光ファイバ測定装置、光ファイバ測定方法、及び合波光生成方法
【課題】本発明は、OTDR測定と心線対照を同時に行うことができる光ファイバ測定装置、光ファイバ測定方法、及び合波光生成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る光ファイバ測定装置、光ファイバ測定方法、及び合波光生成方法は、一つの光源から発生させたパルス光を一定周期で変調させることにより、心線対照光とOTDR試験光の両方の成分を具備する合波光を発生させることとした。合波光は、パルス光を光スイッチのON/OFFにより一定周期で変調させることで得られる。
【解決手段】本発明に係る光ファイバ測定装置、光ファイバ測定方法、及び合波光生成方法は、一つの光源から発生させたパルス光を一定周期で変調させることにより、心線対照光とOTDR試験光の両方の成分を具備する合波光を発生させることとした。合波光は、パルス光を光スイッチのON/OFFにより一定周期で変調させることで得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを特定する心線対照技術及び光ファイバを評価するOTDR(Optical Time Domain Reflectometer)技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年光アクセスサービスの増加と光サービスエリアの拡大に伴い、光設備量が増加しており、道路工事等に伴うケーブルルートを変更する支障移転工事も増加している。支障移転工事では、屋外で移転先のケーブルを敷設後、移転元の光ファイバを特定し、当該心線の切断及び移転先の光ファイバと接続する心線切り替え作業を行い、正しく接続されたか試験を行う(例えば、非特許文献1を参照。)。
【0003】
一方、光ファイバを特定するため心線対照技術が提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。非特許文献2の心線対照技術では、図14に示すように、通信設備ビル91から、通信光LSの波長より長波長側で変調した変調光LKを光ファイバ100に挿入する。通信設備ビル91の屋外では、変調光LKが漏洩する程度に光ファイバ100を曲げ、漏洩光から変調光LKの有無を判定する。これにより、光ファイバ100の通信光LSに影響を与えずに、変調光LKを挿入した光ファイバ100を特定する。また、変調光LKは1650nm帯の波長で270Hz変調が使われることが多い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】有居正仁、東裕司、榎本圭高、鈴木勝晶、荒木則幸、宇留野重則、渡邉常一、「拡大する光アクセス網を支える光媒体網運用技術」、NTT技術ジャーナル、2006年12月号、pp.58−61
【非特許文献2】鈴木勝晶、山本素、夏目新、「R15心線に対応した光ファイバ心線対照技術」、NTT技術ジャーナル、2007年4月号、pp.54−55
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
支障移転工事等の光ケーブルの切り替え工事を実施する際には、心線対照による切り替え対象光ファイバの特定、対象光ファイバの切断、OTDR測定による切断確認、移転先光ファイバへの接続、OTDR測定による移転先光ファイバの接続確認といった作業手順となる。
【0006】
図15に、光ケーブルの切り替え工事を実施する際の設備構成を示す。通信設備ビル91内には、光カプラ56が設置されており、光カプラ56のαポートにはOLT(Optical Line Terminal)51が接続され、γポートには通信設備ビル91から屋外へ敷設されている光ファイバ100が接続されている。この図は、屋外の地点PXと地点PYの間の区間において光ファイバの心線を切り替える例であり、移転元の光ファイバが100aであり、移転先の光ファイバが100bである。心線対照やOTDR測定を行う際には、変調光源54又はOTDR測定装置53のいずれか一つを測定内容に応じて選択し、光カプラ56のβポートに接続して測定を行う。ここで通信に影響を与えることがないよう変調光源54及びOTDR測定装置53ともに、通信光波長と異なる1650nm帯が使われる。光カプラ56のβポートから光カプラ56に入射された光は、αポートへ出射されずγポートのみに出射される。また、光ファイバ100からγポートへ入射された光は、αポートとβポートの両方へ出射される。さらに、αポートからの入射された光は、βポートに出射されずにγポートへ出射される。そのため、OLT51からONU52までの通信線路を切断することなく心線対照やOTDR測定を行うことができる。
【0007】
しかし、図15に示すように、光ファイバ100に対して心線対照を行う際には、光ファイバ100に変調光LKを入射するための変調光源54をβポートに接続し、また光ファイバ100に対してOTDR測定を行う際には、OTDR測定装置53をβポートに接続する必要がある。
【0008】
このように、心線対照とOTDR測定については別々の機器を用いるため、通信設備ビル91内の作業者は、屋外の作業者と電話等で連絡を取り合いながら、作業状況に応じて光カプラ56のβポートに接続する機器を交換していた。このため、支障移転工事等の光ケーブルの切り替え工事を実施する際には、作業者が常に通信設備ビル91内に待機している必要があった。
【0009】
また、支障移転工事は屋外で同時に2以上の地点(例えば、地点PX及び地点PY)で作業を行うこととなる。そのため、例えば、地点PXについてはOTDR測定を、地点PYでは心線対照を行いたい場合がある。このような場合には、通信設備ビル内のカプラ56のβポートには一つの機器しか接続することができないため、OTDR測定と心線対照を同時に行うことができず、どちらかの作業については待機する必要があった。このため、支障移転工事の作業時間が長くなるとともに、切り替えに伴うサービス断の時間が長時間化する課題も生じていた。
【0010】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、OTDR測定と心線対照を同時に行うことができる光ファイバ測定装置、光ファイバ測定方法、及び合波光生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る光ファイバ測定装置、光ファイバ測定方法、及び合波光生成方法は、一つの光源から発生させたパルス光を一定周期で変調させることにより、心線対照光とOTDR試験光の両方の成分を具備する合波光を発生させることとした。
【0012】
