説明

凝集撹拌槽、汚泥処理システム及び汚泥処理システムの運転方法

【課題】し渣分除去のために人手による洗浄作業を必要としない凝集撹拌槽及びこの凝集撹拌槽を備えた汚泥処理システム並びにその汚泥処理システムの運転方法を提供する。
【解決手段】撹拌羽根26を備え、汚泥脱水機(又は汚泥濃縮機)10の前段に備えられる凝集撹拌槽20において、撹拌羽根26に洗浄水を噴射して撹拌羽根26に絡み付くし渣分100を除去する洗浄水噴射装置27を備える。汚泥処理システムは、汚泥脱水機(又は汚泥濃縮機)10の運転が所定時間経過すると、汚泥脱水機(又は汚泥濃縮機)10及び汚泥供給ポンプ43を停止させ、凝集撹拌槽20内の汚泥を排出させ、洗浄水噴射装置27を駆動させ撹拌羽根26に洗浄水を噴射して撹拌羽根26に絡み付くし渣分100を除去させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理に用いられる凝集撹拌槽及びこの凝集撹拌槽を備えた汚泥処理システム並びにその汚泥処理システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、下水処理場における汚泥脱水機又は汚泥濃縮機の前段には、凝集撹拌槽が備えられている(例えば、特許文献1参照)。
これは、汚泥の固形分とろ過水とに固液分離を行う場合、汚泥処理システムへ導入される導入汚泥中に、固形分が細かいコロイド状の微粒子となって多くが分散していると固液分離しづらいため、汚泥脱水機や汚泥濃縮機の前段において、凝集剤を添加して分散粒子を、集合粗大化して分離を助けるためである。
【0003】
凝集撹拌槽は、例えば、撹拌羽根を設けた撹拌軸が槽本体内に設置され、槽本体の上部に設けた回転用モータによって撹拌軸を回転させ、凝集撹拌槽内に供給されるし渣分などを含む汚泥と高分子凝集剤とを撹拌羽根による撹拌によって凝集混合させて汚泥中の固形物をフロック状の凝集物として浮遊させる。
凝集分離の原理として、排水中に懸濁している粒子の表面は一般的に負に帯電しているので、無機系の凝集剤で粒子表面の荷電中和を行い、同時に析出した金属水酸化物に濁質を抱き込ませる一次フロック化の後、凝集したフロックを高分子凝集剤の架橋作用により粗大化させる二次フロック化を行わせるものである。この一次、二次フロック化には、凝集剤と濁質とを混和し、かつ粒子間の架橋を壊すことなく粗大化を成長させるためには、撹拌が重要な操作因子となっている。
【0004】
そして、フロック状の凝集物を含む汚泥は、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機に供給され、液分がろ過されて脱水又は濃縮されるように構成されている。
凝集撹拌槽の前段には、濃縮設備より供給される汚泥を貯留する汚泥貯留槽が、供給汚泥供給ポンプを備えた管路を介して連絡している。また、供給汚泥供給ポンプを備えた管路には、汚泥に高分子凝集剤又は無機凝集剤を含む高分子凝集剤(以下、高分子凝集剤という)を供給する高分子凝集剤供給装置が連絡している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−255508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、凝集撹拌槽に供給される汚泥には、し渣分(髪の毛など)などが含まれているため、し渣分が撹拌羽根に絡み付くことで、凝集として分散粒子を集合粗大化するのに重要な、高分子凝集剤でのフロック化として粒子間架橋を壊すことなく成長させる撹拌作用が撹拌槽全体に及ばなくなり、また高分子凝集剤自体の槽内の均一な分布も悪くなって、分散粒子の粗大化が阻まれ、ひいては汚泥脱水性能を低下させるという問題があった。
そこで、汚泥脱水性能が低下すると、維持管理の人間が、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機による脱水後、又は、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機を停止後、凝集撹拌槽内の汚泥などを排出し、その後に、凝集撹拌槽のマンホールを開け、撹拌羽根に絡み付いているし渣分を洗浄により除去していた。
【0007】
また、維持管理の人間が、この撹拌羽根に絡み付いたし渣分を洗浄により除去する作業を定期的に(1週間〜1ヶ月に1度程度)行っていた。
このように、従来の凝集撹拌槽においては、撹拌羽根に絡み付いたし渣分除去に人手による洗浄作業を必要としていた。しかも、この作業は、30分程度を要し、面倒であるだけでなく、衛生面でも好ましいものではなかった。
【0008】
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、撹拌羽根に絡み付くし渣分除去のために人手による洗浄作業を必要としない凝集撹拌槽及びこの凝集撹拌槽を備えた汚泥処理システム並びにその汚泥処理システムの運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、撹拌羽根を備え、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機の前段に備えられる凝集撹拌槽において、撹拌羽根に洗浄水を噴射して撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去する洗浄水噴射装置を備えることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の凝集撹拌槽において、洗浄水噴射装置は、撹拌羽根の根元に洗浄水を噴射するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2記載の凝集撹拌槽において、洗浄水噴射装置は、凝集撹拌槽の下部側から撹拌羽根に向かって洗浄水を噴射するように構成されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3記載の凝集撹拌槽において、洗浄水噴射装置は、凝集撹拌槽の下部側から撹拌羽根の根元に向かって洗浄水を撹拌羽根の根元の中心に到達する速度3〜15m/secで噴射するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4の何れか記載の凝集撹拌槽と、凝集撹拌槽から供給される汚泥を脱水又は濃縮する汚泥脱水機又は汚泥濃縮機と、前段に位置する濃縮設備又は汚泥引き抜き設備より供給される汚泥を貯留する汚泥貯留槽と、汚泥貯留槽の汚泥を凝集撹拌槽に送り出す汚泥供給ポンプと、汚泥供給ポンプによって凝集撹拌槽に高分子凝集剤を供給する高分子凝集剤供給部と、凝集撹拌槽及び汚泥脱水機又は汚泥濃縮機の運転を制御するとともに、汚泥供給ポンプの発停を制御する制御装置とを備え、制御装置は、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機の運転が所定時間経過すると、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