説明

内視鏡画像記録装置

【課題】内視鏡画像の記録を自動的に開始し、かつ、自動的に停止する。
【解決手段】内視鏡画像記録装置は、赤色検出部を有する。赤色検出部は、1フレームを構成する各画素のR信号、G信号、B信号に対し、R>GかつR>Bを満たすか否かを判定する。さらに、上記の条件を満たす画素数が全画素の過半数以上である場合に赤色部分を多く含むと判定して、録画開始信号をCPU16に供給する。また、過半数含まない場合に、録画停止信号をCPU16に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡画像記録装置に関し、特に画像記録の開始及び停止の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は医療分野において広く採用されており、内視鏡で得られた画像、特に動画像をハードディスクや光ディスク等の記憶媒体に記録する装置も提案されている。通常、内視鏡画像を動画像として記録する場合、ユーザが録画装置の操作手段を手動操作して記録開始と記録停止を行っているが、手間がかかり煩雑である問題がある。
【0003】
下記の特許文献1には、蛍光観察、狭帯域光観察、赤外光観察に設定された場合に自動的に録画を開始し、通常画像に切り換えられた場合に録画を停止することが開示されている。また、内視鏡画像内における所定領域において、予め設定された輝度値以上の信号が検出された場合に録画を開始し、その所定領域から予め設定された輝度値以上の信号が検出されなくなった場合に録画を停止することが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−271871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、画像の輝度等を用いて自動的に録画の開始及び停止を行うのは有効であるが、どのような信号をトリガとするかが重要であり、できるだけ高精度に録画の開始及び停止を制御できる信号を対象とするのが望まれる。
【0006】
本発明の目的は、内視鏡画像の動画の記録開始及び記録停止を自動的に制御できる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、撮像素子が設けられた内視鏡により被検体の体腔内を撮像して得られる画像信号を記録する内視鏡画像記録装置であって、前記画像を記録する記録手段と、前記画像信号が赤色をしきい値以上含むか否かを判定する判定手段と、前記判定手段で含むと判定された場合に前記画像信号の前記記録手段への記録を自動的に開始し、前記判定手段で含まないと判定された場合に前記画像信号の前記記録手段への記録を自動的に停止する制御手段とを有する。
【0008】
内視鏡を体腔内に挿入すると、他の色成分に比べて赤色成分が多くなる。そこで、画像信号の中で赤色成分が多く含まれているか否かを判定することで、適当なタイミングで記録の開始/停止を制御することができる。
【0009】
本発明の1つの実施形態では、前記判定手段は、1フレーム分の画像を構成する各画素のR信号、G信号、B信号に対し、R>GかつR>Bである画素がしきい値以上存在する場合に赤色をしきい値以上含むと判定する。
【0010】
また、本発明の他の実施形態では、前記判定手段は、1フレーム分の画像を構成する各画素の輝度信号Y及び色差信号U,Vに対し、V>0かつV>Uである画素がしきい値以上存在する場合に赤色をしきい値以上含むと判定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、内視鏡画像の動画の記録開始及び記録停止を自動的に制御でき、かつ適当なタイミングとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1に、本実施形態における内視鏡画像記録装置の構成ブロック図を示す。内視鏡画像記録装置は、内視鏡に接続され、内視鏡に設けられた撮像素子、例えばCCDやCMOSからの映像信号を受信する。内視鏡からの映像信号はA/Dコンバータ10に供給される。CCDカメラはベイヤー配列のカラーフィルタを備え、R信号、G信号、B信号の各色信号を出力する。各色信号はアンプで適宜増幅され、A/Dコンバータ10に供給される。
【0014】
A/Dコンバータ10は、R信号、G信号、B信号をそれぞれデジタル信号に変換し、さらにAGC(オートゲインコントロール)回路でゲイン調整した後に赤色検出部12及び画像デコーダ14に供給する。
