説明

光学活性配位子

【課題】遷移金属錯体からなる触媒において不斉環境を提供することができ、かつ触媒的不斉反応において高い化学収率及び立体選択性を与える触媒を調製可能な光学活性配位子を提供する。
【解決手段】固相担体に結合された下記の一般式(I):


(Aはアミノ酸残基、又はペプチド残基を、nは0又は1を、R1は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を、X1及びX2は−N(Rx)−、O、又はSを、Yはアルカンジイル基、アルケンジイル基、アルキンジイル基、又はアリールジイル基を、Z1及びZ2はアルキル基又はアリール基を示す。)で表される化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェロセン構造を有する遷移金属錯体のための光学活性配位子として有用な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
不斉水素化反応や不斉ヒドロシリル化反応等の有機合成化学的に有用な触媒的不斉反応が広く利用されている。これらの反応において用いられる触媒として、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、又はニッケル等の遷移金属原子に対し、配位子として光学活性なホスフィン化合物を配位させて調製される光学活性な遷移金属錯体が優れた機能を発揮する触媒となることが知られている(非特許文献1〜3)。特にフェロセン構造を有する光学活性なホスフィン化合物は、クロスカップリング反応、アリル位置換反応、オレフィン類やケトン類の水素化反応、又はジアルキル亜鉛化合物のアルデヒド類への付加反応等において不斉環境を提供する配位子として知られている(非特許文献4)。
【0003】
しかしながら、これらの配位子を用いた触媒的不斉反応では、反応条件や使用される基質の種類等によって反応の進行が抑制される場合があり、生成物の化学収率や立体選択性等の点で必ずしも満足すべき結果が得られるものでもない。従って、多くの場合、触媒的不斉反応において満足すべき結果を得るために、使用される触媒である光学活性な遷移金属錯体の再設計が必要になる。特に、不斉環境を提供する光学活性配位子について再設計を求められることが多い。
【0004】
一方、一人の化学者が一年間に合成できる化合物の数は10〜100とも言われており,化合物の合成に用いられる触媒の構成成分である光学活性配位子自体においても多様な配位子の獲得には相当の期間を要する。この理由から、所望の触媒的不斉反応を実施するにあたり、生成物の高い化学収率及び高い立体選択性を効率的に実現させるため、光学活性配位子についても短期間で多様なものを効率的に獲得する手段の提供が望まれていた。
【0005】
なお、光学活性な配位子の構成成分としてアミノ酸を含む配位子が知られているが(特許文献1)、フェロセンを構成成分として含み、かつアミノ酸を構成成分とする光学活性配位子は従来知られていない。
【非特許文献1】I.Ojima編,Catalytic Asymmetric Synthesis Second Edition,WILEY−VCH,New York,2000
【非特許文献2】E.N.Jacobsen,A.Pfaltz,H.Yamamoto編,Comprehensive Asymmetric Catalysis I,Springer−Verlag Berlin Heidelberg,1999
【非特許文献3】R.Noyori著,Asymmetric Catalysis in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,New York,1994
【非特許文献4】A.Togni,T.Hayashi編,Ferrocenes,VCH,Weinheim,1995
【特許文献1】特表2002−510554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、触媒的不斉反応に用いられる遷移金属錯体からなる触媒を調製するための光学活性配位子を提供することにある。より具体的には、遷移金属錯体からなる触媒において不斉環境を提供することができ、かつ触媒的不斉反応において高い化学収率及び立体選択性を与える触媒を調製可能な光学活性配位子を提供することが本発明の課題である。
また、本発明の別の課題は、短期間に多様な光学活性配位子を効率的に獲得するための手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、種々のアミノ酸残基を導入しうる構造である光学活性配位子、特にフェロセン構造を有するホスフィン化合物を用いることにより迅速に多様な配位子化合物を獲得することが可能であること、及びそのような手段により製造された光学活性な新規ホスフィン化合物を遷移金属錯体の光学活性配位子として用いることにより、触媒的不斉反応、特にアリル位の触媒的不斉置換反応において優れた特性を発揮する触媒を製造できることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成された。
【0008】
すなわち、本発明により、固相担体に結合された下記の一般式(I):
【化1】

(式中、左端は固相担体を示し、Aは保護されていてもよいアミノ酸残基を示すか、又は同一若しくは異なっていてもよい2個以上の保護されていてもよいアミノ酸残基を含むペプチド残基を示し、nは0又は1の整数を示し、R1は水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基、炭素数6から14のアリール基、又は炭素数7から20のアラルキル基を示し、X1及びX2はそれぞれ独立に−N(Rx)−(Rxは水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基、炭素数6から14のアリール基、又は炭素数7から20のアラルキル基を示す。)、O、又はSを示し、Yは置換基を有していてもよいアルカンジイル基(炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、又は炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基からさらに水素原子1個が脱離して形成される構造のものでよい。)、置換基を有していてもよい炭素数2から6のアルケンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数2から6のアルキンジイル基、又は置換基を有していてもよい炭素数6から14のアリールジイル基を示し、Z1及びZ2はそれぞれ独立に炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基又は炭素数6から14のアリール基を示す。)で表される化合物が提供される。
また、本発明により、固相担体に結合された上記の一般式(I)で表される化合物を少なくとも2種以上含む光学活性配位子ライブラリが提供される。
【0009】
上記発明の好ましい態様によれば、固相担体がシリカゲル、ポリスチレン樹脂(PS)担体、ポリエチレングリコール樹脂(PEG)担体、及びポリスチレン−ポリエチレングリコール(PS−PEG)樹脂担体からなる群から選ばれる固相担体である上記の化合物又は上記の光学活性配位子ライブラリが提供される。
また、上記発明のさらに好ましい態様によれば、Yが下記の一般式:
【化2】

(式中、R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R2f、及びR2gはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基、炭素数6から14のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基、アルキル置換ヘテロ原子(上記の、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、および炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基からなる群から選ばれるアルキル基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アリール置換ヘテロ原子(上記の、炭素数6から14のアリール基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アラルキル置換ヘテロ原子(上記の、炭素数7から20のアラルキル基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アシル置換ヘテロ原子(上記の、アルキル置換ヘテロ原子、アリール置換ヘテロ原子およびアラルキル置換ヘテロ原子のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基とへテロ原子との間に、カルボニル基を有する構造でよい。)、ニトロ基、スルホニル基、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基を示し、pは1から4の範囲の整数を示し、R3はベンゼン環上の結合可能な任意の位置に存在するp個の置換基を示し、2個以上のR3が存在する場合にはそれらは同一でも異なっていてもよく、R3は水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基、炭素数6から14のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基、アルキル置換ヘテロ原子(上記の、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、および炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基からなる群から選ばれるアルキル基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アリール置換ヘテロ原子(上記の、炭素数6から14のアリール基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アラルキル置換ヘテロ原子(上記の、炭素数7から20のアラルキル基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アシル置換ヘテロ原子(上記の、アルキル置換ヘテロ原子、アリール置換ヘテロ原子およびアラルキル置換ヘテロ原子のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基とへテロ原子との間に、カルボニル基を有する構造でよい。)、ニトロ基、スルホニル基、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基を示し、Vは単環式環状炭化水素基又は多環式環状炭化水素基を示し、qは1からVに結合可能な最大数までの範囲の整数を示し、R4はVの環上の結合可能な任意の位置に存在するq個の置換基を示し、2個以上のR4が存在する場合にはそれらは同一でも異なっていてもよく、R4は水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基、炭素数6から14のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基、アルキル置換ヘテロ原子(上記の、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基からなる群から選ばれるアルキル基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アリール置換ヘテロ原子(上記の、炭素数6から14のアリール基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アラルキル置換ヘテロ原子(上記の、炭素数7から20のアラルキル基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アシル置換ヘテロ原子(上記の、アルキル置換ヘテロ原子、アリール置換ヘテロ原子およびアラルキル置換ヘテロ原子のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基とへテロ原子との間に、カルボニル基を有する構造でよい。)、ニトロ基、スルホニル基、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基を示す。)で表される基である上記の化合物又は上記の光学活性配位子ライブラリが提供される。
【0010】
別の観点からは、本発明により、下記の一般式(II):
【化3】

(式中、Aaは保護されていてもよいアミノ酸残基を示すか、又は同一若しくは異なっていてもよい2個以上の保護されていてもよいアミノ酸残基を含むペプチド残基を示し、mは0又は1の整数を示し、R10は水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基、炭素数6から14のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基、又はアルカリ金属を示し、R11は水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基、炭素数6から14のアリール基、又は炭素数7から20のアラルキル基を示し、X1a及びX2aはそれぞれ独立に−N(Rax)−(Raxは水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基、炭素数6から14のアリール基、又は炭素数7から20のアラルキル基を示す。)、O、又はSを示し、Yaは置換基を有していてもよいアルカンジイル基(炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、又は炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基からさらに水素原子1個が脱離して形成される構造のものでよい。)、置換基を有していてもよい炭素数2から6のアルケンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数2から6のアルキンジイル基、又は置換基を有していてもよい炭素数6から14のアリールジイル基を示し、Z1a又はZ2aはそれぞれ独立に炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基、又は炭素数6から14のアリール基を示す。)で表される化合物が提供される。
【0011】
上記発明の好ましい態様によれば、Yaが下記の一般式:
【化4】

