内視鏡装置
【課題】ハンドルを無段階に容易に回動させることができ、所望の回動位置においてハンドルの回動角度を容易に固定することのできる構成を、簡単かつ省スペースに実現できる内視鏡装置を提供する。
【解決手段】ハンドルの回動軸17と、回動軸17の外周面に形成された断面V字状の溝部と、溝部に対し内周面に形成された断面山型の凸部が緊密に嵌入して回動軸17の外周面に対し嵌合された、回動軸17を回動自在に保持する軸受け部材40と、軸受け部材40が嵌合された回動軸17が嵌入される回動軸嵌入溝20mを具備する固定部材20と、軸受け部材40に設けられた、回動軸17の回動に伴う軸受け部材40の回動を防止するピン18と、回動軸17に対し軸受け部材40を押圧し、溝部の傾斜面と軸受け部材の凸部の傾斜面との接触に伴う摩擦力により、回動軸の回動に負荷を付与する板バネ30と、を具備すること特徴とする。
【解決手段】ハンドルの回動軸17と、回動軸17の外周面に形成された断面V字状の溝部と、溝部に対し内周面に形成された断面山型の凸部が緊密に嵌入して回動軸17の外周面に対し嵌合された、回動軸17を回動自在に保持する軸受け部材40と、軸受け部材40が嵌合された回動軸17が嵌入される回動軸嵌入溝20mを具備する固定部材20と、軸受け部材40に設けられた、回動軸17の回動に伴う軸受け部材40の回動を防止するピン18と、回動軸17に対し軸受け部材40を押圧し、溝部の傾斜面と軸受け部材の凸部の傾斜面との接触に伴う摩擦力により、回動軸の回動に負荷を付与する板バネ30と、を具備すること特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡が接続される装置本体に対し、ハンドルが回動自在に取り付けられた内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、内視鏡は、医療分野及び工業用分野において広く利用されている。医療分野において用いられる内視鏡は、細長い挿入部を被検部位である体腔内に挿入することによって、体腔内の臓器を観察したり、必要に応じて処置具の挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種処置をしたりすることができる。
【0003】
また、工業用分野において用いられる内視鏡は、細長い挿入部を被検部位であるジェットエンジン内や、工場の配管等に挿入することによって、被検部位の傷及び腐蝕等の観察や各種処置等を行うことができる。
【0004】
内視鏡の挿入部の挿入方向先端(以下、単に先端と称す)側の先端部内に、対物レンズユニットや、CCD等の撮像素子を具備する撮像ユニットや、被検部位を照明する発光体ユニット等が具備されている構成が周知である。
【0005】
また、内視鏡の挿入部の挿入方向後端(以下、単に後端と称す)は、操作部に接続されている。操作部には、撮像ユニットにおける各種撮像動作を指示する各種スイッチや、挿入部の先端側に設けられた湾曲部の湾曲操作を行う湾曲操作レバー等が設けられている。尚、操作部に、撮像ユニットによって撮像された被検部位の像を表示するモニタが設けられている構成も周知である。
【0006】
さらに、操作部からは、ユニバーサルケーブルが延出しており、該ユニバーサルケーブルの延出端は、装置本体に接続されている。装置本体には、撮像ユニットによって撮像された被検部位の像を表示するモニタや、各種制御基板、光源等が設けられている。尚、装置本体と内視鏡とにより、内視鏡装置は構成されている。
【0007】
また、装置本体には、該装置本体の運搬性を向上させるため、装置本体の両側面に腕部の端部がそれぞれ接続された下向きコの字状のハンドルが設けられた構成が周知である。また、このようなハンドルは、操作者の装置本体に対する操作に対し邪魔にならないよう、腕部の端部を装置本体の側面に固定する軸が回動軸として構成されることにより回動自在となっているのが一般的である。さらに、ハンドルを回動させることにより、装置本体を載置した際、ハンドルを脚部として用いる構成も周知である。
【0008】
このように、機器に対しハンドルの腕部の端部を回動自在に固定する構造は、例えば特許文献1に開示されている。
【0009】
特許文献1には、機器の側面にハンドルの腕部の端部に設けられた回動軸が嵌入する嵌入孔を設けるとともに、該孔の周囲に、複数の係止孔を周状に設け、嵌入孔にハンドルの回動軸が嵌入され、該回動軸の周囲に形成された係止片が複数の係止孔のいずれかの孔に嵌入することにより、係止片と複数の係止孔との係合を用いて、可変させたハンドルの回動角度を固定する構成が開示されている。
【特許文献1】実公昭63−13838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示された構成においては、ハンドルは、複数の係止孔が形成された位置でしかハンドルの回動角度を固定できないことから、回動位置の微妙な調整ができないといった問題があった。
【0011】
また、特許文献1に開示された構成においては、バネ及び複数の円板状部材を用いて、操作者によってハンドルの腕部に設けられた回動軸が押圧されて、係止孔から係止片が抜去されることによって、回動角度が固定されていたハンドルが回動自在となる構成、即ちハンドルの角度を可変できる構成を有しているが、このような構成においては、構成部品が多くなってしまい製造コストが増大するほか、ハンドルを回動させる構成が複雑になるばかりか、回動軸周りの構成が大型化してしまうといった問題があった。