説明

光波長選択型可変ADM装置およびそれを用いた波長多重光通信システム

【課題】下位の通信システムへのトラフィック量に応じて自由に入力する波長選択を可能とする光波長選択型可変ADM装置およびその装置を用いた波長多重光通信システムを提供することである。
【解決手段】本願の光波長選択型可変ADM装置は、上位の通信システムから入力された波長分割多重光信号に含まれる複数の波長の光信号を分波する波長分波器と、分波された複数の波長の光信号を合成して波長分割多重光信号を生成して上位の通信システムに出力する波長合波器と、下位の通信システムに分岐・挿入させるかを切り換える光スイッチとを備え、上位の通信システムの波長分割多重光信号に含まれる複数の波長の光信号から任意の波長の光信号を組み合わせて下位の通信システムに分岐・挿入させる。この光波長選択型可変ADM装置を用いて、光リング型波長多重光通信システムを構築できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WDM(Wavelength Division Multiplexing)光ネットワークにおいて波長多重伝送が行われているシステムにおいて、光波長が選択できる光波長選択型可変ADM(Add/Drop Multiplexer)装置、およびそれを用いた波長多重光通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、家庭やオフィスなどにおいて、光ファイバーネットワークが広く導入されはじめている。このような光ファイバーネットワークに対しては、FTTH(Fiber To The Home)やFTTB(Fiber To The Building)などのブロードバンド回線サービスが提供されており、たとえば、100メガFTTHやギガFTTHと呼ばれるものが存在している。これらのサービスでは、光スプリッタなどの光デバイスを使用していることから、一般的にイーサネット(登録商標)PON(Ethernet(登録商標) Passive Optical Network)と呼ばれている。EPON方式では、通常、光ファイバーを最大32戸で共用するシステムとなっている。そうすると、たとえば、100メガFTTHが32戸で固定的に共用された場合、1戸あたり3.1Mbpsとなる。これが、GE−PON(ギガビットイーサネット(登録商標)−PON)方式のギガFTTHの場合、転送速度が31Mbpsとなる。一般的な、FTTHサービスでは、最大32戸で光ファイバーを共用するスター型結線により構成されている。しかしながら、スター型結線ではシステムの拡張性や柔軟性に欠けるという問題があることから、特許文献1において、システムの拡張に対して柔軟に対応できるリング型の光ネットワークが提案されている。このリング型光ファイバーネットワークでは、大容量の情報を扱うために種々の多重技術が検討されており、たとえば、CWDM(Coarse WDM)方式などの波長分割多重方式が有望な方式と考えられている。
光ファイバーネットワークが広く導入されることにより利用者が増加し、これに伴うトラフィック量の増加が予想される。このため、波長分割多重方式を用いた時、多重されている波長によるトラフィックの偏りが生じることがある。このようなトラフィックの偏りを解消するために、一般には、光装置に対するコネクタの配置変更などの手動のつなぎ換えや光スイッチによる配線状態の変更や光クロスコネクト装置の使用により対処される。このような方法は、現在の家庭やオフィスなどのアクセスネットワークと比較して大量、かつ変動の少ないトラフィックを扱うため切り換え回数の頻度が少ない条件で使用される日本中を結ぶバックボーンネットワークのDWDM(Dense WDM)方式を採用しているネットワークで用いられる。
【0003】
しかしながら、上記の手動によるつなぎ換えや光スイッチによる波長の切り換えでは、ある程度のトラフィック量の制御を行うことが可能であるが、それには限界があり、加えて、切り換え時間や切り換えの手間がかかるなどの問題点がある。
【0004】
また、光クロスコネクト装置を用いた場合、メインルータ、もしくはレイヤ3スイッチに対応した光クロスコネクト装置で使用するすべての波長フィルタに対応するために、すべてのノードですべての波長合波器、波長分波器、光スイッチ、光トランシーバおよび光メディアコンバータなどが必要となるため、システムとして大きく、かつ、高価になるなどの問題点が生じる。
【0005】
上記問題に対応するため、波長多重の効率的な利用形態として特にリング構成の光IP(Internet Protocol)ネットワークが特許文献2において提案されており、この構成の中で光波長選択型可変ADM装置が提案されている。
【0006】
図11は、特許文献2において提案されている機械式の光波長選択型可変ADM装置1の例を示す。この装置は、3つのブロックにより構成されている。右ブロック2は下位リングからのインターフェース部であり、左ブロック3は、レイヤ3スイッチ側のインターフェース部である。波長の切り換えは、中央ブロック4を上下方向に移動させることで行う。下位リングからの光入力信号は、右ブロック2を通過し、中央ブロック4に至る。中央ブロック4に全反射フィルタ5があった場合は、全反射されるため、その後段にある左ブロック3の波長選択フィルタ6を介することなく下位リングへと送られる。また、中央ブロック4に全反射フィルタ5がない場合は、通過し、左ブロック3に至る。そして、特定の波長の信号だけが左ブロック3を通過し、レイヤ3スイッチに至る。逆に、レイヤ3スイッチからの信号は、左ブロック3、中央ブロック4、右ブロック3を順に通過して下位リングに至る。このように構成することにより、メインルータに接続される光波長選択型可変ADM装置1には、一般ルータに接続される光波長選択型可変ADM装置1に常時割り当てられる波長のほかに使用される可能性のある波長に対する装置を設ければよいので、コスト低減を図ることができる。