(式中、R12a、R12b、R12c、R12d、R12e、R12f、及びR12gはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基、炭素数6から14のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基、アルキル置換ヘテロ原子(上記の、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、および炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基からなる群から選ばれるアルキル基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アリール置換ヘテロ原子(上記の、炭素数6から14のアリール基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アラルキル置換ヘテロ原子(上記の、炭素数7から20のアラルキル基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アシル置換ヘテロ原子(上記の、アルキル置換ヘテロ原子、アリール置換ヘテロ原子およびアラルキル置換ヘテロ原子のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基とへテロ原子との間に、カルボニル基を有する構造でよい。)、ニトロ基、スルホニル基、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基を示し、sは1から4の範囲の整数を示し、R13はベンゼン環上の結合可能な任意の位置に存在するs個の置換基を示し、2個以上のR13が存在する場合にはそれらは同一でも異なっていてもよく、R13は水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基、炭素数6から14のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基、アルキル置換ヘテロ原子(上記の、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、および炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基からなる群から選ばれるアルキル基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アリール置換ヘテロ原子(上記の、炭素数6から14のアリール基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アラルキル置換ヘテロ原子(上記の、炭素数7から20のアラルキル基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アシル置換ヘテロ原子(上記の、アルキル置換ヘテロ原子、アリール置換ヘテロ原子およびアラルキル置換ヘテロ原子のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基とへテロ原子との間に、カルボニル基を有する構造でよい。)、ニトロ基、スルホニル基、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基を示し、Vaは単環式環状炭化水素基又は多環式環状炭化水素基を示し、tは1からVaに結合可能な最大数までの範囲の整数を示し、R14はVaの環上の結合可能な任意の位置に存在するt個の置換基を示し、2個以上のR14が存在する場合にはそれらは同一でも異なっていてもよく、R14は水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基、炭素数6から14のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基、アルキル置換ヘテロ原子(上記の、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、および炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基からなる群から選ばれるアルキル基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アリール置換ヘテロ原子(上記の、炭素数6から14のアリール基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アラルキル置換ヘテロ原子(上記の、炭素数7から20のアラルキル基と、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれるへテロ原子から構成され、窒素原子の場合、1置換のときは窒素原子にはさらに水素原子が結合し、2置換のときは同一であっても異なっていてもいずれでもよい。)、アシル置換ヘテロ原子(上記の、アルキル置換ヘテロ原子、アリール置換ヘテロ原子およびアラルキル置換ヘテロ原子のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基とへテロ原子との間に、カルボニル基を有する構造でよい。)、ニトロ基、スルホニル基、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基を示す。)で表される基である上記の化合物が提供される。
【0012】
また、さらに別の観点からは、本発明により上記一般式(I)又は(II)で表される化合物からなる光学活性配位子が提供される。また、本発明により、上記一般式(I)又は(II)で表される化合物を光学活性配位子として含む遷移金属錯体、該遷移金属錯体を含む触媒、触媒的不斉反応の触媒として用いる上記の触媒、上記遷移金属錯体又は上記触媒の製造のための上記一般式(I)又は(II)で表される化合物の使用が提供される。さらに本発明により、触媒的不斉反応を行う方法であって、上記の触媒を反応系に添加する工程を含む方法が提供される。
【0013】
上記発明に加えて、本発明により、上記一般式(I)で表される化合物の製造方法であって、固相担体に結合された下記の化合物:
【化5】

(式中、Aは保護されていてもよいアミノ酸残基を示すか、又は同一若しくは異なっていてもよい2個以上の保護されていてもよいアミノ酸残基を含むペプチド残基を示し、nは0又は1の整数を示し、X1は−N(RX)−、O、又はSを示し、RXは、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数1から6のアルカンジイル基と炭素数3から6のシクロアルキル基から構成された環状構造を有する炭素数4から12のアルキル基、炭素数6から14のアリール基、又は炭素数7から20のアラルキル基を示す。)及び上記一般式(II)で表される化合物(ただしmが0である)を縮合する工程を含む方法、及び上記の光学活性配位子ライブラリの作成方法であって、上記工程を含み、ただし固相担体に結合された上記化合物及び一般式(II)で表される化合物(ただしmが0である)を用いる少なくとも2種以上の化合物からなるライブラリの作成方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
上記一般式(I)及び(II)で表される本発明の化合物は、触媒的不斉反応に用いられる遷移金属錯体からなる触媒を調製するための固相担体担持光学活性配位子あるいは光学活性配位子として有用であり、この化合物を用いることにより高い化学収率及び立体選択性を与える触媒を容易に調製することができる。また、上記一般式(II)で表される本発明の化合物は、上記一般式(I)で表される本発明の化合物を製造するための製造用中間体として使用することができるので有用である。また、一般式(I)で表される化合物を2種以上含む本発明の光学活性配位子ライブラリを作成することにより、短期間に多様な光学活性配位子を効率的に獲得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書において用いられる用語の意味は以下のとおりである。
アルキル基としては、C1〜C6の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、又はC3〜C6の環状アルキル基、あるいはそれらの組み合わせからなるアルキル基を挙げることができる。アリール基としては、単環性又は多環性の芳香族炭化水素基のいずれであってもよく、例えばフェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。上記アリール基の環上には、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、スルホニル基、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基が結合可能な最大数個まで置換していてもよく、2個以上の置換基が存在する場合にはそれらは同一でも異なっていてもよい。アラルキル基としては、上記のアリール基と上記のアルキル基の組み合わせからなる基を挙げることができ、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基、又はトリフェニルメチル基を挙げることができる。アルケニル基としては、二重結合を少なくとも1個含むC2〜C6の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、又はC3〜C6の環状アルケニル基、あるいはそれらの組み合わせからなるアルケニル基を挙げることができる。アルキニル基としては三重結合を少なくとも1個含むC2〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、又はC3〜C6の環状アルキニル基、あるいはそれらの組み合わせからなるアルキニル基を挙げることができる。アルカンジイル基、アルケンジイル基、又はアリールジイル基は、それぞれ上記のアルキル基、アルケニル基、又はアリール基に存在する水素原子をさらに1個取り除いてできる2価の基である。
【0016】
アルキル置換ヘテロ原子、アリール置換ヘテロ原子、アラルキル置換ヘテロ原子、又はアシル置換ヘテロ原子は、それぞれヘテロ原子を介して結合するアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアシル基を意味する。ヘテロ原子は炭素原子以外の非金属原子であり、例えば、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子等を挙げることができる。アルキル置換ヘテロ原子としては、例えば、チオメチル基等のアルキルチオ基、メトキシ基等のアルコキシ基、又はモノメチルアミノ基若しくはジメチルアミノ基等のモノアルキル置換若しくはジアルキル置換アミノ基等を挙げることができる。アリール置換ヘテロ原子としては、フェニルチオ基等のアリールチオ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、又はモノフェニルアミノ基若しくはジフェニルアミノ基等のモノアリール置換若しくはジアリール置換アミノ基を挙げることができる。アラルキル置換ヘテロ原子としては、ベンジルチオ基等のアラルキルチオ基、ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基、又はベンジルアミノ基若しくはジベンジルアミノ基等のモノアラルキル置換若しくはジアラルキル置換アミノ基等を挙げることができる。アシル基としては脂肪族アシル基(アセチル基等のアルカノイル基等)又は芳香族アシル基(ベンゾイル基等)のいずれであってもよく、アシル置換ヘテロ原子としては、例えば、アセチルチオ基等のアシルチオ基、アセチルオキシ基等のアシルオキシ基、又はアセチルアミノ基等のアシルアミノ基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子等を挙げることができる。
【0017】
一般式(I)において、固相担体としては、有機合成反応の分野においてペプチド化合物等の固相合成法に用いられる固相担体であればいかなるものを用いてもよい。より具体的には、シリカゲル、ポリスチレン樹脂(PS)担体、ポリエチレングリコール樹脂(PEG)担体、又はポリスチレン−ポリエチレングリコール(PS−PEG)樹脂担体等を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0018】
Aはアミノ酸残基を示すか、あるいはペプチド残基を示す。アミノ酸残基としては天然アミノ酸又は非天然のアミノ酸由来の残基のいずれであってもよい。アミノ酸としては、アミノ基及びカルボキシル基をそれぞれ1つ以上有するものであればいかなるものを用いてもよい。不斉中心を有しないアミノ酸であってもよい。アミノ酸残基とは、アミノ酸に存在するカルボキシル基及びアミノ基のうち、1個ずつのカルボキシル基及びアミノ基からそれぞれ水素原子を除いて得られる残りの2価の化学構造を意味する。Aが示すアミノ酸残基を提供するためのアミノ酸としては、例えば、グリシンのほか、L又はD配置を有するα−アミノ酸、L又はD配置を有するβ−アミノ酸、あるいはL又はD配置を有するγ−アミノ酸等を挙げることができる。より具体的には、アミノ酸としてグリシン、フェニルアラニン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、アゼチジン−2−カルボン酸、ピペリジン−2−カルボン酸、ジフェニルアラニン、フェニルグリシン、t−ロイシン等を挙げることができ、グリシン以外のアミノ酸については、L又はD配置のアミノ酸、あるいはそれらの任意の混合物(例えばラセミ体)等を用いてもよい。Aが示すアミノ酸残基は1又は2以上の保護基を有していてもよい。
Aがペプチド残基であるとき、ペプチド残基としては、同一若しくは異なっていてもよい2個以上の、保護されていてもよいアミノ酸から構成されるペプチドから上記のアミノ酸残基と同様にして導かれる2価の基を示す。ペプチド残基を構成するアミノ酸は先に述べたアミノ酸残基を構成するアミノ酸であればよく、その具体例は上記のアミノ酸残基と同じでよい。ペプチド残基としてはアミノ酸2又は3から構成されるペプチド残基がよく、より好ましくはアミノ酸2から構成されるペプチド残基である。また、ペプチド残基を構成するアミノ酸は各々1又は2以上の保護基を有していてもよい。
【0019】
アミノ酸の保護基は多様なものが知られており、当業者は保護されるべき官能基(例えばカルボキシル基、アミノ基、チオール基等)の種類に応じて適宜の保護基を選択することができる。アミノ酸の保護基については、例えば、文献(T.W.Green,P.G.M.Wuts編,Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition, John Wiley & Sons,Inc.New York,1999等)に記載されているものを適用することができる。保護基としては、より具体的には、メチルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)、2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル基(Troc)、2−トリメチルシリルエチルオキシカルボニル基(Teoc)、t−ブチルオキシカルボニル基(Boc)、1−アダマンチルオキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基(Voc)、アリルオキシカルボニル基(AlocあるいはAlloc)、シンナミルオキシカルボニル基(Coc)、ベンジルオキシカルボニル基(ZあるいはCbz)、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基(PNZ)、9−アントリルメチルオキシカルボニル基、ジフェニルメチルオキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、クロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基、フタロイル基、アリル基、メトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、ベンジル基、ジ(p−メトキシフェニル)メチル基、トリフェニルメチル基等を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0020】
nは0又は1が好ましい。
1としてはメチル基が好ましい。
1及びX2はそれぞれ独立に−(NRX)−、O、又はSを示すが、RXとしては水素原子が好ましい。
1及びZ2としてはt−ブチル基、シクロヘキシル基、又はフェニル基が好ましい。
【0021】
Yは、置換基を有していてもよいアルカンジイル基、置換基を有していてもよいアルケンジイル基、置換基を有していてもよいアルキンジイル基、又は置換基を有していてもよいアリールジイル基、あるいはこれらの組み合わせからなる2価基を示す。Yは2価基であるが、1つの結合部位を構成する炭素原子の隣の炭素原子又は2番目の炭素原子において他の結合が形成されることが望ましい。すなわち、1,2−ジイル構造又は1,3−ジイル構造が好ましい。本明細書において「置換基を有していてもよい」と言う場合には、置換基の種類、個数、及び置換位置は特に限定されず、任意の種類の置換基を任意の位置に1個又は複数個有することができる。置換基としては、より具体的には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換ヘテロ原子、アリール置換ヘテロ原子、アラルキル置換ヘテロ原子、アシル置換ヘテロ原子、ヘテロアリール基(ピリジニル基等)、ニトロ基、スルホニル基、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基を挙げることができるが、これらに限定されることはない。Yは二重結合や三重結合のほか、芳香族環を構成要素として含んでいてもよい。例えば、Yはアルカン及びアリール環の任意の組み合わせからなる2価基あるいはアルケン及びアリール環の任意の組み合わせからなる2価基であってもよい。
【0022】
好ましいYとして、下記の一般式:
【化6】

