内視鏡管路切換装置
【課題】逆止弁の磨耗と損傷とが防止され、洗浄性が向上する内視鏡管路切換装置を提供すること。
【解決手段】管路切換装置100において、逆止弁ユニット151は、シリンダ111の内部の圧力に応じて開閉することで、シリンダ111の内周面に密着または内周面から離れる逆止弁153と、逆止弁153が接着され、当接面111cに当接する当接部材155と、ピストン軸部123がシリンダ111に対して移動する際に、当接部材155が当接面111cに常に当接し、当接部材155が当接面111cに当接することに伴いシリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置が固定されるように、逆止弁153と当接部材155とを支持する支持部材157とを有している。
【解決手段】管路切換装置100において、逆止弁ユニット151は、シリンダ111の内部の圧力に応じて開閉することで、シリンダ111の内周面に密着または内周面から離れる逆止弁153と、逆止弁153が接着され、当接面111cに当接する当接部材155と、ピストン軸部123がシリンダ111に対して移動する際に、当接部材155が当接面111cに常に当接し、当接部材155が当接面111cに当接することに伴いシリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置が固定されるように、逆止弁153と当接部材155とを支持する支持部材157とを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡における管路を切り換える内視鏡管路切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、内視鏡は、体腔内を観察するために、観察窓を有している。体液などが観察窓に付着することで、観察窓の視野は狭くなる。このため、内視鏡は、視野を確保するために、観察窓に向けて送気と送水する必要がある。内視鏡は、送気と送水とを切り換える切換装置を有している。切換装置は、ピストンとシリンダとを有している。ピストンがシリンダに対して移動することで、送気のための管路と送水のための管路とが切り換わる。
【0003】
このような内視鏡は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1において、ピストンには、逆止弁が配設されている。逆止弁は、ピストンとシリンダとの気密性を増加させるために、シリンダの内周面に密着可能である。逆止弁はリング形状を有しており、ピストンが逆止弁を貫通するように逆止弁の内周面はピストンの外周面と接合している。ピストンがシリンダに対して移動することで、送気のための管路と送水のための管路とが切り換わる。
【0004】
また前述した内視鏡は、例えば特許文献2にも開示されている。特許文献2において、前述した逆止弁は、ピストンの端部をキャップするように、ピストンの端部に配設されている。逆止弁が送気源から送られる気体によって開閉することで、送気のための管路と送水のための管路とが切り換わる。これら管路は、ピストンの内部にも配設されている。
【0005】
また前述した内視鏡は、例えば特許文献3にも開示されている。特許文献3において、通気孔がピストン体に形成されており、前述した逆止弁は通気孔を塞ぐように配設されている。また管路は、ピストンの内部にも配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−122069号公報
【特許文献2】特開2002−172086号公報
【特許文献3】特開2010−82394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1において、送気のための管路と送水のための管路とが切り換わるためには、ピストンがシリンダに対して移動する必要がある。しかし、ピストンがシリンダに対して移動することに伴い、逆止弁はシリンダの内周面を摺動する。これにより逆止弁は磨耗及び損傷し、気密性が低下する虞が生じる。また逆止弁はシリンダの内周面を摺動する際、逆止弁が折れ曲がる虞が生じる。これにより逆止弁は、十分に機能しなくなる虞が生じる。
【0008】
また特許文献2,3において、逆止弁は摺動せず、逆止弁の位置は固定されている。しかし管路はピストンの内部に配設されているため、逆止弁が配設されることで、洗浄液が十分に管路の内部に流れず、洗浄性が悪化してしまう。
【0009】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、逆止弁の磨耗と損傷とが防止され、洗浄性が向上する内視鏡管路切換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は目的を達成するために、複数の管路が接続しているシリンダと、前記シリンダに対して着脱自在に嵌挿されているピストンとを有し、前記シリンダに対する前記ピストンの移動によって前記管路の連通状態を切り換える内視鏡管路切換装置であって、前記ピストンに配設され、前記シリンダと前記ピストンとの間を封止する逆止弁ユニットを具備し、前記シリンダは、当接面を前記シリンダの内周面に有し、前記逆止弁ユニットは、前記シリンダの内部の圧力に応じて開閉することで、前記シリンダの内周面に密着または前記内周面から離れる逆止弁と、前記逆止弁が配設され、前記当接面に当接する当接部材と、前記ピストンが前記シリンダに対して移動する際に、前記当接部材が前記当接面に常に当接し、前記当接部材が前記当接面に当接することに伴い前記シリンダに対する前記逆止弁の相対的な位置が固定されるように、前記逆止弁と前記当接部材とを支持する支持部材と、を有すること特徴とする内視鏡管路切換装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、逆止弁の磨耗と損傷とが防止され、洗浄性が向上する内視鏡管路切換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係る内視鏡の概略図である。
【図2A】図2Aは、第1の実施形態における内視鏡管路切換装置を示す図である。
【図2B】図2Bは、シリンダを示す図である。
【図2C】図2Cは、ピストンを示す図である。
【図2D】図2Dは、逆止弁ユニットの斜視図である。
【図3A】図3Aは、ピストンが組み立てられた際の支持部材の長さを説明する図である。
【図3B】図3Bは、ピストンがシリンダに装着される直前の支持部材の長さを説明する図である。
【図3C】図3Cは、ピストンがシリンダに装着された直後の、支持部材の長さと、ピストン軸部と当接部材とに掛かる力とを説明する図であり、無操作状態または送気状態を示す図である。
【図3D】図3Dは、ピストンがシリンダに押し込まれた際の、支持部材の長さと、ピストン軸部と当接部材とに掛かる力とを説明する図であり、送水状態を示す図である。
【図4A】図4Aは、無操作状態における内視鏡管路切換装置を示す図である。
【図4B】図4Bは、送気状態における内視鏡管路切換装置を示す図である。
【図4C】図4Cは、送水状態における内視鏡管路切換装置を示す図である。
【図5】図5は、ピストンがシリンダに装着された直後の、支持部材の長さと、ピストン軸部と当接部材とに掛かる力とを説明する図であり、無操作状態または送気状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1と図2Aと図2Bと図2Cとを参照して第1の実施形態について説明する。
図1に示すように内視鏡1は、患者の体腔内等に挿入される細長い挿入部10と、挿入部10の基端部と連結し、内視鏡1を操作する操作部60とを有している。
【0014】
挿入部10は、挿入部10の先端部側から挿入部10の基端部側に向かって、先端硬質部21と、湾曲部23と、可撓管部25とを有している。先端硬質部21の基端部は湾曲部23の先端部と連結し、湾曲部23の基端部は可撓管部25の先端部と連結している。
【0015】
先端硬質部21は、挿入部10の先端部であり、硬く、曲がらない。
湾曲部23は、後述する湾曲操作部67の操作によって、例えば上下左右といった所望の方向に湾曲する。湾曲部23が湾曲することにより、先端硬質部21の位置と向きとが変わり、観察対象物が観察視野内に捉えられ、照明光が観察対象物に照明される。
可撓管部25は、所望な可撓性を有している。よって可撓管部25は、外力によって曲がる。可撓管部25は、操作部60における後述する本体部61から延出されている管状部材である。
【0016】
操作部60は、可撓管部25が延出している本体部61と、本体部61の基端部と連結し、内視鏡1を操作する操作者によって把持される把持部63と、把持部63と接続しているユニバーサルコード65とを有している。
【0017】
把持部63は、湾曲部23を湾曲操作する湾曲操作部67を有している。湾曲操作部67は、湾曲部23を左右に湾曲操作させる左右湾曲操作ノブ67aと、湾曲部23を上下に湾曲操作させる上下湾曲操作ノブ67bと、湾曲した湾曲部23の位置を固定する固定ノブ67cとを有している。
【0018】
また、把持部63は、スイッチ部69を有している。スイッチ部69は、吸引スイッチ69aと、送気・送水スイッチ69bとを有している。吸引スイッチ69aと送気・送水スイッチ69bとは、把持部63が操作者に把持された際に、操作者の手によって操作される。送気・送水スイッチ69bは、先端硬質部21において図示しない撮像ユニットの観察視野を確保するために図示しない送気・送水チャンネルから流体を送気・送水するときに操作される。流体は、水や気体を含む。
【0019】
また、把持部63は、内視鏡撮影用の各種ボタン71を有している。
【0020】
ユニバーサルコード65は、図示しないビデオプロセッサと図示しない光源装置と送気装置81と送水装置83とに接続する接続部65aを有している。ビデオプロセッサと光源装置と送気装置81と送水装置83とは、例えば内視鏡1の外部に配設されている。送気装置81は、例えば送気ポンプである。送気装置81は、管路85によって送水装置83と接続している。送水装置83は、送水のための水を充填する充填タンクである。
【0021】
次に図2Aと図2Bと図2Cとを参照して、本実施形態における内視鏡管路切換装置(以下、管路切換装置100)について説明する。なお以下において、上方とは、例えば、把持部63の外側を示し、管路切換装置100の軸方向において、送気・送水スイッチ69b側を示す。また下方とは、例えば、把持部63の内側を示し、管路切換装置100の軸方向において、シリンダ111の他端部111b側を示す。
【0022】
図2Aに示すように、管路切換装置100は、送気と送水とを切り換える際と上述したように送気・送水する際とに操作される操作部である送気・送水スイッチ69bと、複数の管路101が接続しているシリンダ111と、送気・送水スイッチ69bと接続し、シリンダ111に対して着脱自在に嵌挿されているピストン121とを有している。管路切換装置100は、シリンダ111に対するピストン121の移動によってこれら管路101の連通状態を切り換える。
【0023】
図2Aと図2Bとを参照してシリンダ111について説明する。
シリンダ111は、例えば略円筒形状を有している。シリンダ111は、例えば金属によって形成されている。シリンダ111は、開口している一端部111aと、閉じられている他端部111bとを有している。シリンダ111は、段差がシリンダ111に形成されるように、シリンダ111の軸方向に沿って一端部111a(開口部)側から他端部111b(底部)側に向かって先細となっている。そしてシリンダ111が先細となることでシリンダ111の内周面に形成され、シリンダ111の軸方向に対して斜行している当接面111cをシリンダ111は有している。当接面111cは、後述する送気流入管101aと送気流出管101bとの間に配設されている。当接面111cの傾き角度は、特に限定されない。このようなシリンダ111は、例えば深絞りプレス加工によって成形されている。なおこれに限定する必要は無く、シリンダ111は例えば切削加工によって成形されていてもよい。また、本実施形態のシリンダ111の成形法は、吸引用の管路切換装置に用いられてもよい。
【0024】
またシリンダ111は、複数の管路101と連通するための孔を有している。1つの管路101は、1つの孔に接合されている。
【0025】
図2Bに示すように、複数の管路101は、例えば、送気流入管101aと送気流出管101bと送水流入管101cと送水流出管101dとによって構成されている。図2Bに示すように、一端部111aから他端部111bに向かって順に、送気流出管101bと送気流入管101aと送水流出管101dと送水流入管101cとが配設されている。
【0026】
送気流入管101aは、把持部63の内部からユニバーサルコード65の内部に渡って配設されている。また送気流入管101aは、ユニバーサルコード65の内部をユニバーサルコード65に沿って配設されている。そして送気流入管101aは、ユニバーサルコード65を介して接続部65aと接続している。接続部65aが送気装置81と接続した際に、送気流入管101aは、送気装置81と接続し、送気装置81から気体を送気される。送気流入管101aは、給気管として機能する。
【0027】
送気流出管101bは、操作部60の内部と挿入部10の内部とを操作部60と挿入部10とに沿って配設されている。そして送気流出管101bは、先端硬質部21に配設されている図示しない送気送水ノズルと連通している。送気流出管101bは、送気流入管101aから送気された気体を送気送水ノズルに送気する。
【0028】
送水流入管101cは、把持部63の内部からユニバーサルコード65の内部に渡って配設されている。また送水流入管101cは、ユニバーサルコード65の内部をユニバーサルコード65に沿って配設されている。そして送水流入管101cは、ユニバーサルコード65を介して接続部65aと接続している。接続部65aが送水装置83と接続した際に、送水流入管101cは、送水装置83と接続し、送水装置83から液体を送水される。送水流入管101cは、給水管として機能する。
【0029】
送水流出管101dは、操作部60の内部と挿入部10の内部とを操作部60と挿入部10とに沿って配設されている。そして送水流出管101dは、先端硬質部21に配設されている図示しない送気送水ノズルと連通している。送水流出管101dは、送水流入管101cから送水された液体を送気送水ノズルに送水する。
【0030】
またシリンダ111は、把持部63に配設されている孔63aに挿脱自在に挿入され、把持部63に固定される。この孔63aの外径は、シリンダ111の外径よりも大きい。この孔63aは、Oリング103が配設される下側環状溝63bと、下側環状溝63bよりも上方に配設され、後述する口金107の下側フランジ部107aが嵌合する上側環状溝63cとを有している。下側環状溝63bは、上側環状溝63cよりも小さく、上側環状溝63cと同軸上に配設されている。下側環状溝63bは、把持部63の厚み方向において上側環状溝63cと連なっている。
【0031】
また図2Bに示すように、シリンダ111は、押さえ部材105と、口金107とによって、孔63aを介して把持部63に固定される。
【0032】