具体的には、本発明に係る光ファイバ測定装置は、所定周期のパルス列のパルス光を前記所定周期より長い変調周期で変調した合波光を生成する光出力部と、前記光出力部が生成した合波光を検査対象の光ファイバの一端に入射し、前記光ファイバの前記一端から出力する前記合波光に基づく戻り光の時間対光強度を測定する受光部と、を備える。
【0013】
本光ファイバ測定装置は、所定周期のパルス列のパルス光を前記所定周期より長い変調周期で変調した合波光を生成する。このため、本光ファイバ測定装置は、一つの光源で心線対照光とOTDR試験光の両方を発生させることができる。従って、本発明は、OTDR測定と心線対照を同時に行うことができる光ファイバ測定装置及び合波光生成方法を提供することができる。
【0014】
本発明に係る光ファイバ測定装置の前記光出力部は、前記パルス光を発生するパルス光発生回路と、前記パルス光の発生と停止を制御するパルス駆動回路と、を有することを特徴とする。本発明に係る合波光生成方法は、前記合波光を、前記パルス光を発生するパルス光発生回路を駆動して前記パルス光の発生と停止を制御して生成することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る光ファイバ測定装置の前記光出力部は、前記パルス光を発生するパルス光発生回路と、前記パルス光の経路で前記パルス光の前記パルス列の透過と遮断を繰り返す光スイッチと、を有することを特徴とする。本発明に係る合波光生成方法は、前記合波光を、前記パルス光の前記パルス列の透過と遮断を繰り返して生成することを特徴とする。
【0016】
具体的には、本発明に係る光ファイバ測定方法は、所定周期のパルス列のパルス光を前記所定周期より長い変調周期で変調した合波光を複数の光ファイバのうちの1の特定光ファイバの一端に入射する合波光入射手順と、光ファイバの側面から漏れ出す前記変調周期の光を検出することで、複数の光ファイバのうち前記合波光入射手順で前記合波光を入射した前記特定光ファイバを特定する変調光検出手順と、前記特定光ファイバの前記一端から出力する前記合波光に基づく戻り光の時間対光強度を測定し、前記特定光ファイバで形成された光経路における損失を確認する損失測定手順と、を行う。
【0017】
本光ファイバ測定方法では、心線対照光とOTDR試験光の両方の成分を有する合波光を光ファイバに入射する。従って、本発明は、OTDR測定と心線対照を同時に行うことができる光ファイバ測定方法を提供することができる。
【0018】
本発明に係る光ファイバ測定方法の前記損失測定手順は、前記戻り光の光強度から前記合波光がフレネル反射する位置の変動を確認し、前記特定光ファイバの光経路上で行われる光ファイバの切替作業をモニタすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、OTDR測定と心線対照を同時に行うことができる光ファイバ測定装置、光ファイバ測定方法、及び合波光生成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る光ファイバ測定装置を含むシステムを説明する図である。
【図2】(a)本発明に係る合波光生成方法で生成された合波光を説明する図である。(b)合波光の一部を拡大して説明する図である。
【図3】本発明に係る光ファイバ測定装置が備える光出力部を説明する図である。
【図4】本発明に係る光ファイバ測定装置が備える光出力部を説明する図である。
【図5】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図6】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図7】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図8】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図9】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図10】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図11】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図12】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図13】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図14】非特許文献2に記載される心線対照技術を説明する図である。
【図15】光ケーブル切り替え工事を説明する図である。
【図16】(a)パルス光を変調する変調周期を説明する図である。(b)本発明に係る合波光生成方法で生成された合波光を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0022】
図1に、本実施形態に係る光ファイバ測定システムの構成の一例を示す。本実施形態に係る光ファイバ測定システムは、光ファイバ測定装置11と、変調光受光器13と、反射フィルタ14と、を備える。
【0023】
光ファイバ測定装置11は、図2に示すパルス光LPを変調光LKの周期に変調し作成した合波光LFを光ファイバ100aに出力する。図2を用いて、光出力部21が発生する、パルス光LPを変調光LKの周期に変調し作成した合波光LFの波形を説明する。ここで、(a)は、パルス光LPの発光周期を変調し、変調光LKの要素を含んだ合波光LFを表し、(b)は、合波光LFの一部を拡大し、パルス光LPを表す。両図とも、縦軸が光レベル、横軸が時間である。OTDR測定では、パルス幅には0.1〜1μsがよく用いられ、パルス光LPの周期は200μs程度である。一方、図16にあるように、変調光LKの周期として270Hzがよく用いられるが、その場合の1周期は3700μsとなり、1850μs毎に発光している期間と発光していない期間が繰り返される。パルス光LPは、LKの発光している期間である1850μsで10回程度、発光することとなる。ここで、図16の(a)は、変調光LKを表し、(b)は、合波光LFを表す。
【0024】
パルス光LPが光ファイバ100aで反射された戻り光LBを受光する。光合分波器12は、光出力部21からの合波光LFを光ファイバ100aに挿入するとともに、光ファイバ100aで反射された戻り光LBを受光部22に分離する。変調光受光器13は、光ファイバ100aの外被から漏洩する合波光LFを受光する。この外被から漏洩した合波光LFは、変調光LKの要素を含んでいるため、変調光受光器13は変調光LKと同等と判断する。反射フィルタ14は、光ファイバ100aのONU(Optical Network Unit)側の端部に設置され、パルス光LPを反射する。パルス光LPが反射フィルタ14まで到達する場合、反射フィルタ14の反射光がフレネル反射による戻り光LBとなる。