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、装置本体に対しハンドルを無段階に容易に回動させることができるとともに、所望の回動位置において、ハンドルの回動角度を容易に固定することのできる構成を、簡単かつ省スペースに実現できる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明による内視鏡装置は、内視鏡が接続される装置本体に対し、ハンドルが回動自在に取り付けられた内視鏡装置であって、前記ハンドルに設けられた回動軸と、前記回動軸の外周面に沿って周状に形成された断面V字状の溝部と、前記溝部に対し内周面に周状に形成された断面山型の凸部が緊密に嵌入することによって前記回動軸の前記外周面に対し嵌合された、前記回動軸を回動自在に保持する軸受け部材と、前記回動軸の前記外周面に前記軸受け部材が嵌合された状態において、前記回動軸が嵌入される回動軸嵌入溝を具備する、前記装置本体に固定された固定部材と、前記軸受け部材に設けられた、前記固定部材の前記回動軸嵌入溝に形成された穴に嵌入することにより前記回動軸の回動に伴う前記軸受け部材の回動を防止する回動防止部材と、前記回動軸に対し前記軸受け部材を、該軸受け部材を変形させながら押圧することによって、前記溝部の傾斜面と前記軸受け部材の前記凸部の傾斜面との接触に伴う摩擦力により、前記回動軸の回動に負荷を付与する押圧部材と、を具備すること特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置本体に対しハンドルを無段階に容易に回動させることができるとともに、所望の回動位置において、ハンドルの回動角度を容易に固定することのできる構成を、簡単かつ省スペースに実現できる内視鏡装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、以下、内視鏡装置は、携帯性に優れたショルダ式の工業用の内視鏡装置を例に挙げて説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態を示す内視鏡装置の斜視図、図2は、図1の内視鏡装置における装置本体を拡大して示す斜視図、図3は、図1中のハンドルが回動自在な状態を示す斜視図である。
【0017】
図1に示すように、内視鏡装置100は、内視鏡1と、該内視鏡1に接続された装置本体50と、内視鏡用アダプタ(以下、単にアダプタと称す)10とにより主要部が構成されている。
【0018】
内視鏡1は、細長で可撓性を有する挿入部2と、該挿入部2の挿入方向Sの後端側に接続された操作部3と、該操作部3から延出された可撓性を有するユニバーサルコード4とにより主要部が構成されている。
【0019】
挿入部2に、該挿入部2の挿入方向Sの先端側から順に、アダプタ10が着脱自在な先端部2sと、操作部3の湾曲操作レバー3wの湾曲操作により、例えば上下/左右方向に湾曲される湾曲部2wと、可撓性部材にて形成された長尺な可撓管部2kとが連設されており、可撓管部2kの後端部が操作部3に接続されている。
【0020】
また、先端部2sの内部には、被検部位を撮像する図示しないCCD等の撮像素子を具備する撮像ユニットが設けられており、挿入部2内、操作部3内及びユニバーサルコード4内には、撮像ユニットにおいて撮像された被検部位の像信号を、装置本体50へと伝送する図示しない撮像ラインが挿通されている。
【0021】
さらに、先端部2sの内部には、被検部位を照明するLEDが設けられており、挿入部2内、操作部3内及びユニバーサルコード4内には、LEDに電力を供給する電源ラインが挿通されている。
【0022】
尚、先端部2s内に、照明用レンズのみが設けられている場合には、挿入部2内、操作部3内及びユニバーサルコード4内には、照明用レンズに照明光を供給するライトガイドが挿通されている。
【0023】
操作部3に、湾曲部2wを湾曲動作させる湾曲操作レバー3wが少なくとも4方向に傾倒自在となるよう直立して配設されている。
【0024】
湾曲操作レバー3wは、操作者により傾倒方向が変化されることによって、湾曲部2wを上下/左右の4方向の内、いずれかの方向に、挿入部2内に挿通された図示しない湾曲操作ワイヤを介して湾曲動作させる。
【0025】
尚、操作部3には、湾曲操作レバー3wの他、例えば上述した撮像ユニットにおける各種撮像動作を指示する各種スイッチ(不図示)が配設されている。
【0026】
操作部3から延出したユニバーサルコード4の装置本体50側の端部側は、装置本体50における外装筐体51の側面51sにおいて、後述するモニタ52よりも高さ方向Hの下部の位置から外装筐体51の内部に進入して、該内部に固定されている。
【0027】
図1〜図3に示すように、装置本体50は、例えば箱状を有しており、例えばマグネシウムダイキャストや樹脂モールドにより構成された外装筐体51は、第1の部材51aと第2の部材51bとを、装置本体50の厚み方向Aに接合することにより構成されている。即ち、外装筐体51は、厚み方向Aにおいて2分割自在に構成されている。
【0028】
外装筐体51の第1の部材51a及び第2の部材51bにより覆われた内部に、画像処理用のCPU等の電気部品(図示されず)や、先端部2s内にLEDが設けられている場合、LEDに上述した電源ラインを介して電力を供給する図示しないバッテリユニット等が配設されている。
【0029】
また、外装筐体51の厚み方向Aの前面51fに、内視鏡1の撮像ユニットにより撮像された内視鏡画像を表示するモニタ52が設けられている。尚、モニタ52は、内視鏡1の操作部3に設けられていても構わない。
【0030】
また、外装筐体51の厚み方向A及び高さ方向Hに直交する幅方向Yにおける前面51fに隣接する両側面51sに、装置本体50の携帯性を向上させるとともに、装置本体50載置の際の脚部を兼ねるハンドル53の各腕部53aの一端53atが、図3に示すように、回動自在に接続されている。各腕部53aの他端は、ハンドル53の把持部53tによって連結されている。
【0031】
具体的には、ハンドル53は、図3の実線に示すように、把持部53tが、外装筐体51の前面51fと厚み方向Aにおいて反対側の背面51tに接触する位置と、図3の1点鎖線に示すように、把持部53tが背面51tから厚み方向Aにおいて最も離間する位置と、図3の2点鎖線に示すように、把持部53tが外装筐体51の上面51jに最も近接する位置との間において無段階に回動自在となるとともに、所望の回動位置において停止できるよう、各腕部53aの一端53atが、両側面51sに回動自在に接続されている。
【0032】
次に、装置本体50の外装筐体51の各側面51sに対するハンドル53の各腕部の一端53atの接続方法について、図4〜図14を用いて説明する。
【0033】
図4は、図2の装置本体の外装筐体から、第1の部材を取り除いた第2の部材をハンドルとともに示す斜視図、図5は、図4の第2の部材の内部において、ハンドルの回動軸を固定する部位を拡大して示す部分拡大斜視図、図6は、図5の固定部材、軸受け部材及び押圧部材を、図5中のVIの方向からみた平面図である。
【0034】
