説明

内視鏡用光源装置

【課題】蛍光体での発熱防止を図るとともに、蛍光とそれ以外の複数波長の光を、ダイクロイックプリズム等の光学部材を使用することなく合波する。
【解決手段】励起光光源30からの励起光は、第1光学面42aを介して、蛍光体42に入射する。蛍光体42は励起光を吸収して、緑色蛍光を励起発光する。第1の光学面42aと反対側の第2の光学面42bには、第1青色光源45、第2青色光源46、赤色光源47を備える光源用基板49が設けられている。これら光源45〜47からの第1青色光、第2青色光、赤色光は、蛍光体内42で、緑色蛍光と合波される。合波された光は、第1の光学面42a等を介して、被検体内に照射される。蛍光体42での発熱は、光源用基板49に設けられた放熱部50によって、放熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体から発せられる蛍光を含む照明光を内視鏡に供給する内視鏡用光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡における通常観察用の照明光としては、キセノンランプ等の広帯域光の他、励起光によって蛍光体で励起発光させた蛍光を含む白色光も用いられるようになってきている。また、近年では、表層微細血管の強調表示等の特殊光観察を行うために、蛍光を含む白色光の他、特定波長の狭帯域光を混合して体内に同時照射することも行われている。
【0003】
このように蛍光体の蛍光を用いた照明の場合には、高輝度化を図ることができるとともに、キセノンランプ等の照明の場合ほど設置スペースを要しないため、装置全体としてコンパクト化を図ることができる。その一方で、キセノンランプ等を用いた場合には無かった新たな課題もいくつか出てきている。例えば、通常観察時に使用する白色光として青色の励起光も含めた場合には、緑色及び赤色の蛍光の光量は、青色の励起光の光量によって決まってしまう。この場合、蛍光の光量は励起光の光量と関係なく独立に制御できないため、白色光の色調を合わせることが難しいことがあった。また、RGB撮像素子を用いる特殊光観察時において、青色の励起光を使用し、その他の特殊観察用の狭帯域光として青色狭帯域光を使用した場合には、それら光の同時照射によって一定の光量を光量を超えてしまうと、RGB撮像素子のB画素が飽和してしまうという問題も生じることがあった。
【0004】
これら問題に対して、特許文献1では、蛍光体の励起光として、紫外域の励起光を用いている。紫外域の励起光は非可視光であるため、仮に、この紫外域の励起光が照明光に含まれたとしても、照明光の色調に影響を与えることはない。また、紫外域の励起光はRGB撮像素子では完全に遮光されるため、B画素などの特殊観察用の画素に、比較的高い光量の特殊観察用の狭帯域光が入射したとしても、飽和するおそれはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−297311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蛍光体を用いる照明の場合には、上記のような問題の他に、蛍光を励起発光するときに生じる発熱によって、蛍光の発光効率が低下する温度特性の問題がある。図13に示すように、緑色蛍光体から励起発光する緑色蛍光(G蛍光)と赤色蛍光体から励起発光する赤色蛍光(R蛍光)の発光効率は、蛍光体の温度が上がるにつれて、低下する。また、赤色蛍光の発光効率の低下は緑色蛍光の発光効率の低下よりも大きくなっており、この発光効率の差は温度が高くなるほど大きくなる。
【0007】
したがって、緑色蛍光体と赤色蛍光体を混合した蛍光体から、緑色蛍光と赤色蛍光を混色して励起発光させた場合には、その混色した蛍光は、温度が高くなるほど、色調に変化が生じるようになる(即ち、色むらが発生するようになる)。そこで、蛍光体での発熱を防ぐことによって、蛍光体から発せられる蛍光を含む照明光の色調を安定化させることが求められていた。
【0008】
また、特殊観察時において、複数の異なる波長の照明光を同時に被検体内に照射する場合、それら複数波長の照明光を合波する必要がある。合波する手段としては、特許文献1に示すようなダイクロイックプリズムの使用が考えられるが、コストや設置スペースの点から、ダイクロイックプリズム等の光学部材を使用せずに、合波する方法が求められている。
【0009】
本発明は、蛍光体から励起発光される蛍光やそれ以外の複数波長の光を含む照明光を生成する際に、蛍光体での発熱防止を図るとともに、蛍光と複数波長の光を、ダイクロイックプリズム等の光学部材を使用することなく合波することができる内視鏡用光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、被検体内に挿入される内視鏡に対して光を供給する内視鏡用光源装置において、可視光領域以外の波長域を有する励起光を発する励起光光源と、可視光領域の波長域を有する第1の照明光を発する照明光光源と、前記励起光が入射する第1の光学面、前記励起光を、前記第1の照明光と異なる可視光領域の波長域を持つ第2の照明光に波長変換する波長変換部、及び前記第1の光学面の反対側に設けられ、前記第1の照明光が入射するとともに前記第2の照明光を反射させる第2の光学面を有し、前記第1の照明光及び第2の照明光を合波して前記第1の光学面から出射する波長変換手段と、前記波長変換部材から出射した第1及び第2の照明光を前記内視鏡に供給する供給手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