【0025】
合波光LFに変調光LKの要素が含まれているため、変調光受光器13を用いて心線対照を行うことができる。合波光LFにパルス光LPが含まれているため、光ファイバ測定装置11で戻り光LBを受光することでOTDR測定を行うことができる。したがって、本実施形態に係る光ファイバ測定システムは、OTDR測定と心線対照を同じ光出力部で同時に行うことができる。
【0026】
光ファイバ測定装置11は、光合分波器12と、光出力部21と、受光部22と、演算部23を備える。光出力部21は、パルス光LPの発光周期を変化させて変調光LKを含めた合波光LFを発生する。変調光LK及びパルス光LPの波長は同一であるが、通信光LSとは異なる。
【0027】
受光部22は、光出力部21の発生するパルス光LPが光ファイバ100aで反射された戻り光LBを受光する。受光部22は、通常のOTDR測定装置と同様に、パルス光LPの出力する周期に合わせて受光する。演算部23は、受光部22の受光する戻り光LBの光レベル及びパルス光LPが光ファイバ100aに出力されてから戻り光LBを受光するまでの時間を測定する。これにより、光ファイバ測定装置11は、OTDR測定を行う。
【0028】
図3に、光出力部21の第1例を示す。光出力部の第1例は、パルス光発生部34と、パルス駆動回路33を備える。パルス駆動回路33がパルス光LPをある一定間隔で発光させることで、変調光LKを生成する。これにより、合波光LFが出力される。
【0029】
図4に、光出力部の第2例を示す。光出力部の第2例は、パルス駆動回路33と、パルス光発生部34と、光スイッチ35、変調信号発生部36を備える。パルス光発生部34がパルス光LPを発光し、変調信号発生部36が光スイッチ35をON/OFFさせることで変調光LK及びパルス光LPを合波した合波光LFを発光することができる。
【0030】
OTDR測定は、光出力部21からパルス光LPを出射し、光ファイバ100a内で発生するレイリー散乱光を受光部22で受光して観測して、光ファイバ100aのある区間での損失や接続点の損失を測定する。また、接続点における屈折率差からフレネル反射が生じ、接続点での反射量を観測することができる。受光部22は、光ファイバ100a内で発生したレイリー散乱光やフレネル反射光等の戻り光LBを測定し、演算部23は、戻り光LBが戻ってくるまでの時間で距離を算出する。
【0031】
一方、心線対照の際は、地点PX及び地点PYで光ファイバ100aに曲げが加えられ、光ファイバ100aから漏洩した変調光LKを変調光受光器13で受信し、切断する予定の心線すなわち光ファイバ100aを特定する。変調光受光部13には変調光を検出する回路が含まれており、複数のパルス光LPを変調して作成された合波光LFを変調光LKとして検出することができる。
【0032】
図5は、本実施形態に係る光ファイバの切り替え接続作業の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る光ファイバ測定方法は、合波光入射手順S101と、変調光検出手順S102と、光ファイバ切断手順S103と、光ファイバ接続手順S104を順に有する。
【0033】
図5に示す合波光入射手順S101では、変調光LK及びパルス光LPが重ね合わされた合波光LFを、継続的に光ファイバ100aの一端に入力する。合波光LFの出力は、変調光検出手順S102、光ファイバ切断手順S103及び光ファイバ接続手順S104にわたって、継続的に行う。
【0034】
合波光LFは、例えば、図3や図4に示す光出力部21を用いて、変調光LK及びパルス光LPが重ね合わされた波形を出力する。
【0035】
図6に、合波光入射手順S101における光ファイバ測定システムの状態を示す。光ファイバ測定装置11からパルス光LPを変調光LKの周期で変調された合波光LFが測定対象の光ファイバ100aへ出射される。合波光LFはパルス光LPの要素を含んでいるため、ONU52の前段に設置された反射フィルタ14(地点PR)で反射され、反射された戻り光LBは光合分波器12のγポートに入射される。γポートに入射された戻り光LBは、βポートから出射され、光ファイバ測定装置11に入射される。そして、光ファイバ測定装置11が、合波光LFの要素であるパルス光LP及び戻り光LBを用いてOTDR測定を行う。
【0036】
図7に、合波光入射手順S101におけるOTDR波形の一例を示す。光ファイバ測定装置11が戻り光LBの光レベルを測定することで、地点PRの距離でフレネル反射が発生していることが確認できる。
【0037】
図5に示す変調光検出手順S102では、光ファイバ100aの任意の位置で合波光LFを受光する。例えば、屋外の地点PX及び地点PYにおいて、光ファイバ100aを曲げて漏洩光のなかから合波光LFを受光する。合波光LFは変調光LKの要素を含んでいるため、作業を行う目的の光ファイバ100aであるか、心線対照を行うことが可能である。
【0038】
図5に示す光ファイバ切断手順S103では、変調光検出手順S102で変調光LKを受光した光ファイバ100aを光ファイバ100aの途中の地点PYで切断する。このとき、誤って他の光ファイバを切断しないように心線対照で変調光LKを確認しつつ、光ファイバ100aを切断する。
【0039】
図8に、光ファイバ100aを地点PYで切断したときの光ファイバ測定システムの状態を示す。この状態で、合波光入射手順S101で出力した合波光LFのうちのパルス光LPが光ファイバ100aで反射されて光ファイバ100aの一端に戻った戻り光LBを受光する。パルス光LPは、地点PYでフレネル反射が発生し、反射された戻り光LBが光ファイバ測定装置11に入射される。
【0040】
図9に、光ファイバ100aを地点PYで切断したときのOTDR測定波形の一例を示す。光ファイバ測定装置11が戻り光LBの光レベルを測定すると、地点PYの距離でフレネル反射が発生し、断線波形が現れる。このフレネル反射を測定することで、光ファイバ100aが地点PYの距離で切断されたか否かを判定することができる。
【0041】
図5に示す光ファイバ切断手順S103では、さらに、変調光検出手順S102で変調光LKの要素を含んだ合波光LFを受光した光ファイバ100aを光ファイバ100aの途中の地点PXで切断する。このとき、誤って他の光ファイバを切断しないように心線対照で変調光LKの要素を含んだ合波光LFを確認しつつ、光ファイバ100aを切断する。
【0042】