また、図7は、図5の回動軸のV溝に軸受け部材の山型の凸部が嵌入している状態を、図5から押圧部材を取り除いた状態で示す斜視図、図8は、図7の軸受け部材を拡大して示す斜視図、図9は、図7の回動軸及び軸受け部材の断面図である。
【0035】
さらに、図10は、押圧部材の軸受け部材に当接する部位を半円状に形成した変形例を示す図、図11は、折り曲げ前の平板状の図5の押圧部材を示す図、図12は、回動軸のV溝に軸受け部材の山型の凸部が嵌入している部位における回動軸及び軸受け部材の部分断面図、図13は、回動軸の矩形状の溝に軸受け部材の矩形状の凸部が嵌入する変形例の構成における嵌入部位の回動軸及び軸受け部材の部分断面図、図14は、図5の押圧部材が、軸受け部材を厚み方向に押圧している状態を概略的に示す断面図である。
【0036】
尚、図4においては、外装筐体51の内部に設けられる部品を、図面を簡略化するため、固定部材以外省略して示している。
【0037】
図4に示すように、ハンドル53の腕部53aの一端53atに、幅方向Yにおいて、装置本体50の内部に延出する、アルミ等の金属から構成された回動軸17が設けられている。
【0038】
また、回動軸17の装置本体50外に位置する端面には、例えばフランジ形状を有する操作部ハンガ受け部15が、ネジ16によってそれぞれ固定されている。操作部ハンガ受け部15は、内視鏡装置100を用いた作業の際、操作部3が係止されることによって、操作部3を保持する機能を有している。
【0039】
また、回動軸17の装置本体内に延出した部位の外周面17gには、図7、図9、図12に示すように、外周面17gに沿って周状に断面V字状の溝部17vが形成されており、該V字状の溝部17vには、図8に示すように、例えば樹脂から一部に切り欠き40cが形成されることによってC字状に形成された軸受け部材40における内周面40nに周状に形成された断面山型の凸部40vが回動自在かつ緊密に嵌入している。
【0040】
軸受け部材40は、図7に示すように、回動軸17の外周面17gに対して嵌合されることにより、回動軸17を回動自在に保持するものである。また、軸受け部材40の底面、即ち、切り欠き40cに対向する位置には、図8に示すように、回動防止部材である突起状のピン18が形成されている。
【0041】
尚、図12に示すように、回動軸17の外周面17gに形成される溝部17vが断面V字状に形成され、該溝部17vに回動自在かつ緊密に嵌合する凸部40vが断面山型に形成されているのは、後述する板バネ30の押圧によって、軸受け部材40を回動軸17に厚み方向Aの上方から回動軸17に押しつけて、該両部材間に発生する摩擦により、回動軸17の回動に負荷を付与する際、図12に示すように、溝部17vの傾斜面17vkと、凸部40vの傾斜面40vkとを接触させた際に発生する摩擦力F1の大きさが、図13に示すように、回動軸17’の外周面17g’に形成される溝部17v’が断面矩形状に形成され、該溝部17v’に回動自在かつ緊密に嵌合する軸受け部材40’の内周面40n’に形成された凸部40v’が断面矩形状に形成され、後述する板バネ30の押圧によって、軸受け部材40’を回動軸17’に厚み方向Aの上方から回動軸17’に押しつけた際に、溝部17v’の底面17vk’と凸部40v’の突出面40vk’との間に発生する摩擦力F2よりもベクトル分力によって面にかかる力が大きくなるためである。これは、溝と凸部の接触面積が、図12の構成の方が、図13の構成よりも大きくなることも影響しているためである。即ち、軸受け部材40と回動軸17との間に、小さなスペースで大きな摩擦力を得ることができるためである。
【0042】
また、図5〜図7に示すように、外周面17gに軸受け部材40が嵌合された回動軸17は、装置本体50の外装筐体51の側面51sにおける内部側に設けられた固定部材20の回動軸嵌入溝20mに対し嵌入している。
【0043】
回動軸嵌入溝20mは、外周面17gに軸受け部材40が嵌合された回動軸17を保持する。
【0044】
また、この際、図5、図6に示すように、軸受け部材40に形成された回動防止部材であるピン18は、固定部材20の回動軸嵌入溝20mに形成された穴20pに嵌入している。このことにより、回動軸17の回動に伴う軸受け部材40の回動を防止することにより常にV溝で摺動するとともに、穴20pは、回動軸17の回動に関わらず、切り欠き40cが、常時後述する板バネ30に対向する方向、即ち厚み方向Aの上方を指向するよう、回動軸嵌入溝20m内における軸受け部材40の姿勢を保持する。
【0045】
また、図7に示すように、固定部材20の厚み方向Aの上面において、高さ方向Hにおいて回動軸17を挟む位置に2本のネジ穴20hが形成されており、各ネジ穴20hに、一端30a及び他端30bを介してネジ31がそれぞれ螺合されることによって、固定部材20の上面に、図11に示すような板状部材が図5に示すように山型に折り曲げられることによって形成された押圧部材である板バネ30が、図6に示すように、頂部30tが切り欠き40cに対向するよう固定されている。
【0046】
板バネ30は、図14に示すように、傾斜面30kが軸受け部材40を変形させながら、軸受け部材40を回動軸17に対して押圧力Wを以て押圧することにより、回動軸17の溝部17vの傾斜面17vkと、軸受け部材40の凸部40vの傾斜面40vkとの間に、摩擦力F1を発生させ、回動軸17の回動に負荷を付与するものである。
【0047】
尚、傾斜面17vkと傾斜面40vkとの間に発生させる摩擦力F1の大きさは、回動軸17に固定されたハンドル53が、作業者の手によって回動できる大きさで、かつハンドル53を脚部として装置本体50を載置した際、装置本体50の自重によって、ハンドル53が回動しない大きさに設定されている。
【0048】
尚、板バネ30の傾斜面30kが、図10に示すように、回動軸17の外周面17gの形状に合わせて円弧状に形成されないのは、板バネ30を板金で形成した際、円弧形状にバラツキが発生してしまう場合があり、軸受け部材40を押圧する力にバラツキが発生してしまうためである。
【0049】
