説明

光発生装置及び撮影装置

【課題】熱の発生を適切に制御可能な光発光装置及びそれを備えた撮影装置を提供する。
【解決手段】本発明の光発生装置(300)は、撮影光学系(270)を合焦させるための光を発生させる光発生部(320)と、前記光発生部(320)から発生する光を透過させる光透過部材(330)と、前記光透過部材(330)に取り付けられ前記光透過部材(330)の温度を検出する温度センサ(340)と、前記温度センサ(340)で検出される温度に基づいて、前記光発生部(320)から発生する光を制御する制御部(160)とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光発生装置及びそれを備えた撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ等の撮影装置においては、被写体輝度が低い場合に光被写体に補助光を照射し、その反射光を撮像部で撮像することによってAF(オートフォーカス)の精度を上げるAF補助光発生装置を備えるものがある。AF補助光発生装置は、このようにAFの精度を上げるものであるが、補助光の照射を繰り返すと、補助光発生部(高輝度LEDなど)が発熱するとともに、補助光が通過する透明のカバー部分等も高温になる。
【0003】
カバー部分が高温になると、撮影者は、このカバー部分に触れた場合に不快に感じる可能性がある。このため、従来、補助光発生部の温度を検出し、所定温度以上になった場合に発光量を制御する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2003−5023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、熱の発生を適切に制御可能な光発光装置及びそれを備えた撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、撮影光学系(270)を合焦させるための光を発生させる光発生部(320)と、前記光発生部(320)から発生する光を透過させる光透過部材(330)と、前記光透過部材(330)に取り付けられ前記光透過部材(330)の温度を検出する温度センサ(340)と、前記温度センサ(340)で検出される温度に基づいて、前記光発生部(320)から発生する光を制御する制御部(160)とを有することを特徴とする光発生装置(300)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載された光発生装置(300)であって、前記制御部(160)は、前記温度センサ(340)で検出される温度に基づいて、前記光発生部(320)から発生する光が少なくなるように制御を行うことを特徴とする光発生装置(300)である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載された光発生装置(300)であって、前記制御部(160)が前記光発生部(320)から発生する光が少なくなるように制御を行う前に警告をする警告部(370)を有することを特徴とする光発生装置(300)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までの何れか1項に記載された光発生装置(300)であって、前記光発生部(320)と前記光透過部材(330)との間に備えられ、前記光透過部材(330)の少なくとも一部に前記光発生部(320)から発生する光を入射させない第1部材(312)を有し、前記温度センサ(340)は、前記光透過部材(330)の前記光発生部(320)から発生する光が入射しない部分に備えられていることを特徴とする光発生装置(300)である。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4までの何れか1項に記載された光発生装置(300)を有することを特徴とする撮影装置(100)である。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載された撮影装置(100)であって、前記撮影光学系(270)を通過する光を絞る絞り部を有し、前記制御部(160)は、前記温度センサ(340)で検出される温度が高くなったとき、前記絞り部を絞るように制御を行うことを特徴とする撮影装置(100)である。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載された撮影装置(100)であって、前記光発生部(320)から発生する光を用いて前記撮影光学系(270)が合焦するように制御を行う合焦制御部(160)を有し、前記制御部(160)は、前記温度センサ(340)で検出される温度に基づいて、前記合焦制御部(160)の制御を変更させることを特徴とする撮影装置(100)である。