説明

免疫活性剤およびその製造方法、並びにその免疫活性剤を配合した人用食品、動物・家畜用飼料、植物用免疫活性剤及び化粧品原材料

【課題】 免疫活性効果に実効ある免疫活性剤を提供する。
【解決手段】 米糠と水と糖類を含有する培地で、ラクトバチルス菌群、サッカロミセス菌群、ピチア菌群、バチルス菌群の4つの菌群またはそれら4つの菌群にさらに放線菌群を加えた5つの菌群を培養して種菌を生成する。
培養は、糖類としてブドウ糖を使用し、培地にて通気共棲培養させて培養液を得る。その後殺菌工程、濾過工程などを経て免疫活性剤を精製する。その後、噴霧乾燥法または浸漬法により免疫活性剤を食品基材に含有させて栄養補助食品などとして提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫活性剤およびその製造方法、並びにその免疫活性剤を配合した健康食品やサプリメントを含む人用食品、動物・家畜用飼料、植物用免疫活性剤及び化粧品原材料に関する。
【背景技術】
【0002】
人、動物、植物など生物は、その個体が備える免疫力、抗酸化力、抗アレルギー力などによって健康を維持したり成長を持続したりする。免疫力を高め、抗酸化作用を持つ免疫活性剤は極めて価値の高いものである。
【0003】
従来技術において、免疫力を高め、抗酸化作用を持つとうたっているサプリメントは種々開発されている。
例えば、動物用飼料としては種々のものが開発されているが、近年のペットブームに伴って、動物の健康面を考慮した飼料等が市販されており、中には動物の疾患を治癒するために免疫力を向上することを効能としている動物用飼料も開発されている。
【0004】
免疫力向上を企図した特許出願として、例えば下記特許文献のようなものがなされている。
特許文献1として特開2003−531597号公報が挙げられる。当該特許文献1は、ニンニクを含有させた飼料に関する特許出願である。
特許文献2として特開2001−112436号公報が挙げられる。当該特許文献2は、担子菌を含有する飼料やペットフードに関する特許出願である。
特許文献3として特開平11−89539号公報が挙げられる。当該特許文献3は、ステビア植物の葉等を含有する飼料や食品等に関する特許出願である。
【0005】
【特許文献1】特開2003−531597号公報
【特許文献2】特開2001−112436号公報
【特許文献3】特開平11−89539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1乃至3は、免疫向上の効果が得られると説明しているものの、実際には飼育動物の食用を主目的としたものであり、免疫活性効果を与えることを主目的としたものではない。また、免疫活性効果の有用性も定かではない。
現在、市場で取引されている動物・家畜用飼料等はあくまでも動物の食用のものであって、免疫活性効果に実効ある動物・家畜用飼料等は未だ開発されていないのが現状である。
【0007】
人用の免疫力を高めるサプリメントや整腸作用を持つ乳酸菌を主体にしたサプリメント等多くのものが開発されているが、免疫力を高めるだけでなく、抗酸化作用や抗アレルギー作用や整腸作用を同時に有するサプリメントはなかった。
そこで、本発明は免疫活性効果に実効ある免疫活性剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。
発明者(武安成一)は、長年各地の土壌を採取し、植物に対する活性成果が非常に高い複数の菌群を見出した。さらに発明者はこれら複数の菌群を米糠と水とブドウ糖を含有する培地で培養を繰り返すうち、これら複数の菌群が共棲した状態の種菌を得るに至った。
発明者は鋭意研究の結果、これら菌群が共棲した菌群を用いた液体通気共棲培養方法を確立し、さらにこれら菌群の保管方法についてもその免疫活性が長年にわたり変わらない標準の保存方法を確立した。
【0009】
液体通気共棲培養し、培養液を精製して製造した免疫活性剤は、土壌中有用微生物、植物、動物・家畜、人に対して高い免疫活性効果が得られることが分かった。
【0010】
本発明の免疫活性剤は、多様な物質に含有させることが可能である。
例えば、セルロース基材に含有させたものにブドウ糖を添加して調製した土壌活性剤とすれば、土壌中有用微生物に対して良好な免疫活性を付与することができる。なお、発明者の鋭意研究の結果、セルロース基材にブドウ糖を添加することにより植物の根および当該根から供給されるブドウ糖に擬似的に近くなり、土壌中有用微生物に対しては擬似的に植物の根に共生している環境を提供することができることが分かった。
