説明

内視鏡装置

【課題】接近して観察する場合、被写界深度度幅を大きく、又は高解像度の状態にして観察を行うことができる内視鏡装置を提供する。
【解決手段】内視鏡2の先端部11に搭載された撮像ユニット19を構成する対物光学系17のフォーカスレンズ26の可動範囲を、遠点側領域でオートフォーカスさせる第1の可動範囲と近点側領域でオートフォーカスさせる第2の可動範囲との一方のみで移動するように制限し、近点側領域でオートフォーカスさせるように切り替えた場合、撮像領域の一部を切り出すと共に、画角用レンズ27を移動して、切替前後で画角変化を抑制し、被写界深度度幅を大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートフォーカス機能を備えた内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、固体撮像素子を用いた撮像ユニットを備えた内視鏡は、医療分野において、広く用いられている。
また、内視鏡検査の場合、患部等を詳細に観察できるようにオートフォーカス機能を備えた光学系や、高画素化した固体撮像素子を用いた撮像ユニットを備えた内視鏡も提案されている。
例えば、特開2002−253489号公報の従来例には、対物光学系における一部のレンズを移動してオートフォーカスする内視鏡装置が開示され、合焦可能な被写体距離を切り換える。切換手段の操作により拡大制御手段が起動すると、拡大制御手段の制御信号に連動して起動する焦点制御手段により、対物光学系の可変焦点距離範囲の長焦点距離側で、対物光学系の焦点調節が行われるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−253489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、患部等に接近して観察するような場合、上記従来例では、焦点距離が長くなり、そのために被写界深度幅(単に深度幅とも言う)が狭くなり、必要とされる深度幅を得ることができなかった。また、この従来例においては、患部等に接近して観察するような場合、画角も狭くなっていた。
このため、患部等に接近して観察するような場合にも、深度幅を大きくでき、内視鏡による検査、観察に適した画像が得られる内視鏡装置が望まれる。
【0005】
一方、患部等に接近して観察するような場合、深度幅よりも解像度を上げて患部等を高画素(高精細)で観察できるようにする要望がある。
本発明は上述した点に鑑みてなされたもので、接近して観察する場合、深度幅を大きく、又は高解像度の状態にして観察を行うことができる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る内視鏡装置は、内視鏡の先端部に対物光学系と固体撮像素子とにより構成される撮像ユニットを備え、所定の距離範囲内における任意の距離の被写体に対して合焦状態となるように前記対物光学系中のフォーカスレンズを移動して自動でフォーカス制御する内視鏡装置において、前記所定の距離範囲内における前記被写体に対して自動でフォーカス制御する合焦領域を、少なくとも2つに制限する制限手段と、前記制限手段に対し、制限された合焦領域を手動で選択する選択手段と、前記選択手段による合焦領域の選択と同時に、前記固体撮像素子の撮像面における撮像領域から一部の撮像領域を切り出し、前記固体撮像素子の撮像領域内における中心位置から最も遠い位置までの距離を変更する変更手段と、を備え、前記対物光学系における前記フォーカスレンズとは別の移動用レンズを移動させることで、前記変更手段による前記撮像領域の変更前後において、前記撮像ユニットの画角の変動が5%以内になるように設定することを特徴とする。
【0007】
本発明の他の態様に係る内視鏡装置は、内視鏡の先端部に対物光学系と固体撮像素子とにより構成される撮像ユニットを備え、所定の距離範囲内における任意の距離の被写体に対して合焦状態となるように前記対物光学系中のフォーカスレンズを移動して自動でフォーカス制御する内視鏡装置において、前記所定の距離範囲内における前記被写体に対して自動でフォーカス制御する合焦領域を、少なくとも2つに制限する制限手段と、前記制限手段に対し、制限された合焦領域を手動で選択する選択手段と、前記選択手段による合焦領域の選択と同時に、前記固体撮像素子の撮像面における撮像領域を大きくすることで、前記固体撮像素子の撮像領域内における中心位置から最も遠い位置までの距離を変更する変更手段と、を備え、前記対物光学系における前記フォーカスレンズとは別の移動用レンズを移動させることで、前記変更手段による前記撮像領域の変更前後において、前記撮像ユニットの画角の変動が5%以内になるように設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る内視鏡装置によれば、深度幅を大きくして観察を行うことができる内視鏡装置を提供することができ、本発明の他の態様に係る内視鏡装置によれば、高解像度の状態にして観察を行うことができる内視鏡装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態に係る内視鏡装置の全体構成を示す図。
【図2】図2は固体撮像素子における撮像領域を示す図。
【図3】図3は撮像ユニット部分の構成を示す断面図。
【図4】図4は、第1焦点位置〜第4焦点位置に設定した状態の対物光学系の断面図。
【図5】図5はアクチュエータ駆動部に対して駆動信号を制限してフォーカスレンズによる可動範囲を2つに制限する構成を示すブロック図。
【図6】図6は図4の各焦点位置に設定した状態での物体距離と解像力の関係を示す図。
【図7】図7は第1の実施形態の概略の動作を示すフローチャート。
【図8】図8は内視鏡画像における周辺側の画像部分を切り出して表示する場合の説明図。
【図9】図9は色分離フィルタを有しないCCDを備えた撮像ユニットの場合の光源装置の構成を示す図。
【図10】図10は本発明の第2の実施形態における代表的な焦点位置に設定した状態の対物光学系の断面図。
【図11】図11は図10の場合を含む代表的な焦点位置に設定した状態の対物光学系の物体距離に対する解像力の特性例を示す図。
【図12】図12は本発明の第3の実施形態における代表的な焦点位置に設定した状態の対物光学系の断面図。
【図13】図13は代表的な焦点位置に設定した状態の対物光学系の物体距離に対する解像力の特性例を示す図。
【図14】図14は本発明の第4の実施形態に係る内視鏡装置の全体構成を示す図。
【図15】図15は固体撮像素子における撮像領域を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1に示すように内視鏡装置1は、内視鏡2と、この内視鏡2の照明光を供給する光源装置3と、内視鏡2に搭載された撮像手段に対する信号処理を行う画像処理装置(又は信号処理装置)4と、画像処理装置4から出力される標準的な映像信号(画像信号)が入力されることにより、内視鏡画像を表示する表示手段としてのモニタ5とから構成される。
本実施形態における内視鏡2は、被検体に挿入される細長の挿入部7と、この挿入部7の後端に設けられ、術者等の操作者が把持して操作を行う操作部8と、この操作部8から延出されたケーブル部9とを有する。
挿入部7は、その先端に硬質の先端部11が設けられ、この先端部11には、撮像手段を形成する撮像ユニット19などが設けられている。
【0011】
また、先端部11に隣接して湾曲自在の湾曲部12が設けられ、術者は、操作部8における図示しない湾曲操作ノブを操作することにより、湾曲部12を所望の方向に湾曲することができる。
挿入部7内には照明光を伝送するライトガイド14が挿通されており、このライトガイド14の後端側はケーブル部9を経てその端部に設けたライトガイドコネクタ15に至る。このライトガイドコネクタ15を光源装置3に接続することにより、光源装置3からライトガイド14の後端面には、照明光が供給される。
