物感の無い履き心地の良い健康履き具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決させるために、圧電体を曲げによる変形で起電させる構成にするもので、ピエゾ効果を利用して圧電体に加える圧力で起電させる方法を、図11に基づいて説明すると、図11(a)において、圧電体の表面に矢印(↓)の方向に圧縮する力(圧縮応力)が加わると、図のように圧電体が縮む方向にひずみ、その際に起電流iを起電する。次に圧縮する力を取り去ると圧電体は元の形状に戻り、その際に逆向きの起電流iを起電する。また図11(b)において、圧電体の表面に矢印(↓&↑)の方向に曲げる力(せん断応力)が加わると、図のように圧電体が曲がる方向にひずみ、その際に起電流iを起電する。次に曲げる力を取り去ると圧電体は元の形状に戻り、その際に逆向きの起電流iを起電する。この場合前記の圧縮する力でひずむ変位量に比べて、曲げる力でひずむ変位量の方がはるかに大きいため、曲げによる力で起電する起電流の方がはるかに大きくなる。
そこで本発明は、前述の曲げる力(せん断応力)によって起電させる構成にするもので、そのため金属やプラスチックやゴムが持っている弾性と可撓性の性質を利用するもので、適当な厚みで適当に撓んで弾性を持つ金属やプラスチックやゴムで基板を形成し、その基板上に圧電体を平薄状に設けることで、基板に荷重による大きな圧力が加わっても、その圧力方向に圧電体は基板と一体となって撓んで変形でき、そして圧力を取り去るとその基板が持つ弾性によって、圧電体は元の形に戻るため、基板上に加わるいかなる方向からの圧力でも起電できる。
そして弾性が無い圧電体でも、薄く平薄状に形成することで、ある程度弾性がでるため、ある程度割れずに曲げることができ、その圧電体を基板上に設けることで、圧電体が割れない範囲で撓ませて起電させ実施することができる。その基板を履き具内に設けることで、その履き具に足を載せた状態で歩行することで、継続して起電でき、圧電体で起電する微弱電流を導電部から接面する皮膚組織内に通電する構成にしたものである。
【0007】
また圧電体自体を適当に撓む圧電フィルム体で形成することで、別体に前記の基板を設けなくても、圧電フィルム上に荷重による圧力が加わると、その方向に圧電フィルム自体が変形し、その圧電フィルム体が持つ弾性や履き具内の下敷きの持つ弾性で元の形に戻るため同様に起電でき、その圧電フィルム体を履き具内に設け、その履き具に足を載せた状態で歩行することで、継続して起電でき、圧電フィルム体で起電する微弱電流を導電部から接面する皮膚組織内に通電する構成にしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の健康履き具は、適当に撓んで弾性のある基板上に圧電体を平薄状に設けるため、いかなる方向から加わる圧力によっても、その基板上に設けた圧電体が、基板の撓む変形に追従してひずむ変形をすることで起電でき、そして曲げの変形による変位量は、圧縮の変形による変位量に比べて大きいため、起電する起電流が大きくとれ、効率良く起電してその起電流を足の裏に通電することができる。
【0009】
また圧電体自体を適当に撓んで弾性を持つ圧電フィルム体で形成することで、その圧電フィルム体にいかなる方向から加わる圧力でも、圧電フィルム体が曲げの方向と引張りの方向にひずむ変形で起電できるため、同様に起電する起電流が大きくとれ、効率良く起電する起電流を足の裏に通電することができる。
【0010】
また本発明の構成で、上面側の圧電体の電極面と下面側の導電性の基板面の各面に、各導電部の面をそれぞれ接面させて重ねて設けて構成でき、その構成によって電気的に接続できて実施できるため、配線等の必要が無く、製作が非常に容易で、低コストな構成で実施できる。
【0011】
また本発明を構成する圧電体及び圧電フィルム体は非常に薄くして構成できるため、履き具の限られた厚さでも嵩張らずに設けて実施でき、体の荷重で加わる圧力や衝撃に対しても割れることなく、適当に撓むことでその衝撃を吸収してクッションの役目を果たすため、本発明の構成では異物感の無い履き心地の良い履き具を提供することができる。
【実施例】
【0012】
本発明の構成を図面を基に詳細に説明すると、図1は本発明を履き具1のうち中敷き1Aに実施した構成である。中敷き1Aの上敷き1aと下敷き1cを適当に弾性のある多孔性合成樹脂材の発泡性ウレタン樹脂や、発泡性合成ゴム等で形成し、図1(c)に示すように、下敷き1c上に導電性ゴムを横長に形成する導電部6:6Aを設け、その導電部6:6Aの面上に図の様に複数の凸部6a、6a・・・6aを形成する。次に42ALLOYの合金でなる基板3の面上に図7で示す様に圧電体4を平薄状に設け、その圧電体4の上面に電極5を設けて一体にして構成し、その基板3を導電部6:6Aの踵部分の平らな面上に重ね、その上に環状の紙材でなる絶縁材2を重ねる。その絶縁材2は導電部6:6Bと基板3及び導電部6:6Aと絶縁する役目を果たし、開口2aから導電部6:6Bと電極5とを導通させる。その絶縁材2の上に導電性ゴムを円状に形成する導電部6:6Bを、図の様に面上に複数の凸部6a、6a・・・6aを形成し設ける。そして上敷き1aに前記凸部6a、6a・・・6aと各対向する位置に開口部1b、1b・・・1bを形成し、図1(a)(b)に示すように、凸部6a、6a・・・6aを開口部1b、1b・・・1bに各嵌合させて設け中敷き1Aを構成したものである。
【0013】