【0015】
画像デコーダ14は、デジタル画像信号をデコードして録画データとしてCPU16に供給する。
【0016】
赤色検出部(赤色判定部)12は、プロセッサ及びフレームメモリを有し、デジタル画像信号から赤色部分を検出し、赤色部分の多少、より特定的には赤色部分がしきい値以上含まれるか否かに応じて録画制御信号をCPU16に供給する。フレームメモリは、1フレームを構成する各画素毎のR信号のデジタル値、G信号のデジタル値、B信号のデジタル値を記憶する。すなわち、フレームメモリは、1フレーム分のR信号を記憶するR信号メモリ、1フレーム分のG信号を記憶するG信号メモリ、1フレーム分のB信号を記憶するB信号メモリから構成される。なお、ベイヤー配列のカラーフィルタを用いる場合、R画素、G画素、B画素にそれぞれ分離しているため、例えばあるG画素におけるR信号、B信号は周囲の信号の補間により算出される。赤色検出部12のプロセッサは、フレームメモリに記憶された各画素のR信号のデジタル値、G信号のデジタル値、B信号のデジタル値を画素毎に大小比較する。そして、
R信号のデジタル値>G信号のデジタル値
かつ
R信号のデジタル値>B信号のデジタル値
を満たす場合にその画素を赤色部分と判定する。例えば、ある画素pijのR値が100、G値が50、B値が60である場合、上記の条件を満たすためその画素pijは赤色部分と判定される。赤色部分と判定された画素には赤色部分であることを示すフラグが設定される。あるいは、赤色検出部12のプロセッサは、R,G,B各信号を輝度信号及び色差信号に変換し、
Y=0.299R+0.587G+0.114B
U=−0.169R−0.331G+0.500B
V=0.500R−0.419G+0.081B
とした場合に、
V>0
かつ
V>U
を満たす場合にその画素を赤色部分と検出することができる。そして、赤色検出部12のプロセッサは、1フレームを構成する各画素毎に赤色部分であるか否かを判定し、赤色部分と判定された画素数が1フレームを構成する全画素数の少なくとも半分以上存在するか否かを判定する。すなわち、1フレームを構成する全画素数をΣP、赤色部分と判定された画素をpijとすると、
Σpij≧1/2・ΣP
を満たすか否かを判定する。Σpijは、フラグが設定されている画素を抽出しカウントすることで算出できる。赤色部分の画素数Σpijが全画素数ΣPの半分以上存在する場合には、プロセッサは着目しているフレームにおいて全体として赤色部分が多いと判定し、録画制御信号として録画開始信号をCPU16に供給する。また、赤色部分の画素数Σpijが全画素数ΣPの半分を下回る場合には、赤色部分が少ないと判定して録画制御信号として録画停止信号を供給する。
【0017】
赤色検出部12のプロセッサは、他の方法により赤色部分を検出してもよい。例えば、赤色部分と判定された画素数が1フレームを構成する全画素数の少なくとも2/3以上存在する場合に着目しているフレームにおいて全体として赤色部分が多いと判定し、録画制御信号として録画開始信号をCPU16に供給してもよい。あるいは、m、nを任意の自然数として、
Σpij≧n/m・ΣP
を満たすか否かを判定するものとし、m、n(但しm>n)をユーザが任意に設定できるように構成してもよい。
【0018】
また、赤色検出部12のプロセッサは、1フレームを複数の画像ブロックに分割し、各ブロック毎に赤色部分の画素数が多いか少ないかを判定してもよい。例えば、1フレームを4つのブロックに分割し、各ブロック毎に赤色部分の画素数が多いか少ないかを判定する。各ブロックにおいて判定する方法は上記の方法と同様であり、そのブロックを構成する各画素が赤色部分であるか否かを判定し、赤色部分と判定された画素数がそのブロックの全画素数の過半数以上であるか否かで判定する。そして、赤色部分が多いブロックが全ブロックの過半数以上か否かを判定し、過半数以上である場合に着目しているフレームは赤色部分が多いと判定して録画開始信号をCPU16に供給してもよい。
【0019】
また、赤色検出部12のプロセッサ12は、1フレームを複数の画像ブロックあるいは領域に分割し、特定のブロックあるいは領域のみに着目し、特定のブロックあるいは領域において赤色部分が多いか少ないかを判定することで録画開始信号をCPU16に供給してもよい。
【0020】
また、赤色検出部12のプロセッサは、輝度信号及び色差信号で赤色部分か否かを判定する際に、輝度値Yがしきい値以上であるか否かを判定し、輝度値Yがしきい値以上である場合においてV>0かつV>Uであるときに赤色部分と判定してもよい。
