説明

内視鏡用送気送水装置

【課題】装置規模を大きくすることなく、簡単な構成で送気送水の流路及び流量制御を行うことが可能な内視鏡用送気送水装置を提供する。
【解決手段】内視鏡用送気送水装置10は、内視鏡30の送気送水管路34と接続される第1の管路と、内視鏡のウォータージェット管路36に接続される第2の管路と、所定の圧力の空気を供給するポンプ11と液体を貯留しポンプから空気が供給された時に貯留された液体を送出するタンク12とを備え、第1の管路に空気又は液体を送出し、第2の管路に液体を送出する送気送水ユニットと、第2の管路の中途部に挿入され第2の管路を流れる液体の流量を制限する流量制限手段であるオリフィス15と、ユーザの操作に基づく信号を受け付け、信号に応じて送気送水ユニットの流路を制御する制御手段16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に用いられる送気送水装置であって、特に、内視鏡内に配設される送気送水管及びウォータージェット管による送気送水の流路及び流量制御を行う内視鏡用送気送水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の体腔内に挿入されて対象部位の観察や撮像を行う内視鏡では、従来から体腔内に挿入される挿入管の内部に送気送水管及びウォータージェット管を備え、これらの管路により内視鏡の先端部まで送気、送水が可能なように構成されている。かかる送気送水管は、送気によって患者の管腔を広げて視野を確保したり、体液や出血などで内視鏡先端の対物レンズ表面が汚れて観察性能が低下した場合に、水等の洗浄液を噴射してレンズ表面の汚れを除去したり、空気を送って対物レンズ表面の水滴を飛ばしたりすることで視界を回復することに用いられる。また、ウォータージェット管は、その先端から噴射される洗浄液により胃や腸壁に付着した汚物等を洗い流したり、内視鏡手技による出血を洗い流したりする場合に用いられる。
【0003】
胃や腸壁の汚物洗浄や内視鏡手技による出血の洗い流しを行う場合(すなわち、ウォータージェット管が用いられる場合)には、レンズ表面の汚れを除去する場合(すなわち、送気送水管が用いられる場合)と比較して、より高い水圧が求められる。このように異なる圧力の水圧が求められるため、従来は、圧力の低い送気送水用のポンプと、圧力の高いウォータージェット用のポンプとを併用していた(例えば、特許文献1)。また、送水用のポンプの出力に複数のバルブ(電磁弁)を設け、このポンプから送られる空気の一部を大気中に開放する(逃がす)ことでポンプの圧力を制御し、送水量を可変とする構成も採られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−325813号公報
【特許文献2】特開平11−276428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の構成は、圧力の異なる2系統のポンプとタンクが必要となるため、装置の規模が大きくなり、また、タンク内の洗浄液の管理等も面倒なものとなる。また、特許文献2に記載の構成は、ポンプの圧力を制御するためのバルブが余計に必要となるため、バルブでの圧力損失の影響により正確な流量制御を行うことが困難となり、また、バルブ制御が複雑になるという問題がある。
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、装置規模を大きくすることなく、簡単な構成で送気送水の流路及び流量制御を行うことが可能な内視鏡用送気送水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用送気送水装置は、送気送水管路及びウォータージェット管路を備えた内視鏡の先端部に空気及び液体を供給する内視鏡用送気送水装置であって、送気送水管路と接続される第1の管路と、ウォータージェット管路に接続される第2の管路と、所定の圧力の空気を供給するポンプと液体を貯留しポンプから空気が供給された時に該貯留された液体を送出するタンクとを備え、第1の管路に空気又は液体を送出し、第2の管路に液体を送出する送気送水ユニットと、第2の管路の中途部に挿入され第2の管路を流れる液体の流量を制限する流量制限手段と、ユーザの操作に基づく信号を受け付け、該信号に応じて送気送水ユニットから送出する空気及び液体の流路を制御する制御手段とを備え、制御手段は、(1)信号がユーザの送気の操作に基づく信号である場合に、送気送水ユニットから第1の管路に空気を送出し、(2)信号がユーザの送水の操作に基づく信号である場合に、送気送水ユニットから第1の管路に液体を送出し、(3)信号がユーザのウォータージェットの操作に基づく信号である場合に、送気送水ユニットから第2の管路に液体を送出することを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、1台のポンプと1台のタンクの組み合わせで、送気、送水及びウォータージェットを切り換えることが可能となるため、装置規模を大きくすることなく、簡単な構成で送気送水の流路及び流量制御を行うことが可能な内視鏡用送気送水装置が実現される。
【0009】
また、送気送水ユニットは、ポンプから供給される空気の流路を第1の管路側又はタンク側のいずれか一方に切り換える第1の流路切換手段と、タンクから供給される液体の流路を第1の管路側又は前記第2の管路側のいずれか一方に切り換える第2の流路切換手段とを備え、制御手段は、信号に基づいて第1の流路切換手段及び第2の流路切換手段を切換える構成とすることができる。このような構成によれば、2つの流路切換手段の制御のみで、送気、送水及びウォータージェットの動作を切り替えることが可能となるため、内視鏡用送気送水装置全体をよりシンプルな構成とすることができる。
【0010】
また、制御手段は、(1)信号がユーザの送気の操作に基づく信号である場合に、第1の流路切換手段によってポンプから供給される空気の流路を第1の管路側に切り換えると共に、第2の流路切換手段によってタンクから供給される液体の流路を第2の管路側に切り換え、(2)信号がユーザの送水の操作に基づく信号である場合に、第1の流路切換手段によってポンプから供給される空気の流路をタンク側に切り換えると共に、第2の流路切換手段によってタンクから供給される液体の流路を第1の管路側に切り換え、(3)信号がユーザのウォータージェットの操作に基づく信号である場合に、第1の流路切換手段によってポンプから供給される空気の流路をタンク側に切り換えると共に、第2の流路切換手段によってタンクから供給される液体の流路を第2の管路側に切り換える構成とすることが望ましい。
【0011】
また、第1の流路切換手段及び第2の流路切換手段は、それぞれ電磁弁で構成することができる。
【0012】
また、流量制限手段は、オリフィスで構成することができる。この場合、オリフィスは、オリフィス開口の大きさを可変可能な可変型オリフィスであり、制御手段は、信号に基づいてオリフィス開口の大きさを制御する構成とすることが望ましい。このような構成とすれば、ウォータージェットの際に噴射される洗浄液の圧力(勢い)をユーザの操作によって調整することが可能となる。
【0013】
また、タンクに貯留された液体は、水又は生理食塩水のいずれかであることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、装置規模を大きくすることなく、簡単な構成で送気送水の流路及び流量制御を行うことが可能な内視鏡用送気送水装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る内視鏡用送気送水装置(送気送水装置10)の全体構成図である。
【図2】図2は、送気送水装置10の各動作モードと、ユーザ操作及び送気送水装置10内の制御との関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る内視鏡用送気送水装置の全体構成図である。図1に示すように、内視鏡用送気送水装置10(以下、送気送水装置10という)は、内視鏡(電子内視鏡)30とケーブルによって接続されて用いられる。なお、内視鏡30が実際に使用される際には、内視鏡30は、内視鏡30に電源を供給し画像処理等を行うプロセッサにも接続されるが、図1においては、プロセッサ等の周辺機器の記載を省略している。
【0018】
内視鏡30には、先端部31から操作部32まで、不図示の観察窓(内視鏡30の先端の対物光学系のレンズ面)へ送気及び送水するための送気送水管34と、被観察体へ洗浄水を噴射するためのウォータージェット管36が配設される。
【0019】
操作部32には、第1スイッチ37a及び第2スイッチ37bが設けられており、これらの操作制御信号は、ケーブルを介して、送気送水装置10の制御回路16に出力される。また、操作部32に配置されたコネクタ(不図示)を介して、内視鏡30に配設された送気送水管34と、送気送水装置10から延設される送気送水チューブ24とが接続され、また内視鏡30に配設されたウォータージェット管36と、送気送水装置10から延設される高圧送水チューブ26とが接続される。
