説明

内視鏡

【課題】操作部を把持している手で第2操作用ワイヤーの牽引、保持、保持解除、弛緩の操作を行える第2操作装置を湾曲部操作装置の他に操作部に備えた内視鏡を提供する。
【解決手段】内視鏡は、操作部3に湾曲部操作ノブ6、硬度調整用レバー7、レバー7を回動することによって第1方向、第2方向に移動するロッド部材30、及びロッド部材30の第1方向及び第2方向への移動によって拡がる方向、及び縮まる方向に弾性変形する一対の当接部を備える弾性部材70を備え、ロッド部材30は、軸本体31を備え、軸本体31には基端側から順に取付部32、拡径傾斜面および保持平面を備える第1凸部40、一対の第1傾斜面、一対の当接部が通過可能なスリット、および一対の第2傾斜面を備える第2凸部50、及び調整用ワイヤー22の基端が固定されるワイヤー固定部60が固設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部内に、第1機能部である湾曲部を湾曲するための湾曲部操作用ワイヤーと、該湾曲操作用ワイヤーの他に牽引することによって第2機能部を動作させる第2機能部操作用ワイヤーとを備える内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野において、体内に細長の挿入部を挿入することにより、観察、或いは各種治療処置を行える内視鏡が利用されている。
【0003】
内視鏡には、挿入部が軟性な内視鏡の挿入部先端側に例えば上下左右方向に湾曲する湾曲部を備えた湾曲部付内視鏡、或いは湾曲部の湾曲半径を例えば第1の半径と第2の半径と切り替え可能な湾曲部湾曲半径可変内視鏡、或いは挿入部の先端部の内部に設けられた撮像光学系の観察範囲を広角又は拡大に切り替えることが可能なズーム機能付き内視鏡、或いは挿入部を構成する可撓管部の硬度を可変することが可能な硬度可変内視鏡等が知られている。
【0004】
湾曲部付内視鏡では、挿入部の基端に配設された操作部に湾曲部操作装置が設けられ、挿入部内には先端が湾曲部に固定された湾曲部操作用ワイヤーが挿通されている。この内視鏡では、湾曲部操作装置を操作して湾曲部操作用ワイヤーを牽引・弛緩することにより、湾曲部の湾曲操作を行える。
【0005】
これに対して、湾曲部湾曲半径可変内視鏡、ズーム機能付き内視鏡、及び硬度可変内視鏡等においては、操作部に湾曲部操作用ワイヤー(第1操作用ワイヤー)を牽引・弛緩するための湾曲部操作装置(第1操作装置)の他に、挿入部内に湾曲部操作用ワイヤーの他に挿通されている第2操作用ワイヤーを牽引するための第2操作装置が設けられている。
【0006】
具体的に、湾曲部湾曲半径可変内視鏡においては、挿入部内に第2操作用ワイヤーとして湾曲部の一部である例えば湾曲部基端側を湾曲可能な状態と湾曲不能な状態とに切り替えるための湾曲半径切替ワイヤーが挿通される。そして、操作部には湾曲半径切替ワイヤーを牽引弛緩するための湾曲部半径切替操作装置が第2操作装置として設けられる。この湾曲部湾曲半径可変内視鏡では、湾曲部半径切替操作装置を操作することなく湾曲半径切替ワイヤーを牽引していない状態、即ち、該切替ワイヤーが弛緩した状態において、湾曲部操作装置を操作して湾曲部操作用ワイヤーを牽引、弛緩操作することにより、湾曲部先端側と湾曲部の湾曲部基端側とを備える湾曲部全体が半径Rで湾曲する。一方、この内視鏡では、湾曲部半径切替操作装置によって湾曲半径切替ワイヤーを牽引することにより、湾曲部基端側が湾曲不能な状態なる。ここで、その状態を保持しつつ、湾曲部操作装置を操作して湾曲部操作用ワイヤーを牽引、弛緩操作する。すると、湾曲部の湾曲部基端側が湾曲不能な状態に保持されているため、湾曲部操作用ワイヤーの牽引、弛緩によって、湾曲部の湾曲部先端側だけが半径Rより小さな半径で湾曲する。
【0007】
また、ズーム機能付き内視鏡では、操作部に第2操作装置として移動レンズ操作装置を備え、挿入部内には第2操作用ワイヤーとして移動レンズ操作用ワイヤーが挿通されている。このズーム機能付き内視鏡では、例えば、移動レンズ操作装置の操作によって移動レンズ操作用ワイヤーを牽引して、移動レンズが配置された移動レンズ枠を軸方向に後退させることによって観察部位の広角画像が拡大画像に切り替えられるようになっている。
【0008】
また、硬度可変内視鏡では、操作部に第2操作装置として硬度可変操作装置を設け、挿入部内には第2操作用ワイヤーとして硬度調整用ワイヤーが設けられている。硬度調整用ワイヤーは、挿入部を構成する可撓管部内に配設されたコイルパイプ内に挿通され、コイルパイプの先端が硬度調整ワイヤーの途中の固定部において強固に固定されている。この硬度可変内視鏡では、硬度可変操作装置によって硬度調整用ワイヤーを牽引してコイルパイプを圧縮して該パイプの硬度を増大させることによって可撓管部を硬くすることができるようになっている。
【0009】
例えば、特許文献1には、挿入部内に挿通された硬度調整ワイヤーを、操作部の前端に設けた円筒形状の硬度調整ノブを回動操作することによって牽引・弛緩することにより、該ワイヤーの外周に被覆されたコイルパイプの圧縮、非圧縮に伴い、挿入部の可撓管部の硬度を可変させる構成の内視鏡が開示されている。そして、この内視鏡では、硬度調整ノブを手で回転操作して可撓管部の硬度を硬くする操作を行った状態で、硬度調整ノブから手を離しても、硬度調整ノブがその操作状態にロックされることにより、その操作状態に対応する硬度状態でコイルをロックできる構造になっている。
【0010】
また、特許文献2には、挿入部内に挿通された操作ワイヤーを、操作部に設けられたレバーを回動操作することによって操作ワイヤーを牽引して該ワイヤーの外周に被覆された密着コイルの圧縮、非圧縮に伴い、挿入部の可撓管部の硬度を可変させる構成の内視鏡が開示されている。この内視鏡には、操作ワイヤーの牽引状態を保持すること、及びその保持状態を解除することのできるロック機構がレバーとは別に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−014860号公報