光源装置3は、照明光を発生するための光源としてのランプ3aを有し、ランプ3aの光は、絞り駆動部3bにより駆動される絞り3cの開口により透過光量が調整された後、集光レンズ3dを経てライトガイドコネクタ15におけるライトガイド14の入射端面に入射される。なお、絞り駆動部3bは、後述する調光信号に基づいて絞り3cの開口量、つまり透過光量を調整するように駆動する。
【0012】
光源装置3から供給された照明光は、ライトガイド14により伝送され、先端部11に固定された先端面からさらにこの先端面に対向して照明窓に取り付けた照明レンズ16を経て前方に出射され、体腔内の患部等の被写体を照明する。
先端部11には、照明窓に隣接して観察窓(又は撮像窓)が設けてあり、この撮像窓には、照明された被写体の光学像を結ぶ対物光学系17と、この対物光学系17の結像位置にその撮像面(光電変換面)が配置された固体撮像素子としての例えば電荷結合素子(CCDと略記)18とを備えた撮像ユニット19が配置されている。
本実施形態におけるCCD18は、光学的に色分離する色分離フィルタとして、例えば補色系などのモザイクカラーフィルタ18a(図4(A)参照)を備えたモザイクカラーフィルタ方式のCCDである。
【0013】
撮像ユニット19は、信号ケーブル21の一端が接続され、挿入部7内に挿通された信号ケーブル21はさらにケーブル部9内を挿通されてその後端の信号コネクタ22にその他端が接続されている。
この信号コネクタ22を、画像処理装置4に接続することにより、画像処理装置4内部に設けたCCD駆動部23からのCCD駆動信号によりCCD18は駆動され、CCD18は光電変換した撮像信号を出力信号として出力する。
上記撮像信号は、画像処理装置4内で信号処理されて映像信号が生成され、モニタ5には、内視鏡画像が表示される。
また、挿入部7内には様々な処置具を挿通可能とするチャンネル25が設けてある。
【0014】
そして、術者は、操作部8の前端付近の処置具挿入口25aから処置具を挿入することにより、処置具の先端側を先端部11において開口する先端開口25bから突出させることができ、患部組織を採取したり、切除などの処置を行うことができるようにしている。
本実施形態においては、撮像ユニット19を構成する対物光学系17には、移動可動なフォーカスレンズ26を有し、このフォーカスレンズ26を移動することにより、内視鏡2を用いて検査、観察を行う場合に必要とされる所定の距離範囲内における任意の距離の患部等の被写体を合焦状態で観察できるように自動(オート)でフォーカス制御する。
【0015】
また、本実施形態においては、対物光学系17における移動可能な移動用レンズとして、フォーカスレンズ26の他に、画角を調整する画角用レンズ27を備えている。
CCD18から出力される撮像信号は、画像処理装置4内の信号処理部を形成する相関二重サンプリング回路(CDS回路と略記)31に入力され、CDS処理後にA/D変換器32によりデジタルの画像信号に変換され、画像処理部33に入力される。
この画像処理部33は、入力信号を色信号Cと輝度信号Yの画像信号に変換する信号変換回路33aを有し、輝度信号Yを調光信号生成部34に出力する。調光信号生成部34は、調光信号を生成し、光源装置3の絞り駆動部3bに出力する。
【0016】
また、画像処理部33から出力されるデジタルの画像信号(映像信号)は、D/A変換器35により、アナログの画像信号に変換された後、モニタ5に出力され、モニタ5にはこの画像信号に対応する内視鏡画像が表示される。
また、画像処理部33は、輝度信号Yを、制御手段を形成するCPU36のコントラスト検出部36aに出力する。CPU36により構成されるコントラスト検出部36aは、入力される輝度信号における輝度値からその画像のコントラストを検出する。検出されたコントラストは、CPU36のオートフォーカス制御部(図1ではAF制御部)36bに入力され、オートフォーカス制御に利用される。
オートフォーカス制御部36bは、アクチュエータ駆動部37を介してフォーカスレンズ26を移動し、対物光学系17を自動的に合焦状態に設定する。
【0017】
この場合、オートフォーカス制御部36bは、コントラストが最も高くなる状態を対物光学系17の合焦状態として、フォーカスレンズ26を移動した際の画像のコントラストが最も高くなる位置に設定するようにオートフォーカス制御を行う。
また、本実施形態においては、オートフォーカスによる誤動作を有効に防止すると共に、オートフォーカスの速度を向上(短時間で合焦状態に設定する)ために、フォーカスレンズ26の移動可能となるフォーカスレンズ可動範囲(単に可動範囲と略記)を複数、具体的には2つの可動範囲に制限する制限手段としての制限部37aを、例えばアクチュエータ駆動部37に設けている。
そして、CPU36には、この制限部37aの動作を制御する制御手段としての制御部36cを設けている。
【0018】
撮像ユニット19により所定の距離範囲内における任意の距離における患部等の被写体(物体)の観察を行う場合にフォーカスレンズ26を移動して(対物光学系17を)合焦状態に設定することが必要とされる合焦領域を、フォーカスレンズ26の可動範囲における、遠点側となる第1領域Ra(図6参照)内の被写体にフォーカスさせるための第1の可動範囲(遠点側可動範囲)Ka(図3参照)と、近点側となる第2領域Rb内の被写体にフォーカスさせるための第2の可動範囲(近点側可動範囲)Kbの一方(1つ)の可動範囲内においてのみ、フォーカスレンズ26が移動できるように制限(規制)してオートフォーカス制御ができるような構成にしている。なお、図3において、可動範囲Ka,Kbは、移動溝43a内で移動可能なアーム44aの2つの移動範囲により示している。
【0019】
そしてCPU36の制御部36cは、合焦状態となるように自動(オート)でフォーカス制御する可動範囲Kに対し、CCD18の水平方向及び垂直方向の画素ピッチをPmmとした場合、対物光学系17の光軸上における空間周波数1/(3XP)のMTFが10%以上となる範囲を、被写界深度幅(単に深度幅)としたときに、1つの合焦ゾーンの深度幅が10mm以上を有し、かつ対物光学系17の物体距離が15mm以下となる範囲において、前記2つの可動範囲Ka,Kbの境界B(図3参照)を設定している。
この境界Bに対応する物体距離を図6において点線Baで示し、この場合の物体距離は10mm付近である。また、例えば第2焦点位置の合焦状態に設定した場合には10mmから26mmまでの深度幅を有する(後述の数値データ参照)。
【0020】
また、内視鏡2における例えば操作部8には、選択手段(又は切替手段)を形成する選択スイッチ(又は切替スイッチ)SW1が設けてあり、術者により選択スイッチSW1を手動で操作した場合の操作信号は、CPU36(のオートフォーカス制御部36b及び制御部36c)に入力される。
術者は、この選択スイッチSW1を操作することにより、一方の可動範囲を選択したり、一方の可動範囲から他方の可動範囲に切り替える操作を行うことができる。一方の可動範囲を選択した場合には、CPU36のオートフォーカス制御部36bは、その一方の可動範囲内でオートフォーカス制御を行い、一方の可動範囲から他方の可動範囲に切り替える操作をした場合には、他方の可動範囲内でオートフォーカス制御を行う。
【0021】
なお、選択手段を形成する選択スイッチSW1は、1回押圧する操作を行う毎にOFFからON、ONからOFFの信号を発生する単一のスイッチにより構成される。例えばOFFにすると第1領域Raに対応した第1の可動範囲Ka、ONにすると第2領域Rbに対応した第2の可動範囲Kbを選択する。そして、一方の選択状態からこの選択スイッチSW1を操作すると、他方を選択する状態に切り替わる。