【0020】
本実施形態の送気送水装置10は、上述のように接続された内視鏡30の第1スイッチ37a及び第2スイッチ37bから操作制御信号を受信し、これに基づいて送気送水管34とウォータージェット管36に空気及び洗浄水(すなわち、送気及び送水)を送出する装置である。
【0021】
送気送水装置10は、所定の圧力の空気を供給するポンプ11と、水や生理食塩水等の洗浄液を溜める送水タンク12、第1電磁弁13、第2電磁弁14、オリフィス15、送気送水装置10内の各構成要素を統括的に制御する制御回路16等を備えている。
【0022】
ポンプ11は、不図示の吸気口から大気中の空気を吸い込み、所定の圧力の空気を供給するエアーポンプである。ポンプ11は、制御回路16に接続されており、制御回路16によってオン/オフ制御される。また、ポンプ11の排気口は、送気管21の一端に接続されており、送気管21の他端は第1電磁弁13の入力ポートに接続される。第1電磁弁13は、制御回路16によって制御される三方電磁弁であり、2つの出力ポートの一方には、送水タンク12に空気を導く送気管22が接続され、他方には、送気送水チューブ24から分岐する送気チューブ24bが接続されている。従って、ポンプ11の排気口から供給される空気は、制御回路16による第1電磁弁13の制御のもと、送気管21、第1電磁弁13を介して、送気管22又は送気チューブ24bに送られる。
【0023】
制御回路16によって、第1電磁弁13の出力ポートとして送気チューブ24b側が選択されている場合、ポンプ11の排気口から供給される空気は、送気管21、第1電磁弁13を介して、送気チューブ24bに送られる。そして、送気チューブ24bに送られた空気は、送気送水チューブ24、送気送水管34の中を通り、送気送水管34の先端の送気送水口33から内視鏡30の外方に送出される。本実施形態においては、送気送水口33は、内視鏡30の先端部31に配置された対物光学系(不図示)のレンズ面に近接して配置されている。そして、体液や出血などで対物光学系のレンズ表面が汚れて観察性能が低下した場合に、洗浄液を噴射してレンズ表面の汚れを除去したり(後述)、空気を送ってレンズ表面の水滴を飛ばしたりすることで視界を回復するのに用いられる。このように、送気送水管34に空気を送出する送気送水装置10の動作を、本明細書では「送気モード」と称する。
【0024】
制御回路16によって、第1電磁弁13の出力ポートとして送気管22側が選択されている場合、ポンプ11の排気口から供給される空気は、送気管21、第1電磁弁13を介して、送水タンク12に送られる。上述したように、送水タンク12は、水や生理食塩水等の洗浄液を溜めるタンクであり、洗浄液を貯留した状態で密閉されている。そして、送気管22は、その先端が洗浄液の液面よりも高い位置となるように送水タンク12の内部に挿入されている。また、送水タンク12には、送水タンク12内の洗浄液を送り出すための送水管23が設けられている。送水管23の一端は、洗浄液の液面よりも十分低い位置に配置され、他端は、送水タンク12の外側に配置される第2電磁弁14の入力ポートに接続されている。このような構成において、ポンプ11からの空気が送水タンク12に送られると、送水タンク12内の空気の圧力が高くなり、空気の圧力によって洗浄液の液面が押し下げられることとなる。このため、送水タンク12内の洗浄液は、送水管23の中を通り、第2電磁弁14の入力ポートに送り出されることとなる。
【0025】
第2電磁弁14は、制御回路16によって制御される三方電磁弁であり、2つの出力ポートの一方には、オリフィス15に洗浄液を導く送水管25が接続され、他方には、送気送水チューブ24から分岐する送水チューブ24aが接続されている。従って、送水タンク12から供給される洗浄液は、制御回路16による第2電磁弁14の制御のもと、送水管23、第2電磁弁14を介して、送水管25又は送水チューブ24aに送られる。
【0026】