【0007】
一方、トラフィック制御については、波長分割多重方式やリング型のネットワーク網に特有のものは存在せず、通常のネットワーク網で使用されているトラフィック制御方式を採用している。このようなトラフィック制御では、パケットの発信元IPアドレス/ポート、パケット種別などを基準に単位時間当たりの送出バイト数の調整が行われている。たとえば、この制御での具体的な方法として、パケットの種類により帯域制限を設けたり、パケットの種類により優先制御を行ったり、パケットシェーピングといわれるパケットの種類により最大の送出速度を設けるなどの方法が採られる。
【0008】
【特許文献1】特開2001−230794号公報
【特許文献2】特開2005−323185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の光波長選択型可変ADM装置では、一般ルータにメインルータで使用する波長フィルタのすべてを設ける必要がなくコスト面を抑えることができると考えられる。しかし、ここで示されている波長選択切り換え方法では、波長の切り換えが中央ブロック4を移動させることにより行うため、このブロックに配置された全反射フィルタ5や通過接続の配置における条件により波長選択、および、波長数選択についての自由度が限られることになる。つまり、波長を1つ選択しようとする時、波長λ11だけしか選択できない。2つ選択しようとした時にはλ11とλ12だけに限られる。つまり、λ11とλ14やλ13とλ14という組合せは取り出せない。また、波長数についても、1つのパターンしか取り出せず自由度は少ない。さらに、いくつの波長を選択しても、少なくともλ11は選択されるため、使用波長に偏りが出るという問題が生じる。
【0010】
また、切り換える波長数が増加するとメインルータでは、中央ブロック4を含めたブロック長が長くなる。そうすると、物理的に装置の筐体の大きさが大きくなることで、切り換え時間も長くかかることから、高速切り換えが難しい構造となる。特に高速の切り換えが要求され、ネットワークの切り換え頻度の高い用途、例えば、メトロネットワーク、キャンパスネットワークでは、昼夜の生活圏の変化が大きいため切り換えを頻繁にしなければならない。このような場合には従来の3つのブロックにより構成されている切り換え装置では頻繁な保守・点検が必要になる。また、波長数が増加すると3つのブロックが長くなるのに加え、中央ブロック4については、稼動範囲が増大することにより光波長選択型可変ADM装置の筐体が大きくなるという問題もある。
【0011】
また、単に光波長選択型可変ADM装置を用いた光リング型ネットワークを構成したとしても、各ノードの光波長選択型可変ADM装置に対して適切な波長スイッチの切り換えがなければ、トラフィック量の偏在は解消されない。さらに、通信されるパケット数は、時々刻々と変化するものであるから、各ノードの波長の割り当てを固定して使用すると効率が悪くなる。そのため、時々刻々と変化するトラフィック量に対応したトラフィック制御がなされないと、結局、効率的に通信帯域を有効利用しているとはいえない。
さらに、現状のトラフィック制御では、パケットの送出量の制御が行われているが、スター型の場合、必ず、上位システムを経由することになり、この端末と上位ルータの専用線によって情報量が制限されるという問題もある。
【0012】
そこで本発明は、光波長選択型可変ADM装置において、トラフィック量の偏在に応じて自由に波長選択が可能な光波長選択型可変ADM装置を提供することを目的とする。
また、光波長選択型可変ADM装置を用いて、光リング型ネットワークの波長多重光通信システムを構成することにより、光リング型ネットワークに接続されたノード間の通信について上位システムを経由することなく、効率的に制御可能な波長多重光通信システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、上位の通信システムから入力された波長分割多重光信号を複数の波長の光信号に分波する波長分波器と、波長分波器により分波された複数の波長の光信号を合成して波長分割多重光信号を生成して上位の通信システムに出力する波長合波器と、波長分波器により分波された各波長の光信号について、分岐して下位の通信システムに出力し、下位の通信システムから入力された同一波長の光信号を挿入して波長合波器に供給するか、または下位の通信システムに分岐・挿入させることなく通過させて波長合波器に供給するかを切り換える光スイッチを、分波された各波長の光信号毎に個別に備え、上位の通信システムの波長分割多重光信号に含まれる複数の波長の光信号から任意の波長の光信号を組み合わせて下位の通信システムに分岐・挿入させることができるようにしたことを特徴とする、光波長選択型可変ADM装置である。
【0014】
請求項2に記載の発明は、上位の通信システムから入力された波長分割多重光信号を複数の波長の光信号に分波する波長分波器と、波長分波器により分波された複数の波長の光信号を合成して波長分割多重光信号を生成して上位の通信システムに出力する波長合波器と、波長分波器により分波された各波長の光信号について、下位の通信システムから入力された光信号を混合して波長合波器に供給する光結合器と、波長分波器により分波された各波長の光信号について、下位の通信システムに出力するか、光結合器に供給するかを切り換える光スイッチとを、分波された各波長の光信号毎に個別に備え、上位の通信システムの波長分割多重光信号に含まれる複数の波長の光信号から任意の波長の光信号を組み合わせて下位の通信システムに分岐・挿入させることができるようにしたことを特徴とする、光波長選択型可変ADM装置である。
【0015】