ここで図1(a)に示す構成で、実際に足を載せて歩行し、その足の裏に通電させる原理を図8に基づいて説明すると、図8(a)において、前述のように構成した中敷き1Aの上に足を載せると、中敷き1Aの上に体の重みによる荷重がかかり、中敷き1A上の突出する凸部6a、6a・・・6aの先端は、足の裏の皮膚面と当接する。ここで中敷き1A上にかかる荷重は、踵部分ではその中央の部分が最も大きく、そして下敷き1cは適当に弾性を持つため、その状態で歩行すると、足を下ろすごとに図8(b)から図8(c)に示す変動が起き、基板3は上からの圧力で図の様に内側に曲がる方向に撓む変形が起きる。そしてその基板3の面上に平薄状に設けた圧電体4は、その基板3の撓みの変形に追従して同様に内側に曲げられて撓み、その時圧電体4には図10に示すように、一方向に流れる起電流iが発生する。そしてその起電流iは電極5と接面する導電部6:6Aと、基板3と接面する導電部6:6Bに通電され、導電部6:6Aと導電部6:6Bの面上に形成した凸部6a、6a・・・6aから、その当接する足の裏の皮膚組織内へと通電される。また足を下ろして上げるごとに、図8(c)から図8(b)に示す変化が起き、前記起電流iとは逆向きの起電流iが発生し、同様にその起電流iは当接する足の裏の皮膚組織内へと通電される。そのため本発明の構成によって、無電源でもって歩くたびに微弱電流iを足の裏の皮膚組織内へと通電できる。そして本発明を構成する基板3とその面上に平薄状に設けた圧電体4は適当に弾性があり、非常に平薄状に構成できるため嵩張らず、また上からの圧力や衝撃に対してその力の大きさに比例して適当に撓むため、上からの衝撃を吸収して和らげるクッションの役目を果たすことができる。
【0014】
ここで圧電体4は僅かな曲げ方向へのひずみでも起電するため、下敷き1cがわずかな弾性であってもひずんで起電でき実施することが可能である。また下敷き1cに全く弾性が無くても、導電性ゴムでなる導電部6:6Aに若干弾性があるため、その弾性によるひずみでも起電できて実施可能である。尚、本実施例の構成で、導電部6:6Aの面上に前記絶縁材2を重ね、その上に前記の基板3と圧電体4と電極5を一体にした構成で基板3を上側にして設け、電極5と導電部6:6Aを接面させ、基板3と導電部6:6Bを接面させて設けて構成してもよい。また各導電部6:6Aと導電部6:6Bの面上に形成する凸部6a、6a・・・6aも、各つぼに対向する位置に設けてよく、例えば代表的な足の裏のつぼには湧泉があり、そこに刺激を加えることによって、腎臓疾患、むくみ、冷え、高血圧、不眠などに効果がある。
【0015】
図7(a)(b)に示すように、本発明を構成する基板3を金属で形成した場合は、適当な厚みと弾性のある黄銅、アルミ、銅、合金でなる42ALLOY等で実施でき、また基板3を薄いプラスチック材でその面上にアルミ蒸着して形成したり、導電性のカーボン等を成膜して構成してもよい。また基板3全体を導電ゴムや導電性プラスチック材で形成して構成してもよい。基板3の厚みとしては、適当に撓んで弾性を持つ厚さであればよく、金属板で形成した場合は実施例として、その金属の材質にもよるが、例として2〜1mm以下から0.5〜0.3mm以下で0.2mm以下であればさらによい。圧電体4は、圧電(ピエゾ)セラミック4aとしては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の他に、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛、ニオブ酸鉛、ニオブ酸リチウム等を焼結して分極処理したもので構成でき、実施例として0.2〜0.06mmの厚みで実施できる。また圧電(ピエゾ)フィルム4bとしては、フィルム状のポリフッ化ビニリデン(PVDF)等で構成して実施できる。いずれの物質も圧力を加えることで、物質内に電気分極が生じて起電流を発生する。
【0016】
図2は、前実施例で構成した基板3は設けず、図7(c)に示すように圧電体4として圧電(ピエゾ)フィルム4bのみで構成して実施するものである。例えば米国MSI(Measurement Specialties. Inc)社が製品化してるポリフッ化ビニリデン(PVDF)でなる圧電(ピエゾ)フィルム4bは、その圧電フィルム自体が適当に撓んで弾性を持つため、前実施例のように基板3を設けなくても、その圧電(ピエゾ)フィルム4bが圧力によって撓んで変形し起電流を発生する。そしてその圧力を取り去ると、その弾性で元の形状に戻り逆向きの起電流を発生する。圧電(ピエゾ)フィルム4bは引張りの力によっても起電流を発生し、前記の圧電(ピエゾ)セラミック4aと比べて、10倍以上の起電圧を発生できる。そのため本発明を圧電(ピエゾ)フィルム4bで構成すれば、少ない面積分で済み、その厚みも28μm、52μm、110μmと非常に薄くて嵩張らずに構成し実施できる。電極5は圧電体4に金属材を被膜することで構成でき、その被膜方法にはニッケル銅合金によるスパッタ方法や銀のシルクスクリーン印刷方法やアルミ蒸着方法等がある。圧電フィルム4bの面上に設ける電極5は上面のみでもよいが、導電性を良くするため、図7(c)に示すように上面と下面の両面に設けてもよい。また圧電フィルム4bの面上に設ける電極5の面積もその面全域に設けてもよいが、図2(c)に示すように、若干面積を小さくして設けてもよい。その構成では電極5と導電部6Aの間に若干すき間がとれるため絶縁しやくなる。その構成で図2(a)に示すように中敷き1Aを構成して足を載せると、図8(d)に示すように、適当に弾性のある下敷き1c上に設けた圧電フィルム4bは、足の荷重による圧力で下敷き1cの変形に追従して撓み、前実施例のように起電流を発生する。そして圧電フィルム4bは全く割れることがないし、また図8(e)に示すように、圧電フィルム4bは上からの圧力で曲げられると同時に、引張り方向への力も生じて横方向に伸びるため、その伸びのひずみによっても起電できる。そのため本発明の実施例の構成で、曲げと伸びの両方のひずみでもって起電流を発生し実施することができる。
【0017】