で表される2価基を挙げることができる。Vは単環式又は多環式の環状炭化水素2価基を示すが、1,2−ジイル構造、1,3−ジイル構造、又は1,4−ジイル構造であることが好ましく、特に隣接する2個の炭素原子が結合部位となる1,2−ジイル基構造が好ましい。このような環状構造のうち、単環式環状炭化水素基としては、C3〜C6の環状アルカンジイル基を挙げることができ、多環式環状炭化水素基としては、C4〜C30の2環以上の環から構成される縮合環状アルカンジイル基又はスピロ環状アルカンジイル基、あるいはビシクロ、トリシクロ、若しくはポリシクロ環状ジイル基等を挙げることができる。また、環状構造は炭素鎖がポリメチレン鎖で構成される飽和の環状構造であるものが好ましいが、炭素−炭素二重結合が含まれてもよい。これらのうちではシクロヘキサンジイル基、特にシクロヘキサン−1,2−ジイル基が好ましい。qは1からVに結合可能な最大数までの範囲の整数を示し、例えば、Vがシクロヘキサンジイル基であればqは1から10の整数を示す。R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R2f、R2g、R3、及びR4としては、水素原子、メチル基、アセチルオキシ基、又はベンジル基が好ましい。
【0023】
一般式(II)において、Aa、m、R11、X1a、X2a、Ya、Z1a、及びZ2aはそれぞれ一般式(I)におけるA、n、R1、X1、X2、Y、Z1、及びZ2と同様であり、Yは好ましくは以下の2価基:
【化7】

を示すが、R12a、R12b、R12c、R12d、R12e、R12f、R12g、R13、R14、Va、s、及びtはそれぞれ上記のR2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R2f、R2g、R3、R4、V、p、及びqと同様である。
【0024】
10は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、又はアルカリ金属を示すが、メチル基、エチル基、t−ブチル基、ベンジル基、又は2−メトキシエチル基が好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムを挙げることができる。
【0025】
一般式(I)又は一般式(II)で表される本発明の化合物は1又は2以上の面不斉及び/又は不斉炭素を有する場合があり、上記面不斉及び/又は不斉炭素に基づき光学異性体又はジアステレオ異性体等の立体異性体が存在する。本発明の化合物は光学活性配位子として利用するために純粋な形態の立体異性体として提供されることが好ましいが、立体異性体の任意の混合物(ラセミ体やジアステレオ異性体混合物等)も本発明の範囲に包含されることは言うまでもない。また、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の任意の水和物又は溶媒和物も本発明の範囲に包含される。
【0026】
一般式(I)で表される化合物は、例えば以下の方法により製造することができるが、本発明の化合物の製造方法はこれらの方法に限定されることはない。
【化8】

