内視鏡装置
【課題】可燃性のガス又は粉塵に囲まれた環境下でも使用可能な内視鏡装置を提供すること。
【解決手段】メインユニット1に、スコープユニット2を構成するコントロールユニット3、挿入部4をスコープコネクタ5により取り付ける。挿入部4に先端に光学アダプタ8を取り付ける。挿入部4の先端には、CCD撮像素子31や、HIC32及び33、サーミスタ34が取り付けられる。光学アダプタ8には、液晶モジュール36が取り付けられる。バリア回路64は、これらスコープユニット2を構成する部分に配設される回路に対するエネルギーを制限する。バリア回路64をスコープコネクタ5内に設けると、バリア回路64の位置より先端に延出している部分、すなわち、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となり、爆発の危険性のある部分で使用可能となる。
【解決手段】メインユニット1に、スコープユニット2を構成するコントロールユニット3、挿入部4をスコープコネクタ5により取り付ける。挿入部4に先端に光学アダプタ8を取り付ける。挿入部4の先端には、CCD撮像素子31や、HIC32及び33、サーミスタ34が取り付けられる。光学アダプタ8には、液晶モジュール36が取り付けられる。バリア回路64は、これらスコープユニット2を構成する部分に配設される回路に対するエネルギーを制限する。バリア回路64をスコープコネクタ5内に設けると、バリア回路64の位置より先端に延出している部分、すなわち、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となり、爆発の危険性のある部分で使用可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントやビルのパイプのメンテナンス、ジェットエンジンの内部の検査、ボイラの内部の検査等を行うための内視鏡に関するもので、特に、爆発の可能性の高い場所での使用が可能な内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用の内視鏡装置は、メインユニットとこのメインユニットに装着されるスコープユニットとからなり、スコープユニットには可撓性の挿入チューブからなる挿入部が設けられ、この挿入部の先端にはCCD(Charge Coupled Device)撮像素子が取り付けられる。このような工業用の内視鏡を使って被検体の状態をモニタする場合には、挿入部を先端から被検体内に挿入し、被検体の状態を挿入部の先端のCCD撮像素子で撮影する。CCD撮像素子からの画像信号は、メインユニットに送られ、メインユニットのモニタ用のLCD(Liquid Crystal Display)モニタに、撮影された被検体の撮影画面が表示される。このような工業用の内視鏡装置は、プラントの各種の検査や調査、パイプのメンテナンス等に広く使われている。
【0003】
ところで、このような工業用の内視鏡装置を、可燃性の気体又は粉塵がある雰囲気中で使用する場合には、装置の構造を防爆構造とすることが好ましい。このような工業用の内視鏡装置の防爆構造としては、例えば特許文献1に示されるように、ケース内に連通する送気管を通じてケース内に導入する不燃性の気体の一部を、電気プラグの接点部分に導くようにして、コンセントに電気プラグを差し込むとき接点間にショートアークが生じて爆発することがないようにしたものが提案されている。
【特許文献1】特開昭57−211111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の防爆構造では、アークが生じる部分に不燃性の気体を導入する必要があり、装置が大型化するという問題がある。
ところで、特許文献1中にも記載されているように、爆発は、コンセントに電気プラグを差し込むときに接点間に生じるショートアークが可燃性の気体又は粉塵に引火することによって生じる。したがって、防爆のためには、可燃性の気体又は粉塵のある環境下で、アークを生じさせないようにすることが最も重要なことである。すなわち、発火源となるアークが生じないようにすれば、不燃性の気体を導入する等の複雑な防爆機構を用いなくても、爆発の危険性は殆どないということになる。
【0005】
特許文献1に示されるような光学的な内視鏡の場合には、コンセントに電気プラグを差し込むときのように、光源ランプを点灯させるための電源のオン/オフを行うときにアークが生じる。したがって、電源のオン/オフを行わないように注意を払えば、可燃性の気体又は粉塵のある環境下でも、爆発の危険性は殆どない。
【0006】
これに対して、近年の工業用内視鏡には、CCD撮像素子を駆動するための回路、CCD撮像素子からの映像信号を処理するための回路、映像信号を処理する回路等、多数の電子回路が配置されており、アークの生じるメカニズムはより複雑になってきている。したがって、電源のオン/オフ時だけ注意を払っていても、アークの発生による爆発を防ぐことはできない。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、可燃性の気体又は粉塵に囲まれた環境でも充分かつ確実に使用可能な内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、請求項1の発明は、被検体に挿入される挿入部を有するスコープユニットと、このスコープユニットが接続されるメインユニットとを備える内視鏡装置であって、前記スコープユニットに配設される回路に対するエネルギーを制限するバリア回路を備え、前記バリア回路が設けられた部分より先に延出する部分を本質安全防爆とするようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明では、前記バリア回路は、直流エネルギーの制限に対しては、少なくとも3個のツェナーダイオードと、少なくとも1個の抵抗とを用い、交流エネルギーの制限に対しては、少なくとも3個のカップリングコンデンサを用い、直流エネルギー及び交流エネルギーの制限に対しては、少なくとも3個のツェナーダイオードと、少なくとも1個の抵抗と、少なくとも3個のカップリングコンデンサと、を組み合わせたものを用いるようにし、前記本質安全防爆の部分を、防爆規定に基づくia機器としたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明では、前記バリア回路は、直流エネルギーの制限に対しては、少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、少なくとも2個のツェナーダイオードと、を用い、交流エネルギーの制限に対しては、少なくとも2個のカップリングコンデンサを用い、直流エネルギー及び交流エネルギーの制限に対しては、少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、少なくとも2個のツェナーダイオードと、少なくとも2個のカップリングコンデンサと、を組み合わせたものを用いるようにし、前記本質安全防爆の部分を、防爆規定に基づくib機器としたことを特徴とする。
なお、「少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路」とは、電流制限回路として、少なくとも1個の抵抗、又は、少なくとも2組の半導体が用いられることをいう。すなわち、「少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路」とは、少なくとも1個の抵抗を用いた電流制限回路、又は、少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路のいずれか一方の電流制限回路をいうものである。
【0011】
請求項4の発明では、直流エネルギーの制限に対しては、更に、ヒューズを挿入するようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明では、前記スコープユニットは、メインユニットに着脱可能に取り付けられるスコープコネクタを備え、前記バリア回路は、前記スコープコネクタに設けられ、前記スコープコネクタから先に延出する部分を本質安全防爆とすることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明では、前記スコープユニットは、前記挿入部の基端部に設けられたコントロールユニットを備え、前記バリア回路は、前記コントロールユニットに設けられ、前記コントロールユニットから先に延出する部分を本質安全防爆とすることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明では、前記バリア回路は、前記メインユニットに設けられ、前記メインユニットから先に延出する部分を本質安全防爆とすることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明では、スコープユニットの先端まで延びる信号線と、他の信号線とを絶縁するようにしたことを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明では、バリア回路の回路素子に、コート材を塗布するようにしたことを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明では、本質安全防爆となっている部分を識別するための識別手段を設けるようにしたことを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明では、識別手段として、色別のマーカーを設けるようにしたことを特徴とする。
【0019】
請求項12の発明では、スコープユニットの先端に撮像素子が配設され、バリア回路により、撮像素子をドライブするためのエネルギーを制限するようにしたことを特徴とする。
【0020】
請求項13の発明では、撮像素子をドライブするためのエネルギーを制限するバリア回路は、撮像素子への転送パルスのエネルギーの制限を行うと共に、波形整形のための微分回路として動作するようにしたことを特徴とする。
【0021】
請求項14の発明では、撮像素子からの撮像出力のエネルギーを制限するバリア回路は、プリアンプの前段に設けられ、マッチング抵抗として動作するようにしたことを特徴とする。
【0022】
請求項15の発明では、スコープユニットの先端に照明素子が配設され、バリア回路により、照明素子をドライブするためのエネルギーを制限するようにしたことを特徴とする。
【0023】
請求項16の発明では、照明素子をドライブするためのエネルギーを制限するバリア回路は、少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、複数個のツェナーダイオードと、から構成されるようにしたことを特徴とする。
なお、「少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路」とは、少なくとも1個の抵抗を用いた電流制限回路、又は、少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路のいずれか一方の電流制限回路をいうものである。
【0024】
請求項17の発明では、照明素子を、接地レベルに対して正側の電位と、接地レベルに対して負側の電位とで駆動するようにしたことを特徴とする。
【0025】
請求項18の発明では、スコープユニットの先端には、被検体の周辺温度を検知する温度センサが配設され、バリア回路により、温度センサの検出出力のエネルギーを制限するようにしたことを特徴とする。
【0026】
請求項19の発明では、前記温度センサの検出出力のエネルギーを制限するバリア回路は、抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、複数個のツェナーダイオードと、から構成されることを特徴とする。
なお、「抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路」とは、抵抗を用いた電流制限回路、又は、少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路のいずれか一方の電流制限回路をいうものである。
【0027】
請求項20の発明では、スコープユニットの挿入部を湾曲させるためのモータが設けられ、バリア回路により、モータをドライブするためのエネルギーを制限するようにしたことを特徴とする。
【0028】
請求項21の発明では、前記モータをドライブするためのエネルギーを制限するバリア回路は、前記モータに対する論理信号のエネルギーを制限する、抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、複数個のツェナーダイオードと、から構成されることを特徴とする。
なお、「抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路」とは、抵抗を用いた電流制限回路、又は、少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路のいずれか一方の電流制限回路をいうものである。
【0029】
請求項22の発明では、各部の操作を行うための操作スイッチが配設され、バリア回路により、スイッチからの論理信号のエネルギーを制限するようにしたことを特徴とする。
【0030】
請求項23の発明では、前記スイッチからの論理信号のエネルギーを制限するバリア回路は、抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、複数個のツェナーダイオードと、から構成されることを特徴とする。
なお、「抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路」とは、抵抗を用いた電流制限回路、又は、少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路のいずれか一方の電流制限回路をいうものである。
【0031】
請求項24の発明では、前記スコープユニットの先端に撮像素子が配設されると共に、前記メインユニットに照明手段が配設され、前記照明手段からの光が光学ガイドにより導かれて前記スコープユニットの先端から照射され、前記バリア回路により、前記撮像素子をドライブするためのエネルギーを制限するようにしたことを特徴とする。
【0032】
請求項25の発明では、スコープユニットの先端からの光学像をファイバスコープ又はボアスコープによりメインユニットに導くと共に、スコープユニットの先端に照明素子が配設され、バリア回路により、照明素子をドライブするためのエネルギーを制限するようにしたことを特徴とする。
【0033】
請求項26の発明では、前記照明素子は、LED照明手段であることを特徴とする。
【0034】
請求項27の発明では、前記メインユニットは、電源を備えており、前記電源は、二次バッテリーを用いることを特徴とする。
【0035】
請求項28の発明では、前記本質安全防爆の部分は、防爆規定に基づくZone0又はZone1の防爆仕様を満たすことを特徴とする。
【0036】
請求項29の発明では、前記本質安全防爆の部分よりも、前記メインユニット側に設けられた部分は、防爆規定に基づくZone2の防爆仕様を満たすことを特徴とする。
【0037】
請求項30の発明では、警告を発する警告手段を備え、前記温度センサの検出温度があらかじめ設定された所定の閾値に達したときに、前記警告手段により警告を発するように制御することを特徴とする。
【0038】
請求項31の発明では、前記被検体の観察画像を表示する表示手段を備え、前記表示手段は、防爆規定に基づくZone0、Zone1又はZone2の防爆仕様を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
請求項1の発明によれば、被検体に挿入される挿入部を有するスコープユニットと、このスコープユニットが接続されるメインユニットとを備える内視鏡装置であって、前記スコープユニットに配設される回路に対するエネルギーを制限するバリア回路を備え、前記バリア回路が設けられた部分より先に延出する部分を本質安全防爆とするようにしているので、可燃性ガス又は粉塵の存在する機器の内部(例えば、ガソリンタンク、プラント、エンジンの内部等)、爆発の危険性のある場所での観察が可能になる。
【0040】
ここで、防爆について説明する。防爆については、IEC、ATEX(ヨーロッパ)、FM(アメリカ)、CSA(カナダ)、TIIS(日本)等で規格化され、検定機関によって防爆機器として検定される。本明細書においては、IECの規格(IEC60079)に基づいて説明する。ただし、他の各国の規格と実質的に対応する部分については、他の各国の規格にも適用可能であり、他の規格を排除するものではないことは言うまでもない。
【0041】
爆発のメカニズムについて考察すると、爆発は、可燃性ガス又は粉塵と、酸素とがあるような環境下で、着火源による温度上昇に誘発されて生じる。例えば、ガソリンタンク、プラント、エンジンの内部では、燃料が可燃性ガス又は粉塵となっており、周囲には空気がある。このような環境下では、着火源があると、爆発を引き起こす。逆に言うと、爆発の要素は、1.可燃性ガス又は粉塵と、2.酸素と、3.着火源とであり、これらの3要素のうち、1でも欠ければ、爆発は起こらない。したがって、本願では、着火源によるエネルギー引火要素を絶つことで、防爆内視鏡システムを実現する。
【0042】
IEC60079では、防爆製品についての使用場所として、Zone0、Zone1、Zone2として定義されている。Zone0が最も危険性が高く、Zone1が次に危険性が高く、Zone2がその次に危険性が高い。危険区域は、Hazardous Areaとされ、非危険区域はNon−Hazardous Areaとされる。
機器構造については、ia機器、ib機器、Type−nとして定義されている。ia機器が最も爆発に対して信頼性が高く、ib機器がその次である。ia機器は、Zone0、Zone1で使用可能であり、ib機器は、Zone1エリアでのみ使用可能である。Zone0又はZone1エリアで使用可能な機器は、本質安全防爆と呼ばれている。Type−n機器は、Zone2で使用可能である。
【0043】
請求項2の発明によれば、前記バリア回路は、直流エネルギーの制限に対しては、少なくとも3個のツェナーダイオードと、少なくとも1個の抵抗とを用い、交流エネルギーの制限に対しては、少なくとも3個のカップリングコンデンサを用い、直流エネルギー及び交流エネルギーの制限に対しては、少なくとも3個のツェナーダイオードと、少なくとも1個の抵抗と、少なくとも3個のカップリングコンデンサとを組み合わせたものを用いるようにし、前記本質安全防爆の部分を、防爆規定に基づくia機器としているので、信頼性の高い防爆が可能になる。
【0044】
請求項3の発明によれば、前記バリア回路は、直流エネルギーの制限に対しては、少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、少なくとも2個のツェナーダイオードと、を用い、交流エネルギーの制限に対しては、少なくとも2個のカップリングコンデンサを用い、直流エネルギー及び交流エネルギーの制限に対しては、少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、少なくとも2個のツェナーダイオードと、少なくとも2個のカップリングコンデンサと、を組み合わせたものを用いるようにし、前記本質安全防爆の部分を、防爆規定に基づくib機器としているので、信頼性の高い防爆が可能になる。
【0045】
請求項4の発明によれば、直流エネルギーの制限に対しては、更に、ヒューズを挿入するようにしている。本質安全防爆部側に流れ込む直流エネルギーを制御することができるので、ツェナーダイオードとして、定格電力の小さなものを用いることができる。
【0046】
請求項5の発明によれば、前記スコープユニットは、メインユニットに着脱可能に取り付けられるスコープコネクタを備え、前記バリア回路は、前記スコープコネクタに設けられ、前記スコープコネクタから先に延出する部分を本質安全防爆とすることで、コントロールユニット、挿入部、光学アダプタの部分を本質安全防爆とすることができる。
【0047】
請求項6の発明によれば、前記スコープユニットは、前記挿入部の基端部に設けられたコントロールユニットを備え、前記バリア回路は、前記コントロールユニットに設けられ、前記コントロールユニットから先に延出する部分を本質安全防爆とすることで、挿入部、光学アダプタの部分を本質安全防爆とすることができる。
【0048】
請求項7の発明によれば、前記バリア回路は、前記メインユニットに設けられ、前記メインユニットから先に延出する部分を本質安全防爆とすることにより、スコープコネクタ、挿入部、光学アダプタの部分を本質安全防爆とすることができる。
【0049】
請求項8の発明によれば、スコープユニットの先端まで延びる、CCDへの送受信号、LED駆動信号、サーミスタ信号等の信号線と、コントロールユニットに供給する、モータ駆動信号、スイッチ信号、映像信号等の他の信号線とを絶縁するようにしているので、スコープユニットとコントロールユニット信号群とのエネルギー絶縁分離が行える。
【0050】
請求項9の発明によれば、バリア回路の回路素子に、コート材を塗布するようにしているので、本質安全防爆側とそれ以外の部分を分離するために必要な沿面距離を小さくすることができ、バリア回路の面積を小さくすることができる。そのため、機器の小型化を実現することができる。
【0051】
請求項10の発明によれば、本質安全防爆となっている部分を識別するための識別手段を設けるようにしているので、ユーザは、本質安全防爆部分を容易に認識することができる。
【0052】
請求項11の発明によれば、識別手段として、色別のマーカーを塗布するようにしているので、ユーザは、本質安全防爆部分を一見して認識することができる。
【0053】
請求項12の発明によれば、スコープユニットの先端に撮像素子が配設され、バリア回路により、撮像素子をドライブするためのエネルギーを制限するようにしているので、撮像素子のエネルギーを制限できる。
【0054】
請求項13の発明によれば、撮像素子をドライブするためのエネルギーを制限するバリア回路は、撮像素子への転送パルスのエネルギーの制限を行うと共に、波形整形のための微分回路として動作するようにしているので、エネルギーの制限の回路を他の回路と兼用することができる。
【0055】
請求項14の発明によれば、撮像素子からの撮像出力のエネルギーを制限するバリア回路は、プリアンプの前段に設けられ、CCDVideoOut信号のスコープケーブルを伝送するマッチング抵抗として動作するようにしているので、エネルギーの制限の回路を他の回路と兼用することができる。
【0056】
請求項15の発明によれば、スコープユニットの先端に照明素子が配設され、バリア回路により、照明素子をドライブするためのエネルギーを制限するようにしているので、照明素子に流入するエネルギーを引火エネルギーよりも小さくすることができる。
【0057】
請求項16の発明によれば、照明素子をドライブするためのエネルギーを制限するバリア回路は、少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、複数個のツェナーダイオードと、から構成されるようにしているので、少なくとも単一故障状態であっても、エネルギー制限バリア回路は有効となる。
【0058】
請求項17の発明によれば、LED照明素子を、接地レベルに対して正側の電位と、接地レベルに対して負側の電位とで駆動するようにているので、接地レベルからのLEDの駆動電圧を下げることができる。これにより、バリア回路に必要とされるツェナーダイオードのVzツェナー電圧も、正電源のみ又は負電源のみの場合と比較して、低く設定することができる。
【0059】
請求項18の発明によれば、スコープユニットの先端には、被検体の周辺温度を検知する温度センサが配設され、バリア回路により、温度センサの検出出力のエネルギーを制限するようにしているので、温度センサに流入するエネルギーを引火エネルギーよりも小さくすることができる。
【0060】
請求項19の発明によれば、温度センサの検出出力のエネルギーを制限するバリア回路は、抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、複数個のツェナーダイオードと、構成されているので、温度センサに流入するエネルギーを引火エネルギーよりも簡単に小さくすることができる。
【0061】
請求項20の発明によれば、スコープユニットの挿入部を湾曲させるためのモータが設けられ、バリア回路により、モータをドライブするためのエネルギーを制限するようにしているので、モータに流入するエネルギーを引火エネルギーよりも小さくすることができる。
【0062】
請求項21の発明によれば、モータをドライブするためのエネルギーを制限するバリア回路は、モータに対する論理信号のエネルギーを制限する、抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、複数個のツェナーダイオードと、から構成されているので、モータに流入するエネルギーを引火エネルギーよりも小さくすることができる。
【0063】
請求項22の発明によれば、各部の操作を行うための操作スイッチが配設され、バリア回路により、スイッチからの論理信号のエネルギーを制限するようにしているので、論理レベルを壊すことなく、スイッチに流入するエネルギーを引火エネルギーよりも小さくすることができる。
【0064】
請求項23の発明によれば、スイッチからの論理信号のエネルギーを制限するバリア回路は、抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、複数個のツェナーダイオードと、から構成されているので、論理レベルを壊すことなく、スイッチに流入するエネルギーを引火エネルギーよりも簡単に小さくすることができる。
【0065】
請求項24の発明によれば、スコープユニットの先端に撮像素子が配設されると共に、メインユニットに照明手段が配設され、照明手段からの光が光学ガイドにより導かれてスコープユニットの先端から照射され、バリア回路により、撮像素子をドライブするためのエネルギーを制限するようにしているので、ランプを使った内視鏡の本質安全防爆が実現できる。
【0066】
請求項25の発明によれば、スコープユニットの先端からの光学像をファイバスコープ又はボアスコープによりメインユニットに導くと共に、スコープユニットの先端に照明素子が配設され、バリア回路により、照明素子をドライブするためのエネルギーを制限するようにているので、ファイバスコープやボアスコープの内視鏡の本質安全防爆が実現できる。
【0067】
請求項26の発明によれば、照明素子がLED照明手段であることから、消費電力を抑制しつつ、被検体を確実に照明することができる。
【0068】
請求項27の発明によれば、メインユニットが電源を備えており、その電源は二次バッテリーを用いていることから、電源を確実に供給することができるだけでなく、簡便性を向上させることができる。
【0069】
請求項28の発明によれば、本質安全防爆の部分が、防爆規定に基づくZone0又はZone1の防爆仕様を満たすことから、可燃ガス又は粉塵環境下でも確実に使用することができる。
【0070】
請求項29の発明によれば、本質安全防爆の部分よりもメインユニット側に設けられた部分は、防爆規定に基づくZone2の防爆仕様を満たすことから、構成を簡易にしつつ、可燃ガス又は粉塵環境下でも確実に使用することができる。
【0071】
請求項30の発明によれば、警告を発する警告手段を備え、温度センサの検出温度があらかじめ設定された所定の閾値に達したときに、前記警告手段により警告を発するように制御することから、ユーザに注意を喚起することができる。
【0072】
請求項31の発明によれば、被検体の観察画像を表示する表示手段を備え、表示手段が防爆規定に基づくZone0、Zone1又はZone2の防爆仕様を満たすことから、可燃ガス又は粉塵環境下でも確実に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置におけるコントロールユニットの外観構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置における挿入部の先端の構成を説明するための斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置を爆発危険領域で使用する場合の説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるCPUビデオボードの構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるパワーボードの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第1の実施形態におけるCCDドライブボード及びDSPボードの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第1の実施形態におけるLEDドライブボードの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第1の実施形態における挿入部の先端部における回路構成の説明に用いる接続図である。
【図11】本発明の第1の実施形態におけるバリア回路の説明に用いる接続図である。
【図12】本発明の第1の実施形態におけるバリア回路の説明に用いる接続図である。
【図13】エネルギー制限回路の説明に用いる接続図である。
【図14】エネルギー制限回路の説明に用いる接続図である。
【図15】本質安全防爆部分を示す識別手段の説明に用いる斜視図である。
【図16】バリア回路のコート処理の説明に用いる平面図及び断面図である。
【図17】本発明の第2の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の第3の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図19】本発明の第4の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図20】冷陰極線管を用いたLCDモニタの説明に用いるブロック図である。
【図21】LCDを用いたLCDモニタの説明に用いるブロック図である。
【図22】本発明の第5の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図23】本発明の第6の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図24】本発明の第7の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図25】本発明の第8の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図26】本発明の第9の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図27】本発明の第10の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図28】本発明の第11の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図29】本発明の第12の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図30】本発明の第13の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図31】本発明の第14の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図32】本発明の第15の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図33】上記第1から第9の実施形態の主構成部と仕様エリアとをまとめて示す概要図である。
【図34】上記第10から第15の実施形態の主構成部と仕様エリアとをまとめて示す概要図である。
【図35】サーミスタによって検出されるスコープ環境温度と、警告手段による警告表示の様子をグラフで示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(1)第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の概要を示すものである。図1において、メインユニット1は、内視鏡装置全体の制御を行っている。メインユニット1の天面には、各種設定を行うためのフロントパネル11が設けられる。また、メインユニット1の側面には、モニタ画像を表示するためのLCDモニタ12が取り付けられている。メインユニット1には、ベルト13が装着可能となっており、ユーザが肩から吊り下げて、ハンズフリーで作業が行えるようになっている。
【0075】
スコープユニット2は、コントロールユニット3と、コントロールユニット3に取り付けられた挿入部4と、挿入部4の先端に着脱可能な光学アダプタ8からなる。コントロールユニット3は、スコープコネクタ5により、メインユニット1に着脱可能に取り付けられる。本発明の第1の実施形態においては、後に説明するように、スコープコネクタ5内に、エネルギーの制限するためのバリア回路が設けられている。メインユニット1とコントロールユニット3との間は、ユニバーサルケーブル6で接続される。
【0076】
挿入部4の先端には、CCD撮像素子が取り付けられている。挿入部4は、各種の被検体を撮影できるように、可撓性を有している。
【0077】
また、挿入部4の先端部には湾曲部9が設けられる。コントロールユニット3内にはモータが設けられており、このモータにより、湾曲部9が上下左右に湾曲可能とされている。湾曲部9を湾曲させることにより、撮影方向を自在に設定することができる。
【0078】
また、挿入部4の先端には、光学アダプタ8が着脱可能に取り付けられる。光学アダプタ8としては各種の光学性能のものが用意されており、光学アダプタ8を交換することで、異なる視野角、視野方向、明るさ、観察深度等を変更することができる。
【0079】
コントロールユニット3は、ユーザの指令に基づいて、内視鏡装置の操作を行う部分である。図2に示すように、コントロールユニット3にはグリップ部21が形成されている。ユーザは、このグリップ部21を把持して、内視鏡の操作を手元で行えるようになっている。
【0080】
コントロールユニット3には、図2(A)に示すように、ジョイスティック22、ズームレバー23、明るさ調整レバー24、ブーストボタン25が配設されている。ジョイスティック22は、挿入部4の先端の湾曲部9の方向を操作するのに用いられる。ブーストボタン25はゲイン変更用のボタンである。
【0081】
また、コントロールユニット3の側面には、図2(B)に示すように、フリーズ録画ボタン26が配設される。フリーズ録画ボタン26を押すと、そのときのスチル画像が取り込まれ、記録される。
【0082】
図3は、挿入部4の先端及び光学アダプタ8の構成を示すものである。図3(A)に示すように、挿入部4の先端には、CCD撮像素子31、ハイブリッド集積回路(以下、HICと略称する)32及び33、サーミスタ34が配設される。HIC32はCCD撮像素子31の出力信号に対するバッファが実装されている。HIC33には、水平転送パルスを波形整形するコンパレータが実装されている。サーミスタ34は、スコープ先端部の周囲温度を検出するために設けられる。
【0083】
これらの電子回路に対して信号や電源を伝送する配線は、挿入部4内に収納されており、図1に示すように、ユニバーサルケーブル6、スコープコネクタ5を介して、メインユニット1に接続されている。後に説明するように、スコープコネクタ5にはバリア回路が設けられており、これらの電子回路に対して信号や電源に過剰なエネルギーが伝送されることが阻止されている。これにより、爆発の危険性のある環境下での使用が可能となる。
【0084】
光学アダプタ8には、図3に示すように、複数のLEDチップ35、35、…が実装されたLEDモジュール36が設けられる。このLEDチップ35、35、…を点灯させることで、被検体が照射される。
【0085】
光学アダプタ8には、接点37a、37bが設けられる。接点37a、37bは、LEDモジュール36に接続されている。一方、挿入部4の先端には、接点38a及び38bが設けられる。挿入部4の先端に光学アダプタ8を装着する際には、図3(B)に示すように、接点38a及び38bと、接点37a、37bとを接触させ、図3(C)に示すように、挿入部4の先端に光学アダプタ8が固定される。これにより、LEDモジュール36に配設されたLEDチップ35、35、…に電源が供給される。
【0086】
図4は、本発明の第1実施形態の内視鏡装置の爆発の危険性のある環境下での使用方法の概要を示すものである。
【0087】
先ず、図4(A)に示すように、セットアップを行う。セットアップは、具体的には、メインユニット1に、バッテリー41やメモリカード42を装着したり、スコープコネクタ5によりメインユニット1とスコープユニット2とを接続したり、挿入部4の先端に光学アダプタ8を取り付けたりする作業である。このようなセットアップの作業は、必ず、爆発の危険性のないエリア(Non−hazardousエリア)で行う。
【0088】
図4(B)に示すように、セットアップが完了したら、内視鏡装置を爆発の危険性のあるエリアの近傍に移動する。そして、図4(C)に示すように、スコープユニット2を暴爆 の危険性のあるエリア内(Zone0又はZone1エリア)に配し、被検体の撮影を行う。このとき、図4(C)に示すように、メインユニット1は、爆発の危険性のないエリア(Non−hazardousエリア)又は爆発の危険性の小さいエリア(Zone2エリア)に置かれる。
【0089】
また、バッテリー41、メモリカード42、光学アダプタ8等の機器を交換したり、スコープユニット2を外したりする作業を行う場合には、図4(D)に示すように、内視鏡装置を必ず、爆発の危険性のないエリア(Non−hazardousエリア)に移動して作業を行う。
【0090】
図5は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の内部構成を示すブロック図である。図5において、メインユニット1には、CPU(Central Processing Unit)ビデオボード51、パワーボード52が配設されている。また、メインユニット1には、バッテリー41が装着される。
【0091】
CPUビデオボード51は、内視鏡装置全体の制御を行っている。また、CPUビデオボード51は、撮影された画像の信号処理や、画像信号の記録、再生の制御を行っている。また、CPUビデオボード51は、計測等の処理を行っており、サーミスタ34で計測された環境温度を計測する処理を行っている。また、メインユニット1には、LCDモニタ12が取り付けられる。LCDモニタ12は、撮影された画像を表示するものである。
【0092】
パワーボード52は、バッテリー41からの電源を基に、各種のボードに必要な電源を供給している。
【0093】
スコープコネクタ5は、メインユニット1とスコープユニット2(コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8)とを接続するものである。スコープコネクタ5には、CCDドライブボード61、DSP(Digital Signal Processor)ボード62、LEDドライブボード63と、バリア回路64が設けられる。
【0094】
CCDドライブボード61は、水平転送パルスや垂直転送パルス等、CCD撮像素子31を駆動するのに必要な各種の信号や電源を形成している。DSPボード62は、CCD撮像素子31からの撮像信号の信号処理を行っている。LEDドライブボード63は、LEDモジュール36の駆動を行っている。バリア回路64は、スコープユニット2(コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8)に配設されている各回路(モータドライブボード72、モータ71、CCD撮像素子31、サーミスタ34、HIC32及び33、LEDモジュール36)に対するエネルギーを制限するものである。
【0095】
このように、スコープユニット2に配設されている各回路に対するエネルギーを制限するバリア回路64が設けられているため、バリア回路64の位置より先端に延出している部分、この例ではコントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。
【0096】
コントロールユニット3には、モータ71と、モータドライブボード72と、スイッチ73とが設けられる。モータ71は、挿入部4の先端の湾曲部9を湾曲させるためのものである。モータ71としては、スパークが生じることがないように、例えばブラシレスモータを使用するのが望ましいが、モータ駆動エネルギーが小さければブラシモータであってもよい。モータドライブボード72は、このモータ71を駆動するものである。スイッチ73は、ユーザにより設定される各種のボタンやスイッチ(ジョイスティック22、ズームレバー23、明るさ調整レバー24、ブーストボタン25、フリーズ録画ボタン26等)に対応している。
【0097】
挿入部4には、その先端に、CCD撮像素子31、HIC32及び33、サーミスタ34が配設される。CCD撮像素子31は、被検体の光学画像を電気信号に光電変換するものである。HIC32は、CCD撮像素子31からの撮像出力に対するバッファである。HIC33は、CCD撮像素子31に対する水平転送パルスを波形整形するものである。サーミスタ34は、周囲温度を測定するものである。
【0098】
光学アダプタ8には、LEDモジュール36、レンズ40が配設される。LEDモジュール36は、被検体の近傍を照射するものである。
【0099】
図6はCPUビデオボード51の構成を示すものである。図6に示すように、CPUビデオボード51には、CPU101が設けられる。CPU101のバス102には、メモリ103、OSD(On Screen Display)回路104、A/Dコンバータ111、エンコーダ106が接続される。OSD回路104は画面に各種の表示信号を重畳するものである。デコーダ105は、YCrCbの画像データをRGB等の画像データにデコードするものである。エンコーダ106はRGB等の画像データを標準方式(NTSC等)の画像データにエンコードするものである。
【0100】
また、CPU101には、ROM(Read Only Memory)107、メモリカード42、シリアルインターフェース109が接続される。メモリカード42は、撮影画像を保存するのに用いられる。シリアルインターフェース109は、パーソナルコンピュータ等の外部機器と接続するためのものである。CPU101には、RTC(Real Time Clock)回路110からクロックが供給される。RTC回路101は、時間管理を行うものである。
【0101】
また、CPU101には、サーミスタ34の検知出力がA/Dコンバータ113を介して供給される。また、CPU101からはモータ制御信号が出力され、このモータ制御信号がバッファ114を介して、モータドライブボード72に向けて出力される。また、CPUビデオボード51には、DC/DCコンバータ115が設けられる。
【0102】
図7はパワーボード52の構成を示すものである。パワーボード52は、図7に示すように、バッテリー41から各部の電源を形成するためのDC/DCコンバータ121が設けられる。また、バッテリー41からの電源ライン中には、ヒューズ122が設けられる。
【0103】
図8は、CCDドライブボード61及びDSPボード62の構成を示すものである。図8に示すように、CCDドライブボード61は、クロック発振器131と、タイミング信号発生回路132とが設けられる。タイミング信号発生回路132により、CCD撮像素子をドライブするための各種の信号(垂直パルスV1〜V4、水平転送パルスHPLS、リセットパルスRST、サブパルスSub)が形成される。CCD撮像素子31を駆動するためのCCD電源部(Vcc、Vdd及びSHD)134がある。水平パルスを波形成形するコンパレータの基準電圧であるSHD(スレッシュ・ホールド電圧)がある。これらの電源や信号は、バッファ133a〜133gを介して、CCD撮像素子31に向けて出力される。
【0104】
DSPボード62は、図8に示すように、プリアンプ141と、A/Dコンバータ142と、映像信号処理回路143と、D/Aコンバータ144とが設けられる。DSPボード62には、CCDドライブボード61からクロックが供給される。CCD撮像素子31からの撮像信号がプリアンプ141で増幅され、A/Dコンバータ142でディジタルデータに変換される。そして、映像信号処理回路143で、欠陥補正、ホワイトバランス補正等の処理が行われる。また、映像信号処理回路143で、撮像信号から、YCrCbの画像データに変換される。この画像データはD/Aコンバータ144でアナログ信号に変換されて出力される。
【0105】
図9は、LEDドライブボード63の構成を示すものである。LEDドライブボード63には、DC/DCコンバータ151、定電流回路152及び153、バッファ154及び155が設けられる。DC/DCコンバータ151は、LEDの正側の駆動電圧と、LEDの負側の駆動電圧とを形成している。定電流回路152はLEDの正側の駆動電流を設定し、定電流回路153はLEDの負側の駆動電流を設定している。
【0106】