圧電フィルム4bを防湿状態にするため、図7(d)に示すように圧電フィルム4b全体を樹脂材9で内包し、圧電フィルム4bに設けた上面と下面の電極5に電極端子5a、5aをそれぞれ接続して突出させ、その電極端子5a、5aに導電部6Aと導電部6Bを接続して構成し、本発明を実施してもよい。その構成では樹脂材9の弾性がさらに加わり元の状態に戻りやすくなり効率良く起電できる。また図示しない絶縁材(無機材)7で覆って構成し実施してもよい。
【0018】
図3、図4、図5は、本発明の第2の実施例を示すもので、中敷き1Aを構成する上敷き1aに適当な大きさの開口部1bを形成し、その開口部1bから圧電体4に設けた電極5の電極面と、導電部6の導電面を露呈させて設けたものである。その構成で足を載せると、足の裏の接面する電極5の電極面と導電部6の導電面から起電する微弱電流を皮膚組織内へと通電できる。本実施例の構成で、導電部6の面上に図1で示した絶縁材2を重ね、その上に前記の基板3と圧電体4と電極5を一体にした構成で基板3を上側にして設け、電極5と導電部6を接面させ、開口部1bから基板3の基板面と、導電部6の導電面を露呈させて設けて構成してもよい。図5は、開口部1bを上敷き1aに適当数開けて設けたもので、各接面する電極5の電極面と導電部6の導電面から同様に起電する微弱電流を皮膚組織内へと通電することができる。
【0019】
図6は、本発明をスリッパやサンダル等の履き物1Bに実施したものである。前実施例で示した各構成で、足を引掛ける引掛け部1fを設けて構成することで、足に装備して歩くことができ、図10で示したように、同様に足を下ろした時と足を下ろして上げた時に起電流を発生し、歩行することで足の裏の皮膚組織内に微弱電流を継続的に流すことができる。また本発明は履き具1として靴に実施することもでき、例えばすり減りを防ぐため、下敷き1cをほとんど弾性の無い素材で形成した場合、実施例として図9(a)(b)に示す構成にして実施してもよく、図9(a)は下敷き1cの圧電体4を載せる部位に空間部1dを形成したもので、足を載せて荷重が加わって基板3が撓むと、空間部1d内に基板3の曲がるスペースがあるため、同様に起電流を発生して実施可能である。図9(b)は下敷き1cの同部位に弾性部1eを設けたもので、足を載せて荷重が加わり基板3が撓むと、弾性部1eが適当にへこむため、同様に起電流を発生し実施可能である。尚、図1〜図5で示した前実施例の各構成で、下敷き1cを図9(a)(b)で示した構成にして実施してもよく、同様に起電流を発生して実施可能である。また下敷き1cに全く弾性が無くても、導電性ゴムでなる導電部6:6Aに若干弾性があるため、基板3が適当に撓んで同様に起電でき実施が可能である。導電部6は導電性を有して適当に弾性があればよく、導電性ゴム以外に導電性プラスチックやプラスチック材にアルミ蒸着したもの等で形成して実施できる。また圧電体4を設ける位置も実施例で示した踵部分以外に、土踏まずやつま先側に設けて実施してもよい。
【0020】
本発明によって起電する微弱電流について、その効能について説明すると、体内には100〜200μAの生体電流が流れており、その生体電流が細胞組織の乱れで、細胞組織のイオン配列の障害となってスムーズに流れなくなると、人間が本来持っている自然治癒力が低下し、疾患の原因にもなっていた。そこで生体電流に近い微弱電流を体外から流してやることで、自然治癒力が高まることがピッツバーグ大学の研究結果でも報告されており、その治療法として微弱電流療法(マイクロカレントセラピー)があり、その微弱電流療法によって、個々の細胞や組織が傷ついた場合は、体外から微弱(=損傷)電流を人工的に流してやることで、その修復に必要なエネルギーを供給するATP(アデノシン三燐酸)酵素の生成や、たんぱく質の合成等が促進されて自然治癒力が高まり、治癒(回復)が早まることが証明されている。そして前記のピッツバーグ大学の研究結果では、微弱電流によって細胞内のATP合成が50%アップし、たんぱく質の合成が70%アップし、細胞間輸送が40%アップしたという報告がある。微弱電流治療器としては、微弱電流発生装置が開発され製品化されており、微弱電流施療は元々アスリートやプロスポーツ選手が打撲やじん帯損傷などの治療に使われてるもので、ワールドカップイングランド代表のベッカム選手が骨折治療に取り入れ、短期間で治したことが知られている。そのため本発明の健康履き具によって、足の裏の反射区に対応した器官を正常化させることができ、また胃腸の働きを良くしてダイエット効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)本発明の1実施例の縦断面図(c)本発明の1実施例を構成する分解斜視図
【図2】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)本発明の1実施例の縦断面図(c)本発明の1実施例を構成する分解斜視図
【図3】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)本発明の1実施例を構成する分解斜視図
【図4】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)本発明の1実施例を構成する分解斜視図
【図5】本発明の1実施例の斜視図
【図6】(a)本発明の1実施例の1部透視の斜視図(b)本発明の1実施例の縦断面図(c)本発明の1実施例の1部透視の斜視図
【図7】(a)本発明の1実施例の1部を構成する側面図 (b)本発明の1実施例の1部を構成する正面図(c)本発明の1実施例の1部を構成する側面図 (d)本発明の1実施例の1部を構成する正面図
【図8】(a)本発明の1実施例の縦断面図 (b)(c)(d)(e)本発明の1実施例の1部の縦断面図
【図9】(a)(b)本発明の1実施例の1部の縦断面図
