説明

内視鏡システム、光学装置、および波長可変素子の透過光の波長帯域のずれ補正方法

【課題】周囲温度の変化による波長可変素子への影響を簡素な構成で確実に補正する。
【解決手段】内視鏡システム2の光源装置12は、透過光の波長帯域が可変する波長可変素子58を有する。波長可変素子58には温度センサ76が配されている。プロセッサ装置11のCPU40は、温度センサ76の測定結果に応じた波長可変素子58の圧電アクチュエータ70の駆動電圧の補正値を駆動電圧補正テーブル80から取得し、この補正値で圧電アクチュエータ70の駆動電圧を補正する粗調整を行う。画像処理回路44は、CCD33の分光感度特性から、波長可変素子58の透過光の設定波長帯域における感度Sとなるよう、粗調整後の波長帯域における感度を補正する微調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過光の波長帯域が可変する波長可変素子を備える内視鏡システム、光学装置、および波長可変素子の透過光の波長帯域のずれ補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療、工業分野において内視鏡を利用した検査が広く普及している。周知の如く、内視鏡は被検体内に挿入する挿入部の先端部から被検体の被観察部位に照明光を照射し、被観察部位の像を取り込む。
【0003】
従来、照明光の光源にはキセノンランプやメタルハライドランプ等の白色光源が用いられていたが、病変の発見を容易にするために狭い波長帯域の光(狭帯域光)を被観察部位に照射し、その反射光を画像化して観察する手法が脚光を浴びている。この手法によれば、粘膜下層部の血管を強調した画像や、胃壁、腸の表層組織等の臓器の構造物を強調した画像を容易に得ることができる。また、異なる複数の波長帯域の狭帯域光を照射して得られた複数の撮像信号の輝度比に基づき、血管中のヘモグロビンの酸素飽和度や血管深さの情報を取得する方法も鋭意研究されている。
【0004】
こうした狭帯域光を利用する内視鏡では、従来、帯域制限フィルタを照明光の光路中に配置する等して狭帯域光を作り出していたが、種々の波長帯域の狭帯域光をより手軽に作り出すため、エタロン等の波長可変素子の使用が検討されている(特許文献1および2参照)。エタロンは、圧電アクチュエータ等を用いて二枚の高反射光フィルタからなる基板の面間隔を変更することで、透過光の波長帯域を制御する素子である。
【0005】
特許文献1では、エタロンの基板の面間隔の基準位置を調整している。エタロンと撮像素子の光路中に帯域制限フィルタを設け、フィルタの透過率が急激に変化する波長帯域にかけてエタロンの圧電アクチュエータに印加する電圧を段階的に変化させ、エタロンを透過した光の強度をモニタリングする。そして、光の強度が急激に変化したときの圧電アクチュエータに印加した電圧値を基準電圧値とし、そのときの面間隔を基準面間隔としている。
【0006】
特許文献2に記載のエタロンは、基板の面間隔を測定する第1静電容量センサと、低熱膨張ガラス等の周囲環境(温度)で変化しない固定部材に固定された第2静電容量センサとを備える。各静電容量センサは材質、形状および温湿度特性等が同一であり、第1静電容量センサは基板の面間隔に応じて出力が変化するが、第2静電容量センサは常に一定の間隔を測定するため出力は変化しない。この第2静電容量センサの出力をリファレンスとして用い、第1静電容量センサの出力を補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4504078号
【特許文献2】特開2010−224011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
エタロン等の波長可変素子は、基板の面間隔や平行度等の高精度な制御が必要であるため外来ノイズに対して脆弱である。特に周囲温度の変化によって圧電アクチュエータ等の構成部品の特性が変わり、その影響で透過光の波長帯域(中心波長)が所望の値からずれることがある。こうしたことが起こると、狭帯域光による上記各種の観察に支障が生じ、場合によっては医療ミスに繋がる危険性もある。この対策として波長可変素子の放熱性を高めて周囲温度の影響を除去することも考えられるが、放熱機構を新たに設けると装置が大型化する。
【0009】
特許文献1に記載の技術によれば、一応は透過光の波長帯域のずれを補正することができる。しかしながら帯域制限フィルタを設ける必要があり、圧電アクチュエータへの印加電圧を段階的に変化させて透過光の強度をモニタリングするので、構成が大掛かりで且つ補正にある程度時間が掛かる。このため、刻々と変化する周囲温度による透過光の波長帯域のずれをリアルタイムで補正するには不向きである。
【0010】
特許文献2は、あくまでも基板の面間隔を測定する静電容量センサの周囲温度の変化による影響を補正するもので、波長可変素子自体への影響を補正するものではない。
