説明

光源装置

【課題】精度の高いランプの位置調整が可能な光源装置を提供する。
【解決手段】放電ランプ10と、ランプ保持調節機構22とを備えた光源装置1において、放電ランプ10の陰極先端を照射する陰極先端照射装置17と、投影レンズ27と、スクリーン28とを備える。陰極先端照射装置17により、放電ランプ10の陰極先端を照射し、スクリーン28に投影される陰極先端の像の位置がスクリーン28上の基準線の位置に合うように、ランプ保持調節機構22により放電ランプ10をX軸、Y軸、及びZ軸方向に移動させて、位置調整を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ランプを備えた光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程において半導体ウェハの表面検査を行う表面検査装置として、ウェハの表面に照明光を照射して当該ウェハの表面に形成された繰り返しパターンからの回折光による像を撮像し、撮像面内における輝度変化からパターンの良否判断を行う表面検査装置が周知となっている。このような表面検査装置においては、従来から水銀ランプ等の放電ランプを用いた照明用の光源装置が使用されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
上述したような放電ランプを備える光源装置では、放電ランプの製造、または取り付け時の精度誤差により所望の光量が得られない問題が発生することがあるため、放電ランプを取り付ける際に所望の光量が得られるように位置調整する必要がある。この位置調整の方法としては、例えば、光源装置から射出される光の照度を測定しながら放電ランプの輝点移動を照度変化としてとらえ照度がピークになるように放電ランプの位置を移動させる方法や、放電ランプの輝点を予め基準線が刻まれたスクリーンに投影させて当該輝点が基準線に一致する位置に放電ランプの位置を移動させる方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−213129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような光源装置から射出された光の照度変化を利用する調整方法では、光源装置内に設けられる楕円鏡の収差等の影響によりランプ移動に対する照度変化のピークが鈍化することがあるため精度の高い位置調整ができないという課題がある。また、放電ランプの輝点をスクリーンに投影する方法については、放電ランプの輝点が球形でなく釣鐘形状であるため、スクリーン上の輝点の像が歪み、輝点の像をスクリーンの基準線に合わせることが困難であり、上記同様精度の高い位置調整ができないという課題がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、精度の高いランプの位置調整が可能な光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するため、本発明に係る光源装置は、互いに離間して対向する陽極部及び陰極部を備えて放電作用により発光する発光部を有して構成される放電ランプと、前記放電ランプの前記陽極部と対向する、前記陰極部の先端部の像を観察可能に結像させる観察光学部と、前記観察される像に基づいて、前記陰極部の位置と傾きの少なくとも一方を調整可能な調整機構とを備える。
【0008】
また、上記光源装置において、前記調整機構は、前記放電ランプを移動させて前記陰極部が所望の状態となるように調整可能であることが好ましく、さらに、前記発光部を前記放電作用により発光させるための電力を供給する電力供給部と、前記電力供給部により前記発光部に供給される電力を、定格電力よりも低く再発光可能な程度の電力にする制御部とを備え、前記観察光学部は、前記制御部により前記再発光可能な程度の電力が供給された状態で前記先端部の像を結像させることが好ましい。
【0009】
そして、上記光源装置において、前記観察光学部は、前記所望の状態の放電ランプから見て前記陽極部及び前記陰極部が並ぶ第1方向に対して直角な第2方向側、及び前記所望の位置に位置する放電ランプから見て前記第1方向及び前記第2方向に対して直角な第3方向側に、少なくとも1つずつ設けられることが好ましい。
【0010】