【図10】本発明の原理を示す一部の側面図
【図11】(a)(b)本発明の原理を示す側面図
【図12】足の裏のつぼの分布を示す正面図
【符号の説明】
【0022】
1 : 履き具
1A : (履き具の)中敷き
1B : (履き具の)履き物
1a : 上敷き部
1b : 開口部
1c : 下敷き部
1d : 空間部
1e : 弾性部
1f : 引掛け部
2 : 絶縁材
2a : 開口
3 : 基板
3a : 介在基板
4 : 圧電体
4a : 圧電(ピエゾ)セラミック
4b : 圧電(ピエゾ)フィルム
5 : 電極
5a : 電極端子
6 : 導電部
6A : 導電部
6B : (導電部6Aと異極の)導電部
6a : 凸部
7 : 絶縁材(無機材)
8 : 皮膚
9 : 樹脂材
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康を促進する健康履き具に関する。
【背景技術】
【0002】
足の裏は第2の心臓と言われ、足の裏を刺激すると血行が良くなり、内臓の働きも良くなって基礎代謝を上げることができ、ダイエット効果もある。そして体内には100〜200μAの生体電流が流れており、神経繊維や筋繊維では微弱な電流刺激によって、その細胞膜に一連の電気的変化が生じると、1ヵ所に生じた電気的変化により隣接部が刺激されて次々と興奮を起こし、その興奮が繊維を伝わっていく性質がある。そして足の裏には体の各器官に対応した反射区があり、各つぼを刺激したりマッサージする反射学(リフレクソロジー)療法として、図12に示すように、30に及ぶつぼ、1.大脳の左半球2.前頭洞3.小脳・脳幹4.脳下垂体5.三叉神経6.鼻7.頚部(首)8.左目9.左耳11.右の僧帽筋(首の右半分と右肩) 12.甲状腺13.副甲状腺14.右の肺と気管支15.胃16.十二指腸17.すい臓18.肝臓19.胆のう20.腹腔神経そう(消化器)21.右副腎 22.右腎臓23.右輸尿管24.膀胱25.小腸26.盲腸(虫垂)27.回盲弁28.上行結腸29.横行結腸36.右の生殖腺(卵巣・睾丸)53.けい椎・脳幹があり、各つぼを刺激することで、そのつぼに対応した各器官の機能を活性化できる。
足の裏のつぼを刺激する方法としては、押圧の刺激を与える方法(指圧等)、熱の刺激を与える方法(温灸等)、電気的刺激を与える方法(磁気、低周波電流、微弱電流)の3通りがあり、パルス状の微弱電流を細胞組織内に流すのが最も効果的である。(磁気は磁界の中で発生する微小な起電流を利用するものである。また低周波治療のミリアンペアの電流は皮下しかほとんど流れない。)そして外部から微弱電流(マイクロカレント)を流してやることで、細胞の活動に必要なエネルギーであるATP(アデノシン三燐酸)の生成が細胞内で促進されることがわかっている。
そこで足の裏のつぼに電気的刺激を与える履き具として、本発明者は特開2005−287920号公報を出願している。然し履き具の構成として、スリッパやサンダル等の履き具で足を載せる部分は、通常数mm程度と限られた厚さしかなく、その履き具内に厚さのある圧電素子を実際に設けることは非常に困難であって、その公報に記載してる図7の各構成を設けることは、非常に困難で実際には実施できなかった。
【0003】
また公知公報で例えば実開昭53−91387号公報が提案する構成として、厚さのある圧電素子全体に圧縮の応力を加え、その圧電素子が圧縮するひずみで起電させる構成が提案されてるが、その構成を実際の中敷きや履き物の履き具に設けた場合、以下のような不具合がある。
1)圧縮のひずみによる圧電素子から十分な起電流を得るためには、圧電素子をある程度厚くして設けなければならないが、履き具の限られた厚さの中では、その中に設ける圧電素子の厚さに限界があり、その厚さの圧電素子では十分な起電流が得られない。
2)踵部分には体の荷重がもろにかかって大きな衝撃が加わるが、厚みのある圧電素子にはほとんど弾性がないため、その衝撃によって圧電素子に大きな荷重が加わると圧電素子が割れてしまう。(例えば体重50kgの人で踵部分にかかる荷重は1平方センチメートルあたり2kg前後あり、歩行するとさらに数倍の荷重が加わる。)
3)圧電素子は圧縮方向の圧力(衝撃)に対して僅かにしか歪まないため、足の裏にかかる衝撃を吸収できず、その衝撃が足の裏にもろに加わるため、実際に歩くと痛くてしょうがないし、その部分は常に違物感があって履き心地が良くない。
【0004】
【特許文献1】特開2005−287920実開昭53−91387
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述の問題に鑑みてなされたもので、履き具の限られた厚さでも圧電体から十分な起電流を得ることができ、しかも圧電体に大きな衝撃が加わっても圧電体が割れることなく、そして履き具に圧電体を設けて履いても、異物感の無い履き心地の良い健康履き具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決させるために、圧電体を曲げによる変形で起電させる構成にするもので、ピエゾ効果を利用して圧電体に加える圧力で起電させる方法を、図11に基づいて説明すると、図11(a)において、圧電体の表面に矢印(↓)の方向に圧縮する力(圧縮応力)が加わると、図のように圧電体が縮む方向にひずみ、その際に起電流iを起電する。次に圧縮する力を取り去ると圧電体は元の形状に戻り、その際に逆向きの起電流iを起電する。また図11(b)において、圧電体の表面に矢印(↓&↑)の方向に曲げる力(せん断応力)が加わると、図のように圧電体が曲がる方向にひずみ、その際に起電流iを起電する。次に曲げる力を取り去ると圧電体は元の形状に戻り、その際に逆向きの起電流iを起電する。この場合前記の圧縮する力でひずむ変位量に比べて、曲げる力でひずむ変位量の方がはるかに大きいため、曲げによる力で起電する起電流の方がはるかに大きくなる。
