内視鏡の流体管路接続構造及び内視鏡システム
【課題】複数の流体管路を一度に接続可能であり、且つ外部機器の故障時にも対応することを可能とする。
【解決手段】内視鏡側の光源用コネクタ15には、接続部本体56が形成されている。接続部本体56には、第1及び第2のコネクタ側接続口57、58が形成されている。第2のコネクタ側接続口58は、雌ルアーテーパー形状に形成されて、第1のコネクタ側接続口57は、テーパーのない貫通孔に形成されている。外部機器側のコネクタ70は、コネクタ本体72と、流体管73,74とを有する。流体管74は、雄ルアーテーパー形状を有する雄テーパー突出部74aが形成され、第2のコネクタ側接続口58と嵌合する。流体管73は、テーパーのない円筒形突出部73aが形成され、第1のコネクタ側接続口57に挿入される。
【解決手段】内視鏡側の光源用コネクタ15には、接続部本体56が形成されている。接続部本体56には、第1及び第2のコネクタ側接続口57、58が形成されている。第2のコネクタ側接続口58は、雌ルアーテーパー形状に形成されて、第1のコネクタ側接続口57は、テーパーのない貫通孔に形成されている。外部機器側のコネクタ70は、コネクタ本体72と、流体管73,74とを有する。流体管74は、雄ルアーテーパー形状を有する雄テーパー突出部74aが形成され、第2のコネクタ側接続口58と嵌合する。流体管73は、テーパーのない円筒形突出部73aが形成され、第1のコネクタ側接続口57に挿入される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡と流体の供給・吸引を制御する外部機器と接続を行う内視鏡の流体管路接続構造及び内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内視鏡では、流体を移送する流体管路を備えていることが一般的である。この流体管路としては、例えば、先端部の観察窓を洗浄するための洗浄水を送水するための送水管路、観察窓に付着した液体を吹き飛ばすエアーを送気するための送気管路が設けられている。さらに、バルーン付きの内視鏡では、流体の供給・吸引を制御する制御装置から、膨張・収縮するバルーンへ流体を供給・吸引するための流体管路を備えている。また、内視鏡には、被検体の管腔内に液体を噴射するためのウォータージェット管路を設けているものがある。
【0003】
上述したように、内視鏡には、様々な流体管路が備えられており、内視鏡を使用するときには、外部機器と接続しなければならない。例えば、送気・送水管路は送気・送水装置と、バルーン用の流体管路はバルーン制御装置と接続する。また、内視鏡を洗浄するときには、各種流体管路と洗浄装置とを接続する。
【0004】
特許文献1に記載されているように、内視鏡に設けられた流体管路と、外部機器とを接続する内視鏡では、流体管路と連通する接続口が雌ルアーテーパー形状に形成されていることが一般的である。共通の雌ルアーテーパー形状にすることで、外部機器が故障した場合でも市販のシリンジ(注射器)などを接続口に接続して流体管路へ流体の供給・吸引を行うことができる。
【0005】
一方、内視鏡に複数の流体管路を備える場合、外部機器側の流体管路と、内視鏡側の流体管路とを1つずつ接続することは面倒である。そこで、特許文献2では、流体管路と連通する複数の接続口を1箇所にまとめ、これらの接続口に対して1つの専用アダプタで外部機器と接続できるようにしている。これにより、複数の流体管路と外部機器とを一度に接続することができる。また、専用アダプタを用いているため、内視鏡に設けられた別の接続口に接続することができず、接続間違いを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007−521870号公報
【特許文献2】特開平6−343605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2記載のような内視鏡では、流体管路と連通する内視鏡側の接続口は、専用アダプタと接続することは考慮されているもの、シリンジなどと接続することは考慮されておらず、接続口がテーパーを有する形状でもない。これにより、外部機器の故障時などの緊急時に接続口にシリンジなどを接続して対応することができない。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、複数の流体管路を一度に接続可能であり、且つ外部機器の故障時にも対応することが可能な内視鏡の流体管路接続構造及び内視鏡システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の内視鏡の流体管路接続構造は、内視鏡に設けられ、流体を移送するための複数の内視鏡側流体管路と、外部機器に設けられた複数の外部機器側流体管路とを接続する内視鏡の接続構造において、前記外部機器側流体管路と連通する複数の外部機器側接続部が形成された外部機器側コネクタと、前記内視鏡側流体管路と連通する複数の内視鏡側接続部が形成された内視鏡側コネクタとを有し、前記内視鏡側接続部の少なくとも1つは、前記外部機器側接続部と嵌合するテーパー形状であることを特徴とする。
【0010】
前記内視鏡側接続部の少なくとも1つは、雌テーパー形状を有する雌テーパー開口であることが好ましい。
【0011】
前記外部機器側接続構造の少なくとも1つは、雄テーパー形状を有し、中心部が中空に形成された雄テーパー突出部であり、前記雌テーパー開口は、前記雄テーパー突出部と嵌合することが好ましい。
【0012】
前記内視鏡側コネクタは、前記内視鏡側接続部として、雌テーパー形状の勾配又は最大開口面積がそれぞれ異なる前記雌テーパー開口が複数形成されていることが好ましい。
【0013】
前記内視鏡側コネクタは、前記内視鏡側接続部の少なくとも1つとして、テーパーのない貫通孔が形成されており、前記外部機器側コネクタは、前記外部機器側接続部としてテーパーのない円筒形突出部が形成されており、前記内視鏡側コネクタ及び前記外部機器側コネクタが結合されるとき、前記貫通孔は、前記円筒形突出部が挿入されることが好ましい。
【0014】
前記円筒形突出部の外周面、または前記貫通孔の内周面に取り付けられたパッキン部材を備えており、前記パッキン部材は、前記円筒形突出部が前記貫通孔に挿入されたとき、前記円筒形突出部及び前記貫通孔に圧接することにより前記雄テーパー突出部及び前記雌テーパー開口の間を液密または気密を保って接続することが好ましい。
【0015】
前記雄テーパー突出部を囲む位置に弾性を有するパッキン部材が設けられており、前記パッキン部材は、前記雄テーパー突出部が前記雌テーパー開口に嵌合したとき、前記外部機器側コネクタのケース、前記内視鏡側コネクタのケースに圧接することにより前記雄テーパー突出部及び前記雌テーパー開口の間を液密または気密を保って接続することが好ましい。
【0016】
前記外部機器側コネクタは、勾配、又は軸方向の長さが互いに異なる前記雄テーパー突出部を複数備え、前記雄テーパー突出部は、前記外部機器側コネクタのケースに対して軸方向に沿って所定量移動可能に取り付けられており、前記パッキン部材は、前記外部機器側コネクタのケースと前記雄テーパー突出部との間に配され、前記雌テーパー開口と前記雄テーパー突出部とが嵌合するとき、複数の前記雄テーパー突出部の軸方向における位置の差を前記パッキン部材が吸収することが好ましい。また、前記雄テーパー突出部は、前記パッキン部材と一体に形成されることが好ましい。さらにまた、前記雌テーパー開口の少なくとも1つは、雌ルアーテーパー形状であることが好ましい。
【0017】
本発明の内視鏡システムは、管腔内を撮像する撮像部、及び複数の内視鏡側流体管路が設けられた内視鏡と、複数の外部機器側流体管路が設けられた外部機器と、請求項1ないし10のいずれか1項記載の前記流体管路接続構造を用い、複数の前記内視鏡側流体管路と、複数の前記外部機器側流体管路とを接続する前記内視鏡側コネクタ、及び前記外部機器側コネクタとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、流体を移送するための内視鏡側流体管路と連通する複数の内視鏡側接続部の少なくとも1つは、外部機器側接続部と嵌合するテーパー形状であるので、複数の流体管路を一度に接続可能であり、且つ外部機器の故障時にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電子内視鏡システムの外観斜視図である。
【図2】内視鏡の先端部の構成を示す平面図である。
【図3】内視鏡における流体管路の構成を概略的に示す説明図である。
【図4】接続用アダプタの構成を示す斜視図である。
【図5】第1実施形態を適用した内視鏡側コネクタ及び慨部機器側コネクタの構成を示す斜視図である。
【図6】第1実施形態を適用した内視鏡側コネクタ及び慨部機器側コネクタの構成を示す要部断面図である。
【図7】第2実施形態を適用した内視鏡側コネクタ及び慨部機器側コネクタの構成を示す要部断面図である。
【図8】第3実施形態を適用した内視鏡側コネクタ及び慨部機器側コネクタの構成を示す要部断面図である。
【図9】第4実施形態を適用した内視鏡側コネクタ及び慨部機器側コネクタの構成を示す斜視図である。
【図10】第5実施形態を適用した内視鏡側コネクタ及び慨部機器側コネクタの構成を示す斜視図である。
【図11】第5実施形態を適用した内視鏡側コネクタ及び慨部機器側コネクタの構成を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1において、内視鏡システム2は、バルーン付きの電子内視鏡10、およびバルーン付きのオーバーチューブ11からなるダブルバルーン式の内視鏡を備える。電子内視鏡10は、被検体の管腔内(例えば大腸)に挿入される挿入部12と、この挿入部12の基端側に連設され、医師や技師などの術者が操作を行うための操作部13とを備える。操作部13にはユニバーサルコード14が接続され、ユニバーサルコード14の先端には光源用コネクタ15が設けられている。また、光源用コネクタ15からケーブル16が分岐され、このケーブル16の先端にはプロセッサ用コネクタ17が設けられている。光源用コネクタ15およびプロセッサ用コネクタ17は、光源装置18およびプロセッサ装置19にそれぞれ着脱自在に接続される。
【0021】
操作部13には、アングルノブ20や、挿入部12の先端からエアー、水を噴出させるための送気・送水ボタン21、吸引ボタン22等が設けられている。また、操作部13の挿入部12側には、電気メス等の処置具が挿通される鉗子口23が設けられている。
【0022】
挿入部12は、その先端に設けられ、被検体内撮影用の撮像素子等が内蔵された先端部24と、先端部24の基端に連設された湾曲自在な湾曲部25と、湾曲部25の基端に連設された可撓性を有する軟性部26とからなる。挿入部12には、オーバーチューブ11を着脱自在に装着することができる。軟性部26は、先端部24を体内の目的の位置に到達させるために数mの長さをもつ。湾曲部25は、操作部13のアングルノブ20の操作に連動して上下、左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部24を体内の所望の方向に向けることができる。
【0023】
図2において、先端部24の先端面30には、観察窓31、照明窓32、送気・送水ノズル33、および鉗子出口34が設けられている。観察窓31は、先端面30の片側中央に配置されている。照明窓32は、観察窓31に関して対称な位置に二個配されている。
【0024】