請求項3に記載の発明は、上位の通信システムから入力された波長分割多重光信号から、特定の波長の光信号を通過させるための複数の波長選択フィルタと、波長選択フィルタにより選択された各波長の光信号について、下位の通信システムから入力された光信号を混合して波長選択フィルタを介して上位システムに出力する複数の光結合器と、波長選択フィルタを通過した各波長の光信号について、下位の通信システムに出力するか、光結合器に供給するかを切り換える複数の光スイッチとを備え、上位の通信システムの波長分割多重光信号に含まれる複数の波長の光信号から任意の波長の光信号を組み合わせて下位の通信システムに分岐・挿入させることができるようにしたことを特徴とする、光波長選択型可変ADM装置である。
【0016】
請求項4に記載の発明は、光スイッチは、筐体に備えられたスイッチにより制御されることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の光波長選択型可変ADM装置である。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の光波長選択型可変ADM装置を複数の下位の通信システムと接続する各ノードに用いた光リング型ネットワークにおける波長多重光通信システムであって、光リング型ネットワーク内の波長分割多重光信号に含まれる各波長の光信号のトラフィックの偏在に応じて、下位の各通信システムに分岐・挿入する波長を選択する制御手段を備えたことを特徴とする、波長多重光通信システムである。
【0018】
請求項6に記載の発明は、無線回線もしくは公衆回線を介して光波長選択型可変ADM装置の光スイッチを遠隔制御する遠隔制御手段を備えたことを特徴とする、請求項5に記載の波長多重光通信システムである。
【0019】
請求項7に記載の発明は、制御手段は、特定のノード間において共通の波長で通信できるように光波長選択型可変ADM装置の光スイッチを制御する機能を有することを特徴とする、請求項5に記載の波長多重光通信システムである。
【0020】
請求項8に記載の発明は、各ノードには、上位または下位の通信システムとのルーティング処理手段が備えられ、制御手段は、ルーティング処理手段により、各光波長選択型可変ADM装置の光スイッチを制御する機能を有することを特徴とする、請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の波長多重光通信システムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる光波長選択型可変ADM装置によれば、波長多重された光信号のトラフィックを波長単位で独立に制御でき、効率的な通信システムを構成できる。また、光損失、および、波長ごとの損失のばらつきを低減し、かつ、小型化が可能である。
また、本発明にかかる光波長選択型可変ADM装置を用いた波長多重光通信システムでは、光リング型ネットワーク形態を採用していることからスター形態を採用しているシステムとは異なった制御を行う。すなわち、光リング型ネットワークは、情報が循環するような形態であるため、光リング型ネットワーク内の通信ではエッジノードとは関係なしに信号のやり取りができ、さらには、本発明にかかる光波長選択型可変ADM装置において使用する情報量に応じて、割り当てる波長数を変えることにより帯域の調整が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態について図1ないし7に示す。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基本型の光波長選択型可変ADM装置10について入力波長数を4とした例の概略図である。図1に示すようにこの光波長選択型可変ADM装置10は、光スイッチ12、波長合波器14、及び、波長分波器16により構成されている。この光スイッチ12の構成は、2×2である。波長合波器14および波長分波器16は、4つの波長を扱うために、たとえば、4端子となっている。
なお、上述の構成は、入力される波長の数を4とした例であるが、使用される波長数が増減しても同様に構成され、波長合波器14と波長分波器16の端子数、および、光スイッチ12の数を増減させることで対応することができる。また、光信号はIP伝送され、パケットのルーティングは、ルーティング処理手段の機能を有するレイヤ3スイッチが行う。
【0024】
以下に、光波長選択型可変ADM装置10の動作を説明する。下位リングから波長多重された光信号λ11,λ12,λ13,λ14の4波長多重の入力された光信号を想定する。光スイッチ12は、2×2として構成されたものであり、光スイッチ12がONの場合(通過させる場合をON、反射させる場合をOFFとする)、波長分波器により分波された波長の光信号は、レイヤ3スイッチ側に出力される。また、レイヤ3スイッチ側からの光信号のうちλ11と同じ波長の光信号をλ21(レイヤ3スイッチ側からの光信号をλ21、λ22、λ23、λ24とする)とすると光信号λ21は、光スイッチ12を介して波長合波器14に送られる。また、光スイッチ12がOFFの場合、光信号λ11は、レイヤ3スイッチ側には送られず、波長合波器14に出力される。この光信号も出力信号であるためλ21である。すなわち、ここで示したように、下位リングから入力された光信号は、光スイッチ12により、1つの経路として、レイヤ3スイッチに送信され、レイヤ3スイッチでパケットはあて先のIPアドレスに従って転送される。そして、他方の経路として、光スイッチ12を通過せず、波長合波器14に至る。このようにしてレイヤ3スイッチ側と下位リング側で通信が行われる。
【0025】
ここで、光スイッチ12の動作について図2を用いて説明する。光スイッチ12がON状態を図2(a)、OFF状態を図2(b)に示している。図2(a)では端子Aと端子B、端子Cと端子Dがつながれており、入力された光信号は下位リングからレイヤ3スイッチへ、そして、レイヤ3スイッチから下位リングへと送られている。これに対し、図2(b)では、端子Aと端子D、端子Bと端子Cがつながれており、下位リングからの入力された光信号は、レイヤ3スイッチ側に送られることなく下位リングに送られることになる。