そこで本発明は、前述の曲げる力(せん断応力)によって起電させる構成にするもので、そのため金属やプラスチックやゴムが持っている弾性と可撓性の性質を利用するもので、適当な厚みで適当に撓んで弾性を持つ金属やプラスチックやゴムで基板を形成し、その基板上に圧電体を平薄状に設けることで、基板に荷重による大きな圧力が加わっても、その圧力方向に圧電体は基板と一体となって撓んで変形でき、そして圧力を取り去るとその基板が持つ弾性によって、圧電体は元の形に戻るため、基板上に加わるいかなる方向からの圧力でも起電できる。
そして弾性が無い圧電体でも、薄く平薄状に形成することで、ある程度弾性がでるため、ある程度割れずに曲げることができ、その圧電体を基板上に設けることで、圧電体が割れない範囲で撓ませて起電させ実施することができる。その基板を履き具内に設けることで、その履き具に足を載せた状態で歩行することで、継続して起電でき、圧電体で起電する微弱電流を導電部から接面する皮膚組織内に通電する構成にしたものである。
【0007】
また圧電体自体を適当に撓む圧電フィルム体で形成することで、別体に前記の基板を設けなくても、圧電フィルム上に荷重による圧力が加わると、その方向に圧電フィルム自体が変形し、その圧電フィルム体が持つ弾性や履き具内の下敷きの持つ弾性で元の形に戻るため同様に起電でき、その圧電フィルム体を履き具内に設け、その履き具に足を載せた状態で歩行することで、継続して起電でき、圧電フィルム体で起電する微弱電流を導電部から接面する皮膚組織内に通電する構成にしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の健康履き具は、適当に撓んで弾性のある基板上に圧電体を平薄状に設けるため、いかなる方向から加わる圧力によっても、その基板上に設けた圧電体が、基板の撓む変形に追従してひずむ変形をすることで起電でき、そして曲げの変形による変位量は、圧縮の変形による変位量に比べて大きいため、起電する起電流が大きくとれ、効率良く起電してその起電流を足の裏に通電することができる。
【0009】
また圧電体自体を適当に撓んで弾性を持つ圧電フィルム体で形成することで、その圧電フィルム体にいかなる方向から加わる圧力でも、圧電フィルム体が曲げの方向と引張りの方向にひずむ変形で起電できるため、同様に起電する起電流が大きくとれ、効率良く起電する起電流を足の裏に通電することができる。
【0010】
また本発明の構成で、上面側の圧電体の電極面と下面側の導電性の基板面の各面に、各導電部の面をそれぞれ接面させて重ねて設けて構成でき、その構成によって電気的に接続できて実施できるため、配線等の必要が無く、製作が非常に容易で、低コストな構成で実施できる。
【0011】
また本発明を構成する圧電体及び圧電フィルム体は非常に薄くして構成できるため、履き具の限られた厚さでも嵩張らずに設けて実施でき、体の荷重で加わる圧力や衝撃に対しても割れることなく、適当に撓むことでその衝撃を吸収してクッションの役目を果たすため、本発明の構成では異物感の無い履き心地の良い履き具を提供することができる。
【実施例】
【0012】
本発明の構成を図面を基に詳細に説明すると、図1は本発明を履き具1のうち中敷き1Aに実施した構成である。中敷き1Aの上敷き1aと下敷き1cを適当に弾性のある多孔性合成樹脂材の発泡性ウレタン樹脂や、発泡性合成ゴム等で形成し、図1(c)に示すように、下敷き1c上に導電性ゴムを横長に形成する導電部6:6Aを設け、その導電部6:6Aの面上に図の様に複数の凸部6a、6a・・・6aを形成する。次に42ALLOYの合金でなる基板3の面上に図7で示す様に圧電体4を平薄状に設け、その圧電体4の上面に電極5を設けて一体にして構成し、その基板3を導電部6:6Aの踵部分の平らな面上に重ね、その上に環状の紙材でなる絶縁材2を重ねる。その絶縁材2は導電部6:6Bと基板3及び導電部6:6Aと絶縁する役目を果たし、開口2aから導電部6:6Bと電極5とを導通させる。その絶縁材2の上に導電性ゴムを円状に形成する導電部6:6Bを、図の様に面上に複数の凸部6a、6a・・・6aを形成し設ける。そして上敷き1aに前記凸部6a、6a・・・6aと各対向する位置に開口部1b、1b・・・1bを形成し、図1(a)(b)に示すように、凸部6a、6a・・・6aを開口部1b、1b・・・1bに各嵌合させて設け中敷き1Aを構成したものである。
【0013】
ここで図1(a)に示す構成で、実際に足を載せて歩行し、その足の裏に通電させる原理を図8に基づいて説明すると、図8(a)において、前述のように構成した中敷き1Aの上に足を載せると、中敷き1Aの上に体の重みによる荷重がかかり、中敷き1A上の突出する凸部6a、6a・・・6aの先端は、足の裏の皮膚面と当接する。ここで中敷き1A上にかかる荷重は、踵部分ではその中央の部分が最も大きく、そして下敷き1cは適当に弾性を持つため、その状態で歩行すると、足を下ろすごとに図8(b)から図8(c)に示す変動が起き、基板3は上からの圧力で図の様に内側に曲がる方向に撓む変形が起きる。そしてその基板3の面上に平薄状に設けた圧電体4は、その基板3の撓みの変形に追従して同様に内側に曲げられて撓み、その時圧電体4には図10に示すように、一方向に流れる起電流iが発生する。そしてその起電流iは電極5と接面する導電部6:6Aと、基板3と接面する導電部6:6Bに通電され、導電部6:6Aと導電部6:6Bの面上に形成した凸部6a、6a・・・6aから、その当接する足の裏の皮膚組織内へと通電される。また足を下ろして上げるごとに、図8(c)から図8(b)に示す変化が起き、前記起電流iとは逆向きの起電流iが発生し、同様にその起電流iは当接する足の裏の皮膚組織内へと通電される。そのため本発明の構成によって、無電源でもって歩くたびに微弱電流iを足の裏の皮膚組織内へと通電できる。そして本発明を構成する基板3とその面上に平薄状に設けた圧電体4は適当に弾性があり、非常に平薄状に構成できるため嵩張らず、また上からの圧力や衝撃に対してその力の大きさに比例して適当に撓むため、上からの衝撃を吸収して和らげるクッションの役目を果たすことができる。
