説明

内視鏡システム

【課題】手元操作部から処置具を取り出す際に、処置具に付着した体液などの飛散を確実に防止する。
【解決手段】処置具11の可撓性コード部41に雄ねじ部50を形成する。内視鏡の手元操作部12の鉗子栓36に、雄ねじ部50に螺合する雌ねじ部55を形成する。処置具11を使用する際には、雄ねじ部50を回転させて挿入する。処置終了後に、処置具11を抜き取る際には、雄ねじ部50が鉗子栓36の雌ねじ部55に係止し、処置具11の抜き取り操作を一時停止する。この後、処置具11を回転させて雄ねじ部50と雌ねじ部55とを螺合させてゆっくりと処置具11を鉗子栓36から抜き取ることができる。処置具11の抜き取りの際に勢い余って処置具11が抜き取られることがなくなり、処置具11に付着した体液等が飛散することがなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡と処置具とを有する内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用の内視鏡は、体内の状態を観察するだけではなく、体内に病変部等が存在する場合には、その組織細胞を採取したり、所定の処置を施したりできる構成となっている。例えば、内視鏡の制御下で処置具を体内に挿入するために、内視鏡には、その挿入部に鉗子その他の処置具を挿通する処置具挿通チャンネルが設けられる。この処置具挿通チャンネルの基端部は本体操作部に設けた処置具導入部に通じており、また先端は挿入部の先端面や先端側面に設けた観察部等と共に処置具導出口として開口している。
【0003】
内視鏡に挿通される処置具は、可撓性コードの先端に作動部を設けたものであり、作動部は例えば鉗子作動部,高周波ナイフ,スネアワイヤ等で構成される。処置具は処置具導入部から処置具挿通チャンネル内に挿入されるが、挿入部の先端における処置具導出口から導出されるまでは観察部による観察視野に入らない。
【0004】
そこで、処置具が処置具挿通チャンネル内の所定の位置に到達すると、それを内視鏡の操作を行う術者に認識させるために、処置具の可撓性コードの外面に目盛や標識、さらには凹凸部等からなる表示部を設ける構成としたものが、特許文献1に開示されている。また、可撓性コードの外面に設けた表示部に代えて、可撓性コードの所定の位置に凹凸部を形成し、処置具を鉗子チャンネル(処置具挿通チャンネル)内に挿入する際、または鉗子チャンネルから引き出す際に、この可撓性コードの凹凸部が鉗子栓を通過するときに生じる状態変化によって、可撓性コードが鉗子チャンネル内の所定位置を通過したことを操作感触として術者に認識させる構成としたものが、特許文献2に開示されている。
【0005】
これによって、例えば処置具を鉗子チャンネルから抜き出す際に、前述した状態変化部が鉗子栓の位置まで到達するまでは勢い良く抜き出し、状態変化部が鉗子栓の位置に達したことを操作感触で認識した後には、ゆっくり抜き出すという操作が可能になり、もって処置具の先端が鉗子チャンネルから飛び跳ねて、体液等を周辺に撒き散らすという事態の発生を防止することができる。
【0006】
更に、処置具を鉗子チャンネルから挿入する際には抵抗が少なく容易であり、処置具を鉗子チャンネルから抜き出す時には抵抗が増大するように、挿入方向によって抵抗が変化する抵抗増大部を備える構成としたものが、特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−309153号公報
【特許文献2】特開平10−137256号公報
【特許文献3】特開2007−289580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献2,3記載の処置具のように、可撓性コードに凹部や凸部を形成して、これら凹部や凸部とそれ以外の部位との間の径差を持たせて、これら凹部や凸部が鉗子栓を通過する際における感触に顕著な変化を生じさせて、操作感触に明確な差をもたせても、術者の感覚には個人差がある。このため、操作感触で認識できずに抜き取り処理時に勢い余って処置具が操作部から抜き取られることもあり、改善が望まれていた。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、処置具を操作部から抜き取る際に、勢い余って処置具を抜き取ってしまうことがないようにした内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、挿入部内に配された処置具挿通チャンネルに連通する処置具入口を操作部に有する内視鏡と、前記処置具入口から前記処置具挿通チャンネルに挿通される処置具とを有する内視鏡システムであって、前記処置具入口から前記処置具を抜き取る際に、前記処置具の先端部の外周面に係止する係止部を有することを特徴とする。