機及び汚泥供給ポンプを停止させ、凝集撹拌槽内の汚泥を排出させ、洗浄水噴射装置を駆動させ撹拌羽根に洗浄水を噴射して撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5記載の汚泥処理システムにおいて、制御装置は、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機の運転が所定時間経過すると、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機及び汚泥供給ポンプを停止させ、凝集撹拌槽内の排水路を開かせて汚泥を排出させ、凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転させ、洗浄水噴射装置を駆動させ撹拌羽根に洗浄水を噴射して撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させ、洗浄水噴射装置による噴射が所定時間経過すると、洗浄水噴射装置を停止させ、凝集撹拌槽内の排水路を閉じさせ、凝集撹拌槽の撹拌羽根の逆回転を停止させ、汚泥供給ポンプを運転させ、凝集撹拌槽の撹拌羽根を回転させ、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機を運転させることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項5記載の汚泥処理システムにおいて、制御装置は、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機の運転が所定時間経過すると、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機及び汚泥供給ポンプを停止させ、凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転させ、凝集撹拌槽内の排水路を開かせて汚泥を排出させ、洗浄水噴射装置を駆動させ撹拌羽根に洗浄水を噴射して撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させ、洗浄水噴射装置による噴射が所定時間経過すると、洗浄水噴射装置を停止させ、凝集撹拌槽内の排水路を閉じさせ、凝集撹拌槽の撹拌羽根の逆回転を停止させ、汚泥供給ポンプを運転させ、凝集撹拌槽の撹拌羽根を回転させ、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機を運転させることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項5記載の汚泥処理システムにおいて、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機は、入口圧力を設定する圧力センサをさらに備え、制御装置は、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機の運転中に、圧力センサが設定値以上の圧力を検知すると、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機及び汚泥供給ポンプを停止させ、凝集撹拌槽内の汚泥を排出させ、洗浄水噴射装置を駆動させ撹拌羽根に洗浄水を噴射して撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させることを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項8記載の汚泥処理システムにおいて、制御装置は、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機の運転中に、圧力センサが設定値以上の圧力を検知すると、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機及び汚泥供給ポンプを停止させ、凝集撹拌槽内の排水路を開かせて汚泥を排出させ、凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転させ、洗浄水噴射装置を駆動させ撹拌羽根に洗浄水を噴射して撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させ、洗浄水噴射装置による噴射が所定時間経過すると、洗浄水噴射装置を停止させ、凝集撹拌槽内の排水路を閉じさせ、凝集撹拌槽の撹拌羽根の逆回転を停止させ、汚泥供給ポンプを運転させ、凝集撹拌槽の撹拌羽根を回転させ、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機を運転させることを特徴とする。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項8記載の汚泥処理システムにおいて、制御装置は、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機の運転中に、圧力センサが設定値以上の圧力を検知すると、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機及び汚泥供給ポンプを停止させ、凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転させ、凝集撹拌槽内の排水路を開かせて汚泥を排出させ、洗浄水噴射装置を駆動させ撹拌羽根に洗浄水を噴射して撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させ、洗浄水噴射装置による噴射が所定時間経過すると、洗浄水噴射装置を停止させ、凝集撹拌槽の排水路を閉じさせ、凝集撹拌槽の撹拌羽根の逆回転を停止させ、汚泥供給ポンプを運転させ、凝集撹拌槽の撹拌羽根を回転させ、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機を運転させることを特徴とする。
【0017】
請求項11に係る発明は、請求項6記載の汚泥処理システムの運転方法において、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機の運転が所定時間経過後に、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機及び汚泥供給ポンプを停止させる工程と、凝集撹拌槽内の排水路から汚泥を排出した後に、凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転させて洗浄水噴射装置を駆動させ撹拌羽根に洗浄水を噴射して撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させる工程と、凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転を継続させながら、洗浄水噴射装置による噴射が所定時間経過後に、洗浄水噴射装置を停止させ、凝集撹拌槽内の排水路を閉じさせ、凝集撹拌槽の撹拌羽根の逆回転を停止させる工程と、汚泥供給ポンプを運転させ、凝集撹拌槽の撹拌羽根を回転させ、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機を運転させる工程とを備えることを特徴とする。