【特許文献2】特開2002−291685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1の内視鏡では、術者が硬度調整ワイヤーの牽引、保持、保持解除、弛緩を行う際、挿入部を把持している手をいったん離し、その手で操作部に設けられている硬度調整ノブの回動操作を行う必要があった。
【0013】
一方、特許文献2の内視鏡では、操作ワイヤーの牽引・弛緩を行うレバーと、牽引保持、牽引解除を行うロック機構とが別に設けられているため操作が煩雑で、状況によっては挿入部を把持している手をいったん離し、その手でロック機構の操作を行う必要が生じるおそれがあった。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであって、挿入部を把持している手を該挿入部から離すことなく、操作部を把持している手で挿入部内に挿通されている第2操作用ワイヤーの牽引、保持、保持解除、弛緩の操作を行える第2操作装置を該操作部に湾曲部操作装置の他に備えた内視鏡を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様の内視鏡は、先端側から順に、先端部、湾曲部、及び可撓管部を連設して構成される挿入部と、前記湾曲部を湾曲させる第1牽引部材の基端が固定され、回動することで該第1牽引部材を牽引あるいは弛緩する第1牽引操作装置、及び回動自在に設けられ前記第1牽引部材とは異なる第2牽引部材を牽引する際に操作される第2牽引操作装置を備える、前記挿入部の基端側に設けられた把持部を兼ねる操作部と、前記操作部内に進退自在に配置され、前記第2牽引操作装置を初期位置から一方向に回転させることによって操作部長手軸の第1方向に移動し、該第2牽引操作装置を初期位置に戻すように他方向に回転させることによって前記第1方向とは逆方向である第2方向に移動する、前記第2牽引部材の基端が固定されるロッド部材と、前記操作部内の予め定めた位置に固設され、前記ロッド部材の第1方向への移動及び第2方向への移動によって、該操作部長手軸方向に対して直交する拡がる方向、及び縮まる方向に弾性変形可能で前記ロッド部材の前記操作部長手軸方向の位置を保持するための位置決め面を有する一対の当接部を有する弾性部材と、を備え、前記ロッド部材は、軸本体と、該軸本体に基端側から順に固設される、前記ロッド部材の基端面側に設けられ、前記ロッド部材と前記第2牽引操作装置とを連結する連結部材が取りつけられる取付部と、前記取付部より前記ロッド部材の先端側に設けられ、該ロッド部材の第1方向への移動に伴って前記一対の当接部を徐々に拡げる拡径傾斜面および前記弾性部材の位置決め面に当接する保持平面を備える第1凸部と、前記第1凸部より前記ロッド部材の先端側に設けられ、該ロッド部材の第1方向への移動に伴って前記弾性部を徐々に縮める一対の第1傾斜面、前記ロッド部材の更なる第1方向への移動に伴って前記第1傾斜面によって縮められた前記一対の当接部が通過可能なスリット、および当該ロッド部材の第2方向への移動に伴って前記一対の当接部を徐々に拡げる一対の第2傾斜面を備える第2凸部と、前記ロッド部材の先端面側に設けられ、前記第2牽引部材の基端が固定されるワイヤー固定部と、を具備している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、挿入部を把持している手を該挿入部から離すことなく、操作部を把持している手で挿入部内に挿通されている第2操作用ワイヤーの牽引、保持、保持解除、弛緩の操作を行える第2操作装置を該操作部に湾曲部操作装置の他に備えた内視鏡を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】内視鏡を説明する図であって、先端湾曲駒に湾曲ワイヤーの先端が接続された拡大模式図を含む内視鏡一側面図
【図2】内視鏡の操作部の構成を説明すると共に、硬度調整用レバーとロッド部材との関係を説明する図
【図3】図2のY3−Y3線断面図
【図4】ロッド部材の構成を説明する斜視図
【図5】第2凸部の構成を説明する図
【図6】図6−図16は硬度調整用レバーによって操作されるロッド部材の作用を説明する図であって、図6は硬度調整用レバーの回転操作とロッド部材の第1方向への移動とを説明する図
【図7】ロッド部材の第1方向への移動によって第1凸部が弾性部材が備える一対の当接部の間に配置された状態を説明する図
【図8】ロッド部材の第1方向への移動によって第1凸部の拡径傾斜面が弾性部材の一対の当接部を拡げている状態を説明する図
【図9】ロッド部材の第1方向への移動によって第1凸部が弾性部材を通過した状態、及び保持状態を説明する図
【図10】保持状態を解除するため、さらにロッド部材を第1方向へ移動させた状態を説明する図
【図11】ロッド部材の第1方向への移動によって第2凸部の第1傾斜面によって押し縮められた一対の当接部がスリット内に配置された状態を説明する図
【図12】ロッド部材の第1方向への移動によって第2凸部が弾性部材を通過した状態、及び切替状態を説明する図
【図13】ロッド部材の第2方向への移動によって第2凸部の第2傾斜面によって押し拡げられていく一対の当接部を説明する図
【図14】ロッド部材の第2方向への移動によって一対の当接部が案内部の案内外面上に配置された状態を説明する図
【図15】ロッド部材の第2方向への移動によって第2当接部が弾性部材を通過した状態を説明する図
【図16】ロッド部材が元の位置に戻った状態を説明する図
【図17】第2凸部を構成する凸部本体を備える他の構成のロッド部材を説明する図