【0011】
また、例えば、植物用免疫活性剤に含有させることにより、植物の免疫力を高める植物用免疫活性剤を提供することが可能となった。
【0012】
また、例えば、本発明の免疫活性剤を動物・家畜用飼料や動物用サプリメント等に含有させることにより、免疫応答に優れ、動物の免疫活性効果に直接的に寄与することのできる動物・家畜用免疫活性剤とその製造方法、並びにその動物免疫活性剤を配合した動物・家畜用飼料や動物用サプリメントを提供することが可能となった。
【0013】
また、例えば、本発明の免疫活性剤を人用食品等に含有させることにより、人の免疫力を高め、抗酸化作用や抗アレルギー作用や整腸作用を同時に働かせる健康食品やサプリメントなどの人用食品を提供することが可能となった。
【0014】
さらに、本発明の免疫活性剤を化粧品原料に混ぜることにより、使用者の肌などの免疫力を高め、抗酸化作用や抗アレルギー作用のある化粧品原料を提供することが可能となった。
【0015】
本発明の免疫活性剤は、米糠と水と糖類を含有する培地で、下記の菌を含む菌群を培養して得られたことを特徴とする。
1.ラクトバチルス菌、または、ラクトバチルス菌及びラクトバチルス菌と同類の菌群を含むラクトバチルス菌群
2.サッカロミセス菌、または、サッカロミセス菌及びサッカロミセス菌と同類の菌群を含むサッカロミセス菌群
3.ピチア菌、または、ピチア菌及びピチア菌と同類の菌群を含むピチア菌群
4.バチルス菌、または、バチルス菌とバチルス菌と同類の菌群を含むバチルス菌群
【0016】
なお、前記菌群として、前記ラクトバチルス菌群、前記サッカロミセス菌群、前記ピチア菌群、前記バチルス菌群の4種類の菌群に対する培養を繰り返して前記4種類の菌群が共棲した状態のものを使用し、前記共棲状態の菌群を前記培地にて通気共棲培養させて得られたものであることが好ましい。
【0017】
次に、本発明の免疫活性剤は、米糠と水と糖類を含有する培地で、下記の菌を含む菌群を培養して得られたことを特徴とする免疫活性剤である。
1.ラクトバチルス菌、または、ラクトバチルス菌及びラクトバチルス菌と同類の菌群を含むラクトバチルス菌群
2.サッカロミセス菌、または、サッカロミセス菌及びサッカロミセス菌と同類の菌群を含むサッカロミセス菌群
3.ピチア菌、または、ピチア菌及びピチア菌と同類の菌群を含むピチア菌群
4.バチルス菌、または、バチルス菌とバチルス菌と同類の菌群を含むバチルス菌群
5.放線菌、または、放線菌及び放線菌と同類の菌群を含む放線菌群
【0018】
なお、前記菌群として、前記ラクトバチルス菌群、前記サッカロミセス菌群、前記ピチア菌群、前記バチルス菌群、前記放線菌群の5種類の菌群に対する培養を繰り返して前記5種類の菌群が共棲した状態のものを使用し、前記共棲状態の菌群を前記培地にて通気共棲培養させて得られたものであることが好ましい。
【0019】
次に、本発明の土壌活性剤は、本発明にかかる免疫活性剤をセルロース基材に含有させたものにブドウ糖を添加して調製した土壌活性剤であって、土壌中有用微生物に対して良好な免疫活性を付与しつつ、前記セルロース基材に前記ブドウ糖を添加することにより前記土壌中有用微生物に対して擬似的に植物の根に共生している環境を提供することを特徴とする。
【0020】
次に、本発明のペット用健康補助食品は、本発明にかかる免疫活性剤を食品基材に含有させて調製したペット用健康補助食品であって、ペットに対して経口摂取により前記ペットの免疫活性の向上と栄養補助成分の摂取を可能としたことを特徴とする。
【0021】
次に、本発明の動物・家畜用飼料は、本発明にかかる免疫活性剤を食品基材に含有させて調製した動物・家畜用飼料であって、動物・家畜に対して経口摂取により前記動物・家畜の免疫活性の向上と栄養成分の摂取を可能としたことを特徴とする。
【0022】
次に、本発明の人用サプリメントは、本発明にかかる免疫活性剤を食品基材に含有させて調製した人用サプリメントであって、経口摂取により服用者の免疫活性の向上と栄養補助成分の摂取を可能としたことを特徴とする。
【0023】
次に、本発明の化粧品原材料は、本発明にかかる免疫活性剤を混ぜて調製した化粧品原材料であって、肌への擦り込みによる皮膚吸収により免疫活性の向上と保湿を可能としたことを特徴とする。
【0024】
次に、本発明の免疫活性剤の製造方法は、