なお、LEDの駆動電流を接地レベルに対して、正側と負側に設定しているのは、防爆のためである。つまり、通常、LEDの駆動電圧がVfであれば、LEDには、接地レベルに対してVfの電圧を与えるようにしている。これに対して、この実施形態では、LEDに対して、+Vf/2と、−Vf/2を与えるようにしている。このようにすると、LEDに印加される電圧はVfで同じでも、接地レベルからの電圧は1/2となり、防爆に有利になる。例えば、IEC60079−11の本質安全防爆構造の規格において、+30Vを越えると、バリア回路の沿面距離での制限が厳しくなるので、例えば、±20V以下が望ましく、±15Vで扱うので防爆規定上有利となる。
【0107】
図10は、挿入部4の先端の構成を示すものである。図10において、HIC33には、SHD電源の入力端子、水平転送パルスHPLSの入力端子、Vdd電源の入力端子、接地端子、水平転送パルスの出力端子が設けられる。HIC33は、コンパレータにより入力された水平転送パルスを波形整形して出力する。この水平転送パルスは、CCD撮像素子31に水平転送パルス入力端子に供給される。
【0108】
また、CCD撮像素子31には、CCDドライブボード61から、Vcc電源、4本の垂直転送パルスV1〜V4、リセットパルスRSTと、サブパルスSubが直接供給される。
【0109】
HIC32には、Vcc電源の入力端子、CCDOut信号の入力端子、接地端子、CCDビデオ信号の出力端子が設けられる。CCD撮像素子31からの出力信号は、HIC32に入力される。そして、HIC32を構成するバッファを介して、出力され、DSPボード62に向けて送られる。
【0110】
この図5に示す本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の動作について説明する。
【0111】
図5において、光学アダプタ8のレンズを介して取り込まれた被検体の像光は、挿入部4の先端のCCD撮像素子31の受光面に結像される。CCD撮像素子31は、CCDドライブボード61からの垂直転送パルスV1〜V4、及びCCDドライブボード61からHIC33を介して送られる水平転送パルスHPLSにより駆動される。CCD撮像素子31からは、撮像信号が出力される。この撮像信号は、HIC32を介して、DSPボード62に送られる。
【0112】
図8に示したように、DSPボード62で、CCD撮像素子31からの撮像信号がプリアンプ141で増幅され、A/Dコンバータ142でディジタルデータに変換される。そして、映像信号処理回路143で、欠陥補正、ホワイトバランス補正等の処理が行われる。また、映像信号処理回路143で、撮像信号から、YCrCbの画像データに変換される。この画像データはD/Aコンバータ144でアナログ信号に変換されて出力される。
【0113】
図5において、DSPボード62の出力信号は、CPUビデオボード51に供給される。図6に示すように、DSPボード62からの画像信号は、デコーダ105に送られ、デコーダ105でRGB等の画像信号に変換される。この画像信号は、A/Dコンバータ111でディジタル化され、バス102に送出され、メモリ103に一旦格納される。
【0114】
メモリ103に格納された画像データに対して、各種の信号処理が施される。この画像データはバス102を介してエンコーダ106に送られる。エンコーダ106で、RGB画像データが標準方式の画像データに変換される。この画像データがD/Aコンバータ112でアナログ信号に変換されて出力され、LCDモニタ12に送られる。
【0115】
また、画像を取り込む場合には、メモリ103に格納された画像データが読み出され、メモリカード42に送られ、この画像データがメモリカード42に記録される。
【0116】
次に、本発明の第1の実施形態におけるバリア回路64について詳述する。前述したように、バリア回路64は、スコープコネクタ5内に設けられ、スコープユニット2に配された電子回路に対して、過剰なエネルギーが伝送されることを阻止している。バリア回路64は、基板上で本質安全側と分離するために、回路状の沿面距離を確保するようにしている。
【0117】
図11及び図12は、バリア回路64の一例を示すものである。先ず、サーミスタ34に対するライン(図5におけるラインL3)には、バリア回路64において、図11(A)に示すように、高抵抗201を挿入して、エネルギーを制限する。なお、サーミスタ34は、温度による抵抗値の変化を検知して、温度を計測している。このため、電位の変化を検知できるようなエネルギー制限回路を使うようにしている。このときのサーミスタのエネルギー制限回路の抵抗は、サーミスタの変化抵抗値に対応して選ぶのがよく、例えば1kΩから10kΩなどが適当である。また、電圧を制限するために3つのツェナーダイオード240a,240b,240cと、抵抗201の定格電力を制限する抵抗201−2が接続される。
【0118】
Vcc電源に対するライン(図5におけるラインL10)には、バリア回路64において、図11(B)に示すように、ヒューズ202、3個のツェナーダイオード203a、203b、203c、抵抗204を挿入して、直流エネルギーの制限を施す。
【0119】
ここで、ヒューズ202、3個のツェナーダイオード206a,206b,206c及び抵抗204の選び方について説明する。3個のツェナーダイオード206a,206b,206cのツェナー電圧Vzは、Vcc+15Vよりブレークダウン電圧に達することなく、通常の回路動作状態では、Vcc+15VがL7に出力されるようツェナー電圧Vzを選ぶ。例えば、この図11(A)の例では、Vz=18Vのツェナーを選ぶとよい。
ヒューズ202の値は、通常回路動作ではヒューズが切れることはない。Vcc+15V端子に異常電圧が印加されたときには、ヒューズ202が働き、ツェナーダイオード206a,206b,206cのツェナー電圧Vzの定格内に抑えるように機能する。例えば、通常動作電流が10mA程度の場合には、ヒューズ定格が50mA程度のものを選ぶとよい。
【0120】
抵抗204は、Vcc+15V端子に異常電圧が印加されたときに、ツェナーダイオード206a,206b,206cにより発生したツェナー電圧を抵抗により制限するものである。抵抗値が大きいほど電流を制限することができるが、抵抗値を大きくすると通常動作時の抵抗204による電位降下が問題になる。よって、異常時のエネルギーを制限しつつ、通常動作時の電位降下を少なくする必要がある。例えば、抵抗204を100Ω前後の値を用いることで、前記異常時のエネルギー制限と通常時の電位降下を適度な値にするのでよい。
上記例で、このVcc+15Vラインから印加されるエネルギーを例示すると、 ヒューズ202=50mA
3個のツェナーダイオード206a,206b,206c=18V定格(最大18.9V)、
抵抗204=82Ωの場合は、
18.9V/82Ω=230mAが防爆規定上の流れ込む最大電流値(防爆規定計算上はヒューズ202の50mAで制限しない)となる。
18.9V×230mA=4347mWとなり、約4WのエネルギーがVcc+15Vラインに流れ込む設計になる。
【0121】
Vdd電源に対するライン(図5におけるラインL7)には、バリア回路64において、図11(C)に示すように、ヒューズ205、3個のツェナーダイオード206a、206b、206c、抵抗207を挿入して、直流エネルギーの制限を施す。
上記Vcc+15Vのところで説明したのと同じ考えで、Vdd+6Vに関してもヒューズ、ツェナーダイオード、抵抗値を選ぶ。ただし、Vddは電圧が6Vなので、ツェナー電圧は定格で7.2V程度のものを使うのが適当である。さらに、このラインから印加されるエネルギーは、上記Vcc+15Vで説明したのと同じ考えで計算できる。
【0122】
SHD電源に対するライン(図5におけるラインL9)には、バリア回路64において、図11(D)に示すように、ヒューズ208、3個のツェナーダイオード209a、209b、209c、抵抗210を挿入して、直流エネルギーの制限を施す。以下、ヒューズ、ツェナーダイオード、抵抗値の選び方と、このラインから印加されるエネルギー計算は前述の方法と同じである。
【0123】
水平転送パルスHPLSのライン(ラインL8)には、バリア回路64において、図11(E)に示すように、コンデンサ211a〜211c、コンデンサ212a〜212c、抵抗213からなる微分回路を、エネルギー制限回路として利用する。このとき、コンデンサ211a〜211c、コンデンサ212a〜212cは、交流エネルギーを制限する回路となる。直流エネルギーの制限は、ヒューズ241及び3つのツェナーダイオード242a,242b,242cと抵抗213の構成にて行う。これにより、交流エネルギーの制限は、3つの直列コンデンサで行い、直流エネルギーの制限は、前述(B)から(D)に示した形式のヒューズ、ツェナーダイオード、抵抗にて行う。
【0124】
リセットパルスRSTのライン(図5におけるラインL4)及び垂直転送パルスV1〜V4のライン(図5におけるラインL6)には、バリア回路64において、図11(F)に示すように、ヒューズ215、ツェナーダイオード216a、216b、216c、抵抗217を挿入して、直流バイアスの直流エネルギーの制限を施すと共に、3つのカップリングコンデンサ218a、218b、218cにより、交流成分のエネルギーを制限する。
【0125】
サブパルスSubのライン(図5におけるラインL5)には、バリア回路64において、図11(G)に示すように、ヒューズ221、ツェナーダイオード222a、222b、222c、抵抗223を挿入して、直流バイアスの直流エネルギーの制限を施すと共に、3つのカップリングコンデンサ225a、225b、225cにより、交流成分のエネルギーを制限する。
【0126】
CCD撮像素子31の出力信号のライン(図5におけるラインL11)には、バリア回路64において、図12(A)に示すように、プリアンプ229の前段に、ヒューズ226、3個のツェナーダイオード227a、227b、227c、抵抗228を挿入して、直流エネルギーの制限を施す。なお、抵抗228は、スコープコネクタ5側への入力側と、CCD撮像素子31側からの信号伝送路の出力側との整合をとるためのインピーダンスのマッチング用の抵抗としても機能している。
【0127】
正側のLED照明用のライン(図5におけるラインL12)には、バリア回路64において、図12(B)に示すように、ヒューズ230、3個のツェナーダイオード231a、231b、231c、抵抗232を挿入して、直流エネルギーの制限を施す。
【0128】
負側のLED照明用のライン(図5におけるラインL13)には、バリア回路64において、図12(C)に示すように、ヒューズ233、3個のツェナーダイオード234a、234b、234c、抵抗235を挿入して、直流エネルギーの制限を施す。なお、負電圧なのでツェナーダイオードは、他のバリア回路とは逆向きに接続されている。
【0129】
コントロールユニット3内のモータドライブボード72へ電源を送るライン(図5におけるラインL1)へは、図12(D)に示すように、ヒューズ236、3個のツェナーダイオード237a、237b、237c、抵抗238を挿入して、直流エネルギーの制限を施す。
【0130】
コントロールユニット3内のモータのオン/オフ及び各種スイッチの信号ライン(図5におけるラインL2)へは、図12(E)に示すように、高抵抗239を挿入して、かつ、3つのツェナーダイオード243a,243b,243cを入れ、高抵抗239の定格内に、電力を制限するための抵抗239−2を入れ、直流エネルギーの制限を施す。
【0131】
なお、バリア回路64中において、エネルギー制限回路として用いるヒューズは、溶断性能が保証されたバリアネットワークヒューズを使用する。例えば、Barrier Network Standards EN50020規格に適合したものを使用するのがよい。
【0132】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態では、図5に示したように、スコープコネクタ5に、各回路に対する信号や電源のエネルギーの制限を行うバリア回路64を設けて、本質安全防爆を満足するようにしている。すなわち、本発明の第1の実施形態では、バリア回路64によって、各回路に対する信号や電源のエネルギーの制限を行うことで、ショート等が発生しても、スパークが発生することがないようにしている。これにより、爆発を生じさせる要素の一つである着火源を無くすことにより、本質安全防爆を実現している。
また、本発明の第1の実施形態では、スコープユニット2については、ia機器の規格を満足して、本質安全防爆を実現している。
【0133】
なお、本発明の第1の実施形態では、図5に示したように、スコープコネクタ5に、各回路に対する信号や電源のエネルギーの制限を行うバリア回路64を設けて、本質安全防爆を満足するようにしている。このバリア回路64は、図11及び図12に示したように、直流のエネルギーを制限するものにおいては、3個のツェナーダイオードと、1個の抵抗とを設け、交流のエネルギーを制限するものにおいては、カップリングコンデンサを3個設けるようにしている。これは、3個のツェナーダイオードやカップリングコンデンサのうち、2個が破損していても、残りの1個によりエネルギーが制限されるようにするためである。これにより、ia機器の規格を満足することができる。ib機器の規格を満足するのであれば、これらは2個で良いことになる。
【0134】
バリア回路64を構成するエネルギーの制限回路は、基本的には、図13及び図14に示すような構成の組み合わせであり、図11及び図12に示したバリア回路64内の電流制限回路は、これに基づくものである。
【0135】
図13は、ia機器の規格を満足するようなエネルギー制限回路の例を示すものである。図13(A)は、直流に対するエネルギー制限回路である。図13(A)に示すように、直流に対するエネルギー制限回路では、ラインL101中に、ヒューズF1と、抵抗R1とを設ける。また、ラインL101と接地間に、3個のツェナーダイオードD1a、D1b、D1cを設ける。このように、3個のツェナーダイオードD1a、D1b、D1cを設けることで、ラインL101の電圧が上昇しないようにしている。なお、3個のツェナーダイオードD1a、D1b、D1cを設けているのは、ツェナーダイオードD1a、D1b、D1cのうちの2個が破損しても、信頼性が保てるようにして、防爆機器としてia機器の規格を満足するようにするためである。
【0136】
図13(B)は、交流に対するエネルギー制限回路である。図13(B)に示すように、交流に対するエネルギー制限回路では、ラインL102中に、3個のカップリングコンデンサC1a、C1b、C1cを設ける。このように、カップリングコンデンサC1a、C1b、C1cを設けることで、回路を直流的に遮断して、エネルギーの制限を行う。なお、3個のカップリングコンデンサC1a、C1b、C1cを設けているのは、コンデンサC1a、C1b、C1cのうちの2個が破損しても、信頼性が保てるようにして、防爆機器としてia機器の規格を満足するようにするためである。コンデンサC1a、C1b、C1cの値は、ACカップリングされて波形が歪むことのないような値のコンデンサを選定する。ACカップリングコンデンサは、最低でも耐電圧500V以上の高耐電圧セラミックコンデンサを用いる。
【0137】
図13(C)は、直流バイアスに交流成分が乗っている場合のエネルギー制限回路である。図13(C)に示すように、この場合には、抵抗R2と、3個のカップリングコンデンサC2a、C2b、C2cとが並列接続されて、ラインL103中に挿入されている。この場合、直流分については、ヒューズ244、3つのツェナーダイオード245a,245b,245c及び抵抗R2によりエネルギー制限が行われる。交流分については、カップリングコンデンサC1a、C1b、C1cにより、エネルギーの制限が行われる。
【0138】
図13(D)は、論理信号(HレベルとLレベルで示される信号)に対するエネルギー制限回路である。図13(D)に示すように、ラインL104中に抵抗R3を挿入して、エネルギー制限を行っている。かつ3つのツェナーダイオード246a,246b,246cを入れ、抵抗R3の定格電力内に電流を制限する抵抗R3−2を入れている。例えば、通常のロジック電圧+5Vから+3V程度の信号であれば、抵抗R3の抵抗値の値は、1kΩから10kΩ程度を選べばよい。
【0139】
図14は、防爆規格のib機器の規定を満足するようなエネルギー制限回路の例を示すものである。図14(A)は、直流に対するエネルギー制限回路である。図14(A)に示すように、直流に対するエネルギー制限回路では、ラインL105中に、ヒューズF2と、2つのトランジスタQ1及びQ2とからなる電流制限回路T1a、T1bとを設ける。また、ラインL105と接地間に、2個のツェナーダイオードD2a、D2bを設ける。なお、2組の電流制限回路T1a、T1bを設けているのは、電流制限回路T1a、T1bのうちの1個が破損しても、信頼性が保てるようにして、ib機器の規格を満足するようにするためである。また、2個のツェナーダイオードD2a、D2bを設けているのは、ツェナーダイオードD2a、D2bのうちの2個が破損しても、信頼性が保てるようにして、防爆機器としてib機器の規定を満足するようにするためである。
【0140】
このように、2個のツェナーダイオードD2a、D2bを設けることで、ラインL105の電圧が上昇しないようにしている。
【0141】
また、このように構成すると、電流が過剰になったときには、電流制限回路T1a、T1bにより、電流が遮断される。つまり、電流制限回路T1a、T1bにおいて、ラインL105に流れる電流が大きくなると、抵抗Rsの両端電圧が大きくなり、トランジスタQ2のVBEを越えたときに、トランジスタQ2がオンする。その結果トランジスタQ1がオフする。これにより、ラインL105に流れる電流が遮断される。ヒューズF2は、2つのツェナーダイオード及び2組のトランジスタの定格容量を越えないように設定される。なお、図14(A)においては、トランジスタを用いているが、半導体であれば、同様の機能を果たすFETでもよい。
【0142】
図14(B)は、交流に対するエネルギー制限回路である。図14(B)に示すように、交流に対するエネルギー制限回路では、ラインL106中に、2個のカップリングコンデンサC3a、C3bを設ける。このように、カップリングコンデンサC3a、C3bを設けることで、回路を直流的に遮断して、エネルギーの制限を行う。なお、2個のカップリングコンデンサC3a、C3bを設けているのは、コンデンサC3a、C3bのうちの1個が破損しても、信頼性が保てるようにして、ib機器の規格を満足するようにするためである。
【0143】
図14(C)は、直流バイアスに交流成分が乗っている場合のエネルギー制限回路である。図14(C)に示すように、この場合には、抵抗R4と、2個のカップリングコンデンサC4a、C4bcとが並列接続されて、ラインL107中に挿入されている。この場合、直流分については、ヒューズ247、2つのツェナーダイオード248a,248b及び抵抗R4により、エネルギー制限が行われる。交流分については、カップリングコンデンサC4a、C4bにより、エネルギーの制限が行われる。
【0144】
図14(D)は、論理信号(HレベルとLレベルで示される信号)に対するエネルギー制限回路である。図14(D)に示すように、ラインL108中に抵抗R5を挿入し、かつ2つのツェナーダイオード249a,249bを入れ、抵抗R5の定格電力内に電流を制限する抵抗R5−2入れている。なお、図14に示した直流エネルギーを制限するための要素部品(抵抗R4及び抵抗R5)は、電流制限回路T1aとT1bに示すような2組のトランジスタによる制限要素に置き換えることが可能である。この場合は、トランジスタを2組用いることで、部品点数が増加し、実装面積が大きくなるが、抵抗R4又は抵抗R5で生じていた通常動作時の抵抗R4及び抵抗R5による電位降下を小さくすることができるため、本質安全防爆部を駆動する回路の駆動電圧を下げることができるというメリットがある。
【0145】
以上のように、本発明の第1の実施形態では、スコープコネクタ5内にバリア回路64を設けるようにしている。このため、バリア回路64の位置より先端に延出している部分、この例ではコントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となり、爆発の危険性のある部分で使用可能となる。これにより、ジェットエンジン、プラント、ガソリンタンク等の内部の検査等を、安全かつ確実に行うことができる。
【0146】
なお、本発明の第1の実施形態では、スコープコネクタ5内にバリア回路64を設けるようにしているため、本質安全防爆となるのは、バリア回路64の位置より先端に延出している部分であり、すなわち、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。ユーザの側では、内視鏡装置を構成する各ユニットの中で、どの部分が本質安全防爆であるかどうかを認識することが必要である。
【0147】
また、ユーザ側では、使用中に、危険区域から見て、本質安全防爆部分が残り少ないことが簡単に分かれば、本質安全防爆でない部分を誤って危険区域に引っ張ってしまうことが未然に防げる。そこで、この発明の第1の実施形態では、本質安全防爆の部分と、そうでない部分とが一目して分かるように、識別手段として、カラーのマーキングを付するようにしている。更に、本質安全防爆部分が残り少ないことをマーキングにより知らせるようにしている。
【0148】
つまり、本発明の第1の実施形態の場合には、スコープコネクタ5内にバリア回路64を設けられており、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となっている。この場合には、図15に示すように、スコープコネクタ5とコントロールユニット3とを結ぶユニバーサルケーブル6中に、ここからメインユニット1側に向けては本質安全防爆部分ではないことを示すマーキングとして着色部15を設けるようにしている。これにより、着色部15からメインユニット1にかけては、本質安全防爆の部分から外れることをユーザに喚起することができる。なお、この例では、本質安全防爆部分が残り少ないことを着色により知らせるために、ユニバーサルケーブル6中にスコープコネクタ5から所定距離だけ離れた所から着色部15を設けるようにしてが、本質安全防爆部分とそうでない部分とを色分けするようにしても良い。また、着色部15は蛍光色又は明るい青色とすると、ユーザに認識されやすい。
【0149】
また、本発明の第1の実施形態では、バリア回路64に配置される回路のチップ部品に、コート材を塗布するようにしている。つまり、図16に示すように、基板16上のパターン20に、チップ部品17が半田付けにより実施される。この回路基板上に、コート材18が塗布される。コート材18としては、シリコンコーティング材が用いられる。このようなコート材を塗布することで、IEC60079−11に規定される必要な絶縁距離を確保することができる。すなわち、図16におけるパターン間のクリアランス距離Laは、例えば耐圧を30Vとした場合、コート材を塗布していない場合には、2.0mmとなる。これに対して、コート材18を塗布すると、0.7mmで良いことになる。沿面距離が0.7mmでよければ、エネルギー制限回路を構成する抵抗、ACカップリングコンデンサ及び半導体は、小型のチップ部品、例えば3216サイズ等のチップ部品を採用することができる。