【0011】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、周囲温度の変化による波長可変素子への影響を簡素な構成で確実に補正することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の内視鏡システムは、被検体の被観察部位に照明光を照射して被観察部位の像を結像させる光路中に配され、透過光の波長帯域が可変する波長可変素子と、前記波長可変素子の周囲温度を測定する温度センサと、周囲温度に対する前記波長可変素子の透過光の設定波長帯域からのずれの情報を記憶する記憶部と、前記温度センサの測定結果、および前記記憶部に記憶されたずれの情報に応じて、周囲温度の変化による前記波長可変素子の透過光の波長帯域のずれを補正する補正部とを備えることを特徴とする。
【0013】
前記補正部は、前記温度センサの測定結果に応じて前記波長可変素子の駆動パラメータを補正する第一補正手段を有する。
【0014】
この場合、前記記憶部は、周囲温度に対する前記波長可変素子の駆動パラメータの補正値の情報を記憶する。前記第一補正手段は、前記温度センサの測定結果に対応する補正値を前記記憶部から読み出して補正を行う。
【0015】
前記補正部は、被観察部位の像が結像される撮像素子の分光感度特性に基づき、前記波長可変素子の透過光の設定波長帯域における感度となるよう、周囲温度の変化によりずれた波長帯域における感度を補正する第二補正手段を有する。具体的には、前記第二補正手段は、設定波長帯域の中心波長における感度Sとずれた波長帯域の中心波長における感度S’との比S/S’を撮像素子から出力された撮像信号に乗算する。
【0016】
前記第一補正手段で前記波長可変素子の透過光の波長帯域のずれを粗く補正した後、これで補正しきれなかった分を前記第二補正手段で補正することが好ましい。また、前記第一、第二補正手段のいずれかのみで補正を行うか、両方で補正を行うかを判定する判定部を備えることが好ましい。
【0017】
前記波長可変素子は、被観察部位に照明光を照射する照明光学系に配され、狭い波長帯域の照明光を生成する。内視鏡システムは、前記波長可変素子で生成された狭い波長帯域の照明光を用いて、生体内組織の特定対象を強調した画像を得る。あるいは血管中のヘモグロビンの酸素飽和度、血管深さといった血管情報を得てもよい。
【0018】
前記波長可変素子は、アクチュエータにより二枚の高反射光フィルタからなる基板の面間隔を変更することで透過光の波長帯域を制御するエタロン、または偏光フィルタ間に複屈折フィルタとネマティック液晶セルを挟んで構成され、液晶セルへの印加電圧を変更することで透過光の波長帯域を制御する液晶チューナブルフィルタである。
【0019】
本発明の光学装置は、透過光の波長帯域が可変する波長可変素子と、前記波長可変素子の周囲温度を測定する温度センサと、周囲温度に対する前記波長可変素子の透過光の設定波長帯域からのずれの情報を記憶する記憶部と、前記温度センサの測定結果、および前記記憶部に記憶されたずれの情報に応じて、周囲温度の変化による前記波長可変素子の透過光の波長帯域のずれを補正する補正部とを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明の波長可変素子の透過光の波長帯域のずれ補正方法は、透過光の波長帯域が可変する波長可変素子の周囲温度を温度センサで測定し、温度センサの測定結果、および周囲温度に対する前記波長可変素子の透過光の設定波長帯域からのずれの情報に応じて、周囲温度の変化による波長可変素子の透過光の波長帯域のずれを補正することを特徴とする。
【0021】
温度センサの測定結果に応じて波長可変素子の駆動パラメータを補正する第一補正ステップを備える。また、波長可変素子の透過光による像が結像される撮像素子の分光感度特性に基づき、波長可変素子の透過光の設定波長帯域における感度となるよう、周囲温度の変化によりずれた波長帯域における感度を補正する第二補正ステップを備える。
【0022】
前記第一補正ステップで波長可変素子の透過光の波長帯域のずれを粗く補正した後、これで補正しきれなかった分を前記第二補正ステップで補正することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、波長可変素子の周囲温度を温度センサで測定し、その測定結果、および周囲温度に対する波長可変素子の透過光の設定波長帯域からのずれの情報に応じて、周囲温度の変化による波長可変素子の透過光の波長帯域のずれを補正するので、周囲温度の変化による波長可変素子への影響を簡素な構成で確実に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】電子内視鏡システムの構成を示す外観図である。
【図2】電子内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
【図3】波長可変素子の構成、白色光および狭帯域光の分光強度分布、並びに波長可変素子の分光透過率を示す図である。
【図4】駆動電圧補正テーブルを示す図である。
【図5】CCDの分光感度特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1において、電子内視鏡システム2は、電子内視鏡10、プロセッサ装置11、および光源装置12からなる。電子内視鏡10は、周知の如く、被検体(患者)内に挿入される可撓性の挿入部13と、挿入部13の基端部分に連設された操作部14と、プロセッサ装置11および光源装置12に接続されるコネクタ15と、操作部14、コネクタ15間を繋ぐユニバーサルコード16とを有する。
