説明

光散乱部材を備えた果実保護用袋、その製造方法及び使用方法

【課題】ぶどう、梨、リンゴ等の果実に被せ、果実を鳥害や日焼けなどから保護する。
【解決手段】透明または半透明の熱可塑性樹脂製フィルムにて形成され、開口部を除く少なくとも両側縁部が熱溶着され、全面に多数の通気性微細孔が設けてなる袋本体と、該袋本体の表裏何れか片面側又は両面側に重ね合わせ、開口部側寄りの両側端部に剥離可能に熱溶着された熱可塑性樹脂製の光散乱部材とを備える。前記袋本体の開口部近傍に熱溶着され、前記袋本体を支持枝部に緊締するための係止用突起を備えた熱可塑性樹脂製の緊締用紐、熱可塑性樹脂製の緊締用取付片又は熱可塑性樹脂で被覆した緊締用針金の何れかからなる緊締用取付部を備える。光散乱部材は、熱可塑性樹脂製フィルムに白色系着色剤、パール系着色剤、金属粉末の中の少なくとも何れか一種を混練りし、或いは前記フィルムに印刷若しくは塗布されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光散乱部材を袋本体に剥離可能に溶着し、ぶどう、梨、リンゴ等の果実に被せ、その後光散乱部材を袋本体から一部剥離して開き、或いは取り外して、果実の生長の度合いに合わせて、果実を保護する果実保護用袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、果実に被せて果実を病害虫、鳥害等から保護するために紙製の袋を使用していた。しかし、前記紙製の袋は、水に濡れても破れないようにパラフィンやオレフィン樹脂をコーティングする等の撥水加工が施されているために、袋はガス透過性を失い、外気との接触が遮断され、カビや雑菌が繁殖する原因となるばかりでなく、太陽光が直射されず、夏場には熱気が袋内部に滞り、特に袋の上方肩部に接触する部分に日焼けが多く、果実全体にダメージを受ける問題があった。そこで、本願発明者は、前記の問題点を解決すべく透明、半透明のプラスチック製有孔フィルムからなる農産物保護用袋の発明について国際出願した(引用文献1参照)。この発明は通気性にすぐれ、カビや雑菌の繁殖を防止し、病害虫、鳥害等から保護することに優れていることが認められているが、夏場の直射日光による日焼け防止の点では充分でない。
【0003】
また、果実を鳥害や日焼けなどから守るための保護用の傘として、例えば、矩形のシート板を略円筒形乃至円錐形にしてその重なった部分をホッチキス止めした例がある(特許文献2第2図乃び第3図、特許文献3第2図)。しかし、これらの傘は取り付けに手間がかかり、或いは構造が複雑で製造コストの点においても問題がある。
【0004】
【特許文献1】PCT/JP2003/004525
【特許文献2】実開昭62−49947号公報
【特許文献3】特開平7−107866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、前記の問題点を解消するために、光散乱部材を袋本体と別部材に形成し、袋本体に剥離可能に熱溶着しておくことにより、別途、傘掛けをしなくてもよく、しかも果実の成長に応じてタイムリーに対応できる果実保護用袋を見出して、本発明に想到したものであり、本発明の目的は、従来の傘掛けに多大な手間を要することから、この傘の代わりに光散乱部材を袋本体に予め剥離可能に溶着しておくことによって、果実の成長に応じて、果実に消毒液が付着しないように保護し、且つ果実の大敵である雨水の浸入を防ぎ、果実を夏場の直射日光による日焼け並びに高温障害から保護するとともに、カビや雑菌の繁殖を防止し、病害虫、鳥害等から保護する、一個の袋で多機能な作用効果を奏する果実保護用袋、その製造方法及び使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記の課題を解決するために、本発明は、果実に被せて保護するための袋であって、透明または半透明の熱可塑性樹脂製フィルムにて形成され、開口部を除く少なくとも両側縁部が熱溶着され、全面に多数の通気性微細孔が設けてなる袋本体と、該袋本体の表裏何れか片面側又は両面側に重ね合わせ、開口部側寄りの両側縁部に剥離可能に熱溶着された熱可塑性樹脂製の光散乱部材とを備えることを特徴とする果実保護用袋とする(請求項1)。本発明において、フィルムにはシートも含むものとする。
【0007】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記袋本体の開口部近傍に熱溶着され、前記袋本体を支持枝部に緊締するための係止用突起を備えた熱可塑性樹脂製の緊締用紐、熱可塑性樹脂製の緊締用取付片又は熱可塑性樹脂で被覆した緊締用針金の何れか一種からなる緊締用取付部を備えてなることを特徴とする前記の果実保護用袋とすることが好ましい(請求項2)。