【0014】
ここで圧電体4は僅かな曲げ方向へのひずみでも起電するため、下敷き1cがわずかな弾性であってもひずんで起電でき実施することが可能である。また下敷き1cに全く弾性が無くても、導電性ゴムでなる導電部6:6Aに若干弾性があるため、その弾性によるひずみでも起電できて実施可能である。尚、本実施例の構成で、導電部6:6Aの面上に前記絶縁材2を重ね、その上に前記の基板3と圧電体4と電極5を一体にした構成で基板3を上側にして設け、電極5と導電部6:6Aを接面させ、基板3と導電部6:6Bを接面させて設けて構成してもよい。また各導電部6:6Aと導電部6:6Bの面上に形成する凸部6a、6a・・・6aも、各つぼに対向する位置に設けてよく、例えば代表的な足の裏のつぼには湧泉があり、そこに刺激を加えることによって、腎臓疾患、むくみ、冷え、高血圧、不眠などに効果がある。
【0015】
図7(a)(b)に示すように、本発明を構成する基板3を金属で形成した場合は、適当な厚みと弾性のある黄銅、アルミ、銅、合金でなる42ALLOY等で実施でき、また基板3を薄いプラスチック材でその面上にアルミ蒸着して形成したり、導電性のカーボン等を成膜して構成してもよい。また基板3全体を導電ゴムや導電性プラスチック材で形成して構成してもよい。基板3の厚みとしては、適当に撓んで弾性を持つ厚さであればよく、金属板で形成した場合は実施例として、その金属の材質にもよるが、例として2〜1mm以下から0.5〜0.3mm以下で0.2mm以下であればさらによい。圧電体4は、圧電(ピエゾ)セラミック4aとしては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の他に、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛、ニオブ酸鉛、ニオブ酸リチウム等を焼結して分極処理したもので構成でき、実施例として0.2〜0.06mmの厚みで実施できる。また圧電(ピエゾ)フィルム4bとしては、フィルム状のポリフッ化ビニリデン(PVDF)等で構成して実施できる。いずれの物質も圧力を加えることで、物質内に電気分極が生じて起電流を発生する。
【0016】
図2は、前実施例で構成した基板3は設けず、図7(c)に示すように圧電体4として圧電(ピエゾ)フィルム4bのみで構成して実施するものである。例えば米国MSI(Measurement Specialties. Inc)社が製品化してるポリフッ化ビニリデン(PVDF)でなる圧電(ピエゾ)フィルム4bは、その圧電フィルム自体が適当に撓んで弾性を持つため、前実施例のように基板3を設けなくても、その圧電(ピエゾ)フィルム4bが圧力によって撓んで変形し起電流を発生する。そしてその圧力を取り去ると、その弾性で元の形状に戻り逆向きの起電流を発生する。圧電(ピエゾ)フィルム4bは引張りの力によっても起電流を発生し、前記の圧電(ピエゾ)セラミック4aと比べて、10倍以上の起電圧を発生できる。そのため本発明を圧電(ピエゾ)フィルム4bで構成すれば、少ない面積分で済み、その厚みも28μm、52μm、110μmと非常に薄くて嵩張らずに構成し実施できる。電極5は圧電体4に金属材を被膜することで構成でき、その被膜方法にはニッケル銅合金によるスパッタ方法や銀のシルクスクリーン印刷方法やアルミ蒸着方法等がある。圧電フィルム4bの面上に設ける電極5は上面のみでもよいが、導電性を良くするため、図7(c)に示すように上面と下面の両面に設けてもよい。また圧電フィルム4bの面上に設ける電極5の面積もその面全域に設けてもよいが、図2(c)に示すように、若干面積を小さくして設けてもよい。その構成では電極5と導電部6Aの間に若干すき間がとれるため絶縁しやくなる。その構成で図2(a)に示すように中敷き1Aを構成して足を載せると、図8(d)に示すように、適当に弾性のある下敷き1c上に設けた圧電フィルム4bは、足の荷重による圧力で下敷き1cの変形に追従して撓み、前実施例のように起電流を発生する。そして圧電フィルム4bは全く割れることがないし、また図8(e)に示すように、圧電フィルム4bは上からの圧力で曲げられると同時に、引張り方向への力も生じて横方向に伸びるため、その伸びのひずみによっても起電できる。そのため本発明の実施例の構成で、曲げと伸びの両方のひずみでもって起電流を発生し実施することができる。
【0017】
圧電フィルム4bを防湿状態にするため、図7(d)に示すように圧電フィルム4b全体を樹脂材9で内包し、圧電フィルム4bに設けた上面と下面の電極5に電極端子5a、5aをそれぞれ接続して突出させ、その電極端子5a、5aに導電部6Aと導電部6Bを接続して構成し、本発明を実施してもよい。その構成では樹脂材9の弾性がさらに加わり元の状態に戻りやすくなり効率良く起電できる。また図示しない絶縁材(無機材)7で覆って構成し実施してもよい。
【0018】
図3、図4、図5は、本発明の第2の実施例を示すもので、中敷き1Aを構成する上敷き1aに適当な大きさの開口部1bを形成し、その開口部1bから圧電体4に設けた電極5の電極面と、導電部6の導電面を露呈させて設けたものである。その構成で足を載せると、足の裏の接面する電極5の電極面と導電部6の導電面から起電する微弱電流を皮膚組織内へと通電できる。本実施例の構成で、導電部6の面上に図1で示した絶縁材2を重ね、その上に前記の基板3と圧電体4と電極5を一体にした構成で基板3を上側にして設け、電極5と導電部6を接面させ、開口部1bから基板3の基板面と、導電部6の導電面を露呈させて設けて構成してもよい。図5は、開口部1bを上敷き1aに適当数開けて設けたもので、各接面する電極5の電極面と導電部6の導電面から同様に起電する微弱電流を皮膚組織内へと通電することができる。