工程1は固相担体である化合物(1)と保護されたアミノ酸又はペプチドである化合物(2)との縮合反応である。この反応は、一般的に広く行われている縮合反応に従って行うことができる。例えば文献(K.C.Nicolaou,R.Hanko,W.Hartwig編,Handbook of Combinatorial Chemistry Vol.1,WILEY−VCH Verlag GmbH Weinheim,2002;Florencio Zaragoza Dorwald著,Organic Synthesis on Solid Phase Supports,Linkers,Reactions Second,Completely Revised and Enlarged Edition,WILEY−VCH Verlag GmbH Weinheim,2002;Hicham Fenniri編,Combinatorial Chemistry A Practical Approach,OXFORD UNIVERSITY PRESS,New York,2000)に記載されている方法を適用することができる。溶媒中で化合物(1)及び(2)を縮合剤及び必要に応じて添加剤及び/又は塩基の存在下で反応させることにより化合物(3)を得ることができる。
【0027】
上記反応において用いる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はないが、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の塩素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。これらの溶媒を2種以上組み合わせて用いてもよい。特にジクロロメタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、及びN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0028】
用いる縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDCI)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)等のカルボジイミド系試薬、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(BOP)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(PyBOP)等のホスホニウム塩系試薬、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩(TBTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)等のウロニウム塩系試薬、2,4,6−トリニトロベンゾイルクロリド、2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド等の活性エステル系試薬、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)等を挙げることができる。これらの縮合剤を2種以上組み合わせて用いてもよい。縮合剤としては、特にN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDCI)が好ましい。
【0029】
添加剤としては、例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、7−アザ−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOAt)等を挙げることができるが、これらの添加剤を2種以上組み合わせて用いてもよい。添加剤を使用せずに反応を行ってもよいが、使用する場合には1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)が好ましい。
塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジ−i−プロピルアミン、N,N−ジ−i−プロピルエチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、4−ジメチルアミノピリジン等のアミン系塩基を挙げることができ、これらの塩基を2種以上組み合わせて用いてもよい。塩基を使用せずに反応を行ってもよいが、使用する場合はトリエチルアミン又は4−ジメチルアミノピリジンが好ましい。
【0030】
化合物(2)において、アミノ酸のアミノ基の保護基としては、一般的に広く用いられている保護基を使用すればよい。これらの保護基のうちでは、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)、t−ブチルオキシカルボニル基(Boc)が好ましい。
反応温度は−78℃から用いる溶媒の沸点の範囲で行うことができ、特に室温から溶媒の沸点の範囲で行うことが好ましい。
【0031】
工程2は一般的に広く行われているアミノ酸のアミノ基の脱保護であり、例えば文献(T.W.Green,P.G.M.Wuts編,Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition, John Wiley & Sons,Inc.New York,1999等)に記載されている方法を適用することができる。具体的な方法としては工程1にて選択された保護基に合わせた方法を選択することが肝要である。
例えば、工程1にて9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)を選択した場合、化合物(3)を溶媒中、塩基の存在下処理することで化合物(4)を得ることができる。
溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はない。例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の塩素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。これらの溶媒は2種以上の組み合わせであってもよい。溶媒としては特にジクロロメタン、テトラヒドロフラン及びN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジ−i−プロピルアミン、N,N−ジ−i−プロピルエチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、4−ジメチルアミノピリジン、ピペリジン、モルホリン、ジシクロヘキシルアミン等のアミン系塩基を挙げることができる。これらの塩基は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのうちでは特にピペリジンが好ましい。
【0032】
また、例えば工程1にてt−ブチルオキシカルボニル基(Boc)を選択した場合、化合物(3)を溶媒中、ブレンステッド酸又はルイス酸の存在下処理することで化合物(4)を得ることができる。
溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はない。例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の塩素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;メタノール、エタノール、i−プロパノール等のアルコール系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。溶媒を使用せずに反応を行うこともでき、2種以上の溶媒を組み合わせて用いてもよい。無溶媒で反応を行うか、あるいは溶媒としてジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノール、トルエン、又は酢酸エチルを用いることが好ましい。
ブレンステッド酸としては、塩酸、硫酸等の鉱酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メシル酸等の有機酸を挙げることができる。ルイス酸としては、三塩化アルミニウム、トリフルオロボランのエーテル錯体、四塩化スズ、臭化マグネシウム、臭化亜鉛等を挙げることができる。これらの酸は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの酸のうち、特に塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メシル酸が好ましい。
反応温度は−78℃から用いる溶媒の沸点の範囲で行うことができ、特に室温から溶媒の沸点の範囲で行うことが好ましい。
【0033】
工程3は固相担体に担持されたアミノ酸である化合物(4)と光学活性配位子である化合物(5)との縮合反応であり、一般的に広く行われている方法を適用することができる。
化合物(5)においてWは水素原子又はアルカリ金属を示す。また、X1aおよびX1bはいずれもX1の定義と等しく、これらは独立に定義される。この縮合反応は、例えば、文献(K.C.Nicolaou,R.Hanko,W.Hartwig編,Handbook of Combinatorial Chemistry Vol.1,WILEY−VCH Verlag GmbH Weinheim,2002;Florencio Zaragoza Dorwald著,Organic Synthesis on Solid Phase Supports,Linkers,Reactions Second,Completely Revised and Enlarged Edition,WILEY−VCH Verlag GmbH Weinheim,2002;Hicham Fenniri編,Combinatorial Chemistry A Practical Approach,OXFORD UNIVERSITY PRESS,New York,2000等)に記載されている方法に従って行うことができる。例えば、溶媒中で化合物(4)及び化合物(5)を縮合剤及び必要に応じて添加剤及び/又は塩基の存在下で反応させることで一般式(I)で表される化合物(上記スキーム中の化合物(6))を得ることができる。用いる溶媒、縮合剤、添加剤、及び塩基は工程1と同様に選択することができる。
【0034】
一般式(II)で表される化合物は下記の方法により製造することができる。
【化9】

【0035】
工程4はアミノ酸誘導体である化合物(7)と化合物(5)との縮合反応であり、一般的に広く行われている縮合反応に従って行うことができる。例えば文献(K.C.Nicolaou,R.Hanko,W.Hartwig編,Handbook of Combinatorial Chemistry Vol.1,WILEY−VCH Verlag GmbH Weinheim,2002;Florencio Zaragoza Dorwald著,Organic Synthesis on Solid Phase Supports,Linkers,Reactions Second,Completely Revised and Enlarged Edition,WILEY−VCH Verlag GmbH Weinheim,2002;Hicham Fenniri編,Combinatorial Chemistry A Practical Approach,OXFORD UNIVERSITY PRESS,New York,2000等)に記載されている方法を適用することがでる。例えば、溶媒中で化合物(7)及び化合物(5)を縮合剤及び必要に応じて添加剤及び/又は塩基の存在下に反応させることにより一般式(II)の化合物(上記スキーム中の化合物(8))を得ることができる。
【0036】
本反応において用いる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はない。溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の塩素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。これらの溶媒は2種以上の組み合わせであってもよい。反応溶媒としては、特にジクロロメタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、及びN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0037】
縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDCI)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)等のカルボジイミド系試薬;ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(BOP)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(PyBOP)等のホスホニウム塩系試薬;O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩(TBTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)等のウロニウム塩系試薬;2,4,6−トリニトロベンゾイルクロリド、2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド等の活性エステル系試薬;ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)等を挙げることができる。これらの縮合剤はシリカゲル、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリエチレングリコール樹脂(PEG)、ポリスチレン−ポリエチレングリコール樹脂(PS−PEG)等の固相担体に担持されているものでもよい。これらの縮合剤は2種以上の組み合わせであってもよい。縮合剤としては、特にN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDCI)、N−シクロヘキシルカルボジイミド−N’−プロピルオキシメチルポリスチレンが好ましい。
【0038】
添加剤としては、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、7−アザ−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOAt)、マクロポーラストリエチルアンモニウムメチルポリスチレン、トリス−(2−アミノエチル)アミノメチルポリスチレン等を挙げることができる。これらの添加剤はシリカゲル、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリエチレングリコール樹脂(PEG)、ポリスチレン−ポリエチレングリコール樹脂(PS−PEG)等の固相担体に担持されているものでもよい。これらの添加剤は2種以上の組み合わせであってもよい。添加剤を用いずに反応を行うこともできるが、使用する場合は1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)又はマクロポーラストリエチルアンモニウムメチルポリスチレンが好ましい。
塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジ−i−プロピルアミン、N,N−ジ−i−プロピルエチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、4−ジメチルアミノピリジン等のアミン系塩基を挙げることができる。これらの塩基は2種以上の組み合わせであってもよい。塩基を用いずに反応を行うこともできるが、塩基を用いる場合はトリエチルアミンが好ましい。
反応温度は−78℃から用いる溶媒の沸点の範囲で行うことができ、特に室温から溶媒の沸点の範囲で行うことが好ましい。
【0039】
上記スキームにおいて用いられる化合物(5)は以下の方法で製造することができる。
【化10】

この反応は、一般的に広く行われているヘテロ官能基の保護反応であり、例えば文献(T.W.Green,P.G.M.Wuts編,Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition, John Wiley & Sons,Inc.New York,1999等)に記載されている方法に従って行うことができる。例えば、溶媒中で環状酸無水物及び必要に応じて塩基及び/又は添加剤の存在下、化合物(10)で示される化合物(式中、R11、X2a、Z1a、及びZ2aは一般式(II)におけるものと同義である)を反応させることにより、化合物(5)を製造することができる。
【0040】
用いる溶媒は反応において不活性なものであれば特に制限はないが、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の塩素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。これらの溶媒は2種以上の組み合わせであってもよい。溶媒を使用せずに反応を行うこともできるが、溶媒を用いる場合には、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0041】
塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジ−i−プロピルアミン、N,N−ジ−i−プロピルエチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、4−ジメチルアミノピリジン等のアミン系塩基を挙げることができる。これらの塩基はシリカゲル、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリエチレングリコール樹脂(PEG)、ポリスチレン−ポリエチレングリコール樹脂(PS−PEG)等の固相担体に担持されているものでもよい。これらの塩基は2種以上の組み合わせであってもよい。塩基を使用せずに反応を行うこともできるが、塩基を用いる場合には、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−(メチルポリスチレン)−4−(メチルアミノ)ピリジン(固相担体に担持された4−ジメチルアミノピリジン)等が好ましい。
【0042】
添加剤としては、シリカゲル、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリエチレングリコール樹脂(PEG)、ポリスチレン−ポリエチレングリコール樹脂(PS−PEG)等の固相担体に担持されているものでもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、マクロポーラストリエチルアンモニウムメチルポリスチレン、トリス−(2−アミノエチル)アミノメチルポリスチレン、3−(3−メルカプトフェニル)プロパンアミドメチルポリスチレン等を挙げることができる。これらは所望により使用すればよいが、トリス−(2−アミノエチル)アミノメチルポリスチレンが好ましい。
反応温度は−78℃から用いる溶媒の沸点の範囲で行うことができ、特に室温から溶媒の沸点の範囲で行うことが好ましい。
【0043】
一般式(I)及び(II)で表される本発明の化合物は遷移金属錯体の光学活性配位子として用いることができ、該配位子を有する遷移金属錯体は、触媒的不斉反応、例えば触媒的不斉アリル位置換反応等において目的物を高い化学収率で与えるとともに、高い立体選択性を達成できるという特徴がある。
また、一般式(II)で表される本発明の化合物は上記一般式(I)で表される化合物の製造用中間体として有用である。
さらに、上記工程1ないし3のいずれか又は2以上の工程において、2種以上の異なるアミノ酸及び/又は2種以上の化合物(5)の組み合わせを用意してそれぞれ反応させることにより、2種以上の一般式(I)で表される化合物を簡便に短期間に製造することができる。そのようにして得られる一般式(I)で表されるそれぞれの化合物を光学活性配位子ライブラリの要素としてライブラリに格納することができ、そのようにして得られたライブラリを用いて目的の触媒的不斉反応のために至適な光学活性配位子を簡便に製造し、さらには探索することができる。
なお、これらの本願発明の光学活性配位子から調製される遷移金属錯体の金属原子としては、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、あるいはニッケル等の遷移金属原子を挙げることができる。これらの金属原子と配位子とからの錯体の調製は公知の方法で行うことができ、その一例は本願明細書の実施例に示した通りである。
【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されることはない。
例1:固相担持型フェロセンライブラリの合成
【化11】