【0018】
請求項12に係る発明は、請求項7記載の汚泥処理システムの運転方法において、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機の運転が所定時間経過後に、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機及び汚泥供給ポンプを停止させる工程と、凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転させながら、凝集撹拌槽内の排水路から汚泥を排水させ、排水後に、洗浄水噴射装置を駆動させ撹拌羽根に洗浄水を噴射して撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させる工程と、凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転を継続させながら、洗浄水噴射装置による噴射が所定時間経過後に、洗浄水噴射装置を停止させ、凝集撹拌槽内の排水路を閉じさせ、凝集撹拌槽の撹拌羽根の逆回転を停止させる工程と、汚泥供給ポンプを運転させ、凝集撹拌槽の撹拌羽根を回転させ、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機を運転させる工程とを備えることを特徴とする。
【0019】
請求項13に係る発明は、請求項9記載の汚泥処理システムの運転方法において、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機の運転中に、圧力センサが設定値以上の圧力を検知すると、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機及び汚泥供給ポンプを停止させる工程と、凝集撹拌槽内の排水路から汚泥を排水した後に、凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転させて洗浄水噴射装置を駆動させ撹拌羽根に洗浄水を噴射して撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させる工程と、凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転を継続させながら、洗浄水噴射装置による噴射が所定時間経過後に、洗浄水噴射装置を停止させ、凝集撹拌槽内の排水路を閉じさせ、凝集撹拌槽の撹拌羽根の逆回転を停止させる工程と、汚泥供給ポンプを運転させ、凝集撹拌槽の撹拌羽根を回転させ、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機を運転させる工程とを備えることを特徴とする。
【0020】
請求項14に係る発明は、請求項10記載の汚泥処理システムの運転方法において、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機の運転中に、圧力センサが設定値以上の圧力を検知すると、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機及び汚泥供給ポンプを停止させる工程と、凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転させながら、凝集撹拌槽内の排水路から汚泥を排水させ、排水後に、洗浄水噴射装置を駆動させ撹拌羽根に洗浄水を噴射して撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させる工程と、凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転を継続させながら、洗浄水噴射装置による噴射が所定時間経過後に、洗浄水噴射装置を停止させ、凝集撹拌槽内の排水路を閉じさせ、凝集撹拌槽の撹拌羽根の逆回転を停止させる工程と、汚泥供給ポンプを運転させ、凝集撹拌槽の撹拌羽根を回転させ、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機を運転させる工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、人手による洗浄作業を要することなく撹拌羽根に絡み付くし渣分を確実に除去することができる。
また、本発明によれば、凝集撹拌槽の撹拌羽根に洗浄水を噴射して撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去するので、し渣部除去を短時間で行うことができる。
【0022】
また、本発明によれば、汚泥処理システムの運転終了に基づいて、洗浄水噴射装置が凝集撹拌槽の撹拌羽根に洗浄水を噴射して撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去するので、し渣分除去作業を確実に行うことができる。
また、本発明によれば、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機の汚泥入口の汚泥供給圧が所定値を超えると、凝集撹拌槽の撹拌羽根に洗浄水を噴射して撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去するので、洗浄水噴射装置がし渣分除去作業を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施形態に係る汚泥処理システム1を示す説明図である。
【図2】図1における撹拌羽根26を示す平面図である。
【図3】図1における撹拌羽根26を示す斜視図である。
【図4】図1における撹拌羽根26に絡み付くし渣分100を示す説明図である。
【図5】図1の汚泥処理システム1の作用を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第二実施形態に係る汚泥処理システム1Aを示す説明図である。
【図7】図6の汚泥処理システム1Aの作用を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第三実施形態に係る汚泥処理システムの作用を示すフローチャートの前段である。
【図9】本発明の第三実施形態に係る汚泥処理システムの作用を示すフローチャートの後段である。
【図10】本発明の第四実施形態に係る汚泥処理システム1Bを示す説明図である。
【図11】図10の汚泥処理システム1Bの作用を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
(第一実施形態)
図1は、本発明に係る凝集撹拌槽を備えた汚泥処理システム1を示す。