このように上記選択スイッチSW1の操作に応じて、CPU36は、選択スイッチSW1の操作に対応して、アクチュエータ駆動部37を介してフォーカスレンズ26の可動範囲を切り替える制御をする。
【0022】
また、本実施形態においては、選択スイッチSW1の操作により、第1の可動範囲Kaから第2の可動範囲Kbへの切替が行われた場合、この切替に連動してCPU36により構成される変更部36dは、画像処理部33における切出処理部33bを動作させる。
切出処理部33bは、信号変換回路33aの出力信号に対して、上記切替に連動して、CCD18の撮像面における、実際に撮像してモニタ5上で表示に利用する撮像領域を図2に示すように変更する。
この切出処理部33bは、上記切替に連動して図2に示すCCD18の全撮像領域を形成する撮像面18bにおける、モニタ5での表示に通常利用する第1の撮像領域5aの撮像領域から、この第1の撮像領域5aよりも小さい第2の撮像領域5bを撮像領域とするように、第1の撮像領域5aから第2の撮像領域5bを切り出す。切出処理部33bは、切り出した画像信号を移動/拡大回路33cに出力する。
なお、選択スイッチSW1は、例えばレバーのような形状であり、該レバーを一方に動かす操作を行うことにより、OFFからON又はONからOFFとなる切り替え信号を出力する。
【0023】
第1の撮像領域5aの場合におけるその中心位置Poから最も遠い位置までの距離をIhaとすると、上記の切出により第2の撮像領域5bの場合におけるその中心位置Poから最も遠い位置までの距離はIhaからIhbに変更される。
勿論、この場合Iha>Ihbとなる。また、切り出す場合には、デフォルトの設定状態においては、中心位置Poを同じとして、第1の撮像領域5aの形状と相似形を保つように第2の撮像領域5bが切り出される。図2の場合には、第1の撮像領域5aは、正方形であが、長方形でも良い。また、正方形の4隅を切り欠いて8角形の形状にしても良い。
なお、撮像面18bを形成する各画素は、水平方向及び垂直方向に、画素ピッチPが1.4μmで配置されており、モニタ表示に有効な画素数は、例えば70万画素レベルのものを採用している。
【0024】
また、上記切替に連動して、第1の撮像領域5aから第2の撮像領域5bに切り替えた場合には、第1の撮像領域5aの場合の画角(視野角とも言う)Avaに対して第2の撮像領域5bの場合の画角が小さくなる。なお、後述の数値データにおいては、切り出した場合の画素数は58万画素レベルとした場合で示している。
このため、本実施形態においては、CPU36により形成した調整部36eは、この切替に連動して、アクチュエータ駆動部37を介して画角を調整する画角用レンズ27を移動させる。そして、この調整部36eは、切替前後において、第1の撮像領域5aで撮像する場合の画角Avaと、第2の撮像領域5bの場合の画角AVbとが5%以内で一致するように調整(制御)する。
このようにCCD18の所定の撮像領域から一部の撮像領域を切り出し、所定の撮像領域内における中心位置Poから最も遠い位置までの距離を小さくなるように変更した場合には画角が小さくなるが、本実施形態においては調整部36eにより画角用レンズ27を移動して画角が小さくならないように調整する。
【0025】
画角用レンズ27を移動して画角が小さくならないように調整することにより、対物光学系17の焦点距離は、調整前に比較して小さくなり、深度幅を大きくすることができる。
また、本実施形態においては、このように切替が行われた場合、CPU36は、切り替えられて設定された撮像領域の画像をモニタ5で表示するように画像処理部33を制御し、切替前の表示サイズを維持するように制御する。
信号変換回路33a、切出処理回路33bを経た画像信号は、画像の移動及び/又は拡大を行う移動/拡大回路33cに入力される。この移動/拡大回路33cは、画像の移動を行う移動回路と、画像の拡大を行う拡大回路とを有する。この移動/拡大回路33cを経た画像信号は、γ補正等を行う各種処理回路33dを経てD/A変換器35に出力される。
【0026】
上記移動/拡大回路33cにおける拡大回路は、図2に示すように例えば第1の撮像領域5aの画像をモニタ5に表示する通常の映像信号を生成する場合の表示サイズをAとした場合、切り出された第2の撮像領域5bを、同じ表示サイズAとなるように拡大する処理を行う。
また、上記移動/拡大回路33cにおける移動回路は、中心位置Poを同じとしないで、非対称な形状で撮像領域を切り出すような選択を行った場合、モニタ5で表示する場合の表示位置を移動することができるようする。
なお、図1に示すように例えば操作部8には、第1の撮像領域5aからその一部を切り出す撮像領域切出範囲を可変設定するスイッチSW2が設けてある。ユーザは、このスイッチSW2を操作することにより、撮像領域切出範囲を可変設定することができるようにしている。具体的には、デフォルトの設定では、例えば図2に示すように、第2の撮像領域5bが撮像領域切出範囲となる。
【0027】
ユーザとしての術者は、デフォルトの第2の撮像領域5bの設定から切り出す撮像領域を変更したいと望む場合には、スイッチSW2を操作することにより、CPU36を介して撮像領域切出範囲を増減することができるようにしている。術者は、スイッチSW2を操作することにより、例えば図2の点線で示す撮像領域5cを、第2の撮像領域として変更設定することができる。
第2の撮像領域5bよりも小さい撮像領域5cに設定した場合には、画角用レンズ27を移動して画角を切出前と同じように設定すると、対物光学系17の焦点距離を、第2の撮像領域5bの場合より小さくでき、深度幅をより大きくできる。但し、画素数は第2の撮像領域5bの場合よりも小さくなる。
このような設定は、画像処理装置4において、術者が使用前の初期設定時に行うこともできる。また、スイッチSW2が無くても、スイッチSW1で可動範囲の切り替えの操作を行ったのと同時に、このスイッチSW1の操作により撮像領域切出範囲を増減することができるように、スイッチSW1に両機能を兼用させる構成にしても良い。
【0028】
このように術者は、画素数と深度幅とを考慮して、撮像領域切出範囲を可変設定又は選択設定することができる。術者は、画素数と深度幅とから所望する方を優先して撮像領域切出範囲を設定することができる。
設定されている撮像領域切出範囲の情報は、図1に示すメモリ38に格納される。また、撮像領域切出範囲に応じて、上述した画角用レンズ27の移動量が変更され、メモリ38には、撮像領域切出範囲と画角用レンズの移動量とを関連付ける情報が、ルックアップテーブル(LUT)38aとして格納される。
CPU36の調整部36eは、LUT38aの情報を参照して画角用レンズ27の移動量を制御する。なお、LUT38aに、移動/拡大回路33cにより拡大処理する場合の拡大率の情報も格納するようにしても良い。そして、移動/拡大回路33cは、拡大率の情報を参照して、短時間に拡大の画像処理を行う。
【0029】
図3は、先端部11における対物光学系17を含む撮像ユニット19の構成例を示す。また、図4は、フォーカスレンズ26,画角用レンズ27を移動した場合の代表的な4つの焦点位置での対物光学系の断面図を示す。
図4(A)に示すように対物光学系17は、物体側から順に、フォーカスレンズ26(L3)を含む前群G1、明るさ絞り(単に絞り)、後群G2で構成される。
前群G1は、凹レンズL1、凸レンズL2及びフォーカスレンズ26(L3)で構成され、後群G2は、凸レンズL4、凸レンズL5と凹レンズL6との接合レンズで構成される。凸レンズL4は画角を調整する画角用レンズ27である。また、後群G2の後方に光学素子I1,I2が配置され、光学素子I2の後面に接するようにモザイクカラーフィルタ18aを介してCCD18の撮像面が配置される。
なお、図4(B)―(D)においては、符号を省略する。なお、後述する図10(B)−図10(D)、図12(B)、図12(C)でも同様である。
また、本実施形態における対物光学系17の数値データを以下に示す。