観察窓31の奥には、体内の被観察部位の像を取り込むための対物光学系、および被観察部位の像を撮像するCCDやCMOSイメージセンサ等の撮像素子が設けられている。撮像素子は、挿入部12、操作部13、ユニバーサルコード14に挿通されてプロセッサ用コネクタ17まで延設された信号ケーブルにてプロセッサ装置19に接続される。観察窓31から取り込まれた被観察部位の像は、撮像素子の受光面に結像されて撮像信号に変換される。プロセッサ装置19は、信号ケーブルを介して受けた撮像素子からの撮像信号に各種画像処理を行って映像信号に変換し、これをケーブル接続されたモニタ35(図1参照)に観察画像として表示させる。
【0025】
照明窓32の背後には、光源装置18の照射光源からの照明光を導くライトガイドの出射端が配されている。ライトガイドは、挿入部12、操作部13、ユニバーサルコード14に挿通されて光源用コネクタ15まで延設され、光源用コネクタ15内に入射端が配設される。ライトガイドで導かれた照明光は、照明窓32を介して体内の被観察部位に向けて照射される。
【0026】
送気・送水ノズル33は、送気・送水ボタン21の操作に応じて、光源装置18に内蔵の送気・送水装置から供給されるエアーや水を、観察窓31に向けて噴射する。鉗子出口34は、挿入部12内に配設された鉗子チャンネル(図示せず)に接続され、鉗子口23に連通している。鉗子口23に挿通された処置具の先端は、鉗子出口34から露呈される。
【0027】
オーバーチューブ11は、術者が把持する把持部40と、本体部41と、第1のバルーン42とを備える。把持部40は、プラスチック等の硬質材料からなる筒状体である。本体部41は、ポリウレタン等の可撓性材料によって略筒状に形成され、把持部40の先端側に外嵌されて固定される。
【0028】
図3に示すように、オーバーチューブ11の本体部41の内部には、その軸方向にわたって挿通管路44、オーバーチューブ側流体管路45が形成されている。挿通管路44は、電子内視鏡10の挿入部12が挿通される孔であり、且つその内径が挿入部12の外径よりも若干大きく形成されている。挿通管路44の内周面には、例えば、ポリビニルピロリドン等の親水性コート材(潤滑性コート材)がコーティングされている。
【0029】
オーバーチューブ11の使用時には、水等の潤滑剤を挿通管路44の内周面(挿入部12と本体部41との隙間)に供給し、挿入部12と本体部41との摩擦を低減する。潤滑剤は、図1に示すコネクタ47から注射器等(図示せず)で注入される。コネクタ47は細径のチューブ48に接続され、チューブ48の先端は挿通管路44の基端に連結される。コネクタ47から注入された潤滑剤は、チューブ48を通して挿通管路44の内周面に供給される。
【0030】
本体部41は、例えば、断面形状が一定のマルチルーメンチューブを加工することによって製造される。本体部41の先端には、内径を窄ませるためのテーパー49が形成されている(図1も参照)。このテーパー49を設けることで、挿通管路44に電子内視鏡10の挿入部12を挿通させた際に、挿入部12と本体部41の先端との隙間が狭くなり、本体部41の先端側への潤滑剤の漏出が防がれる。なお、テーパー49は、本体部41の先端の全周に設けてもよいし、一部を窄ませて形成してもよい。
【0031】
本体部41の先端部外周面には、第1のバルーン42が取り付けられる。第1のバルーン42は、ゴム等の弾性材によって端部が絞られた略筒状に形成されており、小径の先端部及び基端部と、中央の膨出部とを有する。この第1のバルーン42は、本体部41の先端外周面に被せられ、例えば、先端部及び基端部に糸を巻回し、その上に接着剤を塗布することによって本体部41に固定される。
【0032】
オーバーチューブ側流体管路45は、第1のバルーン42に流体(例えばエアー)を供給・吸引するための管路であり、挿通管路44の管壁内に設けられている。オーバーチューブ側流体管路45は、その先端側が第1のバルーン42の先端部の固定位置において閉塞されている。また、オーバーチューブ側流体管路45は、本体部41の外周面に形成されたバルーン用の開口50に連通されている。開口50は、第1のバルーン42の装着位置に形成され、この開口50から流体の供給・吸引を行うことによって第1のバルーン42が膨張・収縮される。オーバーチューブ側流体管路45の基端には、チューブ51が連設され、チューブ51の基端には、コネクタ52が連設される。
【0033】
図4に示すように、コネクタ52は、例えばプラスチックから形成される。コネクタ52の内面には、シリンジや後述するアダプタ53が着脱自在に接続可能なオーバーチューブ側接続口52aが形成されている。オーバーチューブ側接続口52aは、雌ルアーテーパー形状をしている。これにより、バルーン制御装置62が故障した場合でもオーバーチューブ側接続口52aにシリンジなどを接続して第1のバルーン42を膨張・収縮させることができる。また、コネクタ52の外周面には、被係止開口部52bが形成されている。
【0034】
電子内視鏡10は、操作部13、コード14、光源用コネクタ15の内部に配設され、第1のバルーン42に流体を供給・吸引するための第1の流体管路54を備えている。第1の流体管路54は、可撓性を有するチューブから構成される。電子内視鏡10の操作部13先端付近には、口金部55が設けられている。口金部55は、例えば、プラスチックまたは金属からなり、操作部13を構成するケースと一体に形成される。口金部55は、略円筒形状の外形で、且つ中心の位置にオーバーチューブ側流体管路45と接続するための操作部側接続口55aが形成されている。操作部側接続口55aは、雌ルアーテーパー形状をしている。また、口金部55の外周面には、被係止開口部55bが形成されている。
【0035】
接続用アダプタ53は、例えばプラスチックから形成され、両端部53a,53bが雄ルアーテーパー形状で、且つ中心が中空となっている。これにより、接続用アダプタ53の両端部53a,53bが、コネクタ52のオーバーチューブ側接続口52a、及び口金部55の操作部側接続口55aとそれぞれ嵌合して、オーバーチューブ側流体管路45と、第1の流体管路54とを接続用アダプタ53を介して連通することができる。
【0036】
また、接続用アダプタ53には、コネクタ52の被係止開口部52b、及び口金部55の被係止開口部55bを係止する係止爪53c,53dを備えている。接続用アダプタ53の両端部53a,53bが接続口52a及び接続口55aに嵌合したとき、係止爪53c,53dが被係止開口部52b及び被係止開口部55bを係止する。これにより、接続用アダプタ53がコネクタ52及び口金部55から離脱することを防止する。
【0037】
図5に示すように、光源用コネクタ15には、平坦面から突出する凸部状の接続部本体56が設けられている。接続部本体56は、例えばプラスチックからなり、光源用コネクタ15を構成するケースと一体に形成される。第1及び第2のコネクタ側接続口57、58(内視鏡側側接続部)は、1箇所の接続部本体56に形成される。第1及び第2のコネクタ側接続口57、58は互いに所定間隔を置いた位置に配されている。第1及び第2のコネクタ側接続口57,58のうち、一方の第2のコネクタ側接続口58は、雌ルアーテーパー形状に形成され、他方の第1のコネクタ側接続口57は、テーパーのない貫通孔に形成されている。第1の流体管路54は、一端が操作部側接続口55aと、他端が第1のコネクタ側接続口57と連通している。接続部本体56の外周面はコネクタ側接続口57、58を囲む略楕円形状に形成されている。また、接続部本体56の先端側には、外周面から突出するフランジ部56aが形成されている。
【0038】
挿入部12の先端部24には、第2のバルーン59が着脱自在に取り付けられる。第2のバルーン59は、第1のバルーン42と同様に、ゴム等の弾性材によって端部が絞られた略筒状に形成されており、小径の先端部及び基端部と、中央の膨出部とを有する。この第2のバルーン59は、内部に先端部24を挿通させて先端部24の所定位置に配置した後、例えば、先端部及び基端部にゴム製のリングを嵌め込むことによって、先端部24に固定される。
【0039】
電子内視鏡10には、挿入部12、操作部13、ユニバーサルコード14、光源用コネクタ15の内部に配され、第2のバルーン59に流体を供給・吸引するための第2の流体管路60が設けられている。第2の流体管路60は、可撓性を有するチューブから構成され、その先端側が第2のバルーン59の先端部の固定位置において閉塞されている。第2の流体管路60は、一端が先端部24の外周面に形成されたバルーン用の開口61に連通されている。開口61は、第2のバルーン59の装着位置に形成され、この開口61から流体の供給・吸引を行うことによって第2のバルーン59が膨張・収縮される。第2の流体管路60の他端は、第2のコネクタ側接続口58と連通している。第2の流体管路60は、第1の流体管路54とともにバルーン制御装置62に接続される。
【0040】
バルーン制御装置62は、オーバーチューブ側の第1のバルーン42と、電子内視鏡10側の第2のバルーン59とを交互に膨らませるために各バルーン42、59に別々に流体(例えば、エアー)の供給・吸引を行うもので、ポンプ、シーケンサ等が設けられた装置本体63と、リモートコントロール用のハンドスイッチ64とバルーン専用モニタ65とを備えている。
【0041】
バルーン制御装置62は、各バルーン42、59に流体を供給して膨張させたり、その流体圧を一定値に制御して各バルーン42、59を膨張状態に保持する。また、バルーン制御装置62は、各バルーン42、59から流体を吸引して収縮させたり、その流体圧を一定値に制御して各バルーン42、59を収縮状態に保持する。
【0042】
バルーン専用モニタ65には、各バルーン42、59を膨張、収縮させる際に、各バルーン42、59の圧力値や膨張・収縮状態が表示される。なお、各バルーン42、59の圧力値や膨張・収縮状態は、電子内視鏡10の観察画像にスーパーインポーズしてモニタ35に表示してもよい。
【0043】
バルーン制御装置62の装置本体63の前面パネルには、電源スイッチ、異常発生時等に操作される停止スイッチ、バルーン42、59用の圧力表示部(図示せず)等が設けられている。圧力表示部はバルーン42、59の圧力値を表示するパネルであり、バルーン42、59の破れ等の異常発生時には圧力表示部にエラーコードが表示される。
【0044】
また、装置本体63の前面パネルには、各バルーン42、59への流体供給・吸引用のチューブ68、69が取り付けられている。各チューブ68、69と、バルーン制御装置62との接続部分には、逆流防止ユニット(図示せず)が設けられている。逆流防止ユニットは、装置本体63の前面パネルに着脱自在に取り付けられている。逆流防止ユニットは、バルーン制御装置62の前面パネルに着脱自在に装着された中空円盤状のケースの内部に気液分離用のフィルタを組み込んで構成されており、バルーン42、59が破れた際、体液等の液体がバルーン制御装置62内に流入することを防止する。
【0045】
チューブ68、69の先端には、1つのコネクタ70が設けられている。コネクタ70を電子内視鏡10の光源用コネクタ15と結合させることにより、チューブ68と、電子内視鏡10の第1の流体管路54とを接続するとともに、チューブ69と電子内視鏡10の第2の流体管路60とを接続することができる。
【0046】
一方、ハンドスイッチ64には各種のスイッチが設けられる。例えば、装置本体63側に設けられた停止スイッチと同様の停止スイッチと、内視鏡側のバルーン42の加圧/減圧を指示する内視鏡ON/OFFスイッチと、オーバーチューブ側の第2のバルーン59の加圧/減圧を指示するオーバーチューブON/OFFスイッチなどが設けられており、このハンドスイッチ64はコード71を介して装置本体63に電気的に接続されている。
【0047】
