説明

充電ポイント登録装置

【課題】電気自動車の充電がイグニションスイッチのオフ状態で行われる場合においても、その充電が行われた充電ポイントを確実に登録することができる充電ポイント登録装置を提供する。
【解決手段】自車両が停車した後に再発進する際、停車時の充電量より再発進時の充電量が所定量以上増加していると(ST22)、その停車位置である自車両の現在位置が電気自動車に充電可能な充電ポイントとして少なくとも自車両の地図DBに登録される(ST23)。ここで、自車両の充電がイグニションスイッチのオフ状態で行われる場合においても、その前後の充電量、すなわち自車両の停車時の充電量および再発進時の充電量は検出可能であるため、イグニションスイッチのオン・オフに拘わらず自車両の充電ポイントが確実に登録される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の充電が可能な充電ポイントを地図情報として登録する充電ポイント登録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プラグインハイブリッド車を含む各種の電気自動車の開発が進められている。この種の電気自動車は、燃料電池車と異なり、外部電源から充電可能な二次電池を搭載しており、この二次電池により電動モータを駆動して走行するようになっている。
【0003】
ところで、この種の電気自動車に充電するための充電ポイント、すなわち充電器などの設備を備えた充電ポイントは、未だ十分に整備されていないのが実情である。このため、電気自動車のドライバにとって、充電ポイントの情報は極めて重要となっている。
【0004】
ここで、電気自動車の充電ポイントの情報を収集する技術として、例えば特許文献1には、車載のカーナビゲーションシステムに地点登録する際に、車両位置が移動しない状態で車両の充電が行われた場合、その地点を充電器の常設場所(充電ポイント)として登録する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3847065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の技術においては、車両のドライバがイグニションスイッチをオフにした状態で車両の充電を行った場合、通電の遮断により、車両の充電が行なわれたか否かの判断が不能となり、その結果、車両の充電ポイントの登録も不能となってしまう虞がある。また、イグニッションスイッチをオフにした状態でも車両が充電されたか否かを判断するための電源はオンとすることが必要となり、不要な待機電力を消費してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、電気自動車の充電がイグニションスイッチのオフ状態で行われる場合においても、その充電が行われた充電ポイントを確実に登録することができる充電ポイント登録装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る充電ポイント登録装置は、電気自動車の充電が可能な充電ポイントを少なくとも自車両用の地図情報として登録する装置であって、自車両の停車状態を検出する手段と、自車両の充電量の変化を検出する手段と、自車両の現在位置の情報を取得する手段と、自車両の現在位置を充電ポイントとして地図情報に登録可能な手段とを備え、自車両の停車時に充電量を取得し、再発進時に停車時の充電量と再発進時の充電量とを比較し、充電量が所定量以上増加しているとき、自車両の現在位置を充電ポイントとして地図情報に登録することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る充電ポイント登録装置では、自車両が停車した後に再発進する際、停車時の充電量より再発進時の充電量が所定量以上増加していると、その停車位置である自車両の現在位置が電気自動車に充電可能な充電ポイントとして少なくとも自車両の地図情報に登録される。ここで、自車両の充電がイグニションスイッチのオフ状態で行われる場合においても、その前後の充電量、すなわち自車両の停車時の充電量および再発進時の充電量は検出可能であるため、イグニションスイッチのオン・オフに拘わらず自車両の充電ポイントが確実に登録される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る充電ポイント登録装置では、自車両が停車した後に再発進する際、停車時の充電量より再発進時の充電量が所定量以上増加していると、その停車位置である自車両の現在位置が電気自動車に充電可能な充電ポイントとして少なくとも自車両の地図情報に登録される。