前記照明光光源は、前記波長変換部材の第2の光学面に直接的に設けられていることが好ましい。前記波長変換部材は透明基板に設けられており、前記照明光光源は、前記波長変換部材の第2の光学面側に、前記透明基板を挟んで設けられていることが好ましい。前記透明基板には、前記波長変換部材での発熱を放熱する放熱手段が設けられていることが好ましい。前記透明基板は、透明で且つ熱伝導率の高いサファイヤ基板で構成されることが好ましい。
【0012】
前記第1の照明光の光量と前記第2の照明光の光量をモニタリングするモニタリング手段と、前記モニタリング結果に基づいて、前記第1及び第2光源の光量を制御することによって、前記波長変換部材又は前記照明光光源での発熱を防止する発熱防止手段とを備えることが好ましい。前記第1の照明光の光量と前記第2の照明光の光量をそれぞれ独立に制御することによって、前記第1及び第2の照明光を含む照明光の色調を安定化させる色調安定化手段を備えることが好ましい。
【0013】
前記波長変換部材は、紫外域に励起波長帯域を持つ緑色蛍光体であり、前記照明光光源は半導体光源であり、前記第1の照明光は、前記半導体光源から発せられる光であり、前記第2の照明光は、紫外域の前記励起光によって前記緑色蛍光体から励起発光される緑色蛍光であることが好ましい。
【0014】
前記内視鏡には、青色帯域と赤色帯域を含む第1照明光、及び緑色蛍光の第2照明光が混色した白色光が供給されることが好ましい。前記内視鏡には、青色帯域と赤色帯域を含む第1照明光、及び緑色蛍光の第2照明光が混色した白色光が供給され、前記第1の照明光の青色帯域におけるピーク強度は、前記緑色蛍光及び前記第1の照明光の赤色帯域におけるピーク強度よりも大きいことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、照明光光源から発せられた第1の照明光と、励起光によって励起発光した第2の照明光を波長変換手段内で合波していることから、ダイクロイックプリズム等の光学部材を使用することなく、波長変換した光とそれ以外の複数波長の光を合波することができる。
【0016】
また、励起光の入射と第2照明光の出射を同一の第1の光学面を介して行うため、その第1の光学面の反対の第2の光学面側に、照明光光源を設けることが可能になる他、波長変換手段での発熱を放熱する放熱手段を設けることが可能となる。これにより、波長変換手段での発熱による照明光の色調の変化を防ぐことができる。また、励起光の入射と第2照明光の出射を同一の第1の光学面を介して行うためには、励起光をに対して斜め入射する必要がある。そのためには、励起光光源と波長変換部材とを空間的に離すことができる相当なスペースが必要となるが、そのようなスペースは、被検体に挿入する内視鏡ではなく、その内視鏡に接続される光源装置であれば、十分に確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】内視鏡システムの概略を示す図である。
【図2】第1実施形態における光源装置及びプロセッサ装置の内部構成を示す図である。
【図3A】AR膜無しの蛍光体に対して斜めに入射する励起光の入射角を説明するための図である。
【図3B】AR膜有りの蛍光体に対して斜めに入射する励起光の入射角を説明するための図である。
【図4】蛍光体に対する励起光の分光透過率を示すグラフである。
【図5】ダイクロイックミラーの分光透過率と第1青色光、第2青色光、緑色蛍光、赤色光の発光強度を示すグラフである。
【図6A】通常光観察モードにおける発光パターン、発光強度を示すグラフである。
【図6B】第1特殊光観察モードにおける発光パターン、発光強度を示すグラフである。
【図6C】第2特殊光観察モードにおける発光パターン、発光強度を示すグラフである。
【図6D】酸素飽和度観察モードにおける発光パターン、発光強度を示すグラフである。
【図7】PNM、PDM、PWMを説明するための図である。
【図8】カラー撮像素子の分光透過率を示すグラフである。
【図9A】通常光画像の生成方法を説明するための図である。
【図9B】第1特殊光画像の生成方法を説明するための図である。
【図9C】第2特殊光画像の生成方法を説明するための図である。
【図9D】酸素飽和度画像の生成方法を説明するための図である。
【図10】第2実施形態における光源装置及びプロセッサ装置の内部構成を示す図である。
【図11】第3実施形態における光源装置及びプロセッサ装置の内部構成を示す図である。
【図12】第1〜第3実施形態とは別の実施形態における光源装置及びプロセッサ装置の内部構成を示す図である。
【図13】蛍光体の温度特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すように、第1実施形態の内視鏡システム10は、被検体内を撮像する電子内視鏡11と、被検体を照明する光を発生する光源装置12と、電子内視鏡からの撮像信号に基づいて画像を生成するとともに、各種画像処理を行うプロセッサ装置13と、内視鏡画像を表示するモニタ14とを備えている。
【0019】