【0008】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記の光散乱部材は、熱可塑性樹脂製フィルムに白色系着色剤、パール系着色剤、金属粉末の中の少なくとも何れか一種の材料を混練りし、或いは前記材料を含むインキ若しくは塗料をフィルムに印刷若しくは塗布したフィルムの何れかからなることを特徴とする前記の果実保護用袋とすることが好ましい(請求項3)。
【0009】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記の光散乱部材は、熱可塑性樹脂と非相溶性の有機系または無機系の粉末を練り込み、該フィルムを延伸することによって前記粉末の周囲に微細空隙を含有する熱可塑性樹脂製フィルムであることを特徴とする前記の果実保護用袋とすることが好ましい(請求項4)。
【0010】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記の光散乱部材は、全面に多数の通気孔が設けてなることを特徴とする前記の果実保護用袋とすることが好ましい(請求項5)。
【0011】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記の光散乱部材は、前記袋本体の開口部側端部から対向する先端部までの距離のうち、開口部側寄りの1/3以上の長さに設けてなることを特徴とする前記の果実保護用袋とすることが好ましい(請求項6)。
【0012】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、全面に多数の通気性微細孔が設けてなる袋本体を構成する1又は複数枚の透明または半透明の熱可塑性樹脂製フィルムを折り畳んで対向させ、或いはそのまま重ね合わせ、熱可塑性樹脂製フィルムからなる光散乱部材を前記重ね合わせたフィルムの片面側又は両面側に重ね合わせて前記袋本体の開口部が形成される側を除く少なくとも両側縁部を熱溶着且つ熱溶断するとともに前記袋本体の開口部が形成される側の近傍に熱可塑性樹脂製紐、熱可塑性樹脂製取付片又は熱可塑性樹脂で被覆した針金の何れか一種からなる緊締用取付部を熱溶着することを特徴とする果実保護用袋の製造方法とする(請求項7)。
【0013】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記の果実保護用袋の使用方法において、最初は光散乱部材を袋本体に溶着された状態で袋を果実に被せて果実の支持枝部に取り付けるステップと、光散乱部材を開口部側の一部を除き袋本体から剥離して開き日除け用傘として使用するステップと、果実収穫期近くに或いは果実収穫後に光散乱部材を袋本体から取り外すステップとを備えたことを特徴とする果実保護用袋の使用方法とすることが好ましい(請求項8)。
【発明の効果】
【0014】
本発明の果実保護用袋は、前記のように構成したことにより、袋掛けが容易になり、傘掛けの手間が省けるのに加えて、袋掛け直後は、光散乱部材をそのまま袋本体に重ねた状態にしておけば、梅雨時や消毒薬を散布したときに、光散乱部材がレインコートの役目をして袋本体から果実に雨や消毒薬が浸透することを防止することができる。また、夏場には光散乱部材を両側端部の溶着部の一部を剥がして傘を開いた状態にすることによって、日傘の役目をして果実を日焼けから保護することができる。また、光散乱部材は、直射日光を散乱するも、光を完全に遮断するものではないので、日傘の状態を維持したままでも、果実は着色し糖度を増す効果を奏する。冷夏の場合または日当たりがよくない場所などでは、収穫期に近づいたら光散乱部材を取り外して、果実を充分に陽に当てるようにして、収穫時期を多少早め、または収穫時期の調整ができ、更に、日照りの状態に対応させて傘の開き具合を調整すれば、より好ましい保護がなし得る。
【0015】
また、収穫後に光散乱部材を取り去って袋本体を包装用袋として使用できるので袋の入れ替えの手間が省略でき経済的であり、資源の有効利用の点でも優れている。また、係止用突起が形成された紐が袋に溶着してあるものは、紐の一端を取り外して袋の上から重ねて巻回して締め付けるだけで袋を支持枝部に固定でき、緊締用取付片又は緊締用針金からなる緊締用取付部も簡単に取付可能なことから従来に比較して格段に作業性が向上する。また、この果実保護用袋の製造方法に係る発明によれば、袋本体を構成するフィルムと、光散乱部材を構成するフィルムと、緊締用取付部を同時的に熱溶着して成形できるので製造コスト低減に寄与するほかに大量生産が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態(以下「実施の形態」と言う)について、以下に詳細に説明する。本実施の形態に係る果実保護用袋は、透明または半透明の熱可塑性樹脂製フィルムにて形成され、一方に設けられた開口部を除く両側縁部若しくは両側縁部と底部を含む周縁部が熱溶着され、全面に多数の通気性微細孔が設けてなる袋本体と、袋本体の表裏何れか片面側又は両面側の開口部側寄りに熱可塑性樹脂製の光散乱部材とを備え、前記光散乱部材を袋本体から剥離可能なように袋本体の両側縁部に熱溶着させていることを特徴とする。