【図18】第1軸体と凸部本体と第2軸体とを一体にして構成されたロッド部材を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1−図18を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1に示すように内視鏡1は、挿入部2と、操作部3と、ユニバーサルコード4とを備えて構成されている。ユニバーサルコード4は、操作部3の側部から延出しており、その延出端にはコネクター5が設けられている。コネクター5は、外部装置である図示しない制御装置および照明装置等に電気的に接続される。
【0019】
挿入部2は、先端側から順に、先端部11、湾曲部12、および可撓管部13を連設して構成されている。
先端部11には観察光学系が設けられている。観察光学系は、観察部位を照明する図示しない照明ユニットおよび照明ユニットに照明された観察部位を撮像する撮像ユニット(不図示)を備えて構成されている。
【0020】
湾曲部12は、内視鏡の第1機能部であって複数の湾曲駒14を回動自在に連結して、例えば上下左右の四方向に湾曲するように構成されている。湾曲部12を構成する複数の湾曲駒14のうち、最先端に位置する先端湾曲駒14fには、第1牽引部材として4本の湾曲ワイヤー15U、15D、15L、15Rのそれぞれの先端が予め定めた位置に固定されている。4本の湾曲ワイヤー15U、15D、15L、15Rは、第1機能部操作用のワイヤーであり、本実施形態においては、上下左右の四方向に対応して設けられている。
【0021】
可撓管部13は、軟性で且つ可撓性を有する。本実施形態において、可撓管部13内には図2に示すように例えば2本のコイルパイプ21が予め定めた位置に配置されている。コイルパイプ21は、可撓管部13の弾発性を変化させるため可撓管硬度可変部材である。コイルパイプ21が有する軸方向貫通孔内には第2牽引部材である硬度調整用ワイヤー22が挿通されている。
【0022】
硬度調整用ワイヤー22は、コイルパイプ21の圧縮状態を変化させる。硬度調整用ワイヤー22の先端は、第2機能部操作用のワイヤーであり、コイルパイプ21の先端から湾曲部12方向に突出され、突出された先端は硬性の接続管23の内周面の予め定めた位置に固定されている。
なお、接続管23は、可撓管部13と湾曲部12とを接続する部材である。
【0023】
一方、硬度調整用ワイヤー22の中途部は、可撓管部13内に配設されたコイルパイプ21の先端部において例えばろう付け(不図示)によって強固に固定されている。コイルパイプ21と硬度調整用ワイヤー22とは第2の機能部である硬度可変機構を構成する。
【0024】
図1に示すように操作部3は、挿入部2の基端側に連設して設けられている。操作部3は、把持部を兼ね、第1牽引操作装置である湾曲部操作ノブ6と、第2牽引操作装置である硬度調整用レバー7とを備えて構成されている。
【0025】
湾曲部操作ノブ6は、術者が術中において湾曲部12を湾曲動作させる際に回動操作するノブであり、本実施形態において、上下用ノブ6a及び左右用ノブ6bを備えて構成されている。
【0026】
上下用ノブ6aには上用湾曲ワイヤー15Uの基端と、下用湾曲ワイヤー15Dの基端とがそれぞれ固定されている。左右用ノブ6bには、左用湾曲ワイヤー15Lの基端と右用湾曲ワイヤー15Rの基端とがそれぞれ固定されている。
【0027】
上下用ノブ6a及び左右用ノブ6bは、時計方向、反時計方向にそれぞれ回転する回動ノブとして構成されている。図2に示すように、上下用ノブ6aは、上下用ノブ軸16の軸回りに回動自在で、左右用ノブ6bは左右用ノブ軸17の軸回りに回動自在である。上下用ノブ軸16と左右用ノブ軸17とは同心に配置されている。
【0028】
この構成によれば、上下用ノブ6aを回動操作して、例えば上用湾曲ワイヤー15Uを牽引して、下用湾曲ワイヤー15Dを弛緩させることにより、湾曲部12が上方向に湾曲する。
なお、符号16b、17bは軸受であり、各軸16、17を回動自在に保持する。
【0029】
一方、硬度調整用レバー7は、例えば術者が術中において可撓管部13の硬度を変化させる際に操作するノブである。硬度調整用ワイヤー22の基端は、硬度調整用レバー7の回動操作に伴って進退される後述するロッド部材30の先端に設けられた硬度調整用ワイヤー固定部(以下ワイヤー固定部と略記する(図2の符号60参照))に固定されている。
【0030】
ここで、図2−図5を参照して硬度調整用レバー7とロッド部材30との関係および、ロッド部材30及び弾性部材70の構成を説明する。
図2に示す硬度調整用レバー7は、レバー用軸18に対して軸回りに、時計方向(矢印Y2方向)及び反時計方向(矢印Y1方向)に回転する回動レバーとして構成されている。レバー用軸18と、上下用ノブ軸16及び左右用ノブ軸17とは同心な位置関係である。
符号18bは軸受であり、レバー用軸18を回動自在に保持する。
【0031】
本実施形態において、硬度調整用レバー7は、図1に示す初期位置(図2では実線に示す位置)から図2の破線に示す切替位置までの範囲で回動操作されるように設定されている。そして、硬度調整用レバー7の指当て部7pを、操作部3を把持する術者の手の親指で操作可能な位置に設定している。したがって、本実施形態の内視鏡1によれば、術者は、操作部3を把持する手の親指で、上下用ノブ6a、左右用ノブ6b及び硬度調整用レバー7の操作を行える。
【0032】
また、本実施形態において、硬度調整用レバー7は、硬度調整用レバー7を回動する術者の操作力量を増幅して、ロッド部材30に駆動力として伝達する構成、言い換えれば、僅かな操作力量で硬度調整用レバー7を操作してロッド部材30の移動を容易に行える構成になっている。
【0033】