押さえ部材105はリング形状を有しており、押さえ部材105の内周面は一端部111a側の外周面に接合されている。また押さえ部材105は、押さえ部材105の径方向において、外側に向かって形成されるフランジ部105aを有している。フランジ部105aは、把持部63の内側に配設される。また孔の内周面と、押さえ部材105の外周面とは、それぞれ図示しないねじ溝を有している。押さえ部材105は、フランジ部105aが配設されているため、把持部63の内側から外側に向けて孔63aにねじ込まれる。押さえ部材105が孔63aにねじ込まれる際、フランジ部105aは把持部63の内面側に引っ掛かる。これによりシリンダ111は、把持部63からの抜け止めを防止される。なおこのとき押さえ部材105の外周面の一部は、Oリング103に当接する。
【0033】
口金107の内周面はねじ溝を有しており、口金107は押さえ部材105にねじ込まれる。また口金107は、上側環状溝63cと嵌合する下側フランジ部107aと、口金107の軸方向において下側フランジ部107aよりも上方に配設されている上側フランジ部107bとを有している。下側フランジ部107aと上側フランジ部107bとは、口金107の径方向において、外側に向かって形成される。下側フランジ部107aと上側フランジ部107bとは、把持部63の外側に配設される。下側フランジ部107aが上側環状溝63cと嵌合した際、フランジ部105aと下側フランジ部107aとが把持部63をシリンダ111の軸方向において上下に挟み込みこむことで、シリンダ111が把持部63に固定される。
【0034】
なお口金107が押さえ部材105にねじ込まれた際、下側フランジ部107aは、上側環状溝63cと嵌合し、Oリング103を圧縮する。これにより、外部から内視鏡1の内部への気体と液体との浸入が防止される。
【0035】
次に図2Aと図2Cと図2Dとを参照して、ピストン121について説明する。
ピストン121は、シリンダ111よりも細く、ピストン121の本体部である硬いピストン軸部123と、ピストン軸部123を把持部63に取り付ける取付部137とを有している。
【0036】
ピストン軸部123は、ピストン121の軸方向に沿って細長い形状を有している。ピストン軸部123は、シリンダ111に挿入され、シリンダ111の軸方向に沿ってシリンダ111に対して移動可能となっている。ピストン軸部123は、シリンダ111よりも細いためシリンダ111に対して摺動せずに、シリンダ111に対して移動する。ピストン軸部123はシリンダ111よりも細いため、ピストン軸部123の外周面とシリンダ111の内周面との間には流体が流れる流路部が形成される。
【0037】
図2Cに示すように、ピストン軸部123は、送気・送水スイッチ69bが囲うように配設され、シリンダ111(把持部63)の外部に配設される一端部123aと、シリンダ111の内部に配設される他端部123bとを有している。一端部123aは、例えば送気・送水スイッチ69bと螺合している。
【0038】
また図2Cに示すように、ピストン軸部123は、ピストン軸部123の内部に配設され、且つピストン軸部123の中心軸上に配設されている連通路125と、ピストン軸部123の他端部123b側に配設され、ピストン軸部123の径方向においてピストン軸部123を貫通している貫通孔127とをさらに有している。連通路125は、ピストン軸部123の一端部123aにて開口している一端部125aと、貫通孔127と連通している他端部125bとを有している。このように連通路125は、外部と連通している。また連通路125は、ピストン軸部123を貫通しておらず、外部と貫通孔127とに連通している。図2Aに示すように、貫通孔127は、ピストン軸部123がシリンダ111に挿入された際、シリンダ111の内部に位置する。
【0039】
図2Aと図3Cと図4Aとに示すように、一端部125aが開口している場合、連通路125と貫通孔127とは、送気流入管101aからシリンダ111の内部に送気された気体を、一端部125aを介して外部に放出するための流路部として機能する。
【0040】
また図4Bに示すように、一端部125aが例えば指などによって塞がれている場合、貫通孔127は、送気流入管101aからシリンダ111の内部に送気された気体を、送気流出管101bに送気するための流路部として機能する。
【0041】
また図2Aと図2Cとに示すように、ピストン軸部123は、ピストン軸部123がシリンダ111に挿入された際に、シリンダ111の内周面に密着し、ピストン軸部123とシリンダ111との間を封止する複数の封止部材129をさらに有している。封止部材129は、例えば弾性体によって形成されているパッキンなどである。封止部材129は、例えばリング形状を有している。
【0042】
封止部材129は、例えば、ピストン軸部123の他端部123bに配設されている封止部材129aと、ピストン軸部123の軸方向においてピストン軸部123の他端部123bと貫通孔127との間に配設されている封止部材129bと、ピストン軸部123の軸方向においてピストン軸部123の一端部123aと貫通孔127との間に配設されている封止部材129cと、ピストン軸部123の軸方向においてこの封止部材129cよりもさらにピストン軸部123の一端部123a側に配設されている封止部材129dとによって構成されている。
【0043】
ピストン軸部123と封止部材129とは、ピストン軸部123の界面と封止部材129の界面とが隙間無く密着し、汚れや雑菌等がこれら界面の間に付着せず、洗浄性が向上するように、互いに溶着されている。この溶着のために、ピストン軸部123と封止部材129とは、例えば2色成形またはインサート成形等によって形成される。具体的には、例えば、ピストン軸部123は、封止部材129を成形するための金型に配設される。次に、封止部材129は金型に配設され、封止部材129は熱によって溶融し、この熱がピストン軸部123の表面を溶かす。封止部材129は、冷却されることで固化し、ピストン軸部123に溶着する。このようにピストン軸部123と封止部材129とは、一体である。
【0044】
ピストン軸部123と封止部材129とは、薬品等によって洗浄されるため、耐薬品性を有する材料によって形成される。ピストン軸部123は、例えば、ポリプロピレンと、ポリカーボネートと、ナイロンと、ポリサルフォン・ポリフェニルサルフォン等のサルフォン系樹脂と、液晶ポリマーと、変性ポリフェニレンエーテルと、ポリエーテル・エーテル・ケトンとの少なくとも1つによって形成される。封止部材129は、例えば、シリコンゴムと、スチレン系・オレフィン系のエラストマとの少なくとも一方によって形成される。
【0045】
また図2Cに示すように、ピストン軸部123は、ピストン軸部123の軸方向において封止部材129aと封止部材129bとの間に配設されているガイド部材131と、ピストン軸部123の軸方向において封止部材129cと封止部材129dとの間に配設されている切り欠き部133と、ピストン軸部123の軸方向において封止部材129dよりも一端部123a側に配設されている抜け止め部135とをさらに有している。
【0046】
ガイド部材131は、ピストン軸部123と一体である。ガイド部材131は、ピストン軸部123がシリンダ111に対してシリンダ111の径方向に移動することを防止するために、シリンダ111の内周面に当接する。これによりピストン軸部123がシリンダ111に挿入された際、ピストン軸部123がシリンダ111をシリンダ111の軸方向に沿って移動可能となるように、ガイド部材131はピストン軸部123をガイドする。なおピストン軸部123がシリンダ111に挿入される際、ガイド部材131は、シリンダ111の軸方向に沿って、シリンダ111の内周面を摺動する。
【0047】
切り欠き部133は、円環形状に形成されている。切り欠き部133には、後述する逆止弁ユニット151が配設される。
【0048】
抜け止め部135は、例えばリング形状を有しており、ピストン軸部123と一体である。抜け止め部135は、取付部137に配設される後述する抜け止め当接部139と当接する。
【0049】
図2Cに示すように、取付部137は、ピストン軸部123の一端部123a側に配設される。取付部137は、円筒形状を有し、ピストン軸部123が挿通し、ピストン軸部123の一端部123a側を囲うように配設される硬質な抜け止め当接部139と、円筒形状を有し、抜け止め当接部139を囲むように配設されている軟質な取付本体部141とを有している。
【0050】
抜け止め当接部139は、取付本体部141の内周面全面に密着するように配設されている。抜け止め当接部139は、一方に底面139aを有する円筒形状を有している。底面139aは、ピストン軸部123が挿通する挿通孔139bを有している。また底面139aは、抜け止め部135に当接する。ピストン121の軸方向において、底面139aは、送気・送水スイッチ69bの下方に配設される。管路切換装置100が組み立てられる際、図2Aに示すように底面139aは、シリンダ111の一端部111aと押さえ部材105の縁部と口金107の縁部とに当接する。
【0051】
ピストン121の軸方向において、底面139aと送気・送水スイッチ69bとの間には、付勢部材109が配設されている。付勢部材109は、ピストン軸部123の一端部123a側を巻回するように配設されている。付勢部材109は、例えば金属製の巻きバネである。付勢部材109は、ピストン121の軸方向において伸縮可能となっている。付勢部材109は、送気・送水スイッチ69bを介してピストン軸部123を上方に付勢し、抜け止め当接部139(底面139a)を下方(抜け止め部135)に付勢する付勢力を有している。付勢部材109が自然状態において、付勢部材109は、送気・送水スイッチ69bを介してピストン軸部123を上方に付勢し、抜け止め当接部139(底面139a)を下方(抜け止め部135)に付勢する。このとき、抜け止め部135と、底面139aとは、当接し、互いに押し付けあう。これにより、抜け止め部135は、ピストン軸部123が取付部137から抜けることを防止する。なお付勢部材109は、抜け止め当接部139によって囲まれている。
【0052】
取付本体部141は、例えばゴムである。取付本体部141は、口金107の上側フランジ部107bと係合し、把持部63の外周面に配設される。
【0053】
また図2Aと図2Cと図2Dとに示すように、管路切換装置100は、ピストン121の切り欠き部133に配設され、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止する逆止弁ユニット151を有している。
逆止弁ユニット151は、逆止弁153と、リング形状を有し、逆止弁153が接着され、当接面111cに当接する当接部材155と、円筒形状を有し、逆止弁153と当接部材155とを支持する支持部材157とを有している。
【0054】
逆止弁153は、例えば弾性部材によって形成されている。逆止弁153は、中空の円錐台形状を有している。逆止弁153において、中空部は、逆止弁153の軸方向において、逆止弁153の太径の一端部側から逆止弁153の細径の他端部側に向かって徐々に縮径している。このような逆止弁153は、例えば、略傘形状とドーム形状とのいずれか1つを有している。逆止弁153の一端部が一端部123a側に配設され、逆止弁153の他端部が他端部123b側に配設されるように、逆止弁153の表面は他端部123b側に向いており、逆止弁153の裏面は一端部123a側に向いている。また例えば、逆止弁153の他端部における縁側は、当接部材155に接着されている。
【0055】
逆止弁153は、シリンダ111の内部の圧力に応じて開閉することで、シリンダ111の内周面に密着または内周面から離れる。図2Cに示すように、逆止弁153の一端部における縁は、自然状態において、シリンダ111の内径よりも大きい。よって、ピストン軸部123がシリンダ111に挿入された際、図2Aと図3Bと図3Cと図4Aとに示すように、逆止弁153の一端部における縁は、シリンダ111によって圧縮され、圧縮されることによってシリンダ111の内周面に密着し、逆止弁153はシリンダ111とピストン軸部123との間を封止している。
【0056】
また図4Bに示すように、気体が送気流入管101aからシリンダ111の内部に送気された状態で、連通路125の一端部125aが例えば指などによって塞がれると、シリンダ111の内部における圧力が高まり、逆止弁153は閉じてシリンダ111の内周面から離れる。このとき、シリンダ111とピストン軸部123との間は、送気流入管101aからシリンダ111の内部に送気された気体を、送気流出管101bに送気するための流路部として機能する。
【0057】
当接部材155は、例えば硬質な材料によって形成されている。当接部材155は、当接部材155の径方向において、支持部材157を貫通している。また、当接部材155と支持部材157とは、例えば接着により接合されている。図2Cに示すように、当接部材155は、当接部材155が支持部材157から抜けることを防止する抜け止め部155aを有している。抜け止め部155aは、当接部材155の内周の縁に配設されており、切り欠き部133に位置する。抜け止め部155aは、当接部材155の表面と裏面とからそれぞれ立設するように配設されており、当接部材155の摺動する方向に沿って配設されている。抜け止め部155aは、支持部材157の内周面と切り欠き部133の底とに当接しており、径方向においてピストン軸部123と支持部材157とによって挟持されている。
【0058】
当接部材155は、ピストン軸部123が当接部材155を貫通するように、切り欠き部133に嵌めこまれている。ピストン軸部123がシリンダ111に対してピストン121の軸方向に沿って移動する際、当接部材155が当接面111cと常に当接するように、当接部材155は支持部材157によって支持されている。なお当接部材155が常に当接面111cに当接するため、抜け止め部155aはピストン121の移動に伴いピストン121の軸方向に沿って切り欠き部133の内部を摺動する。つまり、シリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置は、ピストン121の移動に影響されることなく、固定されている。言い換えると、当接部材155は、ピストン軸部123がシリンダ111に対して移動する際に、シリンダ111の内周面を摺動せず、ピストン121に対してのみ摺動する。またピストン121に対する当接部材155の相対的な位置は、シリンダ111に対するピストン121の移動によって変化する。
【0059】
なお当接部材155が常に当接面111cに当接するために、シリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置は、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定されている。言い換えると、逆止弁153は、シリンダ111の内周面を摺動しない。またピストン121に対する逆止弁153の相対的な位置は、シリンダ111に対するピストン121の移動によって変化する。また当接部材155が常に当接面111cに当接するために、逆止弁153は当接面111cよりも常に上方に配設されることなる。
【0060】