図5に示すように、コネクタ70は、例えばプラスチックなどから形成され、コネクタ本体72と、流体管73,74(外部機器側接続部)とを有する。コネクタ本体72は、光源用コネクタ15の接続部本体56に対面する先端側が開放され、基端側が塞がれた筒形状であり、軸方向と直交する断面形状が2つの半円を繋いだ楕円形の断面となっている。
【0048】
流体管73,74は、コネクタ本体72の内部、且つ軸方向に沿って配され、先端側の一部分がコネクタ本体72の開放側から突出している。流体管73,74は、コネクタ本体72の内周面に光源用コネクタ15の接続部本体56の外周面を嵌合させたとき、第1及び第2のコネクタ側接続口57、58の位置に合わせて配されている。流体管73,74の基端側には、チューブ68、69が連設されている。
【0049】
一方の流体管74は、中心部が中空、且つ雄ルアーテーパー形状を有する雄テーパー突出部74a(外部機器側接続部)が先端側に形成されているため、雄テーパー突出部74aと第2のコネクタ側接続口58とを嵌合させることができる。雄ルアーテーパー形状の雄テーパー突出部74aと、雌ルアーテーパー形状の第2のコネクタ側接続口58とが嵌合するため、雄テーパー突出部74aと第2のコネクタ側接続口58との間を液密または気密を保って接続することができる。
【0050】
また、流体管73は、テーパーのない円筒形突出部73a(外部機器側接続部)が先端側に形成されており、第1のコネクタ側接続口57の内部に挿入される。円筒形突出部73aの外周面には、パッキン部材としてのOリング75が設けられている。Oリング75は、ゴム等の弾性材からリング状に形成されており、円筒形突出部73aの外周面に形成された溝73bに嵌合して取り付けられる。流体管73にOリング75を嵌合させたときのOリング75の外径は、第1のコネクタ側接続口57の外径よりも若干大きく形成されている。これにより、第1のコネクタ側接続口57に流体管73が挿入されたとき、Oリング75が変形して第1のコネクタ側接続口57に密着する。このようにして、Oリング75が円筒形突出部73a及びコネクタ側接続口57に圧接することにより、円筒形突出部73a及び第1のコネクタ側接続口57の間を液密または気密を保って接続することができる。
【0051】
また、コネクタ本体72の内周面には、接続部本体56のフランジ部56aを係止する係止爪72aが形成されており、コネクタ本体72の内周面に光源用コネクタ15の接続部本体56の外周面を嵌合させたとき、係止爪72aがフランジ部56aを係止してコネクタ本体52が接続部本体56から離脱することを防止する。
【0052】
コネクタ本体72と、接続部本体56との嵌合、及び雄ルアーテーパー形状の流体管74と雌ルアーテーパー形状の第2のコネクタ側接続口58との嵌合により、チューブ68と第1の流体管路54とを接続することができるとともに、チューブ69と第2の流体管路60とを接続することができる。
【0053】
コネクタ70と光源用コネクタ15との結合、及び接続用アダプタ53を介してオーバーチューブ側流体管路45と第1の流体管路54とを接続することにより、バルーン制御装置62から第1及び第2のバルーン42、59へ流体を供給・吸引可能な状態となる。
【0054】
上記構成の作用について説明する。電子内視鏡10を使用する場合、挿入部12にオーバーチューブ11を装着し、アダプタ53の両端部53a,53bをコネクタ52のオーバーチューブ側接続口52a、口金部55の操作部側接続口55aにそれぞれ嵌合し、バルーン制御装置62のコネクタ70を光源用コネクタ15と接続する。また、光源用コネクタ15およびプロセッサ用コネクタ17は、光源装置18およびプロセッサ装置19に接続する。
【0055】
術者は、電子内視鏡10の挿入部12とオーバーチューブ11をプッシュ式で交互に体内に挿入していき、必要に応じてバルーン制御装置62のハンドスイッチ64を操作して第1のバルーン42を膨張させるとともに第2のバルーン59を収縮させてオーバーチューブ11を被検体の管腔内に固定し、挿入部12をさらに深部に挿入する。あるいは、第1のバルーン42を収縮させるとともに第2のバルーン59を膨張させて挿入部12を被検体の管腔内に固定し、オーバーチューブ11をさらに深部に挿入する。このようにして挿入部12を管腔内の深部に挿入し、観察を行うことができる。
【0056】
上述したように、光源用コネクタ15の接続部本体56に、1つのコネクタ70を結合させるだけで、チューブ68と第1の流体管路54、チューブ69と第2の流体管路60をそれぞれ接続することができる。さらに、バルーン制御装置62が故障などした場合は、コネクタ70を取り外して、第2のコネクタ側接続口58にシリンジなどを接続すれば、第2のバルーン59を膨張・収縮させることができるので、バルーン制御装置62の故障時に容易に対応することができる。また、光源用コネクタ15に形成されたコネクタ側接続口57,58は、一方が雌ルアーテーパー形状、他方がテーパーのない貫通孔に形成されているので、光源用コネクタ15とコネクタ70との接続において接続間違いを防ぐことができる。
【0057】
上記第1実施形態では、内視鏡側の光源用コネクタ15に形成されたコネクタ側接続口57,58は、一方が雌ルアーテーパー形状、他方がテーパーのない貫通孔に形成されているが、本発明は、これに限るものではなく、図7に示す第2実施形態のように、内視鏡側の光源用コネクタ80に形成されたコネクタ側接続口81,82の両方を雌ルアーテーパー形状にしてもよい。なお、本実施形態では、電子内視鏡の光源用コネクタ、及びバルーン制御装置のコネクタ以外の構成は、上記第1実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0058】
第1及び第2のコネクタ側接続口81,82は、1箇所の接続部本体83に形成される。接続部本体83は、例えばプラスチックからなり、光源用コネクタ80を構成するケースと一体に形成される。第1及び第2のコネクタ側接続口81,82は互いに所定間隔を置いた位置に配されている。第1及び第2のコネクタ側接続口81,82は、ともに雌ルアーテーパー形状に形成されているが、最大開口面積、すなわち、接続部本体83の先端面における開口面積が異なる。
【0059】
なお、第1の流体管路54の他端は、第1のコネクタ側接続口81と連通し、第2の流体管路60の他端は、第2のコネクタ側接続口82と連通している。接続部本体83の外周面はコネクタ側接続口81,82を囲む略楕円形状に形成されている。また、接続部本体83の先端側には、外周面から突出するフランジ部83aが形成されている。
【0060】
接続部本体83と結合するコネクタ85は、上記第1実施形態のコネクタ70と同様の構成、すなわち、コネクタ本体72と、流体管73,74とからなり、チューブ68、69の先端に設けられている。コネクタ85は、例えばプラスチックなどから形成される。流体管73,74は、一方が雄ルアーテーパー形状の雄テーパー突出部74a、他方がテーパーのない円筒形突出部73aが形成されている。
【0061】
本実施形態では、コネクタ本体72の内周面に光源用コネクタ80の接続部本体83の外周面を嵌合させたとき、雄テーパー突出部74aと第2のコネクタ側接続口82とが嵌合するとともに、円筒形突出部73aが第1のコネクタ側接続口81を通過して第1の流体管路54に挿入される。第1の流体管路54に円筒形突出部73aが挿入されたとき、Oリング75が変形して第1の流体管路54に密着する。このようにして、Oリング75が円筒形突出部73a及び第1の流体管路54に圧接することにより、円筒形突出部73a及び第1の流体管路54の間を液密または気密を保って接続することができる。
【0062】
上述したように、光源用コネクタ80の接続部本体83に、1つのコネクタ85を結合させるだけで、チューブ68と第1の流体管路54、チューブ69と第2の流体管路60をそれぞれ接続することができる。さらに、バルーン制御装置62が故障などした場合は、コネクタ85を取り外して、第1及び第2のコネクタ側接続口81,82にシリンジなどを接続すれば、第1のバルーン42、及び第2のバルーン59を膨張・収縮させることができるので、バルーン制御装置62の故障時に容易に対応することができる。また、第1及び第2のコネクタ側接続口81,82は、最大開口面積、すなわち、接続部本体83の先端面における開口面積が異なるため、光源用コネクタ80とバルーン制御装置側のコネクタ85との接続において、接続間違いを防ぐことができる。
【0063】
上記第1及び第2実施形態では、バルーン制御装置側のコネクタ70,85に設けられた流体管73,74は、一方が雄ルアーテーパー形状に形成され、他方がテーパーのない円筒形状に形成されているが、本発明はこれに限るものではなく、図8に示す第3実施形態のように、バルーン制御装置側のコネクタ90に設けられた流体管91,92の両方を円筒形状にしてもよい。なお、本実施形態のコネクタ90は、上記第2実施形態と同様の第1及び第2のコネクタ側接続口81,82がともに雌ルアーテーパー形状に形成された接続部本体83と結合する。
【0064】
コネクタ90は、例えばプラスチックなどから形成され、コネクタ本体93と、流体管91,92とを有する。コネクタ本体93は、上記第1実施形態のコネクタ本体72と同様の形状に形成されている。流体管91,92は、コネクタ本体93の内部、且つ軸方向に沿って配され、先端側の一部分がコネクタ本体93の開放側から突出している。流体管91,92は、コネクタ本体93の内周面に光源用コネクタ80の接続部本体83の外周面を嵌合させたとき、第1及び第2のコネクタ側接続口81、82の位置に合わせて配されている。流体管91,92の基端側には、チューブ68、69が連設されている。
【0065】
流体管91,92は、テーパーのない円筒形突出部91a,92aが先端側に形成されている。円筒形突出部91a,92aの外周面には、パッキン部材としてのOリング75が設けられている。Oリング75は、ゴム等の弾性材からリング状に形成されており、円筒形突出部91a,92aの外周面に形成された溝91b,92bに嵌合して取り付けられる。本実施形態では、コネクタ本体93の内周面に光源用コネクタ15の接続部本体83の外周面を嵌合させたとき、円筒形突出部91a,92aが第1のコネクタ側接続口81,82を通過して第1及び第2の流体管路54,60に挿入される。第1及び第2の流体管路54,60に円筒形突出部91a,92aが挿入されたとき、Oリング75が変形して第1及び第2の流体管路54,60に密着する。このようにして、Oリング75が、円筒形突出部91a,92a、第1及び第2の流体管路54,60に圧接することにより、円筒形突出部91a及び第1の流体管路54の間と、円筒形突出部92a及び第2の流体管路60の間とを液密または気密を保って接続することができる。よって、本実施形態は、上記第1及び第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
上記第1〜第3実施形態では、バルーン制御装置側のコネクタ70,85,90に設けられた流体管の先端がテーパーのない円筒形突出部に形成されている場合、この円筒形突出部にパッキン部材としてのOリングを設けているが、本発明はこれに限るもものではなく、図9に示す第4実施形態のように、内視鏡側の光源用コネクタ100にパッキン部材を設けてもよい。光源用コネクタ100には、接続部本体102が設けられる。第1及び第2のコネクタ側接続口103,104は、1箇所の接続部本体102に形成される。接続部本体102は、例えばプラスチックからなり、光源用コネクタ100を構成するケースと一体に形成される。第1及び第2のコネクタ側接続口103,104は、ともに雌ルアーテーパー形状に形成されている。なお、これに限らず、一方の接続口がテーパーのない貫通孔に形成してもよい。また、接続部本体102の先端側には、外周面から突出するフランジ部102aが形成されている。