【0030】
第1の実施形態の数値データ
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
物体面 ∞ D0
1 ∞ 0.4 1.81991 44.36
2 1.2646 1.18
3 -1.7487 0.52 1.88815 40.76
4 -1.8479 D4
5 2.352 0.815 1.50349 56.42
6 3.0877 D6
7(絞り) ∞ 0.07
8 3.4714 1.22 1.48915 70.23
9 -3.1907 D9
10 3.2151 1.2 1.48915 70.23
11 -1.7375 0.3 1.93429 18.9
12 -3.7434 1.4175
13 ∞ 0.79 1.51825 64.14
14 ∞ 0.52 1.50801 60
(像面) ∞

第1焦点位置 第2焦点位置 第3焦点位置 第4焦点位置
D0 28 14.7 6.25 5.08
D4 0.25 0.5 1.05 1.45
D6 0.843 0.593 0.643 0.243
D9 0.87 0.87 0.27 0.27
f 1.365 1.349 1.129 1.102
IH 1.284 1.284 1.082 1.082
画角(°) 128.9 129 129.8 131
深度幅(mm) 15.3〜100以上 10〜26 6.16〜13.7 3.93〜6.85
画素数 70万画素レベル 58万画素レベル
ピッチP 1.4μm
屈折率及びアッベ数は、e線における値である。また、D0は物体面から対物光学系17の第1面までの距離である。これらは、他の実施形態において共通である。
【0031】
図3に示すように、レンズ枠41aに、前群G1のレンズL1,L2が取り付けられ、このレンズ枠41aに嵌合するレンズ枠41bに、移動可能なフォーカスレンズL3(26)、絞り、移動可能な画角用レンズL4(27)、接合レンズL5,L6が取り付けられる。このレンズ枠41bの後端側に嵌合するレンズ枠41cに、光学素子I1,I2、CCD18が取り付けられている。
また、フォーカスレンズ26及び画角用レンズ27は、レンズ枠41bの内周面に嵌合する可動レンズ枠42a,42bにそれぞれ取り付けられており、可動レンズ枠42a,42bは、レンズ枠41bに設けた移動用溝43a,43bを貫通するアーム44a,44bに、例えば一体的に連結されている。そして、アーム44a,44bには、アクチュエータ45a,45bから突出するロッド46a,46bが連結されている。
【0032】

アクチュエータ45a,45bは信号線47a,47bを介してアクチュエータ駆動部37と接続される。
アクチュエータ45a,45bは、選択スイッチSW1の操作により、CPU36の制御のもとでアクチュエータ駆動部37から印加される駆動信号により、ロッド46a,46bの突出量を変化させる。そして、ロッド46a,46bの突出量の変化に応じてフォーカスレンズ26及び画角用レンズ27が光軸Oの方向に沿って移動する。
なお、CCD18の背面に接続された信号ケーブル21は、CCD駆動部23と、CDS回路31とに接続される。
【0033】
図5はアクチュエータ駆動部37の構成例を示す。選択スイッチSW1の操作に応じて、CPU36のオートフォーカス制御部36bは、アクチュエータ駆動部37を構成する駆動信号出力部51aに対して、駆動信号を出力(又は発生)させる。
この駆動信号は、第1電流制限回路52a及び第2電流制限回路52bの各出力端に(接点a,bがそれぞれ)接続された切替スイッチ53を介してアクチュエータ45aを駆動する。なお、切替スイッチ53は、選択スイッチSW1の操作信号に応じて、制御部36cが接点a又はbをONにするように切り替える。
選択スイッチSW1により、遠点側の第1領域Raが選択された場合には、駆動信号が第1電流制限回路52a及び接点aを介してアクチュエータ45aを駆動し、この遠点側の第1領域Raで合焦させるようにフォーカスレンズ26の移動範囲を第1の可動範囲Kaに制限する。
【0034】
また、近点側の第2領域Rbが選択された場合には、駆動信号が第2電流制限回路52b及び接点bを介してアクチュエータ45aを駆動し、この近点側の第2領域Rbで合焦させるようにフォーカスレンズ26の移動範囲を第2の可動範囲Kbに制限する。
第1電流制限回路52aと第2電流制限回路52bは、入力された駆動信号の電流値を制限する。具体的には、第1電流制限回路52aは、可動範囲における物体側に近い第1の可動範囲Ka内のみで移動できるように第1の電流値以内に制限する。
一方、第2電流制限回路52bは、可動範囲における物体から遠い、つまりCCD18に近い第2の可動範囲Kb内のみで移動できるように第2の電流値以内に制限する。そして、駆動信号出力部51a、第1電流制限回路52a、第2電流制限回路52b及び切替スイッチ53により制限部37aが形成される。
なお、アクチュエータ45a,45bは、図示しないバネなどの弾性部材によりそのロッド46a,46bの基準位置からの突出量が規制され、アクチュエータ45a,45bに印加する駆動信号の電流値の値に応じて、ロッド46a,46bの突出量を調整できるようにしている。
【0035】
このようにフォーカスレンズ26の可動範囲を複数、より具体的には2つの可動範囲Ka,Kbに制限することにより、自動でフォーカス制御する場合の誤動作を有効に防止することができる。また、各可動範囲Ka,Kbでのフォーカスレンズ26の移動量を(制限しない場合よりも)小さくでき、オートフォーカスさせる速度を向上できる(換言すると短時間に合焦状態(フォーカス状態)に設定できる)。
また、アクチュエータ駆動部37は、画角用レンズ27を駆動する駆動信号を出力する駆動信号出力部51bを有し、この駆動信号は、アクチュエータ45bを駆動する。
この駆動信号は、選択スイッチSW1により、第1の可動範囲Kaから第2の可動範囲Kb、又はその逆が選択された場合にのみ出力されるように、CPU36の調整部36eにより制御される。
【0036】
具体的には、フォーカスレンズ26が第1の可動範囲Kaでフォーカスを行う場合には、画角用レンズ27はその可動範囲における物体側の位置(第1の位置という)に設定され、フォーカスレンズ26が第2の可動範囲Kbでフォーカスを行う場合には、画角用レンズ27はその可動範囲における物体から遠い方、つまりCCD18側に近い位置(第2の位置)に設定される。
但し、撮像領域切出範囲が変更された場合には、変更された撮像領域切出範囲に応じて第2の位置への(画角用レンズ27の)移動量が調整される。
上記のようにフォーカスレンズ26の移動範囲を可動範囲Kに設定し、かつ第1の可動範囲Kaに制限した場合のフォーカス可能な範囲(領域)は、図6における第1領域Raとなり、第2の可動範囲Kbに制限した場合のフォーカス可能な範囲(領域)は、第2領域Rbとなる。なお、第2領域Rbは、物体に非常に近く近接した一部の領域を除くその後方側の領域となる。
【0037】
そして、第1領域Raと第2領域Rbとにより、内視鏡検査の場合にフォーカスさせて観察することが必要とされる所定の距離範囲(物体距離範囲)としての合焦領域Rをカバーすることができるようにしている。
また、上述したようにMTFが10%以上となる距離範囲を深度幅と定義した場合、図6に示すように第1焦点位置に設定した場合には、(前述の数値データから分かるように)100mm程度のかなり広い物体距離において実質的にフォーカスした深度幅、第2焦点位置に設定した場合には、16mm程度の深度幅を有する。また、第3焦点位置に設定した場合には、ほぼ6mm程度の深度幅、第4焦点位置に設定した場合には、5mm程度の深度幅を有する。
【0038】
そして、撮像ユニット19を用いて任意の物体距離の被写体をフォーカスして観察する場合、手動により選択された第1領域Ra又は第2領域Rb内の一方の領域内でフォーカスレンズ26の移動によりオートフォーカスするように制限される。