そのため、硬度調整用レバー7の回動中心18cは、硬度調整用レバー7のレバー先端7f側に設けられた凸部7bの中心7bcから該中心18cまでの距離L1と、レバー基端7rから該中心18cまでの距離L2との比率が予め定めた値になるようにてこの原理を用いて設定されている。
【0034】
操作部3内には、仕切り板3pが設けられている。仕切り板3pの予め定めた位置には、上下用ノブ軸受16b、左右用ノブ軸受17b、及びレバー軸受18bが固設されている。また、本実施形態において、仕切り板3pには、細長な硬度調整用フレーム3fが固定されている。硬度調整用フレーム3fは、該フレーム3fの長手軸を挿入部延長軸線2aに対して平行にして配置されている。
【0035】
硬度調整用フレーム3fには、係止部を兼ねる弾性部材70が固定され、ロッド部材30が軸方向に対して進退自在に配設される。
図2、図3に示すように硬度調整用フレーム3fは、長手軸方向に細長な凹み空間3sを備え、底面3bの予め定めた位置に弾性部材70が固定されている。また、凹み空間3sに進退自在に配設されているロッド部材30は、軸本体31に、取付部32、第1凸部40、第2凸部50、及びワイヤー固定部60を設けて構成されている。そして、軸本体31は、弾性部材70の後述する一対の当接部74間に配置されている。
なお、軸本体31の直径は、予め定めた寸法φDである。
【0036】
まず、図2−図4を参照して弾性部材70を説明する。
弾性部材70は、予め定めた厚み寸法t、幅寸法w、および長さ寸法の板バネ部材を、予め定めた形状に折り曲げて、断面形状が略凹字形状となるように形作られている。
【0037】
弾性部材70は、固定面71と、一対の弾性変形部72とを備える。一対の弾性変形部72は、固定面71の両側部からそれぞれ立設している。
【0038】
弾性変形部72は、バネ部73及び当接部74を備えている。本実施形態において、当接部74の当接部内面75同士は、例えばバネ部73に負荷が働いていない無負荷状態、言い換えれば、外力によって変形されていない自然状態において、対面するように形成されている。
【0039】
固定面71は、硬度調整用フレーム3fの凹み空間3sの底面3bの予め定めた位置に、接着、半田付け等によって該フレーム3fに一体に固定される。このとき、一対の当接部74は、硬度調整用フレーム3fの長手軸に対して平行に配置される。
【0040】
本実施形態において、一対の当接部74の基端側の面は、位置決め平面76として構成されている。また、一対の当接部内面75間の幅寸法(以下、内幅と略記する)W1は、自然状態においてロッド部材30を構成する軸本体31の外径寸法φDに比べて幅広に設定されている。このため、当接部内面75と軸本体31の外周面との間には、一対の当接部74の内幅W1が狭まるように弾性変形可能にする、予め定めた寸法の隙間が設けられる。
なお、自然状態の当接部74の幅寸法(以下、外幅と略記する)は、W2と記載する。外幅W2は、内幅W1+2×(弾性部材70の厚み寸法t)である。
【0041】
硬度調整用フレーム3fに固定された弾性部材70の一対の当接部74は、ロッド部材30の進退移動に伴って、バネ部73の付勢力に抗して弾性変形する。具体的に、一対の当接部74は、硬度調整用フレーム3fの長手軸に対して直交する方向に対して、内幅W1を拡げつつ弾性変形することが可能であるとともに、内幅W1を狭め(縮め)つつ弾性変形することが可能である。
【0042】
したがって、バネ部73の付勢力に抗して拡げられた当接部74、及びバネ部73の付勢力に抗して狭められた当接部74は、該当接部74にかかる外力の低下等に伴ってバネ部73の付勢力によって再び元の状態に復帰する。
【0043】
なお、図4の符号77は、固定ピンである。弾性部材70のフレーム3fに対する一体固定は、上述した接着、半田付け等に限定されるものではなく、固定ピン77を用いて弾性部材70を硬度調整用フレーム3fに固定する構成であってもよい。
【0044】
次に、図2−図5を参照してロッド部材30を説明する。
ロッド部材30は、予め定めた長さ寸法の軸本体31の基端面側から順に、取付部32、第1凸部40、第2凸部50、及びワイヤー固定部60をそれぞれ予め定めた間隔で設けて構成されている。
【0045】
取付部32は、軸本体31の基端側に一体に設けられる構成、或いは別体に構成されて、ネジ、接着、半田、溶接等によって基端部に一体に固定される構成である。取付部32には、連結部材19の一端が回動自在に取り付けられる。
【0046】
連結部材19は、ロッド部材30と硬度調整用レバー7とを連結されてリンク機構を構成する。連結部材19の一端である先端側には取付部32に回動自在に配置される第1孔19aが形成され、基端側には第2孔19bが形成されている。第2孔19bは、硬度調整用レバー7のレバー先端7fに設けられた凸部7bに回動自在に配置される。
【0047】
この構成によれば、ロッド部材30は、硬度調整用レバー7の回動操作に伴って操作部3の長手軸方向に対して進退移動する。具体的に、ロッド部材30は、硬度調整用レバー7が実線に示す初期位置からレバー用軸18を中心に矢印Y1方向に回転されることによって、第1方向である矢印Y4方向に移動する。一方、ロッド部材30は、硬度調整用レバー7が破線に示す位置からレバー用軸18を中心に破線で示す矢印Y2方向に回転されることによって、第1方向とは逆方向な第2方向である破線で示す矢印Y5方向に移動する。
【0048】
第1凸部40は、拡径傾斜面41および保持平面42を備え、軸本体31に対して出っ張った略円錐形状に形作られている。第1凸部40は、取付部32の中心から予め定めた距離、離間して設けられている。第1凸部40は、硬度調整用レバー7が初期状態において弾性部材70よりも先端側の凹み空間3s内に配置される。
【0049】
拡径傾斜面41は、第1凸部40の側周面を構成するテーパー形状の斜面である。拡径傾斜面41は、基端側から先端側にいくにしたがって径寸法がφDからφD1まで連続的に大きくなるように形成されている。