図2Cと図2Dとに示すように、当接部材155は、通気孔155bを有している。通気孔155bは、当接部材155が当接面111cに当接していても、開口している。図2Aに示すように、通気孔155bは、当接部材155よりも下方のシリンダ111の内部空間と、当接部材155よりも上方のシリンダ111の内部空間とを連通させている。図4Bに示すように、通気孔155bは、連通路125の一端部125aが例えば指などによって塞がれている場合、送気流入管101aからシリンダ111の内部に送気された気体を、シリンダ111とピストン軸部123との間を介して送気流出管101bに送気するための流路部として機能する。
【0061】
支持部材157は、ピストン軸部123がシリンダ111に対して移動する際に、当接部材155が当接面111cに常に当接し、当接部材155が当接面111cに当接することに伴いシリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置が固定されるように、当接部材155を支持する。
また支持部材157は、当接部材155が当接面111cと常に当接し、シリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置が固定され、抜け止め部155aが切り欠き部133の内部を摺動できるように、当接部材155を支持している。
【0062】
支持部材157は、切り欠き部133を全周に渡って覆うように円環形状を有しており、ピストン軸部123に接着されている。支持部材157と切り欠き部133とは、支持部材157が切り欠き部133を覆うことで、抜け止め部155aが切り欠き部133の内部を摺動する摺動路を形成している。このため支持部材157の内径は、当接部材155が切り欠き部133の内部を摺動できるように、切り欠き部133の外径よりも大きい。なお支持部材157の外径はピストン軸部123の外径と略同一であり、支持部材157の外周面とピストン軸部123との外周面とは連なっている。よって支持部材157は、シリンダ111の内周面とは当接しない。
【0063】
このような支持部材157は、ピストン121の軸方向に沿って伸縮する例えば薄膜の弾性部材によって形成されている。よって図3Cと図3Dと図4Bと図4Cとに示すように、支持部材157は、ピストン軸部123がピストン121の軸方向に沿ってシリンダ111を移動する際に、抜け止め部155aが切り欠き部133の内部を摺動でき、シリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置がシリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく固定され、シリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置がシリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく固定されるように、支持部材157の軸方向に沿って伸縮自在である。支持部材157は、伸縮することで、シリンダ111に対するピストン121の移動に伴う当接部材155と逆止弁153との変位を吸収している。
【0064】
支持部材157は、ピストン軸部123の軸方向において、当接部材155の上方に配設される上側支持部材157aと、当接部材155の下方に配設される下側支持部材157bとによって形成されている。上側支持部材157aと下側支持部材157bとは、それぞれ同じ硬度を有している。上側支持部材157aと下側支持部材157bとは、ピストン軸部123に接着されている。上側支持部材157aと下側支持部材157bとは、一体であっても別体であっても良い。
【0065】
上側支持部材157aは、逆止弁153と当接部材155とを上方側から支持する。上側支持部材157aは、ピストン軸部123がシリンダ111に取り付けられた際に、当接部材155が当接面111cに当接するように、当接部材155を当接面111cに向けて押圧する。図2Aと図3C図4Aとに示すように、上側支持部材157aは、上側支持部材157aが押し潰されることで、上側支持部材157aの厚みが支持部材157の径方向に膨らむように縮む。また図3Dと図4Cとに示すように、上側支持部材157aは、支持部材157が押し潰されることで、上側支持部材157a全体が支持部材157の径方向において外側に膨らむように縮む。また上側支持部材157aは、摺動路が形成され、当接部材155の摺動が阻害されないように、縮む。
【0066】
下側支持部材157bは、逆止弁153と当接部材155とを下方側から支持する。また下側支持部材157bは、ピストン軸部123がシリンダ111に取り付けられた際に、当接部材155が当接面111cに当接するように、当接部材155を当接面111cに向けて引っ張る。図3Cと図3Dと図4Bと図4Cとに示すように、下側支持部材157bは、例えば支持部材157の軸方向に沿って真っ直ぐ伸びる。
【0067】
次に図3Aと図3Bと図3Cとを図3Dとを参照して、本実施形態における管路切換装置100の組立方法と、組立時の支持部材157の長さと、組立時の力の大きさとについて説明する。
(Step1・図3A)
図3Aに示すように、抜け止め当接部139が取付本体部141の内周面全面に密着するように、取付部137が組み立てられる。
次にピストン軸部123が底面139aにおける挿通孔139bを挿通し、抜け止め当接部139の底面139aが抜け止め部135に当接するように、取付部137がピストン軸部123に取り付けられる。
【0068】
そして付勢部材109がピストン軸部123の一端部123a側を巻回し、付勢部材109が底面139aと送気・送水スイッチ69bとの間に配設されるように、一端部123aは送気・送水スイッチ69bと螺合する。このとき、付勢部材109は、送気・送水スイッチ69bを介してピストン軸部123を上方に付勢し、抜け止め当接部139(底面139a)を下方(抜け止め部135)に付勢する。そして抜け止め部135と、抜け止め当接部139の底面139aとは、当接し、互いに押し付けあう。
【0069】
これによりピストン121が組み立てられる。
なお取付部137の組立と、ピストン121の組立とは前記に限定される必要は無い。
【0070】
Step1において、上側支持部材157aの長さをL1、下側支持部材157bの長さをl1とする。上側支持部材157aと下側支持部材157bとは、どちらも伸縮しておらず、自然状態となっている。
【0071】
(Step2・図3B)
次に図3Bに示すように、ピストン121は、当接部材155が当接面111cに当接するように、シリンダ111に徐々に挿入される。このとき、上側フランジ部107bは取付本体部141と係合しておらず、取付本体部141は把持部63の外周面から離れ、抜け止め当接部139の底面139aはシリンダ111の一端部111aと押さえ部材105の縁部と口金107の縁部とに当接せず抜け止め部135から離れている。
【0072】
Step2において、上側支持部材157aの長さをL2、下側支持部材157bの長さをl2とする。上側支持部材157aと下側支持部材157bとは、Step1の状態から伸縮しておらず、自然状態となっている。つまり、L1=L2、l1=l2となっている。
【0073】
このように本実施形態では、Step2では、当接部材155が当接面111cに当接した際、取付部137は把持部63に取り付けられていない。
【0074】
(Step3・図3C)
次に図3Cに示すように、上側フランジ部107bは取付本体部141と係合し、取付本体部141は把持部63の外周面と当接し、抜け止め当接部139の底面139aはシリンダ111の一端部111aと押さえ部材105の縁部と口金107の縁部とに当接するように、ピストン軸部123はシリンダ111に押し込まれる。これにより管路切換装置100が組み立てられる。
【0075】
このように本実施形態では、Step3では、当接部材155が当接面111cに当接した状態で、取付部137は把持部63に取り付けられる。
【0076】
このとき、ピストン121は、Step2の状態から、シリンダ111に対して下方に微小に移動する。これにより上側支持部材157aはピストン軸部123によって当接部材155に向かって微小に押し付けられ、下側支持部材157bはピストン軸部123によって下方に微小に引っ張られる。そして縮んだ上側支持部材157aは、自然状態に戻ろうとするために、ピストン軸部123と当接部材155とを押圧する。また伸びた下側支持部材157bは、自然状態に戻ろうとするため、ピストン軸部123と当接部材155とを引っ張る。
【0077】
これにより、当接部材155は、上側支持部材157aによって当接面111cに押し付けられ、下側支持部材157bによって当接面111cに引っ張られる。そしてStep3において、当接部材155は、Step2の状態から引き続き当接面111cに当接し続ける。
【0078】
なおこのとき、ピストン軸部123がシリンダ111に対して移動し、当接部材155は当接面111cに当接し続けるため、当接部材155はピストン121に対して摺動する。つまりシリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置は、固定される。
また当接部材155が常に当接面111cに当接しているため、シリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置が固定されている。よってシリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置は、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定されている。言い換えると、逆止弁153は、シリンダ111の内周面を摺動しない。
【0079】
前述したようにStep3において、上側支持部材157aは、ピストン軸部123によって当接部材155に向かって微小に押し付けられることで、Step1,2の状態に対して微小に縮む。また下側支持部材157bは、ピストン軸部123によって下方に微小に引っ張られることで、Step1,2の状態に対して微小に伸びる。
このStep3において、上側支持部材157aの長さをL3、下側支持部材157bの長さをl3とする。このときL3はL1,L2よりも短く、l3はl1,l2よりも長い。
【0080】
また前述したように縮んだ上側支持部材157aは、自然状態に戻ろうとするために、ピストン軸部123と当接部材155とを押圧する。また伸びた下側支持部材157bは、自然状態に戻ろうとするため、ピストン軸部123と当接部材155とを引っ張る。
Step3において、ピストン軸部123と当接部材155とに掛かる力をF3、ピストン軸部123と当接部材155とを引っ張る力をf3とする。
【0081】
前述したように、上側フランジ部107bは取付本体部141と係合し、抜け止め当接部139のフランジ部105aと抜け止め部135とは付勢部材109の付勢力によって当接し互いに押し付けあっている。このとき、力F1は、上側フランジ部107bと取付本体部141とに作用し、フランジ部105aと抜け止め部135とに作用する。このF1は、F3とf3との和よりも大きい。よって、Step3において、ピストン121は、F3とf3とによってシリンダ111を移動せず、F1によってシリンダ111に対して位置決めされている。
【0082】
このStep3は、送気・送水が行われず管路切換装置100が操作されない無操作状態と、管路切換装置100が操作され送気が行われる送気状態とのいずれか一方であることを示す。
【0083】
(Step4・図3D)
次に図3Dに示すように、送水のために、ピストン軸部123はStep3の状態からシリンダ111にさらに押し込まれる。このとき、ピストン軸部123は、Step3の状態から、シリンダ111に対して下方に大きく移動する。これにより上側支持部材157aはピストン軸部123によって当接部材155にさらに押し付けられ、下側支持部材157bはピストン軸部123によってさらに下方に引っ張られる。そして縮んだ上側支持部材157aは、自然状態に戻ろうとするために、Step3における力F3よりも大きい力でピストン軸部123と当接部材155とを押圧する。また伸びた下側支持部材157bは、自然状態に戻ろうとするために、Step3における力f3よりも大きい力でピストン軸部123と当接部材155とを引っ張る。
【0084】
よって、当接部材155は、上側支持部材157aによって当接面111cにさらに押し付けられ、下側支持部材157bによって当接面111cにさらに引っ張られる。そしてStep4において、当接部材155は、Step2,3の状態から引き続き当接面111cに当接し続ける。
【0085】
なおこのとき、Step3の状態と同様に、ピストン軸部123がシリンダ111に対して移動し、当接部材155は当接面111cに当接し続けるため、当接部材155はピストン121に対して摺動する。つまりシリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置は、Step3の状態から引き続き固定されている。
また当接部材155が常に当接面111cに当接し、シリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置が固定されている。よってシリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置は、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定されている。言い換えると、逆止弁153は、シリンダ111の内周面を摺動しない。
【0086】
また前述したようにStep4において、上側支持部材157aは、ピストン軸部123によって当接部材155にさらに押し付けられ、Step3の状態からさらに縮む。また下側支持部材157bは、ピストン軸部123によってさらに下方に引っ張られ、Step3の状態からさらに伸びる。
このStep4において、上側支持部材157aの長さをL4、下側支持部材157bの長さをl4とする。L4はL3よりも短く、l4はl3よりも長い。
【0087】
また前述したように、縮んだ上側支持部材157aは、自然状態に戻ろうとするために、Step3における力F3よりも大きい力でピストン軸部123と当接部材155とを押圧する。また伸びた下側支持部材157bは、自然状態に戻ろうとするために、Step3における力f3よりも大きい力でピストン軸部123と当接部材155とを引っ張る。
Step4において、ピストン軸部123と当接部材155とに掛かる力をF4、ピストン軸部123と当接部材155とを引っ張る力をf4とする。
【0088】
なおStep4において、抜け止め当接部139の底面139aと抜け止め部135とは離れるが、ピストン121を押し込む押し込み力F2がピストン121に作用する。F2は、F4とf4との和よりも大きい。よって、Step4において、ピストン121は、F4とf4とによってシリンダ111を移動せず、F2によってシリンダ111に対して位置決めされている。
【0089】
Step4は、管路切換装置100が操作され送水が行われる送水状態であることを示す。
【0090】
上記をまとめると、