この内視鏡システム10には、白色光で照明された被検体内の通常光画像をモニタ14に表示する通常光観察モード、通常光画像上において表層の微細血管や微細構造が強調表示された第1特殊光画像をモニタ14に表示する第1特殊光観察モード、表層微細血管や中深層の血管が疑似カラーで表された第2特殊光画像をモニタ14に表示する第2特殊光観察モード、血中ヘモグロビンの酸素飽和度を画像化した酸素飽和度画像をモニタ14に表示する酸素飽和度観察モードの4つのモードが設けられている。これらモードは、モード切替SW15によって適宜切り替えられる。
【0020】
電子内視鏡11は、体腔内に挿入される可撓性の挿入部16と、挿入部16の基端部分に設けられた操作部17と、操作部17と光源装置12及びプロセッサ装置13との間を連結するユニバーサルコード18とを備えている。挿入部16の先端には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部19が形成されている。湾曲部19は、操作部のアングルノブ21を操作することにより、上下左右方向に湾曲動作する。湾曲部19の先端には、体腔内を撮像するカラー撮像素子20(例えばカラーCCD等)を内蔵した先端部16aが設けられている。先端部16aは、湾曲部19の湾曲動作によって体腔内の所望の方向に向けられる。
【0021】
ユニバーサルコード18には、光源装置12及びプロセッサ装置13側にコネクタ24が取り付けられている。コネクタ24は、通信用コネクタと光源用コネクタからなる複合タイプのコネクタであり、電子内視鏡11は、このコネクタ24を介して、光源装置12及びプロセッサ装置13に着脱自在に接続される。
【0022】
電子内視鏡11の内部には、ライトガイド25と、信号ケーブル26とが設けられている。ライトガイド25は波長が異なる複数種類の光を導光可能なバンドル光ファイバであり、光源装置12からの光を先端部16aまで導光する。導光された光は、先端部16aから体腔内に向けて照射される。信号ケーブル26は、撮像素子からの撮像信号をプロセッサ装置13にまで送る。
【0023】
図2に示すように、光源装置12は、紫外域に波長範囲を有する励起光を発する励起光光源30と、励起光光源30からの励起光により励起発光する緑色蛍光、中心波長405nmの第1青色光、中心波長470nmの第2青色光、中心波長625nmの赤色光を発する発光部31と、発光部31から緑色蛍光、第1青色光、第2青色光、又は赤色光の光量を検出するモニタリング部35と、緑色蛍光、第1青色光、第2青色光、赤色光の発光強度や発光タイミングを制御する光源制御部37と、モニタリング部33を経た光を合波して、ライトガイド25の入射面に向けて集光する集光レンズ39とを備えている。
【0024】
励起光光源30はレーザーダイオード(Laser Diode)や発光ダイオード(Light Emitting Diode)などの半導体光源で構成される。この励起光光源30では、発光部31の蛍光体から緑色蛍光を励起発光させるための励起光を発する。この励起光は、非可視光領域である紫外域の波長範囲内において、365nm、380nm、又は395nmにピーク波長を有している。励起光は、照射レンズ30aを通して、発光部31の蛍光体42に向けて照射される。
【0025】
発光部31は、励起光によって緑色蛍光を励起発光する蛍光体42と、中心波長405nmの第1青色光を発する第1青色光源45と、中心波長470nmの第2青色光を発する第2青色光源46と、中心波長625nmの赤色光を発する赤色光源47と、これら光源が設けられた略直方体形状の光源用基板49と、蛍光体42及び各光源45〜47で発せられた熱を放熱する放熱部50とを備えている。
【0026】
蛍光体42は、ガラス樹脂などとバインダにより固められて形成されており、略直方体形状を有している。また、蛍光体42は、紫外域の励起光に対して高い光吸収特性を有する一方で、波長400nmを超える可視光領域に対しては光吸収特性が無いものが用いられる(励起波長帯が紫外域に有り、可視光領域には無いこと。即ち、非可視光である励起光については蛍光体42の励起波長帯に属しているが、可視光である第1青色光、第2青色光、赤色光の波長域については、蛍光体42の励起波長帯に属していない。)。これに合わせて、蛍光体は、緑色蛍光を高い発光強度及び発光効率で励起発光するものが用いられる。本実施形態では、これら条件を満たす蛍光体として、「BaMgAl10O17:Eu,Mn」を用いる。「BaMgAl10O17:Eu,Mn」は、励起光のピーク波長を「378nm」とした場合に、励起光に対する吸収率が「66.8%」であり、また発光効率は「55.8%」である。光吸収率、発光効率に関しては「Li0.6Na0.4W2O8」よりも高く、また、発光強度に関しては「Li0.6Na0.4W2O8」よりも高くなっている。
【0027】
第1青色光源45は中心波長405nmの第1青色光を発し、第2青色光源46は中心波長470nmの第2青色光を発し、赤色光源47は中心波長625nmの赤色光を発する。光源用基板49は、蛍光体取付面側に形成され、3つの光源45〜47を設置するための略凹状の光源設置部49aを備えている。
【0028】
第1青色光源45、第2青色光源46、赤色光源47は、励起光光源30と同様、レーザーダイオード(Laser Diode)や発光ダイオード(Light Emitting Diode)などの半導体光源で構成される。これら光源45〜47は、共通の光源用基板49を介して、光源制御部により発光タイミングや光量が制御される。
【0029】
