説明

冷却装置及びその製造方法

【課題】冷却装置をモジュール等に取り付けるために設けられる取り付け部の高い機械的強度と、冷却装置自体の良好な熱伝導性とを両立させた冷却装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】冷却装置1は、アルミニウム又はアルミニウム合金によって形成された部材に熱媒体の流路11aを設けた冷却部材11と、アルミニウム合金によって形成され、冷却部材11の板状部材配置面11bに、冷却部材11の一部が露出するように配置された板状部材12と、板状部材12から冷却部材12の一部が露出している露出部分11c及びその周囲の板状部材12の表面に向け、銅又は銅合金からなる粉末をガスと共に加速し、固相状態のままで吹き付けて粉末を堆積させることによって形成された熱伝導層13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのCPUやチップセット、AV機器や自動車用のパワートランジスタといった種々のモジュールや装置(以下、これらを総称してモジュール等という)には、モジュール等の過熱を防ぐために、通常、冷却装置が設けられる。冷却装置には、一例として、アルミニウム合金部材に熱媒体の移動経路を設けた冷却部材(ヒートシンク)が用いられる。ヒートシンクには、通常、銅等によって形成された熱伝導層が設けられており、チップ等から発生した熱を、熱伝導層を介して冷却部本体に移動させ外部に放熱することにより、モジュール等の冷却を行うことができる。
【0003】
このような冷却装置においては、ヒートシンクから熱伝導層にかけての熱伝導性を高くする必要がある。このため、例えば、特許文献1においては、熱抵抗の要因となる金属間化合物の形成を防ぐために、アルミニウム製のヒートシンクに対してニッケルメッキを施した銅板をろう付することとしている。また、特許文献2においては、ヒートシンクの平板部上に、コールドスプレー等の溶射法により溶射金属層を直接形成した後、溶射金属層内の欠陥を低減するための熱処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−307165号公報
【特許文献2】特開2009−32996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような冷却装置をモジュール等に取り付ける際には、例えば特許文献2の図8に示すように、ヒートシンク上部の平板部の端部を本体よりも外側に延出させ、この端部を熱交換媒体の容器である放熱器に架橋する場合がある。或いは、平板部の端部を放熱器に機械締結する場合もある。このため、平板部に対しては、高い機械的強度が要求される。
【0006】
そこで、平板部の強度を向上させるため、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる冷却部材にコールドスプレー法により銅の熱伝導層を設けた後、冷却装置全体に熱処理を施すことが考えられる。しかしながら、この場合、アルミニウム又はアルミニウム合金と銅との界面に金属間化合物が生成され、この界面における熱伝導性及び機械的信頼性が低下してしまうおそれがある。
【0007】
或いは、冷却部材そのものを、予め硬化処理がなされた高強度アルミニウム合金によって作製することも考えられる。しかしながら、一般に、高強度アルミニウム合金の熱伝導率は、純アルミニウムや加工硬化させていないアルミニウム合金と比べてかなり低い(例えば、半分程度)ので、冷却部材自体の冷却効率が低下してしまう。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、冷却部材に熱伝導層が設けられた冷却装置において、該冷却装置をモジュール等に取り付けるために設けられる取り付け部の高い機械的強度と、冷却装置自体の良好な熱伝導性とを両立させた冷却装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る冷却装置は、金属又は合金によって形成された冷却部材と、金属又は合金によって形成され、前記冷却部材の1つの面に、前記冷却部材の一部が露出するように配置された板状部材と、前記板状部材から前記冷却部材の一部が露出している露出部分、及び少なくとも該露出部分の周囲の前記板状部材の表面に向け、金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、固相状態のままで吹き付けて前記粉末を堆積させることによって形成された熱伝導層とを備えることを特徴とする。
【0010】