さらに、図5、図6に示すように、板バネ30を山型に形成すると、図11に示す板状部材を、頂部30tを折り曲げて山型に形成するのみで形成できることから製造しやすいといった利点の他、図11に示すように、板状部材の曲げ加工前の型抜きにより形成されたネジ31が貫通するネジ孔30h間の間隔Dの精度は出しやすいため、図14に示すように、板バネ30の一端30aの端部及び他端30bの端部から頂部30tの折り曲げ位置Pまでの距離が等しい場合であっても(L1=L2)、またはばらついた場合でも(L1≠L2)、一方側の傾斜面30kからの押圧力W1と、他方側の傾斜面30kからの押圧力W2との総和W(W1+W2=W)は、間隔Dが一定であれば一定値となることから、頂部30tの折り曲げ位置Pに関わらず、軸受け部材40に対する板バネ30から押圧力Wを一定にすることができる、言い換えれば押圧力Wを安定して確保することができるといった利点があるためである。即ち、押圧力Wを調整する必要がない。
【0050】
このように、本実施の形態においては、ハンドル53の腕部53aの各端部53atを、装置本体50の外装筐体51の側面51sに対し回動自在に固定するに際し、ハンドル53の回動軸17の外周面17gに断面V字状の溝部17vを設け、該溝部17vが、断面山型の凸部40vに緊密かつ回動自在に嵌入されていることによって、回動軸17の外周面17gに軸受け部材40が嵌合され、さらに、軸受け部材40が外周面17gに嵌合された回動軸17が固定部材20の回動軸嵌入溝20mに嵌入されているとともに軸受け部材40のピン18が固定部材の穴20pに嵌入され軸受け部材40の回動を規制した状態で、板バネ30によって軸受け部材40が回動軸17側に押圧されることによって、溝部17vの傾斜面17vkと凸部40vの傾斜面40vkとの間に発生する摩擦力F1により、軸受け部材40に回動自在に保持された回動軸17の回動に負荷を付与すると示した。
【0051】
このことによれば、回動軸17、固定部材20、軸受け部材40、板バネ30のみの簡単な構成により、回動軸17と軸受け部材40との間に安定して大きな摩擦力F1を発生させることができることから、作業者は、図3に示す回動範囲内において、ハンドル53を無段階に容易に回動させることができるとともに、ハンドル53を、所望の角度まで回動させ、ハンドル53の回動動作を停止するのみで、ハンドル53の回動角度を、摩擦力F1により容易に固定することができる。
【0052】
尚、このことは、装置本体50を載置する際、ハンドル53を脚部として利用する場合において、特に有効である。
【0053】
また、ハンドル53の回動機構を、回動軸17、固定部材20、軸受け部材40、板バネ30のみで構成することができることから、装置本体50内において、省スペースにて回動軸17と軸受け部材40との間に大きな摩擦力F1を発生させることができるハンドル53の回動機構を実現することができる。
【0054】
以上より、装置本体50に対しハンドル53を無段階に容易に回動させることができるとともに、所望の回動位置において、ハンドル53の回動角度を容易に固定することのできる構成を、簡単かつ省スペースに実現できる内視鏡装置100を提供することができる。
【0055】
尚、以下、変形例を示す。
本実施の形態においては、内視鏡装置には、携帯性に優れたショルダ式の工業用の内視鏡装置を例に挙げて説明したが、工業用の内視鏡装置に限定されず、医療用の内視鏡装置に適用しても本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施の形態を示す内視鏡装置の斜視図。
【図2】図1の内視鏡装置における装置本体を拡大して示す斜視図。
【図3】図1中のハンドルが回動自在な状態を示す斜視図。
【図4】図2の装置本体の外装筐体から、第1の部材を取り除いた第2の部材をハンドルとともに示す斜視図。
【図5】図4の第2の部材の内部において、ハンドルの回動軸を固定する部位を拡大して示す部分拡大斜視図。
【図6】図5の固定部材、軸受け部材及び押圧部材を、図5中のVIの方向からみた平面図。
【図7】図5の回動軸のV溝に軸受け部材の山型の凸部が嵌入している状態を、図5から押圧部材を取り除いた状態で示す斜視図。
【図8】図7の軸受け部材を拡大して示す斜視図。
【図9】図7の回動軸及び軸受け部材の断面図。
【図10】押圧部材の軸受け部材に当接する部位を半円状に形成した変形例を示す図。
【図11】折り曲げ前の平板状の図5の押圧部材を示す図。
【図12】回動軸のV溝に軸受け部材の山型の凸部が嵌入している部位における回動軸及び軸受け部材の部分断面図。
【図13】回動軸の矩形状の溝に軸受け部材の矩形状の凸部が嵌入する変形例の構成における嵌入部位の回動軸及び軸受け部材の部分断面図。
【図14】図5の押圧部材が、軸受け部材を厚み方向に押圧している状態を概略的に示す断面図。
【符号の説明】
【0057】
1…内視鏡
17…回動軸
17g…外周面
17v…溝部
17vk…傾斜面
18…ピン(回動防止部材)
20…固定部材
20m…回動軸嵌入溝
20p…穴
30…板バネ(押圧部材)
30a…一端
30b…他端
30k…傾斜面
30t…頂部
40…軸受け部材
40c…切り欠き
40n…内周面
40v…凸部
40vk…傾斜面
50…装置本体
53…ハンドル
100…内視鏡装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡が接続される装置本体に対し、ハンドルが回動自在に取り付けられた内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、内視鏡は、医療分野及び工業用分野において広く利用されている。医療分野において用いられる内視鏡は、細長い挿入部を被検部位である体腔内に挿入することによって、体腔内の臓器を観察したり、必要に応じて処置具の挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種処置をしたりすることができる。
【0003】
また、工業用分野において用いられる内視鏡は、細長い挿入部を被検部位であるジェットエンジン内や、工場の配管等に挿入することによって、被検部位の傷及び腐蝕等の観察や各種処置等を行うことができる。
【0004】
内視鏡の挿入部の挿入方向先端(以下、単に先端と称す)側の先端部内に、対物レンズユニットや、CCD等の撮像素子を具備する撮像ユニットや、被検部位を照明する発光体ユニット等が具備されている構成が周知である。
【0005】
また、内視鏡の挿入部の挿入方向後端(以下、単に後端と称す)は、操作部に接続されている。操作部には、撮像ユニットにおける各種撮像動作を指示する各種スイッチや、挿入部の先端側に設けられた湾曲部の湾曲操作を行う湾曲操作レバー等が設けられている。尚、操作部に、撮像ユニットによって撮像された被検部位の像を表示するモニタが設けられている構成も周知である。