なお、上記光源装置において、前記放電ランプから発光した光を反射させる楕円鏡を備え、前記調整機構が前記放電ランプの位置調整を行い前記放電ランプが前記所望の位置に位置したとき、前記放電ランプの前記陰極部の前記先端部が前記楕円鏡の焦点面に位置するように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る光源装置によれば、ランプの正確な位置調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る光源装置及び調光ユニットを示す図である。
【図2】上記光源装置における放電ランプの陽極及び陰極を示す図である。(a)は陰極先端の像をスクリーンに投影させる概念図、(b)は上記陽極及び陰極付近を拡大させた図である。
【図3】上記スクリーンの十字線に陰極先端の像を合わせる状態を示す図である。(a)は陰極先端のピントを合わせた後の図、(b)は像を十字線の基準位置に移動させる図、(c)は放電ランプに関して上記スクリーンの直交方向に設けられる別のスクリーンにおいて像を基準位置に移動させる図を示している。
【図4】上記光源装置に上記スクリーンが2個設けられた状態において、楕円鏡及び放電ランプをZ軸正方向から見た図である。
【図5】上記光源装置における放電ランプの通常点灯時、及び位置調整モードにおける電力と時間との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明に係る光源装置の実施形態について説明する。光源装置1は、放電ランプ10を備え、例えば半導体ウェハの表面検査を行う表面検査装置における照明用の光源として使用される。光源装置1は、図1に示すように、放電ランプ10と、ランプハウス20とを備えて構成される。以下の説明では、ランプハウス20に対して後述する調光ユニット30が存在する方向(図1の紙面の右方向)をX軸正方向、放電ランプ10に対して後述する楕円鏡23が存在する方向(図1の紙面の上方向)をZ軸正方向、X軸及びZ軸に対して垂直で且つ図1の紙面の奥行方向をY軸正方向として説明する。ただし、これらの方向はあくまで説明の都合上での定義であり、これが各部材の取付方向、使用方向を規定するものではない。
【0014】
放電ランプ10は、水銀キセノンランプ(もしくは、水銀ランプ)であり、バルブ部11a及び当該バルブ部11aを挟むように形成された略対称で円筒状の一対の棒状部11b,11cからなるガラス管11と、各棒状部11b,11cの端部にそれぞれ連結された一対の陽極側の口金部12及び陰極側の口金部13とを備えて構成される。ガラス管11の内部には水銀及びキセノンガス(水銀ランプの場合は水銀のみ)が封入されており、バルブ部11aの内部には発光部を形成するための陽極14及び陰極15が互いに2〜3mm程度の間隔を空けて対向して配設される(図2参照)。また、陰極側の口金部13には電力供給部材16が連結され、電力供給部材16から陰極側の口金部13を介してガラス管11のバルブ部11aに電力が供給される。バルブ部11aは、電力が供給されると陽極14と陰極15との間の放電作用により発光する。
【0015】
ランプハウス20は、放電ランプ10が収容される収容部材21と、ランプハウス本体を略水平に支持するランプハウス支持部材(不図示)とを有して構成される。収容部材21には、冷却風導入孔(不図示)が設けられ、放電ランプ10には、外部から冷却風導入孔を通じて冷却風(ドライ窒素や高純度窒素または高純度の不活性ガスが好ましい)が導入される。
【0016】
収容部材21の内部には、放電ランプ10のほか、ランプ保持調節機構22と、楕円鏡23と、平面鏡24とが設けられる。ランプ保持調節機構22は、楕円鏡23のZ軸正方向側に配設され、放電ランプ10の輝点である陰極15の陰極先端15s(図2参照)が楕円鏡23のZ軸負方向側(反射面側)に位置するように放電ランプ10を保持する。陰極15は、図2に示すように、Z軸負方向に半径が広がる円柱形に構成され、また、ランプ保持調節機構22は、楕円鏡23の第1焦点位置と放電ランプ10の陰極先端15sの位置が一致するように放電ランプ10の位置をX軸、Y軸、及びZ軸方向及びX軸に直交するX回転軸とY軸と直交する方向のY回転軸を中心に回転移動させて調整させる。
【0017】
