説明

光受信機

【課題】 光受信機に異常が生じたとしても、容易に確認することができ、かつ、一般ユーザーが直接に光信号を見てしまうことを防止する。
【解決手段】 家屋の壁面62に形成した開口64内に本体ケース2が収容されている。本体ケース2の背面に光信号入力端子4が設けられている。本体ケース2内に設けられたフォトダイオードが光信号入力端子4から入力された光信号を、高周波信号に変換し、出力端子46に供給する。本体ケース2の正面に、これよりも大きく形成したパネル66が、壁面62に取り付けられている。パネル66から露出した状態に本体ケース2の正面に出力端子46が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光受信機に関し、特に壁面端子内に内蔵された光受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光受信機としては、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。この特許文献1に開示された技術では、テレビジョン放送信号で変調された光変調信号は、光ファイバによって家屋の屋外に設置された光受信機まで伝送され、ここでテレビジョン放送信号に復調され、同軸ケーブルのような伝送線路を介して屋内に伝送される。
【0003】
【特許文献1】特開2007−158669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、光受信機は、家屋の屋外に配置されている。また、屋外でも、一般ユーザーが容易に触れることができないような場所に設置されることが多い。そのため、異常が発生したとしても、設置業者を呼んで確認してもらう必要がある。また、近年、光ファイバーを家屋内に引き込み、屋内の壁に設けた光コンセントに接続することも提案される。この場合、光コンセントには、一般ユーザーが光変調信号を直接に見てしまうことを防止するためにシャッタが取り付けられているが、これでも誤って一般ユーザーが光変調信号を見てしまうことがある。
【0005】
本発明は、一般ユーザーでも容易に状態を確認することができ、しかも直接に光信号を一般ユーザーが見てしまうことを防止した壁面端子用の光受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の光受信機は、家屋の壁面に形成した開口内に収容可能な本体ケースを有している。この本体ケースの正面以外の面に光信号入力端子が設けられている。例えば本体ケースの背面に光信号入力端子が設けられている。前記本体ケース内に、前記光信号入力端子から入力された光信号を、電気信号に変換する光電変換手段を含む処理手段が設けられている。処理手段は、光電変換手段のみとすることもできるし、或いは光電変換手段からの電気信号のレベルを調整するレベル調整手段を備えることもできる。本体ケースの正面にパネルが設けられている。このパネルは、前記本体ケースの正面よりも大きく形成され、前記壁面に取り付けられる。前記パネルから露出した状態に前記本体ケースの正面に電気信号端子が設けられ、前記処理手段の出力信号が供給される。
【0007】
このように構成された光受信機では、光信号は、家屋内の壁面内に設置されている本体ケースに設けた光信号入力端子に供給される。従って、異常が生じたとしても、一般ユーザーが容易に確認することができる。しかも、この光信号を変換した電気信号が正面に設けた電気信号端子に供給されているので、一般ユーザーが直接に光信号を見てしまうことがなく、目に対する安全性が高い。
【0008】
前記光信号は、テレビジョン放送信号を含む高周波信号で光を変調したものとすることができる。この場合、光電変換手段は、前記高周波信号を復調し、この高周波信号中の前記テレビジョン放送信号が前記電気信号端子に供給される。このように構成すると、電気信号端子にテレビジョン受信機を接続することにより、光伝送されているテレビジョン放送を視聴することが可能となる。
【0009】
更に、前記高周波信号は、緊急告知信号を含むことがある。その場合、前記光電変換手段は、前記緊急告知信号も復調し、この緊急告知信号は、前記パネルから露出するように前記本体ケースの正面に設けられた別の電気信号端子に供給される。このように構成すると、別の電気信号端子に緊急告知放送受信機を接続することにより、緊急告知放送も受信することができる。
【0010】
処理手段は、前記光電変換手段からのテレビジョン放送信号のレベル調整手段を有するものとできる。この場合、レベル調整手段の手動操作部が前記本体ケースの正面に、前記パネルから露出した状態で設けられている。このように構成すると、電気信号のレベルの調整を行うことができ、適切な状態でテレビジョン放送を視聴することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、異常が生じたとしても、一般ユーザーが容易に確認することができ、かつ、一般ユーザーが直接に光信号を見てしまうことがなく、目に対する安全性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の1実施形態の光受信機は、図1(b)に示すように、本体ケース2を有している。本体ケース2は概略直方体状に形成され、その正面以外の面、例えば背面に光信号入力端子4を有している。この光信号入力端子4には、光ファイバ6が接続される。この光ファイバ6は、テレビジョン放送信号及び緊急告知放送信号のような高周波信号で光を変調した光信号を、光信号入力端子4まで伝送するもので、例えば家屋の壁内に布設されている。なお、テレビジョン放送信号は、VHF帯及びUHF帯のテレビジョン放送信号とBS−IF帯及びCS−IF帯(衛星放送中間周波信号)のテレビジョン放送信号とからなる。また、緊急告知放送信号は、緊急時にのみ放送されるもので、VHF帯のテレビジョン放送信号よりも低い周波数帯のものである。
【0013】
本体ケース2内には、図2に示すような処理手段、例えば光受信回路7が設けられている。この光受信回路7は、光電変換手段、例えば受光素子、具体的にはフォトダイオード8を有している。フォトダイオード8のカソードは、高周波阻止コイル10を介して電源端子12に接続され、アノードは、抵抗器14とコンデンサ16との並列回路と高周波阻止コイル18との直列回路を介して基準電位、例えば接地電位に接続されている。即ち、+Vの直流電圧がカソードに供給される逆バイアス状態とされている。このフォトダイオード8に、光信号入力端子4に供給された光信号が供給され、これに応じてフォトダイオード8には、高周波電流が流れ、高周波阻止コイル18の両端に電圧の形態でテレビジョン放送信号及び緊急告知放送信号が生成される。なお、特開2007−158668号公報に開示されているように無バイアス状態で、光信号に対応した高周波電流が流れるように構成することもできる。
【0014】
テレビジョン放送信号及び緊急告知放送信号は、増幅段、例えば増幅器20によって増幅された後、1分岐器22に供給され、その出力端子からレベル調整手段、例えばゲインコントロール回路24に供給され、ここでレベル調整が行われた後、分波器26に供給される。この分波器26によってテレビジョン放送信号が、VHF帯及びUHF帯のテレビジョン放送信号とBS−IF帯及びCS−IF帯のテレビジョン放送信号とに分波される。VHF帯及びUHF帯のテレビジョン放送信号は、増幅段、例えば増幅器28によって増幅され、ゲインコントロール回路30によってレベル調整が行われた後、再度、増幅段、例えば増幅器32によって増幅される。同様に、BS−IF帯及びCS−IF帯のテレビジョン放送信号も、増幅器34によって増幅され、ゲインコントロール回路36によってレベル調整が行われ、再度、増幅器38によって増幅される。これら増幅器32、38によって増幅されたVHF帯、UHF帯、BS−IF帯及びCS−IF帯のテレビジョン信号は、合成器40によって合成される。
【0015】
合成器40の出力信号は、レベル調整手段、例えば可変減衰器42によってレベル調整が行われた後、1分岐器44に供給される。1分岐器44の出力端子に生じた出力は、電気信号出力端子、例えば出力端子46に供給され、分岐端子に生じた出力は、モニタ端子48に供給される。
【0016】
1分岐器22の分岐端子から分岐された増幅器20の出力信号は、抽出手段、例えばローパスフィルタ50に供給され、緊急告知放送信号がローパスフィルタ50によって抽出され、制御回路52に供給される。制御回路52によって緊急放送受信機(図示せず)によって受信可能に処理して、緊急告知用出力端子54に供給される。
【0017】
また、抵抗器14の両端間に生成されたテレビジョン放送信号と緊急告知放送信号とは、CPU56に供給され、ここで受光レベルが検知され、予め定められた適正受光レベル範囲内に受光レベルが入っているか判断される。適正受光レベル範囲内に受光レベルが入っているとき、CPU56はLED58を例えば緑色に点灯し、適正受光レベル範囲外に受光レベルがあるとき、CPU56はLED58を例えば赤色に点灯する。また、適正受光レベル範囲内に受光レベルがあるとき、CPU56は、出力端子46からの出力のレベルが適正出力レベル範囲内に入るように、ゲインコントロール回路24、30、36でのゲインをD/A変換器58が調整するように、D/A変換器60に制御信号を供給する。
【0018】
なお、増幅器20、28、32、34、38、ゲインコントロール回路24、30、36には、電源端子12から直流動作電圧が供給されている。又、電源端子12において、直流動作電圧の供給の状態を目視するために、LED59を設けることができる。このLED59が緑色に点灯している場合、直流動作電圧が供給状態であり、消灯している場合には、直流動作電圧が非供給状態である。
【0019】
本体ケース2の正面には、図1(a)に示すように、上述した光受信回路7の出力端子46、緊急告知用出力端子54、可変減衰器42の操作部42a、電源端子12、LED58、59が上下方向に一列に設けられている。なお、モニタ端子48は、図示していないが本体ケース2の側面または背面に設けられている。可変減衰器42の操作部42aは、スライド型のもので、例えば−10dB、−15dB、0dBの3段階のいずれかに減衰量を変化させる際にスライド操作される。