【0017】
本実施の形態の果実保護用袋は、前記のように、全面に多数の通気性微細孔が設けてなる袋本体の開口部側の両側端部に熱可塑性樹脂製フィルムからなる光散乱部材が剥離可能に熱溶着されているので、袋本体を手で押さえて光散乱部材を摘んで軽く持ち上げるようにすれば、袋本体を構成するフィルムが剥離ないし損傷することなく、光散乱部材のみを袋本体から簡単に剥がすことができる。しかし、光散乱部材は、袋の開口部近傍において袋本体とともに緊締用針金等の緊締具で支持枝部に固定されているので、取り除かない限り袋本体と離間した状態を保持することが可能である。この光散乱部材は、直射日光を受けると光を散乱して果実に直射日光が直接当たらないように作用する。
【0018】
先ず、本実施の形態の果実保護用袋は、成形後に前記の光散乱部材が袋本体に剥離可能に熱溶着されており、この状態で袋を果実に被せて支持枝部に紐その他の緊締用取付部で取り付けることができる。この状態で、光散乱部材は袋本体と両側端部において溶着するも、それ以外の部分では光散乱部材と袋本体のフィルム同士は密着せず、多少の隙間が生じる状態で維持され、しかも、光散乱部材に設けられた通気孔と袋本体に設けられた微細孔は別個独立して穿設されており、したがって、液体の消毒薬等が加圧下で散布され、光散乱部材に設けられた通気孔を通過して雨水や消毒薬が袋本体に達したとしても、袋本体の微細孔から袋内部に導通して浸入することは困難である。
【0019】
また、果実が生長する夏場の暑いときは、開口部側の緊締部以外の溶着部を剥がして光散乱部材を袋本体の開口部近傍の緊締部から外側に開けば日除け傘のごとく作用して、太陽光は光散乱部材によって散乱し、果実に直射日光が直接当たらないばかりでなく、光散乱部材と袋本体との間の空間を介して、光散乱部材に設けられた通気孔や光散乱部材の下端部及び側端部と袋本体との空間を通して空気流が生じる。即ち、袋本体内部にて発生したガスを袋本体に設けられた微細孔から外部に逃がすとともに外部の空気を取り込む空気循環の相乗効果により、果実を日焼け或いは脱水症や腐敗などの高温障害から防止できる。
【0020】
また、袋本体に設けられた微細孔は通気性を有し、袋内の空気と外気を自由に通過させて入れ替えるので、日中は袋内の熱気を排除して袋内の温度分布を均一化する。夜は袋外の冷気を袋内に導き、袋内の状態を自然の雰囲気に近づけることによって昼夜の寒暖の差が大きくなり、果実の糖度を増して品質を向上する。更に、袋本体は光透過性なので太陽光と紫外線等を自然の状態で取り入れることによって、農産物の着色度を増して太陽光のもとで育成したと同様に着色性に優れた外観を呈する。
【0021】
以下に、実施の形態に係る果実保護用袋について図に基づいて詳細に説明する。第1図は、本発明に係る果実保護用袋である。第1図において、1は果実保護用袋であり、2は光散乱部材であり、3は袋本体であり、4は熱可塑性樹脂製の緊締用紐である。袋本体3は、背面の第1フィルム31と前面の第2フィルム32とから構成されており、第2フィルム32は、第1フィルム31よりもやや短く、両フィルムの中間に開口部5が形成されている。袋本体の開口部5を除く両側縁部が熱溶着されシール部6が形成されている。袋本体前面の第2フィルム32の上端部近傍には、熱可塑性樹脂製の緊締用紐4が、第1フィルム31と第2フィルム32の中間部に挟持され、更に、第2フィルム32の前面側には、光散乱部材2が重ね合わされ、これらが袋本体の両側端部において熱溶着により固着されている。
【0022】
前記第1フィルム31と第2フィルム32は、透明または半透明の熱可塑性樹脂製フィルムにて形成され、全面に多数の通気性微細孔33が設けられている。熱可塑性樹脂製フィルムの素材は特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン(PP)フィルム、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、一般用ポリスチレン(GP−PS)フィルム、耐衝撃性ポリスチレン(HI−PS)フィルム、二軸延伸ポリスチレン(OPS)フィルム、ポリエステル(PET)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、アイオノマーフィルム、セルロース系プラスチックフィルム、熱可塑性エラストマーフィルム等から使用目的に応じて選択することができる。更に、前記単一フィルムの他に共押出しフィルムや接着用樹脂層を介したドライラミネーション又はサンドラミネーションで貼り合わせた多層フィルムであってもよい。