【0067】
第1及び第2のコネクタ側接続口103,104には、第1及び第2の流体管路105、106が連通する。なお、第1及び第2の流体管路105、106は、接続部本体102の内周面からなる管路と、上記第1実施形態の第1及び第2の流体管路54,60と同様の可撓性チューブとからなる管路が連設して構成される。第1及び第2の流体管路105、106の内周面には、パッキン部材としてのOリング101が設けられている。Oリング101は、ゴム等の弾性材からリング状に形成されており、第1及び第2の流体管路105、106の内周面に形成された溝105a,106aに嵌合して取り付けられる。
【0068】
接続部本体102と結合するコネクタ107は、例えばプラスチックなどから形成され、コネクタ本体108と、流体管109,110とを有する。コネクタ本体108は、上記第1実施形態のコネクタ本体72と同様の形状に形成されている。流体管109,110は、コネクタ本体108の内部、且つ軸方向に沿って配され、先端側の一部分がコネクタ本体108の開放側から突出している。流体管109,110は、コネクタ本体108の内周面に光源用コネクタ15の接続部本体83の外周面を嵌合させたとき、第1及び第2のコネクタ側接続口103、104の位置に合わせて配されている。流体管109,110の基端側には、チューブ68、69が連設されている。
【0069】
流体管109,110は、テーパーのない円筒形突出部109a,110aが先端側に形成されている。本実施形態では、コネクタ本体108の内周面に光源用コネクタ100の接続部本体102の外周面を嵌合させたとき、円筒形突出部109a,110aが第1及び第2のコネクタ側接続口103、104を通過して第1及び第2の流体管路105、106に挿入される。第1及び第2の流体管路105、106に円筒形突出部109a,110aが挿入されたとき、Oリング101が変形して第1及び第2の流体管路105、106に密着する。このようにして、Oリング101が、円筒形突出部109a,110a、第1及び第2の流体管路105、106に圧接することにより、円筒形突出部109a及び第1の流体管路105の間と、円筒形突出部110a及び第2の流体管路106の間とを液密または気密を保って接続することができる。よって、本実施形態は、上記第1〜第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
上記第1〜4実施形態では、バルーン制御装置側のコネクタに設けられた接続部が円筒形突出部の場合には、パッキン部材で液密または気密を保つ構造としているが、本発明はこれに限るものではなく、図10及び図11に示す第5実施形態のように、バルーン制御装置側のコネクタ120に設けられた接続部として雄テーパー突出部の場合でもパッキン部材で液密または気密を保つ構造にしてもよい。なお、本実施形態のコネクタ120は、上記第2実施形態と同様の第1及び第2のコネクタ側接続口81,82がともに雌ルアーテーパー形状に形成された接続部本体83と結合する。
【0071】
コネクタ120は、コネクタ本体121と、流体管122,123とを有する。コネクタ本体121は、上記第1実施形態のコネクタ本体72と同様の形状に形成されている。流体管122,123は、コネクタ本体121の内部、且つ軸方向に沿って配され、先端側の一部分がコネクタ本体121の開放側から突出している。流体管122,123は、コネクタ本体93の内周面に光源用コネクタ15の接続部本体83の外周面を嵌合させたとき、第1及び第2のコネクタ側接続口81、82の位置に合わせて配されている。流体管122,123の基端側には、チューブ68、69が連設されている。
【0072】
流体管122,123は、コネクタ本体121とは別体で、雄ルアーテーパー形状を有する雄テーパー突出部122a,123aが先端側に設けられている。雄テーパー突出部122a,123aは、例えばプラスチックなどから形成され、コネクタ本体121の内部に設けられた凹部121a,121bと嵌合し、コネクタ本体121に対して軸方向に沿って所定量移動可能に取り付けられている。
【0073】
雄テーパー突出部122a,123aを囲む位置、且つコネクタ本体121と雄テーパー突出部122a,123aとの間には、パッキン部材としてのOリング124,125が設けられている。Oリング124,125は、ゴム等の弾性材からリング状に形成されており、雄テーパー突出部122a,123aの基端部に嵌合して取り付けられる。本実施形態では、コネクタ本体121の内周面に光源用コネクタ80の接続部本体83の外周面を嵌合させたとき、雄テーパー突出部122a,123aが第1のコネクタ側接続口81,82に嵌合するとともに、Oリング124,125が変形して接続部本体83の先端面に密着する。このようにして、Oリング124,125が、コネクタ本体121、接続部本体83に圧接することにより、雄テーパー突出部122a及び第1の流体管路54の間と、雄テーパー突出部123a及び第2の流体管路60の間とを液密または気密を保って接続することができる。また、第1及び第2のコネクタ側接続口81,82は、最大開口面積が異なるため、雄テーパー突出部122a,123aの軸方向における位置の差が生じるが、上述したOリング124,125の変形によって、雄テーパー突出部122a,123aの軸方向における位置の差をOリング124,125が吸収することができる。
【0074】
なお、上記第5実施形態では、雄テーパー突出部122a,123aをプラスチックなどから形成し、Oリング124,125をゴム等の弾性材から形成して別体に設けているが、本発明はこれに限るものではなく、雄テーパー突出部122a及びOリング124と、雄テーパー突出部123a及びOリング125とをゴム等の弾性材から一体に形成するようにしてもよい。
【0075】
上記各実施形態では、コネクタ側接続部及び外部機器側接続部をテーパー形状にする場合、ルアーテーパー形状に形成しているが本発明はこれに限るものではなく、ルアーテーパーとは異なる勾配のテーパー形状に形成してもよい。また、第2〜第5実施形態では、コネクタ側接続部として最大開口面積の異なる雌ルアーテーパー形状の接続口が形成されているが、本発明はこれに限らず、コネクタ側接続部として複数の雌テーパー形状の接続口を有する場合、勾配の異なる雌テーパー形状の接続口に形成してもよい。
【0076】
上記各実施形態の電子内視鏡10では、流体を移送するための流体管路として、第1及び第2のバルーン42,59に流体を供給・吸引するための第1及び第2流体管路54,60,105,106が設けられ、これらと連通するコネクタ側接続口を例に上げているが、本発明はこれに限らず、挿入部の先端から被検体の管腔内に液体を噴射するためのウォータージェット管路や、挿入部先端部の観察窓を洗浄するための洗浄水を送水するための送水管路、観察窓に付着した液体を吹き飛ばすエアーを送気するための送気管路と連通する接続口などに関しても適用することができる。
【0077】
上記実施形態においては、撮像素子を用いて被検体の状態を撮像した画像を観察する電子内視鏡を例に上げて説明しているが、本発明はこれに限るものではなく、光学的イメージガイドを採用して被検体の状態を観察する内視鏡にも適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
2 電子内視鏡システム
10 電子内視鏡
54 第1の流体管路
60 第2の流体管路
56,83 接続部本体
57,81 第1のコネクタ側接続口
58,82 第2のコネクタ側接続口
68,69 チューブ
70,85,90,120 コネクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡と流体の供給・吸引を制御する外部機器と接続を行う内視鏡の流体管路接続構造及び内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内視鏡では、流体を移送する流体管路を備えていることが一般的である。この流体管路としては、例えば、先端部の観察窓を洗浄するための洗浄水を送水するための送水管路、観察窓に付着した液体を吹き飛ばすエアーを送気するための送気管路が設けられている。さらに、バルーン付きの内視鏡では、流体の供給・吸引を制御する制御装置から、膨張・収縮するバルーンへ流体を供給・吸引するための流体管路を備えている。また、内視鏡には、被検体の管腔内に液体を噴射するためのウォータージェット管路を設けているものがある。
【0003】
上述したように、内視鏡には、様々な流体管路が備えられており、内視鏡を使用するときには、外部機器と接続しなければならない。例えば、送気・送水管路は送気・送水装置と、バルーン用の流体管路はバルーン制御装置と接続する。また、内視鏡を洗浄するときには、各種流体管路と洗浄装置とを接続する。
【0004】
特許文献1に記載されているように、内視鏡に設けられた流体管路と、外部機器とを接続する内視鏡では、流体管路と連通する接続口が雌ルアーテーパー形状に形成されていることが一般的である。共通の雌ルアーテーパー形状にすることで、外部機器が故障した場合でも市販のシリンジ(注射器)などを接続口に接続して流体管路へ流体の供給・吸引を行うことができる。
【0005】
一方、内視鏡に複数の流体管路を備える場合、外部機器側の流体管路と、内視鏡側の流体管路とを1つずつ接続することは面倒である。そこで、特許文献2では、流体管路と連通する複数の接続口を1箇所にまとめ、これらの接続口に対して1つの専用アダプタで外部機器と接続できるようにしている。これにより、複数の流体管路と外部機器とを一度に接続することができる。また、専用アダプタを用いているため、内視鏡に設けられた別の接続口に接続することができず、接続間違いを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007−521870号公報
【特許文献2】特開平6−343605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2記載のような内視鏡では、流体管路と連通する内視鏡側の接続口は、専用アダプタと接続することは考慮されているもの、シリンジなどと接続することは考慮されておらず、接続口がテーパーを有する形状でもない。これにより、外部機器の故障時などの緊急時に接続口にシリンジなどを接続して対応することができない。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、複数の流体管路を一度に接続可能であり、且つ外部機器の故障時にも対応することが可能な内視鏡の流体管路接続構造及び内視鏡システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の内視鏡の流体管路接続構造は、内視鏡に設けられ、流体を移送するための複数の内視鏡側流体管路と、外部機器に設けられた複数の外部機器側流体管路とを接続する内視鏡の接続構造において、前記外部機器側流体管路と連通する複数の外部機器側接続部が形成された外部機器側コネクタと、前記内視鏡側流体管路と連通する複数の内視鏡側接続部が形成された内視鏡側コネクタとを有し、前記内視鏡側接続部の少なくとも1つは、前記外部機器側接続部と嵌合するテーパー形状であることを特徴とする。
【0010】
前記内視鏡側接続部の少なくとも1つは、雌テーパー形状を有する雌テーパー開口であることが好ましい。
【0011】
前記外部機器側接続構造の少なくとも1つは、雄テーパー形状を有し、中心部が中空に形成された雄テーパー突出部であり、前記雌テーパー開口は、前記雄テーパー突出部と嵌合することが好ましい。
【0012】
