説明

充電制御装置及び充電制御システム

【課題】利用者に報知される情報量を増やして利便性を高める。
【解決手段】本実施形態の充電制御装置1では、充電の開始時刻及び終了時刻を含む予約情報に基づく充電を行う際、終了時刻までに充電可能な電力量の予測結果を報知部8に報知させる。そのため、本実施形態の充電制御装置1は、従来例と比較して利用者に報知される情報量を増やして利便性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車などの充電機器の充電を制御する充電制御装置及び充電制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1に記載されている充電制御装置がある。特許文献1記載の従来装置は、電気自動車のバッテリ(蓄電池)を充電するものであって、充電開始時刻が設定されたときにバッテリの温度や内部のリレー等に異常がないかをチェックし、異常が検出されれば充電を中止するとともに当該異常を報知する。さらに、異常が検出されなかった場合、当該従来装置は、充電開始時刻に達した時点で再度異常の有無をチェックし、異常が検出されれば充電を中止して当該異常を報知し、異常が検出されなければ充電を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−123599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例では、利用者に報知される情報が充電装置あるいは充電制御装置や電気自動車のバッテリ等の異常のみであり、例えば、予約された時間内に充電可能な充電量や満充電までに要する時間などの有益な情報が利用者に報知されず、利便性が低かった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、利用者に報知される情報量を増やして利便性を高めた充電制御装置及び充電制御システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の充電制御装置は、充電の開始時刻及び終了時刻を含む予約情報に基づく充電を行う際に前記終了時刻までに充電可能な電力量を予測する予測手段と、当該予測手段の予測結果を報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
この充電制御装置において、前記予約情報の入力を受け付ける入力受付手段と、当該入力受付手段で受け付けた前記予約情報を記憶する記憶手段と、充電される蓄電池の残容量及び電池容量の情報を取得する情報取得手段と、前記充電可能な電力量を予測する前記予測手段と、前記電池容量から前記残容量を差し引いた使用電力量と前記電力量の予測結果とを比較する電力量演算手段と、当該電力量演算手段による前記比較結果を報知する前記報知手段とを備えることが好ましい。
【0008】
この充電制御装置において、前記蓄電池の充電に関する異常を検出する異常検出手段を備え、当該異常検出手段の検出結果が前記報知手段で報知されることが好ましい。
【0009】
この充電制御装置において、操作入力を受け付ける操作入力受付手段と、当該操作入力受付手段で受け付ける操作入力に応じて前記報知手段で報知される報知内容が変更されることが好ましい。
【0010】
この充電制御装置において、前記報知手段で報知される報知内容が周期的に変更されることが好ましい。
【0011】
この充電制御装置において、前記報知手段は文字や記号などを用いて報知することが好ましい。
【0012】
この充電制御装置において、前記報知手段は音響により報知することが好ましい。
【0013】
本発明の充電制御システムは、前記充電制御装置と、当該充電制御装置における充電の開始時刻及び終了時刻を含む予約情報を管理する管理装置とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の充電制御装置及び充電制御システムは、利用者に報知される情報量を増やして利便性を高めることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る充電制御装置の実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上を搭載した充電スタンドを示し、(a)は正面図、(b)は扉を開いた状態の一部省略した斜視図、(c)は扉を閉じた状態の一部省略した斜視図である。