本実施形態においては、励起光の入射と緑色蛍光の出射を同一面上で行うために、励起光を蛍光体42に対して斜めに入射させる。この励起光の斜め入射を実現するために、励起光光源30と蛍光体42とは空間的に離間して設置されている。励起光光源30からの励起光は、凸レンズ60及び蛍光体42の第1光学面42aを通して、蛍光体42に入射する。蛍光体42に入射した励起光のうちの一部は、蛍光体42に吸収されて緑色蛍光を励起発光する。この励起発光した緑色蛍光は、第1光学面42aを通して、出射する。
【0030】
一方、蛍光体42に吸収されなかった光は、第1光学面42aとは反対側の第2光学面42bに設けられた光学フィルタ43で反射される。この光学フィルタ43は、励起光の波長域には反射特性を有する一方で、第1青色光、第2青色光、赤色光の波長域には透過特性を有している。光学フィルタ43で反射した励起光は、蛍光体42に吸収されて緑色蛍光を励起発光する。この励起発光した緑色蛍光は、第1光学面42aから出射する。第1光学面42aから出射した緑色蛍光は、凸レンズ60を通して、モニタリング部35に向けて出射する。
【0031】
また、緑色蛍光以外の第1青色光、第2青色光、赤色光は、蛍光体42を通して、モニタリング部35にまで出射させる。したがって、蛍光体42と光源用基板49の蛍光体取付面とは、熱抵抗が低い(伝熱性が高い)シリコングリース等(図示省略)で接着するされている。各光源45〜47からの第1青色光、第2青色光、赤色光は、それら光に透過特性を有する光学フィルタ43を通して、蛍光体42内へ入射する。これら光のいずれも、蛍光体42の励起波長帯に含まれていないので、蛍光を励起発光することなくそのまま第1光学面42aから出射する。第1光学面42aから出射した第1青色光、第2青色光、赤色光は、凸レンズ60を通して、モニタリング部35に向けて出射する。
【0032】
以上のように、励起光の入射と緑色蛍光の出射を同一の第1光学面42aで行うとともに、その反対側の第2光学面42b側に、緑色蛍光以外の第1青色光、第2青色光、赤色光を発する発光手段を設けることによって、特許文献1に示すダイクロイックプリズムのような合波手段を用いることなく、緑色蛍光、第1青色光、第2青色光、赤色光を合波することができる。また、凸レンズ60は、蛍光体42から発せられる緑色蛍光と各光源45〜47から発せられる第1青色光、第2青色光、赤色光が、ライトガイド25の光軸上に位置するように設計されているため、それら光を合波した光は、色むらなく体内に照射される。また、本実施形態では、励起光を蛍光体42に対して斜めから入射させるために、励起光光源30を蛍光体42に対して空間的に離して設置する設置スペースが別途必要となる。この点においては、電子内視鏡の先端部16aよりも、光源装置のほうが、設置スペースを確保しやすい。
【0033】
また、被検体内を照明する照明光のうち、緑色光として、LEDなどの半導体光源でなく、緑色蛍光を使用するのは以下の理由からである。内視鏡のライドガイド25としては、挿入部の細径化の観点から径が細いものが用いられるため、光入光部が小さい。そのため、ライトガイド25には、高輝度の照明光を入射させる必要がある。即ち、単位面積当たりの出力が大きな光源が必要となる。現時点では、照明光のうち青色光、赤色光については、LED,LDなどの半導体光源によって高輝度で発光できることが知られている。一方、緑色光については、緑色LED、緑色半導体レーザー、緑色蛍光体の3つの発光手段が考えられる。
【0034】
緑色LEDについては、現在の窒化ガリウムLEDのような、青色から赤色にかけて急激に発光効率が低下するLED素子しか存在しない。また、仮に、高輝度なLEDを製造できたとしても、半値幅がレーザーダイオードよりも狭くなることが考えられる。したがって、内視鏡の照明として使用した場合には、発光半値幅が狭くなりすぎるため、演色性が劣ることが考えられる。一方、緑色半導体レーザーについては、高輝度光源ではあるものの、発光半値幅が狭すぎる。そのため、照明光として用いた場合には、急峻な光吸収や反射を持つ物体(例えば内視鏡で用いる色素)などの反射信号が得られにくい。また、現状では、緑色半導体レーザーは出力、寿命の点で問題がある。
【0035】
これに対して、緑色蛍光体は、上記緑色LED、緑色半導体レーザーのような問題点を有していない。したがって、内視鏡の照明に用いる発光手段としては、緑色蛍光体が一番適している。
【0036】
なお、励起光が蛍光体42に入射するときには、励起光が第1光学面42aで反射しないようにすることが好ましい。仮に、第1光学面42aで反射した励起光が、ライトガイド25を通して、体内に照射された場合には、いくつかの問題が起こりうる。その問題の一つとして、励起光は生体組織の自家蛍光物質に対しても励起光となりうるため、体内から不要な自家蛍光が励起発光するおそれがある。この不要な自家蛍光は、観察画像にとってノイズであるため、励起光は体内に入らないようにすることが好ましい。
【0037】