【0045】
上記に示した固相担持型フェロセンライブラリはアミノ酸(アミノ酸を組み入れ無い場合を含めて計12種)とフェロセン誘導体(計5種)との組み合わせにより、計60種の要素化合物を含むライブラリである(Fmocは9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、Phはフェニル基を示す。以下、同様である)。上記ライブラリは、固相担体の準備、Fmoc保護アミノ酸との縮合とそれに続く脱Fmoc工程、及びフェロセン誘導体との縮合工程により得ることができる。
(a)固相担体の準備
ArgoGel-NH2(アミノ基換算、0.37 mmol/g)を27 mg(10μmol)ずつMicroKanに入れ、さらに予め個々の化合物を識別可能にする情報を記録したRadio Frequency Tagを入れてシールした。これを固相担持型フェロセンライブラリの要素化合物数(60種類)分用意した。
【0046】
(b)Fmoc保護アミノ酸との縮合及びそれに続く脱Fmoc工程
アミノ酸(アミノ酸を組み入れない場合を含めて計12種)に合わせて準備した12個のナスフラスコへMicroKanを5個ずつ入れ、アミノ酸を組み入れない場合のフラスコ以外の計11個のフラスコへ各々Fmoc-アミノ酸(0.25 mmol)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩(72 mg, 0.38 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(68 mg, 0.50 mmol)を加えた後、無水N,N-ジメチルホルムアミド(5 mL)を入れた。アミノ酸を組み入れない場合のフラスコ以外の計11個のフラスコについて、室温下5時間攪拌した後、各々のフラスコ中の反応液を廃棄した。MicroKan計55個を別途用意したフラスコに入れ、N,N-ジメチルホルムアミド(125 mL)を加え、攪拌することで洗浄した(洗浄操作は5回行った)。続いて20% (v/v)のピペリジン-N,N-ジメチルホルムアミド溶液(60 mL)を加え、室温下1時間攪拌した後、反応液を廃棄した。N,N-ジメチルホルムアミド(125 mL)を加え、攪拌することで洗浄した(洗浄操作は5回行った)。さらにジクロロメタン(125 mL)を加え、攪拌することで洗浄し(洗浄操作は5回行った)、減圧下乾燥した。
【0047】
(c)フェロセン誘導体との縮合工程
アミノ酸と縮合したMicroKan 55個及びアミノ酸を組み入れないMicroKan 5個、計60個のMicroKanをフェロセン誘導体(5種)に合わせて準備した5個のナスフラスコへMicroKanを12個ずつ入れ、各々フェロセン誘導体(0.24 mmol)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩(69 mg, 0.36 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(65 mg, 0.48 mmol)を加えた後、無水N,N-ジメチルホルムアミド(12 mL)を入れた。室温下44時間攪拌した後、各々のフラスコ中の反応液を廃棄した。MicroKan計60個を別途用意したフラスコに入れ、N,N-ジメチルホルムアミド(125 mL)を加え、攪拌することで洗浄した(洗浄操作は5回行った)。さらにジクロロメタン(125 mL)を加え、攪拌することで洗浄し(洗浄操作は5回行った)、減圧下乾燥した。
【0048】
例2:触媒の調製
例1にて合成した固相担持型フェロセンライブラリの各要素化合物(計60種)のうち、MicroKan 20種類(0.20 mmol)をフラスコへ入れ無水ジクロロメタン(10 mL)を加えた。続いて塩化アリルパラジウム二量体(37 mg, 0.10 mmol)の無水ジクロロメタン(10 mL)溶液を加え、室温下1時間攪拌後反応液を廃棄した。ジクロロメタン(40 mL)を加え、攪拌することで洗浄した後(洗浄操作は5回行った)、減圧下乾燥した。残りの計40種についても同様に20種ずつ触媒の調製を行った。
【0049】
例3:アリル位アミノ化反応
【化12】

上記スキームにおいてAcはアセチル基、Bnはベンジル基を示す。以下同様である。例2で調製した触媒(MicroKan)のうち1種類を試験管に入れ、1,3-ジフェニル-3-アセトキシ-1-プロペン(50 mg, 0.20 mmol)の無水ジクロロメタン溶液(2 mL)を加えた。室温下で15分攪拌した後、ベンジルアミン(26μL, 0.24 mmol)を加えた。室温下で15時間攪拌した後、反応液をメスフラスコへ移し、さらにMicroKanを酢酸エチル(2 mL)を加え攪拌することで洗浄した後(洗浄操作は5回行った)、メスフラスコ中に移した。生成物の化学収率及び不斉収率は高速液体クロマトグラフィー(カラム:DAICEL CHIRALCEL OD・ダイセル化学工業社製、溶出溶媒:ヘキサン:イソプロパノール = 100 : 1、カラム温度 = 40 ℃、流速0.8 mL/min)により測定した。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ:7.47-7.17 (m, 15H), 6.58 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 6.34 (dd, J = 15.9, 7.3 Hz, 1H), 4.41 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 3.81 (d, J = 13.4 Hz, 1H), 3.77 (d, J = 13.4 Hz, 1H).
【0050】
例2で調製した残りの59種の触媒を用いて同様にアリル位アミノ化反応を行った。全60種の触媒による反応結果を以下の表1に示す。
【表1】


【0051】
例4:市販配位子を用いたアリル位アミノ化反応の検討
【化13】

(S)-1-[(R)-1',2-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルアセタート(BPPFOAc)(9.6 mg, 15.0 μmol)を試験管に入れ、塩化アリルパラジウム二量体(2.5 mg, 6.8 μmol)のジクロロメタン溶液(1 mL)を加えた後、室温下で15分間攪拌した。次に1,3-ジフェニル-3-アセトキシ-1-プロペン(43 mg, 0.17 mmol)のジクロロメタン溶液(1 mL)を加え、室温下で15分攪拌した後、ベンジルアミン(22 μL, 0.20 mmol)を加えた。室温下16時間攪拌した後、反応液をメスフラスコへ移した。生成物の化学収率及び不斉収率は高速液体クロマトグラフィー(カラム:DAICEL CHIRALCEL OD・ダイセル化学工業社製、溶出溶媒:ヘキサン:イソプロパノール = 100 : 1、カラム温度 = 40 ℃、流速0.8 mL/min)により測定したところ、化学収率は45%、不斉収率は82% eeであった。
【0052】
例5:固相担持型フェロセンライブラリの合成
【化14】

上記の固相担持型フェロセンライブラリはアミノ酸(アミノ酸を組み入れない場合を含めて計7種)とフェロセン誘導体(計4種)との組み合わせにより、計28種の要素化合物を含んでいる。このライブラリを例1の方法に従って合成した。
【0053】
例6:触媒の調製
例5で合成した固相担持型フェロセンライブラリの各要素化合物について例2の方法に準じて触媒を調製した。
【0054】
例7:アリル位アミノ化反応
【化15】

例6で調製した触媒を用いて例3の方法に準じてアリル位アミノ化反応を行った。例1にて合成した固相担持型フェロセンライブラリに含まれるもの(重複しているもの)については反応を行わなかった。全28種の触媒による反応結果(反応を行っていないものは表中斜線を引いた)は以下の表2に示す通りであった。
【0055】
【表2】