【0150】
また、本発明の第1の実施形態では、挿入部4の先端に、サーミスタ34が設けられている。このサーミスタ34の温度検知出力を用いて、周辺温度が所定値以上に達したら、爆発の危険性を警告するようにしても良い。本質安全防爆部は、故障モードを想定したときに、本質安全防爆対象部の温度値が対象ガス又は粉塵の引火上限温度値以下に収まらなければいけない。よって、
(環境温度)+(故障時の温度上昇値)<引火温度値
の関係を満足する必要がある。例えば、使用環境温度が100度の場合に、引火温度の発火度を決める対象ガスがジェットエンジン燃料等に利用されるnへキサンの場合には、nへキサン の引火温度が約220度であるので、故障時の温度上昇値は100度程度に抑えなければならない。つまり、
(環境温度+100度)+(故障時の温度上昇値100度)<引火温度値220度
の関係を満足する必要がある。
【0151】
IEC60079の規定に基づけば、本質安全防爆機器の対象とするガスの発火度の温度により、適用のランクが決まっている。200度以下の発火度のガスは、ランクでT3と呼ばれる。図35においては、200度のT3リミット値以下に環境温度と温度上昇値を抑えなければならない。T3発火度をターゲットにした防爆機器を実現するためには、故障時にバリア回路により制限されたエネルギーが引き起こす温度上昇値が100度である場合、防爆仕様を満足する環境温度は100度以下にする必要がある。図35では、環境温度が100度以下の場合は防爆仕様として利用できるが、100度以上である場合には非防爆となってしまう。
【0152】
図35に示すように、サーミスタ34による検出温度が例えば100℃(閾値)を越えた場合に、警告手段によって、LCDモニタ12に警告表示したり、警告音を発したりするようにする。これにより、挿入部4の先端周辺が、所定の温度を越えたことをユーザに知らしめることができ、注意を喚起することができる。なお、警告手段としては、表示、警告音に限ることはなく、例えば、振動やランプの点灯、点滅などであってもよい。また、閾値を100℃としたが、これに限ることはなく、その温度は適宜変更可能である。
【0153】
(2)第2の実施形態
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図17は、本発明の第2の実施形態を示すものである。この実施形態は、第1の実施形態と同様に、スコープコネクタ5にバリア回路64を設けるようにしており、バリア回路64から先に延出する部分、すなわち、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。この第2の実施形態では、第1の実施形態の構成において、スコープユニット2の先端に延びる信号線と、他の信号線とを、絶縁部材19で絶縁分離して、エネルギーの分離を図るようにしている。この絶縁材については、0.5mm以上の厚みを持つケーブルを採用すると、確実にエネルギーの分離ができる。また、スコープユニット2の先端に延びる信号に対して、絶縁材をほどこしても同様の効果が得られることは言うまでもない。他の部分につい
ては、前述の第1の実施形態と同一であり、対応部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0154】
(3)第3の実施形態
図18は、本発明の第3の実施形態を示すものである。この実施形態も、第1の実施形態と同様に、スコープコネクタ5にバリア回路64を設けるようにしており、バリア回路64から先に延出する部分、すなわち、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。この第3の実施形態では、挿入部4の経路中に、バッファ39a〜39kを挿入したものである。この実施形態では、第1の実施形態と同様に、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。この実施形態では、挿入部4の経路中に、バッファ39a〜39kを挿入したので、挿入部4が長い場合でも、必要な信号レベルを確保でき、S/N比の向上を図ることができる。
(4)第4の実施形態
図19は、本発明の第4の実施形態を示すものである。この実施形態も、第1の実施形態と同様に、スコープコネクタ5にバリア回路64を設けるようにしており、バリア回路64から先に延出する部分、すなわち、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。この第4の実施形態では、コントロールユニット3にも、LCDモニタ74を配設したものである。これにより、ユーザは、コントロールユニット3のLCDモニタ74を見ながら、モニタ作業を行うことができる。
【0155】
なお、この例では、コントロールユニット3は本質安全防爆であるから、LCDモニタ74についても、本質安全防爆のものを使用する必要がある。
【0156】
つまり、LCDモニタとしては、バックライトとして冷陰極管を用いたものと、LCDをバックライトに使ったものがある。
【0157】
図20は、LEDをバックライトとして用いたLCDモニタの一例である。図20において、電源端子251に印加された電源は、インバータ252で高圧に変換され、バックライトの冷陰極線管253に供給される。これにより、冷陰極線管253が点灯制御される。なお、インパータ252は、点灯時には約2kV、通常でも約600Vの高電圧を発生する。また、電源端子251からの電源がLCD電源回路254に供給され、LCD電源回路254でパネルドライブ用の電源が形成される。入力端子255からのビデオ信号がパネルドライブ回路256に供給され、パネルドライブ回路256により、LCDパネル257がドライブされる。これにより、LCDパネル257に画像が表示される。
【0158】
図21は、LEDをバックライトとして用いたLCDモニタの一例である。図21において、電源端子261に印加された電源は、LCDドライブ回路262に供給されると共に、LCD電源回路264に供給される。LCDドライブ回路262は、LEDバックライト263に対しては、20V以下の低電圧で駆動する。LCDドライブ回路262により、LEDバックライト263がドライブされる。また、LCD電源回路264でパネルドライブ用の電源が形成される。入力端子265からのビデオ信号がパネルドライブ回路266に供給され、パネルドライブ回路266により、LCDパネル267がドライブされる。これにより、LCDパネル267に画像が表示される。
【0159】
メインユニット1側に設けられるLCDモニタ12については、メインユニット1は本質安全防爆でないので、図20に示したバックライトとして冷陰極管を用いたものでも、図21に示したLCDをバックライトに使ったものでも、同様に用いることができる。
【0160】
しかしながら、コントロールユニット3側に設けられるLCDモニタ74については、コントロールユニット3が本質安全防爆であるから、同様に、本質安全防爆が要求される。図20に示したバックライトとして冷陰極管を用いたものは、冷陰極線管253に高圧が印加されるため、本質安全防爆には適さない。コントロールユニット3側に設けられるLCDモニタ74としては、図21に示したバックライトとしてLEDを用いたものを使う必要がある。特に、メインユニット1側が、Zone2で使用するType−n機器とするならば、LCDモニタは、ia機器又はib機器に該当する本質安全防爆機器ではなく、Zone2に対応するType−nLCDモニタであってもよい。
【0161】
(5)第5の実施形態
図22は、本発明の第5の実施形態を示すものである。この実施形態は、スコープユニット2として、コントロールユニットのないもへの適用例である。すなわち、前述までの実施形態では、スコープユニット2は、コントロールユニット3と、挿入部4と、光学アダプタ8とからなり、コントロールユニット3で、各種の操作が行えるようになっている。
【0162】
これに対して、この例では、メインユニット1からスコープコネクタ5を介して、挿入部4が延出されており、操作は、全て、メインユニット1側で行うようになっている。また、メインユニット1内には、各種の操作を行うためのスイッチ53が設けられている。また、挿入部4の先端の湾曲部9を動かすためのモータ71や、モータドライブボード72は、スコープコネクタ5に設けられている。
【0163】
この実施形態も、第1の実施形態と同様に、スコープコネクタ5にバリア回路64を設けるようにしている。したがって、バリア回路64から先に延出する部分、すなわち、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。
【0164】
(6)第6の実施形態
図23は、本発明の第6の実施形態を示すものである。前述の第1から第5の実施形態では、バリア回路64がスコープコネクタ5内に設けられていたのに対して、この実施形態では、バリア回路64がコントロールユニット3内に設けられている。
【0165】
第1の実施形態では、スコープコネクタ5に、CCDドライブボード61、DSPボード62、LEDドライブボード63が配設されている。これに対して、この第6の実施形態では、コントロールユニット3内に、CCDドライブボード61、DSPボード62、LEDドライブボード63が配設されている。そして、その後段に、バリア回路64が配設されている。
【0166】
バリア回路64から先に延出する部分が本質安全防爆となることから、この第6の実施形態では、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。第1の実施形態では、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となるのに対して、この実施形態では、コントロールユニット3は本質安全防爆ではなくなる。しかしながら、この実施形態では、スコープコネクタ5は、単に、メインユニット1とスコープユニット2とを結合するコネクタとなっていればよく、構成を簡単化できる。また、コントロールユニットにLCDを取り付けることもできる。
【0167】
(7)第7の実施形態
図24は、本発明の第7の実施形態を示すものである。前述の第1から第5の実施形態では、バリア回路64がスコープコネクタ5内に設けられ、また、第6の実施形態では、バリア回路64がコントロールユニット3内に設けられているのに対して、この実施形態では、バリア回路64がメインユニット1内に設けられる。
【0168】
第1の実施形態では、スコープコネクタ5に、CCDドライブボード61、DSPボード62、LEDドライブボード63が配設されている。これに対して、この第7の実施形態では、メインユニット1内に、CCDドライブボード61、DSPボード62、LEDドライブボード63が配設されている。そして、その後段に、バリア回路64が配設されている。
【0169】
バリア回路64から先に延出する部分が本質安全防爆となることから、この第7の実施形態では、スコープコネクタ5、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。また、モータはスコープコネクタ内に配置してもよく、さらに、Ex−LCD(防爆対応LCD)を、コントロールユニットに取り付けられるようにしてもよい。
【0170】
(8)第8の実施形態
図25は、本発明の第8の実施形態を示すものである。この実施形態は、第7の実施形態と同様に、メインユニット1にバリア回路64を設けるようにしており、バリア回路64から先に延出する部分、すなわち、スコープコネクタ5、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。この第8の実施形態では、挿入部4の経路中に、バッファ39a〜39kを挿入したものである。この実施形態では、挿入部4の経路中に、バッファ39a〜39kを挿入したので、挿入部4が長い場合でも、必要な信号レベルを確保でき、S/N比の向上を図ることができる。
【0171】
(9)第9の実施形態
図26は、本発明の第8の実施形態を示すものである。この実施形態は、スコープユニット2として、コントロールユニットのないものへの適用例である。この例では、メインユニット1からスコープコネクタ5を介して、挿入部4が延出されており、操作は、全て、メインユニット1側で行うようになっている。また、メインユニット1内には、各種の操作を行うためのスイッチ53が設けられている。また、挿入部4の先端の湾曲部9を動かすためのモータ71や、モータドライブボード72は、メインユニット1に設けられている。
【0172】
この実施形態は、第7の実施形態と同様に、メインユニット1にバリア回路64を設けるようにしている。したがって、バリア回路64から先に延出する部分、すなわち、スコープコネクタ5、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。
【0173】
(10)第10の実施形態
図27は、本発明の第10の実施形態を示すものである。前述までの実施形態では、被検体を照射する光源として、LEDモジュール36を使用していたのに対して、この実施形態では、照明手段としてランプ光源を用いて、被検体を照射するようにしている。
【0174】
つまり、図27において、メインユニット1に、ランプ56と、このランプ56を駆動するためのランプ駆動ボード55が設けられる。ランプ駆動ボード55には、パワーボード52から電源が供給される。ランプ56からの光は、ライトガイド57を介して、光学アダプタ8に導かれる。
【0175】
この第10の実施形態は、スコープコネクタ5にバリア回路64を設けるようにしており、バリア回路64から先に延出する部分、すなわち、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。さらに、Ex−LCDを、コントロールユニットに取り付けられるようにしてもよい。
【0176】
(11)第11の実施形態
図28は、本発明の第11の実施形態を示すものである。この実施形態は、前述の第10の実施形態と同様に、メインユニット1に、ランプ56とランプ駆動ボード55とを設け、ランプ光源を用いて被検体を照射するようにしている。
【0177】
第10の実施形態では、スコープコネクタ5にバリア回路64を設けている。これに対して、この第11の実施形態では、コントロールユニット3内に、CCDドライブボード61、DSPボード62、バリア回路64が配設されている。バリア回路64から先に延出する部分が本質安全防爆となることから、この第11の実施形態では、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。
【0178】
(12)第12の実施形態
図29は、本発明の第12の実施形態を示すものである。この実施形態は、前述の第10の実施形態と同様に、メインユニット1に、ランプ56とランプ駆動ボード55とを設け、ランプ光源を用いて被検体を照射するようにしている。
【0179】
この実施形態は、スコープユニット2として、コントロールユニットのないもへの適用例である。この例では、メインユニット1からスコープコネクタ5を介して、挿入部4が延出されており、操作は、全て、メインユニット1側で行うようになっている。
【0180】
この第12の実施形態では、メインユニット1内には、各種の操作を行うためのスイッチ53が設けられている。また、挿入部4の先端の湾曲部9を動かすためのモータ71や、モータドライブボード72は、メインユニット1に設けられている。
【0181】
また、この第12の実施形態では、メインユニット1内に、CCDドライブボード61、DSPボード62が配設されている。そして、その後段に、バリア回路64が配設されている。バリア回路64から先に延出する部分が本質安全防爆となることから、この第12の実施形態では、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。
【0182】
(13)第13の実施形態
図30は、本発明の第13の実施形態を示すものである。前述までの実施形態では、挿入部4の先端にCCD撮像素子31を取り付け、このCCD撮像素子31の画像をモニタするようにしている。これに対して、この第13の実施形態では、イメージガイドにより観察画像をファイバスコープ或いはボアスコープによりメインユニットに導くようにしている。
【0183】
つまり、図30において、メインユニット1には、ビデオカメラ58が置かれる。このビデオカメラ58には、パワーボード52から電源が供給される。コントロールユニット3には、LEDドライブボード63と、バリア回路64とが設けられる。
【0184】
挿入部4の先端に、イメージガイド81が設けられ、このイメージガイド81からの画像がファイバスコープ82又はボアスコープを介して、スコープコネクタ5に導かれる。この画像がビデオカメラ58で撮影され、LCDモニタ12に表示される。
【0185】
この第13の実施形態では、コントロールユニット3内に、LEDドライブボード63が配設され、その後段に、バリア回路64が配設されている。バリア回路64から先に延出する部分が本質安全防爆となることから、この第13の実施形態では、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。
【0186】
(14)第14の実施形態
・ 図31は、本発明の第13の実施形態を示すものである。この実施形態では、上述の第13の実施形態と同様に、イメージガイドにより観察画像をファイバスコープ或いはボアスコープによりメインユニットに導くようにしている。
【0187】
前述の第13の実施形態では、コントロールユニット3内に、LEDドライブボード63及びバリア回路64が配設されているのに対して、この実施形態では、スコープコネクタ5にLEDドライブボード63及びバリア回路64が配設されており、コントロールユニット3は設けらていない。バリア回路64から先に延出する部分が本質安全防爆となることから、この第14の実施形態では、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。
【0188】
(15)第15の実施形態
図32は、本発明の第13の実施形態を示すものである。この実施形態では、上述の第13の実施形態と同様に、イメージガイドにより観察画像をファイバスコープ或いはボアスコープによりメインユニットに導くようにしている。
【0189】
前述の第13の実施形態では、コントロールユニット3内に、LEDドライブボード63及びバリア回路64が配設されているのに対して、この実施形態では、メインユニット1に、LEDドライブボード63及びバリア回路64が配設されており、コントロールユニット3は設けられていない。バリア回路64から先に延出する部分が本質安全防爆となることから、この第13の実施形態では、スコープコネクタ5、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。
【0190】
なお、図33(A)から(E)及び図34の(F)から(K)までは、上記実施形態の主構成部と仕様エリアとをまとめて示す概要図である。すなわち、図33(A)は、上記第1から第4の実施形態の概要を示すものであり、(B)は上記第5の実施形態、(C)は上記第6の実施形態、(D)は上記第7及び第8の実施形態、(E)は上記第9の実施形態の概要を示すものである。また、図34(F)は上記第10の実施形態、(G)は上記第11の実施形態、(H)は上記第12の実施形態、(I)は上記第13の実施形態、(J)は上記第14の実施形態、(K)は上記第15の実施形態の概要を示すものである。
【0191】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
本願の実施例においては、撮像素子の事例としてCCDの駆動信号や信号受信について詳しく説明したが、CMOS撮像素子等の別のセンサの駆動においても同様の考え方でエネルギー制限をかけるバリア回路を設けることで本質安全防爆を実現できる。
さらに、第10から第12の実施形態においては、メインユニット側にランプ光源を設けた構成例を示したが、ランプ光源部の代わりに、LED光源手段又はレーザ照明手段を用いて照明手段を実現してもよい。
【0192】
さらに、本願の実施形態においては、バッテリーはリチウムイオンバッテリー、鉛バッテリー、ニッケル水素バッテリーや燃料電池等の二次電池手段であれば何でもよい。
本願で示した内視鏡システムは、バッテリーを電源に採用することで、機器の機動性を増すとともに、供給可能なエネルギー総量は、バッテリーからのエネルギーからのみ取る構成にしている。
よって、ACアダプタ等からのAC電源からのエネルギー供給がなく、内視鏡システムは接地される必要がないので、異常時に供給され得るエネルギーは、バッテリーエネルギー総量だけを、IEC60079に基づく規定で考えればよく、エネルギー制限回路の構成を、小型、軽量かつ簡単に実現できている。
【0193】
さらに、本願においては、スコープユニットの先端に光学アダプタが着脱可能に取り付けられるように構成しているが、光学アダプタを着脱できないようにして、スコープユニットの挿入部と一体化するものでもよく、その場合には、スコープ先端硬質部長が短くなるなどのメリットがある。
さらに、本願においては、表示手段は、LCDパネルを用いたLCDユニットを示したが、これに限ることはなく、有機ELパネル、LEDパネル等を用いてもよい。これらの表示手段が防爆対応である場合には、防爆対応LCDとして、Zone0、1、2の危険エリアで使用することができる。特に、Zone2エリアでの利用を前提にすると、LCDユニットは、Type−n機器構造でよく、Zone0やZone1の本質安全防爆のia機器及びib機器の構造よりも、簡単で小型、軽量、かつ低コストで実現できるので使い勝手がよい。
【符号の説明】
【0194】
1:メインボード
2:スコープユニット
3:コントロールユニット
4:挿入部
5:スコープコネクタ
6:ユニバーサルケーブル
8:光学アダプタ
9:湾曲部
12:LCDモニタ
15:着色部
17:チップ部品
18:コード材
31:CCD撮像素子
32:HIC
33:HIC
34:サーミスタ
35:LEDチップ
36:LEDモジュール
41:バッテリ
42:メモリカード
51:ビデオボード
52:パワーボード
61:CCDドライブボード
62:DSPボード
63:LEDドライブボード
64:バリア回路
71:モータ
72:モータドライブボード