例えば、図3Aに示すように、入射・出射面42aにAR(Anti Reflection)膜を設けない場合には、励起光の偏波面をp偏光にし、励起光の入射角θをブリュースター角である「56°」にすることが好ましい(θ=ArcTan(n2/n1)(n1:空気の屈折率、n2(1.5):蛍光体含有ガラスの屈折率)))。また、図3Bに示すように、入射・出射面42aにAR膜50を設ける場合には、励起光の偏波面をp偏光にし、励起光の入射角θを「50°」にすることが好ましい(θ=ArcTan(n2/n1)(n1:空気の屈折率、n2(1.5):蛍光体含有ガラスの屈折率)))。ここで、AR膜50は、フッ化マグネシウムMgF(屈折率n3、およそ1.38)の膜50aとアルミナAl(屈折率n4、およそ2.1〜2.4。成膜条件で変化させた場合は2.3)の膜50bの2層で形成することが好ましい。フッ化マグネシウムMgF、アルミナAlついては、設計波長λを405nmとした場合に、それぞれ1/2λの厚さにすることが好ましい。したがって、屈折率については、n1<n3<n2<n4の関係にすることが好ましい。
【0038】
図3A及び図3Bのいずれの場合においても、図4の透過分布T(p)に示すように、励起光のピーク波長である「365nm、380nm、又は395nm」あたりで蛍光体42への透過率が「99.98%」近くになる。したがって、励起光は、第1光学面42aで反射することなく、確実に蛍光体42へと入射する。なお、励起光の偏波面がs偏光である場合には、透過分布T(s)に示すように、「365nm、380nm、又は395nm」あたりでの透過率が「90%」となるため、入射する励起光のうち「10%」程度が第1光学面42aで反射することとなる。
【0039】
図2に示すように、放熱部50には、蛍光体42及び光源用基板49側から順に、ペルチェ素子52と、ヒートシンク54と、ファン56とが設けられている。ペルチェ素子52は、光源用基板49のペルチェ取付面に取り付けられた冷却板52aと、ヒートシンク54側に設けられた放熱板52bを有している。素子駆動部(図示省略)によってペルチェ素子52を駆動することによって、蛍光体42及び光源用基板49での発熱は、冷却板52aを介して、放熱板52b側に移動する。ヒートシンク54には、放熱板52bから発せられる熱が拡散しやすいように、金属製の四角柱が複数設けられている。このヒートシンク54に対して、ファン56からの風が吹きつけられる。これにより、ヒートシンク54に蓄積された熱は、光源装置12の外部へと放熱される。
【0040】
モニタリング部35は、図5の分光透過分布Taに示すように、発光部31からの第1青色光、第2青色光、緑色蛍光、赤色光の大部分を集光レンズ39に向けて透過させる一方で、わずかな光を光量検出用として反射させるダイクロックミラー72と、ダイクロイックミラー72で反射した光の光量をモニタリングする第1青色光用PD(Photo Detector)74a、第2青色光用PD74b、緑色蛍光用PD74c、赤色光用PD74dの4つのフォトセンサとを備えている。第1青色光用PD74a、第2青色光用PD74b、緑色蛍光用PD74c、赤色光用PD74dでのモニタリング結果は、光源制御部37に送信される。
【0041】
光源制御部37は、第1青色光、第2青色光、緑色蛍光、赤色光間の光量比が一定となるように、励起光光源30、第1青色光源45、第2青色光源46、赤色光源47を制御する。励起光光源30の光量制御は励起光制御部37aが行い、第1青色光源45の光量制御は第1青色光制御部37bが行い、第2青色光源46の光量制御は第2青色光制御部37cが行い、赤色光源47の光量制御は赤色光制御部37dが行う。これら各制御部37a〜37dによって、第1青色光、第2青色光、緑色蛍光、赤色光の光量独立制御が可能となる。また、各光が発光している間は、各PD74a〜74dでのモニタリング結果に基づく光量フィードバック制御によって、光量を一定に保持する。
【0042】
第1青色光、第2青色光、緑色蛍光、赤色光の発光タイミングと光量比は、モード毎に予め定められている。通常光観察モードに設定されている場合には、図6Aに示すように、第1青色光、緑色蛍光、赤色光が発光される。このとき、互いのピーク強度が同一となるように発光される。したがって、体内には、第1青色光、緑色蛍光、赤色光が混色した白色光として照射される。
【0043】
ここで、第1青色光、緑色蛍光、赤色光は、それぞれ光量を独立制御することが可能であるため、それらの光量比を一定に保つことが可能である。また、励起光は可視光領域以外にあるため、仮に励起光が体内に入ったとしても、白色光の色味に影響を与えることない。以上から、体内に照射された白色光の色味は変化することなく一定に保持される。
【0044】
また、第1特殊光観察モードに設定されている場合には、図6Bに示すように、第1青色光、緑色蛍光、赤色光が発光される。このとき、第1青色光のピーク強度は、他の緑色蛍光、赤色光のピーク強度よりも大きくなるように発光されるとともに、体内の血管と粘膜のコントラスト比が「1.6」以上となる第1光量比で発光される。上記したように、第1青色光、緑色蛍光、赤色光は光量を独立に制御することが可能であるため、第1光量比を一定に保つことが可能である。
【0045】
また、第2特殊光観察モードに設定されている場合には、図6Cに示すように、第1青色光、緑色蛍光が発光される。このとき、体内の血管と粘膜のコントラスト比が「1.6」以上となる第2光量比で発光される。上記したように、第1青色光、緑色蛍光は光量を独立に制御することが可能であるため、第2光量比を一定に保つことが可能である。
【0046】
酸素飽和度観察モードに設定されている場合には、図6Dに示すように、第2青色光のみの発光と緑色蛍光及び赤色光の発光とを、1フレーム毎に交互に繰り返す。このとき、第2青色光、緑色蛍光、赤色光間の第3光量比は一定になるように発光される。上記したように、第2青色光、緑色蛍光、赤色光は光量を独立に制御することが可能であるため、第3光量比を一定に保つことが可能である。