前記内視鏡側コネクタは、前記内視鏡側接続部として、雌テーパー形状の勾配又は最大開口面積がそれぞれ異なる前記雌テーパー開口が複数形成されていることが好ましい。
【0013】
前記内視鏡側コネクタは、前記内視鏡側接続部の少なくとも1つとして、テーパーのない貫通孔が形成されており、前記外部機器側コネクタは、前記外部機器側接続部としてテーパーのない円筒形突出部が形成されており、前記内視鏡側コネクタ及び前記外部機器側コネクタが結合されるとき、前記貫通孔は、前記円筒形突出部が挿入されることが好ましい。
【0014】
前記円筒形突出部の外周面、または前記貫通孔の内周面に取り付けられたパッキン部材を備えており、前記パッキン部材は、前記円筒形突出部が前記貫通孔に挿入されたとき、前記円筒形突出部及び前記貫通孔に圧接することにより前記雄テーパー突出部及び前記雌テーパー開口の間を液密または気密を保って接続することが好ましい。
【0015】
前記雄テーパー突出部を囲む位置に弾性を有するパッキン部材が設けられており、前記パッキン部材は、前記雄テーパー突出部が前記雌テーパー開口に嵌合したとき、前記外部機器側コネクタのケース、前記内視鏡側コネクタのケースに圧接することにより前記雄テーパー突出部及び前記雌テーパー開口の間を液密または気密を保って接続することが好ましい。
【0016】
前記外部機器側コネクタは、勾配、又は軸方向の長さが互いに異なる前記雄テーパー突出部を複数備え、前記雄テーパー突出部は、前記外部機器側コネクタのケースに対して軸方向に沿って所定量移動可能に取り付けられており、前記パッキン部材は、前記外部機器側コネクタのケースと前記雄テーパー突出部との間に配され、前記雌テーパー開口と前記雄テーパー突出部とが嵌合するとき、複数の前記雄テーパー突出部の軸方向における位置の差を前記パッキン部材が吸収することが好ましい。また、前記雄テーパー突出部は、前記パッキン部材と一体に形成されることが好ましい。さらにまた、前記雌テーパー開口の少なくとも1つは、雌ルアーテーパー形状であることが好ましい。
【0017】
本発明の内視鏡システムは、管腔内を撮像する撮像部、及び複数の内視鏡側流体管路が設けられた内視鏡と、複数の外部機器側流体管路が設けられた外部機器と、請求項1ないし10のいずれか1項記載の前記流体管路接続構造を用い、複数の前記内視鏡側流体管路と、複数の前記外部機器側流体管路とを接続する前記内視鏡側コネクタ、及び前記外部機器側コネクタとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、流体を移送するための内視鏡側流体管路と連通する複数の内視鏡側接続部の少なくとも1つは、外部機器側接続部と嵌合するテーパー形状であるので、複数の流体管路を一度に接続可能であり、且つ外部機器の故障時にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電子内視鏡システムの外観斜視図である。
【図2】内視鏡の先端部の構成を示す平面図である。
【図3】内視鏡における流体管路の構成を概略的に示す説明図である。
【図4】接続用アダプタの構成を示す斜視図である。
【図5】第1実施形態を適用した内視鏡側コネクタ及び慨部機器側コネクタの構成を示す斜視図である。
【図6】第1実施形態を適用した内視鏡側コネクタ及び慨部機器側コネクタの構成を示す要部断面図である。
【図7】第2実施形態を適用した内視鏡側コネクタ及び慨部機器側コネクタの構成を示す要部断面図である。
【図8】第3実施形態を適用した内視鏡側コネクタ及び慨部機器側コネクタの構成を示す要部断面図である。
【図9】第4実施形態を適用した内視鏡側コネクタ及び慨部機器側コネクタの構成を示す斜視図である。
【図10】第5実施形態を適用した内視鏡側コネクタ及び慨部機器側コネクタの構成を示す斜視図である。
【図11】第5実施形態を適用した内視鏡側コネクタ及び慨部機器側コネクタの構成を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1において、内視鏡システム2は、バルーン付きの電子内視鏡10、およびバルーン付きのオーバーチューブ11からなるダブルバルーン式の内視鏡を備える。電子内視鏡10は、被検体の管腔内(例えば大腸)に挿入される挿入部12と、この挿入部12の基端側に連設され、医師や技師などの術者が操作を行うための操作部13とを備える。操作部13にはユニバーサルコード14が接続され、ユニバーサルコード14の先端には光源用コネクタ15が設けられている。また、光源用コネクタ15からケーブル16が分岐され、このケーブル16の先端にはプロセッサ用コネクタ17が設けられている。光源用コネクタ15およびプロセッサ用コネクタ17は、光源装置18およびプロセッサ装置19にそれぞれ着脱自在に接続される。
【0021】
操作部13には、アングルノブ20や、挿入部12の先端からエアー、水を噴出させるための送気・送水ボタン21、吸引ボタン22等が設けられている。また、操作部13の挿入部12側には、電気メス等の処置具が挿通される鉗子口23が設けられている。
【0022】
挿入部12は、その先端に設けられ、被検体内撮影用の撮像素子等が内蔵された先端部24と、先端部24の基端に連設された湾曲自在な湾曲部25と、湾曲部25の基端に連設された可撓性を有する軟性部26とからなる。挿入部12には、オーバーチューブ11を着脱自在に装着することができる。軟性部26は、先端部24を体内の目的の位置に到達させるために数mの長さをもつ。湾曲部25は、操作部13のアングルノブ20の操作に連動して上下、左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部24を体内の所望の方向に向けることができる。
【0023】
図2において、先端部24の先端面30には、観察窓31、照明窓32、送気・送水ノズル33、および鉗子出口34が設けられている。観察窓31は、先端面30の片側中央に配置されている。照明窓32は、観察窓31に関して対称な位置に二個配されている。
【0024】
観察窓31の奥には、体内の被観察部位の像を取り込むための対物光学系、および被観察部位の像を撮像するCCDやCMOSイメージセンサ等の撮像素子が設けられている。撮像素子は、挿入部12、操作部13、ユニバーサルコード14に挿通されてプロセッサ用コネクタ17まで延設された信号ケーブルにてプロセッサ装置19に接続される。観察窓31から取り込まれた被観察部位の像は、撮像素子の受光面に結像されて撮像信号に変換される。プロセッサ装置19は、信号ケーブルを介して受けた撮像素子からの撮像信号に各種画像処理を行って映像信号に変換し、これをケーブル接続されたモニタ35(図1参照)に観察画像として表示させる。
【0025】
照明窓32の背後には、光源装置18の照射光源からの照明光を導くライトガイドの出射端が配されている。ライトガイドは、挿入部12、操作部13、ユニバーサルコード14に挿通されて光源用コネクタ15まで延設され、光源用コネクタ15内に入射端が配設される。ライトガイドで導かれた照明光は、照明窓32を介して体内の被観察部位に向けて照射される。
【0026】
送気・送水ノズル33は、送気・送水ボタン21の操作に応じて、光源装置18に内蔵の送気・送水装置から供給されるエアーや水を、観察窓31に向けて噴射する。鉗子出口34は、挿入部12内に配設された鉗子チャンネル(図示せず)に接続され、鉗子口23に連通している。鉗子口23に挿通された処置具の先端は、鉗子出口34から露呈される。
【0027】
オーバーチューブ11は、術者が把持する把持部40と、本体部41と、第1のバルーン42とを備える。把持部40は、プラスチック等の硬質材料からなる筒状体である。本体部41は、ポリウレタン等の可撓性材料によって略筒状に形成され、把持部40の先端側に外嵌されて固定される。
【0028】
図3に示すように、オーバーチューブ11の本体部41の内部には、その軸方向にわたって挿通管路44、オーバーチューブ側流体管路45が形成されている。挿通管路44は、電子内視鏡10の挿入部12が挿通される孔であり、且つその内径が挿入部12の外径よりも若干大きく形成されている。挿通管路44の内周面には、例えば、ポリビニルピロリドン等の親水性コート材(潤滑性コート材)がコーティングされている。
【0029】
オーバーチューブ11の使用時には、水等の潤滑剤を挿通管路44の内周面(挿入部12と本体部41との隙間)に供給し、挿入部12と本体部41との摩擦を低減する。潤滑剤は、図1に示すコネクタ47から注射器等(図示せず)で注入される。コネクタ47は細径のチューブ48に接続され、チューブ48の先端は挿通管路44の基端に連結される。コネクタ47から注入された潤滑剤は、チューブ48を通して挿通管路44の内周面に供給される。
【0030】
本体部41は、例えば、断面形状が一定のマルチルーメンチューブを加工することによって製造される。本体部41の先端には、内径を窄ませるためのテーパー49が形成されている(図1も参照)。このテーパー49を設けることで、挿通管路44に電子内視鏡10の挿入部12を挿通させた際に、挿入部12と本体部41の先端との隙間が狭くなり、本体部41の先端側への潤滑剤の漏出が防がれる。なお、テーパー49は、本体部41の先端の全周に設けてもよいし、一部を窄ませて形成してもよい。
【0031】
本体部41の先端部外周面には、第1のバルーン42が取り付けられる。第1のバルーン42は、ゴム等の弾性材によって端部が絞られた略筒状に形成されており、小径の先端部及び基端部と、中央の膨出部とを有する。この第1のバルーン42は、本体部41の先端外周面に被せられ、例えば、先端部及び基端部に糸を巻回し、その上に接着剤を塗布することによって本体部41に固定される。
【0032】
オーバーチューブ側流体管路45は、第1のバルーン42に流体(例えばエアー)を供給・吸引するための管路であり、挿通管路44の管壁内に設けられている。オーバーチューブ側流体管路45は、その先端側が第1のバルーン42の先端部の固定位置において閉塞されている。また、オーバーチューブ側流体管路45は、本体部41の外周面に形成されたバルーン用の開口50に連通されている。開口50は、第1のバルーン42の装着位置に形成され、この開口50から流体の供給・吸引を行うことによって第1のバルーン42が膨張・収縮される。オーバーチューブ側流体管路45の基端には、チューブ51が連設され、チューブ51の基端には、コネクタ52が連設される。
【0033】
図4に示すように、コネクタ52は、例えばプラスチックから形成される。コネクタ52の内面には、シリンジや後述するアダプタ53が着脱自在に接続可能なオーバーチューブ側接続口52aが形成されている。オーバーチューブ側接続口52aは、雌ルアーテーパー形状をしている。これにより、バルーン制御装置62が故障した場合でもオーバーチューブ側接続口52aにシリンジなどを接続して第1のバルーン42を膨張・収縮させることができる。また、コネクタ52の外周面には、被係止開口部52bが形成されている。
【0034】
電子内視鏡10は、操作部13、コード14、光源用コネクタ15の内部に配設され、第1のバルーン42に流体を供給・吸引するための第1の流体管路54を備えている。第1の流体管路54は、可撓性を有するチューブから構成される。電子内視鏡10の操作部13先端付近には、口金部55が設けられている。口金部55は、例えば、プラスチックまたは金属からなり、操作部13を構成するケースと一体に形成される。口金部55は、略円筒形状の外形で、且つ中心の位置にオーバーチューブ側流体管路45と接続するための操作部側接続口55aが形成されている。操作部側接続口55aは、雌ルアーテーパー形状をしている。また、口金部55の外周面には、被係止開口部55bが形成されている。
【0035】