図10に、光ファイバ100aを地点PXで切断したときの光ファイバ測定システムの状態を示す。この状態で、合波光入射手順S101で出力した合波光LFのうちのパルス光LPが光ファイバ100aで反射されて光ファイバ100aの一端に戻った戻り光LBを受光する。パルス光LPは、地点PXでフレネル反射が発生し、反射された戻り光LBが光ファイバ測定装置11に入射される。
【0043】
図11に、光ファイバ100aを地点PXで切断したときのOTDR波形の一例を示す。光ファイバ測定装置11が戻り光LBの光レベルを測定すると、地点PXの距離でフレネル反射が発生し、断線波形が現れる。このフレネル反射を測定することで、光ファイバ100aが地点PXの距離で切断されたか否かを判定することができる。
【0044】
図5に示す光ファイバ接続手順S104では、光ファイバ切断手順S103で切断した光ファイバ100aのうちの光合分波器12側の一端に近い光ファイバ100aを他の光ファイバ100bに接続する。例えば、図15にて説明すると、光ファイバ100aを地点PX及び地点PYで切断した後に、A区間の100aとB区間の100bを先ず接続し、その後、B区間の100bとC区間の100aを接続する。
【0045】
図12に、光ファイバ接続手順S104における光ファイバ測定システムの状態を示す。この状態で、合波光入射手順S101で出力した合波光LFのうちのパルス光LPが地点PXから地点PYが光ファイバ100bに切り替え接続された光ファイバ100aで反射されて光ファイバ100aの一端に戻った戻り光LBを受光する。パルス光LPは、地点PRでフレネル反射が発生し、反射された戻り光LBが光ファイバ測定装置11に入射される。
【0046】
図13に、光ファイバ接続手順S104におけるOTDR測定波形の一例を示す。光ファイバ測定装置11が戻り光LBの光レベルを測定することで、地点PX及び地点PYの接続状態を判定する。例えば、地点PX及び地点PYの接続損失を読み取り、接続損失が予め定められた規定値以下であれば、正常な接続状態であると判定することができる。
【0047】
また、光ファイバ測定装置11が戻り光LBの光レベルを測定すると、地点PRの距離でフレネル反射が発生し、断線波形が現れる。このフレネル反射を測定することで、光ファイバ100aが光ファイバ100bに接続されたか否かを判定することができる。
【0048】
本発明により、支障移転工事において、通信設備ビル内の作業者と屋外の作業者との間の電話等により逐次作業進行を連絡し、複数作業箇所においてタイミングを合わせた作業を行う必要がなく、それぞれ別の作業を進めることが可能となることから、トータルの作業時間の短縮を図ることが可能となる。
【0049】
なお、本実施形態では、心線対照用の変調光LKを光ファイバ接続手順S104においても出力する形態について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、地点PXでの光ファイバ100aの切断作業の完了を確認できた後に心線対照を行う必要がなければ、変調光源54からの変調光LKの出力を停止してもよい。これにより、変調光LKが光ファイバ100aのコネクタ接続点や光ファイバ100aの遠端等で反射してOTDR測定装置53へ入射することがなくなるため、OTDR測定波形上に重畳するノイズを少なくすることができる。したがって、OTDR測定における測定精度を高めることができる。
【0050】
(効果)
本発明に係る光ファイバ測定装置は、OTDR測定と心線対照を同時に行うことができる。よって、通信設備ビル内では心線対照を行う際、心線対照とOTDR測定を同じ光源を用いて同一波長で同時に行えるため、屋外で作業を行う支障移転先の担当者と電話等で連絡しながら、測定器を作業手順に準じて接続替えする必要がない。
【0051】
また、支障移転工事は同時に2箇所以上で工事を行うこととなるが、地点PXではOTDR測定を、地点PYでは心線対照を同時に行うことができることから、作業者を待たせる必要なく工事を進めることができる。
【0052】
さらに、現地作業に応じて測定器を切り替える必要がないため、支障移転作業時は通信設備ビル内で作業者は屋外での切り替え作業を待つ必要がなく、OTDR装置及び心線対照用光源と2種類の測定器を準備する必要がない。
【符号の説明】
【0053】
11:光ファイバ測定装置
12:光合分波器
13:変調光受光器
14:反射フィルタ
21:光出力部
22:受光部
23:演算部
33:パルス駆動回路
34:パルス光発生部
35:光スイッチ
36:変調信号発生部
51:OLT
52:ONU
53:OTDR測定装置
54:変調光源
56:光カプラ
57:PD
59:接続点
91:通信設備ビル
100a、100b:光ファイバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを特定する心線対照技術及び光ファイバを評価するOTDR(Optical Time Domain Reflectometer)技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年光アクセスサービスの増加と光サービスエリアの拡大に伴い、光設備量が増加しており、道路工事等に伴うケーブルルートを変更する支障移転工事も増加している。支障移転工事では、屋外で移転先のケーブルを敷設後、移転元の光ファイバを特定し、当該心線の切断及び移転先の光ファイバと接続する心線切り替え作業を行い、正しく接続されたか試験を行う(例えば、非特許文献1を参照。)。
【0003】
一方、光ファイバを特定するため心線対照技術が提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。非特許文献2の心線対照技術では、図14に示すように、通信設備ビル91から、通信光LSの波長より長波長側で変調した変調光LKを光ファイバ100に挿入する。通信設備ビル91の屋外では、変調光LKが漏洩する程度に光ファイバ100を曲げ、漏洩光から変調光LKの有無を判定する。これにより、光ファイバ100の通信光LSに影響を与えずに、変調光LKを挿入した光ファイバ100を特定する。また、変調光LKは1650nm帯の波長で270Hz変調が使われることが多い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】有居正仁、東裕司、榎本圭高、鈴木勝晶、荒木則幸、宇留野重則、渡邉常一、「拡大する光アクセス網を支える光媒体網運用技術」、NTT技術ジャーナル、2006年12月号、pp.58−61
【非特許文献2】鈴木勝晶、山本素、夏目新、「R15心線に対応した光ファイバ心線対照技術」、NTT技術ジャーナル、2007年4月号、pp.54−55
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