【0026】
図1に示した基本構成による光信号の全体的な流れについて述べる。下位リングから入力された光信号は、波長分波器16を介してλ11、λ12、λ13、λ14の各波長に分けられ、各波長に割り当てられた光スイッチ12に至る。ここでレイヤ3スイッチに送る光信号と送らない光信号を外部からのスイッチ信号18により制御する。これにより、波長ごとの分岐、挿入を独立して自由に、ほかの波長の選択に依存せず制御することができる。また、光スイッチ12の制御によりレイヤ3スイッチに送られなかった光信号とレイヤ3スイッチからの光信号が、出力された光信号、λ21、λ22、λ23、λ24として波長合波器14に送られ、波長合波器14で合波され下位リングに送られる。
【0027】
また、第2の実施形態として、図3に示すように図1の2×2の光スイッチ12に代えて、1×2の光スイッチ12と光結合器20とを用いるとした光波長選択型可変ADM装置110によっても同様の動作が得られる。
【0028】
また、ここで示している光スイッチ12は、プリズム式の光スイッチ12に限らずMEMS(微小電気機械システム)方式など方式を限らず光路の選択が可能であればよい。波長分波器16についても、薄膜フィルタ方式や回析格子を用いたAWG(アレイ導波路グレーティング方式など方式に限らず波長を分離する能力があるものであれば良い。
【0029】
さらに、第3の実施形態として、図1と同様の動作を行うことのできる光波長選択型可変ADM装置210の例を図4に示す。ここでは入出力で用いられている分波、合波のための波長分波器16、波長合波器14の代わりに波長選択フィルタ22を用いている。波長選択フィルタ22は、特定の波長しか通過させない性質を持っており、そのほかの波長は反射される。つまり、光信号λ11、λ12、λ13、λ14に対応した波長選択フィルタ22が用いられることにより、それぞれの波長を抽出することができる。また、この波長をレイヤ3スイッチに送るか否かは、この後段にある光スイッチ12を制御するスイッチ信号18により制御される。レイヤ3スイッチに送られた光信号は、あて先アドレスにより転送される。また、レイヤ3スイッチに送られなかった光信号は光結合器20、波長選択フィルタ22を経由して下位リングに送られる。すなわち、光波長選択型可変ADM装置210を用いても、光波長選択型可変ADM装置10、110と同様、波長ごとに分岐、挿入を自由に、制御することができる。
【0030】
次に、上記第1、第2の実施形態における波長切り換えの制御方法についての例を示す。
【0031】
図5は光波長選択型可変ADM装置10,110,210の外部筐体にスイッチを設けることで、光波長選択型可変ADM筐体30を形成した例を示す。光波長選択型可変ADM筐体30に下位リングから波長多重された光信号が入力される下位リング用入力光コネクタ32、光波長選択型可変ADM装置から下位リングに向かう波長多重された光信号の下位リング用出力光コネクタ34とレイヤ3スイッチ側入出力用光コネクタ36と波長切り換えスイッチ38とで構成されている。また、光波長選択型可変ADM筐体30には、光波長選択型可変ADM装置10,110,210を自動制御とするか、もしくは手動制御とするかを選択できるスイッチ(図示せず)が設けられている。また、光波長選択型可変ADM装置10,110,210とレイヤ3スイッチとを接続するためのレイヤ3スイッチ用ポート(図示せず)が、別途設けられている。図5には、図1で示した光波長選択型可変ADM装置10で扱った4つ波長に分波された状態における場合の例を示している。
【0032】
下位リンクから入力された光信号が、下位リング用入力光コネクタ32から入力される。この入力された光信号が、波長切り換えスイッチ38によりレイヤ3スイッチに送られるか、そのまま下位リングに返されるかが選択される。レイヤ3スイッチに送られる光信号は、レイヤ3スイッチ側光入出力コネクタ36の出力ポートから送信され、入力ポートから受信される。レイヤ3スイッチから戻された光信号は、光波長選択型可変ADM装置10の内部を通過し、下位リング用出力光コネクタ34より送信される。
【0033】
図6は、遠隔制御手段であるコンピュータ40による光波長選択型可変ADM装置10,110,210の波長切り換えの例である。コンピュータ40と接続ケーブル42、光波長選択型可変ADM筐体30である。光波長選択型可変ADM筐体30に、下位リング用入力光コネクタ32、下位リング用出力光コネクタ34、レイヤ3スイッチ側入出力コネクタ36が含まれている。ここでは、図5で示した光波長選択型可変ADM筐体30に設けられた波長切り換えスイッチ38の役割をコンピュータ40で行うものである。このコンピュータ40は、光波長選択型可変ADM装置10,110,210に直接接続されたものであっても無線回線もしくは公衆回線等を介して接続されたものでもよい。
ここで、遠隔制御手段としてレイヤ3スイッチに接続されたコンピュータ(図示せず)により該光波長選択型可変ADM装置10,110,210を通過する波長毎のトラフィックを計測し、これにより、光波長選択型可変ADM装置10,110,210に関する波長数の割り当てを行うようにしてもよい。すなわち、たとえば、レイヤ3スイッチに接続されたコンピュータにより計測されたトラフィックの情報を遠隔のコンピュータ40に送信することにより、光波長選択型可変ADM装置10,110,210を遠隔操作するようにしてもよい。
上述の構成では、光波長選択型可変ADM装置10,110,210の入力波長の切り換えは、光波長選択型可変ADM筐体30に備えられたスイッチや外部から遠隔制御手段であるコンピュータ40を通じて制御信号を送信することで制御するとしたが、それらに限られず、本発明にかかる光波長選択型可変ADM装置10,110,210が、レイヤ3スイッチに内蔵され、レイヤ3スイッチの制御信号により光スイッチ12が制御されるようにしてもよい。
【0034】