【0050】
保持平面42は、軸本体41から外周面突出した円環状の平面であり、第1凸部40の先端面を構成する。保持平面42は、弾性部材70の位置決め平面76に対して当接配置される。本実施形態において、保持平面42の幅寸法W3は、安定した保持を可能にする目的で例えば弾性部材70の厚み寸法tを考慮して、その寸法tより予め定めた寸法分大きく設定されている。
【0051】
第2凸部50は、軸本体31に対して出っ張り、予め定めた形状に形作られている。第2凸部50は、第1凸部40から予め定めた距離、離間して設けられている。第2凸部50は、一体部51と、対向する一対の突起部52とを備えて主に構成されている。一体部51は、軸本体31に対して一体に形作られている。
【0052】
一対の突起部52は、一体部51の予め定めた側面からそれぞれ基端側に突出している。一対の突起部52には、それぞれ突起部内側傾斜面である第1傾斜面53と、突起部外側傾斜面である第2傾斜面54とが形成されている。加えて、一対の突起部52にはそれぞれ、軸本体31の長手軸に沿って形成されたスリット55及び案内部56が形成されている。一対の突起部52において、案内部56の案内内面56i同士は、対面するように形成されている。
【0053】
第2凸部50が有する一対の第1傾斜面53は、弾性部材70の当接部74の内幅W1をバネ部73の付勢力に抗して狭める斜面として構成されている。つまり、第1傾斜面53は、一対の第1傾斜面53が構成する突起部52の開口幅を基端側から先端側にいくにしたがって連続的に小さくするように形成されている。そして、本実施形態において、基端側開口幅寸法Wiは、自然状態の当接部74の外幅W2より予め定めた寸法分、大きく設定されている。
【0054】
第2凸部50が有する一対の第2傾斜面54は、弾性部材70の当接部74の内幅W1をバネ部73の付勢力に抗して拡げる斜面として形成されている。つまり、第2傾斜面54は、一対の第2傾斜面54が構成する突起部52の外形幅を先端側から基端側にいくにしたがって連続的に大きくするように形成されている。そして、基端側外形幅寸法Woは、予め定めた寸法に設定されている。
本実施形態において、第1傾斜面53の傾斜角度と、第2傾斜面54の傾斜角度とは、同じ角度であっても、異なる角度のいずれであってもよい。
【0055】
スリット55は、第1傾斜面53が形成されている当接部弾性変形空間57と、第2傾斜面54が形成されている外部とを連絡する。スリット55は、当接部弾性変形空間57内に配置されている弾性部材70の当接部74を外部に導く導出路である。したがって、スリット55の幅寸法Wsは、弾性部材70の厚み寸法tを考慮して、その寸法tより予め定めた寸法大きく設定されている。
【0056】
案内部56は、第2傾斜面54によって拡げられた弾性部材70の当接部74を付勢力に抗して拡開状態を維持する平面で構成された案内外面56oを有している。
本実施形態において、スリット55と第1傾斜面53とが交差する交差部、スリット55と第2傾斜面54とが交差する交差部、及び第2傾斜面54と案内外面56oとが交差する交差部には、ロッド部材30が進退移動する際に当接部74との引っかかりを防止するための面取りが施してある。
【0057】
ワイヤー固定部60は、ロッド部材30の最先端を構成する。ワイヤー固定部60は、ロッド部材30の先端部に一体に設けられる構成、或いは別体に構成されて、ネジ、接着、半田、溶接等によってロッド部材30の先端面に一体に固定される構成である。
【0058】
ワイヤー固定部60は、直方体形状であり、硬度調整用ワイヤー22を配置するためのワイヤー用スリット61が形成されている。ワイヤー用スリット61は、各硬度調整用ワイヤー22に対応する位置関係で形成されている。
【0059】
本実施形態において、硬度調整用ワイヤー22の基端にはストッパー24が設けられる。ストッパー24は、硬度調整用ワイヤー22に半田付け、ろう付け等によって一体に固定されている。ストッパー24は、ワイヤー固定部60の基端側面62に当接した状態で該固定部60に配設される。
【0060】
なお、図3に示すように本実施形態において、硬度調整用フレーム3fが備える凹み空間3sの幅寸法Wfは、基端側外形幅寸法Woと弾性部材70の厚み寸法tとを考慮して設定される。具体的に、幅寸法Wfは、案内外面56o上に当接部内面75が配置された状態において、凹み空間3sの空間内面3iと当接部74の当接部外面78との間に隙間s1が形成されるように厚み寸法tよりも予め定めた寸法大きく設定されている。
【0061】
また、図5に示すように本実施形態において、第2凸部50の当接部配置空間58の幅寸法Wmは、保持平面42の径寸法D1と弾性部材70の厚み寸法tとを考慮して設定される。具体的に、幅寸法Wmは、第1凸部40の保持平面42を構成する先端縁部によって当接部74が拡開された状態において、当接部配置空間58の空間内面58iと当接部74の当接部外面78との間に予め定めた隙間s2が形成されるように設定されている。
【0062】
ここで、上述のように構成された硬度調整用レバー7の作用を説明する。
術者は、可撓管部13の硬度を変化させる際、操作部3を把持する手の親指で初期位置に配置されている硬度調整用レバー7を回転操作する。すると、図6に示すように硬度調整用レバー7の矢印Y1方向への回転に伴って、連結部材19が移動するとともにロッド部材30が矢印に示す第1方向に移動して、弛緩状態であった硬度調整用ワイヤー22の牽引が開始される。
【0063】
そして、術者が継続して矢印Y1方向に硬度調整用レバー7を操作し続けることにより、ロッド部材30が第1方向に向かって移動を続ける。この結果、コイルパイプ21は、硬度調整用ワイヤー22の牽引に伴って徐々に圧縮されていく。
【0064】