1.ラクトバチルス菌、または、ラクトバチルス菌及びラクトバチルス菌と同類の菌群を含むラクトバチルス菌群
2.サッカロミセス菌、または、サッカロミセス菌及びサッカロミセス菌と同類の菌群を含むサッカロミセス菌群
3.ピチア菌、または、ピチア菌及びピチア菌と同類の菌群を含むピチア菌群
4.バチルス菌、または、バチルス菌とバチルス菌と同類の菌群を含むバチルス菌群
上記の4種類の菌群に対する培養を繰り返して前記4種類の菌群が共棲した状態のものをつくり、
前記共棲状態の菌群を米糠と水と糖類を含有する培地にて通気共棲培養させて免疫活性剤を精製することを特徴とする免疫活性剤の製造方法である。
【0025】
次に、本発明の免疫活性剤の製造方法は、
1.ラクトバチルス菌、または、ラクトバチルス菌及びラクトバチルス菌と同類の菌群を含むラクトバチルス菌群
2.サッカロミセス菌、または、サッカロミセス菌及びサッカロミセス菌と同類の菌群を含むサッカロミセス菌群
3.ピチア菌、または、ピチア菌及びピチア菌と同類の菌群を含むピチア菌群
4.バチルス菌、または、バチルス菌とバチルス菌と同類の菌群を含むバチルス菌群
5.放線菌、または、放線菌及び放線菌と同類の菌群を含む放線菌群
上記の5種類の菌群に対する培養を繰り返して前記5種類の菌群が共棲した状態のものをつくり、
前記共棲状態の菌群を米糠と水と糖類を含有する培地にて通気共棲培養させて免疫活性剤を精製することを特徴とする免疫活性剤の製造方法である。
【0026】
なお、本発明の免疫活性剤を様々な食品基材に含有させる方法の1つは噴霧乾燥法がある。噴霧乾燥法とは、本発明の免疫活性剤を食品基材に対して噴霧・乾燥することにより食品基材に免疫活性剤を含有させる方法である。
なお、本発明の免疫活性剤を様々な食品基材に含有させる方法の1つは浸漬法がある。浸漬法とは、食品基材を本発明の免疫活性剤に浸漬することにより食品基材に免疫活性剤を含有させる方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によって、人や動物に対する優れた免疫活性促進作用を有する人用免疫活性剤、及び動物・家畜用免疫活性剤、並びにそのような人用免疫活性剤を配合した人用食品やサプリメント、及び動物・家畜用免疫活性剤を配合した動物・家畜用飼料や動物・家畜用サプリメント、植物用免疫活性剤および化粧品原料を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明の免疫活性剤およびその製造方法、並びにその免疫活性剤を配合した人用食品、動物・家畜用飼料、植物用免疫活性剤及び化粧品原材料の実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、数値、個数などには限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0029】
実施例1にかかる、本発明の免疫活性剤は、米糠と水と糖類を含有する培地で、ラクトバチルス菌群、サッカロミセス菌群、ピチア菌群、バチルス菌群を含む4種類の菌群、またはこれら4種類の菌群にさらに放線菌群を含む5種類の菌群を培養して得られたことを特徴とする。特に、本実施例1ではそれら4種類の菌群または5種類の菌群に対する培養を繰り返して4種類の菌群または5種類の菌群が共棲した状態のものを使用し、共棲状態の菌群を培地にて通気共棲培養させて得られたものである。
培地の組成成分である米糠の種類は特に限定されるものではないが、たとえば玄米を精米したときに発生したものを使用することができる。またブドウ糖は通常使用されているものでよい。水も普通の水、たとえば水道水(井戸水)でもよい。
【0030】
上記ラクトバチルス菌群、サッカロミセス菌群、ピチア菌群、バチルス菌群、放線菌群はもともと自然界に存在する有用土壌菌群であるが、それら4つの菌群または5つの菌群が一緒に共棲した状態のものはなかった。また、この4つの菌群または5つの菌群を用いて液体通気培養して培養液を得る技術は本発明者以外の者によっては確立されていない。そのため培地及び培養方法に工夫を凝らす必要があり、平成2年12月に発明者武安成一が米子市の研究室において鋭意研究の結果、これら4つの菌群または5つの菌群が共棲状態のまま液体通気状態にて培養液を得る手法をはじめて確立させた。本発明では、米糠と水とブドウ糖で得た培地でこの4つの菌群または5種類の菌群が共棲状態のまま液体通気状態にて培養液を得る手法を「有用菌群を用いた液体通気共棲培養」と名付けた。