【0020】
図1(b)に示すように、本体ケース2を家屋の壁62に形成した矩形の孔64内に収容可能に、孔64が形成されている。本体ケース2の正面には、孔64内に本体ケース2を収容した状態において、本体ケース2を壁62に固定するためのパネル66が設けられている。パネル66は、本体ケース2及び孔64よりも一回り大きい矩形状に形成されている。パネル66を本体ケース2の正面に取り付けた状態において、出力端子46、緊急告知用出力端子54、可変減衰器42の操作部42a、電源端子12、LED58、59が、その周囲をパネル66によって被われた状態で、パネル66から露出している。その結果、出力端子46、緊急告知用出力端子54、電源端子12には、それぞれ所定の接続具が接続可能とされ、可変減衰器42の操作部42aは手動で操作可能とされ、LED58、59は、その点灯、消灯の状態を外部から確認可能である。なお、符号68で示すのは、パネル66を壁62に固定するためのネジである。
【0021】
このように構成された光受信機では、本体ケース2が壁62内に収容され、しかも光信号入力端子4は、本体ケース2の正面以外の面の1つである背面に設けられている。更に、光信号入力端子4からの光信号は、本体ケース2内の光受信回路によって、テレビジョン放送信号や緊急告知放送信号の高周波信号に変換されて、本体ケース2の正面側の出力端子46、緊急告知用出力端子54から出力される。従って、一般ユーザーが誤って光信号を直接に見ることが無く、目に障害が発生することがない。しかも、光信号は、光ファイバー6によって本体ケース2の背面側の光信号入力端子4に供給されているので、光受信機に異常が発生したときでも、家屋内で容易に保守点検を行うことができる。
【0022】
上記の実施形態では、光信号入力端子4を本体ケース2の背面に設けたが、側面、上面または下面に設けることもできる。また、可変減衰器42の操作部42aはスライド型のものを示したが、回転式の操作部を使用することもできる。また、緊急告知用出力端子54を設けたが、場合には不要である。同様に、電源端子12を本体ケース2の正面に設けたが、電源供給用の配線を壁62内に布設する場合には、電源端子12は、本体ケース2の正面以外の面に設けることができる。上記の実施形態では、光受信回路7を設けたが、そのうちのフォトダイオード8に関連する部分のみを設けて、レベル調整等を行っていないテレビジョン放送信号や緊急告知信号を出力端子46に供給することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の1実施形態の光受信機の正面図と側面図である。
【図2】図1の光受信機のブロック図である。
【符号の説明】
【0024】
2 本体ケース
4 光信号入力端子
7 光受信回路(処理手段)
8 フォトダイオード(光電変換手段)
46 出力端子(電気信号端子)
66 パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋の壁面に形成した開口内に収容可能な本体ケースと、
この本体ケースの正面以外の面に設けられた光信号入力端子と、
前記本体ケース内に設けられ、前記光信号入力端子から入力された光信号を、電気信号に変換する光電変換手段を含む処理手段と、
前記本体ケースの正面に、前記本体ケースの正面よりも大きく設けられ、前記壁面に取り付けられるパネルと、
前記パネルから露出した状態に前記本体ケースの正面に設けられ、前記処理手段の出力信号が供給される電気信号端子とを、
具備する光受信機。
【請求項2】
請求項1記載の光受信機において、前記光信号は、テレビジョン放送信号を含む高周波信号で光を変調したものであり、前記光電変換手段は、前記高周波信号を復調し、この高周波信号中の前記テレビジョン放送信号が前記電気信号端子に供給される光受信機。
【請求項3】
請求項2記載の光受信機において、前記高周波信号は、緊急告知信号を含み、前記光電変換手段は、前記緊急告知信号も復調し、この緊急告知信号は、前記パネルから露出するように前記本体ケースの正面に設けられた別の電気信号端子に供給される光受信機。
【請求項4】
請求項2記載の光受信機において、前記処理手段は、前記光電変換手段からのテレビジョン放送信号のレベル調整手段を有し、このレベル調整手段の手動操作部が前記本体ケースの正面に、前記パネルから露出した状態で設けられている光受信機。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−77191(P2009−77191A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244660(P2007−244660)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】