ロッド部材30が移動することにより、まず、図6に示すように第1凸部40が弾性部材70を構成する当接部74の内幅W1内に配置される。
【0065】
続いて、図7に示すように第1凸部40の拡径傾斜面41が当接部74に当接する。そして、第1凸部40の移動に伴って当接部74は、図8に示すように拡径傾斜面41によって押し拡げられていく。このとき、押し広げられた当接部74は、第2凸部50の当接部配置空間58内に収容されていく。
【0066】
図9に示すように第1凸部40が弾性部材70を通過すると、押し拡げられていた当接部74は、バネ部73の付勢力によって元の状態に復帰する。
【0067】
この状態において、術者が硬度調整用レバー7の指当て部7pから手指を離す、すなわち、ロッド部材30の第1方向への移動を停止させると、保持平面42が位置決め平面に76に当接する。この結果、硬度調整用ワイヤー22の牽引状態が保持されるとともに、硬度調整用レバー7は図2の二点鎖線に示す位置で保持状態になる。
【0068】
この保持状態において、硬度調整用ワイヤー22は、予め定めた量、牽引されている。このため、可撓管部13の硬度は、予め定めた硬状態に設定されている。つまり、術者は、保持状態において、硬度調整用レバー7の指当て部7pから指を離して、硬状態に設定された可撓管部13を有する挿入部2の手元操作を行うことができる。
【0069】
なお、当接部74がバネ部73の付勢力によって元の状態に復帰したとき、硬度調整用レバー7を操作する術者の手指には、押し拡げられていた当接部74が元の状態に弾性復帰したことによって発生する振動が伝達される。
【0070】
このことによって、術者は、ロッド部材30の第1凸部40が弾性部材70を通過したこと、即ち、硬度調整用レバー7から手指を離すことが可能な保持状態に切り替わったことを判断することができる。
つまり、第1凸部40は、術者に硬度調整用レバー7から手指を離すことが可能な保持状態になったことを告知する第1の告知部を兼ねている。
【0071】
保持状態を解除するとき、術者は、硬度調整用レバー7を再び矢印Y1方向に回転操作する。すると、ロッド部材30は、再び、第1方向に移動を開始する。そして、ロッド部材30の第1方向への移動によって、図10に示すように第2凸部50の一対の第1傾斜面53が当接部74に当接する。このことによって、当接部74は、第2凸部50の第1方向への移動に伴って、第1傾斜面53によって当接部74が押し縮められていく。
【0072】
その後、押し縮められた当接部74は、図11に示すように第1傾斜面53に開口を有するスリット55内に挿入され、引き続きスリット55内を移動されて通過する。すると、図12に示すように押し縮められていた当接部74がバネ部73の付勢力によって元の状態に復帰する。
【0073】
このとき、硬度調整用レバー7を操作する術者の手指には、押し縮められていた当接部74が元の状態に弾性復帰した際に発生する振動が伝達される。このことによって、術者は、ロッド部材30の第2凸部40が弾性部材70を通過したこと、即ち、硬度調整用レバー7が切替位置に到達したことを判断することができる。
つまり、スリット55を有する第2凸部50は、術者に硬度調整用レバー7が切替位置に到達したことを告知する第2の告知部を兼ねている。
【0074】
ここで、術者は、可撓管部13の硬度を元の状態に復帰させるため、硬度調整用レバー7を矢印Y2方向に回転操作する。すると、ロッド部材30は、図13の矢印に示すように第1方向とは逆方向の第2方向に移動を開始する。このことにより、硬度調整用ワイヤー22の牽引状態が徐々に弛緩状態に変化していく。
【0075】
このとき、第2凸部50の第2傾斜面54が、弾性部材70の当接部74に当接しつつ移動していくことにより、当接部74は、図13に示すように押し拡げられていく。そして、ロッド部材30の更なる第2方向への移動によって、図14に示すように案内外面56o上に当接部74の当接部内面75が配置される。そして、案内外面56oが当接部74を通過することによって、押し拡げられていた当接部74がバネ部73の付勢力によって元の状態に復帰する。このとき、図15に示すように当接部74の内幅W1内に第1凸部40が配置されているため、当接部74は、復帰途中で拡径傾斜面41面上に配置された状態になる。
【0076】
この後、術者が、硬度調整用レバー7を矢印Y2方向に引き続き回転させることにより、ロッド部材30は、第2方向に移動されていく。そして、硬度調整用レバー7が初期位置に復帰することによって、図16に示すようにロッド部材30も元の位置に配置される。すなわち、硬度調整用ワイヤー22が再び弛緩状態になって、可撓管部13の硬度が元の硬さに復帰する。
【0077】
このように、硬度調整用フレーム3fの予め定めた位置にバネ部73と位置決め面76を備える当接部74とを有する弾性部材70を固設する一方、拡径傾斜面41と保持平面42とを有する第1凸部40を軸本体31に一体に設けたロッド部材30を硬度調整用フレーム3fに配置する。その際、軸本体31を弾性部材70の一対の当接部74の間に配置して、第1凸部40を弾性部材70に対して予め定めた方向に離間して配置する。また、硬度調整用レバー7の回動操作に伴ってロッド部材30が第1方向及びその逆方向である第2方向に進退移動するように構成する。この結果、第1方向に移動されるロッド部材30に設けられた第1凸部40が弾性部材70を通過した後、保持平面42が当接部74の位置決め面76に当接することによって、ロッド部材30の第1方向の移動位置を保持する保持状態を得ることができる。
【0078】