【0047】
なお、光源制御部による光量制御は、各光源の発光量を予め定めた駆動パルスに基づくパルス変調制御により行うことが好ましい。パルス変調制御は、パルス数制御(PNM:Pulse Number Modulation)及びパルス密度制御(PDM:Pulse Density Modulation)と、パルス幅制御(PWM:Pulse Width Modulation)により行われる。
【0048】
具体的には、図7に示すように、1フレームのうちカラー撮像素子20の電荷蓄積期間において、PNM,PDM,PWMのいずれかのパルス変調を行うことにより、光量制御を行う。ここで、図7においては、パルスが立ち上がった時に各光源30,45〜47が点灯し、それ以外のときには各光源は消灯する。なお、1フレーム期間は33ms、シャッタ速度は1/60sとする。また、最大光量時では、駆動パルス[1]に示すように、カラー撮像素子20の電荷蓄積期間内に2000個のパルスを含むものする(周波数は120kHz)。
【0049】
最大光量から最小光量の間で光量を減少させる場合、まず、PNM制御でパルス数を減少させ、次に、PDM制御でパルスを間引くことによってパルス密度を減少させ、最後に、PWM制御でパルス幅を狭めることによって、光量を徐々に減少させる。
【0050】
PNM制御においては、駆動パルス[2]に示すように、電荷蓄積期間内でパルス数を減少させ、点灯期間を短縮する。パルス数の減少に従って、光量も減少する。そして、駆動パルス[3]に示すように、PNM制御により所定の点灯期間Wminまで短縮した後は、PDM制御により駆動パルスを間引く処理を行う。このPDM制御においては、所定の点灯期間Wminまで短縮された点灯期間に対し、所定間隔で駆動パルスを間引くことで点灯期間内のパルス密度を減少させる。
【0051】
そして、駆動パルス[4]に示すように、駆動パルスのパルス間隔が間引き限界に達するまで、即ち、駆動パルスが所定の最小パルス密度となるまでPDM制御を行う。次に、駆動パルス[5]に示すように、駆動パルスが所定の最小パルス数となった後は、PWM制御により駆動パルスのパルス幅を減少させる。そして、駆動パルス[6]に示すように、駆動パルスのパルス幅が一定の限界幅(PWM制御限界)に達するまでPWM制御を行う。
【0052】
上記パルス変調方式を用いることで、半導体レーザーや発光ダイオードなどの半導体発光素子において光量に応じて発光波長が変動したとしても、照明光の色調の変動を最小限に抑制することができる。また、蛍光体42の発光効率も励起波長に対して依存性があるが、この発光効率の変動も上記パルス変調で更に抑制することができる。
【0053】
図2に示すように、プロセッサ装置13は、電子内視鏡11からの撮像信号を受信する受信部80と、受信部80で受信した撮像信号に基づいて、被検体内の観察画像を生成する画像生成部81と、これら受信部80及び画像生成部81の他、光源装置12内の光源制御部37、電子内視鏡11のモード切替SW15、モニタ14等と電気的に接続され、プロセッサ装置12全体を統括的に制御するコントローラー82とを備えている。
【0054】
受信部80では、電子内視鏡11のカラー撮像素子20から出力された撮像信号を受信する。このカラー撮像素子20は、図8に示すような分光透過率を有するBフィルタ、Gフィルタ、Rフィルタが設けられたB画素、G画素、R画素を多数備えている。したがって、カラー撮像素子20が被検体内を撮像することにより、1フレーム毎に、B画素から青色信号が、G画素から緑色信号が、R画素から赤色信号が出力される。
【0055】
画像生成部81は、設定されたモードに応じた観察画像を生成する。通常光観察モードに設定されている場合には、図9Aに示すように、受信部からの青色信号Bc、緑色信号Gc、赤色信号Rcに基づいて、通常光画像を生成する。通常光観察モード時には、各色(青、緑、赤)のピーク強度が同一である白色光が体内に照射されるため、各信号Bc、Gc、Rcは、互いに略同じ信号値を有している。したがって、モニタ14には、全体的に明るい通常光画像が表示される。
【0056】
また、第1特殊光観察モードに設定されている場合には、図9Bに示すように、受信部からの青色信号Bm、緑色信号Gm、赤色信号Rmに基づいて、第1特殊光画像を生成する。第1特殊光観察モード時には、青色のピーク強度が他の色(緑、赤)よりも高い白色光が体内に照射されるため、青色信号Bmは緑色信号Gm、赤色信号Rmよりも高い信号値を有している。即ち、青色信号Bmには、表層の微細血管や微細構造などの青色成分の情報量が多く含まれている。したがって、モニタ14には、全体的に明るい通常光画像上に、表層の微細血管や微細構造が明瞭に表示された第1特殊光画像が表示される。
【0057】
また、第2特殊光観察モードに設定されている場合には、図9Cに示すように、受信部からの青色信号Be、緑色信号Geに基づいて、第2特殊光画像を生成する。この第2特殊光画像を生成する際には、青色信号Beをモニタ表示用のB、Gチャンネルに割り当て、緑色信号Geをモニタ表示用のRチャンネルに割り当てる。したがって、モニタ14には、青色信号Beに含まれる表層血管の情報が茶色調パターンで、緑色信号Geに含まれる中深層血管の情報がシアン系の色調パターンで表された第2特殊光画像が表示される。
【0058】