本実施形態に係る汚泥処理システム1は、汚泥脱水機10と、この汚泥脱水機10の前段に備えられ、第一の汚泥供給管路35を介して接続される密閉式凝集撹拌槽20と、この密閉式凝集撹拌槽20に第二の汚泥供給管路36を介して連絡する汚泥貯留槽40と、第二の汚泥供給管路36に設けられ、汚泥貯留槽40内の汚泥を密閉式凝集撹拌槽20に送り出す汚泥供給ポンプ43と、この第二の汚泥供給管路36の汚泥供給ポンプ43の下流側に割り込んで液ポンプ48によって密閉式凝集撹拌槽20に高分子凝集剤溶液を供給する高分子凝集剤供給部45と、密閉式凝集撹拌槽20及び汚泥脱水機10の運転を制御するとともに、汚泥供給ポンプ43の発停などを制御する制御装置50とを備えている。
【0025】
汚泥脱水機10は、本実施形態では、回転加圧式汚泥脱水機を用いた場合について説明するが、公知の汚泥脱水機であれば特に限定するものではない。従って、汚泥脱水機10の具体的な構成については省略する。
汚泥脱水機10は、円筒形状を為す外筒(図示せず)内で回転するスクリーン(図示せず)を回転させるモータ13を備えている。モータ13は、制御装置50に連絡し、制御装置50によって運転が制御されている。
密閉式凝集撹拌槽20は、汚泥入口兼ドレン出口22、汚泥出口23及び給排気口24を設けた槽本体21を有する。
【0026】
槽本体21には、3組の撹拌羽根26を所定の間隔で設けた撹拌軸25が配置されている。なお、本実施形態では、撹拌羽根26のインペラ形式は4枚羽根後退翼としたが、パドル型、タービン型などにしても良い。また、3組の撹拌羽根26について説明したが、撹拌羽根26の組数は任意である。撹拌軸25は、し渣分などの付着を少なくするために、軸の周りに太径のパイプを配置して、軸周りを大きくしている。
撹拌軸25は、槽本体21の上部空間を覆う蓋体39を貫通し回転用モータ38に接続されている。回転用モータ38は、制御装置50に連絡し、制御装置50によって運転が制御されている。
【0027】
槽本体21の壁面には、3組の撹拌羽根26に洗浄水を噴射して各撹拌羽根26に絡み付くし渣分を除去する洗浄水噴射装置27が備えられている。
洗浄水噴射装置27は、密閉式凝集撹拌槽20の下部側から各撹拌羽根26の根元に向かって洗浄水を各撹拌羽根26の根元26aの中心に到達する速度3〜15m/secで噴射する3つの管体28と、3つの管体27にそれぞれ接続される3つの枝管30と、3つの枝管30に接続され、洗浄水タンク(図示せず)に連絡する水管29と、水管29に取り付けられる洗浄水ポンプ31及び洗浄水弁32とで構成されている。
【0028】
ここで、管体28としては、例えば、内径10〜40mm程度の金属製管体を用いた。管体28の内径が10mm未満の場合には、噴霧する流速を高めることができるが、経済的ポンプ揚程から自ずと流量は小さくなり、それによってスプレーの吹き付け面積は小さくスプレーの打力が小さくなるため、し渣分を取り除くエネルギーが十分に得られない。逆に、管体28の内径が40mmを超えると、撹拌羽根26の根元26aにおける流速を確保するのに多くの水を搬送することとなり、水量が単に無駄になるだけでなく、ポンプ動力も過大で無駄となる。また、打力が大きすぎると、撹拌羽根26に衝撃が掛かりすぎるという問題がある。
管体28は、金属製短管以外でも、例えば、金属製短管の先を潰して細くしたり、大流量のノズルを用いるなども考えられるが、構造上、金属製短管の先を密閉式凝集撹拌槽20内に突出させると、その出っ張り部分にし渣分が絡み付くなどの不具合がある。従って、短管28は密閉式凝集撹拌槽20の内壁面と面一にしてある。
【0029】
なお、管体28の長さは、密閉式凝集撹拌槽20の壁面に取り付けられる程度の長さがあれば良く、特に限定するものではない。
また、管体28の撹拌軸と直交する面に対する取付角度は、適用する密閉式凝集撹拌槽20の大きさにもよるが、例えば、20°〜50°程度の角度であれば、設置が可能である。
し渣分100は、例えば、図4に示すように、各撹拌羽根26の上から覆い被さるように乗っかかり成長してくるので、洗浄水の噴射によって、し渣分100を除去するには、各撹拌羽根26の根元に向かってかつ下方から洗浄水が噴射しないと、し渣分100を効率的に除去することができない。つまり、各撹拌羽根26の根元に向かってかつ下方から洗浄水を噴射すると、各撹拌羽根26に絡み付いているし渣分100を解き解きながら各撹拌羽根26の上方に向かって押し上げることが可能となる。
【0030】
これに対し、各撹拌羽根26に絡み付いているし渣分100に対し、真横や上方から洗浄水を噴射しても、各撹拌羽根26に絡み付いているし渣分100を解きほぐすことは困難である。
また、噴射速度は、適用する密閉式凝集撹拌槽20の大きさにもよるが、3〜15m/sec程度あれば、し渣分の除去は確実に行えることを実験で確認した。
洗浄水ポンプ31及び洗浄水弁32は、制御装置50に連絡し、制御装置50によって発停及び開閉が制御されている。
また、水管29には、洗浄水ポンプ31の吐出側に逆止弁29aが設けられている。
【0031】
汚泥入口兼ドレン出口22には、ドレン弁34を設けた汚泥入口兼ドレン出口用の管路33が取り付けられている。管路33には、ドレン弁34より汚泥入口兼ドレン出口22に近い部位で、第二の汚泥供給管路36が接続されている。ドレン弁34は、制御装置50に連絡し、制御装置50によって開閉が制御されている。また、第二の汚泥供給管路36には、汚泥供給ポンプ43の吐出側に逆止弁36aが設けられている。
汚泥出口23には、汚泥脱水機10に接続する第一の汚泥供給管路35が接続されている。
【0032】
給排気口24には、空気抜き弁37が取り付けられている。空気抜き弁37は、制御装置50に連絡し、制御装置50によって開閉が制御されている。
汚泥貯留槽40は、濃縮設備(図示せず)より供給される汚泥を貯留する槽である。例えば、下水処理場、し尿処理場や、食品工場、紙パルプ工場などの有機性産業排水の処理工程などにおいては、各種の汚泥が発生する。例えば、下水を最初沈殿池で固液分離すると初沈生汚泥が発生し、最初沈殿池の上澄水を曝気槽などを用いて浮遊生物方式により処理すると、活性汚泥の量が増加する。曝気槽などで処理された水は最終沈殿池に導かれ、活性汚泥が分離され、その一部は返送汚泥として曝気槽などに返送され、残余は余剰汚泥とされる。初沈生汚泥と余剰汚泥は、汚泥濃縮槽に導かれ、その後、汚泥貯留槽40に貯留される。
【0033】
高分子凝集剤供給部45は、高分子凝集剤を溶かした溶液を液ポンプ48により逆止弁46aを経由して第二の汚泥供給管路36に送り出す管路46を備えている。管路46には、液ポンプ48が設けられている。ここで、高分子凝集剤は、例えば、ポリ塩化アルミニウムやポリ硫酸第二鉄などの無機系高分子凝集剤、又は有機系高分子凝集剤の何れでもでも良い。
汚泥供給ポンプ43及び液ポンプ48は、制御装置50に連絡し、制御装置50によって発停及び開閉が制御されている。
【0034】
制御装置50は、記憶装置に下記のプログラムを格納している。