接続用アダプタ53は、例えばプラスチックから形成され、両端部53a,53bが雄ルアーテーパー形状で、且つ中心が中空となっている。これにより、接続用アダプタ53の両端部53a,53bが、コネクタ52のオーバーチューブ側接続口52a、及び口金部55の操作部側接続口55aとそれぞれ嵌合して、オーバーチューブ側流体管路45と、第1の流体管路54とを接続用アダプタ53を介して連通することができる。
【0036】
また、接続用アダプタ53には、コネクタ52の被係止開口部52b、及び口金部55の被係止開口部55bを係止する係止爪53c,53dを備えている。接続用アダプタ53の両端部53a,53bが接続口52a及び接続口55aに嵌合したとき、係止爪53c,53dが被係止開口部52b及び被係止開口部55bを係止する。これにより、接続用アダプタ53がコネクタ52及び口金部55から離脱することを防止する。
【0037】
図5に示すように、光源用コネクタ15には、平坦面から突出する凸部状の接続部本体56が設けられている。接続部本体56は、例えばプラスチックからなり、光源用コネクタ15を構成するケースと一体に形成される。第1及び第2のコネクタ側接続口57、58(内視鏡側側接続部)は、1箇所の接続部本体56に形成される。第1及び第2のコネクタ側接続口57、58は互いに所定間隔を置いた位置に配されている。第1及び第2のコネクタ側接続口57,58のうち、一方の第2のコネクタ側接続口58は、雌ルアーテーパー形状に形成され、他方の第1のコネクタ側接続口57は、テーパーのない貫通孔に形成されている。第1の流体管路54は、一端が操作部側接続口55aと、他端が第1のコネクタ側接続口57と連通している。接続部本体56の外周面はコネクタ側接続口57、58を囲む略楕円形状に形成されている。また、接続部本体56の先端側には、外周面から突出するフランジ部56aが形成されている。
【0038】
挿入部12の先端部24には、第2のバルーン59が着脱自在に取り付けられる。第2のバルーン59は、第1のバルーン42と同様に、ゴム等の弾性材によって端部が絞られた略筒状に形成されており、小径の先端部及び基端部と、中央の膨出部とを有する。この第2のバルーン59は、内部に先端部24を挿通させて先端部24の所定位置に配置した後、例えば、先端部及び基端部にゴム製のリングを嵌め込むことによって、先端部24に固定される。
【0039】
電子内視鏡10には、挿入部12、操作部13、ユニバーサルコード14、光源用コネクタ15の内部に配され、第2のバルーン59に流体を供給・吸引するための第2の流体管路60が設けられている。第2の流体管路60は、可撓性を有するチューブから構成され、その先端側が第2のバルーン59の先端部の固定位置において閉塞されている。第2の流体管路60は、一端が先端部24の外周面に形成されたバルーン用の開口61に連通されている。開口61は、第2のバルーン59の装着位置に形成され、この開口61から流体の供給・吸引を行うことによって第2のバルーン59が膨張・収縮される。第2の流体管路60の他端は、第2のコネクタ側接続口58と連通している。第2の流体管路60は、第1の流体管路54とともにバルーン制御装置62に接続される。
【0040】
バルーン制御装置62は、オーバーチューブ側の第1のバルーン42と、電子内視鏡10側の第2のバルーン59とを交互に膨らませるために各バルーン42、59に別々に流体(例えば、エアー)の供給・吸引を行うもので、ポンプ、シーケンサ等が設けられた装置本体63と、リモートコントロール用のハンドスイッチ64とバルーン専用モニタ65とを備えている。
【0041】
バルーン制御装置62は、各バルーン42、59に流体を供給して膨張させたり、その流体圧を一定値に制御して各バルーン42、59を膨張状態に保持する。また、バルーン制御装置62は、各バルーン42、59から流体を吸引して収縮させたり、その流体圧を一定値に制御して各バルーン42、59を収縮状態に保持する。
【0042】
バルーン専用モニタ65には、各バルーン42、59を膨張、収縮させる際に、各バルーン42、59の圧力値や膨張・収縮状態が表示される。なお、各バルーン42、59の圧力値や膨張・収縮状態は、電子内視鏡10の観察画像にスーパーインポーズしてモニタ35に表示してもよい。
【0043】
バルーン制御装置62の装置本体63の前面パネルには、電源スイッチ、異常発生時等に操作される停止スイッチ、バルーン42、59用の圧力表示部(図示せず)等が設けられている。圧力表示部はバルーン42、59の圧力値を表示するパネルであり、バルーン42、59の破れ等の異常発生時には圧力表示部にエラーコードが表示される。
【0044】
また、装置本体63の前面パネルには、各バルーン42、59への流体供給・吸引用のチューブ68、69が取り付けられている。各チューブ68、69と、バルーン制御装置62との接続部分には、逆流防止ユニット(図示せず)が設けられている。逆流防止ユニットは、装置本体63の前面パネルに着脱自在に取り付けられている。逆流防止ユニットは、バルーン制御装置62の前面パネルに着脱自在に装着された中空円盤状のケースの内部に気液分離用のフィルタを組み込んで構成されており、バルーン42、59が破れた際、体液等の液体がバルーン制御装置62内に流入することを防止する。
【0045】
チューブ68、69の先端には、1つのコネクタ70が設けられている。コネクタ70を電子内視鏡10の光源用コネクタ15と結合させることにより、チューブ68と、電子内視鏡10の第1の流体管路54とを接続するとともに、チューブ69と電子内視鏡10の第2の流体管路60とを接続することができる。
【0046】
一方、ハンドスイッチ64には各種のスイッチが設けられる。例えば、装置本体63側に設けられた停止スイッチと同様の停止スイッチと、内視鏡側のバルーン42の加圧/減圧を指示する内視鏡ON/OFFスイッチと、オーバーチューブ側の第2のバルーン59の加圧/減圧を指示するオーバーチューブON/OFFスイッチなどが設けられており、このハンドスイッチ64はコード71を介して装置本体63に電気的に接続されている。
【0047】
図5に示すように、コネクタ70は、例えばプラスチックなどから形成され、コネクタ本体72と、流体管73,74(外部機器側接続部)とを有する。コネクタ本体72は、光源用コネクタ15の接続部本体56に対面する先端側が開放され、基端側が塞がれた筒形状であり、軸方向と直交する断面形状が2つの半円を繋いだ楕円形の断面となっている。
【0048】
流体管73,74は、コネクタ本体72の内部、且つ軸方向に沿って配され、先端側の一部分がコネクタ本体72の開放側から突出している。流体管73,74は、コネクタ本体72の内周面に光源用コネクタ15の接続部本体56の外周面を嵌合させたとき、第1及び第2のコネクタ側接続口57、58の位置に合わせて配されている。流体管73,74の基端側には、チューブ68、69が連設されている。
【0049】
一方の流体管74は、中心部が中空、且つ雄ルアーテーパー形状を有する雄テーパー突出部74a(外部機器側接続部)が先端側に形成されているため、雄テーパー突出部74aと第2のコネクタ側接続口58とを嵌合させることができる。雄ルアーテーパー形状の雄テーパー突出部74aと、雌ルアーテーパー形状の第2のコネクタ側接続口58とが嵌合するため、雄テーパー突出部74aと第2のコネクタ側接続口58との間を液密または気密を保って接続することができる。
【0050】
また、流体管73は、テーパーのない円筒形突出部73a(外部機器側接続部)が先端側に形成されており、第1のコネクタ側接続口57の内部に挿入される。円筒形突出部73aの外周面には、パッキン部材としてのOリング75が設けられている。Oリング75は、ゴム等の弾性材からリング状に形成されており、円筒形突出部73aの外周面に形成された溝73bに嵌合して取り付けられる。流体管73にOリング75を嵌合させたときのOリング75の外径は、第1のコネクタ側接続口57の外径よりも若干大きく形成されている。これにより、第1のコネクタ側接続口57に流体管73が挿入されたとき、Oリング75が変形して第1のコネクタ側接続口57に密着する。このようにして、Oリング75が円筒形突出部73a及びコネクタ側接続口57に圧接することにより、円筒形突出部73a及び第1のコネクタ側接続口57の間を液密または気密を保って接続することができる。
【0051】
また、コネクタ本体72の内周面には、接続部本体56のフランジ部56aを係止する係止爪72aが形成されており、コネクタ本体72の内周面に光源用コネクタ15の接続部本体56の外周面を嵌合させたとき、係止爪72aがフランジ部56aを係止してコネクタ本体52が接続部本体56から離脱することを防止する。
【0052】
コネクタ本体72と、接続部本体56との嵌合、及び雄ルアーテーパー形状の流体管74と雌ルアーテーパー形状の第2のコネクタ側接続口58との嵌合により、チューブ68と第1の流体管路54とを接続することができるとともに、チューブ69と第2の流体管路60とを接続することができる。
【0053】
コネクタ70と光源用コネクタ15との結合、及び接続用アダプタ53を介してオーバーチューブ側流体管路45と第1の流体管路54とを接続することにより、バルーン制御装置62から第1及び第2のバルーン42、59へ流体を供給・吸引可能な状態となる。
【0054】
上記構成の作用について説明する。電子内視鏡10を使用する場合、挿入部12にオーバーチューブ11を装着し、アダプタ53の両端部53a,53bをコネクタ52のオーバーチューブ側接続口52a、口金部55の操作部側接続口55aにそれぞれ嵌合し、バルーン制御装置62のコネクタ70を光源用コネクタ15と接続する。また、光源用コネクタ15およびプロセッサ用コネクタ17は、光源装置18およびプロセッサ装置19に接続する。
【0055】
術者は、電子内視鏡10の挿入部12とオーバーチューブ11をプッシュ式で交互に体内に挿入していき、必要に応じてバルーン制御装置62のハンドスイッチ64を操作して第1のバルーン42を膨張させるとともに第2のバルーン59を収縮させてオーバーチューブ11を被検体の管腔内に固定し、挿入部12をさらに深部に挿入する。あるいは、第1のバルーン42を収縮させるとともに第2のバルーン59を膨張させて挿入部12を被検体の管腔内に固定し、オーバーチューブ11をさらに深部に挿入する。このようにして挿入部12を管腔内の深部に挿入し、観察を行うことができる。
【0056】
上述したように、光源用コネクタ15の接続部本体56に、1つのコネクタ70を結合させるだけで、チューブ68と第1の流体管路54、チューブ69と第2の流体管路60をそれぞれ接続することができる。さらに、バルーン制御装置62が故障などした場合は、コネクタ70を取り外して、第2のコネクタ側接続口58にシリンジなどを接続すれば、第2のバルーン59を膨張・収縮させることができるので、バルーン制御装置62の故障時に容易に対応することができる。また、光源用コネクタ15に形成されたコネクタ側接続口57,58は、一方が雌ルアーテーパー形状、他方がテーパーのない貫通孔に形成されているので、光源用コネクタ15とコネクタ70との接続において接続間違いを防ぐことができる。
【0057】
上記第1実施形態では、内視鏡側の光源用コネクタ15に形成されたコネクタ側接続口57,58は、一方が雌ルアーテーパー形状、他方がテーパーのない貫通孔に形成されているが、本発明は、これに限るものではなく、図7に示す第2実施形態のように、内視鏡側の光源用コネクタ80に形成されたコネクタ側接続口81,82の両方を雌ルアーテーパー形状にしてもよい。なお、本実施形態では、電子内視鏡の光源用コネクタ、及びバルーン制御装置のコネクタ以外の構成は、上記第1実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0058】