【0031】
有用菌群を用いた液体通気共棲培養による本発明の免疫活性剤の培地の製造工程は、米糠と水との混合工程、混合後の濾過工程、混合液(濾液)へのブドウ糖の添加工程、(濾液への水の補充工程、)及び殺菌工程からなる。
図1は上記の培地の製造工程の流れを示す図である。
有用菌群を用いた液体通気共棲培養による本発明の免疫活性剤の培養液の製造工程は、上記培地への4つの菌群または5つの菌群の菌体の接種工程、通気培養による一次培養工程、冷温保存による二次培養工程、殺菌工程からなる。
図2は上記の培養液の工程の流れを示す図である。
上記の培養液は本発明の免疫活性剤(原液)であり、人用、動物・家畜用、植物用など用途に合わせて様々な基材に含有させて有用剤として調製する。
【0032】
[有用菌群の採取]
発明者武安成一は、鳥取県と兵庫県との県境の標高1500mの山腹近辺の土壌から有用土壌菌を採取し、発明者武安成一のノウハウで培養を繰り返すうちに有用な菌群が共棲した種菌を生成することに成功した。その種菌には、ラクトバチルス菌群、サッカロミセス菌群、ピチア菌群、バチルス菌群、放線菌菌群を含む有用土壌菌群が安定的に共棲した状態で含まれていたことが分かった。
【0033】
[培地の製造]
培地の製造においては、先ず液全体の5%相当量の生米糠と混合し、攪拌して米糠の水溶液を抽出した。次に、この米糠混合液を木綿布で濾過した。この濾過には、木綿布のほかに、たとえば吸引機やフィルタープレス等を使用することができる。
次に、上記の水溶液に水を補充し、液全体の5%相当量のブドウ糖を添加し、121℃、17分間で殺菌した後、冷却することによって、培地を作成する。
【0034】
[培養液の製造]
培養液の製造においては、上記培地に対して、4種類の菌または5種類の菌を含む菌群が共棲状態にある菌群から菌体を少量取り、培地に対して接種する。
この菌群から取り出した少量の菌体を接種した溶液を37℃、48時間通気培養した。
次に、通気培養をした後に、5℃、1ヶ月間、冷温保存を行った。冷温保存後、121℃、17分間で高温滅菌して、培養液である免疫活性剤の原液を得た。この培養液を5℃以下で冷蔵保管した。
【0035】
[有用剤の調製工程]
冷温保存している免疫活性剤の原液から、必要に応じて菌体を除去する濾過工程を経た後、または、菌体を除去せずに濾過工程を経た後、基材に含有させるなどして、液体状、粉末状、固形状に加工され、人用、動物・家畜用、植物用の有用剤として調製した。
【実施例2】
【0036】
以下、実施例2から実施例6として、本発明の免疫活性剤を基材に含有させ、液体状、粉末状、固形状に加工し、人用、動物・家畜用、植物用の有用剤として調製した例を説明する。
【0037】
実施例2として、実施例1で調製した培養液をセルロース基材に含有させ、さらにブドウ糖を加えて土壌活性剤とした実施例を説明する。
【0038】
本来、植物葉面の光合成で生産された澱粉の一部がブドウ糖として根から分泌されており、土壌中の有用微生物はこのブドウ糖を栄養源として増殖している。これら土壌中の有用微生物は植物成長促進物質や病害虫に対する自己防御力、自然治癒力を与える免疫活性物質を生成している。植物はこれら微量な物質を根より吸収し、自己の健康を保全する共生関係にあると言われている。つまり、良好な土壌状態とは植物の根に土壌中の有用微生物が共生している状態にある。
【0039】
本実施例2にかかる土壌活性剤は、この植物の根に土壌中の有用微生物が共生している状態を擬似的につくり出すものである。そこで、本発明の免疫活性剤をセルロース基材に含有させたものにブドウ糖を添加して調製した土壌活性剤とした。つまり、本実施例2の土壌活性剤は、本発明の免疫活性剤を含有させたセルロース基材にブドウ糖を添加することにより植物の根とその根から分泌されるブドウ糖が存在する状態を擬似的につくり出して土壌中の有用微生物に与え、土壌中の有用微生物が良好な土壌状態で共生しやすくしたものである。
【0040】
本発明者は、長年にわたり、本実施例2の土壌活性剤を土壌に供与し、植物に対する効能を確かめてきた。
本実施例2の土壌活性剤を土壌に供与することにより、免疫力を高める効果として、病気にかかりにくく、防カビ剤や防虫剤などの使用量が少ない状態でもカビや害虫の被害が出にくくなった。また、成長促進効果として、葉菜類(ほうれん草、小松菜、青梗菜等)の成長促進が見られた。また、根の発育を促進効果も見られた。また、着果する割合が高くなり、実の大きさが大きくなる傾向が見られる。