設定された汚泥脱水機10の運転時間(例えば、24時間)を経過すると、内蔵のタイマーからの信号に基づいて、汚泥脱水機10の運転及び密閉式凝集撹拌槽20の凝集撹拌運転を停止させ、各撹拌羽根26に絡み付いたし渣分の除去を行わせる運転を、例えば、30秒〜60秒程度の時間で行わせ、その後に、再び汚泥脱水機10の運転及び密閉式凝集撹拌槽20の凝集撹拌運転を運転させる制御を行わせる。
【0035】
次に、本実施形態に係る汚泥処理システム1の作用を説明する。
本実施形態に係る汚泥処理システム1の主電源(図示せず)がオンされると、図5に示すように、制御装置50は、密閉式凝集撹拌槽20のドレーン弁34及び空気抜き弁37を閉じ、汚泥供給ポンプ43及び液ポンプ48を運転する指令を出力する(ステップS1)。
【0036】
次に、制御装置50は、図示しないセンサや目視で処理すべき汚泥及び凝集剤が、密閉式凝集撹拌槽20にある程度の量を導入されたことを確認後、密閉式凝集撹拌槽20の回転用モータ38、続いて汚泥脱水機10のモータ13を駆動させる指令を出力する(ステップS2)。
この段階で、密閉式凝集撹拌槽20には、汚泥貯留槽40内のし渣分などを含む汚泥と高分子凝集剤供給装置45内の高分子凝集剤溶液とが汚泥供給ポンプ43によって供給され、各撹拌羽根26による撹拌によって凝集混合させて汚泥中の固形物をフロック状の凝集物として浮遊させる。
【0037】
そして、フロック状の凝集物を含む汚泥は、汚泥出口23から第一の汚泥供給管路35を経て汚泥入口11を介して汚泥脱水機10に供給され、液分がろ過されて脱水される。固液分離装置を構成する汚泥脱水機10は、加圧式脱水機のケースなので、その前段には圧力を高める目的で、密閉式凝集撹拌槽20が用いられており、そのため密閉式凝集撹拌槽20には空気抜き弁37が備わっている。
一方、密閉式凝集撹拌槽20では、例えば、図4に示すように、し渣分100が各撹拌羽根26の上から覆い被さるように乗っかかり成長している。なお、図4では、し渣分100の絡み付きを分かりやすくするために簡略化してあるが、し渣分100は、各撹拌羽根26が見えなくなるほど成長し、し渣分100が各撹拌羽根26と供回りをして、適切な撹拌ができなくなる場合がある。
【0038】
次に、制御装置50は、汚泥脱水機10の運転が所定時間(例えば、24時間)経過すると、汚泥脱水機10のモータ13及び密閉式凝集撹拌槽20の回転用モータ38を停止させる指令を出力する(ステップS3,S4)。
次に、制御装置50は、汚泥供給ポンプ43及び液ポンプ48を停止させる指令を出力する(ステップS5)。
次に、制御装置50は、密閉式凝集撹拌槽20の回転用モータ38を停止させた後、慣性力を取り除くために必要な時間(この時間は、予め試験して求めておく)が経過すると、密閉式凝集撹拌槽20の回転用モータ38を逆回転させる指令を出力する(ステップS6,S7)。
【0039】
次に、制御装置50は、密閉式凝集撹拌槽20のドレン弁34及び空気抜き弁37を開放させる指令を出力する(ステップS8)。
次に、制御装置50は、密閉式凝集撹拌槽20内から汚泥を排出させるのに必要な時間(この時間は、予め試験して求めておく)が経過すると、密閉式凝集撹拌槽20に設けた洗浄水噴射装置27の洗浄水ポンプ31を駆動し、洗浄水弁32を開放させる指令を出力する(ステップS9,S10)。
この段階で、上述したように、密閉式凝集撹拌槽20の各撹拌羽根26には、例えば、図4に示すように、し渣分100が成長し上から覆い被さっている。
【0040】
一方、密閉式凝集撹拌槽20の回転用モータ38は、密閉式凝集撹拌槽20の通常運転と異なり、逆回転をしているため、し渣分が各撹拌羽根26に絡み付く方向とは逆方向に各撹拌羽根26を回転させることとなる。そのため、各撹拌羽根26に絡み付いたし渣分は、解ける方向に回転させられており、解けやすい状態となっている。
そして、密閉式凝集撹拌槽20は、槽内の液が抜かれ、各撹拌羽根26が空気中で逆回転されている。
【0041】
このような状態のし渣分100に対して洗浄水噴射装置27は、密閉式凝集撹拌槽20の下部側から各撹拌羽根26の根元に向かって洗浄水を各撹拌羽根26の根元26aの中心に到達する速度3〜15m/secで3つの管体28から噴射する。
この洗浄水の噴射によって、各撹拌羽根26に覆い被さっていたし渣分100の根元に洗浄水が噴射されるので、し渣分100は絡み付きを解かれながら各撹拌羽根26の上方に向かって押し上げられて除かれる。
【0042】
そして、除去されたし渣分は、密閉式凝集撹拌槽20の汚泥入口兼ドレン出口22から汚泥入口兼ドレン出口用の管路33を介して系外へ排出される。
なお、密閉式凝集撹拌槽20内に残ったし渣分は、次回の汚泥処理システム1の運転時に汚泥脱水機10へ送り出される。汚泥脱水機10による脱水時にし渣分があった方が汚泥脱水性に有利に働くことがあるので、し渣分は除かない方が良いという考え方もある。従って、密閉式凝集汚泥槽20内にし渣分が残ることで不具合が生じることはない。
【0043】
次に、制御装置50は、洗浄水噴射装置27によるし渣分除去に必要な時間(この時間は、予め試験して求めておく)が経過すると、密閉式凝集撹拌槽20に設けた洗浄水噴射装置27の洗浄水ポンプ31を停止し、洗浄水弁32、ドレン弁34及び空気抜き弁37を閉鎖させる指令を出力する(ステップS11,S12)。
次に、制御装置50は、密閉式凝集撹拌槽20の回転用モータ38の逆回転を停止させる指令を出力する(ステップS13)。
【0044】
次に、制御装置50は、密閉式凝集撹拌槽20の回転用モータ38を停止させた後、慣性力を取り除くために必要な時間(この時間は、予め試験して求めておく)が経過すると、再度汚泥脱水機10のモータ13を回転させるか否かの判断を求め、汚泥脱水機10のモータ13を回転させる場合には、ステップS2に戻す指令を出力し、汚泥脱水機10のモータ13を回転させない場合には、本実施形態に係る汚泥処理システム1の運転を停止する指令を出力する(ステップS14,S15)。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る汚泥処理システム1では、汚泥処理システム1による運転が決められた期間を経過すると、汚泥脱水機10及び汚泥供給ポンプ43を停止させた後、密閉式凝集撹拌槽20の撹拌羽根を逆回転させながら、密閉式凝集撹拌槽20内の汚泥を排出させ、密閉式凝集撹拌槽20の各撹拌羽根26の上方から覆い被さるように乗っかかり成長しているし渣分100に対し、密閉式凝集撹拌槽20に設けた洗浄水噴射装置27によって各撹拌羽根26の根元26aに向かって洗浄水を噴射することによって、各撹拌羽根26に絡み付くし渣分100を解かしつつ除去することができる。
そして、このし渣分100の除去が終わると、再び汚泥処理システム1による運転を行うことができる。
【0046】
このように、本実施形態に係る汚泥処理システム1によれば、し渣分100の除去のために、密閉式凝集撹拌槽20のマンホールを開け、各撹拌羽根26に絡み付いているし渣分100を人手によって洗浄により除去するという作業が不要になる。
また、本実施形態に係る汚泥処理システム1によれば、洗浄水噴射装置27による洗浄に要する時間は30秒〜1分程度となり、従来の人手による30分程度の作業に比べて大幅に短縮できる。