【0023】
また、、地中や水中で微生物などによって分解される生分解性プラスチック、例えば、微生物産生系のポリヒドロキシブチレート、化学合成系のポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリビニルアルコール、天然物系の修飾澱粉、酢酸セルロース、キトサン/セルロース/澱粉、澱粉/化学合成系グリーンプラ等を使用することもできる。
【0024】
また特定の紫外線を吸収する紫外線吸収剤、例えば銀や銅等の金属粉からなる抗菌剤乃至殺菌剤、マイナスイオン乃至遠赤外線を発生するセラミック粉、花崗岩粉乃至カーボン粉等、害虫等忌避剤及び消臭剤乃至芳香剤の中から選ばれる少なくとも一種を添加し又は塗布し或いは袋中に内填することによって、前記のような様々な機能を達成することができる。
【0025】
また、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤乃至芳香族アミン系酸化防止剤等の抗酸化剤やサリチル酸エステル、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤(例えばガイギー社製のチヌビン等のUVアブソーバ等)を添加して劣化を防止してもよい。また、植物に障害を与える280nm以下の紫外線をカットし、ぶどう、茄子、りんご、オウトウ、ブルーベリー等のアントシアニン色素を増大して着色性を向上する280〜400nmの紫外線を積極的に透過させて農産物の着色性を向上させるべく、前記の280〜400nmの紫外線を選択的に透過する紫外線吸収剤や紫系の着色材を添加乃至印刷してもよい。
【0026】
前記袋本体を構成するフィルムに設けられる微細孔33は、通気性を有し、できる限り非透水性であることが好ましく、微細孔33の最大部の孔径が30μm、好ましくは70μm以上あれば通気性が確保できる反面、500μmを越えると透水性を生じる可能性があり、而して、微細孔33の孔径は、30〜500μm、好ましくは70〜400μm、特に好ましくは100〜200μmの範囲がよい。且つ、空孔面積率が0.7〜12%の範囲内であることが好ましい。孔径が必要以上に小さい場合は通気量が充分確保できない場合があるので、通気量を充分確保するには孔径と空孔面積率の両方の最大値と最低値を定める必要がある。ここで、空孔面積率とは、単位面積当たりの合計空孔面積の百分率で表される数値を言う。
【0027】
微細孔33を備えたフィルムの製造方法としては例えば、ポリオレフィン系プラスチックフィルムを、フィルムの融点(約200℃)以上に加熱した熱針を植えた駆動ロール又は突起を備えたエンボスロールとバックアップロールの間(所定のギャップに設定されている)に挟持し、ライン速度で同調させつつ多数の微細孔を溶融穿孔する。この溶融穿孔の際に、フィルム片面における孔の周縁に溶融樹脂溜まりによる比較的高い凸部が形成され、反対面側に比較的低い凸部が形成される。本実施例ではこの比較的高い凸部が形成された面を袋の内側にして袋本体が構成されている。前記の微細孔を有するフィルムを凸部面が対向する状態にして2枚重ねて一方向の開口部を除いて溶着切断(溶断)して袋を形成する。前記の穿孔方法以外に、プラスチック製フィルムの何れか一面から他面に向けて微粉鉱石を高速で飛ばす等の方法で穿孔することもできる。
【0028】
穿孔方法は前記の熱針を使用する以外に、プラスチック製フィルムの何れかの一面から他面に向けて微粉鉱石を高速で飛ばす穿孔方法、レーザー光で穿孔する方法、多数の貫通孔を有する円筒状ロールの表面にフィルムを連続して沿わせて、該フィルムを加熱して内側から吸引し、多数の貫通孔を有する円筒状ロールの表面にフィルムを連続して沿わせ、該フィルムを加熱して円筒状ロールの内側から吸引し、吸引されたフィルム部が切断されて微細孔が穿孔される吸引穿孔法、前記の円筒状ロールに設けた貫通孔の内側から加熱ガス等を噴出して穿孔する方法、多数の窪みを備えた円筒状ロールの表面にフィルムを連続して沿わせ、該フィルムの表面をガスバーナー火炎等で加熱し、前記の窪み部分に当接したフィルムが内部応力を受けて収縮することによって穿孔する方法等があり、本発明の有孔フィルムは、あらゆる穿孔方法によって製造されたフィルムを包含するものであり、穿孔方法や製袋方法によっていかなる限定を受けるものではない。
【0029】