【0021】
なお、赤色検出部12で赤色を検出するに先立って、デジタル画像信号のホワイトバランスを調整しておくのが好適である。ホワイトバランス調整では、基準となる白の被写体を撮影した場合にR信号、G信号、B信号のレベルが等しくなるように、各信号のゲインを調整する。赤色検出部12はホワイトバランス調整済みのR信号、G信号、B信号を対象として赤色部分を検出する。
【0022】
CPU16は、リモコン22や操作パネル24からの操作信号に応じて録画データを編集するとともに、赤色検出部12からの録画制御信号に応じて画像デコーダ14からの録画データの録画開始及び録画停止を制御する。すなわち、赤色検出部12から録画開始信号が供給されると、録画データをストレージ26に格納して動画を記録する。また、赤色検出部12から録画停止信号が供給されると、ストレージ26への記録を停止する。ストレージ26は、ハードディスクその他の磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等を用いた記録装置である。録画データをストレージ26に格納する際に、録画データをチャプタ毎に区分し、各チャプタにインデックスを作成して格納する。また、録画データには、撮影年月日や患者データ等が付加される。CPU16は、ネットワークに接続された外部のサーバに録画データを送信し、外部のサーバに録画データを記録してもよい。
【0023】
画像エンコーダ18は、ストレージ26から読み出された録画データ、すなわち再生データをエンコードし、D/Aコンバータ20に供給する。
【0024】
D/Aコンバータ20は、エンコードされた再生データをアナログ信号に変換して、映像出力としてモニタ等の表示装置に表示する。
【0025】
このように、本実施形態では、内視鏡で体内の画像を撮影する際に、体内の画像として赤色が基本となる事実に着目し、赤色部分が多くなったことをトリガとして自動的に動画の記録を開始し、赤色部分が少なくなったことをトリガとして自動的に動画の記録を停止するので、手動で録画の開始及び停止を行う場合に生じ得る操作ミスを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態の構成ブロック図である。
【符号の説明】
【0027】
10 A/Dコンバータ、12 赤色検出部、14 画像デコーダ、16 CPU、18 画像エンコーダ、20 D/Aコンバータ、22 リモコン、24 操作パネル、26 ストレージ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子が設けられた内視鏡により被検体の体腔内を撮像して得られる画像信号を記録する内視鏡画像記録装置であって、
前記画像を記録する記録手段と、
前記画像信号が赤色をしきい値以上含むか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段で含むと判定された場合に前記画像信号の前記記録手段への記録を自動的に開始し、前記判定手段で含まないと判定された場合に前記画像信号の前記記録手段への記録を自動的に停止する制御手段と、
を有することを特徴とする内視鏡画像記録装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記判定手段は、1フレーム分の画像を構成する各画素のR信号、G信号、B信号に対し、R>GかつR>Bである画素がしきい値以上存在する場合に赤色をしきい値以上含むと判定することを特徴とする内視鏡画像記録装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、
前記判定手段は、1フレーム分の画像を構成する各画素の輝度信号Y及び色差信号U,Vに対し、V>0かつV>Uである画素がしきい値以上存在する場合に赤色をしきい値以上含むと判定することを特徴とする内視鏡画像記録装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−51399(P2010−51399A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217240(P2008−217240)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】