次に、図7において、本発明における光波長選択型可変ADM装置を用いた波長多重光通信システムの概略図を示す。
波長多重光通信システム50は、上位の通信システムである光リング型ネットワーク52と下位の通信システムとを接続するための複数のノード(一般ルータ、光波長選択型可変ADM装置、光トランシーバ等で構成)54a,54b,54c,54d,54e,54fにより構築される。また、光リング型ネットワーク52には、さらに上位の通信システムと接続するためのエッジノード(メインルータ、光波長選択型可変ADM装置、光トランシーバ等で構成)56が接続されている。ここで、各ノード54a,54b,54c,54d,54e,54fの近傍に記載されているλ11等は、各ノード54a,54b,54c,54d,54e,54fにおいて、使用される光信号波長を示している。
光リング型ネットワーク52に接続された複数のノード54a,54b,54c,54d,54e,54fは、上述した、たとえば、光波長選択型可変ADM装置10を含んで構成される。光波長選択型可変ADM装置10には、上位の通信システムから入力された波長分割多重光信号を複数の波長の光信号を分波する波長分波器16と、波長分波器16により分波された複数の波長の光信号を合成して波長分割多重光信号を生成して上位の通信システムに出力する波長合波器14とを含んでおり、該分波された波長の光信号について、分岐して下位の通信システムに出力し、下位の通信システムから入力された同一の波長の光信号を挿入して波長合波器14に供給するか、または下位の通信システムに分岐・挿入させることなく通過させて波長合波器14に供給するかを切り換える光スイッチ12を含んで構成されている。光スイッチ12を入力波長毎に独立に切り換えることにより、光波長選択型可変ADM装置10を含む各ノードにおける入力波長の状態を調整することが可能となり、光リング型ネットワーク52に接続されている各ノードにおけるデータのトラフィックの量を制御することができる。
【0035】
そうすると、たとえば、光リング型ネットワーク52に複数のノード54a,54b,54c,54d,54e,54fが接続されている場合において、それら複数のノード54a,54b,54c,54d,54e,54fのうち、特定のノード間のみにデータの送受信が偏っているときは、該ノード間に特定の共通とする波長を割り振るように入力波長を切り換えるといった制御を行うことができる。
また、光リング型ネットワーク52内のすべての光波長選択型可変ADM装置10における光スイッチ12等の制御によって共通の波長を1つ以上設定することで、光リング型ネットワーク52内に接続されたすべての光波長選択型可変ADM装置10間における通信が可能となる。
すなわち、上記目的は、光リング型ネットワーク52に接続される複数のノード54a,54b,54c,54d,54e,54fを流れるデータの量を計測することで、行われる。すなわち、特定のノード間、たとえば、ノード54aとノード54bとの間において、特にデータの通信量が増加していることが、計測された場合に、ノード54aとノード54bとの間に共通波長(たとえば、光信号波長λ11等)を割り振るように光波長選択型可変ADM装置10の光スイッチ12を制御することで達成され、結果、光リング型ネットワーク50におけるトラフィックを効率よく使用することが可能となる。
【0036】
また、以上の構成によると、特に、トラフィックの変動量の少ないDWDM方式を採用するバックボーンよりも、時間帯、曜日などによるトラフィックの変動量の多いCWDM方式を主に利用するアクセスネットワークや中継ネットワークにおいて、光リング型ネットワーク52の使用効率を高める効果が得られる。
加えて、光リング型ネットワーク52に接続された複数のノード54a,54b,54c,54d,54e,54fに含まれる光波長選択型可変ADM装置10について、それぞれの下位の通信システムのトラフィックに応じた波長の光波長選択型可変ADM装置10を用いることより、より光リング型ネットワーク52の使用効率を高めることができる。
【0037】
さらに、図8において、本発明における光波長選択型可変ADM装置を用いた他の波長多重光通信システムの概略図を示す。波長多重光通信システム60においても、光波長選択型可変ADM装置10,110,210を制御することによって、光リング型ネットワーク52において使用可能な帯域を調整するトラフィック制御を行う機能を有する。
波長多重光通信システム60は、上位の通信システムである光リング型ネットワーク52と下位の通信システムとを接続するための複数のノード54a,54b,54c,54d,54e,54fにより構築される。また、光リング型ネットワーク52には、さらに、上位の通信システムと接続するためのエッジノード56が接続されている。
ノード54a,54b,54c,54d,54e,54fには、ノード54a,54b,54c,54d,54e,54fに設定された波長ごとのトラフィック量を監視・計測するためのトラフィック監視装置62a,62b,62c,62d,62e,62fが接続されている。また、エッジノード56には、トラフィック監視装置62a,62b,62c,62d,62e,62fにおいて監視・計測された波長ごとのトラフィック量の情報を収集し、それらの情報を表示する機能を有する主トラフィック監視装置64が接続されている。
トラフィック監視装置62a,62b,62c,62d,62e,62fおよび主トラフィック監視装置64には、各々監視・計測された波長ごとのトラフィック量の状況が、たとえば、表示モニタに表示されることで、各ノード54a,54b,54c,54d,54e,54fにおけるトラフィック量の状況が視覚的に把握できるように構成されている。
【0038】