楕円鏡23は、放電ランプ10のZ軸正方向側、平面鏡24は、放電ランプ10のZ軸負方向側に、それぞれ設けられる。楕円鏡23は、その内側に反射面を有し外側には誘電体の可視光透過膜が設けられ、放電ランプ10から発生した光を反射面において反射させるとともに、可視光を外側から内部に入射させることができるようになっている。放電ランプ10から発生した光は、楕円鏡23によりZ軸負方向側へ反射され集光されるとともに平面鏡24によりX軸正方向に折り曲げられて、収容部材21にX軸方向に開口して形成される射出孔25を通過して、調光ユニット30(後に詳述)に入射される。
【0018】
ところで、光源装置1において、上述したランプ保持調節機構22の放電ランプ10の取付位置から陰極先端15sまでの距離は、加工または組み立て時の精度誤差により、例えば0.1mm単位で放電ランプ10ごとにばらつくことがある。このばらつきにより、放電ランプ10を定格電力(発光特性や寿命が保障されている電力)で点灯させても後述する調光ユニット30とのマッチングを効率良く行うことができずに所望の光量が得られない等の問題が生じることがある。このような問題の発生を抑止するため、放電ランプ10のX軸、Y軸、及びZ軸方向の基準位置を規定して、放電ランプ10の取付交換時または所定時間(例えば1000時間)毎に、放電ランプ10が上記基準位置に位置するように位置調整を行う必要がある。
【0019】
そこで、本実施形態の光源装置1においては、収容部材21にX軸負方向側に開口する射出孔26が、楕円鏡23にX軸負方向側に開口する開口部23aがそれぞれ形成され、また、結像レンズ27が開口部23a及び射出孔26の間に、スクリーン28が射出孔26のX軸負方向側にそれぞれ設けられ、これらにより上記位置調整を行うことができる。なお、開口部23aのサイズは非常に小さく光源装置1からの光の射出に影響が出ない程度の大きさである。結像レンズ27は、その焦点位置が楕円鏡23の第1焦点位置と一致する位置に設けられ、結像レンズ27及びスクリーン28は、保持部材(不図示)により収容部材21に保持される。
【0020】
また、スクリーン28には、図3に示すように、放電ランプ10の位置調整の基準となる十字線28aが設けられるが、その十字線28aを校正する線の長さはそれぞれ陰極先端15sの像15iの長さと同一であり、スクリーン28に投影された陰極先端15sの像15iを光が照射される方向の反対側(裏側)から観察できるようになっている。ところで、上述したように光源装置1内における放電ランプ10の基準位置は予め規定され、当該基準位置に位置した放電ランプ10の陰極先端15sの像15iが十字線28aと一致するときに、陰極先端15sが楕円鏡23の第1焦点位置に一致するように、スクリーン28及びその十字線28aの位置は設定されている。
【0021】
また、楕円鏡23の外部には、楕円鏡23の第1焦点位置に位置する陰極先端15sを照射する陰極先端照射装置17が設けられる。陰極先端照射装置17としては、例えば可視光を射出するLED光源を用いることができる。陰極先端照射装置17から射出された光は、楕円鏡23の可視光透過膜を透過して陰極先端15sに照射され、開口部23a及び結像レンズ27を通過し、結像レンズ27により、陰極先端15sの像15iがスクリーン28に投影される。
【0022】
以上のような構成を用いて放電ランプ10の位置調整を行う方法について簡潔に説明する。まず、陰極先端照射装置17から光を射出させた状態で、放電ランプ10をランプ保持調節機構22によりX軸方向に移動させて、図3(a)に示すように、像15iがスクリーン28上に明確に投影されるようにピント合わせを行い、ピントが合う位置で放電ランプ10を固定させる。そして、放電ランプ10をランプ保持調節機構22によりY軸及びZ軸方向及びX回転軸・Y回転軸周りに移動させて、図3(b)に示すように像15iを十字線28a上に一致させ、陰極先端15sの一端部15a及び他端部15b(図2参照)の像が十字線28aの両端に合う位置に放電ランプ10を固定させる。このように放電ランプ10を固定させることにより、陰極先端15sの位置を楕円鏡23の第1焦点位置に一致させることができる。
【0023】
以上のように、陰極先端照射装置17により、陰極先端15sの像15iをスクリーン28上に投影させてその位置を十字線28aに合わせることにより、放電ランプ10の位置調整を容易に且つ精度良く行うことができる。なお、上述した十字線28aに像15iの位置を合わせる作業は、目視で行うこともできるがCCDカメラ等を設けて陰極先端15sの像を撮像しながら位置調整をするようにしてもよい。また、ピントのずれ方向を表示させるフォーカスエイド機能を搭載したカメラを用いた場合、上述した陰極先端15sのピントが合っているか否かを視覚的に判断しながら位置調整をすることも可能となる。