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントやビルのパイプのメンテナンス、ジェットエンジンの内部の検査、ボイラの内部の検査等を行うための内視鏡に関するもので、特に、爆発の可能性の高い場所での使用が可能な内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用の内視鏡装置は、メインユニットとこのメインユニットに装着されるスコープユニットとからなり、スコープユニットには可撓性の挿入チューブからなる挿入部が設けられ、この挿入部の先端にはCCD(Charge Coupled Device)撮像素子が取り付けられる。このような工業用の内視鏡を使って被検体の状態をモニタする場合には、挿入部を先端から被検体内に挿入し、被検体の状態を挿入部の先端のCCD撮像素子で撮影する。CCD撮像素子からの画像信号は、メインユニットに送られ、メインユニットのモニタ用のLCD(Liquid Crystal Display)モニタに、撮影された被検体の撮影画面が表示される。このような工業用の内視鏡装置は、プラントの各種の検査や調査、パイプのメンテナンス等に広く使われている。
【0003】
ところで、このような工業用の内視鏡装置を、可燃性の気体又は粉塵がある雰囲気中で使用する場合には、装置の構造を防爆構造とすることが好ましい。このような工業用の内視鏡装置の防爆構造としては、例えば特許文献1に示されるように、ケース内に連通する送気管を通じてケース内に導入する不燃性の気体の一部を、電気プラグの接点部分に導くようにして、コンセントに電気プラグを差し込むとき接点間にショートアークが生じて爆発することがないようにしたものが提案されている。
【特許文献1】特開昭57−211111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の防爆構造では、アークが生じる部分に不燃性の気体を導入する必要があり、装置が大型化するという問題がある。
ところで、特許文献1中にも記載されているように、爆発は、コンセントに電気プラグを差し込むときに接点間に生じるショートアークが可燃性の気体又は粉塵に引火することによって生じる。したがって、防爆のためには、可燃性の気体又は粉塵のある環境下で、アークを生じさせないようにすることが最も重要なことである。すなわち、発火源となるアークが生じないようにすれば、不燃性の気体を導入する等の複雑な防爆機構を用いなくても、爆発の危険性は殆どないということになる。
【0005】
特許文献1に示されるような光学的な内視鏡の場合には、コンセントに電気プラグを差し込むときのように、光源ランプを点灯させるための電源のオン/オフを行うときにアークが生じる。したがって、電源のオン/オフを行わないように注意を払えば、可燃性の気体又は粉塵のある環境下でも、爆発の危険性は殆どない。
【0006】
これに対して、近年の工業用内視鏡には、CCD撮像素子を駆動するための回路、CCD撮像素子からの映像信号を処理するための回路、映像信号を処理する回路等、多数の電子回路が配置されており、アークの生じるメカニズムはより複雑になってきている。したがって、電源のオン/オフ時だけ注意を払っていても、アークの発生による爆発を防ぐことはできない。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、可燃性の気体又は粉塵に囲まれた環境でも充分かつ確実に使用可能な内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、請求項1の発明は、被検体に挿入される挿入部を有するスコープユニットと、このスコープユニットが接続されるメインユニットとを備える内視鏡装置であって、前記スコープユニットに配設される回路に対するエネルギーを制限するバリア回路を備え、前記バリア回路が設けられた部分より先に延出する部分を本質安全防爆とするようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明では、前記バリア回路は、直流エネルギーの制限に対しては、少なくとも3個のツェナーダイオードと、少なくとも1個の抵抗とを用い、交流エネルギーの制限に対しては、少なくとも3個のカップリングコンデンサを用い、直流エネルギー及び交流エネルギーの制限に対しては、少なくとも3個のツェナーダイオードと、少なくとも1個の抵抗と、少なくとも3個のカップリングコンデンサと、を組み合わせたものを用いるようにし、前記本質安全防爆の部分を、防爆規定に基づくia機器としたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明では、前記バリア回路は、直流エネルギーの制限に対しては、少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、少なくとも2個のツェナーダイオードと、を用い、交流エネルギーの制限に対しては、少なくとも2個のカップリングコンデンサを用い、直流エネルギー及び交流エネルギーの制限に対しては、少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、少なくとも2個のツェナーダイオードと、少なくとも2個のカップリングコンデンサと、を組み合わせたものを用いるようにし、前記本質安全防爆の部分を、防爆規定に基づくib機器としたことを特徴とする。
なお、「少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路」とは、電流制限回路として、少なくとも1個の抵抗、又は、少なくとも2組の半導体が用いられることをいう。すなわち、「少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路」とは、少なくとも1個の抵抗を用いた電流制限回路、又は、少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路のいずれか一方の電流制限回路をいうものである。
【0011】
請求項4の発明では、直流エネルギーの制限に対しては、更に、ヒューズを挿入するようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明では、前記スコープユニットは、メインユニットに着脱可能に取り付けられるスコープコネクタを備え、前記バリア回路は、前記スコープコネクタに設けられ、前記スコープコネクタから先に延出する部分を本質安全防爆とすることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明では、前記スコープユニットは、前記挿入部の基端部に設けられたコントロールユニットを備え、前記バリア回路は、前記コントロールユニットに設けられ、前記コントロールユニットから先に延出する部分を本質安全防爆とすることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明では、前記バリア回路は、前記メインユニットに設けられ、前記メインユニットから先に延出する部分を本質安全防爆とすることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明では、スコープユニットの先端まで延びる信号線と、他の信号線とを絶縁するようにしたことを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明では、バリア回路の回路素子に、コート材を塗布するようにしたことを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明では、本質安全防爆となっている部分を識別するための識別手段を設けるようにしたことを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明では、識別手段として、色別のマーカーを設けるようにしたことを特徴とする。
【0019】
請求項12の発明では、スコープユニットの先端に撮像素子が配設され、バリア回路により、撮像素子をドライブするためのエネルギーを制限するようにしたことを特徴とする。
【0020】
請求項13の発明では、撮像素子をドライブするためのエネルギーを制限するバリア回路は、撮像素子への転送パルスのエネルギーの制限を行うと共に、波形整形のための微分回路として動作するようにしたことを特徴とする。
【0021】
請求項14の発明では、撮像素子からの撮像出力のエネルギーを制限するバリア回路は、プリアンプの前段に設けられ、マッチング抵抗として動作するようにしたことを特徴とする。
【0022】
請求項15の発明では、スコープユニットの先端に照明素子が配設され、バリア回路により、照明素子をドライブするためのエネルギーを制限するようにしたことを特徴とする。
【0023】
請求項16の発明では、照明素子をドライブするためのエネルギーを制限するバリア回路は、少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、複数個のツェナーダイオードと、から構成されるようにしたことを特徴とする。
なお、「少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路」とは、少なくとも1個の抵抗を用いた電流制限回路、又は、少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路のいずれか一方の電流制限回路をいうものである。
【0024】
請求項17の発明では、照明素子を、接地レベルに対して正側の電位と、接地レベルに対して負側の電位とで駆動するようにしたことを特徴とする。
【0025】
請求項18の発明では、スコープユニットの先端には、被検体の周辺温度を検知する温度センサが配設され、バリア回路により、温度センサの検出出力のエネルギーを制限するようにしたことを特徴とする。
【0026】
請求項19の発明では、前記温度センサの検出出力のエネルギーを制限するバリア回路は、抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、複数個のツェナーダイオードと、から構成されることを特徴とする。
なお、「抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路」とは、抵抗を用いた電流制限回路、又は、少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路のいずれか一方の電流制限回路をいうものである。
【0027】
請求項20の発明では、スコープユニットの挿入部を湾曲させるためのモータが設けられ、バリア回路により、モータをドライブするためのエネルギーを制限するようにしたことを特徴とする。
【0028】
請求項21の発明では、前記モータをドライブするためのエネルギーを制限するバリア回路は、前記モータに対する論理信号のエネルギーを制限する、抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、複数個のツェナーダイオードと、から構成されることを特徴とする。
なお、「抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路」とは、抵抗を用いた電流制限回路、又は、少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路のいずれか一方の電流制限回路をいうものである。
【0029】
請求項22の発明では、各部の操作を行うための操作スイッチが配設され、バリア回路により、スイッチからの論理信号のエネルギーを制限するようにしたことを特徴とする。
【0030】
請求項23の発明では、前記スイッチからの論理信号のエネルギーを制限するバリア回路は、抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、複数個のツェナーダイオードと、から構成されることを特徴とする。
なお、「抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路」とは、抵抗を用いた電流制限回路、又は、少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路のいずれか一方の電流制限回路をいうものである。
【0031】
請求項24の発明では、前記スコープユニットの先端に撮像素子が配設されると共に、前記メインユニットに照明手段が配設され、前記照明手段からの光が光学ガイドにより導かれて前記スコープユニットの先端から照射され、前記バリア回路により、前記撮像素子をドライブするためのエネルギーを制限するようにしたことを特徴とする。
【0032】
請求項25の発明では、スコープユニットの先端からの光学像をファイバスコープ又はボアスコープによりメインユニットに導くと共に、スコープユニットの先端に照明素子が配設され、バリア回路により、照明素子をドライブするためのエネルギーを制限するようにしたことを特徴とする。
【0033】
請求項26の発明では、前記照明素子は、LED照明手段であることを特徴とする。
【0034】
請求項27の発明では、前記メインユニットは、電源を備えており、前記電源は、二次バッテリーを用いることを特徴とする。
【0035】
請求項28の発明では、前記本質安全防爆の部分は、防爆規定に基づくZone0又はZone1の防爆仕様を満たすことを特徴とする。
【0036】
請求項29の発明では、前記本質安全防爆の部分よりも、前記メインユニット側に設けられた部分は、防爆規定に基づくZone2の防爆仕様を満たすことを特徴とする。
【0037】
請求項30の発明では、警告を発する警告手段を備え、前記温度センサの検出温度があらかじめ設定された所定の閾値に達したときに、前記警告手段により警告を発するように制御することを特徴とする。
【0038】
請求項31の発明では、前記被検体の観察画像を表示する表示手段を備え、前記表示手段は、防爆規定に基づくZone0、Zone1又はZone2の防爆仕様を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
請求項1の発明によれば、被検体に挿入される挿入部を有するスコープユニットと、このスコープユニットが接続されるメインユニットとを備える内視鏡装置であって、前記スコープユニットに配設される回路に対するエネルギーを制限するバリア回路を備え、前記バリア回路が設けられた部分より先に延出する部分を本質安全防爆とするようにしているので、可燃性ガス又は粉塵の存在する機器の内部(例えば、ガソリンタンク、プラント、エンジンの内部等)、爆発の危険性のある場所での観察が可能になる。
【0040】
ここで、防爆について説明する。防爆については、IEC、ATEX(ヨーロッパ)、FM(アメリカ)、CSA(カナダ)、TIIS(日本)等で規格化され、検定機関によって防爆機器として検定される。本明細書においては、IECの規格(IEC60079)に基づいて説明する。ただし、他の各国の規格と実質的に対応する部分については、他の各国の規格にも適用可能であり、他の規格を排除するものではないことは言うまでもない。
【0041】
爆発のメカニズムについて考察すると、爆発は、可燃性ガス又は粉塵と、酸素とがあるような環境下で、着火源による温度上昇に誘発されて生じる。例えば、ガソリンタンク、プラント、エンジンの内部では、燃料が可燃性ガス又は粉塵となっており、周囲には空気がある。このような環境下では、着火源があると、爆発を引き起こす。逆に言うと、爆発の要素は、1.可燃性ガス又は粉塵と、2.酸素と、3.着火源とであり、これらの3要素のうち、1でも欠ければ、爆発は起こらない。したがって、本願では、着火源によるエネルギー引火要素を絶つことで、防爆内視鏡システムを実現する。
【0042】
IEC60079では、防爆製品についての使用場所として、Zone0、Zone1、Zone2として定義されている。Zone0が最も危険性が高く、Zone1が次に危険性が高く、Zone2がその次に危険性が高い。危険区域は、Hazardous Areaとされ、非危険区域はNon−Hazardous Areaとされる。
機器構造については、ia機器、ib機器、Type−nとして定義されている。ia機器が最も爆発に対して信頼性が高く、ib機器がその次である。ia機器は、Zone0、Zone1で使用可能であり、ib機器は、Zone1エリアでのみ使用可能である。Zone0又はZone1エリアで使用可能な機器は、本質安全防爆と呼ばれている。Type−n機器は、Zone2で使用可能である。
【0043】
請求項2の発明によれば、前記バリア回路は、直流エネルギーの制限に対しては、少なくとも3個のツェナーダイオードと、少なくとも1個の抵抗とを用い、交流エネルギーの制限に対しては、少なくとも3個のカップリングコンデンサを用い、直流エネルギー及び交流エネルギーの制限に対しては、少なくとも3個のツェナーダイオードと、少なくとも1個の抵抗と、少なくとも3個のカップリングコンデンサとを組み合わせたものを用いるようにし、前記本質安全防爆の部分を、防爆規定に基づくia機器としているので、信頼性の高い防爆が可能になる。
【0044】
請求項3の発明によれば、前記バリア回路は、直流エネルギーの制限に対しては、少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、少なくとも2個のツェナーダイオードと、を用い、交流エネルギーの制限に対しては、少なくとも2個のカップリングコンデンサを用い、直流エネルギー及び交流エネルギーの制限に対しては、少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、少なくとも2個のツェナーダイオードと、少なくとも2個のカップリングコンデンサと、を組み合わせたものを用いるようにし、前記本質安全防爆の部分を、防爆規定に基づくib機器としているので、信頼性の高い防爆が可能になる。
【0045】
請求項4の発明によれば、直流エネルギーの制限に対しては、更に、ヒューズを挿入するようにしている。本質安全防爆部側に流れ込む直流エネルギーを制御することができるので、ツェナーダイオードとして、定格電力の小さなものを用いることができる。
【0046】
請求項5の発明によれば、前記スコープユニットは、メインユニットに着脱可能に取り付けられるスコープコネクタを備え、前記バリア回路は、前記スコープコネクタに設けられ、前記スコープコネクタから先に延出する部分を本質安全防爆とすることで、コントロールユニット、挿入部、光学アダプタの部分を本質安全防爆とすることができる。
【0047】
請求項6の発明によれば、前記スコープユニットは、前記挿入部の基端部に設けられたコントロールユニットを備え、前記バリア回路は、前記コントロールユニットに設けられ、前記コントロールユニットから先に延出する部分を本質安全防爆とすることで、挿入部、光学アダプタの部分を本質安全防爆とすることができる。
【0048】
請求項7の発明によれば、前記バリア回路は、前記メインユニットに設けられ、前記メインユニットから先に延出する部分を本質安全防爆とすることにより、スコープコネクタ、挿入部、光学アダプタの部分を本質安全防爆とすることができる。
【0049】
請求項8の発明によれば、スコープユニットの先端まで延びる、CCDへの送受信号、LED駆動信号、サーミスタ信号等の信号線と、コントロールユニットに供給する、モータ駆動信号、スイッチ信号、映像信号等の他の信号線とを絶縁するようにしているので、スコープユニットとコントロールユニット信号群とのエネルギー絶縁分離が行える。
【0050】
請求項9の発明によれば、バリア回路の回路素子に、コート材を塗布するようにしているので、本質安全防爆側とそれ以外の部分を分離するために必要な沿面距離を小さくすることができ、バリア回路の面積を小さくすることができる。そのため、機器の小型化を実現することができる。
【0051】
請求項10の発明によれば、本質安全防爆となっている部分を識別するための識別手段を設けるようにしているので、ユーザは、本質安全防爆部分を容易に認識することができる。
【0052】
請求項11の発明によれば、識別手段として、色別のマーカーを塗布するようにしているので、ユーザは、本質安全防爆部分を一見して認識することができる。
【0053】
請求項12の発明によれば、スコープユニットの先端に撮像素子が配設され、バリア回路により、撮像素子をドライブするためのエネルギーを制限するようにしているので、撮像素子のエネルギーを制限できる。
【0054】
請求項13の発明によれば、撮像素子をドライブするためのエネルギーを制限するバリア回路は、撮像素子への転送パルスのエネルギーの制限を行うと共に、波形整形のための微分回路として動作するようにしているので、エネルギーの制限の回路を他の回路と兼用することができる。
【0055】
請求項14の発明によれば、撮像素子からの撮像出力のエネルギーを制限するバリア回路は、プリアンプの前段に設けられ、CCDVideoOut信号のスコープケーブルを伝送するマッチング抵抗として動作するようにしているので、エネルギーの制限の回路を他の回路と兼用することができる。
【0056】
請求項15の発明によれば、スコープユニットの先端に照明素子が配設され、バリア回路により、照明素子をドライブするためのエネルギーを制限するようにしているので、照明素子に流入するエネルギーを引火エネルギーよりも小さくすることができる。
【0057】
請求項16の発明によれば、照明素子をドライブするためのエネルギーを制限するバリア回路は、少なくとも1個の抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、複数個のツェナーダイオードと、から構成されるようにしているので、少なくとも単一故障状態であっても、エネルギー制限バリア回路は有効となる。
【0058】
請求項17の発明によれば、LED照明素子を、接地レベルに対して正側の電位と、接地レベルに対して負側の電位とで駆動するようにているので、接地レベルからのLEDの駆動電圧を下げることができる。これにより、バリア回路に必要とされるツェナーダイオードのVzツェナー電圧も、正電源のみ又は負電源のみの場合と比較して、低く設定することができる。
【0059】
請求項18の発明によれば、スコープユニットの先端には、被検体の周辺温度を検知する温度センサが配設され、バリア回路により、温度センサの検出出力のエネルギーを制限するようにしているので、温度センサに流入するエネルギーを引火エネルギーよりも小さくすることができる。
【0060】
請求項19の発明によれば、温度センサの検出出力のエネルギーを制限するバリア回路は、抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、複数個のツェナーダイオードと、構成されているので、温度センサに流入するエネルギーを引火エネルギーよりも簡単に小さくすることができる。
【0061】
請求項20の発明によれば、スコープユニットの挿入部を湾曲させるためのモータが設けられ、バリア回路により、モータをドライブするためのエネルギーを制限するようにしているので、モータに流入するエネルギーを引火エネルギーよりも小さくすることができる。
【0062】
請求項21の発明によれば、モータをドライブするためのエネルギーを制限するバリア回路は、モータに対する論理信号のエネルギーを制限する、抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、複数個のツェナーダイオードと、から構成されているので、モータに流入するエネルギーを引火エネルギーよりも小さくすることができる。