【0011】
前記係止部は、前記処置具の先端部外周面に形成される雄ねじ部であり、前記処置具入口に取り付けられる栓部材の処置具通路に、抜き取り時の前記雄ねじ部が係止することが好ましい。また、前記係止部は、前記処置具の先端部外周面に形成される雄ねじ部と、前記処置具入口に取り付けられる栓部材の処置具通路に形成され、前記雄ねじ部が螺合する雌ねじ部とを有することが好ましい。
【0012】
前記係止部は、前記処置具の先端部外周面に形成される突起部と、前記処置具入口に取り付けられる栓部材の処置具通路に形成され、前記突起部が通過する螺旋状の溝とを有することが好ましい。また、前記係止部は、前記処置具の先端部外周面に形成される突起部と、前記処置具入口に取り付けられる栓部材の処置具通路に形成され、前記処置具通路の周方向において位置をずらし、軸方向に沿って延びる直線部分と、この直線部分の間を繋ぐ円周部分とからなり、前記突起部が通過するクランク状の溝とを有することが好ましい。
【0013】
また、前記係止部は、前記処置具の外周面を保持するリング状保持部材と、該リング状保持部材を前記処置具入口につなぐ接続部材とから構成されていることが好ましい。そして、前記リング状保持部材は前記処置具の外周面を保持する保持状態と、保持を開放する開放状態とに変位可能であり、処置具の使用状態では保持状態にセットされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、処置具入口から処置具を抜き取る際に、処置具の先端部の外周面に係止する係止部を有するので、係止部によって処置具の先端部が係止されるため、勢い余って処置具入口から処置具が抜き取られることがない。このため、処置具先端部が処置具入口から飛び跳ねて、処置具に付着している体液等を周辺にまき散らすことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】内視鏡システムの構成を概略的に示す説明図である。
【図2】内視鏡の挿入部の鉗子栓に処置具を挿入した状態の係止部を示す斜視図である。
【図3】栓本体に雄ねじ部が係止する別実施形態の係止部を示す鉗子栓周りの断面図である。
【図4】処置具保持部の上下に雌ねじ部を設けた別実施形態の係止部を示す鉗子栓周りの断面図である。
【図5】処置具通路に螺旋状の溝を設けた別実施形態の係止部を示す鉗子栓周りの断面図である。
【図6】処置具通路にクランク状の溝を設けた別実施形態の係止部を示す鉗子栓周りの断面図である。
【図7】別実施形態の係止リングを示す鉗子栓周りの斜視図である。
【図8】係止位置にセットされた係止リングを示す平面図である。
【図9】退避位置にセットされた係止リングを示す平面図である。
【図10】係止位置にセットされた別実施形態の係止リングを示す平面図である。
【図11】退避位置にセットされた別実施形態の係止リングを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1において、内視鏡システム2は、内視鏡10、及び内視鏡用処置具(以下、処置具という。)11を備える。内視鏡10は、手元操作部12と挿入部13とを有する。手元操作部12には、ユニバーサルコード15が接続される。このユニバーサルコード15は光源用コネクタ16及びケーブル17、プロセッサ用コネクタ18を介して、光源装置19及びプロセッサ装置20にそれぞれ着脱自在に接続される。
【0017】
手元操作部12には、アングルノブ21や送気・送水ボタン22、吸引ボタン23などが設けられている。また、手元操作部12の挿入部13側には、各種処置具11が挿通される鉗子口24が設けられている。
【0018】
挿入部13は、手元操作部12に連設されており、被検者の体内に挿入される。挿入部13は、手元操作部12側から順に、可撓性を有する軟性部25と、湾曲自在な湾曲部26と、先端硬性部27とからなる。軟性部25は、先端硬性部27を体内の目的の位置に到達させるために約1.3m〜1.6mの長さを持つ。湾曲部26は、手元操作部12のアングルノブ21の操作に連動して上下、左右方向に湾曲動作する。これにより、先端硬性部27を体内の所望の方向に向けることができる。
【0019】
先端硬性部27の先端面には、周知のように観察窓、照明窓、送気・送水ノズル(共に図示せず)の他に、鉗子出口30が設けられている。観察窓の奥には、対物光学系、CCDやCMOSイメージセンサ等の撮像素子が配置されている。撮像素子からの撮像信号は、ユニバーサルコード15等を介してプロセッサ装置20に送られる。プロセッサ装置20は、撮像素子の撮像信号に対して各種画像処理を行い映像信号に変換し、これをケーブル接続されたモニタ31に観察画像として表示する。