次に、光散乱部材2は、太陽光などの直射光が当たったときに光を散乱する機能を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、袋本体と同一の熱可塑性樹脂製フィルムをそのまま光散乱部材に使用した場合、熱溶着時に両フィルムは溶着一体化して光散乱部材2を袋本体から剥離することが困難となる。そこで、光散乱部材のみを袋本体から剥離できるようにするためには、光散乱部材2フィルムと袋本体との接着力が袋本体を構成するフィルム同士の接着力よりも小さくして、いわゆる疑似接着させることが好ましい。即ち、袋本体の第1フィルム31と第2フィルム32を同一種類の熱可塑性樹脂製フィルム、例えば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムで構成し、光散乱部材2フィルムは、前記袋本体を構成するフィルムとは分子構造が異なる異種素材のフィルム、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)製の乳白色フィルム等で構成することが好ましい。
【0030】
また、光散乱部材を構成するフィルムと袋本体を構成するフィルムが同一種類の素材からなるフィルムの場合は、これらのフィルムをコロナ放電処理をするか、またはガスバーナー等によりフィルム表面を火炎処理するか、或いは、異種類の樹脂を含む処理剤で予め表面処理して、前記の処理をした面同士を接触させて熱溶着することによって、袋本体と光散乱部材とを剥離可能に溶着することができる。更に、光散乱部材を構成するフィルムは、溶着部分を剥離して、袋本体から離間した状態に維持できるほどの保形成を有するとともに、必要に応じて、光散乱部材に通気孔21を設けることが好ましい。この通気孔21は、特に限定されるものではないが、袋本体側に空気を充分に循環させる必要性から袋本体の微細孔よりもやや大きめの、孔径が0.5〜3.0mm位のものが好ましい。
【0031】
光散乱部材2としては、例えば、熱可塑性樹脂製フィルムに白色系着色剤、パール系着色剤、金属粉末の中の少なくとも何れか一種を混練りし、或いはこれらを含む塗料等を前記フィルムに印刷若しくは塗布したものが好ましい。白色系着色剤としては、例えば、ルチルやアナターゼ等のチタン白粉末、パール系着色剤としては、二枚貝の粉末などからなる着色剤がある。金属粉末としては、アルミナ粉末や銀粉末等が直射光を散乱させ一部光を反射させて果実に照射される光量や熱量を減少させる効果を奏することから好ましい。透明フィルムに直射日光を散乱する着色剤、例えばチタン白を含むインキをドット状又は格子状等に印刷し、又は係る着色剤を練り込んだ半透明性フィルム、乳白色フィルム、パール系着色フィルム等を使用してもよい。これらのフィルムの表面に、例えば、凹凸状に噛み合うペーパーエンボス絞、梨地や反射絞等の光を散乱する絞を形成してもよい。
【0032】
光散乱部材2の他の例として、例えば合成樹脂と非相溶性の樹脂、無機系又は有機系の微粒子を配合し、製膜後、冷却過程において延伸することによって、樹脂と非相溶性の微粒子との界面に界面剥離を引き起こして微細な空隙を生成させたものが用いられる。前記の合成樹脂としては、延伸によって配向性を有する結晶性樹脂が好ましく、結晶性ポリオレフィン系樹脂、例えばポリプロピレン系樹脂が好ましい。配合される微粒子としては、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、アルミナ、ゼオライトなどの無機微粒子、ポリカーボネート、架橋性ポリウレタン等の有機微粒子等がある。
【0033】
これら微粒子の粒子径としては、平均粒径で0.1〜10μmが好ましい。前記多数の微細空隙を含有する合成樹脂製フィルムは、微細空隙に含まれる空気により直射日光を効果的に散乱し、断熱効果により農産物の日焼けが防止できるので特に好ましい。また、前記微粒子が微細空隙から落下することを防止するために樹脂系処理剤をコートしたり薄膜を貼り合わせてもよい。前記微細空隙の代わりに、予め、合成樹脂にアゾジカルボンアミドなどの熱分解によりガスを発生する発泡剤を添加し、エクストルーダー内部において発泡剤を熱分解させてフィルム内に気泡を形成させた発泡性フィルム等を用いてもよい。
【0034】
前記の光散乱部材2は、前記袋本体の開口部側端部から対向する先端部までの距離のうち、開口部側寄りの1/3以上の長さに設けてなることが好ましい。1/3としたのは、1/3あれば、果実の袋掛けをする時期における子実を充分に保護可能であり、且つ熱焼けが最も発生しやすい果実の上方両肩部を保護することも可能である。逆に1/3よりも長く、例えば、袋本体の全体を覆う長さにすれば、袋本体は消毒液や汚れから保護され、光散乱部材2を取り除いた後で、袋本体を果実の包装用袋の代替えとして用いられるので、新たに詰め替える必要がなく、そのままの状態で箱詰めして店頭に陳列することもでき便利である。また、袋に切り込みを形成する場合の光散乱部材2の長さについては後述する。
【0035】