【0006】
さらに、操作部からは、ユニバーサルケーブルが延出しており、該ユニバーサルケーブルの延出端は、装置本体に接続されている。装置本体には、撮像ユニットによって撮像された被検部位の像を表示するモニタや、各種制御基板、光源等が設けられている。尚、装置本体と内視鏡とにより、内視鏡装置は構成されている。
【0007】
また、装置本体には、該装置本体の運搬性を向上させるため、装置本体の両側面に腕部の端部がそれぞれ接続された下向きコの字状のハンドルが設けられた構成が周知である。また、このようなハンドルは、操作者の装置本体に対する操作に対し邪魔にならないよう、腕部の端部を装置本体の側面に固定する軸が回動軸として構成されることにより回動自在となっているのが一般的である。さらに、ハンドルを回動させることにより、装置本体を載置した際、ハンドルを脚部として用いる構成も周知である。
【0008】
このように、機器に対しハンドルの腕部の端部を回動自在に固定する構造は、例えば特許文献1に開示されている。
【0009】
特許文献1には、機器の側面にハンドルの腕部の端部に設けられた回動軸が嵌入する嵌入孔を設けるとともに、該孔の周囲に、複数の係止孔を周状に設け、嵌入孔にハンドルの回動軸が嵌入され、該回動軸の周囲に形成された係止片が複数の係止孔のいずれかの孔に嵌入することにより、係止片と複数の係止孔との係合を用いて、可変させたハンドルの回動角度を固定する構成が開示されている。
【特許文献1】実公昭63−13838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示された構成においては、ハンドルは、複数の係止孔が形成された位置でしかハンドルの回動角度を固定できないことから、回動位置の微妙な調整ができないといった問題があった。
【0011】
また、特許文献1に開示された構成においては、バネ及び複数の円板状部材を用いて、操作者によってハンドルの腕部に設けられた回動軸が押圧されて、係止孔から係止片が抜去されることによって、回動角度が固定されていたハンドルが回動自在となる構成、即ちハンドルの角度を可変できる構成を有しているが、このような構成においては、構成部品が多くなってしまい製造コストが増大するほか、ハンドルを回動させる構成が複雑になるばかりか、回動軸周りの構成が大型化してしまうといった問題があった。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、装置本体に対しハンドルを無段階に容易に回動させることができるとともに、所望の回動位置において、ハンドルの回動角度を容易に固定することのできる構成を、簡単かつ省スペースに実現できる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明による内視鏡装置は、内視鏡が接続される装置本体に対し、ハンドルが回動自在に取り付けられた内視鏡装置であって、前記ハンドルに設けられた回動軸と、前記回動軸の外周面に沿って周状に形成された断面V字状の溝部と、前記溝部に対し内周面に周状に形成された断面山型の凸部が緊密に嵌入することによって前記回動軸の前記外周面に対し嵌合された、前記回動軸を回動自在に保持する軸受け部材と、前記回動軸の前記外周面に前記軸受け部材が嵌合された状態において、前記回動軸が嵌入される回動軸嵌入溝を具備する、前記装置本体に固定された固定部材と、前記軸受け部材に設けられた、前記固定部材の前記回動軸嵌入溝に形成された穴に嵌入することにより前記回動軸の回動に伴う前記軸受け部材の回動を防止する回動防止部材と、前記回動軸に対し前記軸受け部材を、該軸受け部材を変形させながら押圧することによって、前記溝部の傾斜面と前記軸受け部材の前記凸部の傾斜面との接触に伴う摩擦力により、前記回動軸の回動に負荷を付与する押圧部材と、を具備すること特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置本体に対しハンドルを無段階に容易に回動させることができるとともに、所望の回動位置において、ハンドルの回動角度を容易に固定することのできる構成を、簡単かつ省スペースに実現できる内視鏡装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、以下、内視鏡装置は、携帯性に優れたショルダ式の工業用の内視鏡装置を例に挙げて説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態を示す内視鏡装置の斜視図、図2は、図1の内視鏡装置における装置本体を拡大して示す斜視図、図3は、図1中のハンドルが回動自在な状態を示す斜視図である。
【0017】
図1に示すように、内視鏡装置100は、内視鏡1と、該内視鏡1に接続された装置本体50と、内視鏡用アダプタ(以下、単にアダプタと称す)10とにより主要部が構成されている。
【0018】
内視鏡1は、細長で可撓性を有する挿入部2と、該挿入部2の挿入方向Sの後端側に接続された操作部3と、該操作部3から延出された可撓性を有するユニバーサルコード4とにより主要部が構成されている。
【0019】
挿入部2に、該挿入部2の挿入方向Sの先端側から順に、アダプタ10が着脱自在な先端部2sと、操作部3の湾曲操作レバー3wの湾曲操作により、例えば上下/左右方向に湾曲される湾曲部2wと、可撓性部材にて形成された長尺な可撓管部2kとが連設されており、可撓管部2kの後端部が操作部3に接続されている。
【0020】
また、先端部2sの内部には、被検部位を撮像する図示しないCCD等の撮像素子を具備する撮像ユニットが設けられており、挿入部2内、操作部3内及びユニバーサルコード4内には、撮像ユニットにおいて撮像された被検部位の像信号を、装置本体50へと伝送する図示しない撮像ラインが挿通されている。
【0021】
さらに、先端部2sの内部には、被検部位を照明するLEDが設けられており、挿入部2内、操作部3内及びユニバーサルコード4内には、LEDに電力を供給する電源ラインが挿通されている。
【0022】
尚、先端部2s内に、照明用レンズのみが設けられている場合には、挿入部2内、操作部3内及びユニバーサルコード4内には、照明用レンズに照明光を供給するライトガイドが挿通されている。