また、軸本体31に第1凸部40に加えて、第1傾斜面53、第2傾斜面54、及びスリット55を設けた第2凸部50を、第1凸部40から予め定めた方向に予め定めた距離、離間させて設けておく。この結果、保持状態において、ロッド部材30を再び第1方向に移動させることによって、当接部74を第2凸部50の当接部弾性変形空間57内からスリット55を介して第2凸部50の外部に導出させ、その後、ロッド部材30が第2方向に移動するように硬度調整用レバー7を回動操作することにより、保持状態の解除を行うことができる。
【0079】
さらに、硬度調整用レバー7を上下用ノブ6a及び左右用ノブ6bと同軸に配置すると共に、硬度調整用レバー7の回動範囲を既定して、その初期位置における硬度調整用レバー7の指当て部7pの位置を、操作部3を把持する術者の手の親指で操作可能な位置に設定している。この結果、術者は、操作部3を把持する手の親指で、上下用ノブ6a、左右用ノブ6b及び硬度調整用レバー7の操作を行える。つまり、術者は、挿入部を把持している手を離すことなく、簡単な操作でワイヤーの牽引、保持、解除を行うことができる。
【0080】
なお、上述した実施形態においては、挿入部2に第1機能部である湾曲部12の他に第2機能部として硬度可変機構を設けている。しかし、第2機能部は、硬度可変機構に限定されるものではなく、言い換えれば、第2牽引部材は硬度調整用ワイヤー22に限定されるものではなく、第2牽引操作装置も硬度調整用レバー7に限定されるものではない。
【0081】
即ち、第2牽引部材及び第2牽引操作装置は、例えば、内視鏡の湾曲部の硬度を部分的に可変させて湾曲部の湾曲半径を可変させる湾曲形状可変用ワイヤー及湾曲形状切替装置、或いは、挿入部の先端部内に設けられた撮像ユニットに進退自在に設けた移動レンズ枠を広角位置、中間倍率位置、拡大位置等に進退させる移動レンズ枠操作用ワイヤー及移動レンズ枠操作装置、或いは、処置具チャンネルを介して挿入部の先端部から体内等に導出される例えば鉗子の導出向きを調整する鉗子起上台を起上降下させる鉗子起上用ワイヤー及鉗子起上操作装置、等であってもよい。
【0082】
また、上述した実施形態においては、弾性部材70の当接部内面75同士が、自然状態において、対面するように形成している。しかし、弾性部材70の当接部内面75同士が、案内外面56o上に配置されている状態において対面する、或いはスリット55内を通過している状態において対面する等のように形成するようにしてもよい。
【0083】
また、上述した実施形態おいては、軸本体31の径寸法を当接部内面75と軸本体31の外周面との間に予め定めた寸法の隙間が設けられるようにφDに設定している。しかし、第1凸部40と第2凸部50との間の軸本体の径寸法だけをφDに設定するようにしてもよい。
【0084】
また、上述した実施形態においては、軸本体31に取付部32、第1凸部40、第2凸部50及びワイヤー固定部60を一体に設けてロッド部材30を構成する、或いは、第1凸部40及び第2凸部50を一体に設けた軸本体31に取付部32及びワイヤー固定部60を固設してロッド部材30を構成するとしている。しかし、ロッド部材30の構成は、上述した構成に限定されるものではなく、例えば、図17及び図18に示すように第2凸部50を軸本体31に取付可能なロッド部材30Aを構成にするようにしてもよい。
【0085】
図17に示すようにロッド部材30Aは、第1凸部40を一体に設けた第1軸体31Aと、第2凸部50を構成する凸部本体80と、凸部本体80を第1軸体31Aと共に挟持固定する第2軸体31Bとを備えて構成されている。即ち、本実施形態において、軸本体31は、第1軸体31Aと、第2軸体31Bとで構成される。
【0086】
第1軸体31Aは、保持平面42から予め定めた量突出する円柱突起43を有している。円柱突起43の先端面には雌ネジ部44が設けられている。一方、第2軸体31Bは、端部に押圧面45を備え、押圧面45から予め定めた量突出する雄ネジ部46を有している。雄ネジ部46は、雌ネジ部44に螺合可能である。
そして、第1軸体31Aの図示されない端部には取付部32が固設可能であり、第2軸体31Bの図示されない端部には60がワイヤー固定部が固設可能である。
【0087】
凸部本体80は、取付面部81と、前記突起部52と同様な構成及び機能を有する一対の突起部82とを備えている。取付面部81には、雄ネジ部46が挿通可能な貫通孔81aが形成されている。そして、第1軸体31Aの図示されない端部には取付部32が固設可能であり、第2軸体31Bの図示されない端部には60がワイヤー固定部が固設可能である。
【0088】
一対の突起部82は、取付面部81から基端側に突出し、突起部内側傾斜面である第1傾斜面83と、突起部外側傾斜面である第2傾斜面84とが形成されている。加えて、一対の突起部82にはそれぞれスリット85及び案内部86が形成されている。
【0089】
そして、図17に示すように第1軸体31A、凸部本体80及び第2軸体31Bを配置し、雄ネジ部46を貫通孔81aを介して雌ネジ部44に螺合する。このことによって、取付面部81が保持平面42と押圧面45とによって押圧挟持されて、図18に示すロッド部材30Aが構成される。そして、ロッド部材30Aの凸部本体80は、第2凸部50として機能する。
【0090】
この構成によれば、凸部本体80の交換を容易に行える。また、第1軸体31Aにおいて、円柱突起43の直径を第1軸体31Aの直径より小さく設定することによって、第1傾斜面83によって縮められる当接部74の外幅の変形量を大きくすることができる。
【0091】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0092】
1…内視鏡 2…挿入部 2a…挿入部延長軸線 3…操作部 3b…底面
3f…硬度調整用フレーム 3i…空間内面 3p…仕切り板 3s…凹み空間
4…ユニバーサルコード 5…コネクター 6…湾曲部操作ノブ 6a…上下用ノブ
6b…左右用ノブ 7…硬度調整用レバー 7b…凸部 7f…レバー先端