【実施例3】
【0041】
実施例3として、実施例1で調製した免疫活性剤をペットフードに含有させて調製したペット用健康補助食品とした実施例を説明する。ペットに対して経口摂取によりペットの免疫活性の向上と栄養補助成分の摂取を可能としたペット用健康補助食品である。
【0042】
ペットフードは適宜、動物・家畜に応じたものを用いれば良い。ペットフードに対して実施例1で調製した免疫活性剤を配合すれば良い。配合量は動物・家畜に応じて調製すれば良いが、ペットが1日に食べるペットフードにおいてペットの体重の6万分の1相当の免疫活性剤が摂取できるように配合すれば良い。
【0043】
以下、本実施例3のペット用健康補助食品を投与することによる動物・家畜の免疫活性効果が得られた実例を示す。ペットとして身近な動物である犬を例として効果を確認した。
本実施例3の犬のペット用健康補助食品の免疫活性化結果を下記の[表1]に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
上記の表1に示した結果から明らかなように、本実施例3の犬のペット用健康補助食品の投与を開始してから約1ヶ月程度で、アレルギー性皮膚炎をはじめ各種皮膚炎の改善効果が見られることが分かる。また、毛艶が良くなり尿の悪臭が緩和されたという結果も得られた。犬の皮膚疾患の補助剤として十分期待できることが分かる。
【0046】
次に、他の検証例として、獣医師に守秘義務のもと協力していただき、アレルギー性外耳炎を持つ犬に対する本実施例3のペット用健康補助食品の投与による症状改善効果を検証していただいた。
本実施例3の犬のペット用健康補助食品の免疫活性化結果を下記の[表2]に示す。対象となった犬はプードルで1歳のオスであった。
【0047】
【表2】

【0048】
上記の表2に示した結果から明らかなように、本実施例3の犬のペット用健康補助食品の投与を開始してから約1ヶ月程度で、アレルギー性外耳炎に対する改善効果が見られることが分かる。獣医師立会いのもとの臨床実験でも免疫活性効果が確認できた。
【0049】
次に、他の検証例として、アレルギー性皮膚炎を持つ犬に対する本実施例3のペット用健康補助食品の投与による症状改善効果を検証した。
アレルギー性皮膚炎を持つ犬に対する本実施例3のペット用健康補助食品の投与による症状改善効果を図3、図4に示す。対象となった犬はダルメシアンで10歳、体重20kgのオスであった。
【0050】
図3(a)は、本実施例3のペット用健康補助食品の投与前のアレルギー性皮膚炎が見られる背中部分の写真である。図3(a)に見るように、背中中央部分の毛が抜け落ち、赤く爛れた皮膚が露出していた。
本実施例3のペット用健康補助食品の投与(1日2g)を5週間継続した。
【0051】
図3(b)および図4は、5週間にわたり本実施例3のペット用健康補助食品の投与を継続した後のアレルギー性皮膚炎が改善した背中部分の写真である。図3(b)および図4に見るように、毛が抜け落ちていた背中中央の皮膚の赤みが消え、再び毛が生えてきている。なお、図3(a)および図4のアレルギー性皮膚炎が発症していたときは痒みのため犬の落ち着きがなく不安定であったが、図3(b)および図4のアレルギー性皮膚炎が治癒した後は痒みもなくなり犬は落ち着いて行動も通常の状態に戻った。
【実施例4】
【0052】
実施例4として、実施例1で調製した免疫活性剤をふすま又は大豆粕に含有させて調製した動物・家畜用飼料とした実施例を説明する。本実施例4は、動物・家畜に対して経口摂取により免疫活性の向上と栄養成分の摂取を可能とした動物・家畜用飼料である。
動物・家畜用飼料は適宜、動物・家畜に応じたものを用いれば良いが、本実施例4ではふすまを用いた。ふすまに対して実施例1で調製した免疫活性剤を配合する。配合量は動物・家畜に応じて調製すれば良いが、動物・家畜用飼料の20%程度で十分である。
【0053】
以下、本実施例4の動物・家畜用飼料を給餌することによる動物・家畜の免疫活性効果が得られた実例を示す。家畜として身近な家畜である乳牛、豚、鶏を例として効果を確認した。モニターとして、以下の酪農業者に協力をいただき、効果を確認した。
【0054】
乳牛は、兵庫県洲本市の酪農家(乳牛を80頭飼育)、島根県出雲市の酪農家(乳牛を60頭飼育)、島根県安来市の酪農家(乳牛を60頭飼育)、その他の酪農家にご協力をいただいた。