ここで、自車両の充電がイグニションスイッチのオフ状態で行われる場合においても、その前後の充電量、すなわち自車両の停車時の充電量および再発進時の充電量は検出可能であるため、イグニションスイッチのオン・オフに拘わらず自車両の充電ポイントを確実に登録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る充電ポイント登録装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】一実施形態に係る充電ポイント録登装置が自車両の停車時に実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】一実施形態に係る充電ポイント登録装置が自車両の再発進時に実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明に係る充電ポイント登録装置を実施するための形態を順次説明する。なお、以下の説明において、同一または同様の構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略することがある。
【0013】
本発明の一実施形態に係る充電ポイント登録装置は、プラグインハイブリッド車を含む各種の電気自動車、すなわち、外部電源から充電可能な二次電池を搭載した電気自動車を対象として、その二次電池の充電が可能な充電ポイントを少なくとも自車両用の地図情報として登録する装置である。
【0014】
この充電ポイント登録装置は、例えば図1に示すように、ナビECU(Electronic Control Unit)1、GPS(Global Positioning System)受信機2、地図DB(Data Base)3、ディスプレイ4、車速センサ5、エンジンECU(Electronic Control Unit)6およびSOC(State of Charge)監視部7を備えて構成されている。
【0015】
ナビECU1およびエンジンECU6は、それぞれ入出力インターフェースI/O、A/Dコンバータ、プログラムおよびデータを記憶したROM(Read Only Memory)、入力データ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等をハードウェアとして備えたマイクロコンピュータで構成されている。
【0016】
ナビECU1は、GPS受信機2、地図DB3およびディスプレイ4と共にナビゲーションシステムを構成する制御ユニットであり、GPS受信機2が取得した自車両の現在位置の情報と、地図DB3に記憶された地図情報とに基づき、自車両の現在位置を地図に重ねてディスプレイ4上に表示する機能を有する。
【0017】
車速センサ5およびエンジンECU6は、自車両の停車状態を検出する手段を構成するものであり、車速センサ5は、例えば自車両の図示しない車輪の回転速度を検出してその検出信号をナビECU1に送出する。一方、エンジンECU5は、自車両の図示しないエンジンの点火系統のオン・オフ信号をナビECU1に送出する。
【0018】
SOC監視部7は、自車両の充電量の変化を検出する手段を構成するものであり、自車両に搭載された図示しない走行用モータの電源となる二次電池の充電量を検出し、その充電量の検出値であるSOC値をナビECU1に送出することで、充電量の変化を監視する。
【0019】
ここで、ナビECU1は、GPS受信機2が取得した自車両の現在位置を二次電池の充電ポイントの地図情報として地図DB3に登録可能な手段を構成するものであり、自車両の停車時の充電量より再発進時の充電量が所定量以上増加しているとき、自車両の現在位置を充電ポイントとして地図情報に登録する機能を有する。
【0020】
つぎに、一実施形態の充電ポイント登録装置が実行する処理の手順を図2および図3に示すフローチャートに沿って順次説明する。この充電ポイント登録装置は、図2のフローチャートに示す処理を自車両の停車時に実行し、図3のフローチャートに示す処理を自車両の再発進時に実行する。
【0021】
図2のフローチャートにおいて、ステップS10では、ナビECU1が車速センサ5から入力される検出信号またはエンジンECU5から入力されるオン・オフ信号に応じて自車両が停車状態か否かを判定する。
【0022】
ここで、ナビECU1は、車速センサ5から車輪の回転停止の検出信号が入力され、あるいは、エンジンECU5からエンジンの点火系統のオフ信号が入力されると、自車両が停車状態であるものと判定し、それ以外の場合には、自車両が停車状態でないものと判定する。
【0023】
ステップS10の判定結果がNOであればエンドに進んで一連の処理を終了するが、判定結果がYESであれば、つぎのステップS11において、ナビECU1は、図示しない二次電池の充電量の検出値であるSOC値をSOC監視部7から取得する。
【0024】