【0026】
操作部14には、挿入部13の先端部17を上下左右方向に湾曲させるためのアングルノブや、送気・送水ノズルからエアー、水を噴出させるための送気・送水ボタンの他、観察画像を静止画記録するためのレリーズボタンといった操作部材が設けられている。
【0027】
また、操作部14の先端側には、電気メス等の処置具が挿通される鉗子口が設けられている。鉗子口は、挿入部13内の鉗子チャンネルを通して、先端部17に設けられた鉗子出口に連通している。
【0028】
プロセッサ装置11は、光源装置12と電気的に接続され、電子内視鏡システム2の動作を統括的に制御する。プロセッサ装置11は、ユニバーサルコード16や挿入部13内に挿通された伝送ケーブルを介して電子内視鏡10に給電を行い、先端部17に搭載されたCCD33(図2参照)の駆動を制御する。また、プロセッサ装置11は、伝送ケーブルを介してCCD33から出力された撮像信号を受信し、受信した撮像信号に各種処理を施して画像データを生成する。プロセッサ装置11で生成された画像データは、プロセッサ装置11にケーブル接続されたモニタ18に観察画像として表示される。
【0029】
電子内視鏡システム2には、被検体の被観察部位に白色光を照射して観察する通常観察モードと、被観察部位に狭い波長帯域の光(狭帯域光)を照射して観察する特殊観察モードと、通常、特殊観察モードを同時に行う同時観察モードとが用意されている。各モードの切替は操作部14のモード切替スイッチ19を操作することにより行われる。電子内視鏡システム2の電源投入直後は通常観察モードが自動的に選択される。
【0030】
図2において、先端部17には、観察窓30、照明窓31等が設けられている。観察窓30の奥には、レンズ群およびプリズムからなる対物光学系32を介して、被検体内撮影用のCCD33が配されている。照明窓31は、ユニバーサルコード16や挿入部13に配設されたライトガイド34、および照明レンズ35で導光される光源装置12からの照明光を被観察部位に照射する。
【0031】
CCD33は、観察窓30、対物光学系32を経由した被検体内の被観察部位の像が撮像面に入射するように配置されている。撮像面には複数の色セグメントからなるカラーフィルタ、例えばベイヤー配列の原色(RGB)カラーフィルタが形成されている。
【0032】
操作部14には、アナログ信号処理回路(以下、AFEと略す)36、CCD駆動回路37、およびCPU38が設けられている。AFE36は、相関二重サンプリング回路(以下、CDSと略す)、自動ゲイン制御回路(以下、AGCと略す)、およびアナログ/デジタル変換器(以下、A/Dと略す)から構成されている。CDSは、CCD33から出力される撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、CCD33で生じるリセット雑音およびアンプ雑音の除去を行う。AGCは、CDSによりノイズ除去が行われた撮像信号を、プロセッサ装置11から指定されるゲイン(増幅率)で増幅する。A/Dは、AGCにより増幅された撮像信号を所定のビット数のデジタル信号に変換する。A/Dでデジタル化された撮像信号は、伝送ケーブルを介してプロセッサ装置11の画像処理回路44に入力される。
【0033】
CCD駆動回路37は、CCD33の駆動パルス(垂直/水平走査パルス、電子シャッタパルス、読み出しパルス、リセットパルス等)とAFE36用の同期パルスとを発生する。CCD33は、CCD駆動回路37からの駆動パルスに応じて撮像動作を行い、撮像信号を出力する。AFE36の各部は、CCD駆動回路37からの同期パルスに基づいて動作する。
【0034】
CPU38は、電子内視鏡10とプロセッサ装置11とが接続された後、プロセッサ装置11のCPU40からの動作開始指示に基づいて、CCD駆動回路37を駆動させるとともに、CCD駆動回路37を介してAFE36のAGCのゲインを調整する。
【0035】
CPU40は、プロセッサ装置11全体の動作を統括的に制御する。CPU40は、図示しないデータバスやアドレスバス、制御線を介して各部と接続している。ROM41には、プロセッサ装置11の動作を制御するための各種プログラム(OS、アプリケーションプログラム等)やデータ(グラフィックデータ等)が記憶されている。CPU40は、ROM41から必要なプログラムやデータを読み出して、作業用メモリであるRAM42に展開し、読み出したプログラムを逐次処理する。また、CPU40は、検査日時、患者や術者の情報等の文字情報といった検査毎に変わる情報を、プロセッサ装置11の操作パネルやLAN(Local Area Network)等のネットワークより得て、RAM42に記憶する。
【0036】
操作部43は、プロセッサ装置11の筐体に設けられる操作パネル、あるいは、マウスやキーボード等の周知の入力デバイスである。CPU40は、操作部43、および電子内視鏡10の操作部14にあるレリーズボタンやモード切替スイッチ19等からの操作信号に応じて、各部を動作させる。