和牛は、島根県吉田村の吉田肥育センター(和牛を250頭飼育)、山口県大津郡三隅町の酪農家(和牛を20頭飼育)、その他の酪農家にご協力をいただいた。
豚は、山口県大津郡三隅町の酪農家(豚を1000頭飼育)、その他の酪農家にご協力をいただいた。
鶏は、鳥取県境港市の酪農家(産卵鶏を2万羽飼育)、その他の酪農家にご協力をいただいた。
【0055】
各モニターとなっていただいた酪農家から以下の報告を得た。
乳牛、和牛、豚、産卵鶏の各家畜に共通した効果としては以下のものが挙げられる。
(1) 疾病率が減少し、抗生物質等の使用量が減少した。
(2) 幼畜の下痢防止などが減少した。
(3) 繁殖障害が減少し、お産の前後の経過が良好となった。
(4) 糞・尿、畜舎の匂いが激減し、ハエの発生も少なくなった。
(5) 堆肥の肥効が良く、匂いが減少
【0056】
次に、乳牛に関して以下の報告が得られた。
(1) 飼料中の食物繊維の消化効率が向上し、食欲が旺盛になった。
(2) 乳量が増加し、乳脂率が向上した。
(3) 乳房炎が減少(体細胞数減少)し、症状が軽くなった。
【0057】
次に、和牛に関して以下の報告が得られた。
(1) 飼料中の食物繊維の消化効率が向上し、食欲が旺盛になった。
(2) 元牛導入時の風邪と下痢が減少した。
(3) 肥育牛の出荷前における障害が減少した。
【0058】
次に、豚に関して以下の報告が得られた。
(1) 豚および子豚の育成率が向上した。
【0059】
次に、産卵鶏に関して以下の報告が得られた。
(1) 下痢便が少なくなった。
(2) 糞・尿、畜舎の匂いが減少した。
(3) ハエ、ウジの発生が少なくなった。
(4) 卵質の向上が見られた。
【0060】
上記のように、本発明の動物・家畜用飼料を給餌することにより、動物・家畜の免疫活性効果が得られた。
【実施例5】
【0061】
実施例5として、実施例1で調製した免疫活性剤を含有させて調製した人用栄養補助食品とした実施例を説明する。本実施例5の人用栄養補助食品は、服用者が経口摂取することにより服用者の免疫活性の向上と栄養補助成分の摂取が可能となるものである。
【0062】
人用の栄養補助食品としては、人用の栄養補助食品として市場で提供されているものであれば適用でき、実施例1で調製した免疫活性剤を含有させた。
例えば、実施例1で調製した免疫活性剤をきな粉に噴霧乾燥させることにより含有させて粉状体として加工する。また、この粉状体をデキストリン等の固形剤で造粒することにより成型することもできる。配合量は調製すれば良いが、本実施例5では、本発明の免疫活性剤1gが一袋で摂取できるように同量1gのきな粉に同量の免疫活性剤を噴霧して乾燥し、粉末をスティック袋に詰めて容易に1日分の摂取を可能とした。
58名のモニターに1ヶ月から3ヶ月の間、服用していただき検証した。
検証結果を[表3]にまとめた。
【0063】
【表3】

【0064】
以上のモニターによる人用栄養補助食品の摂取実験結果により、人の免疫賦活効果が得られるのみならず、本実施例5の人用栄養補助食品は、抗酸化作用、抗アレルギー作用や整腸作用を持つことも分かった。
【実施例6】
【0065】
実施例6として、実施例1で調製した免疫活性剤を保湿クリームに含有させて調製した化粧品原材料とした実施例を説明する。実施例1で調製した免疫活性剤を保湿クリームに含有させて調製した化粧品原材料は、肌への擦り込みによる皮膚吸収により免疫活性の向上と保湿を可能としたものである。
【0066】
本実施例6にかかる化粧品原料は、実施例1で調製した免疫活性剤を保湿クリームに対して重量%で30%から40%含有させて調製した。上記の保湿クリームの調製は大阪市内の化粧品会社に依頼して調製させた。
50名以上のモニターに1ヶ月から3ヶ月の間、皮膚に塗布して検証した。
検証結果を[表4]にまとめた。
【0067】
【表4】

【0068】
以上のモニターによる保湿クリームの塗布実験結果により、本発明の免疫活性剤は、皮膚への塗布により人の皮膚から吸収され、人の皮膚の免疫賦活効果が得られ、抗酸化作用、抗アレルギー作用を持つことも分かった。また、皮膚下組織の血流を促進し、皮膚細胞、筋肉細胞を活性化させることも分かった。
【0069】
なお、本発明の免疫活性剤を配合した保湿クリームは動物に対しても皮膚への塗布により動物の皮膚から吸収され、動物の皮膚の免疫賦活効果が得られ、抗酸化作用、抗アレルギー作用を持つことも確認できている。
【0070】