【0019】
図6は、本発明をスリッパやサンダル等の履き物1Bに実施したものである。前実施例で示した各構成で、足を引掛ける引掛け部1fを設けて構成することで、足に装備して歩くことができ、図10で示したように、同様に足を下ろした時と足を下ろして上げた時に起電流を発生し、歩行することで足の裏の皮膚組織内に微弱電流を継続的に流すことができる。また本発明は履き具1として靴に実施することもでき、例えばすり減りを防ぐため、下敷き1cをほとんど弾性の無い素材で形成した場合、実施例として図9(a)(b)に示す構成にして実施してもよく、図9(a)は下敷き1cの圧電体4を載せる部位に空間部1dを形成したもので、足を載せて荷重が加わって基板3が撓むと、空間部1d内に基板3の曲がるスペースがあるため、同様に起電流を発生して実施可能である。図9(b)は下敷き1cの同部位に弾性部1eを設けたもので、足を載せて荷重が加わり基板3が撓むと、弾性部1eが適当にへこむため、同様に起電流を発生し実施可能である。尚、図1〜図5で示した前実施例の各構成で、下敷き1cを図9(a)(b)で示した構成にして実施してもよく、同様に起電流を発生して実施可能である。また下敷き1cに全く弾性が無くても、導電性ゴムでなる導電部6:6Aに若干弾性があるため、基板3が適当に撓んで同様に起電でき実施が可能である。導電部6は導電性を有して適当に弾性があればよく、導電性ゴム以外に導電性プラスチックやプラスチック材にアルミ蒸着したもの等で形成して実施できる。また圧電体4を設ける位置も実施例で示した踵部分以外に、土踏まずやつま先側に設けて実施してもよい。
【0020】
本発明によって起電する微弱電流について、その効能について説明すると、体内には100〜200μAの生体電流が流れており、その生体電流が細胞組織の乱れで、細胞組織のイオン配列の障害となってスムーズに流れなくなると、人間が本来持っている自然治癒力が低下し、疾患の原因にもなっていた。そこで生体電流に近い微弱電流を体外から流してやることで、自然治癒力が高まることがピッツバーグ大学の研究結果でも報告されており、その治療法として微弱電流療法(マイクロカレントセラピー)があり、その微弱電流療法によって、個々の細胞や組織が傷ついた場合は、体外から微弱(=損傷)電流を人工的に流してやることで、その修復に必要なエネルギーを供給するATP(アデノシン三燐酸)酵素の生成や、たんぱく質の合成等が促進されて自然治癒力が高まり、治癒(回復)が早まることが証明されている。そして前記のピッツバーグ大学の研究結果では、微弱電流によって細胞内のATP合成が50%アップし、たんぱく質の合成が70%アップし、細胞間輸送が40%アップしたという報告がある。微弱電流治療器としては、微弱電流発生装置が開発され製品化されており、微弱電流施療は元々アスリートやプロスポーツ選手が打撲やじん帯損傷などの治療に使われてるもので、ワールドカップイングランド代表のベッカム選手が骨折治療に取り入れ、短期間で治したことが知られている。そのため本発明の健康履き具によって、足の裏の反射区に対応した器官を正常化させることができ、また胃腸の働きを良くしてダイエット効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)本発明の1実施例の縦断面図(c)本発明の1実施例を構成する分解斜視図
【図2】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)本発明の1実施例の縦断面図(c)本発明の1実施例を構成する分解斜視図
【図3】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)本発明の1実施例を構成する分解斜視図
【図4】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)本発明の1実施例を構成する分解斜視図
【図5】本発明の1実施例の斜視図
【図6】(a)本発明の1実施例の1部透視の斜視図(b)本発明の1実施例の縦断面図(c)本発明の1実施例の1部透視の斜視図
【図7】(a)本発明の1実施例の1部を構成する側面図 (b)本発明の1実施例の1部を構成する正面図(c)本発明の1実施例の1部を構成する側面図 (d)本発明の1実施例の1部を構成する正面図
【図8】(a)本発明の1実施例の縦断面図 (b)(c)(d)(e)本発明の1実施例の1部の縦断面図
【図9】(a)(b)本発明の1実施例の1部の縦断面図
【図10】本発明の原理を示す一部の側面図
【図11】(a)(b)本発明の原理を示す側面図
【図12】足の裏のつぼの分布を示す正面図
【符号の説明】
【0022】
1 : 履き具
1A : (履き具の)中敷き
1B : (履き具の)履き物
1a : 上敷き部
1b : 開口部
1c : 下敷き部
1d : 空間部
1e : 弾性部
1f : 引掛け部
2 : 絶縁材
2a : 開口
3 : 基板
3a : 介在基板
4 : 圧電体
4a : 圧電(ピエゾ)セラミック
4b : 圧電(ピエゾ)フィルム
5 : 電極
5a : 電極端子
6 : 導電部
6A : 導電部
6B : (導電部6Aと異極の)導電部
6a : 凸部
7 : 絶縁材(無機材)
8 : 皮膚