【0056】
例8
【化16】

(S)-1-[(R)-1',2-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルアミン(1.19 g, 2.00 mmol)をジクロロメタン(20 mL)中室温下でマグネティックスターラーを用いて攪拌し、無水コハク酸(240 mg, 2.40 mmol)を加え、1時間反応させた。その後、反応液へトリス-(2-アミノエチル)アミノメチルポリスチレン(Argonaut社製PS-トリスアミン、4.11 mmol/g)を195 mg(0.80 mmol)加え、引き続き室温下で1時間攪拌した。反応液を吸引濾過した後、トリス-(2-アミノエチル)アミノメチルポリスチレンをジクロロメタン(2 mL)で洗浄し(5回洗浄した)、反応液と合わせた。全てのジクロロメタン溶液を減圧下溶媒留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Merck社製、シリカゲル 60、230-400 mesh ASTM、クロロホルム : メタノール = 30 : 1〜10 : 1)にて分離精製し、標題化合物を1.37 g(収率99%)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ:7.45-7.10 (m, 20H), 5.67 (br d, J = 7.3 Hz, 1H), 5.24-5.11 (m, 1H), 4.50-4.41 (m, 2H), 4.23-4.11 (m, 3H), 3.64-3.55 (m, 2H), 2.38-2.20 (m, 2H), 2.00-1.86 (m, 1H), 1.49-1.33 (m, overlapping with d δ 1.36, 1H), 1.36 (d, overlapping with m δ 1.49-1.33, J = 6.6 Hz, 3H).
31P-NMR (202.5 MHz, CDCl3)δ:-18.0 (s), -25.8 (s).
【0057】
例9
【化17】

(S)-1-[(R)-1',2-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルアミン(597 mg, 1.00 mmol)をジクロロメタン(10 mL)中室温下でマグネティックスターラーを用いて攪拌し、(−)-1,2-無水シクロヘキサンジカルボン酸(308 mg, 2.00 mmol)を加え、6.5時間反応させた。その後、反応液へトリス-(2-アミノエチル)アミノメチルポリスチレン(Argonaut社製PS-トリスアミン、4.11 mmol/g)を487 mg(2.00 mmol)加え、引き続き室温下で17時間攪拌した。反応液を吸引濾過した後、トリス-(2-アミノエチル)アミノメチルポリスチレンをジクロロメタン(2 mL)で洗浄し(5回洗浄した)、反応液と合わせた。全てのジクロロメタン溶液を減圧下溶媒留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Merck社製、シリカゲル 60、70−230 mesh ASTM、クロロホルム : メタノール = 30 : 1〜20 : 1)にて分離精製し、標題化合物を750 mg(定量的)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ:7.45-7.10 (m, 20H), 6.45 (br t, J = 6.0 Hz, 1H), 5.00-4.89 (m, 1H), 4.50 (br s, 1H), 4.44 (br s, 1H), 4.26 (br s, 1H), 4.21 (br s, 1H), 4.14 (br s, 1H), 3.51 (br s, 1H), 2.62-2.51 (m, 1H), 2.08-1.87 (m, 2H), 1.77-1.60 (m, 3H), 1.43-1.07 (m, overlapping with d δ 1.25, 4H), 1.25 (d, overlapping with m δ 1.43-1.07, J = 6.6 Hz, 3H).
31P-NMR (202.5 MHz, CDCl3)δ:-17.7 (s), -24.3 (s).
【0058】
例10
【化18】

(S)-1-[(R)-1',2-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルアミン(1.49 g, 2.49 mmol)をジクロロメタン(25 mL)中室温下でマグネティックスターラーを用いて攪拌し、(+)-1,2-無水シクロヘキサンジカルボン酸(462 mg, 3.00 mmol)を加え、1時間反応させた。その後、反応液へトリス-(2-アミノエチル)アミノメチルポリスチレン(Argonaut社製PS-トリスアミン、4.11 mmol/g)を243 mg(1.00 mmol)加え、引き続き室温下で1時間攪拌した。反応液を吸引濾過した後、トリス-(2-アミノエチル)アミノメチルポリスチレンをジクロロメタン(2 mL)で洗浄し(5回洗浄した)、反応液と合わせた。全てのジクロロメタン溶液を減圧下溶媒留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Merck社製、シリカゲル 60、230−400 mesh ASTM、クロロホルム : メタノール = 30 : 1)にて分離精製し、標題化合物を1.83 g(収率98%)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ:7.46-7.04 (m, 20H), 5.79 (dd, J = 2.2, 8.1 Hz, 1H), 5.15-5.01 (m, 1H), 4.52-4.40 (m, 2H), 4.26-4.05(m, 3H), 3.65-3.46 (m, 2H), 2.61-2.48 (m, 1H), 2.05-1.95 (m, 1H), 1.73-1.47 (m, 3H), 1.29 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.27-0.81 (m, 5H).
31P-NMR (202.5 MHz, CDCl3)δ:-17.8 (s), -25.2 (s).
【0059】
例11
【化19】

(S)-1-[(R)-1',2-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エタノール(598 mg, 1.00 mmol)をジクロロメタン(10 mL)中室温下でマグネティックスターラーを用いて攪拌し、無水こはく酸(150 mg, 1.50 mmol)、トリエチルアミン(0.28 mL, 2.01 mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン122 mg(1.00 mmol)を加え、22時間反応させた。その後、0.3規定の塩酸水溶液(10 mL, 3.00 mmol)を反応液に加えた。反応液を分液ロートへ移し、分液操作を行い抽出した。有機層を水(10 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Merck社製、シリカゲル 60、70−230 mesh ASTM、クロロホルム : メタノール = 30 : 1)にて分離精製し、標題化合物を550 mg(収率79%)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ:7.47-7.08 (m, 20H), 6.16 (dq, J = 6.4, 2.7 Hz, 1H), 4.55-4.43 (m, 2H), 4.22-4.10 (m, 3H), 3.72-3.58 (m, 2H), 2.27 (dt, J = 17.3, 7.3 Hz, 1H), 2.08 (dt, J = 17.3, 6.8 Hz, 1H), 1.87 (dt, J = 17.3, 7.3 Hz, 1H), 1.50 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 1.36 (dt, J = 17.3, 6.8 Hz, 1H).
31P-NMR (202.5 MHz, CDCl3)δ:-18.0 (s), -25.0 (s).
【0060】
例12
【化20】

(S)-1-[(R)-1',2-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エタノール(299 mg, 0.50 mmol)をジクロロメタン(5 mL)中室温下でマグネティックスターラーを用いて攪拌し、(−)-1,2-無水シクロヘキサンジカルボン酸(308 mg, 2.00 mmol)、トリエチルアミン(0.35 mL, 2.51 mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン61 mg(0.50 mmol)を加え、24時間反応させた。その後、0.6規定の塩酸水溶液(5 mL, 3.00 mmol)を反応液に加えた。反応液を分液ロートへ移し、分液操作を行い抽出した。有機層を水(5 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Merck社製、シリカゲル 60、230−400 mesh ASTM、クロロホルム : アセトニトリル:メタノール = 40 : 4 : 1)にて分離精製し、標題化合物を324 mg(収率86%)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ:7.45-7.06 (m, 20H), 6.13 (dq, J = 6.4, 2.3 Hz, 1H), 4.54-4.49 (m, 1H), 4.46-4.40 (m, 1H), 4.19-4.06 (m, 3H), 3.62-3.57 (m, 2H), 2.60-2.54 (m, 1H), 1.98-1.88 (m, 1H), 1.57-1.08 (m, overlapping with d δ 1.44, 7H), 1.44 (d, overlapping with m δ 1.57-1.08 J = 6.4 Hz, 3H), 0.93-0.79 (m, 1H).
31P-NMR (202.5 MHz, CDCl3)δ:-17.8 (s), -25.5 (s).
【0061】
例13
【化21】

(S)-1-[(R)-1',2-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エタノール(598 mg, 1.00 mmol)をピリジン(8.09 mL, 0.10 mol)中室温下でマグネティックスターラーを用いて攪拌し、(+)-1,2-無水シクロヘキサンジカルボン酸(617 mg, 4.00 mmol)を加えた後、50 ℃下で15時間反応させた。その後、減圧下溶媒留去し、得られた残渣へジエチルエーテル(10 mL)を加えた。不溶物を吸引濾過により除去した後、さらにジエチルエーテル(10 mL)にて不溶物を洗浄した。全てのジエチルエーテル溶液を合わせた後、1規定の塩酸水溶液(10 mL, 10.0 mmol)を加えた。反応液を分液ロートへ移し、分液操作を行い抽出した。有機層を水(10 mL)で洗浄し、続いて飽和食塩水(10 mL)にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒留去した後、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Merck社製、シリカゲル 60、230-400 mesh ASTM、クロロホルム : アセトニトリル:メタノール = 40 : 4 : 1)にて分離精製し、標題化合物を662 mg(収率88%)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ:7.50-7.01 (m, 20H), 6.06 (dq, J = 6.3, 2.6 Hz, 1H), 4.61-4.54 (m, 1H), 4.43-4.36 (m, 1H), 4.21-4.09 (m, 2H), 3.96-3.90 (m, 1H), 3.74-3.68 (m, 1H), 3.54-3.46 (m, 1H), 2.47-2.37 (m, 1H), 2.02-1.80 (m, 2H), 1.64-1.55 (m, 1H), 1.52 (d, J = 6.3 Hz, 3H), 1.33-1.01 (m, 3H), 0.80-0.65 (m, 3H).
31P-NMR (202.5 MHz, CDCl3)δ:-18.0 (s), -25.5 (s).
【0062】
例14
【化22】