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載された撮影装置(100)であって、前記合焦制御部(160)は、前記光発生部(320)から発生する光を用いて前記撮影光学系(270)が合焦するように制御する第1制御と、前記第1制御よりも少ない量の前記光発生部(320)から発生する光を用いて前記撮影光学系(270)が合焦するように制御する第2制御とに切り替えが可能であり、前記温度センサ(340)で検出される温度が高くなったとき、前記第2制御に切り替わることを特徴とする撮影装置(100)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、補助光発光による熱の発生を適切に制御可能な光発光装置及びそれを備えた撮影装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に示す各図には、説明と理解を容易にするために、XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸L1を水平として横長の画像を撮影する場合のカメラの位置(以下、正位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とする。また、正位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。さらに、正位置において被写体に向かう方向をZプラス方向とする。
【0008】
図1は第1実施形態に係る一眼レフデジタルカメラシステム1を示すブロック図である。本実施形態の一眼レフデジタルカメラシステム1(以下、単にカメラシステム1という)は、カメラ100とレンズ鏡筒200とを備え、カメラ100とレンズ鏡筒200とはマウント部400により着脱可能に結合されている。
【0009】
レンズ鏡筒200は、フォーカスレンズ211やズームレンズ212を含むレンズ群210及び絞り装置220などからなる撮影光学系270、並びに、これらの駆動制御のためのエンコーダ260、レンズ駆動モータ230、絞り駆動部240及びレンズ制御部250を備える。フォーカスレンズ211は、その光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ260によってその位置が検出されつつレンズ駆動モータ230によってその位置が調節される。絞り装置220は、上記撮影光学系を通過して撮像素子110に至る光束の光量を制限するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。
【0010】
カメラ100は、図1に示すように、被写体からの光束を撮像素子110、シャッタ111、ファインダ135、測光センサ137、焦点検出部190へ導くためのクイックリターンミラー120、AF補助光発生装置300、及びこれらを全体的に制御するカメラ制御部160を備える。
【0011】
図1には、クイックリターンミラー120が被写体の観察位置にある状態を実線で示し、被写体の撮影位置にある状態を二点鎖線で示す。クイックリターンミラー120は、被写体の観察位置にある状態では光軸L1の光路上に挿入され、被写体の撮影位置にある状態では光軸L1の光路から退避するように回転する。
【0012】
クイックリターンミラー120が被写体の観察位置にある状態において、被写体からの光束(光軸L1)の一部の光束(光軸L2,L3)は、当該クイックリターンミラー120で反射してファインダ135及び測光センサ137へ導かれる。一方、撮影者がレリーズボタンを押すとクイックリターンミラー120が撮影位置に回転し、被写体からの光束(光軸L1)は撮像素子110へ導かれ、撮影した画像データは図示しないメモリに保存される。
【0013】
また、クイックリターンミラー120は、クイックリターンミラー120の回転に合わせて回転するサブミラー122を備え、サブミラー122により、被写体からの光束(光軸L1)の一部が焦点検出部190に導かれる。
【0014】
焦点検出部190は、被写体観察時に、サブミラー122から導かれた被写体からの光束の一部に基づいて、撮影光学系270の焦点調節状態を検出する。焦点検出部19は、サブミラー122から導かれた被写体光をマスク(図示せず)により2つに分けた後、2つのラインセンサ(図示せず)上に再結像させ、ラインセンサ上の像の相対的なずれ量(位相差)を算出することにより、撮影光学系270の焦点調節状態を検出する。検出された焦点調節状態に関する情報は、カメラ制御部160に伝達され、レンズ制御部250に伝達される。レンズ制御部250はその焦点調節状態をもとに、レンズ駆動モータ230によりレンズ群210を駆動する。
【0015】
撮像素子110は、カメラ100の、被写体からの光束の光軸L1上であって、撮影光学系270の予定焦点面となる位置に固定されている。撮像素子110は、複数の光電変換素子が二次元に配列されたものであって、二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサ又はCIDなどで構成することができる。撮像素子110は、露光感度調整部170により、その露光感度を変更できるようになっている。この撮像素子110で光電変換された電気画像信号は、カメラ制御部160で画像処理されたのち図示しないメモリに保存される。なお、撮影画像を格納するメモリは内蔵型メモリやカード型メモリなどで構成することができる。
【0016】
シャッタ111は、撮像素子110の手前に配置され、これにより、被写体からの光束(光軸L1)を制限するものである。シャッタ111は、シャッタスピード調整部180により、その開閉時間が制御される。
【0017】