【0037】
画像処理回路44は、電子内視鏡10から入力された撮像信号に対して、色補間、ホワイトバランス調整、ガンマ補正、画像強調、画像用ノイズリダクション、色変換等の各種画像処理を施す。また、画像処理回路44は、狭帯域光の波長帯域のずれを補正する後述する感度補正処理も行う。
【0038】
表示制御回路45は、CPU40からROM41およびRAM42のグラフィックデータを受け取る。グラフィックデータには、観察画像の無効画素領域を隠して有効画素領域のみを表示させる表示用マスク、検査日時、あるいは患者や術者、現在選択されている観察モード等の文字情報、グラフィカルユーザインターフェース(GUI;Graphical User Interface)等がある。表示制御回路45は、画像処理回路44からの画像に対して、表示用マスク、文字情報、GUIの重畳処理、モニタ18の表示画面への描画処理等の各種表示制御処理を施す。
【0039】
表示制御回路45は、画像処理回路44からの画像を一時的に格納するフレームメモリを有する。表示制御回路45は、フレームメモリから画像を読み出し、読み出した画像をモニタ18の表示形式に応じたビデオ信号(コンポーネント信号、コンポジット信号等)に変換する。これにより、モニタ18に観察画像が表示される。
【0040】
プロセッサ装置11には、上記の他にも、画像に所定の圧縮形式(例えばJPEG形式)で画像圧縮を施す圧縮処理回路や、圧縮された画像をCFカード、光磁気ディスク(MO)、CD−R等のリムーバブルメディアに記録するメディアI/F、LAN等のネットワークとの間で各種データの伝送制御を行うネットワークI/F等が設けられている。これらはデータバス等を介してCPU40と接続されている。
【0041】
光源装置12は、通常観察用光源50および特殊観察用光源51を有する。各光源50、51は同じ構成であり、青色〜赤色までのブロードな波長の光、例えば図3の左側のグラフに示すような400nm以上750nm以下の波長帯の白色光を発生するキセノンランプやハロゲンランプ、白色LED(発光ダイオード)等である。あるいは、青色光または紫外光の励起光と、これにより励起発光される蛍光体の緑色〜黄色〜赤色の蛍光との合波光で白色光を生成する光源を用いてもよい。
【0042】
各光源50、51は、光源ドライバ52、53によってそれぞれ駆動される。集光レンズ54、55は、各光源50、51から発せられた各光を集光して、各光源50、51の出射端側に配された二本のライトガイド34a、34bに導光する。ライトガイド34a、34bは、周知の光ファイバの合波技術によって、光源装置12内で合流して一本のライトガイド34となる。集光レンズ54、55とライトガイド34a、34bの間には、ライトガイド34a、34bの入射端に入射させる光の光量を調節するための可動絞り56、57が設けられている。なお、ライトガイド34を34a、34bの二股に分けるのではなく、各光源50、51用に二本のライトガイドを設けてもよい。
【0043】
特殊観察用光源51と集光レンズ55の間には、波長可変素子58が設けられている。波長可変素子58は、素子ドライバ59により駆動される。波長可変素子58は、図3の中央、および右側のグラフに示すように、入射光のうちの特定の波長帯域の光を選択的に透過させ、且つ透過させる光の波長帯域を変更可能な素子である。光源装置12のCPU60は、プロセッサ装置11のCPU40と通信し、光源ドライバ52、53、可動絞り56、57、および素子ドライバ59の動作制御を行う。
【0044】
図3において、本例の波長可変素子58は、素子ドライバ59で圧電アクチュエータ70を駆動することにより、二枚の高反射光フィルタからなる基板71、72の面間隔dを変更し、以て透過光の波長帯域を制御するエタロンである。波長可変素子58は、例えば5nm刻みで透過光の波長帯域の中心波長を変更可能である。
【0045】
圧電アクチュエータ70、および基板71、72は筐体73内に収容されている。筐体73には光を入射、または出射させるための開口74、75が設けられている。基板71は筐体73に固定され、基板72は圧電アクチュエータ70の駆動により光軸と平行に移動可能である。基板72が移動することによって面間隔dが変化する。特殊観察用光源51から発せられて波長可変素子58に入射した白色光は、面間隔dによって決まる透過光の波長帯域の光のみが取り出されて、狭帯域光として波長可変素子58から出射される。
【0046】
筐体73には温度センサ76が内蔵されている。温度センサ76には例えば熱電対が用いられ、筐体73内の圧電アクチュエータ70近傍の温度を測定する。温度センサ76は、CPU60を介してCPU40に測定結果を出力する。
【0047】
CPU40は、温度センサ76からの測定結果を受けて、素子ドライバ59による圧電アクチュエータ70の駆動電圧を補正する。具体的には図4に示す駆動電圧補正テーブル80を用いる。駆動電圧補正テーブル80はROM41に記憶されている。駆動電圧補正テーブル80には、温度に対する圧電アクチュエータ70の駆動電圧の補正値、および波長可変素子58の所望の設定波長帯域(中心波長)からのずれ量が予め実験により求められて登録されている。例えば温度が10.0℃、10.5℃の場合の駆動電圧の補正値は0.8V、44.5℃、45.0℃の場合は−1.2Vである。25.0℃、25.5℃のときは0であり、補正は行われない。なお、図4に記載した各数値は一例であり、必ずしも実際の数値を表すものではない。