例10にて合成した化合物(90 mg, 0.12 mmol)及びポリスチレン-N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド換算、1.2 mmol/g)125 mg(0.15 mmol)をジクロロメタン(2 mL)中室温下でマグネティックスターラーを用いて5分間攪拌した後、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(19 mg, 0.14 mmol)を加え引き続き10分間攪拌した。次にL-バリンメチルエステル塩酸塩(17 mg, 0.10 mmol)及びトリエチルアミン(14 μL, 0.10 mmol)を加え、室温下1時間攪拌した。反応液を吸引濾過した後、ポリスチレン-N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミドをジクロロメタン(1 mL)で洗浄し(5回洗浄した)、反応液と合わせた。得られたジクロロメタン溶液にマクロポーラストリエチルアンモニウムメチルポリスチレンカーボネート(Argonaut社製MP-カーボネート、2.74 mmol/g)を182 mg(0.50 mmol)加え、室温下で2時間攪拌した。その後、反応液を桐山ロートにて吸引濾過した後、マクロポーラストリエチルアンモニウムメチルポリスチレンカーボネートをジクロロメタン(1 mL)で洗浄し(5回洗浄した)、反応液と合わせた。減圧下溶媒留去し、得られた残渣をプレパラティブクロマトグラフィー(Merck社製、シリカゲル60 F254、20×20 cm、ヘキサン : 酢酸エチル = 1 : 1)にて分離精製し、標題化合物を80 mg(収率93%)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ:7.46-7.02 (m, 20H), 5.90 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.57 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 5.10-4.99 (m, 1H), 4.43 (br s, 1H), 4.41 (br s, overlapping with dd, δ 4.38, 1H), 4.38 (dd, overlapping with br s δ 4.41, J = 5.1, 8.1 Hz, 1H), 4.19-4.13 (m, 2H), 4.06-4.00 (m, 1H), 3.70 (s, 3H), 3.62-3.56 (m, 1H), 3.51 (br s, 1H), 2.34-2.23 (m, 1H), 2.14-2.01 (m, 1H), 1.82-1.72 (m, 1H), 1.66-1.53 (m, 2H), 1.52-1.41 (m, 1H), 1.32-1.03 (m, overlapping with d δ 1.27, 3H), 1.27 (overlapping with m δ 1.32-1.03, J = 6.6 Hz, 3H), 0.96-0.72 (m, overlapping with d δ 0.90 and d δ 0.89, 2H), 0.90 (d, overlapping with m δ 0.96-0.72 and d δ 0.89, J = 6.8 Hz 3H), 0.89 (d, overlapping with m δ 0.96-0.72 and d δ 0.90, J = 6.8 Hz, 3H).
31P-NMR (202.5 MHz, CDCl3)δ:-17.8 (s), -25.5 (s).
【0063】
例15
【化23】

例10にて合成した化合物(451 mg, 0.60 mmol)及びポリスチレン-N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド換算、1.2 mmol/g)625 mg(0.75 mmol)をジクロロメタン(8 mL)中室温下でマグネティックスターラーを用いて15分間攪拌した後、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(95 mg, 0.70 mmol)を加え引き続き15分間攪拌した。次にN1-[2-(メチルオキシ)エチル]-L-バリンアミド(87 mg, 0.50 mmol)のジクロロメタン溶液(2 mL)を加え、室温下1時間攪拌した。反応液を吸引濾過した後、ポリスチレン−N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミドをジクロロメタン(5 mL)で洗浄し(5回洗浄した)、反応液と合わせた。得られたジクロロメタン溶液にマクロポーラストリエチルアンモニウムメチルポリスチレンカーボネート(Argonaut社製MP-カーボネート、2.74 mmol/g)を766 mg(2.10 mmol)加え、室温下で1時間攪拌した。その後、反応液を桐山ロートにて吸引濾過した後、マクロポーラストリエチルアンモニウムメチルポリスチレンカーボネートをジクロロメタン(5 mL)で洗浄し(5回洗浄した)、反応液と合わせた。減圧下溶媒留去し、得られた残渣にヘキサン : クロロホルム = 1 : 1(6 mL)を加え、室温下2時間スラリー攪拌した。析出している固体を桐山ロートにて吸引濾過した後、さらに固体をヘキサン : クロロホルム = 1 : 1(2 mL)で洗浄し(5回洗浄した)、標題化合物を366 mg(収率81%)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ:7.46-7.02 (m, 20H), 6.20-6.02 (m, 2H), 5.66 (br d, J = 7.8 Hz, 1H), 5.09-4.98 (m, 1H), 4.43 (br s, 1H), 4.41 (br s, 1H), 4.20-4.06 (m, 3H), 4.03 (br s, 1H), 3.59 (br s, 1H), 3.50 (br s, 1H), 3.49-3.35 (m, 4H), 3.33 (s, 3H), 2.35-2.25 (m, 1H), 2.12-1.98 (m, 1H), 1.80-1.71 (m, 1H), 1.70-1.56 (m, 2H), 1.52-1.41 (m, 1H), 1.33-1.05 (m, overlapping with d δ 1.27, 3H), 1.27 (d, overlapping with m δ 1.33-1.05, J = 6.6 Hz, 3H), 0.97-0.76 (m, overlapping with d δ 0.92 and d δ 0.91, 2H), 0.92 (d, overlapping with m δ 0.97-0.76 and d δ 0.91, J = 6.6 Hz, 3H), 0.91 (d, overlapping with m δ 0.97-0.76 and d δ 0.92, J = 6.8 Hz, 3H).
31P-NMR (202.5 MHz, CDCl3)δ:-17.8 (s), -25.4 (s).
【0064】
例16
【化24】

上記化合物の合成は、固相担体の準備、Fmoc-L-バリンとの縮合及びそれに続く脱Fmoc工程、その後のフェロセン誘導体との縮合工程によって行った。
(a)固相担体の準備
ArgoGel-NH2(アミノ基換算、0.37 mmol/g)を54 mg(20 μmol)ずつMicroKanに入れシールした。同じものをさらに4個(計5個、20 μmol×5 = 0.10 mmol分)用意した。
(b) Fmoc-L-バリンとの縮合と続く脱Fmoc工程
ナスフラスコへMicroKanを5個(20 μmol×5 = 0.10 mmol)入れ、Fmoc-L-バリン(170 mg, 0.50 mmol)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩(144 mg, 0.75 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(135 mg, 1.00 mmol)を加えた後、無水N,N-ジメチルホルムアミド(10 mL)を入れた。室温下16時間攪拌した後、フラスコ中の反応液を廃棄した。次にN,N-ジメチルホルムアミド(10 mL)を加えて攪拌後、溶媒を廃棄することで洗浄した(洗浄操作は5回行った)。続いて20% (v/v)のピペリジン-N,N-ジメチルホルムアミド溶液(10 mL)を加え、室温下1時間攪拌した後、反応液を廃棄した。N,N-ジメチルホルムアミド(10 mL)を加えて攪拌後、溶媒を廃棄することで洗浄した(洗浄操作は5回行った)。その後、ジクロロメタン(10 mL)を加えて攪拌後、溶媒を廃棄することで洗浄し(洗浄操作は5回行った)、減圧下乾燥した。
【化25】

13C SR-MAS (125.8 MHz, CDCl3), δ 174.5 (C=O), 70.4 (PEG), 69.9 (PEG-O-CH2-CH2-NHCO), 60.2 (CH), 38.6 (PEG-O-CH2-CH2-NHCO), 31.0 (CH), 19.6 (CH3), 16.2 (CH3).
【0065】
(c)フェロセン誘導体との縮合工程
ナスフラスコへL-バリンと縮合したMicroKan 5個(20μmol×5 = 0.10 mmol)を入れ、例10にて合成した化合物(150 mg, 0.20 mmol)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩(58 mg, 0.30 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(54 mg, 0.40 mmol)を加えた後、無水N,N-ジメチルホルムアミド(10 mL)を入れた。室温下16時間攪拌した後、フラスコ中の反応液を廃棄した。N,N-ジメチルホルムアミド(10 mL)を加えて攪拌後、溶媒を廃棄することで洗浄した(洗浄操作は5回行った)。その後、ジクロロメタン(10 mL)を加えて攪拌後、溶媒を廃棄することで洗浄し(洗浄操作は5回行った)、減圧下乾燥した。
31P SR-MAS (202.5 MHz, CDCl3) δ -17.8 (s), -25.2 (s).
【0066】
例17:触媒の調製
例16にて合成した固相担持型フェロセンのうち、MicroKan 2個(20 μmol×2 = 40 μmol)をフラスコへ入れ無水ジクロロメタン(1 mL)を加えた。続いて塩化アリルパラジウム二量体(7.4 mg, 20.2 μmol)の無水ジクロロメタン(1 mL)溶液を加え、室温下1時間攪拌後、反応液を廃棄した。ジクロロメタン(4 mL)を加えて攪拌後、溶媒を廃棄することで洗浄した後(洗浄操作は5回行った)、減圧下乾燥した。
【0067】
例18:アリル位アミノ化反応
【化26】