9 : 樹脂材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中敷きや履き物の履き具において、履き具(1)に適当に撓んで導電性を有する基板(3)と、該基板(3)の上面に適当な大きさの圧電体(4)と、該圧電体(4)の上面に電極(5)を設け、さらに該圧電体(4)で起電する電気を通電する適当な大きさの導電部(6)を設け、履き具(1)に足を載せた状態で、圧電体(4)に加わる圧力によってひずむ変位で起電する微弱電流を、電極(5)と導電部(6)から、又は基板(3)と導電部(6)から接面する足の裏の組織内に通電するようにした健康履き具。
【請求項2】
中敷きや履き物の履き具において、履き具(1)に適当に撓んで導電性を有する基板(3)と、該基板(3)の上面に適当な大きさの圧電体(4)と、該圧電体(4)の上面に電極(5)を設け、さらに該圧電体(4)で起電する電気を通電する適当な大きさの導電部(6:6A)と導電部(6:6B)を設け、履き具(1)に足を載せた状態で、圧電体(4)に加わる圧力によってひずむ変位で起電する微弱電流を、導電部(6:6A)と導電部(6:6B)から接面する足の裏の組織内に通電するようにした健康履き具。
【請求項3】
中敷きや履き物の履き具において、履き具(1)に適当に撓んで適当な大きさの圧電フィルム(4:4b)と、該圧電フィルム(4:4b)の上面に電極(5)を設け、さらに該圧電フィルム(4:4b)で起電する電気を通電する適当な大きさの導電部(6)を設け、履き具(1)に足を載せた状態で、圧電フィルム(4:4b)に加わる圧力によってひずむ変位で起電する微弱電流を、電極(5)と導電部(6)から接面する足の裏の組織内に通電するようにした健康履き具。
【請求項4】
中敷きや履き物の履き具において、履き具(1)に適当に撓んで適当な大きさの圧電フィルム(4:4b)と、該圧電フィルム(4:4b)で起電する電気を通電する適当な大きさの導電部(6:6A)と導電部(6:6B)を設け、履き具(1)に足を載せた状態で、該圧電フィルム(4:4b)に加わる圧力によってひずむ変位で起電する微弱電流を、導電部(6:6A)と導電部(6:6B)から接面する足の裏の組織内に通電するようにした健康履き具。
【請求項5】
前記導電部(6)に凸部(6a、6a・・・6a)を適当に配設した請求項1〜4のいずれか1項記載の健康履き具。
【請求項6】
前記圧電体(4)が圧電フィルム(4:4b)でなる構成において、該圧電フィルム(4:4b)の上面と下面に電極(5)を設けてなる請求項1〜5のいずれか1項記載の健康履き具。
【請求項1】
中敷きや履き物の履き具において、履き具(1)に適当に撓んで導電性を有する基板(3)と、該基板(3)の上面に適当な大きさの圧電体(4)と、該圧電体(4)の上面に電極(5)を設け、さらに該圧電体(4)で起電する電気を通電する適当な大きさの導電部(6)を設け、履き具(1)に足を載せた状態で、圧電体(4)に加わる圧力によってひずむ変位で起電する微弱電流を、電極(5)と導電部(6)から、又は基板(3)と導電部(6)から接面する足の裏の組織内に通電するようにした健康履き具。
【請求項2】
中敷きや履き物の履き具において、履き具(1)に適当に撓んで導電性を有する基板(3)と、該基板(3)の上面に適当な大きさの圧電体(4)と、該圧電体(4)の上面に電極(5)を設け、さらに該圧電体(4)で起電する電気を通電する適当な大きさの導電部(6:6A)と導電部(6:6B)を設け、履き具(1)に足を載せた状態で、圧電体(4)に加わる圧力によってひずむ変位で起電する微弱電流を、導電部(6:6A)と導電部(6:6B)から接面する足の裏の組織内に通電するようにした健康履き具。
【請求項3】
中敷きや履き物の履き具において、履き具(1)に適当に撓んで適当な大きさの圧電フィルム(4:4b)と、該圧電フィルム(4:4b)の上面に電極(5)を設け、さらに該圧電フィルム(4:4b)で起電する電気を通電する適当な大きさの導電部(6)を設け、履き具(1)に足を載せた状態で、圧電フィルム(4:4b)に加わる圧力によってひずむ変位で起電する微弱電流を、電極(5)と導電部(6)から接面する足の裏の組織内に通電するようにした健康履き具。
【請求項4】
中敷きや履き物の履き具において、履き具(1)に適当に撓んで適当な大きさの圧電フィルム(4:4b)と、該圧電フィルム(4:4b)で起電する電気を通電する適当な大きさの導電部(6:6A)と導電部(6:6B)を設け、履き具(1)に足を載せた状態で、該圧電フィルム(4:4b)に加わる圧力によってひずむ変位で起電する微弱電流を、導電部(6:6A)と導電部(6:6B)から接面する足の裏の組織内に通電するようにした健康履き具。
【請求項5】
前記導電部(6)に凸部(6a、6a・・・6a)を適当に配設した請求項1〜4のいずれか1項記載の健康履き具。
【請求項6】
前記圧電体(4)が圧電フィルム(4:4b)でなる構成において、該圧電フィルム(4:4b)の上面と下面に電極(5)を設けてなる請求項1〜5のいずれか1項記載の健康履き具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−319490(P2007−319490A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154209(P2006−154209)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(594195797)
【出願人】(398006062)株式会社東京企画販売 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(594195797)
【出願人】(398006062)株式会社東京企画販売 (10)
【Fターム(参考)】
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