【0063】
請求項22の発明によれば、各部の操作を行うための操作スイッチが配設され、バリア回路により、スイッチからの論理信号のエネルギーを制限するようにしているので、論理レベルを壊すことなく、スイッチに流入するエネルギーを引火エネルギーよりも小さくすることができる。
【0064】
請求項23の発明によれば、スイッチからの論理信号のエネルギーを制限するバリア回路は、抵抗又は少なくとも2組の半導体を用いた電流制限回路と、複数個のツェナーダイオードと、から構成されているので、論理レベルを壊すことなく、スイッチに流入するエネルギーを引火エネルギーよりも簡単に小さくすることができる。
【0065】
請求項24の発明によれば、スコープユニットの先端に撮像素子が配設されると共に、メインユニットに照明手段が配設され、照明手段からの光が光学ガイドにより導かれてスコープユニットの先端から照射され、バリア回路により、撮像素子をドライブするためのエネルギーを制限するようにしているので、ランプを使った内視鏡の本質安全防爆が実現できる。
【0066】
請求項25の発明によれば、スコープユニットの先端からの光学像をファイバスコープ又はボアスコープによりメインユニットに導くと共に、スコープユニットの先端に照明素子が配設され、バリア回路により、照明素子をドライブするためのエネルギーを制限するようにているので、ファイバスコープやボアスコープの内視鏡の本質安全防爆が実現できる。
【0067】
請求項26の発明によれば、照明素子がLED照明手段であることから、消費電力を抑制しつつ、被検体を確実に照明することができる。
【0068】
請求項27の発明によれば、メインユニットが電源を備えており、その電源は二次バッテリーを用いていることから、電源を確実に供給することができるだけでなく、簡便性を向上させることができる。
【0069】
請求項28の発明によれば、本質安全防爆の部分が、防爆規定に基づくZone0又はZone1の防爆仕様を満たすことから、可燃ガス又は粉塵環境下でも確実に使用することができる。
【0070】
請求項29の発明によれば、本質安全防爆の部分よりもメインユニット側に設けられた部分は、防爆規定に基づくZone2の防爆仕様を満たすことから、構成を簡易にしつつ、可燃ガス又は粉塵環境下でも確実に使用することができる。
【0071】
請求項30の発明によれば、警告を発する警告手段を備え、温度センサの検出温度があらかじめ設定された所定の閾値に達したときに、前記警告手段により警告を発するように制御することから、ユーザに注意を喚起することができる。
【0072】
請求項31の発明によれば、被検体の観察画像を表示する表示手段を備え、表示手段が防爆規定に基づくZone0、Zone1又はZone2の防爆仕様を満たすことから、可燃ガス又は粉塵環境下でも確実に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置におけるコントロールユニットの外観構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置における挿入部の先端の構成を説明するための斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置を爆発危険領域で使用する場合の説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるCPUビデオボードの構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるパワーボードの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第1の実施形態におけるCCDドライブボード及びDSPボードの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第1の実施形態におけるLEDドライブボードの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第1の実施形態における挿入部の先端部における回路構成の説明に用いる接続図である。
【図11】本発明の第1の実施形態におけるバリア回路の説明に用いる接続図である。
【図12】本発明の第1の実施形態におけるバリア回路の説明に用いる接続図である。
【図13】エネルギー制限回路の説明に用いる接続図である。
【図14】エネルギー制限回路の説明に用いる接続図である。
【図15】本質安全防爆部分を示す識別手段の説明に用いる斜視図である。
【図16】バリア回路のコート処理の説明に用いる平面図及び断面図である。
【図17】本発明の第2の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の第3の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図19】本発明の第4の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図20】冷陰極線管を用いたLCDモニタの説明に用いるブロック図である。
【図21】LCDを用いたLCDモニタの説明に用いるブロック図である。
【図22】本発明の第5の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図23】本発明の第6の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図24】本発明の第7の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図25】本発明の第8の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図26】本発明の第9の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図27】本発明の第10の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図28】本発明の第11の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図29】本発明の第12の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図30】本発明の第13の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図31】本発明の第14の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図32】本発明の第15の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図33】上記第1から第9の実施形態の主構成部と仕様エリアとをまとめて示す概要図である。
【図34】上記第10から第15の実施形態の主構成部と仕様エリアとをまとめて示す概要図である。
【図35】サーミスタによって検出されるスコープ環境温度と、警告手段による警告表示の様子をグラフで示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(1)第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の概要を示すものである。図1において、メインユニット1は、内視鏡装置全体の制御を行っている。メインユニット1の天面には、各種設定を行うためのフロントパネル11が設けられる。また、メインユニット1の側面には、モニタ画像を表示するためのLCDモニタ12が取り付けられている。メインユニット1には、ベルト13が装着可能となっており、ユーザが肩から吊り下げて、ハンズフリーで作業が行えるようになっている。
【0075】
スコープユニット2は、コントロールユニット3と、コントロールユニット3に取り付けられた挿入部4と、挿入部4の先端に着脱可能な光学アダプタ8からなる。コントロールユニット3は、スコープコネクタ5により、メインユニット1に着脱可能に取り付けられる。本発明の第1の実施形態においては、後に説明するように、スコープコネクタ5内に、エネルギーの制限するためのバリア回路が設けられている。メインユニット1とコントロールユニット3との間は、ユニバーサルケーブル6で接続される。
【0076】
挿入部4の先端には、CCD撮像素子が取り付けられている。挿入部4は、各種の被検体を撮影できるように、可撓性を有している。
【0077】
また、挿入部4の先端部には湾曲部9が設けられる。コントロールユニット3内にはモータが設けられており、このモータにより、湾曲部9が上下左右に湾曲可能とされている。湾曲部9を湾曲させることにより、撮影方向を自在に設定することができる。
【0078】
また、挿入部4の先端には、光学アダプタ8が着脱可能に取り付けられる。光学アダプタ8としては各種の光学性能のものが用意されており、光学アダプタ8を交換することで、異なる視野角、視野方向、明るさ、観察深度等を変更することができる。
【0079】
コントロールユニット3は、ユーザの指令に基づいて、内視鏡装置の操作を行う部分である。図2に示すように、コントロールユニット3にはグリップ部21が形成されている。ユーザは、このグリップ部21を把持して、内視鏡の操作を手元で行えるようになっている。
【0080】
コントロールユニット3には、図2(A)に示すように、ジョイスティック22、ズームレバー23、明るさ調整レバー24、ブーストボタン25が配設されている。ジョイスティック22は、挿入部4の先端の湾曲部9の方向を操作するのに用いられる。ブーストボタン25はゲイン変更用のボタンである。
【0081】
また、コントロールユニット3の側面には、図2(B)に示すように、フリーズ録画ボタン26が配設される。フリーズ録画ボタン26を押すと、そのときのスチル画像が取り込まれ、記録される。
【0082】
図3は、挿入部4の先端及び光学アダプタ8の構成を示すものである。図3(A)に示すように、挿入部4の先端には、CCD撮像素子31、ハイブリッド集積回路(以下、HICと略称する)32及び33、サーミスタ34が配設される。HIC32はCCD撮像素子31の出力信号に対するバッファが実装されている。HIC33には、水平転送パルスを波形整形するコンパレータが実装されている。サーミスタ34は、スコープ先端部の周囲温度を検出するために設けられる。
【0083】
これらの電子回路に対して信号や電源を伝送する配線は、挿入部4内に収納されており、図1に示すように、ユニバーサルケーブル6、スコープコネクタ5を介して、メインユニット1に接続されている。後に説明するように、スコープコネクタ5にはバリア回路が設けられており、これらの電子回路に対して信号や電源に過剰なエネルギーが伝送されることが阻止されている。これにより、爆発の危険性のある環境下での使用が可能となる。
【0084】
光学アダプタ8には、図3に示すように、複数のLEDチップ35、35、…が実装されたLEDモジュール36が設けられる。このLEDチップ35、35、…を点灯させることで、被検体が照射される。
【0085】
光学アダプタ8には、接点37a、37bが設けられる。接点37a、37bは、LEDモジュール36に接続されている。一方、挿入部4の先端には、接点38a及び38bが設けられる。挿入部4の先端に光学アダプタ8を装着する際には、図3(B)に示すように、接点38a及び38bと、接点37a、37bとを接触させ、図3(C)に示すように、挿入部4の先端に光学アダプタ8が固定される。これにより、LEDモジュール36に配設されたLEDチップ35、35、…に電源が供給される。
【0086】
図4は、本発明の第1実施形態の内視鏡装置の爆発の危険性のある環境下での使用方法の概要を示すものである。
【0087】
先ず、図4(A)に示すように、セットアップを行う。セットアップは、具体的には、メインユニット1に、バッテリー41やメモリカード42を装着したり、スコープコネクタ5によりメインユニット1とスコープユニット2とを接続したり、挿入部4の先端に光学アダプタ8を取り付けたりする作業である。このようなセットアップの作業は、必ず、爆発の危険性のないエリア(Non−hazardousエリア)で行う。
【0088】
図4(B)に示すように、セットアップが完了したら、内視鏡装置を爆発の危険性のあるエリアの近傍に移動する。そして、図4(C)に示すように、スコープユニット2を暴爆 の危険性のあるエリア内(Zone0又はZone1エリア)に配し、被検体の撮影を行う。このとき、図4(C)に示すように、メインユニット1は、爆発の危険性のないエリア(Non−hazardousエリア)又は爆発の危険性の小さいエリア(Zone2エリア)に置かれる。
【0089】
また、バッテリー41、メモリカード42、光学アダプタ8等の機器を交換したり、スコープユニット2を外したりする作業を行う場合には、図4(D)に示すように、内視鏡装置を必ず、爆発の危険性のないエリア(Non−hazardousエリア)に移動して作業を行う。
【0090】
図5は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の内部構成を示すブロック図である。図5において、メインユニット1には、CPU(Central Processing Unit)ビデオボード51、パワーボード52が配設されている。また、メインユニット1には、バッテリー41が装着される。
【0091】
CPUビデオボード51は、内視鏡装置全体の制御を行っている。また、CPUビデオボード51は、撮影された画像の信号処理や、画像信号の記録、再生の制御を行っている。また、CPUビデオボード51は、計測等の処理を行っており、サーミスタ34で計測された環境温度を計測する処理を行っている。また、メインユニット1には、LCDモニタ12が取り付けられる。LCDモニタ12は、撮影された画像を表示するものである。
【0092】
パワーボード52は、バッテリー41からの電源を基に、各種のボードに必要な電源を供給している。
【0093】
スコープコネクタ5は、メインユニット1とスコープユニット2(コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8)とを接続するものである。スコープコネクタ5には、CCDドライブボード61、DSP(Digital Signal Processor)ボード62、LEDドライブボード63と、バリア回路64が設けられる。
【0094】
CCDドライブボード61は、水平転送パルスや垂直転送パルス等、CCD撮像素子31を駆動するのに必要な各種の信号や電源を形成している。DSPボード62は、CCD撮像素子31からの撮像信号の信号処理を行っている。LEDドライブボード63は、LEDモジュール36の駆動を行っている。バリア回路64は、スコープユニット2(コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8)に配設されている各回路(モータドライブボード72、モータ71、CCD撮像素子31、サーミスタ34、HIC32及び33、LEDモジュール36)に対するエネルギーを制限するものである。
【0095】
このように、スコープユニット2に配設されている各回路に対するエネルギーを制限するバリア回路64が設けられているため、バリア回路64の位置より先端に延出している部分、この例ではコントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。
【0096】
コントロールユニット3には、モータ71と、モータドライブボード72と、スイッチ73とが設けられる。モータ71は、挿入部4の先端の湾曲部9を湾曲させるためのものである。モータ71としては、スパークが生じることがないように、例えばブラシレスモータを使用するのが望ましいが、モータ駆動エネルギーが小さければブラシモータであってもよい。モータドライブボード72は、このモータ71を駆動するものである。スイッチ73は、ユーザにより設定される各種のボタンやスイッチ(ジョイスティック22、ズームレバー23、明るさ調整レバー24、ブーストボタン25、フリーズ録画ボタン26等)に対応している。
【0097】
挿入部4には、その先端に、CCD撮像素子31、HIC32及び33、サーミスタ34が配設される。CCD撮像素子31は、被検体の光学画像を電気信号に光電変換するものである。HIC32は、CCD撮像素子31からの撮像出力に対するバッファである。HIC33は、CCD撮像素子31に対する水平転送パルスを波形整形するものである。サーミスタ34は、周囲温度を測定するものである。
【0098】
光学アダプタ8には、LEDモジュール36、レンズ40が配設される。LEDモジュール36は、被検体の近傍を照射するものである。
【0099】
図6はCPUビデオボード51の構成を示すものである。図6に示すように、CPUビデオボード51には、CPU101が設けられる。CPU101のバス102には、メモリ103、OSD(On Screen Display)回路104、A/Dコンバータ111、エンコーダ106が接続される。OSD回路104は画面に各種の表示信号を重畳するものである。デコーダ105は、YCrCbの画像データをRGB等の画像データにデコードするものである。エンコーダ106はRGB等の画像データを標準方式(NTSC等)の画像データにエンコードするものである。
【0100】
また、CPU101には、ROM(Read Only Memory)107、メモリカード42、シリアルインターフェース109が接続される。メモリカード42は、撮影画像を保存するのに用いられる。シリアルインターフェース109は、パーソナルコンピュータ等の外部機器と接続するためのものである。CPU101には、RTC(Real Time Clock)回路110からクロックが供給される。RTC回路101は、時間管理を行うものである。
【0101】
また、CPU101には、サーミスタ34の検知出力がA/Dコンバータ113を介して供給される。また、CPU101からはモータ制御信号が出力され、このモータ制御信号がバッファ114を介して、モータドライブボード72に向けて出力される。また、CPUビデオボード51には、DC/DCコンバータ115が設けられる。
【0102】
図7はパワーボード52の構成を示すものである。パワーボード52は、図7に示すように、バッテリー41から各部の電源を形成するためのDC/DCコンバータ121が設けられる。また、バッテリー41からの電源ライン中には、ヒューズ122が設けられる。
【0103】
図8は、CCDドライブボード61及びDSPボード62の構成を示すものである。図8に示すように、CCDドライブボード61は、クロック発振器131と、タイミング信号発生回路132とが設けられる。タイミング信号発生回路132により、CCD撮像素子をドライブするための各種の信号(垂直パルスV1〜V4、水平転送パルスHPLS、リセットパルスRST、サブパルスSub)が形成される。CCD撮像素子31を駆動するためのCCD電源部(Vcc、Vdd及びSHD)134がある。水平パルスを波形成形するコンパレータの基準電圧であるSHD(スレッシュ・ホールド電圧)がある。これらの電源や信号は、バッファ133a〜133gを介して、CCD撮像素子31に向けて出力される。
【0104】
DSPボード62は、図8に示すように、プリアンプ141と、A/Dコンバータ142と、映像信号処理回路143と、D/Aコンバータ144とが設けられる。DSPボード62には、CCDドライブボード61からクロックが供給される。CCD撮像素子31からの撮像信号がプリアンプ141で増幅され、A/Dコンバータ142でディジタルデータに変換される。そして、映像信号処理回路143で、欠陥補正、ホワイトバランス補正等の処理が行われる。また、映像信号処理回路143で、撮像信号から、YCrCbの画像データに変換される。この画像データはD/Aコンバータ144でアナログ信号に変換されて出力される。
【0105】
図9は、LEDドライブボード63の構成を示すものである。LEDドライブボード63には、DC/DCコンバータ151、定電流回路152及び153、バッファ154及び155が設けられる。DC/DCコンバータ151は、LEDの正側の駆動電圧と、LEDの負側の駆動電圧とを形成している。定電流回路152はLEDの正側の駆動電流を設定し、定電流回路153はLEDの負側の駆動電流を設定している。
【0106】
なお、LEDの駆動電流を接地レベルに対して、正側と負側に設定しているのは、防爆のためである。つまり、通常、LEDの駆動電圧がVfであれば、LEDには、接地レベルに対してVfの電圧を与えるようにしている。これに対して、この実施形態では、LEDに対して、+Vf/2と、−Vf/2を与えるようにしている。このようにすると、LEDに印加される電圧はVfで同じでも、接地レベルからの電圧は1/2となり、防爆に有利になる。例えば、IEC60079−11の本質安全防爆構造の規格において、+30Vを越えると、バリア回路の沿面距離での制限が厳しくなるので、例えば、±20V以下が望ましく、±15Vで扱うので防爆規定上有利となる。
【0107】
図10は、挿入部4の先端の構成を示すものである。図10において、HIC33には、SHD電源の入力端子、水平転送パルスHPLSの入力端子、Vdd電源の入力端子、接地端子、水平転送パルスの出力端子が設けられる。HIC33は、コンパレータにより入力された水平転送パルスを波形整形して出力する。この水平転送パルスは、CCD撮像素子31に水平転送パルス入力端子に供給される。
【0108】
また、CCD撮像素子31には、CCDドライブボード61から、Vcc電源、4本の垂直転送パルスV1〜V4、リセットパルスRSTと、サブパルスSubが直接供給される。
【0109】
HIC32には、Vcc電源の入力端子、CCDOut信号の入力端子、接地端子、CCDビデオ信号の出力端子が設けられる。CCD撮像素子31からの出力信号は、HIC32に入力される。そして、HIC32を構成するバッファを介して、出力され、DSPボード62に向けて送られる。
【0110】
この図5に示す本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の動作について説明する。
【0111】
図5において、光学アダプタ8のレンズを介して取り込まれた被検体の像光は、挿入部4の先端のCCD撮像素子31の受光面に結像される。CCD撮像素子31は、CCDドライブボード61からの垂直転送パルスV1〜V4、及びCCDドライブボード61からHIC33を介して送られる水平転送パルスHPLSにより駆動される。CCD撮像素子31からは、撮像信号が出力される。この撮像信号は、HIC32を介して、DSPボード62に送られる。
【0112】