【0024】
以上のように構成される光源装置1の第1変形例について以下で説明する。上記では、図1に示すように、楕円鏡23の開口部23a、結像レンズ27、射出孔26、及びスクリーン28が、陰極先端15sから見てX軸負方向側に設けられる例について説明したが、第1変形例では、上記同様の楕円鏡23の開口部、結像レンズ、射出孔、及びスクリーン29が、陰極先端15sから見てY軸正方向側に設けられている。なお、第1変形例の上記構成要素のうちスクリーン29のみを図4に図示している。
【0025】
第1変形例の場合、放電ランプ10をランプ保持調節機構22によりX軸、Y軸、及びZ軸方向に移動させながら、スクリーン28によりY軸方向及びZ軸方向の位置調整を、スクリーン29によりX軸方向及びZ軸方向の位置調整を行うことが可能になる(図3(b)及び(c)参照)。従って、第1変形例を用いた場合は上述したピント合わせをする作業が不要となり、陰極先端15sの像15iの端部をスクリーン28及びスクリーン29の基準線である十字線29aの端部に合わせるだけで放電ランプ10のX軸、Y軸、及びZ軸方向の位置調整を行うことができる。なお、上記では、楕円鏡23の開口部、結像レンズ、射出孔、及びスクリーン29が、陰極先端15sから見てY軸正方向側に設けられる例について説明したが、楕円鏡23の開口部、結像レンズ、射出孔、及びスクリーン29が、陰極先端15sから見てY軸負方向側に設けられる場合でも同様の効果を得ることができる。
【0026】
また、以下で光源装置1の第2変形例について説明する。上記では、楕円鏡23の外部に陰極先端照射装置17が設けられ、この陰極先端照射装置17から射出された光を用いて陰極先端15sの像15iをスクリーン28に投影させる例について説明したが、第2変形例では、この陰極先端照射装置17を省略して、陰極先端15s自身の光を用いて像15iをスクリーン28上に投影させる。この第2変形例における放電ランプ10の位置調整方法について以下で説明する。
【0027】
まず、放電ランプ10は、通常点灯時は陰極先端15sが数千度に熱せられ赤外光・可視光・紫外線が放出されており、陽極14及び陰極15近傍では水銀による高輝度の発光がなされている。このため、通常点灯時は陰極先端15sのみをスクリーン28に投影させることはできない。しかし、通常点灯状態から放電ランプ10へ供給される電力を遮断すると、陽極14及び陰極15近傍における高輝度の発光はなくなり、陰極先端15sのみが熱により赤く光った状態となる。第2変形例では、電力調整部18を用いて、電力供給部材16から放電ランプ10へ供給される電力を遮断または低下させて発光する陰極先端15sにより、陰極先端15sの像15iをスクリーン28上に投影させ、この像15iをスクリーン28上の十字線28aに合わせて放電ランプ10の位置調整を行う。
【0028】
また、上記のように、電力調整部18により放電ランプ10へ供給させる電力を水銀の発光が起こる程度の低い値にさせた場合でも、陰極先端15sの熱による光を際立たせることは可能であり、陰極先端15sの像15iをスクリーン28上に投影させ放電ランプ10の位置調整を行うことができる。そこで、上述した水銀の発光が起こる程度の電力を例えばX(W)として予め規定し、電力調整部18に電力の大きさをX(W)にさせる操作を行う電力切替操作部19を設けることにより、陰極先端15sを発光させて放電ランプ10の位置調整を行うことができる。こうして、電力切替操作部19を用いて電力調整部18による電力を切り替え操作可能とすることにより、効率的に放電ランプ10の位置調整を行うことができる。
【0029】