制御回路16によって、第2電磁弁14の出力ポートとして送水チューブ24a側が選択されている場合、送水タンク12から供給される洗浄液は、送水管23、第2電磁弁14を介して、送水チューブ24aに送り出される。そして、送水チューブ24aに送り出された洗浄液は、送気送水チューブ24、送気送水管34の中を通り、送気送水管34の先端の送気送水口33から内視鏡30の外方に送出される。上述したように、本実施形態においては、送気送水口33は、内視鏡30の先端部31に配置された対物光学系のレンズ面に近接して配置されている。従って、体液や出血などで対物光学系のレンズ表面が汚れて観察性能が低下した場合に、洗浄液を噴射してレンズ表面の汚れを除去することが可能となる。このように、送気送水管34に洗浄液を送出する送気送水装置10の動作を、本明細書では「送水モード」と称する。
【0027】
制御回路16によって、第2電磁弁14の出力ポートとして送水管25側が選択されている場合、送水タンク12から供給される洗浄液は、送水管23、第2電磁弁14を介して、送水管25に送られる。上述したように、送水管25の他端は、オリフィス15の流入口に接続されている。また、オリフィス15の吐出口には、高圧送水チューブ26が接続されている。オリフィス15は、その管路内に所定の大きさの絞りを有しており、吐出口側(下流側)の管路の径が流入口側(上流側)の管路の径よりも小さくなるように構成されている。従って、洗浄液がオリフィス15を通ると、その流量が急激に減少し、吐出口側(下流側)において高圧となり、高圧送水チューブ26に送出される。そして、洗浄液は、高圧送水チューブ26、ウォータージェット管36の中を通り、ウォータージェット管36の先端のジェット口35から内視鏡30の外方に送出される。本実施形態においては、ジェット口35は、内視鏡30の先端部31から前方に開口して配置されている。従って、ジェット口35から噴射される洗浄液は、内視鏡30の前方の胃や腸壁に付着した汚物等を洗い流したり、内視鏡手技による出血を洗い流したりする場合に用いられる。このように、ウォータージェット管36に洗浄液を送出する送気送水装置10の動作を、本明細書では「ウォータージェットモード」と称する。
【0028】
上述のように、本実施形態の送気送水装置10は、内視鏡30の第1スイッチ37a及び第2スイッチ37bから入力される操作制御信号に基づいて、ポンプ11、第1電磁弁13及び第2電磁弁14を制御し、送気送水管34とウォータージェット管36に空気及び洗浄水(すなわち、送気及び送水)を送出する。
【0029】
次に、図2を参照しながら、ユーザによる内視鏡30の第1スイッチ37a及び第2スイッチ37bの操作と、上述した送気送水装置10の各動作モードとの関係を説明する。図2は、送気送水装置10の各動作モードと、ユーザ操作及び送気送水装置10内の制御との関係を示す表である。
【0030】
<停止モード>
送気送水装置10に電源が投入され、内視鏡30の第1スイッチ37a及び第2スイッチ37bが操作されていない状態では、ポンプ11はオフされ、送気送水装置10から内視鏡30の送気送水管34及びウォータージェット管36には、送気及び送水は行われない。すなわち、送気送水装置10は、内視鏡30の第1スイッチ37a及び第2スイッチ37bが操作されるまで待機状態となる。そして、制御回路16が、ユーザによって第1スイッチ37a又は第2スイッチ37bが操作されたことを検出すると、ポンプ11をオンし、その操作内容に応じて第1電磁弁及び第2電磁弁を制御し、「送気モード」、「送水モード」又は「ウォータージェットモード」を実行する。
【0031】
<送気モード>
第1スイッチ37aが操作され(オンし)、第2スイッチ37bがオフすると、送気送水装置10は、送気モードで動作する。すなわち、制御回路16によって、第1電磁弁13の出力ポートとして送気チューブ24bが選択され、第2電磁弁14は閉じられる。従って、ポンプ11の排気口から供給される空気は、送気管21、第1電磁弁13を介して、送気チューブ24bに送られる。そして、送気チューブ24bに送られた空気は、送気送水チューブ24、送気送水管34の中を通り、送気送水管34の先端の送気送水口33から内視鏡30の外方に送出される。なお、送気モードにおいては、第2電磁弁14が閉じられるため、ポンプ11の排気口から供給される空気が送水チューブ24aを介してウォータージェット管36や送水管23に流れ込むことはない。
【0032】
<送水モード>
第1スイッチ37aがオフし、第2スイッチ37bが操作される(オンする)と、送気送水装置10は、送水モードで動作する。すなわち、制御回路16によって、第1電磁弁13の出力ポートとして送気管22が選択され、第2電磁弁14の出力ポートとして送水チューブ24aが選択される。従って、ポンプ11から供給される空気によって、送水タンク12内の洗浄液が送り出され、洗浄液は、送水管23、送水チューブ24a、送気送水チューブ24、送気送水管34の中を通り、送気送水管34の先端の送気送水口33から内視鏡30の外方に送出される。