L1=L2>L3>>L4 となり、
l1=l2<l3<<l4 となり、
F4>>F3 となり、
f3<<f4 となり、
F1>>F3+f3となり、
F2>>F4+f4となる。
【0091】
次に図4Aと図4Bと図4Cとを参照して本実施形態における逆止弁ユニット151を含む管路切換装置100の動作方法について説明する。なお図4Aと図4Bとは、Step3,図3Cに対応する。また図4Cは、Step4,図3Dに対応する。
図4Aを参照してStep3に示す無操作状態について説明する。
このとき図4Aに示すように、封止部材129dは、送気流出管101bよりも上方に配設され、シリンダ111の内周面と密着しており、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止している。また当接部材155は、送気流出管101bと送気流入管101aとの間に配設され、当接面111cに当接している。これにより逆止弁153は、当接面111cと送気流出管101bとの間に配設される。また逆止弁153は、開いており、シリンダ111の内周面に密着し、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止している。よって送気流出管101b側におけるシリンダ111の内部空間は、封止部材129dと逆止弁153とによって封止されている。
【0092】
また封止部材129a,129bは、シリンダ111の内周面と密着しており、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止している。封止部材129aは、送水流入管101cと送水流出管101dとの間に配設されている。また封止部材129bは、送水流出管101dと送気流入管101aとの間に配設されている。これにより、送水流入管101c側におけるシリンダ111の内部空間は、封止部材129aによって封止されている。また送水流出管101d側におけるシリンダ111の内部空間は、封止部材129a,129bによって封止されている。
【0093】
また一端部125aは開口しており、連通路125は外部と連通している。また前述したように、当接部材155は当接面111cに当接し、逆止弁153はシリンダ111の内周面に密着し、封止部材129bはシリンダ111の内周面と密着している。これにより送気流入管101aは、貫通孔127と連通路125とを介して、外部と連通する。よって、気体は、送気装置81から送気され、送気流入管101aと貫通孔127と連通路125とを介して、外部に放出される。
【0094】
なお封止部材129cは、送気流出管101bと送水流入管101cとの間に配設され、シリンダ111の内周面から離れており、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止していない。
【0095】
次に図4Bを参照してStep3に示す送気状態について説明する。
把持部63は、図4Aに示す状態から操作者によって把持される。そして、開口している一端部125aが操作者の指によって塞がれる。送気流入管101aからシリンダ111の内部と連通路125とに送気された気体は、連通路125を含むシリンダ111の内部とに充填される。このとき、気体は、通気孔155bを介して逆止弁153側にも流れる。そしてシリンダ111の内部において、圧力が高まる。これにより、逆止弁153は、圧力の上昇に伴い、閉じる。そして逆止弁153は、シリンダ111の内周面から離れる。よって気体は、逆止弁153とシリンダ111との間と、ピストン軸部123とシリンダ111との間とを通じて、送気流出管101b側におけるシリンダ111の内部空間に流れる。
【0096】
このとき前述した封止部材129dは、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止し続けている。よって、気体は、送気流出管101bに流れる。これにより、気体は、送気送水ノズルから外部に放出される。
【0097】
次に図4Cを参照して、Step4に示す送水状態について説明する。
一端部125aが操作者の指によって塞がれた状態で、送気・送水スイッチ69bは操作者の指によって押される。これにより、付勢部材109は縮み、ピストン軸部123はシリンダ111に押し込まれる。また抜け止め部135は、抜け止め当接部139の底面139aから離れる。
【0098】
封止部材129dは、シリンダ111の内周面を下方に向かって摺動する。封止部材129dは、送気流出管101bよりも上方に配設され、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止している。
【0099】
また上側支持部材157aは、ピストン軸部123によって当接部材155にさらに押し付けられ、Step3の状態からさらに縮む。また下側支持部材157bは、ピストン軸部123によってさらに引っ張られ、Step3の状態からさらに伸びる。
【0100】
これにより当接部材155は、当接面111cに確実に当接し続ける。当接部材155は、当接面111cに当接し続けるため、ピストン121に対して摺動する。つまりシリンダ111に対する当接部材155の相対的な径方向の位置は、安定している。よって、逆止弁153は、シリンダ111の内周に対して偏心せず、偏心しない状態でシリンダ111とピストン軸部123との間を安定した位置で封止する。
また当接部材155が常に当接面111cに当接するために、シリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置は、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定されている。言い換えると、逆止弁153は、シリンダ111の内周面を摺動しない。
【0101】
また封止部材129cは、ピストン軸部123の移動に伴い下方に向かって移動する。そして封止部材129cは、送気流入管101aと送気流出管101bとの間において、シリンダ111の内周面に密着し、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止する。
【0102】
これにより、送気流出管101b側におけるシリンダ111の内部空間は、封止部材129c,129dによって封止される。
【0103】
また封止部材129bは、ピストン軸部123の移動に伴いシリンダ111の内周面を下方に向かって摺動する。封止部材129bは、送気流入管101aよりも下方に配設され、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止している。
【0104】
これにより、送気流入管101a側におけるシリンダ111の内部空間は、封止部材129b,129cによって封止される。
【0105】
また封止部材129aは、ピストン軸部123の移動に伴い下方に向かって移動し、シリンダ111の内周面から離れる。よって封止部材129aは、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止していない。
【0106】
これにより送水流入管101cは、封止部材129bよりも下方に配設されるシリンダ111の内部空間を通じて送水流出管101dと連通する。そして、気体は、送気装置81から管路85を介して送水装置83に送気される。送水装置83の内部圧力が高まると、送水装置83に充填されている液体は、送水流入管101cへと流れる。そして液体は、送水流入管101cから、封止部材129bよりも下方に配設されるシリンダ111の内部空間を通じて、送水流出管101dへと流れる。これにより、液体は、送気送水ノズルから外部に放出される。
【0107】
なお送気装置81から流れた気体は、送気流入管101aを通じてシリンダ111の内部にも流れる。しかし、封止部材129b,129cが送気流入管101a側におけるシリンダ111の内部空間を封止しているために、気体は送水装置83に確実に流れる。
【0108】
次に、管路切換装置100の洗浄について説明する。
【0109】
ピストン121は、シリンダ111から抜去され洗浄される。このとき、ピストン軸部123の外周面と連通路125と貫通孔127と通気孔155bとは、逆止弁153によって覆われず、図2Bと図2Cとに示すように、確実に露出する。これにより洗浄液は、逆止弁153に影響されること無く、十分に流れる。
【0110】
このように本実施形態では、支持部材157によって、シリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置を、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定している。これにより本実施形態では、シリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置を、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定できる。言い換えると本実施形態では、逆止弁153をシリンダ111の内周面に対して摺動させずに管路101の連通状態を切り換えることができる。よって本実施形態では、ピストン軸部123がシリンダ111に対して移動しても、逆止弁153の磨耗と損傷とを防止できる。そして本実施形態では、気密性の低下を防止でき、逆止弁153の折れ曲がりを防止でき、逆止弁153を確実に機能させることができる。
【0111】
また本実施形態では、流路部を、シリンダ111とピストン軸部123との間と、シリンダ111軸部の内部を示す連通路125と貫通孔127と、通気孔155bとに形成している。よって本実施形態では、逆止弁153に影響されること無く、流路部に洗浄液を容易に流すことができ、洗浄性を向上できる。
【0112】
また本実施形態では、当接部材155が当接面111cに当接することで、確実に、シリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置を、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定できる。
【0113】
また本実施形態では、支持部材157はピストン121の軸方向に沿って伸縮する弾性部材によって形成される。これにより本実施形態では、シリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置を、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定できる。よって本実施形態では、シリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置を、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定できる。そして本実施形態では、逆止弁153がシリンダ111の内周面を摺動すること無く、逆止弁153の磨耗と損傷とを防止できる。
【0114】
また本実施形態では、上側支持部材157aが当接部材155を当接面111cに向けて押し付け、下側支持部材157bは当接部材155を当接面111cに向けて引っ張っている。これにより本実施形態では、当接部材155は確実に当接面111cに当接することができ、逆止弁153がシリンダ111の内周面を摺動することがない。よって本実施形態では、逆止弁153の磨耗と損傷とを防止できる。
【0115】
なお本実施形態では、逆止弁153と当接部材155と支持部材157とは、それぞれ別体である。しかし、これに限定される必要は無い。例えば逆止弁153は、支持部材157と同種の材料で形成され、支持部材157と一体に構成されていてもよい。
【0116】
これにより本実施形態では、設計の自由度を向上させることができる。また、逆止弁153と当接部材155と支持部材157とが一体だと、ピストン121を容易に組み立てることができる。
【0117】
また本実施形態では、当接部材155が必ずしも配設される必要はない。例えば、支持部材157と逆止弁153との少なくとも一方が当接部材155の機能を有していれば良い。具体的には、支持部材157の一部は、例えば当接面111cに当接面111cに当接するように、支持部材157の径方向に突出していればよい。また、逆止弁153の他端部は、当接面111cに当接するように、支持部材157の外周面に直接接着されている。
【0118】
また本実施形態では、図3Cと図4Aと図4Bとに示すStep3において、ピストン軸部123は、図3Bに示すStep2の状態から、シリンダ111に対して下方に微小に移動する。しかしこれに限定する必要は無い。管路切換装置100が組み立てられる際、例えば力F1が作用せず、支持部材157が伸縮しないで、当接部材155が当接面111cに当接してもよい。つまりStep3において、上側支持部材157aと下側支持部材157bとは、Step1の状態から伸縮しておらず、自然状態となったままであってもよい。
【0119】
これにより
L1=L2=L3>>L4 となり、
l1=l2=l3<<l4 となる。
【0120】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0121】
1…内視鏡、10…挿入部、21…先端硬質部、23…湾曲部、25…可撓管部、60…操作部、61…本体部、63…把持部、69b…送気・送水スイッチ、100…管路切換装置、111…シリンダ、111c…当接面、121…ピストン、123…ピストン軸部、125…連通路、127…貫通孔、151…逆止弁ユニット、153…逆止弁、155…当接部材、157…支持部材、157a…上側支持部材、157b…下側支持部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡における管路を切り換える内視鏡管路切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、内視鏡は、体腔内を観察するために、観察窓を有している。体液などが観察窓に付着することで、観察窓の視野は狭くなる。このため、内視鏡は、視野を確保するために、観察窓に向けて送気と送水する必要がある。内視鏡は、送気と送水とを切り換える切換装置を有している。切換装置は、ピストンとシリンダとを有している。ピストンがシリンダに対して移動することで、送気のための管路と送水のための管路とが切り換わる。
【0003】
このような内視鏡は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1において、ピストンには、逆止弁が配設されている。逆止弁は、ピストンとシリンダとの気密性を増加させるために、シリンダの内周面に密着可能である。逆止弁はリング形状を有しており、ピストンが逆止弁を貫通するように逆止弁の内周面はピストンの外周面と接合している。ピストンがシリンダに対して移動することで、送気のための管路と送水のための管路とが切り換わる。
【0004】
また前述した内視鏡は、例えば特許文献2にも開示されている。特許文献2において、前述した逆止弁は、ピストンの端部をキャップするように、ピストンの端部に配設されている。逆止弁が送気源から送られる気体によって開閉することで、送気のための管路と送水のための管路とが切り換わる。これら管路は、ピストンの内部にも配設されている。