上記冷却装置において、前記板状部材に、前記冷却部材の一部を露出させる開口が形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記冷却装置において、前記板状部材の少なくとも一部が、前記冷却部材の外周よりも外側に延出していることを特徴とする。
【0012】
上記冷却装置において、前記露出部分の境界と接する前記板状部材の端面が、前記冷却部材側から前記板状部材の表面に向かって広がるテーパー状をなすことを特徴とする。
【0013】
上記冷却装置において、前記冷却部材の板状部材配置面に、前記板状部材の厚さに等しく、前記板状部材が嵌合される切り欠きが設けられていることを特徴とする。
【0014】
上記冷却装置において、前記冷却部材に、熱媒体の流路が設けられている。
【0015】
上記冷却装置において、前記冷却部材はアルミニウム又はアルミニウム合金によって形成され、前記板状部材はアルミニウム合金によって形成され、前記熱伝導層は銅又は銅合金によって形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る冷却装置の製造方法は、金属又は合金によって形成された冷却部材の1つの面に対し、金属又は合金によって形成された板状部材を、前記冷却部材の一部が露出するように配置する板状部材配置工程と、前記板状部材から前記冷却部材の一部が露出している露出部分、及び少なくとも該露出部分の周囲の前記板状部材の表面に向け、金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、固相状態のままで吹き付けて前記粉末を堆積させることにより、熱伝導層を形成する熱伝導層形成工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、冷却部材と板状部材とを別々に作製するので、冷却部材として熱伝導性の良好な材料を選択し、板状部材として、機械的強度の高い材料を選択することが可能になる。また、本発明によれば、板状部材から露出した冷却部材の部分及びその周囲の板状部材表面に、所謂コールドスプレー法により熱伝導層を形成するので、熱抵抗となる成分を介することなく冷却部材上に直接熱伝導層を形成することができ、それと同時に、冷却部材と板状部材とを一体化させることができる。従って、取り付け部の高い機械的強度と、冷却装置自体の良好な熱伝導性とを両立させた冷却装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る冷却装置の構造を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示す冷却装置を示す断面図である。
【図3】図3は、図1に示す冷却装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図4】図4は、図1に示す冷却装置の製造方法を説明する図である。
【図5】図5は、図1に示す冷却装置の製造方法を説明する図である。
【図6】図6は、コールドスプレー装置の概要を示す模式図である。
【図7】図7は、変形例1に係る冷却装置の構造を示す断面図である。
【図8】図8は、変形例2に係る冷却装置の構造を示す断面図である。
【図9】図9は、変形例3に係る冷却装置の構造を示す断面図である。
【図10】図10は、変形例4に係る冷却装置の構造を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態に係る冷却装置の構造を示す斜視図である。また、図2は、図1のA−A断面図である。
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る冷却装置1は、金属又は合金によって形成された部材に、熱交換を行う熱媒体の流路11aを設けた冷却部材11と、冷却部材11の1つの面11b上(以下、板状部材配置面ともいう)に配置され、該面11bの一部を露出する開口12aが設けられた板状部材12と、開口12a内及びその周囲の板状部材12表面に形成された熱伝導層13とを備える。
【0021】
冷却部材11は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金のように、良好な熱伝導性を有する部材によって形成される。このような部材に掘削加工等を施し、一部を例えばフィン状とすることにより、流路11aが設けられる。冷却部材11は、熱伝導層13から伝導してきた熱を、流路11aを流通する冷却水や冷却ガス等の熱媒体に放熱する。
【0022】
なお、流路11aの形状は、図1及び図2に示すものに限定されず、所望の形状として良い。また、冷却部材11の内側には流路を設けずに、冷却部材11の表面のみを放熱部としても良い。
【0023】