第2変形例における電力調整部18及び電力切替操作部19を用いた放電ランプ10の位置調整方法の例について以下で簡潔に説明する。まず、例えば図5に示すように、通常点灯時の電力(定格電力)が500(W)の場合において、放電ランプ10の位置調整を行うために電力切替操作部19を切り替え操作すると、電力はX(W)にまで低下する。すると、陰極先端15sの像15iがスクリーン28上に投影され、この像15iの位置がスクリーン28の十字線28aの位置に合うように放電ランプ10の位置調整を行う。そして、位置調整完了後再度電力切替操作部19を切り替え操作すると、電力が500(W)となり放電ランプ10は再点灯する。なお、放電ランプ10の位置調整時間(図5におけるt2−t1)はおよそ2、3分程度であるため、位置調整時間が経過しても放電ランプ10のバルブ部11a内部の高温状態は保たれているため、電力を通常状態に戻しても点灯状態にすることができる。なお、放電ランプ電力低下と同期させて、冷却風量を少なく若しくは冷却風の送風を停止することにより温度低下は更に抑制され、位置調整に費やせる時間を伸ばすことができる。
【0030】
以上、第2変形例では、電力調整部18及び電力切替操作部19を用いて放電ランプ10へ供給させる電力を通常点灯時と比較して低くさせることにより、放電ランプ10の輝点そのものを用いて陰極先端15sの像15iをスクリーン28に投影させることが可能となる。従って、陰極先端照射装置17を省略しつつ効率的に放電ランプ10の位置調整を行うことができる。以上、光源装置1の第1変形例及び第2変形例について説明したが、第1変形例及び第2変形例は、単独で採用することもでき、また共に採用することもできる。
【0031】
以上のように構成された光源装置1を調光ユニット30に接続させる例について以下で説明する。調光ユニット30は、ランプハウス20から射出された光の波長選択及び強度調整を行う。調光ユニット30は、入射孔31及び射出孔32が形成される収容部材33を備えるとともに、収容部材33の内部に、第1〜第3コリメートレンズ34,35,36と、第1及び第2ダイクロイックミラー37,38と、第1〜第3集光レンズ39,40,41と、第1及び第2平面鏡42,43と、第1及び第2波長選択フィルタ44,45と、NDフィルタ46と、ロットレンズ47とが設けられて構成される。
【0032】
上記のようにランプハウス20から射出された光は、入射孔31を介して調光ユニット30に入射されるが、この入射光は、第1コリメートレンズ34により平行光に変換されて第1ダイクロイックミラー37に入射される。第1ダイクロイックミラー37に入射された光のうち紫外光成分は反射されて第1集光レンズ39に導かれ、可視光成分は透過されて第2集光レンズ40に導かれる。第1集光レンズ39により集光された紫外光は第1平面鏡42により反射され第1波長選択フィルタ44により所定の波長成分の紫外光のみが透過され、当該透過された紫外光が第2コリメートレンズ35により平行光に変換されて射出される。また、第2集光レンズ40により集光された可視光は第2平面鏡43により反射され第2波長選択フィルタ45により所定の波長成分の可視光のみが透過され、当該透過された可視光が第3コリメートレンズ36により平行光に変換されて射出される。
【0033】
第2コリメートレンズ35から射出された紫外光は第2ダイクロイックミラー38により反射され、第3コリメートレンズ36から射出された可視光は第2ダイクロイックミラー38を透過して、共にNDフィルタ46に入射される。NDフィルタ46は、入射された紫外光及び可視光の強度を調節して第3集光レンズ41に射出する。第3集光レンズ41に射出された光は集光され、ロットレンズ47に導かれる。ロットレンズ47は、内部にガラスロット(不図示)を有し、入射された光をガラスロットで繰り返し全反射させて射出させることにより、第3集光レンズ41から入射した光を均一な照度で射出し、ロットレンズ47から射出された光は、射出孔32から調光ユニット30の外部に射出される。
【0034】
以上、本実施形態の光源装置1においては、収容部材21にX軸負方向側に開口する射出孔26が、楕円鏡23にX軸負方向側に開口する開口部23aがそれぞれ形成され、また、結像レンズ27が開口部23a及び射出孔26の間に、スクリーン28が射出孔26のX軸負方向側にそれぞれ設けられる。従って、陰極先端15sの像15iをスクリーン28の十字線28aに合わせることにより放電ランプ10を適切な位置に位置調整することができる。なお、スクリーン28には、十字線28aでなくても、何らかの基準指標があれば、上記同様の効果が得られる。
【0035】
本実施形態における光源装置1は、調光ユニット30を接続してランプハウス20から射出された光の波長及び強度等を調整して射出することが可能となっている。この調光ユニット30の射出孔32は例えばランダムファイバに接続され、ランダムファイバを介して射出された光が、表面検査装置の照明光として利用される。ここで、上述した調光ユニット30の構成は上記に限定されず、また、調光ユニットが存在しない場合においても本発明の目的は達成し得る。