【0048】
各基板71、72の面間隔dは温度により変動する。これは主に圧電アクチュエータ70を構成する圧電素子が温度に起因するノイズ成分の影響を受けるためである。温度が高くなると面間隔dは所望の値よりも広がり、温度が低くなると狭まる。波長可変素子58は熱源である特殊観察用光源51の近傍に置かれるため、特に温度変化の影響を受け易い。
【0049】
本例では25.0℃を基準にして、25.0℃以上では面間隔dのずれ量がプラス、25℃未満ではマイナスとなる。このように面間隔dが温度依存で所望の値からずれると、図4で透過光の波長帯域の中心波長ずれ量として示すように、当然透過光の波長帯域も所望の値からずれる。例えば温度が10.0℃の場合の中心波長のずれ量は−42.7nm、45.0℃の場合は64.7nmである。
【0050】
そこで、温度による透過光の波長帯域のずれが解消するように、面間隔dひいては圧電アクチュエータ70の駆動電圧を補正する必要がある。CPU40は、CPU60および素子ドライバ59を介して駆動電圧補正テーブル80に登録された補正値で圧電アクチュエータ70の駆動電圧を補正し、透過光の波長帯域を所望の値に近付ける。
【0051】
図4に中心波長補正量として示すように、上記の駆動電圧補正テーブル80を用いた補正(以下、粗調整という)では、透過光の波長帯域の中心波長ずれ量が0にならない場合がある。例えば温度が44.5℃の場合のずれ量は63.2nmであるが補正量は−65nmであるため、依然として所望の値よりも1.8nm短波長側にずれていることになる。これは波長可変素子58による透過光の波長帯域の中心波長の分解能が例示するように5nm刻みであることが原因で、それ以下のずれ量の補正は粗調整で行うことはできない。
【0052】
粗調整で補正しきれない分は、画像処理回路44における感度補正処理(以下、微調整という)で充足させる。図5には、CCD33の画素のRGBそれぞれの光に対する感度特性が描かれている。例えばB光の感度領域にあたる透過光の波長帯域の設定中心波長Xに対して、粗調整後の中心波長がX’と短波長側にずれていた場合、B光に対する感度は設定中心波長Xにおける感度SからS’に低下する。この感度のずれを画像処理回路44にて補正する。具体的には、感度SとS’の比をCCD33のB画素の撮像信号に乗算する。例えば感度Sが1、S’が0.8であった場合は、その比1/0.8=1.25を乗算する。こうすれば、中心波長X’の狭帯域光を照射して得た撮像信号を、中心波長Xの狭帯域光を照射して得た撮像信号として扱うことができる。
【0053】
なお、撮像信号に感度比を乗算する画素の色は、画像化する場合に使用する色によって予め決められている。例えば波長500nmの場合はBとGの感度特性を両方得られるが、B画素に感度比を乗算する。
【0054】
CPU40は、粗調整で補正しきれない透過光の波長帯域の中心波長のずれ量を駆動電圧補正テーブル80から取得する。そして、これと図5のCCD33の分光感度特性とから感度SとS’のデータを得て、その比を算出して画像処理回路44に与える。画像処理回路44は、CPU40から与えられた比で撮像信号を補正する。言う迄もないが、粗調整で狭帯域光の中心波長のずれ量が0になった場合は、画像処理回路44による上記微調整は行われない。
【0055】
通常観察モードが選択された場合、CPU40は、CPU60を介して光源ドライバ52の駆動を制御して、通常観察用光源50のみを点灯させる。被観察部位に照射される照明光は白色光のみとなる。特殊観察モードが選択された場合は、通常観察用光源50を消灯させて特殊観察用光源51を点灯させる。被観察部位に照射される照明光は、波長可変素子58により透過された狭帯域光のみとなる。同時観察モードが選択された場合は、通常観察用光源50と特殊観察用光源51を同時に点灯させ、被観察部位に白色光と狭帯域光を同時に照射させる。あるいは、通常観察用光源50と特殊観察用光源51をCCD33の信号電荷の蓄積期間単位で交互に点灯させて、白色光を照射して得られた画像と狭帯域光を照射して得られた画像をモニタ18に並列表示してもよい。
【0056】
特殊、同時観察モードでは、プロセッサ装置11の操作パネルを操作する等して、狭帯域光の中心波長を選択することが可能である。選択可能な狭帯域光の中心波長としては、例えば450、500、550、600、780nmが挙げられる。450nmの狭帯域光は、表層の血管やピットパターン等の被観察部位表面の微細構造の観察に適している。500nmの狭帯域光では、被観察部位の陥凹や隆起等のマクロな凹凸構造を観察することができる。550nmの狭帯域光は、ヘモグロビンによる吸収率が高く、微細血管や発赤の観察に適し、600nmの狭帯域光は肥厚の観察に適している。深層血管の観察には、インドシアニングリーン(ICG;Indocyanine green)等の蛍光物質を静脈注射し、780nmの狭帯域光を用いることで明瞭に観察することができる。