【0023】
操作部3に、湾曲部2wを湾曲動作させる湾曲操作レバー3wが少なくとも4方向に傾倒自在となるよう直立して配設されている。
【0024】
湾曲操作レバー3wは、操作者により傾倒方向が変化されることによって、湾曲部2wを上下/左右の4方向の内、いずれかの方向に、挿入部2内に挿通された図示しない湾曲操作ワイヤを介して湾曲動作させる。
【0025】
尚、操作部3には、湾曲操作レバー3wの他、例えば上述した撮像ユニットにおける各種撮像動作を指示する各種スイッチ(不図示)が配設されている。
【0026】
操作部3から延出したユニバーサルコード4の装置本体50側の端部側は、装置本体50における外装筐体51の側面51sにおいて、後述するモニタ52よりも高さ方向Hの下部の位置から外装筐体51の内部に進入して、該内部に固定されている。
【0027】
図1〜図3に示すように、装置本体50は、例えば箱状を有しており、例えばマグネシウムダイキャストや樹脂モールドにより構成された外装筐体51は、第1の部材51aと第2の部材51bとを、装置本体50の厚み方向Aに接合することにより構成されている。即ち、外装筐体51は、厚み方向Aにおいて2分割自在に構成されている。
【0028】
外装筐体51の第1の部材51a及び第2の部材51bにより覆われた内部に、画像処理用のCPU等の電気部品(図示されず)や、先端部2s内にLEDが設けられている場合、LEDに上述した電源ラインを介して電力を供給する図示しないバッテリユニット等が配設されている。
【0029】
また、外装筐体51の厚み方向Aの前面51fに、内視鏡1の撮像ユニットにより撮像された内視鏡画像を表示するモニタ52が設けられている。尚、モニタ52は、内視鏡1の操作部3に設けられていても構わない。
【0030】
また、外装筐体51の厚み方向A及び高さ方向Hに直交する幅方向Yにおける前面51fに隣接する両側面51sに、装置本体50の携帯性を向上させるとともに、装置本体50載置の際の脚部を兼ねるハンドル53の各腕部53aの一端53atが、図3に示すように、回動自在に接続されている。各腕部53aの他端は、ハンドル53の把持部53tによって連結されている。
【0031】
具体的には、ハンドル53は、図3の実線に示すように、把持部53tが、外装筐体51の前面51fと厚み方向Aにおいて反対側の背面51tに接触する位置と、図3の1点鎖線に示すように、把持部53tが背面51tから厚み方向Aにおいて最も離間する位置と、図3の2点鎖線に示すように、把持部53tが外装筐体51の上面51jに最も近接する位置との間において無段階に回動自在となるとともに、所望の回動位置において停止できるよう、各腕部53aの一端53atが、両側面51sに回動自在に接続されている。
【0032】
次に、装置本体50の外装筐体51の各側面51sに対するハンドル53の各腕部の一端53atの接続方法について、図4〜図14を用いて説明する。
【0033】
図4は、図2の装置本体の外装筐体から、第1の部材を取り除いた第2の部材をハンドルとともに示す斜視図、図5は、図4の第2の部材の内部において、ハンドルの回動軸を固定する部位を拡大して示す部分拡大斜視図、図6は、図5の固定部材、軸受け部材及び押圧部材を、図5中のVIの方向からみた平面図である。
【0034】
また、図7は、図5の回動軸のV溝に軸受け部材の山型の凸部が嵌入している状態を、図5から押圧部材を取り除いた状態で示す斜視図、図8は、図7の軸受け部材を拡大して示す斜視図、図9は、図7の回動軸及び軸受け部材の断面図である。
【0035】
さらに、図10は、押圧部材の軸受け部材に当接する部位を半円状に形成した変形例を示す図、図11は、折り曲げ前の平板状の図5の押圧部材を示す図、図12は、回動軸のV溝に軸受け部材の山型の凸部が嵌入している部位における回動軸及び軸受け部材の部分断面図、図13は、回動軸の矩形状の溝に軸受け部材の矩形状の凸部が嵌入する変形例の構成における嵌入部位の回動軸及び軸受け部材の部分断面図、図14は、図5の押圧部材が、軸受け部材を厚み方向に押圧している状態を概略的に示す断面図である。
【0036】
尚、図4においては、外装筐体51の内部に設けられる部品を、図面を簡略化するため、固定部材以外省略して示している。
【0037】
図4に示すように、ハンドル53の腕部53aの一端53atに、幅方向Yにおいて、装置本体50の内部に延出する、アルミ等の金属から構成された回動軸17が設けられている。
【0038】
また、回動軸17の装置本体50外に位置する端面には、例えばフランジ形状を有する操作部ハンガ受け部15が、ネジ16によってそれぞれ固定されている。操作部ハンガ受け部15は、内視鏡装置100を用いた作業の際、操作部3が係止されることによって、操作部3を保持する機能を有している。
【0039】
また、回動軸17の装置本体内に延出した部位の外周面17gには、図7、図9、図12に示すように、外周面17gに沿って周状に断面V字状の溝部17vが形成されており、該V字状の溝部17vには、図8に示すように、例えば樹脂から一部に切り欠き40cが形成されることによってC字状に形成された軸受け部材40における内周面40nに周状に形成された断面山型の凸部40vが回動自在かつ緊密に嵌入している。
【0040】
軸受け部材40は、図7に示すように、回動軸17の外周面17gに対して嵌合されることにより、回動軸17を回動自在に保持するものである。また、軸受け部材40の底面、即ち、切り欠き40cに対向する位置には、図8に示すように、回動防止部材である突起状のピン18が形成されている。
【0041】
尚、図12に示すように、回動軸17の外周面17gに形成される溝部17vが断面V字状に形成され、該溝部17vに回動自在かつ緊密に嵌合する凸部40vが断面山型に形成されているのは、後述する板バネ30の押圧によって、軸受け部材40を回動軸17に厚み方向Aの上方から回動軸17に押しつけて、該両部材間に発生する摩擦により、回動軸17の回動に負荷を付与する際、図12に示すように、溝部17vの傾斜面17vkと、凸部40vの傾斜面40vkとを接触させた際に発生する摩擦力F1の大きさが、図13に示すように、回動軸17’の外周面17g’に形成される溝部17v’が断面矩形状に形成され、該溝部17v’に回動自在かつ緊密に嵌合する軸受け部材40’の内周面40n’に形成された凸部40v’が断面矩形状に形成され、後述する板バネ30の押圧によって、軸受け部材40’を回動軸17’に厚み方向Aの上方から回動軸17’に押しつけた際に、溝部17v’の底面17vk’と凸部40v’の突出面40vk’との間に発生する摩擦力F2よりもベクトル分力によって面にかかる力が大きくなるためである。これは、溝と凸部の接触面積が、図12の構成の方が、図13の構成よりも大きくなることも影響しているためである。即ち、軸受け部材40と回動軸17との間に、小さなスペースで大きな摩擦力を得ることができるためである。