【0033】
<ウォータージェットモード>
第1スイッチ37a及び第2スイッチ37bが操作される(オンする)と、送気送水装置10は、ウォータージェットモードで動作する。すなわち、制御回路16によって、第1電磁弁13の出力ポートとして送気管22が選択され、第2電磁弁14の出力ポートとして送水管25が選択される。従って、ポンプ11から供給される空気によって、送水タンク12内の洗浄液が送り出され、洗浄液は、送水管23、送水管25、オリフィス15、高圧送水チューブ26、ウォータージェット管36の中を通り、ウォータージェット管36の先端のジェット口35から内視鏡30の外方に送出される。
【0034】
このように、本実施形態の送気送水装置10は、内視鏡30の第1スイッチ37a及び第2スイッチ37bから入力される操作制御信号に基づいて、1つのポンプ11から供給される空気を第1電磁弁13で切り換えることにより、送気(送気モード)と送水(送水モード及びウォータージェットモード)を切り替え、また、送水(送水モード及びウォータージェットモード)する場合には、さらに第2電磁弁によって送水モードとウォータージェットモードとを切り替えている。すなわち、1系統のポンプと送水タンク(すなわち、1台のポンプ11と1台の送水タンク12)で、送気、送水及びウォータージェットモードを実現している。従って、従来の特許文献1の構成のように2系統のポンプと送水タンクとを備える構成と比較し装置全体をコンパクトにすることが可能となり、装置全体のコストダウンも図られることとなる。また、送気、送水及びウォータージェットモードの切り替えは、2つの電磁弁(すなわち、第1電磁弁と第2電磁弁)を制御するのみであり、従来の特許文献2の構成のように、多くの電磁弁を用いて複雑な制御をする必要がない点で優れる。
【0035】
以上が本発明の実施形態の説明であるが、本発明は上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の技術的思想の範囲内において、様々な変形が可能である。例えば、本実施形態においては、オリフィス15は、管路内に所定の大きさの絞りを有するものとして説明したが、制御回路16の制御によって絞りの大きさが変化する可変型オリフィスを用いてもよい。この場合、例えば内視鏡30の操作部32に配置したスイッチ等からの信号によって、可変型オリフィスの絞りの大きさを変え、ウォータージェットモード時に噴射される洗浄液の圧力(勢い)を調整する構成とすることが望ましい。また、可変型オリフィスの絞りの大きさを変える構成に代えて、ポンプ11の吐出量を変える構成とすることも可能である。
【0036】
また、本実施形態においては、高圧送水チューブ26を内視鏡30のウォータージェット管36に接続する構成として説明したが、内視鏡30がウォータージェット管36を備えていない場合には、高圧送水チューブ26を内視鏡30の鉗子チャネルに挿通して使用する構成とすることも可能である。
【0037】
また、本実施形態においては、送気送水装置10は、内視鏡30の第1スイッチ37a及び第2スイッチ37bから入力される操作制御信号に基づいて動作するように構成したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、送気送水装置10にフットスイッチ等の別の操作手段を設ける構成としてもよい。
【0038】
また、本実施形態においては、内視鏡30の第1スイッチ37a及び第2スイッチ37bから入力される操作制御信号に基づいて各動作モードを切り換える構成としたが、この構成に限定されるものではなく、例えば、第1スイッチ37a及び第2スイッチ37bに代えて、1つのスイッチで構成し、そのスイッチの押し込み量に基づいて各動作モードを切り換える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 送気送水装置
11 ポンプ
12 送水タンク
13 第1電磁弁
14 第2電磁弁
15 オリフィス
16 制御回路
21、22 送気管
23、25 送水管
24 送気送水チューブ
24a 送水チューブ
24b 送気チューブ
26 高圧送水チューブ
30 内視鏡
31 先端部
32 操作部
33 送気送水口
34 送気送水管
35 ジェット口
36 ウォータージェット管
37a 第1スイッチ