一方、クイックリターンミラー120で反射された被写体光は、撮像素子110と光学的に等価な面に配置された焦点板131に結像し、ペンタプリズム133と接眼レンズ134とを介して撮影者の眼球に導かれる。このとき、透過型液晶表示器132は、焦点板131上の被写体像に焦点検出エリアマークを重畳して表示するとともに、被写体像外のエリアにシャッタスピード、絞り値、撮影枚数などの撮影に関する情報に加え、撮影可能枚数などを表示する。これにより、レリーズしない状態において、ファインダ135を通して被写体及びその背景ならびに撮影関連情報などを観察することができる。
【0018】
また、接眼レンズ134の近傍には、測光用レンズ136と測光センサ137が設けられ、焦点板131に結像した被写体光の一部を受光する。測光センサ137は、二次元カラーCCDイメージセンサなどで構成され、撮影の際の露出値を演算するため、撮影画面を複数の領域に分割して領域ごとの輝度に応じた測光信号を出力する。測光センサ137で検出された測光信号はカメラ制御部160へ出力され、露出制御に用いられる。
【0019】
操作部150には、シャッタレリーズボタンや撮影者がカメラシステム1の各種動作モードを設定するための入力部が含まれる。操作部150により設定された各種モードはカメラ制御部160へ送信され、当該カメラ制御部160によりカメラシステム1全体の動作が制御される。なお、各種モードについては後に詳述する。
【0020】
AF補助光発生装置300は、被写体輝度が低い場合に、被写体に補助光を照射することによってAF(オートフォーカス)の精度を上げための装置である。図2は、カメラ100におけるAF補助光発生装置300の部分の断面図であり、図3はAF補助光発生装置300の正面図である。図示するように、AF補助光発生装置300は、カメラ100のカメラボディ101に設けられた円形の開口部311内に配置されたAF補助光発生部320と、開口部311を覆う円形の光透過部材330とを備える。
【0021】
AF補助光発生部320は、LED(発光ダイオード)321と反射傘322とを有し、カメラ制御部160から発光信号を受信して、被写体への発光を行う。反射傘322は、LED321の発光を被写体に向けて反射するようにLED321を覆うように配置されている。
【0022】
光透過部材330は、AF補助光発生部320による発光を被写体へ射出可能とするために設けられる例えば透光レンズである。光透過部材330は、カメラ100の開口部311に設けられた段部311aにはめ込まれて保持されている。
【0023】
光透過部材330の外縁部分には、温度センサ340が配置され、光透過部材330の外縁部分の温度を測定できるようになっている。温度センサ340は例えばサーミスタなどで構成することができる。この温度センサ340は、カメラ制御部160と電気的に接続されており、温度センサ340により測定した温度の情報はカメラ制御部160に送信される。
【0024】
カメラ制御部160は、カメラ制御部160はマイクロプロセッサとメモリなどの周辺部品から構成されている。カメラ制御部160は、マウント部400に設けられた電気信号接点部(図示省略)によりレンズ制御部250と電気的に接続され、このレンズ制御部250からレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部250へ絞り開口径などの情報を送信する。また、カメラ制御部160は、上述したように撮像素子110から画像情報を読み出すとともに、必要に応じて所定の情報処理を施し、図示しないメモリに出力し、撮影画像情報の補正やレンズ鏡筒200の焦点調節状態、絞り調節状態などの検出も行う。
【0025】
さらに、カメラ制御部160は、AF補助光発生装置300への発光信号の送信や、温度センサ340による温度の情報の受信を行う。そして、カメラ制御部160は、温度センサ340により測定された温度に基づき、操作部150で設定されたAF補助光発生装置300の制御モードに応じたAF補助光発生部320の発光制御を行う。
【0026】
ここで、操作部150で設定されるAF補助光発生装置300の制御モードは、以下のようなモードである。
(1)「所定温度T1以上となった場合に強制的に発光禁止とするモード」、これは、光透過部材330が熱くなることを防ぎたい場合に選択される。
(2)「所定温度T2以上となった場合に発光量制限を実施するモード」、これは、光透過部材330が熱くなりすぎない程度なら多少の発光を継続したい場合に選択される。
(3)「所定温度T3以上となった場合にAFの方式を変更するモード」、これは、より発光量の少ないAF方式に変更する場合に選択される。
(4)「発光制御を全く実施しないモード」、これは、合焦これらが熱くなりすぎてもよいから無制限に発光させたい場合に選択される。
【0027】
ここで、(2)の「発光量制限を実施するモード」は、さらに以下のサブモードを有する。
(2−1)「光量を少なくするモード」
(2−2)「光を発生させる時間を短くするモード」。
(2−3)「光を常に発生させるのではなく光を断続的に発生させるモード」。
【0028】