【図3】(a)〜(c)は同上における報知部の報知内容を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、電気自動車への充電を制御する充電制御装置に本発明の技術思想を適用した実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。但し、本発明の技術思想が適用可能な充電制御装置が対象とする充電機器は電気自動車に限定されるものではなく、例えば、携帯電話機やノート型のパーソナルコンピュータなどのモバイル機器であっても構わない。
【0017】
本実施形態の充電制御装置1は、図1に示すように制御部2、コンセント3、計測部4、情報取得部5、操作入力受付部6、記憶部7、報知部8、通信部9などを備えている。コンセント3は、計測部4を介して商用交流電源200と接続されており、充電ケーブル101の先端に設けられている電源プラグ102が挿抜自在に接続される。この充電ケーブル101は電気自動車100と接続されており、充電制御装置1のコンセント3を介して商用交流電源200から給電される交流電力により、電気自動車100に搭載されている充電器が蓄電池(バッテリ)を充電する。計測部4は、商用交流電源200からコンセント3を通じて電気自動車100に供給される電流・電圧・電力をそれぞれ所定の周期で計測するとともに計測結果(計測値)を制御部2へ出力している。
【0018】
情報取得部5は、充電ケーブル101を介して電気自動車100から伝送される情報(車種、蓄電池の電池容量及び残容量など)を取得して制御部2に渡している。なお、電気自動車100から充電制御装置1への情報伝送は、給電線を利用した電力線搬送通信によって行われるか、あるいは給電線とは別に設けられた伝送線を介して行われる。また、操作入力受付部6はタッチパネルからなり、後述するように利用者(電気自動車100の利用者。以下同じ。)が入力する予約情報を受け付けて制御部2に出力する。但し、操作入力受付部6はタッチパネルに限定されるものでなはく、メンブレンスイッチからなるテンキースイッチなどであってもよい。
【0019】
制御部2は、マイクロコントローラやメモリなどで構成され、メモリに格納されているプログラムがマイクロコントローラで実行されることにより、後述する種々の機能を実現している。記憶部7は、フラッシュメモリなどの書換可能な半導体メモリからなり、情報取得部5が電気自動車100から取得する情報や操作入力受付部6で受け付けられる予約情報などを記憶する。なお、これらの情報の書き込み及び読み出しは、制御部2によって行われる。
【0020】
報知部8は、液晶ディスプレイや発光ダイオードなどの表示デバイス、制御部2に制御されて表示デバイスを駆動するドライバ回路、スピーカ、制御部2に制御されてスピーカを駆動する駆動回路などで構成されている。通信部9は、制御部2から出力される送信データを符号化及び変調して送信するとともに、受信した信号を復調及び復号化して得られる受信データを制御部2に出力する。なお、通信部9がデータ通信に使用する通信媒体は、有線(通信ケーブル)及び無線(電波)の何れでも構わない。
【0021】
図2(a)は、本実施形態の充電制御装置を搭載した充電スタンドXの外観図(正面図)を示している。充電スタンドXは、1乃至複数(図示例では1つ)のコンセントユニット11と、コンセントユニット11が収納されるスタンド本体10とを有し、例えば、集合住宅の駐車場などに設置される。スタンド本体10は、図2(a)に示すように金属板により角筒状に形成され、長手方向が上下方向となるように地面に立設される。コンセントユニット11は、前面が開口する箱状に形成されたユニット本体12と、ユニット本体12の開口を開閉自在に塞ぐ扉13とで外郭が構成されている。そして、スタンド本体10には前方に開放された複数のユニット収納部(図示せず)が縦方向に並設されており、図示例では、最上段のユニット収納部のみにコンセントユニット11が収納され、残りのユニット収納部はカバー14で塞がれている。
【0022】
スタンド本体10前面における最上段に、報知部8の表示デバイス(液晶ディスプレイ80並びに発光ダイオード81A,81B,81C)が配設されている。また、液晶ディスプレイの表面には、操作入力受付部6のタッチパネル(図示せず)が配設されている。
【0023】