次に、前記袋本体の開口部近傍の両側端部に熱溶着される緊締用取付部の1つである熱可塑性樹脂製の緊締用紐4は、図4に示すように、先端が、長さ方向に直角方向に向く鉤状をなす係止用突起41が長さ方向に対して垂直方向に多数形成され、一方、該係止用突起の根本部には扁平なヒレ部42が長さ方向の全体に設けられており、前記緊締用紐4を数回巻き付けたときに、隣り合う紐の前記ヒレ部42と鉤状係止用突起41が互いに係止し合って固定される。この緊締用紐4は、太さが数ミリメートル程度の細い紐状をなし、袋本体の両側端に熱溶融によって固定されており、何れか片方の端部を引っ張ることにより、簡単に袋本体から取り外すことができる。前記袋を果実に被せた後、開口部を閉じた袋の上から果実の支持枝部の周りに前記紐を重ねて巻回して締め付けることにより、前記袋を果実の支持枝部に容易に緊締することができる。緊締された紐を緊締した時と反対方向に引っ張れば簡単に外れるので袋本体を取り外す際にもさほど手間を要しない。
【0036】
また、本発明の果実保護用袋を緊締する手段は、前記緊締用紐4に限定されるものではなく、例えば、袋本体3の開口部近傍に針金を取り付けてもよい。図7は、緊締用針金のを袋本体3の開口部近傍に、熱圧部71に熱溶着した果実保護用袋を例示したものである。この緊締用針金7を支持枝部に巻き付けて締結することができる。緊締用針金7は、プラスチックで被覆したもの、或いは針金を2枚の帯紐状プラスチックで挟持したものを適宜長さに切ってその一部を袋に溶着すればよい。また、緊締用針金7を袋本体3の開口部5に沿って平行に設けてもよい(図示せず)。 第8図は、その他の例として、可撓性を有する硬質プラスチック製薄板からなる小片の中央部に袋本体の挟持用孔81と、この挟持用孔81に連続する切り込み82を形成した緊締用取付片を開口部5の近傍にその一部を溶着した状態を例示したものである。果実保護用袋1を果実Gに被せ開口部5をしぼめて先端部を前記の切り込82から挟持用孔81に押し込めば、開口部5が閉じた状態で袋を果実の支持枝部Sに取り付けることができる。
【0037】
次に、請求項1の発明を含む第1実施の形態に係る、緊締用取付部を備えない図6に示す果実保護用袋を製造する方法について説明する。先ず、袋本体形成用の微細孔を備えた長尺OPPフィルムを長さ方向に平行に2つ折りしたフィルムと、光散乱部材形成用の長尺HDPEフィルム2を準備し、HDPEフィルム2/二つ折りOPPフィルム32,31/HDPEフィルム2、の順に重ね合わせて水平作業台にセットする(図3(a)参照)。前記セットされたフィルムを、溶断刃の動作に同期して間欠的に定速で移送することにより、前記OPPフィルムを長さ方向に直角方向に溶断刃WKで溶断かつ溶着した後、前記OPPフィルムを袋本体の幅に相当する長さ分移動させてフィルムを溶断かつ溶着し、係る工程を連続して繰り返して所望の果実保護用袋が連続して得られる。溶断刃WKは、1個または袋本体の幅分、離間して固定した複数個の溶断刃の何れを用いてもよい。また、熱溶断加工は前記の加熱した溶断刃以外に、塩化ビニル樹脂フィルム等は高周波ウエルダーを使用し、オレフィン系樹脂フィルムにあっては、超音波ウェルダーを使用してもよい。また、前記袋本体を形成するための長さ方向に平行に2つ折りした1枚の長尺OPPフィルムを用いる代わりに、2枚の長尺フィルム31,32を重ね合わせて用いて、袋の開口部を除く、両側縁部と底縁部を含む周縁部を熱用着ないし熱溶断してもよい。
【0038】
次に、請求項2の発明を含む第2実施の形態に係る、緊締用紐を備えた図1に示す果実保護用袋を製造する方法について説明する。本実施の形態に係る製造方法は、前記第1実施の形態に係る果実保護用袋を製造する方法において、袋本体形成用の長尺OPPフィルム32に代えて、コロナ放電処理した面を外側にして長さ方向に平行に2つ折りした長尺OPPフィルムを使用し、光散乱部材形成用の長尺HDPEフィルム2に代えて、片面をコロナ放電処理したOPPフィルム2を使用し、OPPフィルム2,2’/二つ折りOPPフィルム32’,32/緊締用紐4/二つ折りOPPフィルム31,31’、の順に重ね合わせる(図3(b)参照)以外は第1実施の形態に係る発明と同様である。また、前記コロナ放電処理に代えて、ガスバーナー等による火炎処理、或いは、異種類の樹脂を含む処理剤による表面処理したフィルムについても同様に適用される。
【0039】
次に、請求項2の発明を含む第3実施の形態に係る、緊締用針金を備えた図7及び図8に示す果実保護用袋を製造する方法について説明する。本実施の形態に係る製造方法は、前記第2実施の形態に係る果実保護用袋を製造する方法において、緊締用紐4を取り除き、2つ折りしたOPPフィルム、光散乱部材形成用のOPPフィルムを、OPPフィルム2,2’/二つ折りOPPフィルム32’,32とOPPフィルム31,31’/OPPフィルム2’,2、の順に重ね合わせて(図3(c)参照)、両側縁部を熱溶断し、何れか片方の側端部近傍に緊締用針金7または緊締用取付片8を熱溶着する以外は第2実施の形態に係る発明と同様である。
【0040】