このように、制限された一方の領域内において、オートフォーカス制御部36bは、コントラスト検出部36aのコントラストを参照して、アクチュエータ駆動部37を介してフォーカスレンズ26を移動し、フォーカスレンズ26を移動した場合の画像信号のコントラストがピークとなるフォーカス状態の焦点位置(合焦位置)に設定する。
【0039】
本実施形態における焦点位置は、図6に示したように第1領域Raにおいては第1焦点位置又は第2焦点位置に設定することにより、第1領域Raにおける任意の物体距離の被写体を、かなり広い深度幅を持って観察することができる。また、第1焦点位置、第2焦点位置とは異なる焦点位置に設定して、観察することもできる。
また、第2領域Rbにおいても第3焦点位置又は第4焦点位置に設定することにより、第2領域Rbにおける被写体を、必要とされる深度幅を持って観察することができる。また、第3焦点位置、第4焦点位置とは異なる焦点位置に設定して、観察することもできる。
また、本実施形態においては、被写体を遠点側から近点側に合焦状態となるようにフォーカス制御を切り替え、かつ撮像領域を小さくして詳細に観察するような場合、画角用レンズ27を移動して、画角が130°程度(数値データ参照)を維持するように制御する。
このように画角用レンズ27により画角を維持することにより、画角を補正しない場合よりも、深度幅を拡大することができるようにしている。
【0040】
このような構成による本実施形態の内視鏡装置1は、内視鏡2の先端部11に対物光学系17と固体撮像素子としてのCCD18とにより構成される撮像ユニット19を備え、所定の距離範囲内における任意の距離の被写体に対して、合焦状態となるように前記対物光学系17中のフォーカスレンズ26を移動して自動でフォーカス制御する内視鏡装置であって、前記所定の距離範囲内における前記被写体に対して自動でフォーカス制御する合焦領域Rを、少なくとも2つに制限する制限手段としての制限部37aと、前記制限手段に対し、制限された合焦領域を手動で選択する選択手段としての選択スイッチSW1と、前記選択手段による合焦領域の選択と同時に、前記固体撮像素子の撮像面における撮像領域から一部の撮像領域を切り出し、前記固体撮像素子の撮像領域内における中心位置Poから最も遠い位置までの距離を変更する変更手段としての変更部36dと、を備え、前記対物光学系17における前記フォーカスレンズ26とは別の移動用レンズとしての画角用レンズ27を移動させることで、前記撮像ユニット19の画角を前記変更手段による前記撮像領域の変更前後において、前記画角の変動が5%以内になるように設定することを特徴とする。
【0041】
次に図7を参照して本実施形態の動作を説明する。
内視鏡装置1を図1に示すように設定し、電源を投入して内視鏡装置1を動作状態にする。最初のステップS1においてCPU36は、初期設定の処理において、フォーカスレンズ26をオートフォーカス制御を行う状態に設定する。
また、CPU36は、ステップS2に示すように初期状態として、選択スイッチSW1がOFFの設定状態であると設定又は判定し、フォーカスレンズ26を第1の可動範囲内で遠点側を合焦領域とするようにオートフォーカス制御を行うようにする。
【0042】
また、CPU36は、ステップS3に示すように第1の可動範囲に対応するように画角用レンズ27を設定する。画角用レンズが第1の可動範囲に対応する位置に設定されている場合には、この処理を行わなくても良い。
また、ステップS2,S3の場合には、CCD18の撮像領域は、図2の第1の撮像領域5aとなり、画像処理回路33は第1の撮像領域5aに対応する画像処理を行う(ステップS4)。この場合には、切出処理回路33bは切出を行わないし、移動/拡大回路33cも移動や拡大の処理を行わない通常の画像処理となる。そして、モニタ5には、所定の表示サイズで内視鏡画像が表示される。
【0043】
図6に示すように第1の可動範囲内においては、代表的な焦点位置の状態としての第1焦点位置及び第2焦点位置の場合から分かるようにかなり広い(大きい)深度幅を確保できる。
このため、術者が内視鏡2を体腔内に挿入した場合、撮像ユニット19は体腔内を広い深度幅で観察することができる状態に設定されるため、術者は病変の有無の振るい分け、つまりスクリーニングの検査を円滑に行うことができる。
術者は、病変の可能性がある部位を、詳細に観察しようと思う場合にはその部位に先端部11を近づけ、選択スイッチSW1を押す操作を行う。
【0044】
CPU36は、ステップS5に示すように選択スイッチSW1が操作されたか否かを監視しており、操作されていない(ステップS5=No)と判定した場合には、ステップS6のオートフォーカス制御の処理を行い、ステップS5に戻る。ステップS6は、ステップS2の処理と同じであり、ステップS3,S4の処理は(既に行っているので)行わない。
一方、選択スイッチSW1が操作された(ステップS5=Yes)と判定した場合には、ステップS7においてCPU36は、フォーカスレンズ26を第2の可動範囲で移動させてオートフォーカス制御を行うように制御する。
また、このステップS7の処理に連動して、ステップS8においてCPU36は、CCD18における(現在の撮像領域としての)第1の撮像領域5aから第2の撮像領域5bとなるように撮像領域を切り出す制御を行う。
【0045】
また、このステップS7の処理に連動して、ステップS9においてCPU36は、画角用レンズ27を移動させ、切り出した撮像領域に対応する画角が、切出前の画角に対して5%以内の変動幅となるよう(つまり画角が殆ど変化しないよう)に制御を行う。この処理により、深度幅を増大できる。
また、ステップS8の処理に連動して、ステップS10において画像処理回路33は、切出前と同じ表示サイズで内視鏡画像を表示する画像処理を行う。
CPU36からの制御信号により、画像処理部33における切出処理部33bは、第2の撮像領域5bの画像信号のみを抽出し、移動/拡大回路33cに出力する。
【0046】
移動/拡大回路33cにおける拡大回路は、第2の撮像領域5bの画像信号に対して第1の撮像領域5aの画像信号の場合と同じサイズの画像となるように画像を拡大し、後段側に出力する。
従って、モニタ5の表示面には、選択スイッチSW1が切り替えられて、近点側の部位を観察する場合にも、表示サイズが変動することなく、かつ深度幅が増大された状態の内視鏡画像を観察することができる。
術者は、病変の可能性がある部位を近点側での観察により診断することを円滑に行うことができる。この診断を終了してスクリーニングを行う場合には、術者は選択スイッチSW1を操作する。
【0047】
ステップS11に示すようにCPU36は選択スイッチSW1が操作されたか否かを監視しており、操作されていない(ステップS11=No)と判定した場合には、ステップS12のオートフォーカス制御の処理を行い、その後ステップS11に戻る。なお、ステップS12のオートフォーカス制御はステップS7のオートフォーカス制御に相当し、ステップS8,S9、S10の処理は(既に行っているので)行わない。
一方、選択スイッチSW1が操作された(ステップS11=Yes)と判定した場合には、ステップS13においてCPU36は内視鏡2による観察(検査)を終了する指示がされたか否かを判定し、終了の指示がされていない場合(ステップS13=No)にはステップS2の処理に戻り、第1の可動範囲Kaでオートフォーカス制御を行う。
【0048】
これに対して、ステップS13において終了が指示された場合(ステップS13=Yesには、CPU36は、内視鏡装置1の電源をOFFにして図7の動作を終了する。
このように動作する本実施形態によれば、近点側で観察する場合、被写界深度を大きくして観察を行うことができる内視鏡装置を提供することができる。