図8に示したように、DSPボード62で、CCD撮像素子31からの撮像信号がプリアンプ141で増幅され、A/Dコンバータ142でディジタルデータに変換される。そして、映像信号処理回路143で、欠陥補正、ホワイトバランス補正等の処理が行われる。また、映像信号処理回路143で、撮像信号から、YCrCbの画像データに変換される。この画像データはD/Aコンバータ144でアナログ信号に変換されて出力される。
【0113】
図5において、DSPボード62の出力信号は、CPUビデオボード51に供給される。図6に示すように、DSPボード62からの画像信号は、デコーダ105に送られ、デコーダ105でRGB等の画像信号に変換される。この画像信号は、A/Dコンバータ111でディジタル化され、バス102に送出され、メモリ103に一旦格納される。
【0114】
メモリ103に格納された画像データに対して、各種の信号処理が施される。この画像データはバス102を介してエンコーダ106に送られる。エンコーダ106で、RGB画像データが標準方式の画像データに変換される。この画像データがD/Aコンバータ112でアナログ信号に変換されて出力され、LCDモニタ12に送られる。
【0115】
また、画像を取り込む場合には、メモリ103に格納された画像データが読み出され、メモリカード42に送られ、この画像データがメモリカード42に記録される。
【0116】
次に、本発明の第1の実施形態におけるバリア回路64について詳述する。前述したように、バリア回路64は、スコープコネクタ5内に設けられ、スコープユニット2に配された電子回路に対して、過剰なエネルギーが伝送されることを阻止している。バリア回路64は、基板上で本質安全側と分離するために、回路状の沿面距離を確保するようにしている。
【0117】
図11及び図12は、バリア回路64の一例を示すものである。先ず、サーミスタ34に対するライン(図5におけるラインL3)には、バリア回路64において、図11(A)に示すように、高抵抗201を挿入して、エネルギーを制限する。なお、サーミスタ34は、温度による抵抗値の変化を検知して、温度を計測している。このため、電位の変化を検知できるようなエネルギー制限回路を使うようにしている。このときのサーミスタのエネルギー制限回路の抵抗は、サーミスタの変化抵抗値に対応して選ぶのがよく、例えば1kΩから10kΩなどが適当である。また、電圧を制限するために3つのツェナーダイオード240a,240b,240cと、抵抗201の定格電力を制限する抵抗201−2が接続される。
【0118】
Vcc電源に対するライン(図5におけるラインL10)には、バリア回路64において、図11(B)に示すように、ヒューズ202、3個のツェナーダイオード203a、203b、203c、抵抗204を挿入して、直流エネルギーの制限を施す。
【0119】
ここで、ヒューズ202、3個のツェナーダイオード206a,206b,206c及び抵抗204の選び方について説明する。3個のツェナーダイオード206a,206b,206cのツェナー電圧Vzは、Vcc+15Vよりブレークダウン電圧に達することなく、通常の回路動作状態では、Vcc+15VがL7に出力されるようツェナー電圧Vzを選ぶ。例えば、この図11(A)の例では、Vz=18Vのツェナーを選ぶとよい。
ヒューズ202の値は、通常回路動作ではヒューズが切れることはない。Vcc+15V端子に異常電圧が印加されたときには、ヒューズ202が働き、ツェナーダイオード206a,206b,206cのツェナー電圧Vzの定格内に抑えるように機能する。例えば、通常動作電流が10mA程度の場合には、ヒューズ定格が50mA程度のものを選ぶとよい。
【0120】
抵抗204は、Vcc+15V端子に異常電圧が印加されたときに、ツェナーダイオード206a,206b,206cにより発生したツェナー電圧を抵抗により制限するものである。抵抗値が大きいほど電流を制限することができるが、抵抗値を大きくすると通常動作時の抵抗204による電位降下が問題になる。よって、異常時のエネルギーを制限しつつ、通常動作時の電位降下を少なくする必要がある。例えば、抵抗204を100Ω前後の値を用いることで、前記異常時のエネルギー制限と通常時の電位降下を適度な値にするのでよい。
上記例で、このVcc+15Vラインから印加されるエネルギーを例示すると、 ヒューズ202=50mA
3個のツェナーダイオード206a,206b,206c=18V定格(最大18.9V)、
抵抗204=82Ωの場合は、
18.9V/82Ω=230mAが防爆規定上の流れ込む最大電流値(防爆規定計算上はヒューズ202の50mAで制限しない)となる。
18.9V×230mA=4347mWとなり、約4WのエネルギーがVcc+15Vラインに流れ込む設計になる。
【0121】
Vdd電源に対するライン(図5におけるラインL7)には、バリア回路64において、図11(C)に示すように、ヒューズ205、3個のツェナーダイオード206a、206b、206c、抵抗207を挿入して、直流エネルギーの制限を施す。
上記Vcc+15Vのところで説明したのと同じ考えで、Vdd+6Vに関してもヒューズ、ツェナーダイオード、抵抗値を選ぶ。ただし、Vddは電圧が6Vなので、ツェナー電圧は定格で7.2V程度のものを使うのが適当である。さらに、このラインから印加されるエネルギーは、上記Vcc+15Vで説明したのと同じ考えで計算できる。
【0122】
SHD電源に対するライン(図5におけるラインL9)には、バリア回路64において、図11(D)に示すように、ヒューズ208、3個のツェナーダイオード209a、209b、209c、抵抗210を挿入して、直流エネルギーの制限を施す。以下、ヒューズ、ツェナーダイオード、抵抗値の選び方と、このラインから印加されるエネルギー計算は前述の方法と同じである。
【0123】
水平転送パルスHPLSのライン(ラインL8)には、バリア回路64において、図11(E)に示すように、コンデンサ211a〜211c、コンデンサ212a〜212c、抵抗213からなる微分回路を、エネルギー制限回路として利用する。このとき、コンデンサ211a〜211c、コンデンサ212a〜212cは、交流エネルギーを制限する回路となる。直流エネルギーの制限は、ヒューズ241及び3つのツェナーダイオード242a,242b,242cと抵抗213の構成にて行う。これにより、交流エネルギーの制限は、3つの直列コンデンサで行い、直流エネルギーの制限は、前述(B)から(D)に示した形式のヒューズ、ツェナーダイオード、抵抗にて行う。
【0124】
リセットパルスRSTのライン(図5におけるラインL4)及び垂直転送パルスV1〜V4のライン(図5におけるラインL6)には、バリア回路64において、図11(F)に示すように、ヒューズ215、ツェナーダイオード216a、216b、216c、抵抗217を挿入して、直流バイアスの直流エネルギーの制限を施すと共に、3つのカップリングコンデンサ218a、218b、218cにより、交流成分のエネルギーを制限する。
【0125】
サブパルスSubのライン(図5におけるラインL5)には、バリア回路64において、図11(G)に示すように、ヒューズ221、ツェナーダイオード222a、222b、222c、抵抗223を挿入して、直流バイアスの直流エネルギーの制限を施すと共に、3つのカップリングコンデンサ225a、225b、225cにより、交流成分のエネルギーを制限する。
【0126】
CCD撮像素子31の出力信号のライン(図5におけるラインL11)には、バリア回路64において、図12(A)に示すように、プリアンプ229の前段に、ヒューズ226、3個のツェナーダイオード227a、227b、227c、抵抗228を挿入して、直流エネルギーの制限を施す。なお、抵抗228は、スコープコネクタ5側への入力側と、CCD撮像素子31側からの信号伝送路の出力側との整合をとるためのインピーダンスのマッチング用の抵抗としても機能している。
【0127】
正側のLED照明用のライン(図5におけるラインL12)には、バリア回路64において、図12(B)に示すように、ヒューズ230、3個のツェナーダイオード231a、231b、231c、抵抗232を挿入して、直流エネルギーの制限を施す。
【0128】
負側のLED照明用のライン(図5におけるラインL13)には、バリア回路64において、図12(C)に示すように、ヒューズ233、3個のツェナーダイオード234a、234b、234c、抵抗235を挿入して、直流エネルギーの制限を施す。なお、負電圧なのでツェナーダイオードは、他のバリア回路とは逆向きに接続されている。
【0129】
コントロールユニット3内のモータドライブボード72へ電源を送るライン(図5におけるラインL1)へは、図12(D)に示すように、ヒューズ236、3個のツェナーダイオード237a、237b、237c、抵抗238を挿入して、直流エネルギーの制限を施す。
【0130】
コントロールユニット3内のモータのオン/オフ及び各種スイッチの信号ライン(図5におけるラインL2)へは、図12(E)に示すように、高抵抗239を挿入して、かつ、3つのツェナーダイオード243a,243b,243cを入れ、高抵抗239の定格内に、電力を制限するための抵抗239−2を入れ、直流エネルギーの制限を施す。
【0131】
なお、バリア回路64中において、エネルギー制限回路として用いるヒューズは、溶断性能が保証されたバリアネットワークヒューズを使用する。例えば、Barrier Network Standards EN50020規格に適合したものを使用するのがよい。
【0132】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態では、図5に示したように、スコープコネクタ5に、各回路に対する信号や電源のエネルギーの制限を行うバリア回路64を設けて、本質安全防爆を満足するようにしている。すなわち、本発明の第1の実施形態では、バリア回路64によって、各回路に対する信号や電源のエネルギーの制限を行うことで、ショート等が発生しても、スパークが発生することがないようにしている。これにより、爆発を生じさせる要素の一つである着火源を無くすことにより、本質安全防爆を実現している。
また、本発明の第1の実施形態では、スコープユニット2については、ia機器の規格を満足して、本質安全防爆を実現している。
【0133】
なお、本発明の第1の実施形態では、図5に示したように、スコープコネクタ5に、各回路に対する信号や電源のエネルギーの制限を行うバリア回路64を設けて、本質安全防爆を満足するようにしている。このバリア回路64は、図11及び図12に示したように、直流のエネルギーを制限するものにおいては、3個のツェナーダイオードと、1個の抵抗とを設け、交流のエネルギーを制限するものにおいては、カップリングコンデンサを3個設けるようにしている。これは、3個のツェナーダイオードやカップリングコンデンサのうち、2個が破損していても、残りの1個によりエネルギーが制限されるようにするためである。これにより、ia機器の規格を満足することができる。ib機器の規格を満足するのであれば、これらは2個で良いことになる。
【0134】
バリア回路64を構成するエネルギーの制限回路は、基本的には、図13及び図14に示すような構成の組み合わせであり、図11及び図12に示したバリア回路64内の電流制限回路は、これに基づくものである。
【0135】
図13は、ia機器の規格を満足するようなエネルギー制限回路の例を示すものである。図13(A)は、直流に対するエネルギー制限回路である。図13(A)に示すように、直流に対するエネルギー制限回路では、ラインL101中に、ヒューズF1と、抵抗R1とを設ける。また、ラインL101と接地間に、3個のツェナーダイオードD1a、D1b、D1cを設ける。このように、3個のツェナーダイオードD1a、D1b、D1cを設けることで、ラインL101の電圧が上昇しないようにしている。なお、3個のツェナーダイオードD1a、D1b、D1cを設けているのは、ツェナーダイオードD1a、D1b、D1cのうちの2個が破損しても、信頼性が保てるようにして、防爆機器としてia機器の規格を満足するようにするためである。
【0136】
図13(B)は、交流に対するエネルギー制限回路である。図13(B)に示すように、交流に対するエネルギー制限回路では、ラインL102中に、3個のカップリングコンデンサC1a、C1b、C1cを設ける。このように、カップリングコンデンサC1a、C1b、C1cを設けることで、回路を直流的に遮断して、エネルギーの制限を行う。なお、3個のカップリングコンデンサC1a、C1b、C1cを設けているのは、コンデンサC1a、C1b、C1cのうちの2個が破損しても、信頼性が保てるようにして、防爆機器としてia機器の規格を満足するようにするためである。コンデンサC1a、C1b、C1cの値は、ACカップリングされて波形が歪むことのないような値のコンデンサを選定する。ACカップリングコンデンサは、最低でも耐電圧500V以上の高耐電圧セラミックコンデンサを用いる。
【0137】
図13(C)は、直流バイアスに交流成分が乗っている場合のエネルギー制限回路である。図13(C)に示すように、この場合には、抵抗R2と、3個のカップリングコンデンサC2a、C2b、C2cとが並列接続されて、ラインL103中に挿入されている。この場合、直流分については、ヒューズ244、3つのツェナーダイオード245a,245b,245c及び抵抗R2によりエネルギー制限が行われる。交流分については、カップリングコンデンサC1a、C1b、C1cにより、エネルギーの制限が行われる。
【0138】
図13(D)は、論理信号(HレベルとLレベルで示される信号)に対するエネルギー制限回路である。図13(D)に示すように、ラインL104中に抵抗R3を挿入して、エネルギー制限を行っている。かつ3つのツェナーダイオード246a,246b,246cを入れ、抵抗R3の定格電力内に電流を制限する抵抗R3−2を入れている。例えば、通常のロジック電圧+5Vから+3V程度の信号であれば、抵抗R3の抵抗値の値は、1kΩから10kΩ程度を選べばよい。
【0139】
図14は、防爆規格のib機器の規定を満足するようなエネルギー制限回路の例を示すものである。図14(A)は、直流に対するエネルギー制限回路である。図14(A)に示すように、直流に対するエネルギー制限回路では、ラインL105中に、ヒューズF2と、2つのトランジスタQ1及びQ2とからなる電流制限回路T1a、T1bとを設ける。また、ラインL105と接地間に、2個のツェナーダイオードD2a、D2bを設ける。なお、2組の電流制限回路T1a、T1bを設けているのは、電流制限回路T1a、T1bのうちの1個が破損しても、信頼性が保てるようにして、ib機器の規格を満足するようにするためである。また、2個のツェナーダイオードD2a、D2bを設けているのは、ツェナーダイオードD2a、D2bのうちの2個が破損しても、信頼性が保てるようにして、防爆機器としてib機器の規定を満足するようにするためである。
【0140】
このように、2個のツェナーダイオードD2a、D2bを設けることで、ラインL105の電圧が上昇しないようにしている。
【0141】
また、このように構成すると、電流が過剰になったときには、電流制限回路T1a、T1bにより、電流が遮断される。つまり、電流制限回路T1a、T1bにおいて、ラインL105に流れる電流が大きくなると、抵抗Rsの両端電圧が大きくなり、トランジスタQ2のVBEを越えたときに、トランジスタQ2がオンする。その結果トランジスタQ1がオフする。これにより、ラインL105に流れる電流が遮断される。ヒューズF2は、2つのツェナーダイオード及び2組のトランジスタの定格容量を越えないように設定される。なお、図14(A)においては、トランジスタを用いているが、半導体であれば、同様の機能を果たすFETでもよい。
【0142】
図14(B)は、交流に対するエネルギー制限回路である。図14(B)に示すように、交流に対するエネルギー制限回路では、ラインL106中に、2個のカップリングコンデンサC3a、C3bを設ける。このように、カップリングコンデンサC3a、C3bを設けることで、回路を直流的に遮断して、エネルギーの制限を行う。なお、2個のカップリングコンデンサC3a、C3bを設けているのは、コンデンサC3a、C3bのうちの1個が破損しても、信頼性が保てるようにして、ib機器の規格を満足するようにするためである。
【0143】
図14(C)は、直流バイアスに交流成分が乗っている場合のエネルギー制限回路である。図14(C)に示すように、この場合には、抵抗R4と、2個のカップリングコンデンサC4a、C4bcとが並列接続されて、ラインL107中に挿入されている。この場合、直流分については、ヒューズ247、2つのツェナーダイオード248a,248b及び抵抗R4により、エネルギー制限が行われる。交流分については、カップリングコンデンサC4a、C4bにより、エネルギーの制限が行われる。
【0144】
図14(D)は、論理信号(HレベルとLレベルで示される信号)に対するエネルギー制限回路である。図14(D)に示すように、ラインL108中に抵抗R5を挿入し、かつ2つのツェナーダイオード249a,249bを入れ、抵抗R5の定格電力内に電流を制限する抵抗R5−2入れている。なお、図14に示した直流エネルギーを制限するための要素部品(抵抗R4及び抵抗R5)は、電流制限回路T1aとT1bに示すような2組のトランジスタによる制限要素に置き換えることが可能である。この場合は、トランジスタを2組用いることで、部品点数が増加し、実装面積が大きくなるが、抵抗R4又は抵抗R5で生じていた通常動作時の抵抗R4及び抵抗R5による電位降下を小さくすることができるため、本質安全防爆部を駆動する回路の駆動電圧を下げることができるというメリットがある。
【0145】
以上のように、本発明の第1の実施形態では、スコープコネクタ5内にバリア回路64を設けるようにしている。このため、バリア回路64の位置より先端に延出している部分、この例ではコントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となり、爆発の危険性のある部分で使用可能となる。これにより、ジェットエンジン、プラント、ガソリンタンク等の内部の検査等を、安全かつ確実に行うことができる。
【0146】
なお、本発明の第1の実施形態では、スコープコネクタ5内にバリア回路64を設けるようにしているため、本質安全防爆となるのは、バリア回路64の位置より先端に延出している部分であり、すなわち、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。ユーザの側では、内視鏡装置を構成する各ユニットの中で、どの部分が本質安全防爆であるかどうかを認識することが必要である。
【0147】
また、ユーザ側では、使用中に、危険区域から見て、本質安全防爆部分が残り少ないことが簡単に分かれば、本質安全防爆でない部分を誤って危険区域に引っ張ってしまうことが未然に防げる。そこで、この発明の第1の実施形態では、本質安全防爆の部分と、そうでない部分とが一目して分かるように、識別手段として、カラーのマーキングを付するようにしている。更に、本質安全防爆部分が残り少ないことをマーキングにより知らせるようにしている。
【0148】
つまり、本発明の第1の実施形態の場合には、スコープコネクタ5内にバリア回路64を設けられており、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となっている。この場合には、図15に示すように、スコープコネクタ5とコントロールユニット3とを結ぶユニバーサルケーブル6中に、ここからメインユニット1側に向けては本質安全防爆部分ではないことを示すマーキングとして着色部15を設けるようにしている。これにより、着色部15からメインユニット1にかけては、本質安全防爆の部分から外れることをユーザに喚起することができる。なお、この例では、本質安全防爆部分が残り少ないことを着色により知らせるために、ユニバーサルケーブル6中にスコープコネクタ5から所定距離だけ離れた所から着色部15を設けるようにしてが、本質安全防爆部分とそうでない部分とを色分けするようにしても良い。また、着色部15は蛍光色又は明るい青色とすると、ユーザに認識されやすい。
【0149】
また、本発明の第1の実施形態では、バリア回路64に配置される回路のチップ部品に、コート材を塗布するようにしている。つまり、図16に示すように、基板16上のパターン20に、チップ部品17が半田付けにより実施される。この回路基板上に、コート材18が塗布される。コート材18としては、シリコンコーティング材が用いられる。このようなコート材を塗布することで、IEC60079−11に規定される必要な絶縁距離を確保することができる。すなわち、図16におけるパターン間のクリアランス距離Laは、例えば耐圧を30Vとした場合、コート材を塗布していない場合には、2.0mmとなる。これに対して、コート材18を塗布すると、0.7mmで良いことになる。沿面距離が0.7mmでよければ、エネルギー制限回路を構成する抵抗、ACカップリングコンデンサ及び半導体は、小型のチップ部品、例えば3216サイズ等のチップ部品を採用することができる。
【0150】
また、本発明の第1の実施形態では、挿入部4の先端に、サーミスタ34が設けられている。このサーミスタ34の温度検知出力を用いて、周辺温度が所定値以上に達したら、爆発の危険性を警告するようにしても良い。本質安全防爆部は、故障モードを想定したときに、本質安全防爆対象部の温度値が対象ガス又は粉塵の引火上限温度値以下に収まらなければいけない。よって、
(環境温度)+(故障時の温度上昇値)<引火温度値
の関係を満足する必要がある。例えば、使用環境温度が100度の場合に、引火温度の発火度を決める対象ガスがジェットエンジン燃料等に利用されるnへキサンの場合には、nへキサン の引火温度が約220度であるので、故障時の温度上昇値は100度程度に抑えなければならない。つまり、
(環境温度+100度)+(故障時の温度上昇値100度)<引火温度値220度
の関係を満足する必要がある。
【0151】
IEC60079の規定に基づけば、本質安全防爆機器の対象とするガスの発火度の温度により、適用のランクが決まっている。200度以下の発火度のガスは、ランクでT3と呼ばれる。図35においては、200度のT3リミット値以下に環境温度と温度上昇値を抑えなければならない。T3発火度をターゲットにした防爆機器を実現するためには、故障時にバリア回路により制限されたエネルギーが引き起こす温度上昇値が100度である場合、防爆仕様を満足する環境温度は100度以下にする必要がある。図35では、環境温度が100度以下の場合は防爆仕様として利用できるが、100度以上である場合には非防爆となってしまう。
【0152】
図35に示すように、サーミスタ34による検出温度が例えば100℃(閾値)を越えた場合に、警告手段によって、LCDモニタ12に警告表示したり、警告音を発したりするようにする。これにより、挿入部4の先端周辺が、所定の温度を越えたことをユーザに知らしめることができ、注意を喚起することができる。なお、警告手段としては、表示、警告音に限ることはなく、例えば、振動やランプの点灯、点滅などであってもよい。また、閾値を100℃としたが、これに限ることはなく、その温度は適宜変更可能である。