【0057】
酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光特性の違いを利用して血管中のヘモグロビンの酸素飽和度の情報を得たり、波長帯域によって光の深達度が異なることを利用して血管深さの情報を得るため、例えば中心波長405nm、445nm、473nmの三つの狭帯域光を照射しても可である。この場合は波長可変素子58を駆動して、CCD33の信号電荷の蓄積期間単位で上記三波長の狭帯域光を切り替える。そして、各波長の狭帯域光を照射して得られた撮像信号間の輝度比に基づいて、酸素飽和度および血管深さの両方を含む血管情報を求め、これを画像化してモニタ18に表示する。
【0058】
次に、上記のように構成された電子内視鏡システム2の作用について説明する。電子内視鏡10で被検体内を観察する際、術者は、電子内視鏡10と各装置11、12とを繋げ、各装置11、12の電源をオンする。そして、操作部43を操作して、被検体に関する情報等を入力し、検査開始を指示する。
【0059】
検査開始を指示した後、術者は、挿入部13を被検体内に挿入し、光源装置12からの照明光で被検体内を照明しながら、CCD33による被検体内の観察画像をモニタ18で観察する。
【0060】
CCD33から出力された撮像信号は、AFE36の各部で各種処理を施された後、プロセッサ装置11の画像処理回路44に入力される。画像処理回路44では、入力された撮像信号に対して各種画像処理が施され、画像が生成される。画像処理回路44で処理された画像は、表示制御回路45に入力される。表示制御回路45では、CPU40からのグラフィックデータに応じて、各種表示制御処理が実行される。これにより、観察画像がモニタ18に表示される。
【0061】
電子内視鏡システム2で検査を行うときには、観察対象に応じて観察モードが切り替えられる。挿入部13を被検体内に挿入する際には通常観察モードを選択して、白色光を照射して得られた画像を観察して広い視野を確保しつつ挿入作業を行う。詳細な観察が必要な病変が発見された際には特殊観察モードまたは同時観察モードを選択し、病変に適当な波長の狭帯域光を照明して得られた画像を観察する。そして、必要に応じてレリーズボタンを操作して静止画像を取得したり、病変に処置が必要な場合は鉗子チャンネルに各種処置具を挿通させて、病変への蛍光物質の注入、あるいは病変の切除や投薬等の処置を施す。
【0062】
通常観察モードの場合は、CPU40の指令の下に通常観察用光源50が点灯されて、照明窓31から被観察部位に白色光が照射される。
【0063】
一方、特殊観察モードまたは同時観察モードが選択された場合は特殊観察用光源51が点灯される。波長可変素子58の圧電アクチュエータ70は、特殊観察モードまたは同時観察モードの切替時に選択された狭帯域光の中心波長に応じた値で、且つ温度センサ76の測定結果により駆動電圧補正テーブル80を参照して補正された電圧にて素子ドライバ59により駆動される。
【0064】
特殊観察用光源51から発せられた白色光は、筐体73の開口74を介して波長可変素子58に導入され、基板71、72の面間隔dに応じた波長帯域の光が選択的に開口75から出射される。波長可変素子58から出射された狭帯域光は、ライトガイド34で先端部17に導光され、照明窓31から被観察部位に照射される。波長可変素子58では、上記の如く温度による狭帯域光の波長帯域のずれを補正する粗調整がCPU40により行われているので、被観察部位に照射される狭帯域光は設定波長帯域に略近いものとなる。
【0065】
特殊観察モードまたは同時観察モードが選択された場合、画像処理回路44では、所望の中心波長Xと粗調整後の中心波長X’におけるCCD33の感度比が、該当する色の画素の撮像信号に乗算される。これにより粗調整で補正しきれなかった狭帯域光の波長帯域のずれが補正される。
【0066】
被観察部位に狭帯域光を照射して観察する場合は観察対象が明確に絞られるため、狭帯域光の波長帯域(中心波長)が所望の値からずれていると、期待する観察結果を得ることができなくなる。特に酸素飽和度や血管深さの情報を撮像信号の輝度比から得る場合には、±2〜3nmのずれでも医療ミスに繋がる重大な影響を観察結果に与える。
【0067】
本発明では、温度センサ76で波長可変素子58の圧電アクチュエータ70近傍の温度を測定して、温度と波長可変素子58の圧電アクチュエータ70の駆動電圧の補正値とが登録された駆動電圧補正テーブル80を参照して駆動電圧を補正し、温度の影響によりずれた狭帯域光の波長帯域を所望の値に近付ける粗調整を行う。そのうえで、CCD33の分光感度特性に基づき、画像処理回路44により粗調整で補正しきれなかった中心波長のずれを補正する微調整を行う。このように温度による狭帯域光の波長帯域のずれが適正に補正されるので、観察結果も適正なものとなり医療ミスを確実に防止することができる。
【0068】
粗調整は温度センサ76の測定結果および駆動電圧補正テーブル80、微調整はCCD33の分光感度特性に基づき行い、比較的簡易な構成および処理によって狭帯域光の波長帯域のずれをリアルタイムで高精度に補正することができる。
