説明

内視鏡用光源装置

【課題】光源ランプで発生した熱がヒートシンク側に十分に伝達されて光源ランプが良好に冷却され、しかも光源ランプがヒートシンクとの熱膨張率の相違等で破損するおそれのない内視鏡用光源装置を提供すること。
【解決手段】内視鏡の照明光源になる光源ランプ3が、その光源ランプ3から発生する熱を放散するためのヒートシンク4A,4Bに形成されたランプ嵌め込み孔40A,40Bに緩く嵌め込まれた内視鏡用光源装置において、光源ランプ3の壁面とヒートシンク4Aの壁面との間に生じた空間に弾力性のある放熱シリコンゴム製の部材10を圧縮した状態に挟み込んだ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は内視鏡用光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡用光源装置には一般に、内視鏡の照明光源になるキセノンランプ等の光源ランプが、その光源ランプから発生する熱を放散するためのヒートシンクに取り付けられた状態で配置されている(例えば、特許文献1、2)。
【特許文献1】特開昭60−208005
【特許文献2】特開2001−275960
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図6は、従来の内視鏡用光源装置の光源ランプ91の保持部を示しており、内視鏡の照明光源になる光源ランプ91は、その光源ランプ91から発生する熱を放散するための一対のヒートシンク92A,92Bに保持されており、光源ランプ91の前後両端部分付近が、ヒートシンク92A,92Bの各々に形成されたランプ嵌め込み孔93A,93Bに嵌め込まれている。
【0004】
ただし、光源ランプ91をランプ嵌め込み孔93A,93Bにきつく嵌め込むと、光源ランプ91とヒートシンク92A,92Bとの間の熱膨張率の相違等のために、温度変化に伴って光源ランプ91が機械的な応力により破損するおそれがあるので、光源ランプ91はランプ嵌め込み孔93A,93Bに対して緩く嵌め込まれている。
【0005】
そのため、光源ランプ91で発生した熱がヒートシンク92A,92B側に必ずしも十分に伝達されず、光源ランプ91の温度が上昇しすぎて光源ランプ91が短期に劣化してしまう場合がある。
【0006】
そこで本発明は、光源ランプで発生した熱がヒートシンク側に十分に伝達されて光源ランプが良好に冷却され、しかも光源ランプがヒートシンクとの熱膨張率の相違等で破損するおそれのない内視鏡用光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用光源装置は、内視鏡の照明光源になる光源ランプが、その光源ランプから発生する熱を放散するためのヒートシンクに形成されたランプ嵌め込み孔に緩く嵌め込まれた内視鏡用光源装置において、光源ランプの壁面とヒートシンクの壁面との間に生じた空間に弾力性のある放熱シリコンゴム製の部材を圧縮した状態に挟み込んだものである。
【0008】
なお、光源ランプの外周部分に、軸線と垂直方向の段差面が全周にわたり突出形成されていて、放熱シリコンゴム製の部材が、ヒートシンクの端面と段差面との間の空間に挟み込まれていてもよい。
【0009】
そして、放熱シリコンゴム製の部材が環状に形成されてヒートシンクの端面と段差面との間の空間に全周にわたって挟み込まれていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光源ランプの壁面とヒートシンクの壁面との間に生じた空間に弾力性のある放熱シリコンゴム製の部材を圧縮した状態に挟み込んだことにより、光源ランプで発生した熱がヒートシンク側に十分に伝達されて光源ランプが良好に冷却され、光源ランプがヒートシンクとの熱膨張率の相違等で破損するおそれもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
内視鏡の照明光源になる光源ランプが、光源ランプから発生する熱を放散するためのヒートシンクに形成されたランプ嵌め込み孔に緩く嵌め込まれた内視鏡用光源装置において、光源ランプの壁面とヒートシンクの壁面との間に生じた空間に弾力性のある放熱シリコンゴム製の部材を圧縮した状態に挟み込む。
【実施例】
【0012】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図2は内視鏡用光源装置を示しており、フロントパネルには、図示されていない内視鏡のライトガイドコネクタが接続されるライトガイドコネクタ受け1と、撮像信号等を伝送するための信号コネクタが接続される信号コネクタ受け2とが並んで配置されている。
【0013】
そして、内視鏡のライトガイドに供給する照明光を発生する照明光源になる例えばキセノンランプからなる光源ランプ3が、一対のヒートシンク(後側ヒートシンク4A、前側ヒートシンク4B)に保持された状態で内蔵されている。
【0014】
図3は、そのような内視鏡用光源装置の内部構成の一部を略示する平面部分断面図であり、図1はその中の光源ランプ1の保持部の側面断面図、図4は後側ヒートシンク4Aを後方から見た状態の背面部、図5は図3におけるV−V断面図である。