【0047】
さらに、本実施形態に係る汚泥処理システム1によれば、洗浄水噴射装置27による洗浄を汚泥処理システム1による運転毎に行うのではなく、例えば、ステップS3における設定時間を1ヶ月とすれば、密閉式凝集撹拌槽20を運転終了毎にドレンする場合に比し、返流水負荷を低く抑えることが可能となる。
【0048】
(第二実施形態)
図6は、本実施形態に係る汚泥処理システム1Aを示す。
本実施形態に係る汚泥処理システム1Aでは、洗浄水噴射装置27による洗浄を汚泥処理システム1による運転終了後に行うのではなく、汚泥脱水機10の汚泥入口11の汚泥供給圧が閾値を超えることを圧力センサ12が検知した場合に洗浄水噴射装置27による洗浄を行うようにした点で、第一実施形態とは異なる。
【0049】
本実施形態において、汚泥脱水機10は、第一の汚泥供給管路35に接続する汚泥入口11に、汚泥脱水機10内の圧力を測定する圧力センサ12を備えている。圧力センサ12は、汚泥脱水機10の運転時に常に汚泥脱水機10内の圧力を測定し、制御装置50へ信号を送っている。
また、制御装置50の記憶装置に格納されるプログラムは、汚泥脱水機10の汚泥入口11の汚泥供給圧が設定値より高いことを圧力センサ12が検知すると、汚泥脱水機10及び密閉式凝集撹拌槽20を停止させ、各撹拌羽根26に絡み付いたし渣分の除去を行わせる運転を、例えば、30秒〜60秒程度の時間で行わせ、その後に、再び汚泥脱水機10及び密閉式凝集撹拌槽20を運転させる制御を行わせる。
【0050】
ここで、汚泥脱水機10の汚泥入口11の汚泥供給圧が上昇する要因を、本発明者の実験によって確認したところ、次の事柄が判明した。
例えば、し渣分100が各撹拌羽根26に絡み付き、成長すると、各撹拌羽根26とし渣分100とが供回りし、インペラで撹拌するという状況にならなくなり、撹拌効率が著しく落ち、凝集フロックが形成されにくくなる。その結果、脱水機10のスクリーンが目詰まりをし易くなり、閉塞気味になる。
【0051】
なお、汚泥投入量が多すぎる場合、汚泥性状が悪すぎる場合、凝集剤添加量が低すぎる場合、凝集剤添加量が多すぎる場合などでも、汚泥脱水機10の汚泥入口11の汚泥供給圧が上昇する要因となるが、これらの要因は上述したし渣分100の絡み付きによる場合に比し頻度が低いので、無視することとした。
その他の構成は、第一実施形態と同じであるから、その説明を省略する。
【0052】
次に、図7に基づいて、本実施形態に係る汚泥処理システム1Aの作用を説明する。
本実施形態に係る汚泥処理システム1の主電源(図示せず)がオンされると、図7に示すように、制御装置50は、密閉式凝集撹拌槽20のドレーン弁34及び空気抜き弁37を閉じ、汚泥供給ポンプ43及び液ポンプ48を運転する指令を出力する(ステップS21)。
【0053】
次に、制御装置50は、図示しないセンサや目視で処理すべき汚泥及び凝集剤が、密閉式凝集撹拌槽20にある程度の量を導入されたことを確認後、密閉式凝集撹拌槽20の回転用モータ38、続いて汚泥脱水機10のモータ13を駆動させる指令を出力する(ステップS22)。
この段階で、密閉式凝集撹拌槽20には、汚泥貯留槽40内のし渣分などを含む汚泥と高分子凝集剤供給装置45内の高分子凝集剤溶液とが汚泥供給ポンプ43によって供給され、各撹拌羽根26による撹拌によって凝集混合させて汚泥中の固形物をフロック状の凝集物として浮遊させる。そして、フロック状の凝集物を含む汚泥は、汚泥出口23から第一の汚泥供給管路35を経て汚泥入口11を介して汚泥脱水機10に供給され、液分がろ過されて脱水される。
【0054】
一方、密閉式凝集撹拌槽20では、例えば、図4に示すように、し渣分100が各撹拌羽根26の上から覆い被さるように乗っかかり成長している。なお、図4では、し渣分100の絡み付きを分かりやすくするために簡略化してあるが、し渣分100は、各撹拌羽根26が見えなくなるほど成長し、し渣分100が各撹拌羽根26と供回りをして、適切な撹拌ができなくなる場合がある。
次に、制御装置50は、汚泥入口11に設けた圧力センサ12が検出する汚泥脱水機10の汚泥入口11の汚泥供給圧を常時監視し、脱水能力を低下させる閾値(この値は、予め試験によって求めておく)を超えると、汚泥脱水機10のモータ13及び密閉式凝集撹拌槽20の回転用モータ38を停止させる指令を出力する(ステップS23,S24)。
【0055】
次に、制御装置50は、汚泥供給ポンプ43及び液ポンプ48を停止させる指令を出力する(ステップS25)。
次に、制御装置50は、密閉式凝集撹拌槽20の回転用モータ38を停止させた後、慣性力を取り除くために必要な時間(この時間は、予め試験して求めておく)が経過すると、密閉式凝集撹拌槽20の回転用モータ38を逆回転させる指令を出力する(ステップS26,S27)。
次に、制御装置50は、密閉式凝集撹拌槽20のドレン弁34及び空気抜き弁37を開放させる指令を出力する(ステップS28)。
【0056】
次に、制御装置50は、密閉式凝集撹拌槽20内から汚泥を排出させるのに必要な時間(この時間は、予め試験して求めておく)が経過すると、密閉式凝集撹拌槽20に設けた洗浄水噴射装置27の洗浄水ポンプ31を駆動し、洗浄水弁32を開放させる指令を出力する(ステップS29,S30)。
この段階で、上述したように、密閉式凝集撹拌槽20の各撹拌羽根26には、例えば、図4に示すように、し渣分100が成長し上から覆い被さっている。
【0057】
一方、密閉式凝集撹拌槽20の回転用モータ38は、密閉式凝集撹拌槽20の通常運転と異なり、逆回転をしているため、し渣分が各撹拌羽根26に絡み付く方向とは逆方向に各撹拌羽根26を回転させることとなる。そのため、各撹拌羽根26に絡み付いたし渣分は、解ける方向に回転させられており、解けやすい状態となっている。
そして、密閉式凝集撹拌槽20は、槽内の液が抜かれ、各撹拌羽根26が空気中で逆回転されている。
【0058】
このような状態のし渣分100に対して洗浄水噴射装置27は、密閉式凝集撹拌槽20の下部側から各撹拌羽根26の根元に向かって洗浄水を各撹拌羽根26の根本26aの中心に到達する速度3〜15m/secで3つの管体28から噴射する。
この洗浄水の噴射によって、各撹拌羽根26に覆い被さっていたし渣分100の根元に洗浄水が噴射されるので、し渣分100は絡み付きを解かれながら各撹拌羽根26の上方に向かって押し上げられて除かれる。
【0059】
そして、除去されたし渣分は、密閉式凝集撹拌槽20の汚泥入口兼ドレン出口22から汚泥入口兼ドレン出口用の管路33を介して系外へ排出される。
なお、密閉式凝集撹拌槽20内に残ったし渣分は、次回の汚泥処理システム1の運転時に汚泥脱水機10へ送り出される。汚泥脱水機10による脱水時にし渣分があった方が汚泥脱水性に有利に働くことがあるので、し渣分は除かない方が良いという考え方もある。従って、密閉式凝集汚泥槽20内にし渣分が残ることで不具合が生じることはない。