【0069】
粗調整と微調整の二段階で補正を行うため粗調整には厳密な精度は要求されず、従って波長可変素子58による透過光の波長帯域の中心波長の分解能は高くなくとも済む。換言すれば、分解能を高めるために高価な圧電アクチュエータや駆動電圧源を用いる必要がない。このため波長可変素子58を安価な構成にすることができる。
【0070】
なお、狭帯域光の中心波長のずれ量の許容範囲が±10nm等の比較的緩い条件で、粗調整のみで十分に許容範囲に収まる場合には微調整は不要である。術者が選択した狭帯域光の中心波長に応じて、微調整を行うか否かを予め設定しておいてもよい。
【0071】
逆にずれ量が数nmの場合は粗調整を行わずに微調整のみを行ってもよい。但しずれ量が数十nmと大きい場合に微調整のみで済ませると、補正前の狭帯域光の波長帯域の所望の値との乖離が甚だしいために補正が適正に行われなくなるので、こうした場合は上記実施形態のように先に粗調整を行うことが好ましい。狭帯域光の中心波長のずれ量の許容範囲を中心波長毎に情報としてもっておき、術者が選択した狭帯域光の中心波長、および実際の狭帯域光の波長帯域のずれ量とその許容範囲に応じて、粗調整または微調整のみで済ませるか、粗調整と微調整を行うかをCPU40で判定してもよい。
【0072】
波長可変素子58としてエタロンを例示しているが、代わりに液晶チューナブルフィルタを用いてもよい。液晶チューナブルフィルタは、偏光フィルタ間に複屈折フィルタとネマティック液晶セルを挟んで構成され、液晶セルへの印加電圧を変更することで透過光の波長帯域を制御する。液晶チューナブルフィルタも周囲温度の影響を受けるため、波長可変素子に液晶チューナブルフィルタを用いた場合も上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0073】
上記実施形態では、特殊観察用光源51の出射端側に波長可変素子58を設けているが、ライトガイド34の出射端側に設けてもよい。また、照明光学系ではなく、被観察部位の像を取り込む対物光学系、例えば観察窓30の背後やCCD33の撮像面上に波長可変素子を配置してもよい。波長可変素子を電子内視鏡10の先端部17に設けた場合も、体温やCCD33の駆動熱、あるいは送水操作による冷却等で周囲温度が変化するため、本発明は有効である。
【0074】
上記実施形態では、狭帯域光による被観察部位の観察事例として、表層の血管やピットパターン等を強調して観察したり、生体内組織に蛍光物質を注入して蛍光を観察する、あるいは酸素飽和度や血管深さの情報を取得するといった例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。狭帯域光を照射して生体内組織の自家蛍光を観察する場合にも適用することができる。
【0075】
なお、本発明に係る内視鏡システムは、上記実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、撮像素子は上記実施形態のCCDに限らずCMOSイメージセンサを用いてもよい。また、波長可変素子の駆動源として、圧電アクチュエータの代わりに静電アクチュエータを用いてもよい。画像処理回路44でデジタル化された撮像信号に対して微調整を行っているが、AFE36のA/Dの前段でアナログの撮像信号に対して微調整を行ってもよい。
【0076】
上記実施形態では電子内視鏡を例示したが、本発明はこれに限らず、イメージガイドを用いたファイバスコープや、撮像素子と超音波トランスデューサが先端部に内蔵された超音波内視鏡等、他の形態の内視鏡にも適用することができる。また、医療用だけでなく、工業分野で利用される内視鏡に適用してもよい。
【0077】
上記実施形態では内視鏡システムを例示したが、波長可変素子を用い、波長可変素子の透過光の波長帯域の制御を厳密に行う必要がある他の光学装置に対しても本発明は有効である。
【符号の説明】
【0078】
2 電子内視鏡システム
10 電子内視鏡
11 プロセッサ装置
12 光源装置
17 先端部
33 CCD
38、40、60 CPU
41 ROM
44 画像処理回路
51 特殊観察用光源
58 波長可変素子
59 素子ドライバ
70 圧電アクチュエータ
71、72 基板
76 温度センサ
80 駆動電圧補正テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の被観察部位に照明光を照射して被観察部位の像を結像させる光路中に配され、透過光の波長帯域が可変する波長可変素子と、
前記波長可変素子の周囲温度を測定する温度センサと、
周囲温度に対する前記波長可変素子の透過光の設定波長帯域からのずれの情報を記憶する記憶部と、
前記温度センサの測定結果、および前記記憶部に記憶されたずれの情報に応じて、周囲温度の変化による前記波長可変素子の透過光の波長帯域のずれを補正する補正部とを備えることを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記補正部は、前記温度センサの測定結果に応じて前記波長可変素子の駆動パラメータを補正する第一補正手段を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記記憶部は、周囲温度に対する前記波長可変素子の駆動パラメータの補正値の情報を記憶し、