トラフィック監視装置62a,62b,62c,62d,62e,62fおよび主トラフィック監視装置64で監視・計測されるトラフィック量の情報は、たとえば、ネットワーク管理ステーション(NMS)からSNMP(Simple Network Management Protocol)を利用して情報を取得することができる。また、SNMPの拡張機能であるRMON(Remote Monitoring)ではLANの通信状況の蓄積情報が得られる。RMONを用いることにより、その時点のトラフィック量のデータを得るばかりでなく、トラフィック量の蓄積情報、および、解析結果を利用することもできる。そしてこの蓄積情報を解析することによって、光波長選択型可変ADM装置の波長切り換えの予測制御にも役に立てることができる。
【0039】
本発明の光リング型ネットワークによる波長多重光通信システム60では、光リング型ネットワーク52の内側に対して通信する波長と光リング型ネットワーク52の外側に対して通信する波長とを使い分け、情報量に応じて、割り当てる波長数を変えることによって、帯域の調整を行う。光リング型ネットワーク52内で主に用いられる波長領域として、各ノード54a,54b,54c,54d,54e,54f間における通信を可能とするための共通波長が設けられている。共通波長は、すべてのノード54a,54b,54c,54d,54e,54fに接続された光波長選択型可変ADM装置10,110,210に共通して設定されている波長である。他方、エッジノード56に接続された光波長選択型可変ADM装置10,110,210との光通信のために利用される固定波長が設けられている。
【0040】
波長多重光通信システム60におけるトラフィック制御は、ノード54a,54b,54c,54d,54e,54f、もしくはレイヤ3スイッチに接続された光波長選択型可変ADM装置10,110,210の使用波長を光スイッチのオンオフによって選択する。
以下、トラフィック制御として2つの制御方法の例を示す。第1の制御方法は、トラフィック量を計測し、その計測値に基づき光波長選択型可変ADM装置10,110,210の波長切り換え光スイッチのオンオフ、つまり、波長の使用不使用の制御を行うものである。第2の制御方法は、光リング型ネットワーク52内にパケットが入った時点で、パケットのあて先IPアドレスを調べ、そのあて先IPアドレスを持つ装置が光リング型ネットワーク52の内側にあるか光リング型ネットワーク52の外側にあるかを判断し、後に示す条件別のアルゴリズムにより波長切り換え光スイッチの制御を行うものである。
【0041】
図9は、光波長選択型可変ADM装置10,110,210を利用した波長多重光通信システム60における第1の制御方法の処理フローを示す。
この制御方法は、定期的に波長毎のトラフィック量を計測し、トラフィック量が所定量を超えているかどうかの判断を行うものである。すなわち、すべてのノード54a,54b,54c,54d,54e,54fについて波長毎のトラフィック量を計測し、全ノード54a,54b,54c,54d,54e,54fのすべての波長についてのトラフィック量の総計を算出する(S100)。そして、波長毎にトラフィック量が所定量を超えているかどうかを調べる(S102)。すべての波長で所定量を超えていない場合は、波長の使用不使用を決定するオンオフスイッチの切り換えをせず、そのまま終了する(S104)。
【0042】
トラフィック量が所定量を超えている波長が存在する場合は、その波長の最もトラフィック量の多いノード54a,54b,54c,54d,54e,54fを抽出する(S106)。抽出されたノードにおいて当該波長を別の波長に切り換えるための準備として、抽出されたノードの他の固定波長のトラフィック量が所定量を超えているか否かを調べ、所定量を超えていない固定波長が存在する場合は、切り換えるトラフィックをそれまでのトラフィック量に加算して所定量を超えるか否かを調べる(S108)。そして、加算したトラフィック量が所定量を超えていない場合は、その波長のトラフィックをその固定波長に切り換える(S110)。加算したトラフィック量が所定量を超えている場合、および、すべての固定波長でトラフィック量が所定量を超えている場合は、新しい波長を割り当てる(S112)。
波長毎のトラフィック量の総量が所定量を超える波長が存在する場合は、以上の工程を繰り返し、トラフィック量が所定量を超える波長がなくなるようトラフィック制御を行う(S114)。
【0043】
なお、ここでいうトラフィック量の所定量は、共通波長と固定波長とでは使用目的が異なっていることから、必ずしも一致しない。
固定波長は、比較的、定められた帯域の範囲内において使用されるものであり、エッジノードとの情報の送受信を主としており、その波長を利用しているノードが少ない。
他方、共通波長は、光リング型ネットワーク52内での通信を主とすることから、使用するノード数も多く、共通波長しか使えない情報も存在し、所定量は、固定波長より低く設定される。よって、共通波長の所定量の設定値は、その波長を利用しているノード数にも影響される。
【0044】
トラフィック量は、時々刻々変動するが、時間、日や週など周期的なパターンを持った変動をすることが多い。よって、ある周期的なパターンを持ったトラフィック量の変動が存在する場合には、そのようなトラフィック量の変動を予測した帯域制御が有効になる。つまり、トラフィック量の周期性を持った変動に対応する光波長選択型可変ADM装置の波長選択の切り換えを過去の履歴から学習し、その学習結果に基づいて帯域制御を行うことができる。
たとえば、1日での変化を見る場合、データ取得時間、スイッチの状態、トラフィック量をパラメータとし、強化学習、ニューラルネットワークや遺伝的アルゴリズムなどのアルゴリズムを利用することにより、切り換え発生時間と各光波長選択型可変ADM装置の波長スイッチの状態を学習させ、求められた切り換え時間を基にトラフィック制御を行うことができる。また、このアルゴリズムによる予測と同時にその時間におけるトラフィック量の情報を得ることにより、トラフィック量の変動と予測切り換え時間、もしくは、切り換え波長に相違が生じた場合には、これらの情報をフィードバックし、予測切り換えの時間を修正することが可能であり、加えて、予測量からある一定範囲以上の変動を検知した時点でフィードフォーワード制御を行い、波長の切り換えを行うことも可能である。また、このような状況が生じた時、ネットワーク管理者に通報する設定を行うことも可能である。なお、得られるトラフィック量のデータ計測間隔は、任意に設定を行うことが可能である。