次に、制御装置50は、洗浄水噴射装置27によるし渣分除去に必要な時間(この時間は、予め試験して求めておく)が経過すると、密閉式凝集撹拌槽20に設けた洗浄水噴射装置27の洗浄水ポンプ31を停止し、洗浄水弁32、ドレン弁34及び空気抜き弁37を閉鎖させる指令を出力する(ステップS31,S32)。
【0060】
次に、制御装置50は、密閉式凝集撹拌槽20の回転用モータ38の逆回転を停止させる指令を出力する(ステップS33)。
次に、制御装置50は、密閉式凝集撹拌槽20の回転用モータ38を停止させた後、慣性力を取り除くために必要な時間(この時間は、予め試験して求めておく)が経過すると、再度汚泥脱水機10のモータ13を回転させるか否かの判断を求め、汚泥脱水機10のモータ13を回転させる場合には、ステップS2に戻す指令を出力し、汚泥脱水機10のモータ13を回転させない場合には、本実施形態に係る汚泥処理システム1Aの運転を停止する指令を出力する(ステップS34,S35)。
【0061】
以上のように、本実施形態に係る汚泥処理システム1Aでは、汚泥処理システム1Aによる運転中に、汚泥脱水機10の汚泥入口11に設けた圧力センサ12の検出値が汚泥供給圧の閾値を超えると、汚泥脱水機10及び汚泥供給ポンプ43を停止させた後、密閉式凝集撹拌槽20の撹拌羽根を逆回転させながら、密閉式凝集撹拌槽20内の汚泥を排出させ、密閉式凝集撹拌槽20の各撹拌羽根26の上方から覆い被さるように乗っかかり成長しているし渣分100に対し、密閉式凝集撹拌槽20に設けた洗浄水噴射装置27によって各撹拌羽根26の根元26aに向かって洗浄水を噴射することによって、各撹拌羽根26に絡み付くし渣分100を解かしつつ除去することができる。
そして、このし渣分100の除去が終わると、再び汚泥処理システム1Aによる運転を行うことができる。
【0062】
(第三実施形態)
本実施形態に係る汚泥処理システムは、第一実施形態に係る汚泥処理システム1に第二実施形態に係る汚泥処理システム1Aの機能を追加したものである。
図8、図9は、そのフローチャートを示す。
本実施形態では、ステップS43(図5のステップS2又は図7のステップS22の後段のステップS3又はS23に相当)において、図5のステップS3の運転時間が経過したか否かの判断と、図7のステップS23の汚泥供給圧が閾値を超えたか否かの判断とを同時に行い、何れかが条件をクリアしたら、ステップS44(図5のステップS5又は図7のステップS24に相当)へ移行するプログラムを、制御装置50の記憶装置に格納している。
【0063】
その他の構成は、第一実施形態及び第二実施形態と同様である。
本実施形態によれば、第一実施形態及び第二実施形態の作用効果を同時に達成させることが可能となる。
【0064】
(第四実施形態)
図10に示すように、本実施形態に係る汚泥処理システム1Bは密閉式凝集撹拌槽20を開放式凝集撹拌槽20Aとした点で、第一実施形態とは異なる。
開放式凝集撹拌槽20Aは、槽本体21を堰板21aによって縦方向に二分し、3つの撹拌羽根26によって撹拌混合される混合槽200と、堰板21aをオーバフローした汚泥を貯留する貯留槽201とを備え、洗浄水噴射装置27は混合層200に設けられ、貯留槽201が第一の汚泥供給管路35を介して汚泥脱水機10に接続されている。
【0065】
図11は、本実施形態に係る汚泥処理システム1Bの作用を示す。
本実施形態に係る汚泥処理システム1Bの主電源(図示せず)がオンされると、図11に示すように、制御装置50は、開放式凝集撹拌槽20Aのドレーン弁34を閉じ、汚泥供給ポンプ43及び液ポンプ48を運転する指令を出力する(ステップS61)。
【0066】
次に、制御装置50は、図示しないセンサや目視で処理すべき汚泥及び凝集剤が、開放式凝集撹拌槽20Aにある程度の量を導入されたことを確認後、開放式凝集撹拌槽20Aの回転用モータ38、続いて汚泥脱水機10のモータ13を駆動させる指令を出力する(ステップS62)。
この段階で、開放式凝集撹拌槽20Aには、汚泥貯留槽40内のし渣分などを含む汚泥と高分子凝集剤供給装置45内の高分子凝集剤溶液とが汚泥供給ポンプ43によって供給され、各撹拌羽根26による撹拌によって凝集混合させて汚泥中の固形物をフロック状の凝集物として浮遊させる。そして、フロック状の凝集物を含む汚泥は、汚泥出口23から第一の汚泥供給管路35を経て汚泥入口11を介して汚泥脱水機10に供給され、液分がろ過されて濃縮される。
【0067】
一方、開放式凝集撹拌槽20Aでは、例えば、図4に示すように、し渣分100が各撹拌羽根26の上から覆い被さるように乗っかかり成長している。なお、図4では、し渣分100の絡み付きを分かりやすくするために簡略化してあるが、し渣分100は、各撹拌羽根26が見えなくなるほど成長し、し渣分100が各撹拌羽根26と供回りをして、適切な撹拌ができなくなる場合がある。
次に、制御装置50は、汚泥脱水機10の運転が所定時間(例えば、24時間)経過すると、汚泥脱水機10のモータ13及び開放式凝集撹拌槽20Aの回転用モータ38を停止させる指令を出力する(ステップS63,S64)。
【0068】
次に、制御装置50は、汚泥供給ポンプ43及び液ポンプ48を停止させる指令を出力する(ステップS65)。
次に、制御装置50は、開放式凝集撹拌槽20Aの回転用モータ38を停止させた後、慣性力を取り除くために必要な時間(この時間は、予め試験して求めておく)が経過すると、開放式凝集撹拌槽20Aの回転用モータ38を逆回転させる指令を出力する(ステップS66,S67)。
次に、制御装置50は、開放式凝集撹拌槽20Aのドレン弁34を開放させる指令を出力する(ステップS68)。
【0069】
次に、制御装置50は、開放式凝集撹拌槽20A内から汚泥を排出させるのに必要な時間(この時間は、予め試験して求めておく)が経過すると、開放式凝集撹拌槽20Aに設けた洗浄水噴射装置27の洗浄水ポンプ31を駆動し、洗浄水弁32を開放させる指令を出力する(ステップS69,S70)。
この段階で、上述したように、開放式凝集撹拌槽20Aの各撹拌羽根26には、例えば、図4に示すように、し渣分100が成長し上から覆い被さっている。
【0070】
一方、開放式凝集撹拌槽20Aの回転用モータ38は、開放式凝集撹拌槽20Aの通常運転と異なり、逆回転をしているため、し渣分が各撹拌羽根26に絡み付く方向とは逆方向に各撹拌羽根26を回転させることとなる。そのため、各撹拌羽根26に絡み付いたし渣分は、解ける方向に回転させられており、解けやすい状態となっている。
そして、開放式凝集撹拌槽20Aは、槽内の液が抜かれ、各撹拌羽根26が空気中で逆回転されている。
【0071】
このような状態のし渣分100に対して洗浄水噴射装置27は、開放式凝集撹拌槽20Aの下部側から各撹拌羽根26の根元に向かって洗浄水を各撹拌羽根26の根元26aの中心に到達する速度3〜15m/secで3つの管体28から噴射する。
この洗浄水の噴射によって、各撹拌羽根26に覆い被さっていたし渣分100の根元に洗浄水が噴射されるので、し渣分100は絡み付きを解かれながら各撹拌羽根26の上方に向かって押し上げられて除かれる。
【0072】