【0015】
一対のヒートシンク4A,4Bは、熱伝導率が大きくて導電性のよい例えばアルミニウム合金材などにより形成されており、光源ランプ3の軸線方向に間隔をあけて配置されて、光源ランプ3を電源と接続するための正負両電極としても兼用されている。
【0016】
一対のヒートシンク4A,4Bには各々、図4及び図5に示されるように多数の放熱フィンが突出形成されていて、図3に示されるように、モータ駆動される冷却ファン11により冷却風が流される風洞12内に配置されている。
【0017】
一対のヒートシンク4A,4Bは各々、ヒートシンク取り付け台座5A,5Bに手動の取り付けネジ7A,7Bで取り付けられており、光源装置の側面部に配置されたランプ交換扉8を開くことにより、外部から着脱することができる。9は、ランプ交換扉8の蝶番である。
【0018】
図1に示されるように、後側ヒートシンク4Aには光源ランプ3の後端付近が嵌め込まれる後側ランプ嵌め込み孔40Aが形成され、前側ヒートシンク4Bには光源ランプ3の先端付近が嵌め込まれる前側ランプ嵌め込み孔40Bが形成されていて、光源ランプ3の前後両端部分付近が各々嵌め込み孔40A,40Bに緩く嵌め込まれている。3aは光源ランプ3の発光部、3bは反射鏡、3cは先端面カバーガラスである。
【0019】
光源ランプ3の外周の中間部分には、一対のヒートシンク4A,4Bの間に位置する部分であって後側ヒートシンク4Aの先端面に近接した位置に、後側ランプ嵌め込み孔40Aより径が大きくて軸線に対して垂直な向きの段差面3dが全周にわたり突出形成されている。
【0020】
そして、その光源ランプ3の外周の段差面3dと後側ヒートシンク4Aの先端面との間に生じた空間には、その空間形状に合わせて環状に形成された弾力性のある放熱シリコンゴム製の伝熱パッキング10が、圧縮されて弾力的に潰された状態に挟み込まれている。
【0021】
放熱シリコンゴムは弾力性に富むシリコンゴムに熱伝導性を高める処理を施して製造されたものであり、伝熱パッキング10が光源ランプ3の外周の段差面3dと後側ヒートシンク4Aの先端面との間の空間に押し潰されて弾性変形した状態に挟み込まれていることにより、光源ランプ3で発生した熱が伝熱パッキング10を経由して後側ヒートシンク4A側に伝達されて、光源ランプ3が予め想定された温度以上の高温にならないので、光源ランプ3が熱のために早期に劣化することがない。
【0022】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば伝熱パッキング10が接触するヒートシンクが前側ヒートシンク4B側であってもよく、伝熱パッキング10を複数配置して後側ヒートシンク4Aと前側ヒートシンク4Bの双方に接触するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例の内視鏡用光源装置の光源ランプ保持部の側面断面図である。
【図2】本発明の実施例の内視鏡用光源装置の外観斜視図である。
【図3】本発明の実施例の内視鏡用光源装置の平面部分断面図である。
【図4】本発明の実施例の内視鏡用光源装置の内部の部分背面図である。
【図5】本発明の実施例の内視鏡用光源装置の図3におけるV−V断面図である。
【図6】従来の内視鏡用光源装置の光源ランプ保持部の側面断面図である。
【符号の説明】
【0024】
3 光源ランプ
3d 段差面
4A,4B ヒートシンク
10 伝熱パッキング(放熱シリコンゴム製の部材)
40A,40B ランプ嵌め込み孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の照明光源になる光源ランプが、上記光源ランプから発生する熱を放散するためのヒートシンクに形成されたランプ嵌め込み孔に緩く嵌め込まれた内視鏡用光源装置において、
上記光源ランプの壁面と上記ヒートシンクの壁面との間に生じた空間に弾力性のある放熱シリコンゴム製の部材を圧縮した状態に挟み込んだことを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項2】
上記光源ランプの外周部分に、軸線と垂直方向の段差面が全周にわたり突出形成されていて、上記放熱シリコンゴム製の部材が、上記ヒートシンクの端面と上記段差面との間の空間に挟み込まれている請求項1記載の内視鏡用光源装置。
【請求項3】
上記放熱シリコンゴム製の部材が環状に形成されて上記ヒートシンクの端面と上記段差面との間の空間に全周にわたって挟み込まれている請求項1又は2記載の内視鏡用光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−340816(P2006−340816A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167614(P2005−167614)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】