【0045】
図10は、光波長選択型可変ADM装置10,110,210を利用した波長多重光通信システム60における第2の制御方法の処理フローを示す。
この制御方法は、ノード54a,54b,54c,54d,54e,54fを通過するパケットのあて先IPアドレスとその時点のトラフィック量に着目し、ノード54a,54b,54c,54d,54e,54fに入ってきたパケットのあて先IPアドレスに基づいて光リング型ネットワーク52における内外いずれに送信されるものかを判別し、固定波長と共通波長の使い分けによりトラフィック制御を行うものである。
まず、ノード54a,54b,54c,54d,54e,54fにおいてパケットを受信し(S200)、あて先IPアドレスを持つ装置が光リングネットワーク52内に接続されたノード54a,54b,54c,54d,54e,54f下に存在するか否かを判定する(S202)。あて先IPアドレスを持つ装置が光リング型ネットワーク52の外側の場合、つまり、エッジノード56を経由してパケットが光リング型ネットワーク52外側に送出される場合は、固定波長を割り当て、あて先IPアドレスを持つ装置が光リング型ネットワーク52内側に接続されたノード54a,54b,54c,54d,54e,54f下である場合は、共通波長を割り当てることを原則とする。
あて先IPアドレスを持つ装置がリングの外側に存在する場合には、使用されている固定波長のトラフィック量が所定量を超えているか否かを調べる(S204)。いずれかの固定波長のトラフィック量が所定量を超えていない場合は、その固定波長を割り当てる(S206)。
いずれの固定波長のトラフィック量も所定量を超えている場合は、共通波長のトラフィック量を所定量と比較する(S208)。いずれかの共通波長のトラフィック量が所定量より小さい場合は、その共通波長を割り当てる(S210)。一方、いずれの共通波長のトラフィック量も所定量よりも大きい場合は、使用されていない波長(すなわち、トラフィック量が0の波長)の有無を判断する(S212)。使用されていない波長がある場合は、新しい波長が割り当てられ(S214)、使用されていない波長がない場合には、共通波長が割り当てられる(S216)。
【0046】
あて先IPアドレスを持つ装置が光リング型ネットワーク52の内側に存在する場合は、パケットが経由するノード54a,54b,54c,54d,54e,54fに接続されている光波長選択型可変ADM装置10,110,210と共通の固定波長を持っているか否かを調べる(S218)。共通の固定波長がない場合は共通波長を割り当てる(S220)。
共通の固定波長がある場合は、使用されている固定波長のトラフィック量が所定量を超えているか否かを調べる(S222)。いずれかの固定波長のトラフィック量が所定量を超えていない場合は、その固定波長を割り当てる(S224)。
いずれの固定波長のトラフィック量も所定量を超えている場合は、共通波長のトラフィック量を所定量と比較する(S226)。いずれかの共通波長のトラフィック量が所定量より小さい場合は、その共通波長が割り当てられる(S228)。一方、いずれの共通波長のトラフィック量も所定量よりも大きい場合は、使用されていない波長(すなわち、トラフィック量が0の波長)の有無の判断がなされる(S230)。使用されていない波長がある場合は、新しい波長が割り当てられ(S232)、使用されていない波長がない場合には、共通波長が割り当てられる(S234)。
【0047】
この場合においてもトラフィック量に対する蓄積情報を基に強化学習やニューラルネットワークなどのアルゴリズムを適用し、その波長の使用不使用を切り換える光スイッチの予測制御を行うシステムを構築できる。さらに、この予測制御とパケットのあて先IPアドレスを利用する方法を併用し、トラフィック量の監視・計測情報が予測値と異なる場合は、予測時間に対するフィードバック制御、および、トラフィック量の計測が予測値との相違が一定範囲を超えた場合には、光波長選択型可変ADM装置の波長切り換えスイッチを切り換えるフィードフォーワード制御を行うことが可能である。また、このような状況が生じた時にネットワーク管理者に通報するようにしてもよい。
また、トラフィック量を意図して手動で制御したい時には、自動モードから手動モードに切り換え手動で波長スイッチの切り換えを可能にしてもよい。
【0048】
また、上記2つの制御方法を目的によって切り換えて使用することができ、さらに、併用して目的に応じてチューニングすることで、より適応性に優れた光リング型ネットワークにおける波長多重光通信システムを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光波長選択型可変ADM装置である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る光スイッチの動作を示す図であり、(a)は、光スイッチがONの状態を示した図であり、(b)は、光スイッチがOFFの状態を示した図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る光波長選択型可変ADM装置である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る光波長選択型可変ADM装置である。
【図5】本発明の波長の選択を筐体外部のスイッチもしくは光多重信号で行う例を示した図である。
【図6】本発明の波長の選択をネットワークもしくはコンピュータで行う例を示した図である。
【図7】本発明に係る光波長選択型可変ADM装置を用いた波長多重光通信システムの概略図である。