冷却部材11の材料として、具体的には、Alが99%以上の純アルミニウム(A1000系、熱伝導率:220〜235W/(m・K))や、Al−Mg−Si系合金(A6000系)に焼きなまし処理を施したA6063(熱伝導率:218W/(m・K))等が用いられる。
【0024】
板状部材12は、例えばアルミニウム合金のように、機械的強度の高い金属又は合金によって形成される。板状部材12の周縁の少なくとも一部(図1においては全部)は、板状部材配置面11bよりも外側に延出している。この延出した部分(延出部)12bが、冷却装置1を例えば熱媒体を収容する放熱器等に取り付ける際に、取り付け部として用いられる。
【0025】
なお、開口12aのサイズ及び形状は、図1に示すものに限定されず、板状部材配置面11bの内側に収まれば、所望のサイズ及び形状として良い。好ましくは、板状部材12の機械的強度を確保でき、且つ、板状部材12上に熱伝導層13を形成するスペースを十分に確保できる範囲で、開口12aの面積をなるべく広く取り、冷却部材11と熱伝導層13との接触面積を広くすると良い。
【0026】
板状部材12の材料として、具体的には、Al−Cu系合金(A2000系)で熱処理を施したもの(引張り強さ:330〜490MPa、耐力:250〜290MPa)、Al−Mn系合金(A3000系)で加工硬化させたもの(引張り強さ:150〜220MPa、耐力:130〜200MPa)、Al−Mg系合金(A5000系)で加工硬化させたもの(引張り強さ:180〜290MPa、耐力:130〜260MPa)、Al−Mg−Si系合金(A6000系)で熱処理を施したもの(引張り強さ:180〜380MPa、耐力:140〜320MPa)、Al−Zn−Mg−Cu系合金(A7000系
)で熱処理を施したもの(引張り強さ:360〜690MPa、耐力:250〜660MPa)等が用いられる。
【0027】
熱伝導層13は、例えば銅又は銅合金のように、良好な熱伝導性を有する金属又は合金によって形成される。熱伝導層13は、冷却装置1を例えば放熱器等に取り付けた際に、チップ等の熱発生源と直接又は基板等を介して接触する接触面13aを有し、この接触面13aを介して受け取った熱を冷却部材11に伝導する。このような熱伝導層13は、材料の粉末(銅粉等)をガスと共に加速し、基材に固相状態のままで吹き付けて堆積させる、所謂コールドスプレー法により形成されている。熱伝導層13は、板状部材配置面11bの内、開口12aから露出した露出部分11cと、開口12a周囲の板状部材12の上面とに渡って連続的に設けられており、冷却部材11と板状部材12とを互いに一体化させている。
【0028】
次に、冷却装置1の製造方法について説明する。図3は、冷却装置1の製造方法を示すフローチャートである。
まず、工程S11において、アルミニウム又はアルミニウム合金部材を所望の形状に掘削加工することにより、冷却部材11を作製する(図4参照)。
【0029】
続く工程S12において、所望の形状のアルミニウム合金板に開口12aを設けることにより、板状部材12を作製する(図4参照)。この際、板状部材12の機械的強度を向上させるため、板状部材12にさらに熱処理を施しても良い。
【0030】
工程S13において、冷却部材11の板状部材配置面11b上に板状部材12を配置する(図4及び図5参照)。この際、治具や接着剤等を用いて板状部材12を冷却部材11に仮固定すると良い。
【0031】
工程S14において、板状部材配置面11bの内、開口12aから露出した露出部分11c及び開口12a周囲の板状部材12の表面に、コールドスプレー法によって熱伝導層13を形成する。
【0032】
図6は、熱伝導層13の形成に使用されるコールドスプレー装置の概要を示す模式図である。図6に示すように、コールドスプレー装置60は、圧縮ガスを加熱するガス加熱器61と、熱伝導層13の材料の粉末(以下、材料粉末又は単に粉末という)を収容し、スプレーガン63に供給する粉末供給装置62と、加熱された圧縮ガス及びそこに供給された材料粉末を基材67に噴射するガスノズル64と、ガス加熱器61及び粉末供給装置62に対する圧縮ガスの供給量をそれぞれ調節するバルブ65及び66とを備える。
【0033】
圧縮ガスとしては、ヘリウム、窒素、空気などが使用される。ガス加熱器61に供給された圧縮ガスは、例えば50℃以上であって、材料粉末の融点よりも低い範囲の温度に加熱された後、スプレーガン63に供給される。圧縮ガスの加熱温度は、好ましくは300〜900℃である。
一方、粉末供給装置62に供給された圧縮ガスは、粉末供給装置62内の材料粉末をスプレーガン63に所定の吐出量となるように供給する。
【0034】