また、図7に示す果実保護用袋は、前記第3実施の形態に係る製造方法によって得られた果実保護用袋のほぼ中央部に開口部側の端部から下方に向けて約3〜10cm位の切り込み9を設けたものである。この切り込み9は、本発明の果実保護用袋をリンゴや梨などの果実に袋掛けする場合に用いる。果実に袋を被せ、切り込みに支持枝を跨がせて、果実の反対側で対向する袋の端部を1つにまとめて緊締用紐や緊締用針金等で緊締して支持枝に取着する。切り込み9は、袋を構成する前面と背面の両側のフィルムに形成するか、または前面側のフィルム(2,2’,32’,32)、背面側のフィルム(31,31’,2’,2)の何れか片面側にのみ形成してもよい。また、袋の終端部には円形の一部繋ぎ部91を除く円弧状の引裂防止部92を形成しフィルムの引裂を防止するとともに、特に、両面側に切り込み9を形成するときには、ハンドリングを考慮して、フィルムがバラバラになることを防止するために、切り込みの途中に僅かな繋ぎ部91を形成することが好ましい。この繋ぎ部91は、袋掛け作業時に切り込み9の両側のフィルムを軽く引っ張ることによって簡単に切り離し可能な程度に付いていれば足りる。また、この切り込みを形成する袋にあっては、光散乱部材2の長さは、図7に示すように切り込みの長さ相当分長いものを用いてもよいが、或いは、切り込み9を設けない場合に用いるのと同じ長さのものを切り込みの途中ないし最下点近傍まで下方にづらして設けることが好ましい(図示せず)。
【実施例】
【0041】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
本実施例においては、表1に示すように、袋本体は、フィルムの全面に、孔数が1,786,000/m、平均孔径が100〜130μm、平均空孔面積率が1.4%の円形孔からなる通気性微細孔が設けてなる25μm厚の透明OPPフィルムを使用し、光散乱部材は、孔径が1mmの通気孔を8mmピッチでフィルム全面に設けてなる、厚みが20μm、白系着色剤を1〜3%添加した乳白色かつ半透明の高密度ポリエチレン(HDPE)フィルムからなり、前記第1実施の形態に係る製造方法にしたがって、所望の果実保護用袋を得た。
【0042】
【表1】

【0043】
前記の実施例によって得られた果実保護用袋及び比較例として、従来の紙製の袋をそれぞれ30枚準備して同一条件で葡萄(巨峰)に装着して実験した結果を以下に示す。実験は山梨県及び滋賀県の葡萄園で行い、昨年6月に袋掛けした後消毒液を散布し、7月中旬に光散乱部材の溶着部を剥がして日傘の状態を維持したままで、袋内部の観察を継続しつつ、9月の初旬に葡萄を収穫して検査員20人によってその糖度と外観等を評価したものであり、表2にその実験結果を示す。表中、糖度は株式会社アタゴ製リフラクトメーターTAL−1糖度計を使用し、ぶどうをミキサーにかけてその絞り汁を前記糖度計で測定した平均値である。また、表中の酒石酸(酸味)は、前記絞り汁をアルカリ液で中和滴定し、得られた滴定値から以下の式により求めた数値であり、数値が大きい程、酸味が強い。
酒石酸(酸味)=滴定値×力価×常数(0.75)
【0044】
【表2】

【0045】
前記の表2に示すように、実施例の果実保護用袋は、糖度、酸味、着色度、焼けの発生、害虫被害、鳥害の程度、目視観察作業性の何れの点においても優れた成果を挙げたのに対して、比較例の場合は上方の袋の内面と接している部分に熱焼けの発生が目立った。また、幹からの栄養伝達度は実施例、比較例の双方ともほぼ同じ状態であり、果実の着色は光の照射度が高い程、濃色となり、着色が濃い程、糖度が高く表面に白色の粉を吹く状態となることが確認された。害虫被害、鳥類による被害は比較例の一部に被害の発生が観られた。目視観察作業性に関しては、比較例の場合は不透明なため袋を取り外して観察した後、再度袋を掛け直さなければならず、作業性がよくない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る果実保護用袋は、ぶどう等の果実に被せてこれらの農産物を病害虫や日焼け等から保護するとともに、袋掛けや傘掛け等の作業が省略ないし軽減されるので、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】(a)は、第2実施の形態に係る果実保護用袋を例示したA−A線拡大断面図であり、(b)は、同じく平面図である。
【図2】実施の形態に係る果実保護用袋を支持枝部に取り付け、光散乱部材を傘状に開いた状態を示す斜視図である。
【図3】(a)は、第1実施の形態に係る果実保護用袋の加工方法を例示する拡大断面説明図であり、(b)は、第2実施の形態に係る果実保護用袋の加工方法を例示する拡大断面説明図である。(c)は、第3実施の形態に係る果実保護用袋の加工方法を例示する拡大断面説明図である。
【図4】緊締用紐の係止状態を例示する説明図である。