【図8】本発明に係る光波長選択型可変ADM装置を用いた他の波長多重光通信システムの概略図である。
【図9】波長多重光通信システムの第1の制御方法の処理手順を示すフロー図である。
【図10】波長多重光通信システムの第2の制御方法の処理手順を示すフロー図である。
【図11】従来のスライディングフェルールによる光波長選択型可変ADM装置の概略図である。
【符号の説明】
【0050】
10 光波長選択型可変ADM装置
12 光スイッチ
14 波長合波器
16 波長分波器
18 スイッチ信号
20 光結合器
22 波長選択フィルタ
30 光波長選択型可変ADM筐体
32 下位リング用入力光コネクタ
34 下位リング用出力光コネクタ
36 レイヤ3スイッチ側光入出力コネクタ
38 波長切り換えスイッチ
40 コンピュータ
42 接続ケーブル
50、60 波長多重光通信システム
52 光リング型ネットワーク
54a、54b、54c、54d、54e、54f ノード
56 エッジノード
62 トラフィック監視装置
64 主トラフィック監視装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位の通信システムから入力された波長分割多重光信号を複数の波長の光信号に分波する波長分波器と、
前記波長分波器により分波された複数の波長の光信号を合成して波長分割多重光信号を生成して上位の通信システムに出力する波長合波器と、
前記波長分波器により分波された各波長の光信号について、分岐して下位の通信システムに出力し、下位の通信システムから入力された同一波長の光信号を挿入して前記波長合波器に供給するか、または下位の通信システムに分岐・挿入させることなく通過させて前記波長合波器に供給するかを切り換える光スイッチを、前記分波された各波長の光信号毎に個別に備え、
上位の通信システムの波長分割多重光信号に含まれる複数の波長の光信号から任意の波長の光信号を組み合わせて下位の通信システムに分岐・挿入させることができるようにしたことを特徴とする、光波長選択型可変ADM装置。
【請求項2】
上位の通信システムから入力された波長分割多重光信号を複数の波長の光信号に分波する波長分波器と、
前記波長分波器により分波された複数の波長の光信号を合成して波長分割多重光信号を生成して上位の通信システムに出力する波長合波器と、
前記波長分波器により分波された各波長の光信号について、下位の通信システムから入力された光信号を混合して前記波長合波器に供給する光結合器と、前記波長分波器により分波された各波長の光信号について、下位の通信システムに出力するか、前記光結合器に供給するかを切り換える光スイッチとを、前記分波された各波長の光信号毎に個別に備え、
上位の通信システムの波長分割多重光信号に含まれる複数の波長の光信号から任意の波長の光信号を組み合わせて下位の通信システムに分岐・挿入させることができるようにしたことを特徴とする、光波長選択型可変ADM装置。
【請求項3】
上位の通信システムから入力された波長分割多重光信号から、特定の波長の光信号を通過させるための複数の波長選択フィルタと、
前記波長選択フィルタにより選択された各波長の光信号について、下位の通信システムから入力された光信号を混合して前記波長選択フィルタを介して上位システムに出力する複数の光結合器と、
前記波長選択フィルタを通過した各波長の光信号について、下位の通信システムに出力するか、前記光結合器に供給するかを切り換える複数の光スイッチとを備え、
上位の通信システムの波長分割多重光信号に含まれる複数の波長の光信号から任意の波長の光信号を組み合わせて下位の通信システムに分岐・挿入させることができるようにしたことを特徴とする、光波長選択型可変ADM装置。
【請求項4】
前記光スイッチは、筐体に備えられたスイッチにより制御されることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の光波長選択型可変ADM装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の光波長選択型可変ADM装置を複数の下位の通信システムと接続する各ノードに用いた光リング型ネットワークにおける波長多重光通信システムであって、
前記光リング型ネットワーク内の波長分割多重光信号に含まれる各波長の光信号のトラフィックの偏在に応じて、下位の各通信システムに分岐・挿入する波長を選択する制御手段を備えたことを特徴とする、波長多重光通信システム。
【請求項6】
無線回線もしくは公衆回線を介して前記光波長選択型可変ADM装置の光スイッチを遠隔制御する遠隔制御手段を備えたことを特徴とする、請求項5に記載の波長多重光通信システム。
【請求項7】
前記制御手段は、特定のノード間において共通の波長で通信できるように前記光波長選択型可変ADM装置の光スイッチを制御する機能を有することを特徴とする、請求項5に記載の波長多重光通信システム。
【請求項8】
前記各ノードには、上位または下位の通信システムとのルーティング処理手段が備えられ、
前記制御手段は、前記ルーティング処理手段により、前記各光波長選択型可変ADM装置の光スイッチを制御する機能を有することを特徴とする、請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の波長多重光通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−228378(P2007−228378A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48557(P2006−48557)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(300054239)株式会社ハネロン (3)
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【Fターム(参考)】