加熱された圧縮ガスは末広形状をなすガスノズル64により超音速流(約340m/s以上)にされる。この際の圧縮ガスのガス圧力は、1〜5MPa程度とすることが好ましい。圧縮ガスの圧力をこの程度に調整することにより、基材67に対する材料粉末の密着強度の向上を図ることができるからである。より好ましくは、2〜4MPa程度の圧力で処理すると良い。スプレーガン63に供給された材料粉末は、この圧縮ガスの超音速流の中への投入により加速され、固相状態のまま基材67に高速で衝突して堆積し、皮膜を形成する。なお、材料粉末を基材67に向けて固相状態のまま衝突させて皮膜を形成できる装置であれば、図6に示すコールドスプレー装置60に限定されるものではない。
【0035】
このようなコールドスプレー装置60において、基材67として冷却部材11及びその上に配置した板状部材12をセットして、銅皮膜(熱伝導層13)を形成する。この際、板状部材12の厚さよりも十分厚くなるように銅皮膜を形成し、露出部分11c上の銅皮膜と板状部材12上の銅皮膜とを一体化させる。それにより、冷却装置1が完成する。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態によれば、冷却部材11上に配置した板状部材12の開口12a内(露出部分11c)及びその周囲に、コールドスプレー法により熱伝導層13を形成する。ここで、コールドスプレー法によって形成された皮膜は、相変態がなく酸化も抑制されているため、高い熱伝導性を有する。また、コールドスプレー法においては、材料粉末が基材(又は先に形成された皮膜)に衝突した際に粉末と基材との間で塑性変形が生じてアンカー効果が得られると共に、互いの酸化皮膜が破壊されて新生面同士による金属結合が生じるので、基材との密着強度も高いという特徴を有する。従って、熱伝導層13自体が良好な熱伝導性を有すると共に、熱伝導層13が冷却部材11と強く密着しているため、両者の間においても、良好な熱伝導性を得ることができる。
【0037】
また、本実施の形態によれば、冷却部材11と板状部材12とで、それぞれの機能に適した材料を別個に選択することができる。従って、冷却部材11に必要な熱伝導性と、板状部材12に必要な機械的強度とを、冷却装置1において両立させることができる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、冷却部材11と板状部材12とを一体化させた後、板状部材12の機械的強度を向上させるための熱処理等を行う必要がないので、冷却部材11と板状部材12との間において熱抵抗の要因となる金属間化合物の生成を抑制することができる。
【0039】
また、本実施の形態においては、コールドスプレー法により形成した熱伝導層13によって、冷却部材11と板状部材12とを一体化させる。従って、冷却部材11と板状部材12とを締結又は接合するための部材や工程を別途設ける必要がなくなり、部品点数を削減し、製造工程を簡素化することが可能となる。
【0040】
以下、本実施の形態の変形例1〜4について説明する。なお、各変形例1〜4における冷却部材、板状部材、及び熱伝導層の材料については、上記実施の形態において説明したものと同様である。
【0041】
(変形例1)
図7は、変形例1に係る冷却装置の構造を示す断面図である。図7に示す冷却装置2においては、板状部材21に設けた開口21aの端面21bを、冷却部材11側から板状部材21の上面に向かって広がるテーパー状としている。この場合、熱伝導層13を形成する際に材料粉末を吹き付ける領域(露出部分11c及び開口21a周囲の板状部材21)に生じる段差を低減することができるので、厚さや密度において、より均一な熱伝導層13を形成することができる。なお、図7においては、露出部分11c及び端面21bのみに熱伝導層13を形成しているが、端面21bの周囲の板状部材21上面まで熱伝導層13を拡張しても良い。
【0042】
(変形例2)
図8は、変形例2に係る冷却装置の構造を示す断面図である。図8に示す冷却装置3においては、冷却部材31の上面(板状部材配置面)31aの開口12aに対応する部分を除く周縁部31bに、板状部材12の厚さに対応する分だけ掘削した切り欠きを設けている。それにより、板状部材12を冷却部材31上に配置する際に、露出部分31cを開口12aに嵌合させ、露出部分31cの上面と板状部材12の上面との高さを揃えている。この場合、厚さ及び密度において、より均一な熱伝導層32を形成することができる。
【0043】
(変形例3)
図9は、変形例3に係る冷却装置の構造を示す断面図である。
図8に示す冷却装置3においては、冷却部材31の露出部分31cを開口12aに隙間なく嵌合させているが、図9に示す冷却装置4のように、露出部分31cの端面と開口12aの端面との間に隙間があっても構わない。この場合、熱伝導層41を形成する際に、両者の間の隙間41aを銅皮膜で充填し、板状部材12上の熱伝導層41と露出部分31c上の熱伝導層41とを一体化させれば良い。
【0044】