7p…指当て部 7r…レバー基端 11…先端部 12…湾曲部 13…可撓管部
14…湾曲駒 14f…先端湾曲駒 15D…下用湾曲ワイヤー
15L…左用湾曲ワイヤー 15R…右用湾曲ワイヤー 15U…上用湾曲ワイヤー
16…上下用ノブ軸 16b…上下用ノブ軸受 17…左右用ノブ軸
17b…左右用ノブ軸受 18…レバー用軸 18b…レバー軸受 18c…回動中心
19…連結部材 19a…第1孔 19b…第2孔 21…コイルパイプ
22…硬度調整用ワイヤー 23…接続管 24…ストッパー 30…ロッド部材
30A…ロッド部材 31…軸本体 31A…第1軸体 31B…第2軸体
32…取付部 40…第1凸部 41…拡径傾斜面 42…保持平面 43…円柱突起
44…雌ネジ部 45…押圧面 46…雄ネジ部 50…第2凸部 51…一体部
52…突起部 53…第1傾斜面 54…第2傾斜面 55…スリット 56…案内部
56i…案内内面 56o…案内外面 57…当接部弾性変形空間
58…当接部配置空間 58i…空間内面 60…ワイヤー固定部
61…ワイヤー用スリット 62…基端側面 70…弾性部材 71…固定面
72…弾性変形部 73…バネ部 74…当接部 75…当接部内面
76…位置決め平面 77…固定ピン 78…当接部外面 80…凸部本体
81…取付面部 81a…貫通孔 82…突起部 83…第1傾斜面 84…第2傾斜面
85…スリット 86…案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側から順に、先端部、湾曲部、及び可撓管部を連設して構成される挿入部と、
前記湾曲部を湾曲させる第1牽引部材の基端が固定され、回動することで該第1牽引部材を牽引あるいは弛緩する第1牽引操作装置、及び回動自在に設けられ前記第1牽引部材とは異なる第2牽引部材を牽引する際に操作される第2牽引操作装置を備える、前記挿入部の基端側に設けられた把持部を兼ねる操作部と、
前記操作部内に進退自在に配置され、前記第2牽引操作装置を初期位置から一方向に回転させることによって操作部長手軸の第1方向に移動し、該第2牽引操作装置を初期位置に戻すように他方向に回転させることによって前記第1方向とは逆方向である第2方向に移動する、前記第2牽引部材の基端が固定されるロッド部材と、
前記操作部内の予め定めた位置に固設され、前記ロッド部材の第1方向への移動及び第2方向への移動によって、該操作部長手軸方向に対して直交する拡がる方向、及び縮まる方向に弾性変形可能で前記ロッド部材の前記操作部長手軸方向の位置を保持するための位置決め面を有する一対の当接部を有する弾性部材と、を備え、
前記ロッド部材は、軸本体と、該軸本体に基端側から順に固設される、
前記ロッド部材の基端面側に設けられ、前記ロッド部材と前記第2牽引操作装置とを連結する連結部材が取りつけられる取付部と、
前記取付部より前記ロッド部材の先端側に設けられ、該ロッド部材の第1方向への移動に伴って前記一対の当接部を徐々に拡げる拡径傾斜面および前記弾性部材の位置決め面に当接する保持平面を備える第1凸部と、
前記第1凸部より前記ロッド部材の先端側に設けられ、該ロッド部材の第1方向への移動に伴って前記一対の当接部の間隔を徐々に縮める一対の第1傾斜面、前記ロッド部材の更なる第1方向への移動に伴って前記第1傾斜面によって縮められた前記一対の当接部が通過可能なスリット、および当該ロッド部材の第2方向への移動に伴って前記一対の当接部を徐々に拡げる一対の第2傾斜面を備える第2凸部と、
前記ロッド部材の先端面側に設けられ、前記第2牽引部材の基端が固定されるワイヤー固定部と、を
具備することを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記軸本体の少なくとも前記第1凸部と前記第2凸部との間に位置する軸部の直径を、前記一対の当接部が縮まる方向に弾性変形可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記第2凸部の一対の第1傾斜面によって構成される基端側開口の幅寸法を、前記弾性部材の当接部が自然状態における外幅寸法よりも予め大きく設定したことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記当接部の当接部内面同士が、自然状態、或いは、前記第1傾斜面によって縮められている状態、或いは、前記第2傾斜面によって拡げられている状態の何れか1つの状態において対面するように、形作られることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記第2牽引操作装置は、
初期位置から一方向に回転させることによって前記ロッド部材を第1方向に移動させて第2牽引部材を牽引し、
前記ロッド部材の第1方向への移動によって該ロッド部材に固設された前記第1凸部が前記弾性部材を通過することによって、前記第2牽引部材の牽引状態を保持し、
前記第2牽引部材を保持している状態から、前記牽引操作装置をさらに一方向に回転させて切替位置まで移動させることによって保持状態を解除し、
前記第2牽引装置を、前記切替位置から他方向に回転させることによって、前記ロッド部材を第2方向に移動させて、前記第2牽引部材を弛緩させていく、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記内視鏡の操作部に前記第1牽引装置の軸と前記第2牽引装置の軸とを同軸に配置すると共に、前記第2牽引操作装置の指当て部を前記操作部を把持する手の指で前記初期位置から前記切替位置までの範囲で操作可能に配置したことを特徴とする請求項5に記載の内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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