支障移転工事等の光ケーブルの切り替え工事を実施する際には、心線対照による切り替え対象光ファイバの特定、対象光ファイバの切断、OTDR測定による切断確認、移転先光ファイバへの接続、OTDR測定による移転先光ファイバの接続確認といった作業手順となる。
【0006】
図15に、光ケーブルの切り替え工事を実施する際の設備構成を示す。通信設備ビル91内には、光カプラ56が設置されており、光カプラ56のαポートにはOLT(Optical Line Terminal)51が接続され、γポートには通信設備ビル91から屋外へ敷設されている光ファイバ100が接続されている。この図は、屋外の地点PXと地点PYの間の区間において光ファイバの心線を切り替える例であり、移転元の光ファイバが100aであり、移転先の光ファイバが100bである。心線対照やOTDR測定を行う際には、変調光源54又はOTDR測定装置53のいずれか一つを測定内容に応じて選択し、光カプラ56のβポートに接続して測定を行う。ここで通信に影響を与えることがないよう変調光源54及びOTDR測定装置53ともに、通信光波長と異なる1650nm帯が使われる。光カプラ56のβポートから光カプラ56に入射された光は、αポートへ出射されずγポートのみに出射される。また、光ファイバ100からγポートへ入射された光は、αポートとβポートの両方へ出射される。さらに、αポートからの入射された光は、βポートに出射されずにγポートへ出射される。そのため、OLT51からONU52までの通信線路を切断することなく心線対照やOTDR測定を行うことができる。
【0007】
しかし、図15に示すように、光ファイバ100に対して心線対照を行う際には、光ファイバ100に変調光LKを入射するための変調光源54をβポートに接続し、また光ファイバ100に対してOTDR測定を行う際には、OTDR測定装置53をβポートに接続する必要がある。
【0008】
このように、心線対照とOTDR測定については別々の機器を用いるため、通信設備ビル91内の作業者は、屋外の作業者と電話等で連絡を取り合いながら、作業状況に応じて光カプラ56のβポートに接続する機器を交換していた。このため、支障移転工事等の光ケーブルの切り替え工事を実施する際には、作業者が常に通信設備ビル91内に待機している必要があった。
【0009】
また、支障移転工事は屋外で同時に2以上の地点(例えば、地点PX及び地点PY)で作業を行うこととなる。そのため、例えば、地点PXについてはOTDR測定を、地点PYでは心線対照を行いたい場合がある。このような場合には、通信設備ビル内のカプラ56のβポートには一つの機器しか接続することができないため、OTDR測定と心線対照を同時に行うことができず、どちらかの作業については待機する必要があった。このため、支障移転工事の作業時間が長くなるとともに、切り替えに伴うサービス断の時間が長時間化する課題も生じていた。
【0010】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、OTDR測定と心線対照を同時に行うことができる光ファイバ測定装置、光ファイバ測定方法、及び合波光生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る光ファイバ測定装置、光ファイバ測定方法、及び合波光生成方法は、一つの光源から発生させたパルス光を一定周期で変調させることにより、心線対照光とOTDR試験光の両方の成分を具備する合波光を発生させることとした。
【0012】
具体的には、本発明に係る光ファイバ測定装置は、所定周期のパルス列のパルス光を前記所定周期より長い変調周期で変調した合波光を生成する光出力部と、前記光出力部が生成した合波光を検査対象の光ファイバの一端に入射し、前記光ファイバの前記一端から出力する前記合波光に基づく戻り光の時間対光強度を測定する受光部と、を備える。
【0013】
本光ファイバ測定装置は、所定周期のパルス列のパルス光を前記所定周期より長い変調周期で変調した合波光を生成する。このため、本光ファイバ測定装置は、一つの光源で心線対照光とOTDR試験光の両方を発生させることができる。従って、本発明は、OTDR測定と心線対照を同時に行うことができる光ファイバ測定装置及び合波光生成方法を提供することができる。
【0014】
本発明に係る光ファイバ測定装置の前記光出力部は、前記パルス光を発生するパルス光発生回路と、前記パルス光の発生と停止を制御するパルス駆動回路と、を有することを特徴とする。本発明に係る合波光生成方法は、前記合波光を、前記パルス光を発生するパルス光発生回路を駆動して前記パルス光の発生と停止を制御して生成することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る光ファイバ測定装置の前記光出力部は、前記パルス光を発生するパルス光発生回路と、前記パルス光の経路で前記パルス光の前記パルス列の透過と遮断を繰り返す光スイッチと、を有することを特徴とする。本発明に係る合波光生成方法は、前記合波光を、前記パルス光の前記パルス列の透過と遮断を繰り返して生成することを特徴とする。
【0016】
具体的には、本発明に係る光ファイバ測定方法は、所定周期のパルス列のパルス光を前記所定周期より長い変調周期で変調した合波光を複数の光ファイバのうちの1の特定光ファイバの一端に入射する合波光入射手順と、光ファイバの側面から漏れ出す前記変調周期の光を検出することで、複数の光ファイバのうち前記合波光入射手順で前記合波光を入射した前記特定光ファイバを特定する変調光検出手順と、前記特定光ファイバの前記一端から出力する前記合波光に基づく戻り光の時間対光強度を測定し、前記特定光ファイバで形成された光経路における損失を確認する損失測定手順と、を行う。
【0017】
本光ファイバ測定方法では、心線対照光とOTDR試験光の両方の成分を有する合波光を光ファイバに入射する。従って、本発明は、OTDR測定と心線対照を同時に行うことができる光ファイバ測定方法を提供することができる。
【0018】
本発明に係る光ファイバ測定方法の前記損失測定手順は、前記戻り光の光強度から前記合波光がフレネル反射する位置の変動を確認し、前記特定光ファイバの光経路上で行われる光ファイバの切替作業をモニタすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、OTDR測定と心線対照を同時に行うことができる光ファイバ測定装置、光ファイバ測定方法、及び合波光生成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る光ファイバ測定装置を含むシステムを説明する図である。
【図2】(a)本発明に係る合波光生成方法で生成された合波光を説明する図である。(b)合波光の一部を拡大して説明する図である。