例えば、乳首に炎症が発症していた牛に対して本実施例5の保湿クリームの塗布を行ったところ乳首の炎症が治った。図5は、乳首に炎症が発症していた牛に対する本実施例5の保湿クリーム塗布の実施前の状態と実施後の状態を比較した写真である。あきらかに乳首にあった炎症が綺麗に治っていることが分かる。
【0071】
図6は、皮膚に炎症が発症していた猫に対する本実施例6の保湿クリームの塗布前の炎症が見られる部位の状態と塗布により炎症が治った後の状態を比較した写真である。あきらかに猫の皮膚に生じていた炎症が綺麗に治っていることが分かる。この例の他にもペットの犬・猫の皮膚や家畜の乳牛の乳頭などにできた炎症が治った治験例は多数確認できた。
【0072】
以上の動物・家畜に対する保湿クリームの塗布実験結果により、本発明の免疫活性剤は、動物・家畜の皮膚への塗布により皮膚から吸収され、動物・家畜の皮膚の免疫賦活効果が得られ、抗酸化作用、抗アレルギー作用を持つことも分かった。また、皮膚下組織の血流を促進し、皮膚細胞、筋肉細胞を活性化させることも分かった。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。従って本発明の技術的範囲は添付された特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の免疫活性剤とその製造方法、並びにその免疫活性剤を配合した人用食品やサプリメント及び動物用試料や動物用サプリメントや化粧品原料は、人や動物の免疫効果を高めることにより、病気になりにくい体質を作ることができ、人や動物の健康維持にも大いに貢献するものである。さらに、人や動物用のみならず植物用免疫活性剤として、植物の免疫力強化などにも効果があり、過剰な農薬の使用を抑制し、植物本来の味や色艶などを保持することができる。
【0075】
更に、抗酸化作用、抗アレルギー作用、整腸作用などの働きもあり、優れた浸透性があり、皮膚の血流を促し、皮膚及び筋肉の新陳代謝を強化するので、スポーツ疲労や、腰痛、関節痛、床擦れなど外用効果もある。又、腸内の有用微生物を活性化し、便秘、下痢、肝機能、臭いの改善にも大変効果があり、これらの予防薬にも運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】培地の製造方法を示すフロー図
【図2】混合培養液の製造方法を示すフロー図
【図3】ペット用健康補助食品の投与によりアレルギー性皮膚炎が改善された様子を示す図(その1)
【図4】ペット用健康補助食品の投与によりアレルギー性皮膚炎が改善された様子を示す図(その2)
【図5】動物・家畜用飼料の給餌により牛の乳首にできた炎症が改善された様子を示す図
【図6】保湿クリームの塗布により動物・家畜の皮膚にできた炎症が改善された様子を示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米糠と水と糖類を含有する培地で、下記の菌を含む菌群を培養して得られたことを特徴とする免疫活性剤。
1.ラクトバチルス菌、または、ラクトバチルス菌及びラクトバチルス菌と同類の菌群を含むラクトバチルス菌群
2.サッカロミセス菌、または、サッカロミセス菌及びサッカロミセス菌と同類の菌群を含むサッカロミセス菌群
3.ピチア菌、または、ピチア菌及びピチア菌と同類の菌群を含むピチア菌群
4.バチルス菌、または、バチルス菌とバチルス菌と同類の菌群を含むバチルス菌群
【請求項2】
前記糖類としてブドウ糖を使用し、
前記菌群として、前記ラクトバチルス菌群、前記サッカロミセス菌群、前記ピチア菌群、前記バチルス菌群の4種類の菌群に対する培養を繰り返して前記4種類の菌群が安定して共棲した状態のものを作成し、
前記共棲状態の菌群を前記培地にて通気共棲培養させて得られたものである請求項1に記載の免疫活性剤。
【請求項3】
米糠と水と糖類を含有する培地で、下記の菌を含む菌群を培養して得られたことを特徴とする免疫活性剤。
1.ラクトバチルス菌、または、ラクトバチルス菌及びラクトバチルス菌と同類の菌群を含むラクトバチルス菌群
2.サッカロミセス菌、または、サッカロミセス菌及びサッカロミセス菌と同類の菌群を含むサッカロミセス菌群
3.ピチア菌、または、ピチア菌及びピチア菌と同類の菌群を含むピチア菌群
4.バチルス菌、または、バチルス菌とバチルス菌と同類の菌群を含むバチルス菌群
5.放線菌、または、放線菌及び放線菌と同類の菌群を含む放線菌群
【請求項4】
前記糖類としてブドウ糖を使用し、