第1及び第2のコネクタ側接続口81,82は、1箇所の接続部本体83に形成される。接続部本体83は、例えばプラスチックからなり、光源用コネクタ80を構成するケースと一体に形成される。第1及び第2のコネクタ側接続口81,82は互いに所定間隔を置いた位置に配されている。第1及び第2のコネクタ側接続口81,82は、ともに雌ルアーテーパー形状に形成されているが、最大開口面積、すなわち、接続部本体83の先端面における開口面積が異なる。
【0059】
なお、第1の流体管路54の他端は、第1のコネクタ側接続口81と連通し、第2の流体管路60の他端は、第2のコネクタ側接続口82と連通している。接続部本体83の外周面はコネクタ側接続口81,82を囲む略楕円形状に形成されている。また、接続部本体83の先端側には、外周面から突出するフランジ部83aが形成されている。
【0060】
接続部本体83と結合するコネクタ85は、上記第1実施形態のコネクタ70と同様の構成、すなわち、コネクタ本体72と、流体管73,74とからなり、チューブ68、69の先端に設けられている。コネクタ85は、例えばプラスチックなどから形成される。流体管73,74は、一方が雄ルアーテーパー形状の雄テーパー突出部74a、他方がテーパーのない円筒形突出部73aが形成されている。
【0061】
本実施形態では、コネクタ本体72の内周面に光源用コネクタ80の接続部本体83の外周面を嵌合させたとき、雄テーパー突出部74aと第2のコネクタ側接続口82とが嵌合するとともに、円筒形突出部73aが第1のコネクタ側接続口81を通過して第1の流体管路54に挿入される。第1の流体管路54に円筒形突出部73aが挿入されたとき、Oリング75が変形して第1の流体管路54に密着する。このようにして、Oリング75が円筒形突出部73a及び第1の流体管路54に圧接することにより、円筒形突出部73a及び第1の流体管路54の間を液密または気密を保って接続することができる。
【0062】
上述したように、光源用コネクタ80の接続部本体83に、1つのコネクタ85を結合させるだけで、チューブ68と第1の流体管路54、チューブ69と第2の流体管路60をそれぞれ接続することができる。さらに、バルーン制御装置62が故障などした場合は、コネクタ85を取り外して、第1及び第2のコネクタ側接続口81,82にシリンジなどを接続すれば、第1のバルーン42、及び第2のバルーン59を膨張・収縮させることができるので、バルーン制御装置62の故障時に容易に対応することができる。また、第1及び第2のコネクタ側接続口81,82は、最大開口面積、すなわち、接続部本体83の先端面における開口面積が異なるため、光源用コネクタ80とバルーン制御装置側のコネクタ85との接続において、接続間違いを防ぐことができる。
【0063】
上記第1及び第2実施形態では、バルーン制御装置側のコネクタ70,85に設けられた流体管73,74は、一方が雄ルアーテーパー形状に形成され、他方がテーパーのない円筒形状に形成されているが、本発明はこれに限るものではなく、図8に示す第3実施形態のように、バルーン制御装置側のコネクタ90に設けられた流体管91,92の両方を円筒形状にしてもよい。なお、本実施形態のコネクタ90は、上記第2実施形態と同様の第1及び第2のコネクタ側接続口81,82がともに雌ルアーテーパー形状に形成された接続部本体83と結合する。
【0064】
コネクタ90は、例えばプラスチックなどから形成され、コネクタ本体93と、流体管91,92とを有する。コネクタ本体93は、上記第1実施形態のコネクタ本体72と同様の形状に形成されている。流体管91,92は、コネクタ本体93の内部、且つ軸方向に沿って配され、先端側の一部分がコネクタ本体93の開放側から突出している。流体管91,92は、コネクタ本体93の内周面に光源用コネクタ80の接続部本体83の外周面を嵌合させたとき、第1及び第2のコネクタ側接続口81、82の位置に合わせて配されている。流体管91,92の基端側には、チューブ68、69が連設されている。
【0065】
流体管91,92は、テーパーのない円筒形突出部91a,92aが先端側に形成されている。円筒形突出部91a,92aの外周面には、パッキン部材としてのOリング75が設けられている。Oリング75は、ゴム等の弾性材からリング状に形成されており、円筒形突出部91a,92aの外周面に形成された溝91b,92bに嵌合して取り付けられる。本実施形態では、コネクタ本体93の内周面に光源用コネクタ15の接続部本体83の外周面を嵌合させたとき、円筒形突出部91a,92aが第1のコネクタ側接続口81,82を通過して第1及び第2の流体管路54,60に挿入される。第1及び第2の流体管路54,60に円筒形突出部91a,92aが挿入されたとき、Oリング75が変形して第1及び第2の流体管路54,60に密着する。このようにして、Oリング75が、円筒形突出部91a,92a、第1及び第2の流体管路54,60に圧接することにより、円筒形突出部91a及び第1の流体管路54の間と、円筒形突出部92a及び第2の流体管路60の間とを液密または気密を保って接続することができる。よって、本実施形態は、上記第1及び第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
上記第1〜第3実施形態では、バルーン制御装置側のコネクタ70,85,90に設けられた流体管の先端がテーパーのない円筒形突出部に形成されている場合、この円筒形突出部にパッキン部材としてのOリングを設けているが、本発明はこれに限るもものではなく、図9に示す第4実施形態のように、内視鏡側の光源用コネクタ100にパッキン部材を設けてもよい。光源用コネクタ100には、接続部本体102が設けられる。第1及び第2のコネクタ側接続口103,104は、1箇所の接続部本体102に形成される。接続部本体102は、例えばプラスチックからなり、光源用コネクタ100を構成するケースと一体に形成される。第1及び第2のコネクタ側接続口103,104は、ともに雌ルアーテーパー形状に形成されている。なお、これに限らず、一方の接続口がテーパーのない貫通孔に形成してもよい。また、接続部本体102の先端側には、外周面から突出するフランジ部102aが形成されている。
【0067】
第1及び第2のコネクタ側接続口103,104には、第1及び第2の流体管路105、106が連通する。なお、第1及び第2の流体管路105、106は、接続部本体102の内周面からなる管路と、上記第1実施形態の第1及び第2の流体管路54,60と同様の可撓性チューブとからなる管路が連設して構成される。第1及び第2の流体管路105、106の内周面には、パッキン部材としてのOリング101が設けられている。Oリング101は、ゴム等の弾性材からリング状に形成されており、第1及び第2の流体管路105、106の内周面に形成された溝105a,106aに嵌合して取り付けられる。
【0068】
接続部本体102と結合するコネクタ107は、例えばプラスチックなどから形成され、コネクタ本体108と、流体管109,110とを有する。コネクタ本体108は、上記第1実施形態のコネクタ本体72と同様の形状に形成されている。流体管109,110は、コネクタ本体108の内部、且つ軸方向に沿って配され、先端側の一部分がコネクタ本体108の開放側から突出している。流体管109,110は、コネクタ本体108の内周面に光源用コネクタ15の接続部本体83の外周面を嵌合させたとき、第1及び第2のコネクタ側接続口103、104の位置に合わせて配されている。流体管109,110の基端側には、チューブ68、69が連設されている。
【0069】
流体管109,110は、テーパーのない円筒形突出部109a,110aが先端側に形成されている。本実施形態では、コネクタ本体108の内周面に光源用コネクタ100の接続部本体102の外周面を嵌合させたとき、円筒形突出部109a,110aが第1及び第2のコネクタ側接続口103、104を通過して第1及び第2の流体管路105、106に挿入される。第1及び第2の流体管路105、106に円筒形突出部109a,110aが挿入されたとき、Oリング101が変形して第1及び第2の流体管路105、106に密着する。このようにして、Oリング101が、円筒形突出部109a,110a、第1及び第2の流体管路105、106に圧接することにより、円筒形突出部109a及び第1の流体管路105の間と、円筒形突出部110a及び第2の流体管路106の間とを液密または気密を保って接続することができる。よって、本実施形態は、上記第1〜第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
上記第1〜4実施形態では、バルーン制御装置側のコネクタに設けられた接続部が円筒形突出部の場合には、パッキン部材で液密または気密を保つ構造としているが、本発明はこれに限るものではなく、図10及び図11に示す第5実施形態のように、バルーン制御装置側のコネクタ120に設けられた接続部として雄テーパー突出部の場合でもパッキン部材で液密または気密を保つ構造にしてもよい。なお、本実施形態のコネクタ120は、上記第2実施形態と同様の第1及び第2のコネクタ側接続口81,82がともに雌ルアーテーパー形状に形成された接続部本体83と結合する。
【0071】
コネクタ120は、コネクタ本体121と、流体管122,123とを有する。コネクタ本体121は、上記第1実施形態のコネクタ本体72と同様の形状に形成されている。流体管122,123は、コネクタ本体121の内部、且つ軸方向に沿って配され、先端側の一部分がコネクタ本体121の開放側から突出している。流体管122,123は、コネクタ本体93の内周面に光源用コネクタ15の接続部本体83の外周面を嵌合させたとき、第1及び第2のコネクタ側接続口81、82の位置に合わせて配されている。流体管122,123の基端側には、チューブ68、69が連設されている。
【0072】
流体管122,123は、コネクタ本体121とは別体で、雄ルアーテーパー形状を有する雄テーパー突出部122a,123aが先端側に設けられている。雄テーパー突出部122a,123aは、例えばプラスチックなどから形成され、コネクタ本体121の内部に設けられた凹部121a,121bと嵌合し、コネクタ本体121に対して軸方向に沿って所定量移動可能に取り付けられている。
【0073】
雄テーパー突出部122a,123aを囲む位置、且つコネクタ本体121と雄テーパー突出部122a,123aとの間には、パッキン部材としてのOリング124,125が設けられている。Oリング124,125は、ゴム等の弾性材からリング状に形成されており、雄テーパー突出部122a,123aの基端部に嵌合して取り付けられる。本実施形態では、コネクタ本体121の内周面に光源用コネクタ80の接続部本体83の外周面を嵌合させたとき、雄テーパー突出部122a,123aが第1のコネクタ側接続口81,82に嵌合するとともに、Oリング124,125が変形して接続部本体83の先端面に密着する。このようにして、Oリング124,125が、コネクタ本体121、接続部本体83に圧接することにより、雄テーパー突出部122a及び第1の流体管路54の間と、雄テーパー突出部123a及び第2の流体管路60の間とを液密または気密を保って接続することができる。また、第1及び第2のコネクタ側接続口81,82は、最大開口面積が異なるため、雄テーパー突出部122a,123aの軸方向における位置の差が生じるが、上述したOリング124,125の変形によって、雄テーパー突出部122a,123aの軸方向における位置の差をOリング124,125が吸収することができる。
【0074】