また、フォーカスレンズ26の移動により合焦状態に設定できる合焦領域を複数のうちの1つに制限するようにしているので、オートフォーカスし難い撮像条件の場合、例えば内視鏡画像におけるコントラスト変化が小さい(少ない)ような撮像状態や、電気メスなどの使用によりノイズが影響し易い撮像状態などの場合においても、大きく異なる位置にフォーカスさせてしまうような誤動作を有効に防止できる。
また、フォーカスレンズ26の可動範囲を複数、具体的には2つに分割し、分割した可動範囲内で移動するように制限しているので、制限しない場合よりも移動量を小さくでき、短時間に合焦状態に設定できる、換言するとオートフォーカスの速度を向上できる。
【0049】
従って、本実施形態の内視鏡装置1によれば、術者は内視鏡2を用いた観察、検査を円滑に行うことができる。
なお、上述の説明においては、スイッチSW2の操作によって撮像領域を切り出す場合、撮像領域の中心を共通にして左右対称及び上下対称に切り出すこととしたが、以下のように非対称な形状で切り出す操作を行えるようにしても良い。
遠点側のフォーカス制御状態で図8に示すような内視鏡画像が得られた場合、術者は、例えば周辺側で下部側の部分Dを関心領域として、より見やすい状態で観察することを望む場合には、図1の操作部8に設けた切出用または切取用のデバイス50を操作し、内視鏡画像上において切り出し用カーソルC1、C2により切出範囲Eを指定する。
【0050】
このデバイス50が操作された場合、その信号からCPU36は、CCD18の撮像領域中において、切出範囲Eに対応する撮像領域を切り出す。そして、CPU36は、切出範囲Eに対応する撮像領域に対して、スイッチSW2が操作された場合と類似した処理を行うように制御する。
画像処理部33は、この切出範囲Eに対応する撮像領域を第2の撮像領域と見なして、モニタ5に、切出前と同じ表示サイズで表示するように画像処理を行う。
この場合、画像処理部33は、切出前の画像の表示位置とは異なる位置に、切出範囲Eに対応する撮像領域の撮像画像を表示する画像処理手段を形成する。切出前の画像の表示位置とは異なる位置に表示するため、切出前の画像の表示位置とは異なる表示位置に移動する移動手段を形成するとも言える。
【0051】
従って、この場合には、切出前と、表示位置が異なる位置(及び拡大サイズ)で切出範囲Eに対応する内視鏡画像が表示される。術者は、周辺側の関心領域の部分をモニタ5における表示領域の中央側に移動した状態で観察することができ、観察がし易くなる。
上述したように本実施形態においては、図6に示すような第1−第4焦点位置の他に、これらの焦点位置とは異なる焦点位置にフォーカスさせて観察することができる。
一方、このようなフォーカス制御の他に、図6に示すような第1−第4焦点位置のみでフォーカス制御を行うようにしても良い。
【0052】
この場合には、図6に示すように、可動範囲が制限された1つの合焦領域内部において、フォーカスレンズ26が設定される複数位置での対物光学系17が合焦する合焦ゾーン(MTFが10%以上となる深度幅のゾーン又は領域)が複数に細分される。
具体的には、遠点側と近点側とでそれぞれ2つの合焦ゾーンに細分される。最も遠点側における遠点側合焦ゾーンと、該遠点側合焦ゾーンに隣接する合焦ゾーンとのオーバーラップ量(重なり範囲)を、最も近点側における近点側合焦ゾーンと、該近点側合焦ゾーンに隣接する合焦ゾーンとのオーバーラップ量よりも大きくしている。
【0053】
従って、特に遠点側で内視鏡2の先端側を移動しながら、オートフォーカス制御が作動した場合においても、移動に応じて合焦ゾーンが変化(移動)するが、合焦ゾーンのオーバラップ量が大きいため、合焦ゾーンが変化(移動)しても観察している主要部分がぼけることなく、オートフォーカス制御を行うことができる。
上述した図1の場合には、光源装置3は白色光を発生する光源装置であり、また白色光に対応して撮像ユニット19は、色分離フィルタとしてのモザイクカラーフィルタ18aを備えたCCD18を用いている。
これに対して、図9に示す光源装置3Bのように、面順次の照明光を出射する構成にしても良い。この光源装置3Bは、図1におけるランプ3aと絞り3cとの間の光路中に回転フィルタ3eが配置されている。この回転フィルタ3eはモータ3fにより回転され、面順次の照明光をライトガイド14に供給する。
【0054】
この場合には、撮像ユニットは、色分離フィルタを有しないモノクロのCCD18を用いる。また、この場合の画像処理装置は、図1の画像処理装置4において、画像処理部33内の信号変換回路33aとして面順次のR,G,Bの画像信号から同時化し、輝度信号Yと色信号Cに変換する構成となる。
また、この場合には、上述した深度幅の定義が、以下のように若干異なる。固体撮像素子としてのCCD18は、画素毎に輝度信号を生成可能とするモノクロの固体撮像素子で構成され、合焦状態となるように自動でフォーカスを制御する可動範囲Kに対し、固体撮像素子の水平方向及び垂直方向の画素ピッチをPmmとした場合、対物光学系17の光軸上における空間周波数1/(2XP)のMTFが10%以上となる範囲を深度幅としたときに、1つの合焦ゾーンの深度幅が10mm以上を有し、かつ前記対物光学系17の物体距離が15mm以下となる範囲で、2つの可動範囲とする境界Bを設定する。
【0055】
この場合の作用効果は、上述した色分離フィルタを備えたCCD18を用いた場合と同様である。
また、図6に示すように第1領域Raにおいては、対物光学系17を合焦状態に設定する複数の合焦位置(又は焦点位置)として第1焦点位置と第2焦点位置に設定する情報と、第2領域Rbにおいては、対物光学系17を合焦状態に設定する複数の合焦位置(又は焦点位置)として第3焦点位置と第4焦点位置に設定する情報とを予め格納するようにしても良い。
例えば図1に示すメモリ38内の焦点位置設定情報格納部38bに、対物光学系17を第1焦点位置−第4焦点位置にそれぞれ設定する場合のフォーカスレンズ26の駆動信号値等の情報を格納(記憶)する。
そして、上述した通常のオートフォーカスモード(第1のオートフォーカスモード)の他に、第1焦点位置−第4焦点位置の位置のみで簡略的にオートフォーカスさせる第2のオートフォーカスモードを用意し、術者は2つのオートフォーカスモードから一方を利用してオートフォーカスさせるようにしても良い。
【0056】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態は、第1の実施形態の撮像ユニット19を構成する対物光学系17とは若干異なる対物光学系17Bを用いた場合の実施形態である。
従って、本実施形態の内視鏡装置は、対物光学系17Bが対物光学系17と異なる以外は、図1の内視鏡装置1の構成と同じである。
図10(A)に示すように本実施形態における対物光学系17Bは、図4(A)に示した対物光学系17と比較すると、前群G1における凸レンズL2が平板の光学素子L2に変更されている。
なお、図10(A)から図10(D)は、代表的な焦点位置状態としての第1焦点位置、第3焦点位置、第4焦点位置及び第5焦点位置での断面図を示す。
【0057】
また、図11は、上記各焦点位置での物体距離に対する解像力の特性例を示す。
また、本実施形態における数値データを以下に示す。

番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
物体面 D0
1 ∞ 0.4 1.88815 40.76
2 1.1238 0.76
3 ∞ 0.62 1.51965 75
4 ∞ D4
5 1.2768 0.55 1.88815 40.76
6 1.4194 D6
7(絞り) ∞ 0.11
8 2.7182 1.09 1.48915 70.23
9 -2.7182 D9
10 4.7991 1.49 1.77621 49.6
11 -2.0966 0.34 1.93429 18.9
12 -8.0131 0.988
13 ∞ 0.95 1.51825 64.14