前記第一補正手段は、前記温度センサの測定結果に対応する補正値を前記記憶部から読み出して補正を行うことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記補正部は、被観察部位の像が結像される撮像素子の分光感度特性に基づき、前記波長可変素子の透過光の設定波長帯域における感度となるよう、周囲温度の変化によりずれた波長帯域における感度を補正する第二補正手段を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記第二補正手段は、設定波長帯域の中心波長における感度Sとずれた波長帯域の中心波長における感度S’との比S/S’を撮像素子から出力された撮像信号に乗算することを特徴とする請求項4に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記第一補正手段で前記波長可変素子の透過光の波長帯域のずれを粗く補正した後、これで補正しきれなかった分を前記第二補正手段で補正することを特徴とする請求項4または5に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記第一、第二補正手段のいずれかのみで補正を行うか、両方で補正を行うかを判定する判定部を備えることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記波長可変素子は、被観察部位に照明光を照射する照明光学系に配され、狭い波長帯域の照明光を生成することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記波長可変素子で生成された狭い波長帯域の照明光を用いて、生体内組織の特定対象を強調した画像を得ることを特徴とする請求項8に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記波長可変素子で生成された狭い波長帯域の照明光を用いて、血管中のヘモグロビンの酸素飽和度、血管深さといった血管情報を得ることを特徴とする請求項8または9に記載の内視鏡システム。
【請求項11】
前記波長可変素子は、アクチュエータにより二枚の高反射光フィルタからなる基板の面間隔を変更することで透過光の波長帯域を制御するエタロンであることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の内視鏡システム。
【請求項12】
前記波長可変素子は、偏光フィルタ間に複屈折フィルタとネマティック液晶セルを挟んで構成され、液晶セルへの印加電圧を変更することで透過光の波長帯域を制御する液晶チューナブルフィルタであることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の内視鏡システム。
【請求項13】
透過光の波長帯域が可変する波長可変素子と、
前記波長可変素子の周囲温度を測定する温度センサと、
周囲温度に対する前記波長可変素子の透過光の設定波長帯域からのずれの情報を記憶する記憶部と、
前記温度センサの測定結果、および前記記憶部に記憶されたずれの情報に応じて、周囲温度の変化による前記波長可変素子の透過光の波長帯域のずれを補正する補正部とを備えることを特徴とする光学装置。
【請求項14】
透過光の波長帯域の中心波長が可変する波長可変素子の周囲温度を温度センサで測定し、
温度センサの測定結果、および周囲温度に対する前記波長可変素子の透過光の設定波長帯域からのずれの情報に応じて、周囲温度の変化による波長可変素子の透過光の波長帯域のずれを補正することを特徴とする波長可変素子の透過光の波長帯域のずれ補正方法。
【請求項15】
温度センサの測定結果に応じて波長可変素子の駆動パラメータを補正する第一補正ステップを備えることを特徴とする請求項14に記載の波長可変素子の透過光の波長帯域のずれ補正方法。
【請求項16】
波長可変素子の透過光による像が結像される撮像素子の分光感度特性に基づき、波長可変素子の透過光の設定波長帯域における感度となるよう、周囲温度の変化によりずれた波長帯域における感度を補正する第二補正ステップを備えることを特徴とする請求項14または15に記載の波長可変素子の透過光の波長帯域のずれ補正方法。
【請求項17】
前記第一補正ステップで前記波長可変素子の透過光の波長帯域のずれを粗く補正した後、これで補正しきれなかった分を前記第二補正ステップで補正することを特徴とする請求項16に記載の波長可変素子の透過光の波長帯域のずれ補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−120764(P2012−120764A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275414(P2010−275414)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】