【図3】本発明に係る光ファイバ測定装置が備える光出力部を説明する図である。
【図4】本発明に係る光ファイバ測定装置が備える光出力部を説明する図である。
【図5】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図6】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図7】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図8】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図9】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図10】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図11】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図12】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図13】本発明に係る光ファイバ測定方法を説明する図である。
【図14】非特許文献2に記載される心線対照技術を説明する図である。
【図15】光ケーブル切り替え工事を説明する図である。
【図16】(a)パルス光を変調する変調周期を説明する図である。(b)本発明に係る合波光生成方法で生成された合波光を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0022】
図1に、本実施形態に係る光ファイバ測定システムの構成の一例を示す。本実施形態に係る光ファイバ測定システムは、光ファイバ測定装置11と、変調光受光器13と、反射フィルタ14と、を備える。
【0023】
光ファイバ測定装置11は、図2に示すパルス光LPを変調光LKの周期に変調し作成した合波光LFを光ファイバ100aに出力する。図2を用いて、光出力部21が発生する、パルス光LPを変調光LKの周期に変調し作成した合波光LFの波形を説明する。ここで、(a)は、パルス光LPの発光周期を変調し、変調光LKの要素を含んだ合波光LFを表し、(b)は、合波光LFの一部を拡大し、パルス光LPを表す。両図とも、縦軸が光レベル、横軸が時間である。OTDR測定では、パルス幅には0.1〜1μsがよく用いられ、パルス光LPの周期は200μs程度である。一方、図16にあるように、変調光LKの周期として270Hzがよく用いられるが、その場合の1周期は3700μsとなり、1850μs毎に発光している期間と発光していない期間が繰り返される。パルス光LPは、LKの発光している期間である1850μsで10回程度、発光することとなる。ここで、図16の(a)は、変調光LKを表し、(b)は、合波光LFを表す。
【0024】
パルス光LPが光ファイバ100aで反射された戻り光LBを受光する。光合分波器12は、光出力部21からの合波光LFを光ファイバ100aに挿入するとともに、光ファイバ100aで反射された戻り光LBを受光部22に分離する。変調光受光器13は、光ファイバ100aの外被から漏洩する合波光LFを受光する。この外被から漏洩した合波光LFは、変調光LKの要素を含んでいるため、変調光受光器13は変調光LKと同等と判断する。反射フィルタ14は、光ファイバ100aのONU(Optical Network Unit)側の端部に設置され、パルス光LPを反射する。パルス光LPが反射フィルタ14まで到達する場合、反射フィルタ14の反射光がフレネル反射による戻り光LBとなる。
【0025】
合波光LFに変調光LKの要素が含まれているため、変調光受光器13を用いて心線対照を行うことができる。合波光LFにパルス光LPが含まれているため、光ファイバ測定装置11で戻り光LBを受光することでOTDR測定を行うことができる。したがって、本実施形態に係る光ファイバ測定システムは、OTDR測定と心線対照を同じ光出力部で同時に行うことができる。
【0026】
光ファイバ測定装置11は、光合分波器12と、光出力部21と、受光部22と、演算部23を備える。光出力部21は、パルス光LPの発光周期を変化させて変調光LKを含めた合波光LFを発生する。変調光LK及びパルス光LPの波長は同一であるが、通信光LSとは異なる。
【0027】
受光部22は、光出力部21の発生するパルス光LPが光ファイバ100aで反射された戻り光LBを受光する。受光部22は、通常のOTDR測定装置と同様に、パルス光LPの出力する周期に合わせて受光する。演算部23は、受光部22の受光する戻り光LBの光レベル及びパルス光LPが光ファイバ100aに出力されてから戻り光LBを受光するまでの時間を測定する。これにより、光ファイバ測定装置11は、OTDR測定を行う。
【0028】
図3に、光出力部21の第1例を示す。光出力部の第1例は、パルス光発生部34と、パルス駆動回路33を備える。パルス駆動回路33がパルス光LPをある一定間隔で発光させることで、変調光LKを生成する。これにより、合波光LFが出力される。
【0029】
図4に、光出力部の第2例を示す。光出力部の第2例は、パルス駆動回路33と、パルス光発生部34と、光スイッチ35、変調信号発生部36を備える。パルス光発生部34がパルス光LPを発光し、変調信号発生部36が光スイッチ35をON/OFFさせることで変調光LK及びパルス光LPを合波した合波光LFを発光することができる。
【0030】
OTDR測定は、光出力部21からパルス光LPを出射し、光ファイバ100a内で発生するレイリー散乱光を受光部22で受光して観測して、光ファイバ100aのある区間での損失や接続点の損失を測定する。また、接続点における屈折率差からフレネル反射が生じ、接続点での反射量を観測することができる。受光部22は、光ファイバ100a内で発生したレイリー散乱光やフレネル反射光等の戻り光LBを測定し、演算部23は、戻り光LBが戻ってくるまでの時間で距離を算出する。
【0031】
一方、心線対照の際は、地点PX及び地点PYで光ファイバ100aに曲げが加えられ、光ファイバ100aから漏洩した変調光LKを変調光受光器13で受信し、切断する予定の心線すなわち光ファイバ100aを特定する。変調光受光部13には変調光を検出する回路が含まれており、複数のパルス光LPを変調して作成された合波光LFを変調光LKとして検出することができる。
【0032】
図5は、本実施形態に係る光ファイバの切り替え接続作業の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る光ファイバ測定方法は、合波光入射手順S101と、変調光検出手順S102と、光ファイバ切断手順S103と、光ファイバ接続手順S104を順に有する。