(3)の「AFの方式を変更するモード」は、予め、カメラシステム1において種々のAF方式のうち2つ以上の方式(制御方式)が選択されており、温度センサ340で検出される温度が閾値以上になったとき、選択されている2つ以上のAF方式のうち最も温度上昇を抑えられるAF方式に切り替えるモードである。種々のAF方式としては、像鮮鋭度(コントラスト)方式、瞳分割位相差方式、パッシブ三角測距方式、アクティブ三角測距方式、アクティブ時間差方式などがある。
【0029】
なお、(1)「所定温度T1以上となった場合には強制的に発光禁止とするモード」と、(2)「所定温度T2以上となった場合に発光量制限を実施するモード」又は「所定温度T3以上となった場合にAFの方式を変更するモード」とは、組み合わせて設定することもできる。
【0030】
警告部370は、カメラ制御部160から発光制限、禁止信号又はAF方式変更信号を受信した場合、警告手段(図示省略)に警告を発生させる。警告手段としては特に限定されないが、警告ブザーや、警告ランプなどが挙げられる。あるいは、警告部370から、直接、又はカメラ制御部160を介して、カメラ制御部160に警告信号を送信し、カメラ100に備えられた液晶画面(図示省略)やファインダ135に警告表示を行うものであってもよい。
【0031】
液晶画面やファインダ135に警告表示を行う場合においては、例えば、あと何回発光したら所定温度(上述のT1,T2,T3)以上となると予想される旨の表示をする方法等が挙げられる。この、あと何回発光したら所定温度以上となるかを算出する方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。すなわち、カメラ制御部160に、温度センサ340により測定される温度と、その温度において発光した場合における上昇温度との関係を、予め記憶させておき、これを用いる方法が挙げられる。あるいは、AF補助光発生装置300による発光を行った場合における、温度センサ340により測定された発光前の温度と、発光後の温度とを逐次記憶しておき、得られた結果から、このような関係を学習していく方法としてもよい。さらには、電源を入れて最初に発光装置を用いた撮影を行った際における温度センサ340により測定された発光による上昇温度を記録しておき、それを用いる方法なども挙げることができる。
【0032】
次に動作を説明する。
(1)まず、「所定温度以上となった場合には強制的に発光禁止とするモード」が選択されている場合における動作を説明する。
カメラ制御部160は、温度センサ340から温度の情報を受信し、受信した温度センサ340により測定された温度と、AF補助光発生部320による発光を禁止するための予め設定された最大許可温度T1とを比較する。比較の結果、温度センサ340により測定された温度が最大許可温度T1以上である場合には、カメラ制御部160はAF補助光発生部320による発光を禁止する。
【0033】
この場合においては、撮影者によりレリーズボタンが押され、カメラ制御部160からカメラ制御部160にレリーズ信号が送信された際に、AF補助光を発光すべき場合であっても、AF補助光発生装置300は発光しない。
【0034】
AF補助光発生装置300が発光しなくとも、被写体からの不十分な光により低精度であっても合焦を行うことができる場合は、低精度の合焦動作を行うようにしてもよい。
この場合、カメラ制御部160は、レンズ制御部250を介して絞り駆動部240を駆動し、絞り装置220を絞るように制御を行うこともできる。補助光発生部320の発光量が制限されると、合焦精度が落ちる可能性があるが、絞りを絞ることにより焦点深度が深くなるため、合焦ズレが生じにくくなるからである。
【0035】
被写体からの光が不十分であって合焦を行うことができない場合は、手動でフォーカシングを行うことになる。この場合も、レンズ制御部250を介して絞り駆動部240を駆動し、絞り装置220を絞るように制御を行うようにしてもよい。
【0036】
AF補助光発生部320による発光を禁止する際には、カメラ制御部160から警告部370に発光禁止信号を送信され、警告手段により撮影者に警告が発せられる。
【0037】
一方、温度センサ340により測定された温度が、最大許可温度T1未満である場合、又は、一度最大許可温度T1以上となり、その後、自然冷却により、最大許可温度T1未満まで冷却された場合には、カメラ制御部160からの発光すべき旨の信号に応じて、通常通り、発光が行われる。
これにより、光透過部材330の外縁部分の温度が、最大許可温度T1を超える温度に上昇してしまうことを防止し、自然冷却により温度を適正温度に低下させることができる。
【0038】
(2)「発光量制限を実施するモード」が選択されている場合においては、温度センサ340により測定された温度と比較する温度として、所定温度T2を用いる。そして、所定温度T2以上の温度が検出されると、AF補助光発生部320へ発光信号を送信する際に、AF補助光発生部320による発光量を制限する旨の信号を送信する。
ここで発光量の制限は、上述したように、操作部150における設定に応じて、(2−1)「光量を少なくするモード」、(2−2)「光を発生させる時間を短くするモード」、(2−3)「光を常に発生させるのではなく光を断続的に発生させるモード」の何れかである。そして、この場合も、光透過部材330の外縁部分における温度の上昇を緩和することができる。なお、AF補助光発生部320による発光量を制限する場合には、カメラ制御部160は警告部370に発光制限信号を送信する。
【0039】