また、酸素飽和度観察モードに設定されている場合には、図9Dに示すように、第2青色光の発光時に得られる青色信号B1、緑色蛍光及び赤色光の発光時に得られる緑色信号G2、赤色信号R2とに基づいて、酸素飽和度画像を生成する。第2青色光の中心波長470nmは、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数が大きく異なっているため、青色信号B1には酸素飽和度に関する情報が多く含まれている。したがって、モニタ14に表示された酸素飽和度画像から、酸素飽和度の変化を視覚的に把握することができる。また、第2青色光は蛍光体42の励起波長帯域に属していないため、蛍光体42から不要な蛍光を発しない。そのため、第2青色光が蛍光体42を透過したとしても、被検体内には、蛍光成分を含まないピュアな第2青色光が照射される。したがって、青色信号B1には、酸素飽和度の変化情報を示す第2青色光の波長成分のみが含まれるようになる。これにより、正確な酸素飽和度の情報が反映された酸素飽和度画像をモニタ14に表示することが可能となる。
【0059】
本発明の第2実施形態は、蛍光体42が光源用基板49に直接的に取り付けられていた第1実施形態と異なり、図10に示すように、蛍光体42は蛍光体用基板100に取り付けられており、この蛍光体用基板100に対して、光源用基板49が一定の間隔だけ離間させて取り付けられている。それ以外については、第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0060】
蛍光体用基板100は、サファイヤなどの熱伝導性の高い透明基板で構成される。この蛍光体用基板100の中心部の蛍光体取付面には蛍光体42が取り付けられており、その周辺部には、放熱部50と同様の2つの放熱部103,104が取り付けられている。蛍光体取付面はテーパ状になっており、この蛍光体取付面には、励起光の波長域には反射特性を有する一方で、第1青色光、第2青色光、赤色光の波長域には透過特性を有する光学フィルタ101が設けられている。したがって、励起光光源30からの励起光は、この光学フィルタ101で反射するため、蛍光体42に確実に吸収される。これにより、蛍光体42から緑色蛍光が励起発光される。励起発光された緑色蛍光は、凸レンズ60を介してモニタリング部35に向けて出射する。
【0061】
一方、第1青色光源45、第2青色光源46、赤色光源47からの第1青色光、第2青色光、赤色光は、透明の蛍光体用基板100を介して、光学フィルタ101を透過する。これにより、第1青色光、第2青色光、赤色光は蛍光体42に入射する。これら光は蛍光体42の励起波長域に属しないため、そのまま蛍光体42を透過する。そして、蛍光体42を透過した光は、凸レンズ60を介してモニタリング部35に向けて出射する。
【0062】
この第2実施形態では、蛍光体42での発熱と各光源45〜47における発熱を別々の放熱部で放熱しているため、蛍光体の42温度は上昇することなく一定に保たれるとともに、各光源45〜47も温度の影響を受けることが無い。これにより、蛍光体42及び各光源45〜47における発光効率の低下が無いため、体内に照射される照明光の色調の安定化を図ることができる。
【0063】
本発明の第3実施形態は、ペルチェ素子52などの放熱部50を用いて蛍光体42及び各光源45〜47での発熱を放熱していた第1実施形態と異なり、図11に示すように、放熱部を使用せずに、モニタリング部35でのモニタリング結果に基づく光量フィードバック制御のみで、蛍光体42及び各光源45〜47の発熱を防止する。それ以外については、第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0064】
第3実施形態の光源制御部37では、モニタリング部35が一定以上の光量低下を検出した場合には、その光量低下した光の光量を増加させるのではなく、光量を低下させることによって発熱量を低下させる。例えば、緑色蛍光の光量が低下した場合には、励起光の光量を低下させることによって、蛍光体42での発熱量を低下させる。また、第1青色光の光量が低下した場合には、第1青色光源45の光量を低下させることによって、第1青色光源での発熱量を低下させる。このように光源の光量の調整だけでも発熱量を十分に低下させることが可能であるため、ペルチェ素子などのコストのかかる放熱手段を別途設けることなく、発熱を防止することができる。なお、発熱防止のために光量を低下させたときには、その旨をモニタ14に表示することが好ましい。
【0065】
上記第1〜第3実施形態においては、緑色蛍光以外の第1青色光、第2青色光、赤色光は、蛍光体42を透過させてから、ライトガイド25に入射させていたが、これに代えて、図12に示すように、第1青色光源45、第2青色光源46、赤色光源47を蛍光体42と同一面に設置することによって、それら光源45〜47からの光を、蛍光体42を透過させずに、ライトガイド25に入射させてもよい。
【0066】
この場合、第1青色光源45、第2青色光源46、赤色光源47、蛍光体42は同一の蛍光体・光源用基板150に設けられている。この蛍光体・光源用基板150は、光源用基板49と同様である。また、蛍光体・光源用基板150には、放熱部50と同様の放熱部152が取り付けられている。この放熱部152は、蛍光体42と各光源45〜47の両方の発熱を放熱する。なお、蛍光体42には、励起光や緑色蛍光を反射させる高反射部153(銀やアルミ又はこれらの合金などで形成されたもの)が設けられている。