【0020】
照明窓には、光源装置19の照射光源からの照明光を導くライトガイドの出射端が配されている。この照明窓からの照明光は体内の被観察部位に向けて照射される。また、送気・送水ノズルは、送気・送水ボタンの操作に応じて、光源装置19に内蔵の送気・送水装置から供給されるエアーや水を観察窓に向けて噴射する。鉗子出口30は、挿入部13内に配設された鉗子チャンネル(処置具挿通チャンネル)35に接続され、鉗子口24に連通している。鉗子口24には、ゴムやエラストマーなどの弾性体からなる鉗子栓36が取り付けられている。
【0021】
処置具11は、先端から順に鉗子作動部40、可撓性コード部41、アクチュエータ部42から構成されている。鉗子作動部40は1対の把持爪40a,40bから構成され、リンク機構43によって開閉される。このリンク機構43はアクチュエータ部42により駆動される。なお、アクチュエータ部42に代えて、スライダ機構を有するハンドル部を用いたものであってもよい。また、処置具11は鉗子作動部40を有するものの他に、高周波ナイフ、スネアワイヤ、注射器、生検採取用カップなどを有するものであってもよい。
【0022】
図2に示すように、処置具11の鉗子作動部40近くで可撓性コード部41には、雄ねじ部50からなる係止部51が形成されている。雄ねじ部50は、可撓性コード部41の表面を隆起させて形成されている。雄ねじ部50の長さは1〜2ピッチ分が挿入時や抜き取り時の回転操作の上から好ましいが、それ以上の長さであってもよい。
【0023】
鉗子栓36には、係止部51に対応させて雄ねじ部50に螺合する雌ねじ部55と、テーパー状内周面56が形成されている。また、鉗子栓36にはキャップ60が接続ベルト61を介して一体的に設けられており、不使用時にはキャップ60の栓本体60aが鉗子口62に嵌められて鉗子口62が塞がれる。
【0024】
使用に際しては、鉗子栓36のキャップ60を鉗子口62から外して、処置具11の先端を鉗子口62に入れて雄ねじ部50と雌ねじ部55とが螺合する方向に回転することで、処置具11を鉗子栓36内に挿入することができる。その後は、通常の挿入操作によって挿入部13の先端面を被検体の所定部位に位置させて鉗子作動部40により病変部や異物を取り除く。所定の処置を終了した後は、手元操作部12から処置具11が抜き取られる。
【0025】
この抜き取り操作で、処置具11の先端部である鉗子作動部40が鉗子口62の近くに到達すると、雄ねじ部50が雌ねじ部55に係止することになり、抜き取り操作が一時的に中断される。この後、処置具11を回転させて雄ねじ部50と雌ねじ部55を螺合させることにより、鉗子栓36から処置具11をゆっくりと抜き取ることができる。このように、雄ねじ部50と雌ねじ部55との螺合を介して処置具11の鉗子栓36からの抜き取り操作を行うので、従来のように勢い余って処置具11が鉗子栓36から抜き取られて、処置具11の先端部が鉗子口62から飛び跳ねることがなくなる。したがって、処置具11に付着している体液等を周辺にまき散らすことがなくなる。
【0026】
上記実施形態では、鉗子栓36に雄ねじ部50に螺合する雌ねじ部55を設けたが、図3に示すように、雌ねじ部55は省略してもよい。この場合には、鉗子栓70に相互に密着する栓本体71を形成する。栓本体71はゴムやエラストマー等の弾性体から構成されている。使用に際しては、この栓本体71に処置具11の先端部を押し当てて、回転することにより、雄ねじ部50を栓本体71の密着部71aに侵入させて、鉗子作動部40を挿入する。処置具11の使用後は、この栓本体71に雄ねじ部50が係止するため、抜き取り操作が一時的に中断される。この後、雄ねじ部50を抜き取る方向に回転させることで、雄ねじ部50の螺旋による推進作用で、鉗子栓70から処置具11をゆっくりと抜き取ることができる。このように、雄ねじ部50と栓本体71との係止によっても一時的に抜き取り操作が中断されるため、勢い余って処置具先端部である鉗子作動部40が鉗子栓70から抜き取られることがなくなり、処置具11に付着した体液などの飛散を防止することができる。
【0027】
また、図4に示すように、処置具11の可撓性コード部41の外径とほぼ同じ直径の処置具保持部75の上下に、前記雄ねじ部50に螺合する雌ねじ部76,77を設けてもよい。この場合には、処置具保持部75によって鉗子栓79と処置具11との間が水密に保持されるため、体液などが洩れることがなくなる。また、上下に設けた雌ねじ部76,77が、雄ねじ部50に螺合するため、処置具11を回転させることで、雄ねじ部50の螺旋による推進作用で、処置具保持部75を雄ねじ部50が通過することができる、処置具11の挿入や抜き取りが容易に行える。なお、可撓性コード部41に雄ねじ部50を形成したが、雄ねじ部50は鉗子作動部40の外周面に形成してもよい。