なお、上記第5実施形態では、雄テーパー突出部122a,123aをプラスチックなどから形成し、Oリング124,125をゴム等の弾性材から形成して別体に設けているが、本発明はこれに限るものではなく、雄テーパー突出部122a及びOリング124と、雄テーパー突出部123a及びOリング125とをゴム等の弾性材から一体に形成するようにしてもよい。
【0075】
上記各実施形態では、コネクタ側接続部及び外部機器側接続部をテーパー形状にする場合、ルアーテーパー形状に形成しているが本発明はこれに限るものではなく、ルアーテーパーとは異なる勾配のテーパー形状に形成してもよい。また、第2〜第5実施形態では、コネクタ側接続部として最大開口面積の異なる雌ルアーテーパー形状の接続口が形成されているが、本発明はこれに限らず、コネクタ側接続部として複数の雌テーパー形状の接続口を有する場合、勾配の異なる雌テーパー形状の接続口に形成してもよい。
【0076】
上記各実施形態の電子内視鏡10では、流体を移送するための流体管路として、第1及び第2のバルーン42,59に流体を供給・吸引するための第1及び第2流体管路54,60,105,106が設けられ、これらと連通するコネクタ側接続口を例に上げているが、本発明はこれに限らず、挿入部の先端から被検体の管腔内に液体を噴射するためのウォータージェット管路や、挿入部先端部の観察窓を洗浄するための洗浄水を送水するための送水管路、観察窓に付着した液体を吹き飛ばすエアーを送気するための送気管路と連通する接続口などに関しても適用することができる。
【0077】
上記実施形態においては、撮像素子を用いて被検体の状態を撮像した画像を観察する電子内視鏡を例に上げて説明しているが、本発明はこれに限るものではなく、光学的イメージガイドを採用して被検体の状態を観察する内視鏡にも適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
2 電子内視鏡システム
10 電子内視鏡
54 第1の流体管路
60 第2の流体管路
56,83 接続部本体
57,81 第1のコネクタ側接続口
58,82 第2のコネクタ側接続口
68,69 チューブ
70,85,90,120 コネクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡に設けられ、流体を移送するための複数の内視鏡側流体管路と、外部機器に設けられた複数の外部機器側流体管路とを接続する内視鏡の流体管路接続構造において、
前記外部機器側流体管路と連通する複数の外部機器側接続部が形成された外部機器側コネクタと、
前記内視鏡側流体管路と連通する複数の内視鏡側接続部が形成された内視鏡側コネクタとを有し、
前記内視鏡側接続部の少なくとも1つは、前記外部機器側接続部と嵌合するテーパー形状であることを特徴とする内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項2】
前記内視鏡側接続部の少なくとも1つは、雌テーパー形状を有する雌テーパー開口であることを特徴とする請求項1記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項3】
前記外部機器側接続構造の少なくとも1つは、雄テーパー形状を有し、中心部が中空に形成された雄テーパー突出部であり、
前記雌テーパー開口は、前記雄テーパー突出部と嵌合することを特徴とする請求項2記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項4】
前記内視鏡側コネクタは、前記内視鏡側接続部として、雌テーパー形状の勾配又は最大開口面積がそれぞれ異なる前記雌テーパー開口が複数形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項5】
前記内視鏡側コネクタは、前記内視鏡側接続部の少なくとも1つとして、テーパーのない貫通孔が形成されており、
前記外部機器側コネクタは、前記外部機器側接続部としてテーパーのない円筒形突出部が形成されており、
前記内視鏡側コネクタ及び前記外部機器側コネクタが結合されるとき、前記貫通孔は、前記円筒形突出部が挿入されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項6】
前記円筒形突出部の外周面、または前記貫通孔の内周面に取り付けられたパッキン部材を備えており、
前記パッキン部材は、前記円筒形突出部が前記貫通孔に挿入されたとき、前記円筒形突出部及び前記貫通孔に圧接することにより前記雄テーパー突出部及び前記雌テーパー開口の間を液密または気密を保って接続することを特徴とする請求項5記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項7】
前記雄テーパー突出部を囲む位置に弾性を有するパッキン部材が設けられており、
前記パッキン部材は、前記雄テーパー突出部が前記雌テーパー開口に嵌合したとき、前記外部機器側コネクタのケース、前記内視鏡側コネクタのケースに圧接することにより前記雄テーパー突出部及び前記雌テーパー開口の間を液密または気密を保って接続することを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項8】
前記外部機器側コネクタは、勾配、又は軸方向の長さが互いに異なる前記雄テーパー突出部を複数備え、
前記雄テーパー突出部は、前記外部機器側コネクタのケースに対して軸方向に沿って所定量移動可能に取り付けられており、
前記パッキン部材は、前記外部機器側コネクタのケースと前記雄テーパー突出部との間に配され、
前記雌テーパー開口と前記雄テーパー突出部とが嵌合するとき、複数の前記雄テーパー突出部の軸方向における位置の差を前記パッキン部材が吸収することを特徴とする請求項7記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項9】
前記雄テーパー突出部は、前記パッキン部材と一体に形成されることを特徴とする請求項7記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項10】
前記雌テーパー開口の少なくとも1つは、雌ルアーテーパー形状であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項11】
管腔内を撮像する撮像部、及び複数の内視鏡側流体管路が設けられた内視鏡と、
複数の外部機器側流体管路が設けられた外部機器と、
請求項1ないし10のいずれか1項記載の前記流体管路接続構造を用い、複数の前記内視鏡側流体管路と、複数の前記外部機器側流体管路とを接続する前記内視鏡側コネクタ、及び前記外部機器側コネクタとを備えたことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項1】
内視鏡に設けられ、流体を移送するための複数の内視鏡側流体管路と、外部機器に設けられた複数の外部機器側流体管路とを接続する内視鏡の流体管路接続構造において、
前記外部機器側流体管路と連通する複数の外部機器側接続部が形成された外部機器側コネクタと、
前記内視鏡側流体管路と連通する複数の内視鏡側接続部が形成された内視鏡側コネクタとを有し、
前記内視鏡側接続部の少なくとも1つは、前記外部機器側接続部と嵌合するテーパー形状であることを特徴とする内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項2】
前記内視鏡側接続部の少なくとも1つは、雌テーパー形状を有する雌テーパー開口であることを特徴とする請求項1記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項3】
前記外部機器側接続構造の少なくとも1つは、雄テーパー形状を有し、中心部が中空に形成された雄テーパー突出部であり、
前記雌テーパー開口は、前記雄テーパー突出部と嵌合することを特徴とする請求項2記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項4】
前記内視鏡側コネクタは、前記内視鏡側接続部として、雌テーパー形状の勾配又は最大開口面積がそれぞれ異なる前記雌テーパー開口が複数形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項5】
前記内視鏡側コネクタは、前記内視鏡側接続部の少なくとも1つとして、テーパーのない貫通孔が形成されており、
前記外部機器側コネクタは、前記外部機器側接続部としてテーパーのない円筒形突出部が形成されており、
前記内視鏡側コネクタ及び前記外部機器側コネクタが結合されるとき、前記貫通孔は、前記円筒形突出部が挿入されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項6】
前記円筒形突出部の外周面、または前記貫通孔の内周面に取り付けられたパッキン部材を備えており、
前記パッキン部材は、前記円筒形突出部が前記貫通孔に挿入されたとき、前記円筒形突出部及び前記貫通孔に圧接することにより前記雄テーパー突出部及び前記雌テーパー開口の間を液密または気密を保って接続することを特徴とする請求項5記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項7】
前記雄テーパー突出部を囲む位置に弾性を有するパッキン部材が設けられており、
前記パッキン部材は、前記雄テーパー突出部が前記雌テーパー開口に嵌合したとき、前記外部機器側コネクタのケース、前記内視鏡側コネクタのケースに圧接することにより前記雄テーパー突出部及び前記雌テーパー開口の間を液密または気密を保って接続することを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項8】
前記外部機器側コネクタは、勾配、又は軸方向の長さが互いに異なる前記雄テーパー突出部を複数備え、
前記雄テーパー突出部は、前記外部機器側コネクタのケースに対して軸方向に沿って所定量移動可能に取り付けられており、
前記パッキン部材は、前記外部機器側コネクタのケースと前記雄テーパー突出部との間に配され、
前記雌テーパー開口と前記雄テーパー突出部とが嵌合するとき、複数の前記雄テーパー突出部の軸方向における位置の差を前記パッキン部材が吸収することを特徴とする請求項7記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項9】
前記雄テーパー突出部は、前記パッキン部材と一体に形成されることを特徴とする請求項7記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項10】
前記雌テーパー開口の少なくとも1つは、雌ルアーテーパー形状であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項記載の内視鏡の流体管路接続構造。
【請求項11】
管腔内を撮像する撮像部、及び複数の内視鏡側流体管路が設けられた内視鏡と、
複数の外部機器側流体管路が設けられた外部機器と、
請求項1ないし10のいずれか1項記載の前記流体管路接続構造を用い、複数の前記内視鏡側流体管路と、複数の前記外部機器側流体管路とを接続する前記内視鏡側コネクタ、及び前記外部機器側コネクタとを備えたことを特徴とする内視鏡システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−106711(P2013−106711A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252939(P2011−252939)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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