AF補助光発生部320による発光量が制限されると、カメラ制御部160において、補助光発生部320において通常の発光を行って明るい光を用いて高精度に合焦を行う第1制御から、補助光発生部320において発光量を制限してやや暗い光を用いて低精度に合焦を行う第2制御に切り替えられる。
この場合も、上記(1)と同様に、カメラ制御部160は、レンズ制御部250を介して絞り駆動部240を駆動し、絞り装置220を絞るように制御を行うこともできる。補助光発生部320の発光量が制限されると、合焦精度が落ちる可能性があるが、絞りを絞ることにより焦点深度が深くなるため、合焦ズレが生じにくくなるからである。
なお、「発光量制限を実施するモード」においては、温度センサ340により測定された温度が高い場合には、発光量の制限割合を増加させる等、温度センサ340により測定された温度に応じて、発光量の制限割合を変化させてもよい。
【0040】
(3)「AFの方式を変更するモード」が選択されている場合においては、温度センサ340により測定された温度と比較する温度として、所定温度T3を用いる。所定温度T3以上の温度が検出されると、AF補助光発生部320へ発光信号を送信する際に、AFの方式を変更する旨の信号を送信する。なお、AF方式を変更する場合には、カメラ制御部160は警告部370にAF方式変更信号を送信する。そして、2つ以上の予め選択されたAF方式(制御方式)のうち最も温度上昇を抑えられるAF方式に切り替えられる。
【0041】
ここで、AF補助光発生部320による発光を制御するために用いられる、温度T1,T2,T3は、予めカメラ制御部160に設定しておき、これを用いてもよいし、あるいは、カメラ100の操作部150により撮影者が設定できるようにしてもよい。撮影者が温度T1,T2,T3を設定する方法としては、撮影者が操作部150により温度T1,T2,T3を直接指定する方法や、撮影者が実際に発光装置に触った際に熱いと感じた時に、操作部15を操作し、その温度を設定できるようにする方法などが挙げられる。
【0042】
(4)「発光制御を全く実施しないモード」が選択されている場合には、カメラ制御部160は、発光の禁止・発光量の制限を行うことなく、AF補助光発生部320への発光信号の送信が行われる。
【0043】
以上、本実施形態によれば、温度センサ340を、AF補助光発生装置300の光透過部材330の外縁部分に設けるため、AF補助光発生装置300に撮影者が触った際に体感する温度に相当する温度を測定することができる。
本実施形態では、この温度センサ340により測定された温度に基づき、AF補助光発生部320による発光の禁止、発光量の制限、又はAF方式の変更を行い、これによりAF補助光発生装置300の温度を自然冷却により降下させることができ、その結果として、AF補助光発生装置300の温度上昇を適切に制御することができる。
【0044】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係るカメラシステム1のAF補助光発生装置300を示す正面図である。第2実施形態においてAF補助光発生装置300の光透過部材330は、カメラ100のカメラボディ101に設けられた開口部311よりも大きく形成されている。そして光透過部材330は、AF補助光発生装置300の前面において開口部311だけでなく、開口部311の周囲における一方の領域(本実施形態では開口部311よりも図中Xマイナス方向の領域)も覆っている。この、開口部311の周囲における一方の領域を覆う部分である延在部312に、温度センサ340が配置されている。
【0045】
このように温度センサ340は、光透過部材330における開口部311を覆う領域でなく、開口部311の周囲における一方の領域を覆う延在部312に配置されているため、AF補助光発生部320から発生される発光の光路を妨げることがない。一方、光路を妨げることはないが、温度が上昇する光透過部材330上に配置されているので、光透過部材330の温度を測定することができる。
さらに、温度センサは、光透過部材の光が入射しない部分に備えられているので、直接光があたらない。このため、温度センサは、入射した光の影響を受けることなく、光透過部材の温度を正確に検出することができる。
(変形形態)
【0046】
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)例えば、上述の実施形態では、AF補助光発生装置300がカメラ100に一体となっている例について説明したが、AF補助光発生装置300が、例えばカメラのボディと着脱可能な閃光装置に設けられていてもよい。
【0047】
(2)また、上述の実施形態では、一眼レフデジタルカメラに本発明を適用した例について説明したが、本発明においては特にこれに限定されず、コンパクトカメラやビデオカメラ、スチルカメラ、携帯電話用のカメラ、銀塩フィルムを用いた一眼レフカメラなどのその他の撮影装置に本発明を適用してもよい。
【0048】