【0005】
また前述した内視鏡は、例えば特許文献3にも開示されている。特許文献3において、通気孔がピストン体に形成されており、前述した逆止弁は通気孔を塞ぐように配設されている。また管路は、ピストンの内部にも配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−122069号公報
【特許文献2】特開2002−172086号公報
【特許文献3】特開2010−82394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1において、送気のための管路と送水のための管路とが切り換わるためには、ピストンがシリンダに対して移動する必要がある。しかし、ピストンがシリンダに対して移動することに伴い、逆止弁はシリンダの内周面を摺動する。これにより逆止弁は磨耗及び損傷し、気密性が低下する虞が生じる。また逆止弁はシリンダの内周面を摺動する際、逆止弁が折れ曲がる虞が生じる。これにより逆止弁は、十分に機能しなくなる虞が生じる。
【0008】
また特許文献2,3において、逆止弁は摺動せず、逆止弁の位置は固定されている。しかし管路はピストンの内部に配設されているため、逆止弁が配設されることで、洗浄液が十分に管路の内部に流れず、洗浄性が悪化してしまう。
【0009】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、逆止弁の磨耗と損傷とが防止され、洗浄性が向上する内視鏡管路切換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は目的を達成するために、複数の管路が接続しているシリンダと、前記シリンダに対して着脱自在に嵌挿されているピストンとを有し、前記シリンダに対する前記ピストンの移動によって前記管路の連通状態を切り換える内視鏡管路切換装置であって、前記ピストンに配設され、前記シリンダと前記ピストンとの間を封止する逆止弁ユニットを具備し、前記シリンダは、当接面を前記シリンダの内周面に有し、前記逆止弁ユニットは、前記シリンダの内部の圧力に応じて開閉することで、前記シリンダの内周面に密着または前記内周面から離れる逆止弁と、前記逆止弁が配設され、前記当接面に当接する当接部材と、前記ピストンが前記シリンダに対して移動する際に、前記当接部材が前記当接面に常に当接し、前記当接部材が前記当接面に当接することに伴い前記シリンダに対する前記逆止弁の相対的な位置が固定されるように、前記逆止弁と前記当接部材とを支持する支持部材と、を有すること特徴とする内視鏡管路切換装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、逆止弁の磨耗と損傷とが防止され、洗浄性が向上する内視鏡管路切換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係る内視鏡の概略図である。
【図2A】図2Aは、第1の実施形態における内視鏡管路切換装置を示す図である。
【図2B】図2Bは、シリンダを示す図である。
【図2C】図2Cは、ピストンを示す図である。
【図2D】図2Dは、逆止弁ユニットの斜視図である。
【図3A】図3Aは、ピストンが組み立てられた際の支持部材の長さを説明する図である。
【図3B】図3Bは、ピストンがシリンダに装着される直前の支持部材の長さを説明する図である。
【図3C】図3Cは、ピストンがシリンダに装着された直後の、支持部材の長さと、ピストン軸部と当接部材とに掛かる力とを説明する図であり、無操作状態または送気状態を示す図である。
【図3D】図3Dは、ピストンがシリンダに押し込まれた際の、支持部材の長さと、ピストン軸部と当接部材とに掛かる力とを説明する図であり、送水状態を示す図である。
【図4A】図4Aは、無操作状態における内視鏡管路切換装置を示す図である。
【図4B】図4Bは、送気状態における内視鏡管路切換装置を示す図である。
【図4C】図4Cは、送水状態における内視鏡管路切換装置を示す図である。
【図5】図5は、ピストンがシリンダに装着された直後の、支持部材の長さと、ピストン軸部と当接部材とに掛かる力とを説明する図であり、無操作状態または送気状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1と図2Aと図2Bと図2Cとを参照して第1の実施形態について説明する。
図1に示すように内視鏡1は、患者の体腔内等に挿入される細長い挿入部10と、挿入部10の基端部と連結し、内視鏡1を操作する操作部60とを有している。
【0014】
挿入部10は、挿入部10の先端部側から挿入部10の基端部側に向かって、先端硬質部21と、湾曲部23と、可撓管部25とを有している。先端硬質部21の基端部は湾曲部23の先端部と連結し、湾曲部23の基端部は可撓管部25の先端部と連結している。
【0015】
先端硬質部21は、挿入部10の先端部であり、硬く、曲がらない。
湾曲部23は、後述する湾曲操作部67の操作によって、例えば上下左右といった所望の方向に湾曲する。湾曲部23が湾曲することにより、先端硬質部21の位置と向きとが変わり、観察対象物が観察視野内に捉えられ、照明光が観察対象物に照明される。
可撓管部25は、所望な可撓性を有している。よって可撓管部25は、外力によって曲がる。可撓管部25は、操作部60における後述する本体部61から延出されている管状部材である。
【0016】
操作部60は、可撓管部25が延出している本体部61と、本体部61の基端部と連結し、内視鏡1を操作する操作者によって把持される把持部63と、把持部63と接続しているユニバーサルコード65とを有している。
【0017】
把持部63は、湾曲部23を湾曲操作する湾曲操作部67を有している。湾曲操作部67は、湾曲部23を左右に湾曲操作させる左右湾曲操作ノブ67aと、湾曲部23を上下に湾曲操作させる上下湾曲操作ノブ67bと、湾曲した湾曲部23の位置を固定する固定ノブ67cとを有している。
【0018】
また、把持部63は、スイッチ部69を有している。スイッチ部69は、吸引スイッチ69aと、送気・送水スイッチ69bとを有している。吸引スイッチ69aと送気・送水スイッチ69bとは、把持部63が操作者に把持された際に、操作者の手によって操作される。送気・送水スイッチ69bは、先端硬質部21において図示しない撮像ユニットの観察視野を確保するために図示しない送気・送水チャンネルから流体を送気・送水するときに操作される。流体は、水や気体を含む。
【0019】
また、把持部63は、内視鏡撮影用の各種ボタン71を有している。
【0020】
ユニバーサルコード65は、図示しないビデオプロセッサと図示しない光源装置と送気装置81と送水装置83とに接続する接続部65aを有している。ビデオプロセッサと光源装置と送気装置81と送水装置83とは、例えば内視鏡1の外部に配設されている。送気装置81は、例えば送気ポンプである。送気装置81は、管路85によって送水装置83と接続している。送水装置83は、送水のための水を充填する充填タンクである。
【0021】
次に図2Aと図2Bと図2Cとを参照して、本実施形態における内視鏡管路切換装置(以下、管路切換装置100)について説明する。なお以下において、上方とは、例えば、把持部63の外側を示し、管路切換装置100の軸方向において、送気・送水スイッチ69b側を示す。また下方とは、例えば、把持部63の内側を示し、管路切換装置100の軸方向において、シリンダ111の他端部111b側を示す。
【0022】
図2Aに示すように、管路切換装置100は、送気と送水とを切り換える際と上述したように送気・送水する際とに操作される操作部である送気・送水スイッチ69bと、複数の管路101が接続しているシリンダ111と、送気・送水スイッチ69bと接続し、シリンダ111に対して着脱自在に嵌挿されているピストン121とを有している。管路切換装置100は、シリンダ111に対するピストン121の移動によってこれら管路101の連通状態を切り換える。
【0023】
図2Aと図2Bとを参照してシリンダ111について説明する。
シリンダ111は、例えば略円筒形状を有している。シリンダ111は、例えば金属によって形成されている。シリンダ111は、開口している一端部111aと、閉じられている他端部111bとを有している。シリンダ111は、段差がシリンダ111に形成されるように、シリンダ111の軸方向に沿って一端部111a(開口部)側から他端部111b(底部)側に向かって先細となっている。そしてシリンダ111が先細となることでシリンダ111の内周面に形成され、シリンダ111の軸方向に対して斜行している当接面111cをシリンダ111は有している。当接面111cは、後述する送気流入管101aと送気流出管101bとの間に配設されている。当接面111cの傾き角度は、特に限定されない。このようなシリンダ111は、例えば深絞りプレス加工によって成形されている。なおこれに限定する必要は無く、シリンダ111は例えば切削加工によって成形されていてもよい。また、本実施形態のシリンダ111の成形法は、吸引用の管路切換装置に用いられてもよい。
【0024】
またシリンダ111は、複数の管路101と連通するための孔を有している。1つの管路101は、1つの孔に接合されている。
【0025】
図2Bに示すように、複数の管路101は、例えば、送気流入管101aと送気流出管101bと送水流入管101cと送水流出管101dとによって構成されている。図2Bに示すように、一端部111aから他端部111bに向かって順に、送気流出管101bと送気流入管101aと送水流出管101dと送水流入管101cとが配設されている。
【0026】
送気流入管101aは、把持部63の内部からユニバーサルコード65の内部に渡って配設されている。また送気流入管101aは、ユニバーサルコード65の内部をユニバーサルコード65に沿って配設されている。そして送気流入管101aは、ユニバーサルコード65を介して接続部65aと接続している。接続部65aが送気装置81と接続した際に、送気流入管101aは、送気装置81と接続し、送気装置81から気体を送気される。送気流入管101aは、給気管として機能する。
【0027】
送気流出管101bは、操作部60の内部と挿入部10の内部とを操作部60と挿入部10とに沿って配設されている。そして送気流出管101bは、先端硬質部21に配設されている図示しない送気送水ノズルと連通している。送気流出管101bは、送気流入管101aから送気された気体を送気送水ノズルに送気する。
【0028】
送水流入管101cは、把持部63の内部からユニバーサルコード65の内部に渡って配設されている。また送水流入管101cは、ユニバーサルコード65の内部をユニバーサルコード65に沿って配設されている。そして送水流入管101cは、ユニバーサルコード65を介して接続部65aと接続している。接続部65aが送水装置83と接続した際に、送水流入管101cは、送水装置83と接続し、送水装置83から液体を送水される。送水流入管101cは、給水管として機能する。
【0029】
送水流出管101dは、操作部60の内部と挿入部10の内部とを操作部60と挿入部10とに沿って配設されている。そして送水流出管101dは、先端硬質部21に配設されている図示しない送気送水ノズルと連通している。送水流出管101dは、送水流入管101cから送水された液体を送気送水ノズルに送水する。
【0030】
またシリンダ111は、把持部63に配設されている孔63aに挿脱自在に挿入され、把持部63に固定される。この孔63aの外径は、シリンダ111の外径よりも大きい。この孔63aは、Oリング103が配設される下側環状溝63bと、下側環状溝63bよりも上方に配設され、後述する口金107の下側フランジ部107aが嵌合する上側環状溝63cとを有している。下側環状溝63bは、上側環状溝63cよりも小さく、上側環状溝63cと同軸上に配設されている。下側環状溝63bは、把持部63の厚み方向において上側環状溝63cと連なっている。
【0031】
また図2Bに示すように、シリンダ111は、押さえ部材105と、口金107とによって、孔63aを介して把持部63に固定される。
【0032】
押さえ部材105はリング形状を有しており、押さえ部材105の内周面は一端部111a側の外周面に接合されている。また押さえ部材105は、押さえ部材105の径方向において、外側に向かって形成されるフランジ部105aを有している。フランジ部105aは、把持部63の内側に配設される。また孔の内周面と、押さえ部材105の外周面とは、それぞれ図示しないねじ溝を有している。押さえ部材105は、フランジ部105aが配設されているため、把持部63の内側から外側に向けて孔63aにねじ込まれる。押さえ部材105が孔63aにねじ込まれる際、フランジ部105aは把持部63の内面側に引っ掛かる。これによりシリンダ111は、把持部63からの抜け止めを防止される。なおこのとき押さえ部材105の外周面の一部は、Oリング103に当接する。
【0033】
口金107の内周面はねじ溝を有しており、口金107は押さえ部材105にねじ込まれる。また口金107は、上側環状溝63cと嵌合する下側フランジ部107aと、口金107の軸方向において下側フランジ部107aよりも上方に配設されている上側フランジ部107bとを有している。下側フランジ部107aと上側フランジ部107bとは、口金107の径方向において、外側に向かって形成される。下側フランジ部107aと上側フランジ部107bとは、把持部63の外側に配設される。下側フランジ部107aが上側環状溝63cと嵌合した際、フランジ部105aと下側フランジ部107aとが把持部63をシリンダ111の軸方向において上下に挟み込みこむことで、シリンダ111が把持部63に固定される。
【0034】
なお口金107が押さえ部材105にねじ込まれた際、下側フランジ部107aは、上側環状溝63cと嵌合し、Oリング103を圧縮する。これにより、外部から内視鏡1の内部への気体と液体との浸入が防止される。
【0035】
次に図2Aと図2Cと図2Dとを参照して、ピストン121について説明する。
ピストン121は、シリンダ111よりも細く、ピストン121の本体部である硬いピストン軸部123と、ピストン軸部123を把持部63に取り付ける取付部137とを有している。
【0036】
ピストン軸部123は、ピストン121の軸方向に沿って細長い形状を有している。ピストン軸部123は、シリンダ111に挿入され、シリンダ111の軸方向に沿ってシリンダ111に対して移動可能となっている。ピストン軸部123は、シリンダ111よりも細いためシリンダ111に対して摺動せずに、シリンダ111に対して移動する。ピストン軸部123はシリンダ111よりも細いため、ピストン軸部123の外周面とシリンダ111の内周面との間には流体が流れる流路部が形成される。
【0037】
図2Cに示すように、ピストン軸部123は、送気・送水スイッチ69bが囲うように配設され、シリンダ111(把持部63)の外部に配設される一端部123aと、シリンダ111の内部に配設される他端部123bとを有している。一端部123aは、例えば送気・送水スイッチ69bと螺合している。
【0038】