【0033】
図5に示す合波光入射手順S101では、変調光LK及びパルス光LPが重ね合わされた合波光LFを、継続的に光ファイバ100aの一端に入力する。合波光LFの出力は、変調光検出手順S102、光ファイバ切断手順S103及び光ファイバ接続手順S104にわたって、継続的に行う。
【0034】
合波光LFは、例えば、図3や図4に示す光出力部21を用いて、変調光LK及びパルス光LPが重ね合わされた波形を出力する。
【0035】
図6に、合波光入射手順S101における光ファイバ測定システムの状態を示す。光ファイバ測定装置11からパルス光LPを変調光LKの周期で変調された合波光LFが測定対象の光ファイバ100aへ出射される。合波光LFはパルス光LPの要素を含んでいるため、ONU52の前段に設置された反射フィルタ14(地点PR)で反射され、反射された戻り光LBは光合分波器12のγポートに入射される。γポートに入射された戻り光LBは、βポートから出射され、光ファイバ測定装置11に入射される。そして、光ファイバ測定装置11が、合波光LFの要素であるパルス光LP及び戻り光LBを用いてOTDR測定を行う。
【0036】
図7に、合波光入射手順S101におけるOTDR波形の一例を示す。光ファイバ測定装置11が戻り光LBの光レベルを測定することで、地点PRの距離でフレネル反射が発生していることが確認できる。
【0037】
図5に示す変調光検出手順S102では、光ファイバ100aの任意の位置で合波光LFを受光する。例えば、屋外の地点PX及び地点PYにおいて、光ファイバ100aを曲げて漏洩光のなかから合波光LFを受光する。合波光LFは変調光LKの要素を含んでいるため、作業を行う目的の光ファイバ100aであるか、心線対照を行うことが可能である。
【0038】
図5に示す光ファイバ切断手順S103では、変調光検出手順S102で変調光LKを受光した光ファイバ100aを光ファイバ100aの途中の地点PYで切断する。このとき、誤って他の光ファイバを切断しないように心線対照で変調光LKを確認しつつ、光ファイバ100aを切断する。
【0039】
図8に、光ファイバ100aを地点PYで切断したときの光ファイバ測定システムの状態を示す。この状態で、合波光入射手順S101で出力した合波光LFのうちのパルス光LPが光ファイバ100aで反射されて光ファイバ100aの一端に戻った戻り光LBを受光する。パルス光LPは、地点PYでフレネル反射が発生し、反射された戻り光LBが光ファイバ測定装置11に入射される。
【0040】
図9に、光ファイバ100aを地点PYで切断したときのOTDR測定波形の一例を示す。光ファイバ測定装置11が戻り光LBの光レベルを測定すると、地点PYの距離でフレネル反射が発生し、断線波形が現れる。このフレネル反射を測定することで、光ファイバ100aが地点PYの距離で切断されたか否かを判定することができる。
【0041】
図5に示す光ファイバ切断手順S103では、さらに、変調光検出手順S102で変調光LKの要素を含んだ合波光LFを受光した光ファイバ100aを光ファイバ100aの途中の地点PXで切断する。このとき、誤って他の光ファイバを切断しないように心線対照で変調光LKの要素を含んだ合波光LFを確認しつつ、光ファイバ100aを切断する。
【0042】
図10に、光ファイバ100aを地点PXで切断したときの光ファイバ測定システムの状態を示す。この状態で、合波光入射手順S101で出力した合波光LFのうちのパルス光LPが光ファイバ100aで反射されて光ファイバ100aの一端に戻った戻り光LBを受光する。パルス光LPは、地点PXでフレネル反射が発生し、反射された戻り光LBが光ファイバ測定装置11に入射される。
【0043】
図11に、光ファイバ100aを地点PXで切断したときのOTDR波形の一例を示す。光ファイバ測定装置11が戻り光LBの光レベルを測定すると、地点PXの距離でフレネル反射が発生し、断線波形が現れる。このフレネル反射を測定することで、光ファイバ100aが地点PXの距離で切断されたか否かを判定することができる。
【0044】
図5に示す光ファイバ接続手順S104では、光ファイバ切断手順S103で切断した光ファイバ100aのうちの光合分波器12側の一端に近い光ファイバ100aを他の光ファイバ100bに接続する。例えば、図15にて説明すると、光ファイバ100aを地点PX及び地点PYで切断した後に、A区間の100aとB区間の100bを先ず接続し、その後、B区間の100bとC区間の100aを接続する。
【0045】
図12に、光ファイバ接続手順S104における光ファイバ測定システムの状態を示す。この状態で、合波光入射手順S101で出力した合波光LFのうちのパルス光LPが地点PXから地点PYが光ファイバ100bに切り替え接続された光ファイバ100aで反射されて光ファイバ100aの一端に戻った戻り光LBを受光する。パルス光LPは、地点PRでフレネル反射が発生し、反射された戻り光LBが光ファイバ測定装置11に入射される。
【0046】
図13に、光ファイバ接続手順S104におけるOTDR測定波形の一例を示す。光ファイバ測定装置11が戻り光LBの光レベルを測定することで、地点PX及び地点PYの接続状態を判定する。例えば、地点PX及び地点PYの接続損失を読み取り、接続損失が予め定められた規定値以下であれば、正常な接続状態であると判定することができる。
【0047】
また、光ファイバ測定装置11が戻り光LBの光レベルを測定すると、地点PRの距離でフレネル反射が発生し、断線波形が現れる。このフレネル反射を測定することで、光ファイバ100aが光ファイバ100bに接続されたか否かを判定することができる。
【0048】
本発明により、支障移転工事において、通信設備ビル内の作業者と屋外の作業者との間の電話等により逐次作業進行を連絡し、複数作業箇所においてタイミングを合わせた作業を行う必要がなく、それぞれ別の作業を進めることが可能となることから、トータルの作業時間の短縮を図ることが可能となる。
【0049】
なお、本実施形態では、心線対照用の変調光LKを光ファイバ接続手順S104においても出力する形態について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、地点PXでの光ファイバ100aの切断作業の完了を確認できた後に心線対照を行う必要がなければ、変調光源54からの変調光LKの出力を停止してもよい。これにより、変調光LKが光ファイバ100aのコネクタ接続点や光ファイバ100aの遠端等で反射してOTDR測定装置53へ入射することがなくなるため、OTDR測定波形上に重畳するノイズを少なくすることができる。したがって、OTDR測定における測定精度を高めることができる。