【0042】
また、図5〜図7に示すように、外周面17gに軸受け部材40が嵌合された回動軸17は、装置本体50の外装筐体51の側面51sにおける内部側に設けられた固定部材20の回動軸嵌入溝20mに対し嵌入している。
【0043】
回動軸嵌入溝20mは、外周面17gに軸受け部材40が嵌合された回動軸17を保持する。
【0044】
また、この際、図5、図6に示すように、軸受け部材40に形成された回動防止部材であるピン18は、固定部材20の回動軸嵌入溝20mに形成された穴20pに嵌入している。このことにより、回動軸17の回動に伴う軸受け部材40の回動を防止することにより常にV溝で摺動するとともに、穴20pは、回動軸17の回動に関わらず、切り欠き40cが、常時後述する板バネ30に対向する方向、即ち厚み方向Aの上方を指向するよう、回動軸嵌入溝20m内における軸受け部材40の姿勢を保持する。
【0045】
また、図7に示すように、固定部材20の厚み方向Aの上面において、高さ方向Hにおいて回動軸17を挟む位置に2本のネジ穴20hが形成されており、各ネジ穴20hに、一端30a及び他端30bを介してネジ31がそれぞれ螺合されることによって、固定部材20の上面に、図11に示すような板状部材が図5に示すように山型に折り曲げられることによって形成された押圧部材である板バネ30が、図6に示すように、頂部30tが切り欠き40cに対向するよう固定されている。
【0046】
板バネ30は、図14に示すように、傾斜面30kが軸受け部材40を変形させながら、軸受け部材40を回動軸17に対して押圧力Wを以て押圧することにより、回動軸17の溝部17vの傾斜面17vkと、軸受け部材40の凸部40vの傾斜面40vkとの間に、摩擦力F1を発生させ、回動軸17の回動に負荷を付与するものである。
【0047】
尚、傾斜面17vkと傾斜面40vkとの間に発生させる摩擦力F1の大きさは、回動軸17に固定されたハンドル53が、作業者の手によって回動できる大きさで、かつハンドル53を脚部として装置本体50を載置した際、装置本体50の自重によって、ハンドル53が回動しない大きさに設定されている。
【0048】
尚、板バネ30の傾斜面30kが、図10に示すように、回動軸17の外周面17gの形状に合わせて円弧状に形成されないのは、板バネ30を板金で形成した際、円弧形状にバラツキが発生してしまう場合があり、軸受け部材40を押圧する力にバラツキが発生してしまうためである。
【0049】
さらに、図5、図6に示すように、板バネ30を山型に形成すると、図11に示す板状部材を、頂部30tを折り曲げて山型に形成するのみで形成できることから製造しやすいといった利点の他、図11に示すように、板状部材の曲げ加工前の型抜きにより形成されたネジ31が貫通するネジ孔30h間の間隔Dの精度は出しやすいため、図14に示すように、板バネ30の一端30aの端部及び他端30bの端部から頂部30tの折り曲げ位置Pまでの距離が等しい場合であっても(L1=L2)、またはばらついた場合でも(L1≠L2)、一方側の傾斜面30kからの押圧力W1と、他方側の傾斜面30kからの押圧力W2との総和W(W1+W2=W)は、間隔Dが一定であれば一定値となることから、頂部30tの折り曲げ位置Pに関わらず、軸受け部材40に対する板バネ30から押圧力Wを一定にすることができる、言い換えれば押圧力Wを安定して確保することができるといった利点があるためである。即ち、押圧力Wを調整する必要がない。
【0050】
このように、本実施の形態においては、ハンドル53の腕部53aの各端部53atを、装置本体50の外装筐体51の側面51sに対し回動自在に固定するに際し、ハンドル53の回動軸17の外周面17gに断面V字状の溝部17vを設け、該溝部17vが、断面山型の凸部40vに緊密かつ回動自在に嵌入されていることによって、回動軸17の外周面17gに軸受け部材40が嵌合され、さらに、軸受け部材40が外周面17gに嵌合された回動軸17が固定部材20の回動軸嵌入溝20mに嵌入されているとともに軸受け部材40のピン18が固定部材の穴20pに嵌入され軸受け部材40の回動を規制した状態で、板バネ30によって軸受け部材40が回動軸17側に押圧されることによって、溝部17vの傾斜面17vkと凸部40vの傾斜面40vkとの間に発生する摩擦力F1により、軸受け部材40に回動自在に保持された回動軸17の回動に負荷を付与すると示した。
【0051】
このことによれば、回動軸17、固定部材20、軸受け部材40、板バネ30のみの簡単な構成により、回動軸17と軸受け部材40との間に安定して大きな摩擦力F1を発生させることができることから、作業者は、図3に示す回動範囲内において、ハンドル53を無段階に容易に回動させることができるとともに、ハンドル53を、所望の角度まで回動させ、ハンドル53の回動動作を停止するのみで、ハンドル53の回動角度を、摩擦力F1により容易に固定することができる。
【0052】
尚、このことは、装置本体50を載置する際、ハンドル53を脚部として利用する場合において、特に有効である。
【0053】
また、ハンドル53の回動機構を、回動軸17、固定部材20、軸受け部材40、板バネ30のみで構成することができることから、装置本体50内において、省スペースにて回動軸17と軸受け部材40との間に大きな摩擦力F1を発生させることができるハンドル53の回動機構を実現することができる。
【0054】
以上より、装置本体50に対しハンドル53を無段階に容易に回動させることができるとともに、所望の回動位置において、ハンドル53の回動角度を容易に固定することのできる構成を、簡単かつ省スペースに実現できる内視鏡装置100を提供することができる。
【0055】
尚、以下、変形例を示す。