14 ∞ 0.75 1.61379 50.2
(像面) ∞

第1焦点位置 第2焦点位置 第3焦点位置 第4焦点位置 第5焦点位置
D0 24.3 18.5 12.3 6.63 4.12
D4 0.14 0.17 0.23 0.14 0.3
D6 0.68 0.65 0.59 1.13 0.97
D9 1.17 1.17 1.17 0.72 0.72
f 1.477 1.473 1.464 1.236 1.223
IH 1.346 1.346 1.346 1.126 1.126
画角(°) 135.29 134.85 134.03 134.25 132.19
深度幅(mm) 13.3〜100以上 11.2〜47 8.44〜21.3 4.84〜9.95 3.24〜5.44
ヒ゜ッチP 2.5μm
本実施形態は、第1の実施形態の場合よりも、より物体側に接近させて合焦状態で観察することができる。その他、本実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を有する。
【0058】
(第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態を説明する。本実施形態は、第1の実施形態の撮像ユニット19を構成する対物光学系17とは若干異なる対物光学系17Cを用いた場合の実施形態である。従って、本実施形態の内視鏡装置は、対物光学系17Cが対物光学系17と異なる以外は、図1の内視鏡装置1の構成と同じである。
本実施形態における対物光学系17Cを図12(A)に示す。なお、図12(A)−図12(C)は、本実施形態における代表的な焦点位置状態としての第1焦点位置、第2焦点位置、及び第3焦点位置での断面図を示す。
また、本実施形態では、後群G2全体を画角用レンズ27としている。
【0059】
また、図13は、上記の代表的な焦点位置での物体距離に対する解像力の特性例を示す。
また、本実施形態における数値データを以下に示す。
【0060】
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
物体面 ∞ D0
1 ∞ 0.4 1.88815 40.76
2 1.1304 0.7
3 -2.1255 0.6 1.86207 20.4
4 -2.3077 D4
5 10.083 0.63 1.58065 37.1
6 17.2097 D6
7(絞り) ∞ 0.05
8 3.7832 0.8 1.60676 47.2
9 -3.1897 0.77
10 6.9093 1.2 1.61885 59.55
11 -1.3 0.35 1.92463 21.2
12 -3.3547 D12
13 ∞ 2 1.51825 64.14
(像面) ∞

第1焦点位置 第2焦点位置 第3焦点位置
D0 23.4 13.3 7
D4 0.2 0.65 0.65
D6 1.2 0.75 0.4
D12 1.448 1.448 1.798
深度幅(mm) 11〜100以上 7.9〜35 5.2〜10.1
画角(°) 130.6 130.8 129.6
IH 1.17 1.17 1.33
ヒ゜ッチP 1.7μm
本実施形態は、図13における例えば、第3焦点位置に設定した場合の特性から分かるように近点側での解像力を向上した構成にしている。その他、本実施形態は、第1の実施形態とほぼ同様の効果を有する。
【0061】
(第4の実施形態)
次に本発明の第4の実施形態を説明する。上述した第1−第3実施形態においては、近点側において深度幅を大きくして観察できるようにしている。これに対して、本実施形態においては、近点側において、高解像度で観察できるようにするものである。
図14は、本実施形態の内視鏡装置1Dを示す。この内視鏡装置1Dは、図1に示す第1の実施形態の内視鏡装置1において、CCD18の代わりに画素ピッチがより大きいCCD18Dを採用している。また遠点側から近点側への切替の場合に対して、図15で説明するように第1の実施形態等の場合の撮像領域の切替が異なり、高画素に切り替える。
【0062】
また、本内視鏡装置1Dにおいては、図1の画像処理装置4における移動/拡大回路33cの代わりに、縮小回路33eを採用している。
また、本実施形態における変更部36dは、選択手段としての選択スイッチSW1による手動での近点側合焦領域の選択と同時に、固体撮像素子としてのCCD18Dの撮像面18bにおける撮像領域を大きくすることで、その撮像領域内における中心位置Poから最も遠い位置までの距離を変更する。
また、調整部36eは、対物光学系17Dにおけるフォーカスレンズ26とは別の画角用レンズ27を移動させることで、変更部36dによる撮像領域の変更前後において、画角の変動が5%以内になるように設定又は調整する。その他、本内視鏡装置1Dは図1の内視鏡装置1と同様の構成である。
【0063】
図15は、本実施形態におけるCCD18Dの撮像面18bにおける撮像領域を示す。本実施形態においては、遠点側での実際に内視鏡画像として表示するのに使用される撮像領域は、CCD18Dの全撮像領域よりも狭い、第1の撮像領域5dに設定されている。
そして、近点側でオートフォーカスするように切り替えられた場合、変更部36dは、第1の撮像領域5dからより画素数が大きい第2の撮像領域5eに、(実際に内視鏡画像として表示するのに使用される)撮像領域を変更又は切り替える。
第1の撮像領域5dの場合におけるその中心位置Poから最も遠い位置までの距離はIhd、第2の撮像領域5eの場合におけるその中心位置Poから最も遠い位置までの距離はIhdからIheに変更される。
【0064】
また、調整部36eは、この変更(切替)に連動して、上記のように画角用レンズ27を移動させ、撮像領域の変更前後において、その画角の変動が5%以内になるように設定又は調整する。
なお、図15においてはデフォルト設定の場合の第2の撮像領域5eを示しており、スイッチSW2の操作により、第2の撮像領域5eとして、撮像面18b全体を撮像領域とするように設定することもできる。
また、画像処理部33における縮小回路33eは、拡大した撮像領域としての第2の撮像領域5eの画像信号に対して、第1の撮像領域の場合の画像サイズと同じサイズとなるように縮小する画像処理を行い、後段側に出力する。そして、モニタ5には、切替前後で表示サイズが同じ状態の内視鏡画像が表示される。
この場合、実際に内視鏡画像として表示するのに利用される画素数は、近点側への切替により増大されるので、術者は、近点側をより高解像度で観察することができる。なお、深度幅の定義は第1の実施形態と同様である。
【0065】
本実施形態の内視鏡装置1Dは、内視鏡2の先端部11に対物光学系17と固体撮像素子としてのCCD18Dにより構成される撮像ユニット19を備え、所定の距離範囲内における任意の距離の被写体に対して合焦状態となるように前記対物光学系17中のフォーカスレンズ26を移動して自動でフォーカス制御する内視鏡装置であって、前記所定の距離範囲内における前記被写体に対して自動でフォーカス制御する合焦領域を、少なくとも2つに制限する制限手段としての制限部37aと、前記制限手段に対し、制限された合焦領域を手動で選択する選択手段としての選択スイッチSW1と、前記選択手段による合焦領域の選択と同時に、前記固体撮像素子の撮像面における撮像領域を大きくすることで、前記固体撮像素子の撮像領域内における中心位置Poから最も遠い位置までの距離を変更する変更手段としての変更部36dと、を備え、前記対物光学系17における前記フォーカスレンズ26とは別の移動用レンズとしての画角用レンズ27を移動させることで、前記撮像ユニット19の画角を前記変更手段による前記撮像領域の変更前後において、前記画角の変動が5%以内になるように設定することを特徴とする。
【0066】
このような構成及び上述した動作を有する本実施形態によれば、近点側の患部等を高解像度の状態にして観察を行うことができる内視鏡装置1Dを提供することができる。