また、さらなる変形例として、開口12aの端面と露出部分31cの端面との内の少なくとも一方を、変形例2と同様に、板状部材12の上面に向かって広がるテーパー状にしても良い。
【0045】
(変形例4)
図10は、変形例4に係る冷却装置の構造を示す上面図である。
上述した実施の形態及び変形例1〜3においては、開口を設けた板状部材を冷却部材上に配置した。しかしながら、板状部材を配置した際に、冷却部材の板状部材配置面の一部を露出させることができれば、必ずしも板状部材に開口を設ける必要はない。
【0046】
例えば、図10に示す冷却装置5のように、冷却部材51の板状部材配置面に板状部材52、53を、互いに間隔を開けて配置することにより、板状部材配置面の一部を露出させることができる。この場合、板状部材配置面の露出部分51aから板状部材52、53に渡って、コールドスプレー法により熱伝導層54を形成することにより、同時に、冷却部材51と板状部材52、53とを一体化させることができる。
【0047】
なお、変形例4においても、変形例1と同様に、板状部材52、53の端面をテーパー状としても良い。また、変形例2、3と同様に、冷却部材51の上面に切り欠きを設け、当該切り欠きに板状部材52、53を嵌合させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0048】
1〜5 冷却装置
11、31、51 冷却部材
11a 流路
11b 板状部材配置面
11c、31c、51a 露出部分
12、21、52 板状部材
12a、21a 開口
13、32、41、54 熱伝導層
13a 接触面
21b 端面
31b 周縁部
41a 隙間
60 コールドスプレー装置
61 ガス加熱器
62 粉末供給装置
63 スプレーガン
64 ガスノズル
65、66 バルブ
67 基材





【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属又は合金によって形成された冷却部材と、
金属又は合金によって形成され、前記冷却部材の1つの面に、前記冷却部材の一部が露出するように配置された板状部材と、
前記板状部材から前記冷却部材の一部が露出している露出部分、及び少なくとも該露出部分の周囲の前記板状部材の表面に向け、金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、固相状態のままで吹き付けて前記粉末を堆積させることによって形成された熱伝導層と、
を備えることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記板状部材に、前記冷却部材の一部を露出させる開口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記板状部材の少なくとも一部が、前記冷却部材の外周よりも外側に延出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記露出部分の境界と接する前記板状部材の端面が、前記冷却部材側から前記板状部材の表面に向かって広がるテーパー状をなすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記冷却部材の板状部材配置面に、前記板状部材の厚さに等しく、前記板状部材が嵌合される切り欠きが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記冷却部材に、熱媒体の流路が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記冷却部材はアルミニウム又はアルミニウム合金によって形成され、
前記板状部材はアルミニウム合金によって形成され、
前記熱伝導層は銅又は銅合金によって形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項8】
金属又は合金によって形成された冷却部材の1つの面に対し、金属又は合金によって形成された板状部材を、前記冷却部材の一部が露出するように配置する板状部材配置工程と、
前記板状部材から前記冷却部材の一部が露出している露出部分、及び少なくとも該露出部分の周囲の前記板状部材の表面に向け、金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、固相状態のままで吹き付けて前記粉末を堆積させることにより、熱伝導層を形成する熱伝導層形成工程と、
を含むことを特徴とする冷却装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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