ユニット本体12内にコンセント3の差込口(図示せず)が配置されており、図2(b)に示すように扉13が開いた状態で充電ケーブル101の電源プラグ102が挿抜可能となっている。また、扉13の開放端側の下部に切り欠き13Aが設けられており、図2(c)に示すように電源プラグ102がコンセント3に接続された状態であっても、切り欠き13Aを通して充電ケーブル102が外に引き出されるために扉13が閉じられるようになっている。なお、図示は省略するが、扉13には制御部2によって施解錠が制御される電気錠が設けられ、扉13が閉じた状態で施錠されるようになっている。
【0024】
ここで、操作入力受付部6で受け付けられて記憶部7に記憶される予約情報について説明する。本実施形態における充電スタンドXは複数の利用者(例えば、集合住宅の住人)に共用される。そこで、利用者には予め識別符号(利用者ID)が割り当てられ、利用者は、自己の利用者IDを用いて充電スタンドXの利用時間を予約する必要がある。例えば、電気自動車で通勤している利用者が、帰宅時刻から出発時刻(翌日の出勤時刻)までの時間内に電気自動車を充電する場合、帰宅時刻を開始時刻とし、出発時刻を終了時刻とする予約申し込みを操作入力受付部6のタッチパネルから入力する。操作入力受付部6で受け付けられた予約情報(利用者IDと開始時刻及び終了時刻)は、制御部2によって記憶部7に書き込まれる。
【0025】
次に、本実施形態の充電制御装置1の動作について説明する。予約済みの利用者が電気自動車100を充電する際、最初に操作入力受付部6のタッチパネルを操作して自己の利用者IDを入力する。利用者IDの操作入力が操作入力受付部6で受け付けられると、制御部2は、操作入力受付部6から受け取った利用者IDを検索キーとして記憶部7に記憶されている予約情報を検索する。当該利用者IDを含む予約情報が見つかれば、制御部2は、電気錠を解錠するとともに、報知部8の液晶ディスプレイ80に「予約が確認されました。扉を開いて電源プラグをコンセントに差し込んで下さい。」というようなメッセージを表示させる。なお、液晶ディスプレイ80に表示されるメッセージと同一内容の音声メッセージを、制御部2が報知部8のスピーカから鳴動させてもよい。さらに制御部2は、正面から見て左端の発光ダイオード81Aを発光(点灯)させて充電が可能であることを報知(表示)させる。
【0026】
利用者によって電源プラグ102がコンセント3に接続されると、車種、蓄電池の電池容量及び残容量などの情報が当該電気自動車100から情報取得部5に取得されて制御部2に渡される。制御部2は、電池容量から残容量を差し引いた使用電力量を演算するとともに、予約情報の開始時刻から終了時刻までの時間(充電予定時間)内で充電可能な電力量を予測する。例えば、車種情報から電気自動車100の充電電流の最大値が決定されるとすれば、制御部2において、当該充電電流の最大値と充電電圧と充電予定時間の積が充電可能電力量の予測値として演算される。さらに制御部2は、充電可能電力量の予測値と使用電力量とを比較し、その比較結果を報知部8に報知させる。例えば、図3(a)に示すように充電が完了する時刻(充電完了予定時刻)が報知部8の液晶ディスプレイ80に表示される。また、制御部2は、正面から見て中央の発光ダイオード81Bを発光(点灯)させて充電中であることを報知させる。さらに、制御部2は計測部4の計測値から充電量を演算し、当該充電量又は前記使用電力量若しくは電池容量に対する充電量の割合を報知部8の液晶ディスプレイ80に表示させる(図3(b)参照)。あるいは、残容量と充電量の和及び電気自動車100から取得された燃費(1kW当たりの走行距離)から制御部2が走行可能距離を演算し、当該走行可能距離を報知部8の液晶ディスプレイ80に表示させてもよい。但し、制御部2は、操作入力受付部6で受け付けられる操作入力に応じて、上述した複数種類の報知内容を変更して報知部8に報知させる。あるいは、制御部2が内蔵のタイマで時間をカウントし、所定の報知時間が経過する毎(周期的)に報知内容を変更して報知部8に報知させても構わない。また、充電中に電気自動車100の蓄電池や充電器に異常が生じた場合、情報取得部5が電気自動車100から上記異常発生の情報を取得し、制御部2が当該異常の発生を報知部8に報知させる(図3(c)参照)。
【0027】
上述のように本実施形態の充電制御装置1では、充電の開始時刻及び終了時刻を含む予約情報に基づく充電を行う際、終了時刻までに充電可能な電力量の予測結果を報知部8に報知させる。そのため、本実施形態の充電制御装置1は、従来例と比較して利用者に報知される情報量を増やして利便性を高めることができる。なお、本実施形態では制御部2が予測手段及び電力演算手段に相当する。また、本実施形態における報知部8は、液晶ディスプレイ80に表示して報知するとともにスピーカを鳴動して報知しているが、液晶ディスプレイ80とスピーカの何れか一方のみで報知しても構わない。