また図2Cに示すように、ピストン軸部123は、ピストン軸部123の内部に配設され、且つピストン軸部123の中心軸上に配設されている連通路125と、ピストン軸部123の他端部123b側に配設され、ピストン軸部123の径方向においてピストン軸部123を貫通している貫通孔127とをさらに有している。連通路125は、ピストン軸部123の一端部123aにて開口している一端部125aと、貫通孔127と連通している他端部125bとを有している。このように連通路125は、外部と連通している。また連通路125は、ピストン軸部123を貫通しておらず、外部と貫通孔127とに連通している。図2Aに示すように、貫通孔127は、ピストン軸部123がシリンダ111に挿入された際、シリンダ111の内部に位置する。
【0039】
図2Aと図3Cと図4Aとに示すように、一端部125aが開口している場合、連通路125と貫通孔127とは、送気流入管101aからシリンダ111の内部に送気された気体を、一端部125aを介して外部に放出するための流路部として機能する。
【0040】
また図4Bに示すように、一端部125aが例えば指などによって塞がれている場合、貫通孔127は、送気流入管101aからシリンダ111の内部に送気された気体を、送気流出管101bに送気するための流路部として機能する。
【0041】
また図2Aと図2Cとに示すように、ピストン軸部123は、ピストン軸部123がシリンダ111に挿入された際に、シリンダ111の内周面に密着し、ピストン軸部123とシリンダ111との間を封止する複数の封止部材129をさらに有している。封止部材129は、例えば弾性体によって形成されているパッキンなどである。封止部材129は、例えばリング形状を有している。
【0042】
封止部材129は、例えば、ピストン軸部123の他端部123bに配設されている封止部材129aと、ピストン軸部123の軸方向においてピストン軸部123の他端部123bと貫通孔127との間に配設されている封止部材129bと、ピストン軸部123の軸方向においてピストン軸部123の一端部123aと貫通孔127との間に配設されている封止部材129cと、ピストン軸部123の軸方向においてこの封止部材129cよりもさらにピストン軸部123の一端部123a側に配設されている封止部材129dとによって構成されている。
【0043】
ピストン軸部123と封止部材129とは、ピストン軸部123の界面と封止部材129の界面とが隙間無く密着し、汚れや雑菌等がこれら界面の間に付着せず、洗浄性が向上するように、互いに溶着されている。この溶着のために、ピストン軸部123と封止部材129とは、例えば2色成形またはインサート成形等によって形成される。具体的には、例えば、ピストン軸部123は、封止部材129を成形するための金型に配設される。次に、封止部材129は金型に配設され、封止部材129は熱によって溶融し、この熱がピストン軸部123の表面を溶かす。封止部材129は、冷却されることで固化し、ピストン軸部123に溶着する。このようにピストン軸部123と封止部材129とは、一体である。
【0044】
ピストン軸部123と封止部材129とは、薬品等によって洗浄されるため、耐薬品性を有する材料によって形成される。ピストン軸部123は、例えば、ポリプロピレンと、ポリカーボネートと、ナイロンと、ポリサルフォン・ポリフェニルサルフォン等のサルフォン系樹脂と、液晶ポリマーと、変性ポリフェニレンエーテルと、ポリエーテル・エーテル・ケトンとの少なくとも1つによって形成される。封止部材129は、例えば、シリコンゴムと、スチレン系・オレフィン系のエラストマとの少なくとも一方によって形成される。
【0045】
また図2Cに示すように、ピストン軸部123は、ピストン軸部123の軸方向において封止部材129aと封止部材129bとの間に配設されているガイド部材131と、ピストン軸部123の軸方向において封止部材129cと封止部材129dとの間に配設されている切り欠き部133と、ピストン軸部123の軸方向において封止部材129dよりも一端部123a側に配設されている抜け止め部135とをさらに有している。
【0046】
ガイド部材131は、ピストン軸部123と一体である。ガイド部材131は、ピストン軸部123がシリンダ111に対してシリンダ111の径方向に移動することを防止するために、シリンダ111の内周面に当接する。これによりピストン軸部123がシリンダ111に挿入された際、ピストン軸部123がシリンダ111をシリンダ111の軸方向に沿って移動可能となるように、ガイド部材131はピストン軸部123をガイドする。なおピストン軸部123がシリンダ111に挿入される際、ガイド部材131は、シリンダ111の軸方向に沿って、シリンダ111の内周面を摺動する。
【0047】
切り欠き部133は、円環形状に形成されている。切り欠き部133には、後述する逆止弁ユニット151が配設される。
【0048】
抜け止め部135は、例えばリング形状を有しており、ピストン軸部123と一体である。抜け止め部135は、取付部137に配設される後述する抜け止め当接部139と当接する。
【0049】
図2Cに示すように、取付部137は、ピストン軸部123の一端部123a側に配設される。取付部137は、円筒形状を有し、ピストン軸部123が挿通し、ピストン軸部123の一端部123a側を囲うように配設される硬質な抜け止め当接部139と、円筒形状を有し、抜け止め当接部139を囲むように配設されている軟質な取付本体部141とを有している。
【0050】
抜け止め当接部139は、取付本体部141の内周面全面に密着するように配設されている。抜け止め当接部139は、一方に底面139aを有する円筒形状を有している。底面139aは、ピストン軸部123が挿通する挿通孔139bを有している。また底面139aは、抜け止め部135に当接する。ピストン121の軸方向において、底面139aは、送気・送水スイッチ69bの下方に配設される。管路切換装置100が組み立てられる際、図2Aに示すように底面139aは、シリンダ111の一端部111aと押さえ部材105の縁部と口金107の縁部とに当接する。
【0051】
ピストン121の軸方向において、底面139aと送気・送水スイッチ69bとの間には、付勢部材109が配設されている。付勢部材109は、ピストン軸部123の一端部123a側を巻回するように配設されている。付勢部材109は、例えば金属製の巻きバネである。付勢部材109は、ピストン121の軸方向において伸縮可能となっている。付勢部材109は、送気・送水スイッチ69bを介してピストン軸部123を上方に付勢し、抜け止め当接部139(底面139a)を下方(抜け止め部135)に付勢する付勢力を有している。付勢部材109が自然状態において、付勢部材109は、送気・送水スイッチ69bを介してピストン軸部123を上方に付勢し、抜け止め当接部139(底面139a)を下方(抜け止め部135)に付勢する。このとき、抜け止め部135と、底面139aとは、当接し、互いに押し付けあう。これにより、抜け止め部135は、ピストン軸部123が取付部137から抜けることを防止する。なお付勢部材109は、抜け止め当接部139によって囲まれている。
【0052】
取付本体部141は、例えばゴムである。取付本体部141は、口金107の上側フランジ部107bと係合し、把持部63の外周面に配設される。
【0053】
また図2Aと図2Cと図2Dとに示すように、管路切換装置100は、ピストン121の切り欠き部133に配設され、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止する逆止弁ユニット151を有している。
逆止弁ユニット151は、逆止弁153と、リング形状を有し、逆止弁153が接着され、当接面111cに当接する当接部材155と、円筒形状を有し、逆止弁153と当接部材155とを支持する支持部材157とを有している。
【0054】
逆止弁153は、例えば弾性部材によって形成されている。逆止弁153は、中空の円錐台形状を有している。逆止弁153において、中空部は、逆止弁153の軸方向において、逆止弁153の太径の一端部側から逆止弁153の細径の他端部側に向かって徐々に縮径している。このような逆止弁153は、例えば、略傘形状とドーム形状とのいずれか1つを有している。逆止弁153の一端部が一端部123a側に配設され、逆止弁153の他端部が他端部123b側に配設されるように、逆止弁153の表面は他端部123b側に向いており、逆止弁153の裏面は一端部123a側に向いている。また例えば、逆止弁153の他端部における縁側は、当接部材155に接着されている。
【0055】
逆止弁153は、シリンダ111の内部の圧力に応じて開閉することで、シリンダ111の内周面に密着または内周面から離れる。図2Cに示すように、逆止弁153の一端部における縁は、自然状態において、シリンダ111の内径よりも大きい。よって、ピストン軸部123がシリンダ111に挿入された際、図2Aと図3Bと図3Cと図4Aとに示すように、逆止弁153の一端部における縁は、シリンダ111によって圧縮され、圧縮されることによってシリンダ111の内周面に密着し、逆止弁153はシリンダ111とピストン軸部123との間を封止している。
【0056】
また図4Bに示すように、気体が送気流入管101aからシリンダ111の内部に送気された状態で、連通路125の一端部125aが例えば指などによって塞がれると、シリンダ111の内部における圧力が高まり、逆止弁153は閉じてシリンダ111の内周面から離れる。このとき、シリンダ111とピストン軸部123との間は、送気流入管101aからシリンダ111の内部に送気された気体を、送気流出管101bに送気するための流路部として機能する。
【0057】
当接部材155は、例えば硬質な材料によって形成されている。当接部材155は、当接部材155の径方向において、支持部材157を貫通している。また、当接部材155と支持部材157とは、例えば接着により接合されている。図2Cに示すように、当接部材155は、当接部材155が支持部材157から抜けることを防止する抜け止め部155aを有している。抜け止め部155aは、当接部材155の内周の縁に配設されており、切り欠き部133に位置する。抜け止め部155aは、当接部材155の表面と裏面とからそれぞれ立設するように配設されており、当接部材155の摺動する方向に沿って配設されている。抜け止め部155aは、支持部材157の内周面と切り欠き部133の底とに当接しており、径方向においてピストン軸部123と支持部材157とによって挟持されている。
【0058】
当接部材155は、ピストン軸部123が当接部材155を貫通するように、切り欠き部133に嵌めこまれている。ピストン軸部123がシリンダ111に対してピストン121の軸方向に沿って移動する際、当接部材155が当接面111cと常に当接するように、当接部材155は支持部材157によって支持されている。なお当接部材155が常に当接面111cに当接するため、抜け止め部155aはピストン121の移動に伴いピストン121の軸方向に沿って切り欠き部133の内部を摺動する。つまり、シリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置は、ピストン121の移動に影響されることなく、固定されている。言い換えると、当接部材155は、ピストン軸部123がシリンダ111に対して移動する際に、シリンダ111の内周面を摺動せず、ピストン121に対してのみ摺動する。またピストン121に対する当接部材155の相対的な位置は、シリンダ111に対するピストン121の移動によって変化する。
【0059】
なお当接部材155が常に当接面111cに当接するために、シリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置は、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定されている。言い換えると、逆止弁153は、シリンダ111の内周面を摺動しない。またピストン121に対する逆止弁153の相対的な位置は、シリンダ111に対するピストン121の移動によって変化する。また当接部材155が常に当接面111cに当接するために、逆止弁153は当接面111cよりも常に上方に配設されることなる。
【0060】
図2Cと図2Dとに示すように、当接部材155は、通気孔155bを有している。通気孔155bは、当接部材155が当接面111cに当接していても、開口している。図2Aに示すように、通気孔155bは、当接部材155よりも下方のシリンダ111の内部空間と、当接部材155よりも上方のシリンダ111の内部空間とを連通させている。図4Bに示すように、通気孔155bは、連通路125の一端部125aが例えば指などによって塞がれている場合、送気流入管101aからシリンダ111の内部に送気された気体を、シリンダ111とピストン軸部123との間を介して送気流出管101bに送気するための流路部として機能する。
【0061】
支持部材157は、ピストン軸部123がシリンダ111に対して移動する際に、当接部材155が当接面111cに常に当接し、当接部材155が当接面111cに当接することに伴いシリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置が固定されるように、当接部材155を支持する。
また支持部材157は、当接部材155が当接面111cと常に当接し、シリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置が固定され、抜け止め部155aが切り欠き部133の内部を摺動できるように、当接部材155を支持している。
【0062】
支持部材157は、切り欠き部133を全周に渡って覆うように円環形状を有しており、ピストン軸部123に接着されている。支持部材157と切り欠き部133とは、支持部材157が切り欠き部133を覆うことで、抜け止め部155aが切り欠き部133の内部を摺動する摺動路を形成している。このため支持部材157の内径は、当接部材155が切り欠き部133の内部を摺動できるように、切り欠き部133の外径よりも大きい。なお支持部材157の外径はピストン軸部123の外径と略同一であり、支持部材157の外周面とピストン軸部123との外周面とは連なっている。よって支持部材157は、シリンダ111の内周面とは当接しない。
【0063】
このような支持部材157は、ピストン121の軸方向に沿って伸縮する例えば薄膜の弾性部材によって形成されている。よって図3Cと図3Dと図4Bと図4Cとに示すように、支持部材157は、ピストン軸部123がピストン121の軸方向に沿ってシリンダ111を移動する際に、抜け止め部155aが切り欠き部133の内部を摺動でき、シリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置がシリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく固定され、シリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置がシリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく固定されるように、支持部材157の軸方向に沿って伸縮自在である。支持部材157は、伸縮することで、シリンダ111に対するピストン121の移動に伴う当接部材155と逆止弁153との変位を吸収している。