例17で調製した触媒(MicroKan)の内、1個(20 μmol)を試験管に入れ、1,3-ジフェニル-3-アセトキシ-1-プロペン(50 mg, 0.20 mmol)の無水ジクロロメタン溶液(2 mL)を加えた。0℃下で15分攪拌した後、ベンジルアミン(44 μL, 0.40 mmol)を加えた。0℃下で40時間攪拌した後、反応液を別途用意したフラスコへ移した。さらにMicroKanをジクロロメタン(2 mL)を加え攪拌することで洗浄した後(洗浄操作は5回行った)、先の反応液と合わせた。全てのジクロロメタン溶液を減圧下濃縮後、得られた残渣をプレパラティブクロマトグラフィー(Merck社製、シリカゲル60 F254、20×20 cm、n-ヘキサン : 酢酸エチル = 4 : 1)にて分離精製し、標題化合物を20 mg(収率33%)得た。不斉収率は高速液体クロマトグラフィー(カラム:DAICEL CHIRALCEL OD・ダイセル化学工業社製、溶出溶媒:ヘキサン:イソプロパノール = 100 : 1、カラム温度 = 40 ℃、流速0.8 mL/min)により測定した結果、98% eeであった。
【0068】
例19:アリル位アミノ化反応
【化27】

例14及び例15で調製した配位子(22μmol)を各々試験管に入れ、塩化アリルパラジウム二量体(3.7 mg, 10.1 μmol)の1,2-ジクロロエタン溶液(1 mL)を加えた後、室温下で30分間攪拌した。次に1,3-ジフェニル-3-アセトキシ-1-プロペン(50 mg, 0.20 mmol)の1,2-ジクロロエタン溶液(1 mL)を加え、室温下で15分攪拌した後、20℃下(又は0℃下)でさらに15分間攪拌した。続いてベンジルアミン(44 μL, 0.40 mmol)を加え、表3に示した反応時間攪拌した。反応後、各々の反応温度下にて飽和塩化アンモニウム水溶液(2 mL)を加え、反応液を分液ロートへ移し、分液操作を行い抽出した。有機層を水(2 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をプレパラティブクロマトグラフィー(Merck社製、シリカゲル60 F254、20×20 cm、ヘキサン : 酢酸エチル = 4 : 1)にて分離精製した。なお、不斉収率は高速液体クロマトグラフィー(カラム:DAICEL CHIRALCEL OD・ダイセル化学工業社製、溶出溶媒:ヘキサン:イソプロパノール = 100 : 1、カラム温度 = 40 ℃、流速0.8 mL/min)により測定した。反応結果を以下の表3に示す。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固相担体に結合された下記の一般式(I):
【化1】

(式中、左端は固相担体を示し、Aは保護されていてもよいアミノ酸残基を示すか、又は同一若しくは異なっていてもよい2個以上の保護されていてもよいアミノ酸残基を含むペプチド残基を示し、nは0又は1の整数を示し、R1は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示し、X1及びX2はそれぞれ独立に−N(Rx)−(RXは水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。)、O、又はSを示し、Yは置換基を有していてもよいアルカンジイル基、置換基を有していてもよいアルケンジイル基、置換基を有していてもよいアルキンジイル基、又は置換基を有していてもよいアリールジイル基を示し、Z1及びZ2はそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示す。)で表される化合物。
【請求項2】
固相担体がシリカゲル、ポリスチレン樹脂(PS)担体、ポリエチレングリコール樹脂(PEG)担体、及びポリスチレン−ポリエチレングリコール樹脂(PS−PEG)担体からなる群から選ばれる固相担体である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Yが下記の一般式:
【化2】

(式中、R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R2f、及びR2gはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換ヘテロ原子、アリール置換ヘテロ原子、アラルキル置換ヘテロ原子、アシル置換ヘテロ原子、ニトロ基、スルホニル基、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基を示し、pは1から4の範囲の整数を示し、R3はベンゼン環上の結合可能な任意の位置に存在するp個の置換基を示し、2個以上のR3が存在する場合にはそれらは同一でも異なっていてもよく、R3は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換ヘテロ原子、アリール置換ヘテロ原子、アラルキル置換ヘテロ原子、アシル置換ヘテロ原子、ニトロ基、スルホニル基、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基を示し、Vは単環式環状炭化水素基又は多環式環状炭化水素基を示し、qは1からVに結合可能な最大数までの範囲の整数を示し、R4はVの環上の結合可能な任意の位置に存在するq個の置換基を示し、2個以上のR4が存在する場合にはそれらは同一でも異なっていてもよく、R4は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換ヘテロ原子、アリール置換ヘテロ原子、アラルキル置換ヘテロ原子、アシル置換ヘテロ原子、ニトロ基、スルホニル基、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基を示す。)で表される基である請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Aで示されるペプチド残基が、アミノ酸2又は3で構成されたペプチド残基である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
nが1である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の化合物からなる光学活性配位子。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物を少なくとも2種以上含む光学活性配位子ライブラリ。
【請求項8】
請求項6に記載の光学活性配位子を含む遷移金属錯体。
【請求項9】
請求項8に記載の遷移金属錯体を含む触媒的不斉反応の触媒。
【請求項10】
触媒的不斉反応が不斉アリル位置反応である請求項9に記載の触媒。
【請求項11】
下記の一般式(II):
【化3】

(式中、Aaは保護されていてもよいアミノ酸残基を示すか、又は同一若しくは異なっていてもよい2個以上の保護されていてもよいアミノ酸残基を含むペプチド残基を示し、mは0又は1の整数を示し、R10は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、又はアルカリ金属を示し、R11は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示し、X1a及びX2aはそれぞれ独立に−N(Rax)−(Raxは水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。)、O、又はSを示し、Yaは置換基を有していてもよいアルカンジイル基、置換基を有していてもよいアルケンジイル基、置換基を有していてもよいアルキンジイル基、又は置換基を有していてもよいアリールジイル基を示し、Z1a又はZ2aはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示す。)で表される化合物。
【請求項12】
aが下記の一般式:
【化4】

(式中、R12a、R12b、R12c、R12d、R12e、R12f、及びR12gはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換ヘテロ原子、アリール置換ヘテロ原子、アラルキル置換ヘテロ原子、アシル置換ヘテロ原子、ニトロ基、スルホニル基、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基を示し、sは1から4の範囲の整数を示し、R13はベンゼン環上の結合可能な任意の位置に存在するs個の置換基を示し、2個以上のR13が存在する場合にはそれらは同一でも異なっていてもよく、R13は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換ヘテロ原子、アリール置換ヘテロ原子、アラルキル置換ヘテロ原子、アシル置換ヘテロ原子、ニトロ基、スルホニル基、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基を示し、Vaは単環式環状炭化水素基又は多環式環状炭化水素基を示し、tは1からVaに結合可能な最大数までの範囲の整数を示し、R14はVaの環上の結合可能な任意の位置に存在するt個の置換基を示し、2個以上のR14が存在する場合にはそれらは同一でも異なっていてもよく、R14は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換ヘテロ原子、アリール置換ヘテロ原子、アラルキル置換ヘテロ原子、アシル置換ヘテロ原子、ニトロ基、スルホニル基、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基を示す。)で表される基である請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
aで示されるペプチド残基が、アミノ酸2又は3で構成されたペプチド残基である請求項11又は12に記載の化合物。
【請求項14】
mが1である請求項11ないし13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
mが0である請求項11ないし13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
請求項11ないし15のいずれか1項に記載の化合物からなる光学活性配位子。
【請求項17】
請求項16に記載の光学活性配位子を含む遷移金属錯体。
【請求項18】
請求項17に記載の遷移金属錯体を含む触媒的不斉反応の触媒。
【請求項19】
触媒的不斉反応が触媒的不斉アリル位置換反応である請求項18に記載の触媒。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物の製造方法であって、固相担体に結合された下記の化合物:
【化5】

(式中、Aは保護されていてもよいアミノ酸残基を示すか、又は同一若しくは異なっていてもよい2個以上の保護されていてもよいアミノ酸残基を含むペプチド残基を示し、nは0又は1の整数を示し、X1は−N(RX)−、O、又はSを示し、RXは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。)及び請求項15に記載の化合物を縮合する工程を含む方法。
【請求項21】
請求項7に記載の光学活性配位子ライブラリの作成方法であって、請求項20に記載の工程を含み、固相担体に結合された上記化合物及び請求項15に記載の化合物からなる群から選ばれる少なくとも2種以上の化合物からなるライブラリの作成方法。

【公開番号】特開2007−284365(P2007−284365A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111683(P2006−111683)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000002831)第一製薬株式会社 (129)
【Fターム(参考)】