本実施の形態においては、内視鏡装置には、携帯性に優れたショルダ式の工業用の内視鏡装置を例に挙げて説明したが、工業用の内視鏡装置に限定されず、医療用の内視鏡装置に適用しても本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施の形態を示す内視鏡装置の斜視図。
【図2】図1の内視鏡装置における装置本体を拡大して示す斜視図。
【図3】図1中のハンドルが回動自在な状態を示す斜視図。
【図4】図2の装置本体の外装筐体から、第1の部材を取り除いた第2の部材をハンドルとともに示す斜視図。
【図5】図4の第2の部材の内部において、ハンドルの回動軸を固定する部位を拡大して示す部分拡大斜視図。
【図6】図5の固定部材、軸受け部材及び押圧部材を、図5中のVIの方向からみた平面図。
【図7】図5の回動軸のV溝に軸受け部材の山型の凸部が嵌入している状態を、図5から押圧部材を取り除いた状態で示す斜視図。
【図8】図7の軸受け部材を拡大して示す斜視図。
【図9】図7の回動軸及び軸受け部材の断面図。
【図10】押圧部材の軸受け部材に当接する部位を半円状に形成した変形例を示す図。
【図11】折り曲げ前の平板状の図5の押圧部材を示す図。
【図12】回動軸のV溝に軸受け部材の山型の凸部が嵌入している部位における回動軸及び軸受け部材の部分断面図。
【図13】回動軸の矩形状の溝に軸受け部材の矩形状の凸部が嵌入する変形例の構成における嵌入部位の回動軸及び軸受け部材の部分断面図。
【図14】図5の押圧部材が、軸受け部材を厚み方向に押圧している状態を概略的に示す断面図。
【符号の説明】
【0057】
1…内視鏡
17…回動軸
17g…外周面
17v…溝部
17vk…傾斜面
18…ピン(回動防止部材)
20…固定部材
20m…回動軸嵌入溝
20p…穴
30…板バネ(押圧部材)
30a…一端
30b…他端
30k…傾斜面
30t…頂部
40…軸受け部材
40c…切り欠き
40n…内周面
40v…凸部
40vk…傾斜面
50…装置本体
53…ハンドル
100…内視鏡装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡が接続される装置本体に対し、ハンドルが回動自在に取り付けられた内視鏡装置であって、
前記ハンドルに設けられた回動軸と、
前記回動軸の外周面に沿って周状に形成された断面V字状の溝部と、
前記溝部に対し内周面に周状に形成された断面山型の凸部が緊密に嵌入することによって前記回動軸の前記外周面に対し嵌合された、前記回動軸を回動自在に保持する軸受け部材と、
前記回動軸の前記外周面に前記軸受け部材が嵌合された状態において、前記回動軸が嵌入される回動軸嵌入溝を具備する、前記装置本体に固定された固定部材と、
前記軸受け部材に設けられた、前記固定部材の前記回動軸嵌入溝に形成された穴に嵌入することにより前記回動軸の回動に伴う前記軸受け部材の回動を防止する回動防止部材と、
前記回動軸に対し前記軸受け部材を、該軸受け部材を変形させながら押圧することによって、前記溝部の傾斜面と前記軸受け部材の前記凸部の傾斜面との接触に伴う摩擦力により、前記回動軸の回動に負荷を付与する押圧部材と、
を具備すること特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記軸受け部材は、一部に切り欠きが形成されることによりC字状に形成されており、
前記回動防止部材は、前記回動軸の前記外周面に前記軸受け部材が嵌合され、前記回動軸嵌入溝に前記回動軸が嵌入された状態において、前記切り欠きが前記押圧部材に対向する方向に指向するよう、前記軸受け部材の姿勢を保持することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、一端及び他端が前記固定部材に固定され、頂部が前記切り欠きに対向するよう山型に折り曲げられた板状部材から構成されており、該板状部材の傾斜面が、前記軸受け部材を前記回動軸に対し押圧することを特徴とする請求項1または2に記載の内視鏡装置。
【請求項1】
内視鏡が接続される装置本体に対し、ハンドルが回動自在に取り付けられた内視鏡装置であって、
前記ハンドルに設けられた回動軸と、
前記回動軸の外周面に沿って周状に形成された断面V字状の溝部と、
前記溝部に対し内周面に周状に形成された断面山型の凸部が緊密に嵌入することによって前記回動軸の前記外周面に対し嵌合された、前記回動軸を回動自在に保持する軸受け部材と、
前記回動軸の前記外周面に前記軸受け部材が嵌合された状態において、前記回動軸が嵌入される回動軸嵌入溝を具備する、前記装置本体に固定された固定部材と、
前記軸受け部材に設けられた、前記固定部材の前記回動軸嵌入溝に形成された穴に嵌入することにより前記回動軸の回動に伴う前記軸受け部材の回動を防止する回動防止部材と、
前記回動軸に対し前記軸受け部材を、該軸受け部材を変形させながら押圧することによって、前記溝部の傾斜面と前記軸受け部材の前記凸部の傾斜面との接触に伴う摩擦力により、前記回動軸の回動に負荷を付与する押圧部材と、
を具備すること特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記軸受け部材は、一部に切り欠きが形成されることによりC字状に形成されており、
前記回動防止部材は、前記回動軸の前記外周面に前記軸受け部材が嵌合され、前記回動軸嵌入溝に前記回動軸が嵌入された状態において、前記切り欠きが前記押圧部材に対向する方向に指向するよう、前記軸受け部材の姿勢を保持することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、一端及び他端が前記固定部材に固定され、頂部が前記切り欠きに対向するよう山型に折り曲げられた板状部材から構成されており、該板状部材の傾斜面が、前記軸受け部材を前記回動軸に対し押圧することを特徴とする請求項1または2に記載の内視鏡装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−145742(P2010−145742A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322757(P2008−322757)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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