本実施形態は、第1の実施形態の対物光学系17を用いた場合で説明したので、合焦ゾーンの重なり等に関しても第1の実施形態で説明した場合と同様の特性を有する。
なお、本実施形態として第1の実施形態の対物光学系17を用いた場合に限定されるものでなく、第2,第3の実施形態の対物光学系を採用しても良い。
また、上述した実施形態及び変形例等を部分的に組み合わせて構成される実施形態も本発明に属する。例えば、第4の実施形態において、CCD18Dとして色分離フィルタを有しないモノクロのCCDを採用しても良い。
【符号の説明】
【0067】
1…内視鏡装置、2…内視鏡、3…光源装置、4…画像処理装置、5…モニタ、7…挿入部、11…先端部、17…対物光学系、18…CCD、19…撮像ユニット、26…フォーカスレンズ、27…画角用レンズ、33…画像処理部、33b…切出処理回路、33c…移動/拡大回路、36…CPU、36b…オートフォーカス制御部、36c…制御部、36d…変更部、36e…調整部、37…アクチュエータ駆動部、37a…制限部、38…メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の先端部に対物光学系と固体撮像素子とにより構成される撮像ユニットを備え、所定の距離範囲内における任意の距離の被写体に対して合焦状態となるように前記対物光学系中のフォーカスレンズを移動して自動でフォーカス制御する内視鏡装置において、
前記所定の距離範囲内における前記被写体に対して自動でフォーカス制御する合焦領域を、少なくとも2つに制限する制限手段と、
前記制限手段に対し、制限された合焦領域を手動で選択する選択手段と、
前記選択手段による合焦領域の選択と同時に、前記固体撮像素子の撮像面における撮像領域から一部の撮像領域を切り出し、前記固体撮像素子の撮像領域内における中心位置から最も遠い位置までの距離を変更する変更手段と、
を備え、
前記対物光学系における前記フォーカスレンズとは別の移動用レンズを移動させることで、前記変更手段による前記撮像領域の変更前後において、前記撮像ユニットの画角の変動が5%以内になるように設定することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記撮像領域を切り出す前後で表示サイズが変わらないように画像処理を行う画像処理手段を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記制限された1つの合焦領域内において、前記対物光学系が合焦する合焦ゾーンが複数に細分され、最近接合焦ゾーンから遠点側合焦ゾーンにいくにつれ、各合焦領域における合焦ゾーン同士の重なりが大きくなることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記固体撮像素子は、画素毎に色分離フィルタが配されたカラー撮像用の固体撮像素子で構成され、
前記制限手段は、前記合焦状態となるように自動でフォーカス制御する可動範囲に対し、前記固体撮像素子の水平方向の画素ピッチをPmmとした場合、前記対物光学系の光軸上における空間周波数1/(3XP)のMTFが10%以上となる範囲を深度幅としたときに、1つの合焦ゾーンの深度幅が5mm以上を有し、かつ前記対物光学系の物体距離が15mm以下となる範囲で、少なくとも1つの合焦領域の境界を設定することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記固体撮像素子は、画素毎に輝度信号が生成される固体撮像素子で構成され、前記制限手段は、前記合焦状態となるように自動でフォーカス制御する可動範囲に対し、固体撮像素子の水平方向の画素ピッチをPmmとした場合、対物光学系の光軸上における空間周波数1/(2XP)のMTFが10%以上となる範囲を深度幅としたときに、1つの合焦ゾーンの深度幅が5mm以上を有し、かつ前記対物光学系の物体距離が15mm以下となる範囲で、少なくとも1つの合焦領域の境界を設定することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
物体側から順に、負の屈折力の前群、明るさ絞り、正の屈折力の後群で構成され、前記前群が凹レンズ及び凸レンズで構成され、前記後群が、凸レンズ及び接合レンズで構成され、前記画角を調整する移動用レンズが、前記後群中の前記凸レンズであることを特徴とする請求項1から5記載の内視鏡装置。
【請求項7】
内視鏡の先端部に対物光学系と固体撮像素子とにより構成される撮像ユニットを備え、所定の距離範囲内における任意の距離の被写体に対して合焦状態となるように前記対物光学系中のフォーカスレンズを移動して自動でフォーカス制御する内視鏡装置において、
前記所定の距離範囲内における前記被写体に対して自動でフォーカス制御する合焦領域を、少なくとも2つに制限する制限手段と、
前記制限手段に対し、制限された合焦領域を手動で選択する選択手段と、
前記選択手段による合焦領域の選択と同時に、前記固体撮像素子の撮像面における撮像領域を大きくすることで、前記固体撮像素子の撮像領域内における中心位置から最も遠い位置までの距離を変更する変更手段と、
を備え、
前記対物光学系における前記フォーカスレンズとは別の移動用レンズを移動させることで、前記変更手段による前記撮像領域の変更前後において、前記撮像ユニットの画角の変動が5%以内になるように設定することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項8】
前記制限された1つの合焦領域内部において、前記対物光学系が合焦する合焦ゾーンが複数に細分され、最近接合焦ゾーンから遠点側合焦ゾーンにいくにつれ、各合焦領域における合焦ゾーン同士の重なりが大きくなることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
前記固体撮像素子は、画素毎に色分離フィルタが配されたカラー撮像用の固体撮像素子で構成され、
前記制限手段は、前記合焦状態となるように自動でフォーカス制御する可動範囲に対し、固体撮像素子の水平方向の画素ピッチをPmmとした場合、前記対物光学系の光軸上における空間周波数1/(3XP)のMTFが10%以上となる範囲を深度幅としたときに、1つの合焦ゾーンの深度幅が10mm以上を有し、かつ前記対物光学系の物体距離が15mm以下となる範囲内において、少なくとも1つの合焦領域の境界を設定することを特徴とする請求項8に記載の内視鏡装置。
【請求項10】
前記固体撮像素子は、画素毎に輝度信号が生成される固体撮像素子で構成され、
前記制限手段は、前記合焦状態となるように自動でフォーカス制御する可動範囲に対し、固体撮像素子の水平方向の画素ピッチをPmmとした場合、対物光学系の光軸上における空間周波数1/(2XP)のMTFが10%以上となる範囲を深度幅としたときに、1つの合焦ゾーンの深度幅が10mm以上を有し、かつ前記対物光学系の物体距離が15mm以下となる範囲で、少なくとも1つの合焦領域の境界を設定することを特徴とする請求項8に記載の内視鏡装置。
【請求項11】
物体側から順に、負の屈折力の前群、明るさ絞り、正の屈折力の後群で構成され、前記前群が凹レンズ及び凸レンズで構成され、前記後群が、凸レンズ及び接合レンズで構成され、前記画角を調整する移動用レンズが、前記後群中の前記凸レンズであることを特徴とする請求項8に記載の内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−22262(P2013−22262A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160187(P2011−160187)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】