【0028】
ここで、本実施形態の充電制御装置1は通信部9を備えているので、報知部8に報知させる種々の情報を通信部9から送信させてもよい。充電制御装置1の通信部9から送信された情報は、例えば、集合住宅の住戸(利用者の住戸)に設置されている端末(パーソナルコンピュータや通信機能を有したテレビ受像機など)や利用者が所持する携帯電話機で受信されるとともに当該端末や携帯電話機で報知される。
【0029】
ところで、本実施形態では充電制御装置1で予約情報の受付と管理が行われているが、複数の充電制御装置1の予約情報を一括して管理する管理装置が設置され、これら複数の充電制御装置1と管理装置とで充電制御システムが構成されても構わない。図示は省略するが、管理装置は充電制御装置1の通信部9との間でデータ通信する通信機能を有しており、各充電制御装置1で受け付けられる予約情報をデータ通信により取得し、それらの予約情報を予約情報データベースに登録して管理している。そして、充電制御装置1の制御部2は、操作入力受付部6から受け取った利用者IDを通信部9より管理装置へ送信する。管理装置では、受信した利用者IDを検索キーとして予約情報データベースから予約情報を検索し、その検索結果(利用者IDに対応した予約情報)を充電制御装置1へ返信する。制御部2は、管理装置から予約情報を受け取ると、電気錠を解錠するとともに、報知部8の液晶ディスプレイ80に予約情報の確認が取れた旨のメッセージを表示させる。そして、これ以降は既に説明したように制御部2が報知部8を制御して種々の情報を報知させる。
【符号の説明】
【0030】
1 充電制御装置
2 制御部(予測手段、電力量演算手段)
5 情報取得部(情報取得手段)
6 操作入力受付部(入力受付手段)
7 記憶部(記憶手段)
8 報知部(報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電の開始時刻及び終了時刻を含む予約情報に基づく充電を行う際に前記終了時刻までに充電可能な電力量を予測する予測手段と、当該予測手段の予測結果を報知する報知手段とを備えることを特徴とする充電制御装置。
【請求項2】
前記予約情報の入力を受け付ける入力受付手段と、当該入力受付手段で受け付けた前記予約情報を記憶する記憶手段と、充電される蓄電池の残容量及び電池容量の情報を取得する情報取得手段と、前記充電可能な電力量を予測する前記予測手段と、前記電池容量から前記残容量を差し引いた使用電力量と前記電力量の予測結果とを比較する電力量演算手段と、当該電力量演算手段による前記比較結果を報知する前記報知手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記蓄電池の充電に関する異常を検出する異常検出手段を備え、当該異常検出手段の検出結果が前記報知手段で報知されることを特徴とする請求項2記載の充電制御装置。
【請求項4】
操作入力を受け付ける操作入力受付手段と、当該操作入力受付手段で受け付ける操作入力に応じて前記報知手段で報知される報知内容が変更されることを特徴とする請求項2又は3記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記報知手段で報知される報知内容が周期的に変更されることを特徴とする請求項2又は3記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記報知手段は文字や記号などを用いて報知することを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の充電制御装置。
【請求項7】
前記報知手段は音響により報知することを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載の充電制御装置。
【請求項8】
請求項1〜7の充電制御装置と、当該充電制御装置における充電の開始時刻及び終了時刻を含む予約情報を管理する管理装置とを有することを特徴とする充電制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−55115(P2012−55115A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196964(P2010−196964)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】