37b 第2スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送気送水管路及びウォータージェット管路を備えた内視鏡の先端部に空気及び液体を供給する内視鏡用送気送水装置であって、
前記送気送水管路と接続される第1の管路と、
前記ウォータージェット管路に接続される第2の管路と、
所定の圧力の空気を供給するポンプと、液体を貯留し、前記ポンプから空気が供給された時に該貯留された液体を送出するタンクとを備え、前記第1の管路に空気又は液体を送出し、前記第2の管路に液体を送出する送気送水ユニットと、
前記第2の管路の中途部に挿入され、前記第2の管路を流れる液体の流量を制限する流量制限手段と、
ユーザの操作に基づく信号を受け付け、該信号に応じて前記送気送水ユニットから送出する空気及び液体の流路を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
(1)前記信号がユーザの送気の操作に基づく信号である場合に、前記送気送水ユニットから前記第1の管路に空気を送出し、
(2)前記信号がユーザの送水の操作に基づく信号である場合に、前記送気送水ユニットから前記第1の管路に液体を送出し、
(3)前記信号がユーザのウォータージェットの操作に基づく信号である場合に、前記送気送水ユニットから前記第2の管路に液体を送出する
ことを特徴とする内視鏡用送気送水装置。
【請求項2】
前記送気送水ユニットは、
前記ポンプから供給される空気の流路を前記第1の管路側又は前記タンク側のいずれか一方に切り換える第1の流路切換手段と、
前記タンクから供給される液体の流路を前記第1の管路側又は前記第2の管路側のいずれか一方に切り換える第2の流路切換手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記信号に基づいて前記第1の流路切換手段及び前記第2の流路切換手段を切換える
ることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用送気送水装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
(1)前記信号がユーザの送気の操作に基づく信号である場合に、前記第1の流路切換手段によって前記ポンプから供給される空気の流路を前記第1の管路側に切り換え、
(2)前記信号がユーザの送水の操作に基づく信号である場合に、前記第1の流路切換手段によって前記ポンプから供給される空気の流路を前記タンク側に切り換えると共に、前記第2の流路切換手段によって前記タンクから供給される液体の流路を前記第1の管路側に切り換え、
(3)前記信号がユーザのウォータージェットの操作に基づく信号である場合に、前記第1の流路切換手段によって前記ポンプから供給される空気の流路を前記タンク側に切り換えると共に、前記第2の流路切換手段によって前記タンクから供給される液体の流路を前記第2の管路側に切り換える
ことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用送気送水装置。
【請求項4】
前記第1の流路切換手段及び前記第2の流路切換手段は、それぞれ電磁弁で構成されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の内視鏡用送気送水装置。
【請求項5】
前記流量制限手段は、オリフィスであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の内視鏡用送気送水装置。
【請求項6】
前記オリフィスは、オリフィス開口の大きさを可変可能な可変型オリフィスであり、前記制御手段は、前記信号に基づいて前記オリフィス開口の大きさを制御することを特徴とする請求項5に記載の内視鏡用送気送水装置。
【請求項7】
前記タンクに貯留された液体は、水又は生理食塩水のいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の内視鏡用送気送水装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−90721(P2013−90721A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233827(P2011−233827)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】