(3)上述した実施形態では、温度センサ340により測定される温度が、温度T1、T2又はT3以上となった場合に、発光禁止、発光量の制限又はAF方式の変更を行う構成としたが、カメラ制御部160は、これらの温度に到達する前に、あと何回発光可能かを予測しておき、予測した結果に基づき、予め発光量を制限する構成としてもよい。予め発光量を制限しておくことにより、所定温度に到達するまでの発光可能回数を増加させることができる。なお、予め発光量を制限する際には、所定温度に近くなるにしたがって、発光量の制限割合を増加させていく構成とすることが好ましい。また、あと何回発光可能かを予測する際には、上述した第1実施形態における、あと何回発光したら所定温度以上となるかを算出する方法と同様とすればよい。
【0049】
(4)AF補助光発生装置300の制御モードとして、上述したモード以外にも、例えば、「連写モードを禁止するモード」や「連写モードの連写スピードを低下させるモード」などを採用してもよい。撮影モードが連写モードとなっている場合には、AF補助光発生装置300の発光回数も多くなる傾向にあるため、連写モードを禁止したり、連写スピードを低減することによっても、AF補助光発生装置300の温度上昇を適切に制御することができる。
【0050】
(5)また、上述の実施形態では、温度センサ340を光透過部材330外縁部分や、光透過部材330の横の部分に配置する例を示したが、光透過部材330及びカメラ100のうち、AF補助光発生部320の発熱による温度上昇が測定できる箇所であれば、どこに設置してもよい。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1実施形態に係る一眼レフデジタルカメラシステムを示すブロック図である。
【図2】第1実施形態のAF補助光発生装置の部分の断面図である。
【図3】第1実施形態のAF補助光発生装置の正面図である。
【図4】第2実施形態のAF補助光発生装置の正面図である。
【符号の説明】
【0052】
1:一眼レフデジタルカメラシステム、100:カメラ、110:撮像素子、160:カメラ制御部、200:レンズ鏡筒、210:レンズ郡、220:絞り装置、250:レンズ制御部、270:撮影光学系、300:AF補助光発生装置、320:補助光発生部、330:光透過部材、340:温度センサ、370:警告部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系を合焦させるための光を発生させる光発生部と、
前記光発生部から発生する光を透過させる光透過部材と、
前記光透過部材に取り付けられ前記光透過部材の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサで検出される温度に基づいて、前記光発生部から発生する光を制御する制御部とを有することを特徴とする光発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載された光発生装置であって、
前記制御部は、前記温度センサで検出される温度に基づいて、前記光発生部から発生する光が少なくなるように制御を行うことを特徴とする光発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載された光発生装置であって、
前記制御部が前記光発生部から発生する光が少なくなるように制御を行う前に警告をする警告部を有することを特徴とする光発生装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか1項に記載された光発生装置であって、
前記光発生部と前記光透過部材との間に備えられ、前記光透過部材の少なくとも一部に前記光発生部から発生する光を入射させない第1部材を有し、
前記温度センサは、前記光透過部材の前記光発生部から発生する光が入射しない部分に備えられていることを特徴とする光発生装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までの何れか1項に記載された光発生装置を有することを特徴とする撮影装置。
【請求項6】
請求項5に記載された撮影装置であって、
前記撮影光学系を通過する光を絞る絞り部を有し、
前記制御部は、前記温度センサで検出される温度が高くなったとき、前記絞り部を絞るように制御を行うことを特徴とする撮影装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載された撮影装置であって、
前記光発生部から発生する光を用いて前記撮影光学系が合焦するように制御を行う合焦制御部を有し、
前記制御部は、前記温度センサで検出される温度に基づいて、前記合焦制御部の制御を変更させることを特徴とする撮影装置。
【請求項8】
請求項7に記載された撮影装置であって、
前記合焦制御部は、前記光発生部から発生する光を用いて前記撮影光学系が合焦するように制御する第1制御と、前記第1制御よりも少ない量の前記光発生部から発生する光を用いて前記撮影光学系が合焦するように制御する第2制御とに切り替えが可能であり、前記温度センサで検出される温度が高くなったとき、前記第2制御に切り替わることを特徴とする撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−134112(P2010−134112A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308813(P2008−308813)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】