【0036】
また、本実施形態において、放電ランプ10として水銀キセノンランプ(もしくは、水銀ランプ)を用いた例について説明したが、これに限られず、例えば、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ナトリウムランプ等を用いてもよい。
【0037】
また、本実施形態における光源装置1においては、楕円鏡23を用いた例について説明したが、これに限られるものではなく、楕円鏡23に代えて、放物面鏡や、球面鏡等の凹面鏡を使用するようにしてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、陰極先端15sの像15iをスクリーン28の十字線28aに合わせることにより、放電ランプ10の陰極先端15sを楕円鏡23の第1焦点位置に一致させる例について説明したが、この例に限られるものではない。すなわち、光源装置1内における放電ランプ10の適正位置を予め確定し、当該適正位置に位置する放電ランプ10の陰極先端15sの像が十字線28aに合う位置にスクリーン28を配置しておけば、その後の放電ランプ10の交換時等においても、上述した方法で適正に且つ効率良く、放電ランプ10を適正位置に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 光源装置 10 放電ランプ
11a バルブ部(発光部) 14 陽極(陽極部)
15 陰極(陰極部) 15s 陰極先端(先端部)
16 電力供給部材(電力供給部)
18 電力調整部(先端部発光手段)
19 電力切替操作部(先端発光操作部)
22 ランプ保持調節機構(ランプ位置調整機構)
23 楕円鏡 27 結像レンズ(観察光学部)
28,29 スクリーン(観察光学部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間して対向する陽極部及び陰極部を備えて放電作用により発光する発光部を有して構成される放電ランプと、
前記放電ランプの前記陽極部と対向する、前記陰極部の先端部の像を観察可能に結像させる観察光学部と、
前記観察される像に基づいて、前記陰極部の位置と傾きの少なくとも一方を調整可能な調整機構とを備えることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記調整機構は、前記放電ランプを移動させて前記陰極部が所望の状態となるように調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記発光部を前記放電作用により発光させるための電力を供給する電力供給部と、
前記電力供給部により前記発光部に供給される電力を、定格電力よりも低く再発光可能な程度の電力にする制御部とを備え、
前記観察光学部は、前記制御部により前記再発光可能な程度の電力が供給された状態で前記先端部の像を結像させることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
前記観察光学部は、前記所望の状態の放電ランプから見て前記陽極部及び前記陰極部が並ぶ第1方向に対して直角な第2方向側、及び前記所望の位置に位置する放電ランプから見て前記第1方向及び前記第2方向に対して直角な第3方向側に、少なくとも1つずつ設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光源装置。
【請求項5】
前記放電ランプから発光した光を反射させる楕円鏡を備え、
前記調整機構が前記放電ランプの位置調整を行い前記放電ランプが前記所望の位置に位置したとき、前記放電ランプの前記陰極部の前記先端部が前記楕円鏡の焦点面に位置するように構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−109097(P2012−109097A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256486(P2010−256486)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】