【0028】
また、図5に示すように、処置具11の可撓性コード部41の外径とほぼ同じ直径の処置具保持部(処置具通路)80に螺旋状の溝81を設けた鉗子栓82を備え、処置具11の可撓性コード部41に、鉗子作動部40付近の外周面から突出し、溝81を通過する突起部83からなる係止部84を備えてもよい。この場合、螺旋状の溝81は、処置具保持部80の上端縁80a及び下端縁80bに連通して形成されている。これにより、処置具11の抜き取り操作の際、突起部83が処置具保持部80の下端縁80bまたは溝81の下端部に係止することになり、抜き取り操作が一時的に中断される。この後、処置具11を回転させると突起部83が溝81を通過することができるため、鉗子栓82から処置具11をゆっくりと抜き取ることができる。
【0029】
さらにまた、図6に示すように、処置具11の可撓性コード部41の外径とほぼ同じ直径の処置具保持部(処置具通路)85にクランク状の溝86を設けた鉗子栓87を備え、処置具11の可撓性コード部41に、鉗子作動部40近くで、溝86を通過する突起部88からなる係止部89を備えてもよい。この場合、クランク状の溝86は、処置具保持部85の周方向において位置をずらし、且つ軸方向に沿って延びる上下の直線部分86a,86bと、この直線部分86a,86bの間を繋ぎ、周方向に沿って延びる円周部分86cとからなり、突起部88は、幅方向(可撓性コード41の円周方向)の寸法を溝86の直線部分86a,86bの幅に合わせて、上下方向(可撓性コード41の軸方向)の寸法を溝86の円周部分86cの幅に合わせて形成されている。これにより、処置具11の抜き取り操作の際、突起部88が処置具保持部85の下端縁または溝86の円周部分86cに係止することになり、抜き取り操作が一時的に中断される。突起部88が処置具保持部85の下端縁に係止されている場合は、処置具11を回転させることで突起部88が溝86の直線部分86bに進入し、さらに直線部分86bに連通する円周部分86cに係止される。そして、突起部88が溝86の円周部分86cに係止されている場合は、処置具11を回転させると突起部83が、円周部分86cを通過して直線部分86aに進入する。以上のように、突起部88がクランク状の溝86を通過することで、鉗子栓36から処置具11をゆっくりと抜き取ることができる。
【0030】
次に、図7〜図9に示すように、係止部90として、係止リング91を用いた別の実施形態について説明する。鉗子栓92には、キャップ93とは別に係止リング91が一体的に形成されている。係止リング91は、リング本体95と、このリング本体95の内径を変えて、リング本体95内に挿入される処置具11の抜き取り抵抗を変化させる係止片97を有する。
【0031】
図8に示すように、係止片97はリング本体95に形成されたストッパ98を乗り越えたときに、リング本体95の内径を小さくして、処置具11の外周面を締めつけて係止状態とする係止位置にセットされる。また、図7に示すように、係止位置から係止片97を離して退避させると非係止位置となり、処置具11は係止リング91によってゆるく保持される。係止位置と非係止位置との間で、リング本体95にはストッパ98が形成されており、このストッパ98によって、係止片97が係止位置または非係止位置に選択的に位置決めされる。
【0032】
図7に示すように、処置具11を使用する際には、キャップ93を鉗子栓92から外してリング本体95本体を鉗子口99の上方に位置させる。このとき、係止片97を非係止位置にセットしておき、処置具先端部である鉗子作動部40を鉗子口99に挿入する。
【0033】
処置具11を手元操作部12にセットした後は、係止リング91の係止片97を図9に示す非係止位置から図8に示す係止位置にセットする。図7に示すように、所定の処置を終了して、処置具11を鉗子栓92から抜き取る際には、係止位置にセットされた係止リング91が処置具先端部にしっかりと係止するので、鉗子栓92から抜き取られても、係止リング91により処置具先端部が保持される。したがって、処置具11が鉗子栓92から勢いあまって抜き取られてしまうことがなく、処置具11に付着した体液などが飛散することがなくなる。
【0034】
なお、図7に示すように、鉗子栓92に係止リング91とキャップ93とを別にして設けているが、係止リング91とキャップ93とはベルト部材96を用いて並べて設けてもよい。
【0035】