【図5】(a)は、第2実施の形態に係る他の果実保護用袋を例示したA−A線拡大断面図であり、(b)は、同じく平面図である。
【図6】(a)は、第1実施の形態に係る果実保護用袋を例示したA−A線拡大断面図であり、(b)は、同じく平面図である。
【図7】緊締用針金を取着し、取付用切り込みを設けた果実保護用袋を例示した平面図である。
【図8】緊締用取付片を取着した果実保護用袋を例示した平面図である。
【符号の説明】
【0048】
1:果実保護用袋、2:光散乱部材、21:通気孔、3:袋本体、31:第1フィルム、32:第2フィルム、33:微細孔、4:緊締用紐、41:係止用突起、42:ヒレ部、5:開口部、6:シール部、2’,32’:コロナ放電処理面、7:緊締用針金、71:熱圧部、8:緊締用取付片、81:挟持用孔、82:挟持用切り込み、9:取付用切り込み、91:繋ぎ部、92:引裂防止部、
G:果実(ぶどう)、S:支持枝部、WK:溶断刃


【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実に被せて保護するための袋であって、透明または半透明の熱可塑性樹脂製フィルムにて形成され、開口部を除く少なくとも両側縁部が熱溶着され、全面に多数の通気性微細孔が設けてなる袋本体と、該袋本体の表裏何れか片面側又は両面側に重ね合わせ、開口部側寄りの両側縁部に剥離可能に熱溶着された熱可塑性樹脂製の光散乱部材とを備えることを特徴とする果実保護用袋。
【請求項2】
前記袋本体の開口部近傍に熱溶着され、前記袋本体を支持枝部に緊締するための係止用突起を備えた熱可塑性樹脂製の緊締用紐、熱可塑性樹脂製の緊締用取付片又は熱可塑性樹脂で被覆した緊締用針金の何れか一種からなる緊締用取付部を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の果実保護用袋。
【請求項3】
前記の光散乱部材は、熱可塑性樹脂製フィルムに白色系着色剤、パール系着色剤、金属粉末の中の少なくとも何れか一種の材料を混練りし、或いは前記材料を含むインキ若しくは塗料をフィルムに印刷若しくは塗布したフィルムの何れかからなることを特徴とする請求項1または2記載の果実保護用袋。
【請求項4】
前記の光散乱部材は、熱可塑性樹脂と非相溶性の有機系または無機系の粉末を練り込み、該フィルムを延伸することによって前記粉末の周囲に微細空隙を含有する熱可塑性樹脂製フィルムであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の果実保護用袋。
【請求項5】
前記の光散乱部材は、全面に多数の通気孔が設けてなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の果実保護用袋。
【請求項6】
前記の光散乱部材は、前記袋本体の開口部側端部から対向する先端部までの距離のうち、開口部側寄りの1/3以上の長さに設けてなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の果実保護用袋。
【請求項7】
全面に多数の通気性微細孔が設けてなる袋本体を構成する1又は複数枚の透明または半透明の熱可塑性樹脂製フィルムを折り畳んで対向させ、或いはそのまま重ね合わせ、熱可塑性樹脂製フィルムからなる光散乱部材を前記重ね合わせたフィルムの片面側又は両面側に重ね合わせて前記袋本体の開口部が形成される側を除く少なくとも両側縁部を熱溶着且つ熱溶断するとともに前記袋本体の開口部が形成される側の近傍に熱可塑性樹脂製紐、熱可塑性樹脂製取付片又は熱可塑性樹脂で被覆した針金の何れか一種からなる緊締用取付部を熱溶着することを特徴とする果実保護用袋の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜6の何れかに記載した果実保護用袋の使用方法において、最初は光散乱部材を袋本体に溶着された状態で袋を果実に被せて果実の支持枝部に取り付けるステップと、光散乱部材を開口部側の一部を除き袋本体から剥離して開き日除け用傘として使用するステップと、果実収穫期近くに或いは果実収穫後に光散乱部材を袋本体から取り外すステップとを備えたことを特徴とする果実保護用袋の使用方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−268403(P2009−268403A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121261(P2008−121261)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(390003160)ニダイキ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】