【0064】
支持部材157は、ピストン軸部123の軸方向において、当接部材155の上方に配設される上側支持部材157aと、当接部材155の下方に配設される下側支持部材157bとによって形成されている。上側支持部材157aと下側支持部材157bとは、それぞれ同じ硬度を有している。上側支持部材157aと下側支持部材157bとは、ピストン軸部123に接着されている。上側支持部材157aと下側支持部材157bとは、一体であっても別体であっても良い。
【0065】
上側支持部材157aは、逆止弁153と当接部材155とを上方側から支持する。上側支持部材157aは、ピストン軸部123がシリンダ111に取り付けられた際に、当接部材155が当接面111cに当接するように、当接部材155を当接面111cに向けて押圧する。図2Aと図3C図4Aとに示すように、上側支持部材157aは、上側支持部材157aが押し潰されることで、上側支持部材157aの厚みが支持部材157の径方向に膨らむように縮む。また図3Dと図4Cとに示すように、上側支持部材157aは、支持部材157が押し潰されることで、上側支持部材157a全体が支持部材157の径方向において外側に膨らむように縮む。また上側支持部材157aは、摺動路が形成され、当接部材155の摺動が阻害されないように、縮む。
【0066】
下側支持部材157bは、逆止弁153と当接部材155とを下方側から支持する。また下側支持部材157bは、ピストン軸部123がシリンダ111に取り付けられた際に、当接部材155が当接面111cに当接するように、当接部材155を当接面111cに向けて引っ張る。図3Cと図3Dと図4Bと図4Cとに示すように、下側支持部材157bは、例えば支持部材157の軸方向に沿って真っ直ぐ伸びる。
【0067】
次に図3Aと図3Bと図3Cとを図3Dとを参照して、本実施形態における管路切換装置100の組立方法と、組立時の支持部材157の長さと、組立時の力の大きさとについて説明する。
(Step1・図3A)
図3Aに示すように、抜け止め当接部139が取付本体部141の内周面全面に密着するように、取付部137が組み立てられる。
次にピストン軸部123が底面139aにおける挿通孔139bを挿通し、抜け止め当接部139の底面139aが抜け止め部135に当接するように、取付部137がピストン軸部123に取り付けられる。
【0068】
そして付勢部材109がピストン軸部123の一端部123a側を巻回し、付勢部材109が底面139aと送気・送水スイッチ69bとの間に配設されるように、一端部123aは送気・送水スイッチ69bと螺合する。このとき、付勢部材109は、送気・送水スイッチ69bを介してピストン軸部123を上方に付勢し、抜け止め当接部139(底面139a)を下方(抜け止め部135)に付勢する。そして抜け止め部135と、抜け止め当接部139の底面139aとは、当接し、互いに押し付けあう。
【0069】
これによりピストン121が組み立てられる。
なお取付部137の組立と、ピストン121の組立とは前記に限定される必要は無い。
【0070】
Step1において、上側支持部材157aの長さをL1、下側支持部材157bの長さをl1とする。上側支持部材157aと下側支持部材157bとは、どちらも伸縮しておらず、自然状態となっている。
【0071】
(Step2・図3B)
次に図3Bに示すように、ピストン121は、当接部材155が当接面111cに当接するように、シリンダ111に徐々に挿入される。このとき、上側フランジ部107bは取付本体部141と係合しておらず、取付本体部141は把持部63の外周面から離れ、抜け止め当接部139の底面139aはシリンダ111の一端部111aと押さえ部材105の縁部と口金107の縁部とに当接せず抜け止め部135から離れている。
【0072】
Step2において、上側支持部材157aの長さをL2、下側支持部材157bの長さをl2とする。上側支持部材157aと下側支持部材157bとは、Step1の状態から伸縮しておらず、自然状態となっている。つまり、L1=L2、l1=l2となっている。
【0073】
このように本実施形態では、Step2では、当接部材155が当接面111cに当接した際、取付部137は把持部63に取り付けられていない。
【0074】
(Step3・図3C)
次に図3Cに示すように、上側フランジ部107bは取付本体部141と係合し、取付本体部141は把持部63の外周面と当接し、抜け止め当接部139の底面139aはシリンダ111の一端部111aと押さえ部材105の縁部と口金107の縁部とに当接するように、ピストン軸部123はシリンダ111に押し込まれる。これにより管路切換装置100が組み立てられる。
【0075】
このように本実施形態では、Step3では、当接部材155が当接面111cに当接した状態で、取付部137は把持部63に取り付けられる。
【0076】
このとき、ピストン121は、Step2の状態から、シリンダ111に対して下方に微小に移動する。これにより上側支持部材157aはピストン軸部123によって当接部材155に向かって微小に押し付けられ、下側支持部材157bはピストン軸部123によって下方に微小に引っ張られる。そして縮んだ上側支持部材157aは、自然状態に戻ろうとするために、ピストン軸部123と当接部材155とを押圧する。また伸びた下側支持部材157bは、自然状態に戻ろうとするため、ピストン軸部123と当接部材155とを引っ張る。
【0077】
これにより、当接部材155は、上側支持部材157aによって当接面111cに押し付けられ、下側支持部材157bによって当接面111cに引っ張られる。そしてStep3において、当接部材155は、Step2の状態から引き続き当接面111cに当接し続ける。
【0078】
なおこのとき、ピストン軸部123がシリンダ111に対して移動し、当接部材155は当接面111cに当接し続けるため、当接部材155はピストン121に対して摺動する。つまりシリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置は、固定される。
また当接部材155が常に当接面111cに当接しているため、シリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置が固定されている。よってシリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置は、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定されている。言い換えると、逆止弁153は、シリンダ111の内周面を摺動しない。
【0079】
前述したようにStep3において、上側支持部材157aは、ピストン軸部123によって当接部材155に向かって微小に押し付けられることで、Step1,2の状態に対して微小に縮む。また下側支持部材157bは、ピストン軸部123によって下方に微小に引っ張られることで、Step1,2の状態に対して微小に伸びる。
このStep3において、上側支持部材157aの長さをL3、下側支持部材157bの長さをl3とする。このときL3はL1,L2よりも短く、l3はl1,l2よりも長い。
【0080】
また前述したように縮んだ上側支持部材157aは、自然状態に戻ろうとするために、ピストン軸部123と当接部材155とを押圧する。また伸びた下側支持部材157bは、自然状態に戻ろうとするため、ピストン軸部123と当接部材155とを引っ張る。
Step3において、ピストン軸部123と当接部材155とに掛かる力をF3、ピストン軸部123と当接部材155とを引っ張る力をf3とする。
【0081】
前述したように、上側フランジ部107bは取付本体部141と係合し、抜け止め当接部139のフランジ部105aと抜け止め部135とは付勢部材109の付勢力によって当接し互いに押し付けあっている。このとき、力F1は、上側フランジ部107bと取付本体部141とに作用し、フランジ部105aと抜け止め部135とに作用する。このF1は、F3とf3との和よりも大きい。よって、Step3において、ピストン121は、F3とf3とによってシリンダ111を移動せず、F1によってシリンダ111に対して位置決めされている。
【0082】
このStep3は、送気・送水が行われず管路切換装置100が操作されない無操作状態と、管路切換装置100が操作され送気が行われる送気状態とのいずれか一方であることを示す。
【0083】
(Step4・図3D)
次に図3Dに示すように、送水のために、ピストン軸部123はStep3の状態からシリンダ111にさらに押し込まれる。このとき、ピストン軸部123は、Step3の状態から、シリンダ111に対して下方に大きく移動する。これにより上側支持部材157aはピストン軸部123によって当接部材155にさらに押し付けられ、下側支持部材157bはピストン軸部123によってさらに下方に引っ張られる。そして縮んだ上側支持部材157aは、自然状態に戻ろうとするために、Step3における力F3よりも大きい力でピストン軸部123と当接部材155とを押圧する。また伸びた下側支持部材157bは、自然状態に戻ろうとするために、Step3における力f3よりも大きい力でピストン軸部123と当接部材155とを引っ張る。
【0084】
よって、当接部材155は、上側支持部材157aによって当接面111cにさらに押し付けられ、下側支持部材157bによって当接面111cにさらに引っ張られる。そしてStep4において、当接部材155は、Step2,3の状態から引き続き当接面111cに当接し続ける。
【0085】
なおこのとき、Step3の状態と同様に、ピストン軸部123がシリンダ111に対して移動し、当接部材155は当接面111cに当接し続けるため、当接部材155はピストン121に対して摺動する。つまりシリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置は、Step3の状態から引き続き固定されている。
また当接部材155が常に当接面111cに当接し、シリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置が固定されている。よってシリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置は、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定されている。言い換えると、逆止弁153は、シリンダ111の内周面を摺動しない。
【0086】
また前述したようにStep4において、上側支持部材157aは、ピストン軸部123によって当接部材155にさらに押し付けられ、Step3の状態からさらに縮む。また下側支持部材157bは、ピストン軸部123によってさらに下方に引っ張られ、Step3の状態からさらに伸びる。
このStep4において、上側支持部材157aの長さをL4、下側支持部材157bの長さをl4とする。L4はL3よりも短く、l4はl3よりも長い。
【0087】
また前述したように、縮んだ上側支持部材157aは、自然状態に戻ろうとするために、Step3における力F3よりも大きい力でピストン軸部123と当接部材155とを押圧する。また伸びた下側支持部材157bは、自然状態に戻ろうとするために、Step3における力f3よりも大きい力でピストン軸部123と当接部材155とを引っ張る。
Step4において、ピストン軸部123と当接部材155とに掛かる力をF4、ピストン軸部123と当接部材155とを引っ張る力をf4とする。
【0088】
なおStep4において、抜け止め当接部139の底面139aと抜け止め部135とは離れるが、ピストン121を押し込む押し込み力F2がピストン121に作用する。F2は、F4とf4との和よりも大きい。よって、Step4において、ピストン121は、F4とf4とによってシリンダ111を移動せず、F2によってシリンダ111に対して位置決めされている。
【0089】
Step4は、管路切換装置100が操作され送水が行われる送水状態であることを示す。
【0090】
上記をまとめると、
L1=L2>L3>>L4 となり、
l1=l2<l3<<l4 となり、
F4>>F3 となり、
f3<<f4 となり、
F1>>F3+f3となり、
F2>>F4+f4となる。
【0091】
次に図4Aと図4Bと図4Cとを参照して本実施形態における逆止弁ユニット151を含む管路切換装置100の動作方法について説明する。なお図4Aと図4Bとは、Step3,図3Cに対応する。また図4Cは、Step4,図3Dに対応する。
図4Aを参照してStep3に示す無操作状態について説明する。
このとき図4Aに示すように、封止部材129dは、送気流出管101bよりも上方に配設され、シリンダ111の内周面と密着しており、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止している。また当接部材155は、送気流出管101bと送気流入管101aとの間に配設され、当接面111cに当接している。これにより逆止弁153は、当接面111cと送気流出管101bとの間に配設される。また逆止弁153は、開いており、シリンダ111の内周面に密着し、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止している。よって送気流出管101b側におけるシリンダ111の内部空間は、封止部材129dと逆止弁153とによって封止されている。
【0092】
また封止部材129a,129bは、シリンダ111の内周面と密着しており、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止している。封止部材129aは、送水流入管101cと送水流出管101dとの間に配設されている。また封止部材129bは、送水流出管101dと送気流入管101aとの間に配設されている。これにより、送水流入管101c側におけるシリンダ111の内部空間は、封止部材129aによって封止されている。また送水流出管101d側におけるシリンダ111の内部空間は、封止部材129a,129bによって封止されている。
【0093】
また一端部125aは開口しており、連通路125は外部と連通している。また前述したように、当接部材155は当接面111cに当接し、逆止弁153はシリンダ111の内周面に密着し、封止部材129bはシリンダ111の内周面と密着している。これにより送気流入管101aは、貫通孔127と連通路125とを介して、外部と連通する。よって、気体は、送気装置81から送気され、送気流入管101aと貫通孔127と連通路125とを介して、外部に放出される。
【0094】
なお封止部材129cは、送気流出管101bと送水流入管101cとの間に配設され、シリンダ111の内周面から離れており、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止していない。
【0095】
次に図4Bを参照してStep3に示す送気状態について説明する。