続くステップS12において、ナビECU1は、二次電池の充電の可能性をみるため、SOC監視部7から取得したSOC値が例えば2分程度の単位時間内に規定値以上増加したか否かを判定する。
【0025】
ステップS12の判定結果がNOであれば、二次電池の充電の可能性が低いものとみなし、エンドに進んで一連の処理を終了する。一方、判定結果がYESであれば、つぎのステップS13において、ナビECU1は、単位時間内に増加したSOC値を記憶する。
【0026】
その後、ナビECU1は、GPS受信機2から自車両の現在位置の情報を所得し(S14)、取得した自車両の現在位置を電気自動車に充電可能な充電ポイントの候補地点に設定する(S15)。
【0027】
また、図3のフローチャートにおいて、ステップS20では、ナビECU1が車速センサ5から入力される検出信号またはエンジンECU5から入力されるオン・オフ信号に応じて自車両が再発進状態か否かを判定する。
【0028】
ここで、ナビECU1は、エンジンECU5からエンジンの点火系統のオン信号が入力されると自車両が再発進するものと判定し、車速センサ5から車輪の回転再開の検出信号が入力されると自車両が再発進したものと判定し、それ以外の場合には、自車両が再発進状態でないものと判定する。
【0029】
ステップS20の判定結果がNOであればエンドに進んで一連の処理を終了するが、判定結果がYESであれば、つぎのステップS21において、ナビECU1は、図示しない二次電池の充電量の検出値であるSOC値をSOC監視部7から取得する。
【0030】
続くステップS22において、ナビECU1は、二次電池が充電されたことを確認するため、SOC監視部7から取得した自車両の再発進時のSOC値が図2のステップS13で記憶された自車両の停車時のSOC値に較べて所定量以上増加しているか否かを判定する。
【0031】
ステップS22の判定結果がYESであれば、つぎのステップS23において、ナビECU1は、図2のステップS15で自車両の停車時に設定された充電ポイントの候補地点を実際に二次電池に充電された充電ポイントとして登録する。すなわち、ナビECU1は、自車両の二次電池が実際に充電された停車時の現在位置を電気自動車に充電可能な充電ポイントとして、図1に示した地図DB3に対し、地図情報の道路識別子に紐付けて登録する。一方、ステップS22の判定結果がNOであれば、一連の処理を終了する。
【0032】
以上説明したように、一実施形態に係る充電ポイント登録装置では、自車両が停車した後に再発進する際、停車時の充電量より再発進時の充電量が所定量以上増加していると、その停車位置である自車両の現在位置が電気自動車に充電可能な充電ポイントとして少なくとも自車両の地図DBに登録される。
【0033】
ここで、自車両の充電がイグニションスイッチのオフ状態で行われる場合においても、その前後の充電量、すなわち自車両の停車時の充電量および再発進時の充電量は検出可能であるため、一実施形態に係る充電ポイント登録装置によれば、イグニションスイッチのオン・オフに拘わらず自車両の充電ポイントを確実に地図DBに登録することができる。
【0034】
本発明に係る充電ポイント登録装置は、前述した一実施形態に限定されるものではない。例えば、図3のステップS23で登録する充電ポイントは、多数の他車両が共同して利用できるように、無線通信によりアクセス可能な共用のデータベースに登録するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…ナビECU、2…GPS受信機、3…地図DB、4…ディスプレイ、5…車速センサ、6…エンジンECU、7…SOC監視部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の充電が可能な充電ポイントを少なくとも自車両用の地図情報として登録する装置であって、自車両の停車状態を検出する手段と、自車両の充電量の変化を検出する手段と、自車両の現在位置の情報を取得する手段と、自車両の現在位置を充電ポイントとして地図情報に登録可能な手段とを備え、
自車両の停車時に充電量を取得し、再発進時に停車時の充電量と再発進時の充電量とを比較し、充電量が所定量以上増加しているとき、自車両の現在位置を充電ポイントとして地図情報に登録することを特徴とする充電ポイント登録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−204042(P2010−204042A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52500(P2009−52500)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】