【0153】
(2)第2の実施形態
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図17は、本発明の第2の実施形態を示すものである。この実施形態は、第1の実施形態と同様に、スコープコネクタ5にバリア回路64を設けるようにしており、バリア回路64から先に延出する部分、すなわち、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。この第2の実施形態では、第1の実施形態の構成において、スコープユニット2の先端に延びる信号線と、他の信号線とを、絶縁部材19で絶縁分離して、エネルギーの分離を図るようにしている。この絶縁材については、0.5mm以上の厚みを持つケーブルを採用すると、確実にエネルギーの分離ができる。また、スコープユニット2の先端に延びる信号に対して、絶縁材をほどこしても同様の効果が得られることは言うまでもない。他の部分につい
ては、前述の第1の実施形態と同一であり、対応部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0154】
(3)第3の実施形態
図18は、本発明の第3の実施形態を示すものである。この実施形態も、第1の実施形態と同様に、スコープコネクタ5にバリア回路64を設けるようにしており、バリア回路64から先に延出する部分、すなわち、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。この第3の実施形態では、挿入部4の経路中に、バッファ39a〜39kを挿入したものである。この実施形態では、第1の実施形態と同様に、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。この実施形態では、挿入部4の経路中に、バッファ39a〜39kを挿入したので、挿入部4が長い場合でも、必要な信号レベルを確保でき、S/N比の向上を図ることができる。
(4)第4の実施形態
図19は、本発明の第4の実施形態を示すものである。この実施形態も、第1の実施形態と同様に、スコープコネクタ5にバリア回路64を設けるようにしており、バリア回路64から先に延出する部分、すなわち、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。この第4の実施形態では、コントロールユニット3にも、LCDモニタ74を配設したものである。これにより、ユーザは、コントロールユニット3のLCDモニタ74を見ながら、モニタ作業を行うことができる。
【0155】
なお、この例では、コントロールユニット3は本質安全防爆であるから、LCDモニタ74についても、本質安全防爆のものを使用する必要がある。
【0156】
つまり、LCDモニタとしては、バックライトとして冷陰極管を用いたものと、LCDをバックライトに使ったものがある。
【0157】
図20は、LEDをバックライトとして用いたLCDモニタの一例である。図20において、電源端子251に印加された電源は、インバータ252で高圧に変換され、バックライトの冷陰極線管253に供給される。これにより、冷陰極線管253が点灯制御される。なお、インパータ252は、点灯時には約2kV、通常でも約600Vの高電圧を発生する。また、電源端子251からの電源がLCD電源回路254に供給され、LCD電源回路254でパネルドライブ用の電源が形成される。入力端子255からのビデオ信号がパネルドライブ回路256に供給され、パネルドライブ回路256により、LCDパネル257がドライブされる。これにより、LCDパネル257に画像が表示される。
【0158】
図21は、LEDをバックライトとして用いたLCDモニタの一例である。図21において、電源端子261に印加された電源は、LCDドライブ回路262に供給されると共に、LCD電源回路264に供給される。LCDドライブ回路262は、LEDバックライト263に対しては、20V以下の低電圧で駆動する。LCDドライブ回路262により、LEDバックライト263がドライブされる。また、LCD電源回路264でパネルドライブ用の電源が形成される。入力端子265からのビデオ信号がパネルドライブ回路266に供給され、パネルドライブ回路266により、LCDパネル267がドライブされる。これにより、LCDパネル267に画像が表示される。
【0159】
メインユニット1側に設けられるLCDモニタ12については、メインユニット1は本質安全防爆でないので、図20に示したバックライトとして冷陰極管を用いたものでも、図21に示したLCDをバックライトに使ったものでも、同様に用いることができる。
【0160】
しかしながら、コントロールユニット3側に設けられるLCDモニタ74については、コントロールユニット3が本質安全防爆であるから、同様に、本質安全防爆が要求される。図20に示したバックライトとして冷陰極管を用いたものは、冷陰極線管253に高圧が印加されるため、本質安全防爆には適さない。コントロールユニット3側に設けられるLCDモニタ74としては、図21に示したバックライトとしてLEDを用いたものを使う必要がある。特に、メインユニット1側が、Zone2で使用するType−n機器とするならば、LCDモニタは、ia機器又はib機器に該当する本質安全防爆機器ではなく、Zone2に対応するType−nLCDモニタであってもよい。
【0161】
(5)第5の実施形態
図22は、本発明の第5の実施形態を示すものである。この実施形態は、スコープユニット2として、コントロールユニットのないもへの適用例である。すなわち、前述までの実施形態では、スコープユニット2は、コントロールユニット3と、挿入部4と、光学アダプタ8とからなり、コントロールユニット3で、各種の操作が行えるようになっている。
【0162】
これに対して、この例では、メインユニット1からスコープコネクタ5を介して、挿入部4が延出されており、操作は、全て、メインユニット1側で行うようになっている。また、メインユニット1内には、各種の操作を行うためのスイッチ53が設けられている。また、挿入部4の先端の湾曲部9を動かすためのモータ71や、モータドライブボード72は、スコープコネクタ5に設けられている。
【0163】
この実施形態も、第1の実施形態と同様に、スコープコネクタ5にバリア回路64を設けるようにしている。したがって、バリア回路64から先に延出する部分、すなわち、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。
【0164】
(6)第6の実施形態
図23は、本発明の第6の実施形態を示すものである。前述の第1から第5の実施形態では、バリア回路64がスコープコネクタ5内に設けられていたのに対して、この実施形態では、バリア回路64がコントロールユニット3内に設けられている。
【0165】
第1の実施形態では、スコープコネクタ5に、CCDドライブボード61、DSPボード62、LEDドライブボード63が配設されている。これに対して、この第6の実施形態では、コントロールユニット3内に、CCDドライブボード61、DSPボード62、LEDドライブボード63が配設されている。そして、その後段に、バリア回路64が配設されている。
【0166】
バリア回路64から先に延出する部分が本質安全防爆となることから、この第6の実施形態では、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。第1の実施形態では、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となるのに対して、この実施形態では、コントロールユニット3は本質安全防爆ではなくなる。しかしながら、この実施形態では、スコープコネクタ5は、単に、メインユニット1とスコープユニット2とを結合するコネクタとなっていればよく、構成を簡単化できる。また、コントロールユニットにLCDを取り付けることもできる。
【0167】
(7)第7の実施形態
図24は、本発明の第7の実施形態を示すものである。前述の第1から第5の実施形態では、バリア回路64がスコープコネクタ5内に設けられ、また、第6の実施形態では、バリア回路64がコントロールユニット3内に設けられているのに対して、この実施形態では、バリア回路64がメインユニット1内に設けられる。
【0168】
第1の実施形態では、スコープコネクタ5に、CCDドライブボード61、DSPボード62、LEDドライブボード63が配設されている。これに対して、この第7の実施形態では、メインユニット1内に、CCDドライブボード61、DSPボード62、LEDドライブボード63が配設されている。そして、その後段に、バリア回路64が配設されている。
【0169】
バリア回路64から先に延出する部分が本質安全防爆となることから、この第7の実施形態では、スコープコネクタ5、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。また、モータはスコープコネクタ内に配置してもよく、さらに、Ex−LCD(防爆対応LCD)を、コントロールユニットに取り付けられるようにしてもよい。
【0170】
(8)第8の実施形態
図25は、本発明の第8の実施形態を示すものである。この実施形態は、第7の実施形態と同様に、メインユニット1にバリア回路64を設けるようにしており、バリア回路64から先に延出する部分、すなわち、スコープコネクタ5、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。この第8の実施形態では、挿入部4の経路中に、バッファ39a〜39kを挿入したものである。この実施形態では、挿入部4の経路中に、バッファ39a〜39kを挿入したので、挿入部4が長い場合でも、必要な信号レベルを確保でき、S/N比の向上を図ることができる。
【0171】
(9)第9の実施形態
図26は、本発明の第8の実施形態を示すものである。この実施形態は、スコープユニット2として、コントロールユニットのないものへの適用例である。この例では、メインユニット1からスコープコネクタ5を介して、挿入部4が延出されており、操作は、全て、メインユニット1側で行うようになっている。また、メインユニット1内には、各種の操作を行うためのスイッチ53が設けられている。また、挿入部4の先端の湾曲部9を動かすためのモータ71や、モータドライブボード72は、メインユニット1に設けられている。
【0172】
この実施形態は、第7の実施形態と同様に、メインユニット1にバリア回路64を設けるようにしている。したがって、バリア回路64から先に延出する部分、すなわち、スコープコネクタ5、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。
【0173】
(10)第10の実施形態
図27は、本発明の第10の実施形態を示すものである。前述までの実施形態では、被検体を照射する光源として、LEDモジュール36を使用していたのに対して、この実施形態では、照明手段としてランプ光源を用いて、被検体を照射するようにしている。
【0174】
つまり、図27において、メインユニット1に、ランプ56と、このランプ56を駆動するためのランプ駆動ボード55が設けられる。ランプ駆動ボード55には、パワーボード52から電源が供給される。ランプ56からの光は、ライトガイド57を介して、光学アダプタ8に導かれる。
【0175】
この第10の実施形態は、スコープコネクタ5にバリア回路64を設けるようにしており、バリア回路64から先に延出する部分、すなわち、コントロールユニット3、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。さらに、Ex−LCDを、コントロールユニットに取り付けられるようにしてもよい。
【0176】
(11)第11の実施形態
図28は、本発明の第11の実施形態を示すものである。この実施形態は、前述の第10の実施形態と同様に、メインユニット1に、ランプ56とランプ駆動ボード55とを設け、ランプ光源を用いて被検体を照射するようにしている。
【0177】
第10の実施形態では、スコープコネクタ5にバリア回路64を設けている。これに対して、この第11の実施形態では、コントロールユニット3内に、CCDドライブボード61、DSPボード62、バリア回路64が配設されている。バリア回路64から先に延出する部分が本質安全防爆となることから、この第11の実施形態では、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。
【0178】
(12)第12の実施形態
図29は、本発明の第12の実施形態を示すものである。この実施形態は、前述の第10の実施形態と同様に、メインユニット1に、ランプ56とランプ駆動ボード55とを設け、ランプ光源を用いて被検体を照射するようにしている。
【0179】
この実施形態は、スコープユニット2として、コントロールユニットのないもへの適用例である。この例では、メインユニット1からスコープコネクタ5を介して、挿入部4が延出されており、操作は、全て、メインユニット1側で行うようになっている。
【0180】
この第12の実施形態では、メインユニット1内には、各種の操作を行うためのスイッチ53が設けられている。また、挿入部4の先端の湾曲部9を動かすためのモータ71や、モータドライブボード72は、メインユニット1に設けられている。
【0181】
また、この第12の実施形態では、メインユニット1内に、CCDドライブボード61、DSPボード62が配設されている。そして、その後段に、バリア回路64が配設されている。バリア回路64から先に延出する部分が本質安全防爆となることから、この第12の実施形態では、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。
【0182】
(13)第13の実施形態
図30は、本発明の第13の実施形態を示すものである。前述までの実施形態では、挿入部4の先端にCCD撮像素子31を取り付け、このCCD撮像素子31の画像をモニタするようにしている。これに対して、この第13の実施形態では、イメージガイドにより観察画像をファイバスコープ或いはボアスコープによりメインユニットに導くようにしている。
【0183】
つまり、図30において、メインユニット1には、ビデオカメラ58が置かれる。このビデオカメラ58には、パワーボード52から電源が供給される。コントロールユニット3には、LEDドライブボード63と、バリア回路64とが設けられる。
【0184】
挿入部4の先端に、イメージガイド81が設けられ、このイメージガイド81からの画像がファイバスコープ82又はボアスコープを介して、スコープコネクタ5に導かれる。この画像がビデオカメラ58で撮影され、LCDモニタ12に表示される。
【0185】
この第13の実施形態では、コントロールユニット3内に、LEDドライブボード63が配設され、その後段に、バリア回路64が配設されている。バリア回路64から先に延出する部分が本質安全防爆となることから、この第13の実施形態では、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。
【0186】
(14)第14の実施形態
・ 図31は、本発明の第13の実施形態を示すものである。この実施形態では、上述の第13の実施形態と同様に、イメージガイドにより観察画像をファイバスコープ或いはボアスコープによりメインユニットに導くようにしている。
【0187】
前述の第13の実施形態では、コントロールユニット3内に、LEDドライブボード63及びバリア回路64が配設されているのに対して、この実施形態では、スコープコネクタ5にLEDドライブボード63及びバリア回路64が配設されており、コントロールユニット3は設けらていない。バリア回路64から先に延出する部分が本質安全防爆となることから、この第14の実施形態では、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。
【0188】
(15)第15の実施形態
図32は、本発明の第13の実施形態を示すものである。この実施形態では、上述の第13の実施形態と同様に、イメージガイドにより観察画像をファイバスコープ或いはボアスコープによりメインユニットに導くようにしている。
【0189】
前述の第13の実施形態では、コントロールユニット3内に、LEDドライブボード63及びバリア回路64が配設されているのに対して、この実施形態では、メインユニット1に、LEDドライブボード63及びバリア回路64が配設されており、コントロールユニット3は設けられていない。バリア回路64から先に延出する部分が本質安全防爆となることから、この第13の実施形態では、スコープコネクタ5、挿入部4、光学アダプタ8が本質安全防爆となる。
【0190】
なお、図33(A)から(E)及び図34の(F)から(K)までは、上記実施形態の主構成部と仕様エリアとをまとめて示す概要図である。すなわち、図33(A)は、上記第1から第4の実施形態の概要を示すものであり、(B)は上記第5の実施形態、(C)は上記第6の実施形態、(D)は上記第7及び第8の実施形態、(E)は上記第9の実施形態の概要を示すものである。また、図34(F)は上記第10の実施形態、(G)は上記第11の実施形態、(H)は上記第12の実施形態、(I)は上記第13の実施形態、(J)は上記第14の実施形態、(K)は上記第15の実施形態の概要を示すものである。
【0191】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
本願の実施例においては、撮像素子の事例としてCCDの駆動信号や信号受信について詳しく説明したが、CMOS撮像素子等の別のセンサの駆動においても同様の考え方でエネルギー制限をかけるバリア回路を設けることで本質安全防爆を実現できる。
さらに、第10から第12の実施形態においては、メインユニット側にランプ光源を設けた構成例を示したが、ランプ光源部の代わりに、LED光源手段又はレーザ照明手段を用いて照明手段を実現してもよい。
【0192】
さらに、本願の実施形態においては、バッテリーはリチウムイオンバッテリー、鉛バッテリー、ニッケル水素バッテリーや燃料電池等の二次電池手段であれば何でもよい。
本願で示した内視鏡システムは、バッテリーを電源に採用することで、機器の機動性を増すとともに、供給可能なエネルギー総量は、バッテリーからのエネルギーからのみ取る構成にしている。
よって、ACアダプタ等からのAC電源からのエネルギー供給がなく、内視鏡システムは接地される必要がないので、異常時に供給され得るエネルギーは、バッテリーエネルギー総量だけを、IEC60079に基づく規定で考えればよく、エネルギー制限回路の構成を、小型、軽量かつ簡単に実現できている。
【0193】
さらに、本願においては、スコープユニットの先端に光学アダプタが着脱可能に取り付けられるように構成しているが、光学アダプタを着脱できないようにして、スコープユニットの挿入部と一体化するものでもよく、その場合には、スコープ先端硬質部長が短くなるなどのメリットがある。
さらに、本願においては、表示手段は、LCDパネルを用いたLCDユニットを示したが、これに限ることはなく、有機ELパネル、LEDパネル等を用いてもよい。これらの表示手段が防爆対応である場合には、防爆対応LCDとして、Zone0、1、2の危険エリアで使用することができる。特に、Zone2エリアでの利用を前提にすると、LCDユニットは、Type−n機器構造でよく、Zone0やZone1の本質安全防爆のia機器及びib機器の構造よりも、簡単で小型、軽量、かつ低コストで実現できるので使い勝手がよい。
【符号の説明】
【0194】
1:メインボード
2:スコープユニット
3:コントロールユニット
4:挿入部
5:スコープコネクタ
6:ユニバーサルケーブル
8:光学アダプタ
9:湾曲部
12:LCDモニタ
15:着色部
17:チップ部品
18:コード材
31:CCD撮像素子
32:HIC
33:HIC
34:サーミスタ
35:LEDチップ
36:LEDモジュール
41:バッテリ
42:メモリカード
51:ビデオボード
52:パワーボード
61:CCDドライブボード
62:DSPボード
63:LEDドライブボード
64:バリア回路
71:モータ
72:モータドライブボード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に撮像素子を備え、湾曲部を有する挿入部と、
前記挿入部を湾曲操作するためのジョイスティックを有するコントロールユニットと、
前記コントロールユニットに設けられ、前記撮像素子からの被検体画像を表示する表示部と、
を備えた内視鏡装置であって、
前記コントロールユニット内に設けられ、前記撮像素子を駆動するための駆動信号を生成する撮像素子駆動回路と、
前記撮像素子駆動回路からの前記駆動信号のエネルギーを制限することによって、少なくとも前記挿入部側が本質安全防爆になるようにするバリア回路と、
前記コントロールユニット内に設けられ、前記撮像素子からの映像信号を画像信号に変換し、前記表示部に出力するための画像処理回路と、
を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項1】
先端に撮像素子を備え、湾曲部を有する挿入部と、
前記挿入部を湾曲操作するためのジョイスティックを有するコントロールユニットと、
前記コントロールユニットに設けられ、前記撮像素子からの被検体画像を表示する表示部と、
を備えた内視鏡装置であって、
前記コントロールユニット内に設けられ、前記撮像素子を駆動するための駆動信号を生成する撮像素子駆動回路と、
前記撮像素子駆動回路からの前記駆動信号のエネルギーを制限することによって、少なくとも前記挿入部側が本質安全防爆になるようにするバリア回路と、
前記コントロールユニット内に設けられ、前記撮像素子からの映像信号を画像信号に変換し、前記表示部に出力するための画像処理回路と、
を有することを特徴とする内視鏡装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【公開番号】特開2012−8598(P2012−8598A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198120(P2011−198120)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【分割の表示】特願2005−355359(P2005−355359)の分割
【原出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【分割の表示】特願2005−355359(P2005−355359)の分割
【原出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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