【0050】
(効果)
本発明に係る光ファイバ測定装置は、OTDR測定と心線対照を同時に行うことができる。よって、通信設備ビル内では心線対照を行う際、心線対照とOTDR測定を同じ光源を用いて同一波長で同時に行えるため、屋外で作業を行う支障移転先の担当者と電話等で連絡しながら、測定器を作業手順に準じて接続替えする必要がない。
【0051】
また、支障移転工事は同時に2箇所以上で工事を行うこととなるが、地点PXではOTDR測定を、地点PYでは心線対照を同時に行うことができることから、作業者を待たせる必要なく工事を進めることができる。
【0052】
さらに、現地作業に応じて測定器を切り替える必要がないため、支障移転作業時は通信設備ビル内で作業者は屋外での切り替え作業を待つ必要がなく、OTDR装置及び心線対照用光源と2種類の測定器を準備する必要がない。
【符号の説明】
【0053】
11:光ファイバ測定装置
12:光合分波器
13:変調光受光器
14:反射フィルタ
21:光出力部
22:受光部
23:演算部
33:パルス駆動回路
34:パルス光発生部
35:光スイッチ
36:変調信号発生部
51:OLT
52:ONU
53:OTDR測定装置
54:変調光源
56:光カプラ
57:PD
59:接続点
91:通信設備ビル
100a、100b:光ファイバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周期のパルス列のパルス光を前記所定周期より長い変調周期で変調した合波光を生成する光出力部と、
前記光出力部が生成した合波光を検査対象の光ファイバの一端に入射し、前記光ファイバの前記一端から出力する前記合波光に基づく戻り光の時間対光強度を測定する受光部と、
を備える光ファイバ測定装置。
【請求項2】
前記光出力部は、
前記パルス光を発生するパルス光発生回路と、
前記パルス光の発生と停止を制御するパルス駆動回路と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ測定装置。
【請求項3】
前記光出力部は、
前記パルス光を発生するパルス光発生回路と、
前記パルス光の経路で前記パルス光の前記パルス列の透過と遮断を繰り返す光スイッチと、
を有することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ測定装置。
【請求項4】
所定周期のパルス列のパルス光を前記所定周期より長い変調周期で変調した合波光を複数の光ファイバのうちの1の特定光ファイバの一端に入射する合波光入射手順と、
光ファイバの側面から漏れ出す前記変調周期の光を検出することで、複数の光ファイバのうち前記合波光入射手順で前記合波光を入射した前記特定光ファイバを特定する変調光検出手順と、
前記特定光ファイバの前記一端から出力する前記合波光に基づく戻り光の時間対光強度を測定し、前記特定光ファイバで形成された光経路における損失を確認する損失測定手順と、
を行う光ファイバ測定方法。
【請求項5】
前記損失測定手順は、
前記戻り光の光強度から前記合波光がフレネル反射する位置の変動を確認し、前記特定光ファイバの光経路上で行われる光ファイバの切り替え作業をモニタすることを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ測定方法。
【請求項6】
所定周期のパルス列のパルス光を前記所定周期より長い変調周期で変調した合波光を生成する合波光生成方法。
【請求項7】
前記合波光を、前記パルス光を発生するパルス光発生回路を駆動して前記パルス光の発生と停止を制御して生成することを特徴とする請求項6に記載の合波光生成方法。
【請求項8】
前記合波光を、前記パルス光の前記パルス列の透過と遮断を繰り返して生成することを特徴とする請求項6に記載の合波光生成方法。
【請求項1】
所定周期のパルス列のパルス光を前記所定周期より長い変調周期で変調した合波光を生成する光出力部と、
前記光出力部が生成した合波光を検査対象の光ファイバの一端に入射し、前記光ファイバの前記一端から出力する前記合波光に基づく戻り光の時間対光強度を測定する受光部と、
を備える光ファイバ測定装置。
【請求項2】
前記光出力部は、
前記パルス光を発生するパルス光発生回路と、
前記パルス光の発生と停止を制御するパルス駆動回路と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ測定装置。
【請求項3】
前記光出力部は、
前記パルス光を発生するパルス光発生回路と、
前記パルス光の経路で前記パルス光の前記パルス列の透過と遮断を繰り返す光スイッチと、
を有することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ測定装置。
【請求項4】
所定周期のパルス列のパルス光を前記所定周期より長い変調周期で変調した合波光を複数の光ファイバのうちの1の特定光ファイバの一端に入射する合波光入射手順と、
光ファイバの側面から漏れ出す前記変調周期の光を検出することで、複数の光ファイバのうち前記合波光入射手順で前記合波光を入射した前記特定光ファイバを特定する変調光検出手順と、
前記特定光ファイバの前記一端から出力する前記合波光に基づく戻り光の時間対光強度を測定し、前記特定光ファイバで形成された光経路における損失を確認する損失測定手順と、
を行う光ファイバ測定方法。
【請求項5】
前記損失測定手順は、
前記戻り光の光強度から前記合波光がフレネル反射する位置の変動を確認し、前記特定光ファイバの光経路上で行われる光ファイバの切り替え作業をモニタすることを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ測定方法。
【請求項6】
所定周期のパルス列のパルス光を前記所定周期より長い変調周期で変調した合波光を生成する合波光生成方法。
【請求項7】
前記合波光を、前記パルス光を発生するパルス光発生回路を駆動して前記パルス光の発生と停止を制御して生成することを特徴とする請求項6に記載の合波光生成方法。
【請求項8】
前記合波光を、前記パルス光の前記パルス列の透過と遮断を繰り返して生成することを特徴とする請求項6に記載の合波光生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−189389(P2012−189389A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51917(P2011−51917)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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