把持部63は、図4Aに示す状態から操作者によって把持される。そして、開口している一端部125aが操作者の指によって塞がれる。送気流入管101aからシリンダ111の内部と連通路125とに送気された気体は、連通路125を含むシリンダ111の内部とに充填される。このとき、気体は、通気孔155bを介して逆止弁153側にも流れる。そしてシリンダ111の内部において、圧力が高まる。これにより、逆止弁153は、圧力の上昇に伴い、閉じる。そして逆止弁153は、シリンダ111の内周面から離れる。よって気体は、逆止弁153とシリンダ111との間と、ピストン軸部123とシリンダ111との間とを通じて、送気流出管101b側におけるシリンダ111の内部空間に流れる。
【0096】
このとき前述した封止部材129dは、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止し続けている。よって、気体は、送気流出管101bに流れる。これにより、気体は、送気送水ノズルから外部に放出される。
【0097】
次に図4Cを参照して、Step4に示す送水状態について説明する。
一端部125aが操作者の指によって塞がれた状態で、送気・送水スイッチ69bは操作者の指によって押される。これにより、付勢部材109は縮み、ピストン軸部123はシリンダ111に押し込まれる。また抜け止め部135は、抜け止め当接部139の底面139aから離れる。
【0098】
封止部材129dは、シリンダ111の内周面を下方に向かって摺動する。封止部材129dは、送気流出管101bよりも上方に配設され、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止している。
【0099】
また上側支持部材157aは、ピストン軸部123によって当接部材155にさらに押し付けられ、Step3の状態からさらに縮む。また下側支持部材157bは、ピストン軸部123によってさらに引っ張られ、Step3の状態からさらに伸びる。
【0100】
これにより当接部材155は、当接面111cに確実に当接し続ける。当接部材155は、当接面111cに当接し続けるため、ピストン121に対して摺動する。つまりシリンダ111に対する当接部材155の相対的な径方向の位置は、安定している。よって、逆止弁153は、シリンダ111の内周に対して偏心せず、偏心しない状態でシリンダ111とピストン軸部123との間を安定した位置で封止する。
また当接部材155が常に当接面111cに当接するために、シリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置は、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定されている。言い換えると、逆止弁153は、シリンダ111の内周面を摺動しない。
【0101】
また封止部材129cは、ピストン軸部123の移動に伴い下方に向かって移動する。そして封止部材129cは、送気流入管101aと送気流出管101bとの間において、シリンダ111の内周面に密着し、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止する。
【0102】
これにより、送気流出管101b側におけるシリンダ111の内部空間は、封止部材129c,129dによって封止される。
【0103】
また封止部材129bは、ピストン軸部123の移動に伴いシリンダ111の内周面を下方に向かって摺動する。封止部材129bは、送気流入管101aよりも下方に配設され、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止している。
【0104】
これにより、送気流入管101a側におけるシリンダ111の内部空間は、封止部材129b,129cによって封止される。
【0105】
また封止部材129aは、ピストン軸部123の移動に伴い下方に向かって移動し、シリンダ111の内周面から離れる。よって封止部材129aは、シリンダ111とピストン軸部123との間を封止していない。
【0106】
これにより送水流入管101cは、封止部材129bよりも下方に配設されるシリンダ111の内部空間を通じて送水流出管101dと連通する。そして、気体は、送気装置81から管路85を介して送水装置83に送気される。送水装置83の内部圧力が高まると、送水装置83に充填されている液体は、送水流入管101cへと流れる。そして液体は、送水流入管101cから、封止部材129bよりも下方に配設されるシリンダ111の内部空間を通じて、送水流出管101dへと流れる。これにより、液体は、送気送水ノズルから外部に放出される。
【0107】
なお送気装置81から流れた気体は、送気流入管101aを通じてシリンダ111の内部にも流れる。しかし、封止部材129b,129cが送気流入管101a側におけるシリンダ111の内部空間を封止しているために、気体は送水装置83に確実に流れる。
【0108】
次に、管路切換装置100の洗浄について説明する。
【0109】
ピストン121は、シリンダ111から抜去され洗浄される。このとき、ピストン軸部123の外周面と連通路125と貫通孔127と通気孔155bとは、逆止弁153によって覆われず、図2Bと図2Cとに示すように、確実に露出する。これにより洗浄液は、逆止弁153に影響されること無く、十分に流れる。
【0110】
このように本実施形態では、支持部材157によって、シリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置を、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定している。これにより本実施形態では、シリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置を、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定できる。言い換えると本実施形態では、逆止弁153をシリンダ111の内周面に対して摺動させずに管路101の連通状態を切り換えることができる。よって本実施形態では、ピストン軸部123がシリンダ111に対して移動しても、逆止弁153の磨耗と損傷とを防止できる。そして本実施形態では、気密性の低下を防止でき、逆止弁153の折れ曲がりを防止でき、逆止弁153を確実に機能させることができる。
【0111】
また本実施形態では、流路部を、シリンダ111とピストン軸部123との間と、シリンダ111軸部の内部を示す連通路125と貫通孔127と、通気孔155bとに形成している。よって本実施形態では、逆止弁153に影響されること無く、流路部に洗浄液を容易に流すことができ、洗浄性を向上できる。
【0112】
また本実施形態では、当接部材155が当接面111cに当接することで、確実に、シリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置を、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定できる。
【0113】
また本実施形態では、支持部材157はピストン121の軸方向に沿って伸縮する弾性部材によって形成される。これにより本実施形態では、シリンダ111に対する当接部材155の相対的な位置を、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定できる。よって本実施形態では、シリンダ111に対する逆止弁153の相対的な位置を、シリンダ111に対するピストン121の移動に影響されることなく、固定できる。そして本実施形態では、逆止弁153がシリンダ111の内周面を摺動すること無く、逆止弁153の磨耗と損傷とを防止できる。
【0114】
また本実施形態では、上側支持部材157aが当接部材155を当接面111cに向けて押し付け、下側支持部材157bは当接部材155を当接面111cに向けて引っ張っている。これにより本実施形態では、当接部材155は確実に当接面111cに当接することができ、逆止弁153がシリンダ111の内周面を摺動することがない。よって本実施形態では、逆止弁153の磨耗と損傷とを防止できる。
【0115】
なお本実施形態では、逆止弁153と当接部材155と支持部材157とは、それぞれ別体である。しかし、これに限定される必要は無い。例えば逆止弁153は、支持部材157と同種の材料で形成され、支持部材157と一体に構成されていてもよい。
【0116】
これにより本実施形態では、設計の自由度を向上させることができる。また、逆止弁153と当接部材155と支持部材157とが一体だと、ピストン121を容易に組み立てることができる。
【0117】
また本実施形態では、当接部材155が必ずしも配設される必要はない。例えば、支持部材157と逆止弁153との少なくとも一方が当接部材155の機能を有していれば良い。具体的には、支持部材157の一部は、例えば当接面111cに当接面111cに当接するように、支持部材157の径方向に突出していればよい。また、逆止弁153の他端部は、当接面111cに当接するように、支持部材157の外周面に直接接着されている。
【0118】
また本実施形態では、図3Cと図4Aと図4Bとに示すStep3において、ピストン軸部123は、図3Bに示すStep2の状態から、シリンダ111に対して下方に微小に移動する。しかしこれに限定する必要は無い。管路切換装置100が組み立てられる際、例えば力F1が作用せず、支持部材157が伸縮しないで、当接部材155が当接面111cに当接してもよい。つまりStep3において、上側支持部材157aと下側支持部材157bとは、Step1の状態から伸縮しておらず、自然状態となったままであってもよい。
【0119】
これにより
L1=L2=L3>>L4 となり、
l1=l2=l3<<l4 となる。
【0120】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0121】
1…内視鏡、10…挿入部、21…先端硬質部、23…湾曲部、25…可撓管部、60…操作部、61…本体部、63…把持部、69b…送気・送水スイッチ、100…管路切換装置、111…シリンダ、111c…当接面、121…ピストン、123…ピストン軸部、125…連通路、127…貫通孔、151…逆止弁ユニット、153…逆止弁、155…当接部材、157…支持部材、157a…上側支持部材、157b…下側支持部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の管路が接続しているシリンダと、前記シリンダに対して着脱自在に嵌挿されているピストンとを有し、前記シリンダに対する前記ピストンの移動によって前記管路の連通状態を切り換える内視鏡管路切換装置であって、
前記ピストンに配設され、前記シリンダと前記ピストンとの間を封止する逆止弁ユニットを具備し、
前記シリンダは、当接面を前記シリンダの内周面に有し、
前記逆止弁ユニットは、
前記シリンダの内部の圧力に応じて開閉することで、前記シリンダの内周面に密着または前記内周面から離れる逆止弁と、
前記逆止弁が配設され、前記当接面に当接する当接部材と、
前記ピストンが前記シリンダに対して移動する際に、前記当接部材が前記当接面に常に当接し、前記当接部材が前記当接面に当接することに伴い前記シリンダに対する前記逆止弁の相対的な位置が固定されるように、前記逆止弁と前記当接部材とを支持する支持部材と、
を有すること特徴とする内視鏡管路切換装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記ピストンの軸方向に沿って伸縮する弾性部材によって形成されること特徴とする請求項1に記載の内視鏡管路切換装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記当接部材の上方に配設され前記逆止弁と前記当接部材とを上方から支持する上側支持部材と、前記当接部材の下方に配設され前記逆止弁と前記当接部材とを下方から支持する下側支持部材とによって形成され、
前記上側支持部材は、前記ピストンが前記シリンダに取り付けられた際に、前記当接部材が前記当接面に当接するように、前記当接部材を前記当接面に向けて押し付け、
下側前記支持部材は、前記ピストンが前記シリンダに取り付けられた際に、前記当接部材が前記当接面に当接するように、前記当接部材を前記当接面に向けて引っ張ること特徴とする請求項2に記載の内視鏡管路切換装置。
【請求項4】
前記当接部材は、前記ピストンが前記シリンダに対して移動する際に、前記ピストンに対してのみ摺動すること特徴とする請求項3に記載の内視鏡管路切換装置。
【請求項1】
複数の管路が接続しているシリンダと、前記シリンダに対して着脱自在に嵌挿されているピストンとを有し、前記シリンダに対する前記ピストンの移動によって前記管路の連通状態を切り換える内視鏡管路切換装置であって、
前記ピストンに配設され、前記シリンダと前記ピストンとの間を封止する逆止弁ユニットを具備し、
前記シリンダは、当接面を前記シリンダの内周面に有し、
前記逆止弁ユニットは、
前記シリンダの内部の圧力に応じて開閉することで、前記シリンダの内周面に密着または前記内周面から離れる逆止弁と、
前記逆止弁が配設され、前記当接面に当接する当接部材と、
前記ピストンが前記シリンダに対して移動する際に、前記当接部材が前記当接面に常に当接し、前記当接部材が前記当接面に当接することに伴い前記シリンダに対する前記逆止弁の相対的な位置が固定されるように、前記逆止弁と前記当接部材とを支持する支持部材と、
を有すること特徴とする内視鏡管路切換装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記ピストンの軸方向に沿って伸縮する弾性部材によって形成されること特徴とする請求項1に記載の内視鏡管路切換装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記当接部材の上方に配設され前記逆止弁と前記当接部材とを上方から支持する上側支持部材と、前記当接部材の下方に配設され前記逆止弁と前記当接部材とを下方から支持する下側支持部材とによって形成され、
前記上側支持部材は、前記ピストンが前記シリンダに取り付けられた際に、前記当接部材が前記当接面に当接するように、前記当接部材を前記当接面に向けて押し付け、
下側前記支持部材は、前記ピストンが前記シリンダに取り付けられた際に、前記当接部材が前記当接面に当接するように、前記当接部材を前記当接面に向けて引っ張ること特徴とする請求項2に記載の内視鏡管路切換装置。
【請求項4】
前記当接部材は、前記ピストンが前記シリンダに対して移動する際に、前記ピストンに対してのみ摺動すること特徴とする請求項3に記載の内視鏡管路切換装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【公開番号】特開2013−85755(P2013−85755A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229835(P2011−229835)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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