前記菌群として、前記ラクトバチルス菌群、前記サッカロミセス菌群、前記ピチア菌群、前記バチルス菌群、前記放線菌の5種類の菌群に対する培養を繰り返して前記5種類の菌群が安定して共棲した状態のものを作成し、
前記共棲状態の菌群を前記培地にて通気共棲培養させて得られたものである請求項1に記載の免疫活性剤。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の免疫活性剤をセルロース基材に含有させたものにブドウ糖を添加して調製した土壌活性剤であって、土壌中有用微生物に対して良好な免疫活性を付与しつつ、前記セルロース基材に前記ブドウ糖を添加することにより前記土壌中有用微生物に対して擬似的に植物の根に共生している環境を提供することを特徴とする土壌活性剤。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の免疫活性剤を食品基材に含有させて調製したペット用健康補助食品であって、ペットに対して経口摂取により前記ペットの免疫活性の向上と栄養補助成分の摂取を可能としたことを特徴とするペット用健康補助食品。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載の免疫活性剤を食品基材に含有させて調製した動物・家畜用飼料であって、動物・家畜に対して経口摂取により前記動物・家畜の免疫活性の向上と栄養成分の摂取を可能としたことを特徴とする動物・家畜用飼料。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項に記載の免疫活性剤を食品基材に含有させて調製した人用サプリメントであって、経口摂取により服用者の免疫活性の向上と栄養補助成分の摂取を可能としたことを特徴とする人用サプリメント。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか1項に記載の免疫活性剤を化粧品基材に含有させて調製した化粧品原材料であって、肌への擦り込みによる皮膚吸収により免疫活性の向上と保湿を可能としたことを特徴とする化粧品原材料。
【請求項10】
下記の4種類の菌群に対する培養を繰り返して前記4種類の菌群が共棲した状態のものをつくり、
前記共棲状態の菌群を米糠と水と糖類を含有する培地にて通気共棲培養させて免疫活性剤を精製することを特徴とする免疫活性剤の製造方法。
1.ラクトバチルス菌、または、ラクトバチルス菌及びラクトバチルス菌と同類の菌群を含むラクトバチルス菌群
2.サッカロミセス菌、または、サッカロミセス菌及びサッカロミセス菌と同類の菌群を含むサッカロミセス菌群
3.ピチア菌、または、ピチア菌及びピチア菌と同類の菌群を含むピチア菌群
4.バチルス菌、または、バチルス菌とバチルス菌と同類の菌群を含むバチルス菌群
【請求項11】
下記の5種類の菌群に対する培養を繰り返して前記5種類の菌群が共棲した状態のものをつくり、
前記共棲状態の菌群を米糠と水と糖類を含有する培地にて通気共棲培養させて免疫活性剤を精製することを特徴とする免疫活性剤の製造方法。
1.ラクトバチルス菌、または、ラクトバチルス菌及びラクトバチルス菌と同類の菌群を含むラクトバチルス菌群
2.サッカロミセス菌、または、サッカロミセス菌及びサッカロミセス菌と同類の菌群を含むサッカロミセス菌群
3.ピチア菌、または、ピチア菌及びピチア菌と同類の菌群を含むピチア菌群
4.バチルス菌、または、バチルス菌とバチルス菌と同類の菌群を含むバチルス菌群
5.放線菌、または、放線菌及び放線菌と同類の菌群を含む放線菌群
【請求項12】
前記免疫活性剤を食品基材に対して噴霧・乾燥することにより前記食品基材に前記免疫活性剤を含有させる請求項9又は10に記載の免疫活性剤の製造方法。
【請求項13】
食品基材を前記免疫活性剤に浸漬することにより前記食品基材に前記免疫活性剤を含有させる請求項9又は10に記載の免疫活性剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−132642(P2009−132642A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309560(P2007−309560)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(507004059)
【出願人】(504199725)
【Fターム(参考)】