図7〜図9に示すような係止片97によって係止位置と非係止位置に切り換える係止リング91の他に、図10及び図11に示すように、ヒンジ部100によって開閉自在な係止リング101を用いて、係止部103を構成してもよい。この場合には、係止リング101をベルト部材102により鉗子栓に取り付ける。係止リング101は、先端に凸部104及び凹部105を備えている。図10に示すように、凸部104と凹部105とが嵌合することにより、係止リング101は閉じられ、処置具11を係止する係止位置にセットされる。また、図11に示すように、凸部104と凹部105との係止を解除することで、係止リング101は開放位置となる。
【0036】
図10に示すように、ヒンジ部100により係止位置とされた時には、係止リング101の内径が小さくなり、処置具がしっかりと保持される。また、ヒンジ部100により開放位置とされた時には、係止リング101が開いて、処置具の鉗子栓への挿入が容易に行えるようになる。
【0037】
上記各実施形態では、雄ねじ部50による係止部51,84,89と係止リング91,101による係止部90,103とを別個に実施しているが、これらは同時に実施してもよい。上記実施形態では、内視鏡として電子内視鏡10を例示したが、光学的イメージガイドを採用して被検体の状態を観察する内視鏡等その他の内視鏡であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
2 内視鏡システム
10 内視鏡
11 処置具
12 手元操作部
13 挿入部
24,62 鉗子口
36,70,79,82,87,92 鉗子栓
50 雄ねじ部
51,84,89,90,103 係止部
55,76,77 雌ねじ部
60 キャップ
71 栓本体
75 処置具保持部
91 係止リング
93 キャップ
95 リング本体
98 ストッパ
100 ヒンジ部
101 係止リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部内に配された処置具挿通チャンネルに連通する処置具入口を操作部に有する内視鏡と、前記処置具入口から前記処置具挿通チャンネルに挿通される処置具とを有する内視鏡システムであって、
前記処置具入口から前記処置具を抜き取る際に、前記処置具の先端部の外周面に係止する係止部を有することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記係止部は、前記処置具の先端部外周面に形成される雄ねじ部であり、
前記処置具入口に取り付けられる栓部材の処置具通路に、抜き取り時の前記雄ねじ部が係止することを特徴とする請求項1記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記係止部は、前記処置具の先端部外周面に形成される雄ねじ部と、
前記処置具入口に取り付けられる栓部材の処置具通路に形成され、前記雄ねじ部が螺合する雌ねじ部とを有することを特徴とする請求項1記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記係止部は、前記処置具の先端部外周面に形成される突起部と、
前記処置具入口に取り付けられる栓部材の処置具通路に形成され、前記突起部が通過する螺旋状の溝とを有することを特徴とする請求項1記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記係止部は、前記処置具の先端部外周面に形成される突起部と、
前記処置具入口に取り付けられる栓部材の処置具通路に形成され、前記処置具通路の周方向において位置をずらし、軸方向に沿って延びる直線部分と、この直線部分の間を繋ぐ円周部分とからなり、前記突起部が通過するクランク状の溝とを有することを特徴とする請求項1記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記係止部は、前記処置具の外周面を保持するリング状保持部材と、該リング状保持部材を前記処置具入口につなぐ接続部材とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記リング状保持部材は前記処置具の外周面を保持する保持状態と、保持を開放する開放状態とに変位可能であり、処置具の使用状態では保持状態にセットされていることを特徴とする請求項6記載の内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−45155(P2012−45155A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189595(P2010−189595)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】