【0067】
また、蛍光体・光源用基板150上には、上記実施形態と同様に、励起光光源30からの励起光を集光するとともに、第1青色光、第2青色光、緑色蛍光、赤色光をモニタリング部35に向けて集光する凸レンズ155が設けられている。この凸レンズ155は、励起光光源30からの励起光が蛍光体42にのみ集光するように、光学設計されている。また、凸レンズ155は、蛍光体42から励起発光される緑色蛍光と各光源45〜47から発せられる第1青色光、第2青色光、赤色光とが、ライトガイド25の光軸上に極力近づくように、光学設計されている。
【0068】
なお、上記実施形態では、半導体光源から青色光(第1、第2青色光)及び赤色光を発光させ、蛍光体から緑色蛍光を励起発光させているが、これに代えて、青色光及び緑色光については半導体光源から発光し、赤色光については、赤色用の蛍光体から赤色蛍光を励起発光してもよい。
【0069】
なお、上記実施形態においては、紫外域の励起光が被検体内に入ることを避けるために、蛍光体から電子内視鏡の先端部までの間の光路上に、励起光をカット又は減光する励起光カットフィルタを設けることが好ましい。また、ライトガイドとして、紫外域における透過特性が極めて低いものを使用することによって、ライドガイドで励起光をカット又は減光するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
12 光源装置
30 励起光光源
37 光源制御部
42 蛍光体
45 第1青色光源
46 第2青色光源
47 赤色光源
50、103,104,152 放熱部
74a 第1青色光用PD
74b 第2青色光用PD
74c 緑色蛍光用PD
74d 赤色光用PD
100 蛍光体用基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に挿入される内視鏡に対して光を供給する内視鏡用光源装置において、
可視光領域以外の波長域を有する励起光を発する励起光光源と、
可視光領域の波長域を有する第1の照明光を発する照明光光源と、
前記励起光が入射する第1の光学面、前記励起光を、前記第1の照明光と異なる可視光領域の波長域を持つ第2の照明光に波長変換する波長変換部、及び前記第1の光学面の反対側に設けられ、前記第1の照明光が入射するとともに前記第2の照明光を反射させる第2の光学面を有し、前記第1の照明光及び第2の照明光を合波して前記第1の光学面から出射する波長変換手段と、
前記波長変換部材から出射した第1及び第2の照明光を前記内視鏡に供給する供給手段とを備えることを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項2】
前記照明光光源は、前記波長変換部材の第2の光学面に直接的に設けられていることを特徴とする請求項1記載の内視鏡用光源装置。
【請求項3】
前記波長変換部材は透明基板に設けられており、
前記照明光光源は、前記波長変換部材の第2の光学面側に、前記透明基板を挟んで設けられていることを特徴とする請求項1記載の内視鏡用光源装置。
【請求項4】
前記透明基板には、前記波長変換部材での発熱を放熱する放熱手段が設けられていることを特徴とする請求項3記載の内視鏡用光源装置。
【請求項5】
前記透明基板は、透明で且つ熱伝導率の高いサファイヤ基板で構成されることを特徴とする請求項4記載の内視鏡用光源装置。
【請求項6】
前記第1の照明光の光量と前記第2の照明光の光量をモニタリングするモニタリング手段と、
前記モニタリング結果に基づいて、前記第1及び第2光源の光量を制御することによって、前記波長変換部材又は前記照明光光源での発熱を防止する発熱防止手段とを備えることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の内視鏡用光源装置。
【請求項7】
前記第1の照明光の光量と前記第2の照明光の光量をそれぞれ独立に制御することによって、前記第1及び第2の照明光を含む照明光の色調を安定化させる色調安定化手段を備えることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の内視鏡用光源装置。
【請求項8】
前記波長変換部材は、紫外域に励起波長帯域を持つ緑色蛍光体であり、
前記照明光光源は半導体光源であり、
前記第1の照明光は、前記半導体光源から発せられる光であり、
前記第2の照明光は、紫外域の前記励起光によって前記緑色蛍光体から励起発光される緑色蛍光であることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項記載の内視鏡用光源装置。
【請求項9】
前記内視鏡には、青色帯域と赤色帯域を含む第1照明光、及び緑色蛍光の第2照明光が混色した白色光が供給されることを特徴とする請求項8記載の内視鏡用光源装置。
【請求項10】
前記内視鏡には、青色帯域と赤色帯域を含む第1照明光、及び緑色蛍光の第2照明光が混色した白色光が供給され、前記第1の照明光の青色帯域におけるピーク強度は、前記緑色蛍光及び前記第1の照明光の赤色帯域におけるピーク強度よりも大きいことを特徴とする請求項8記載の内視鏡用光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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