そして、除去されたし渣分は、開放式凝集撹拌槽20Aの汚泥入口兼ドレン出口22から汚泥入口兼ドレン出口用の管路33を介して系外へ排出される。
なお、開放式凝集撹拌槽20A内に残ったし渣分は、次回の汚泥処理システム1の運転時に汚泥脱水機10へ送り出される。汚泥脱水機10による脱水時にし渣分があった方が汚泥脱水性に有利に働くことがあるので、し渣分は除かない方が良いという考え方もある。従って、開放式凝集撹拌槽20A内にし渣分が残ることで不具合が生じることはない。
【0073】
次に、制御装置50は、洗浄水噴射装置27によるし渣分除去に必要な時間(この時間は、予め試験して求めておく)が経過すると、開放式凝集撹拌槽20Aに設けた洗浄水噴射装置27の洗浄水ポンプ31を停止し、洗浄水弁32及びドレン弁34を閉鎖させる指令を出力する(ステップS71,S72)。
次に、制御装置50は、開放式凝集撹拌槽20Aの回転用モータ38の逆回転を停止させる指令を出力する(ステップS73)。
【0074】
次に、制御装置50は、開放式凝集撹拌槽20Aの回転用モータ38を停止させた後、慣性力を取り除くために必要な時間(この時間は、予め試験して求めておく)が経過すると、再度汚泥脱水機10のモータ13を回転させるか否かの判断を求め、汚泥脱水機10のモータ13を回転させる場合には、ステップS2に戻す指令を出力し、汚泥脱水機10のモータ13を回転させない場合には、本実施形態に係る汚泥処理システム1の運転を停止する指令を出力する(ステップS74,S75)。
【0075】
以上のように、本実施形態に係る汚泥処理システム1Bでは、汚泥処理システム1による運転が決められた期間を経過すると、汚泥脱水機10及び汚泥供給ポンプ43を停止させた後、開放式凝集撹拌槽20Aの撹拌羽根を逆回転させながら、開放式凝集撹拌槽20A内の汚泥を排出させ、開放式凝集撹拌槽20Aの各撹拌羽根26の上方から覆い被さるように乗っかかり成長しているし渣分100に対し、開放式凝集撹拌槽20Aに設けた洗浄水噴射装置27によって各撹拌羽根26の根元26aに向かって洗浄水を噴射することによって、各撹拌羽根26に絡み付くし渣分100を解かしつつ除去することができる。
そして、このし渣分100の除去が終わると、再び汚泥処理システム1Bによる運転を行うことができる。
【0076】
このように、本実施形態に係る汚泥処理システム1Bによれば、し渣分100の除去のために、開放式凝集撹拌槽20Aのマンホールを開け、各撹拌羽根26に絡み付いているし渣分100を人手によって洗浄により除去するという作業が不要になる。
また、本実施形態に係る汚泥処理システム1Bによれば、洗浄水噴射装置27による洗浄に要する時間は30秒〜1分程度となり、従来の人手による30分程度の作業に比べて大幅に短縮できる。
【0077】
さらに、本実施形態に係る汚泥処理システム1Bによれば、洗浄水噴射装置27による洗浄を汚泥処理システム1による運転毎に行うのではなく、例えば、ステップS63における設定時間を1ヶ月とすれば、開放式凝集撹拌槽20Aを運転終了毎にドレンする場合に比し、返流水負荷を低く抑えることが可能となる。
【0078】
なお、上記各実施形態において、1つの洗浄水噴射装置27を密閉式凝集撹拌槽20又は開放式凝集撹拌槽20Aに設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、各撹拌羽根26の各翼毎に洗浄水を噴射できるように4つの洗浄水噴射装置27を設けたり、或いは密閉式凝集撹拌槽20又は開放式凝集撹拌槽20Aの直径方向に対向して2つの洗浄水噴射装置27を設けたり、或いは密閉式凝集撹拌槽20又は開放式凝集撹拌槽20Aの軸線に対して120°毎に3つの洗浄水噴射装置27を設けたりしても良い。
【0079】
また、上記各実施形態では、凝集撹拌槽の下部から洗浄水を噴射できるように洗浄水噴射装置27の管体28を設置した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、各撹拌羽根26の真横又は斜め上方或いは真上から噴射するようにしても良い。その場合には、各撹拌羽根26を逆回転してし渣分100を解きほぐすことが望ましい。つまり、上述したように、各撹拌羽根26を逆回転すると、し渣分100の絡み付きがほぐされるので、洗浄水の噴射によって除去できるようになる。ただし、この場合には、洗浄水噴射装置27の管体28を凝集撹拌槽の下部から各撹拌羽根26に向かって設置した場合に比して、洗浄時間が長くなる。
また、上記各実施形態では、し渣分除去運転時に撹拌羽根26を逆回転してし渣分100を解きほぐす場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、撹拌羽根26の回転を継続して洗浄水噴射装置27によって各撹拌羽根26の各翼毎に洗浄水を噴射するようにしても良い。
【0080】
また、上記各実施形態では、汚泥脱水機10を用いる汚泥処理システムについて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、汚泥脱水機10に代えて汚泥濃縮機を用いる汚泥処理システムとしても良い。
また、上記各実施形態では、所定の汚泥処理を終えた段階又は汚泥処理時の異常に汚泥処理システムを停止し、洗浄水噴射装置を駆動して凝集撹拌槽の撹拌羽根を洗浄水により掃除再生する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、汚泥処理システムの管理者が必要時に汚泥処理システムを停止し、洗浄水噴射装置を駆動して凝集撹拌槽の撹拌羽根を洗浄水により掃除再生するようにしても良い。
【符号の説明】
【0081】
1、1A、1B 汚泥処理システム
10 汚泥脱水機
11 汚泥入口
12 圧力センサ
13 モータ
20 密閉式凝集撹拌槽
20A 開放式凝集撹拌槽
21 槽本体
21a 堰板
22 汚泥入口兼ドレン出口
23 汚泥出口
24 給排気口
25 撹拌軸
26 撹拌羽根
26a 撹拌羽根26の根元
27 洗浄水噴射装置
28 管体
29 水管
30 枝管
31 洗浄水ポンプ
32 洗浄水弁
33 管路
34 ドレン弁
35 第一の汚泥供給管路
36 第二の汚泥供給管路
38 回転用モータ
39 蓋体
40 汚泥貯留槽
43 汚泥供給ポンプ
45 高分子凝集剤供給部
48 液ポンプ
50 制御装置
100 し渣分
200 混合層
201 貯留槽


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撹拌羽根を備え、汚泥脱水機又は汚泥濃縮機の前段に備えられる凝集撹拌槽において、
前記撹拌羽根に洗浄水を噴射して前記撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去する洗浄水噴射装置を備える
ことを特徴とする凝集撹拌槽。
【請求項2】
請求項1記載の凝集撹拌槽において、
前記洗浄水噴射装置は、前記撹拌羽根の根元に前記洗浄水を噴射するように構成されている
ことを特徴とする凝集撹拌槽。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の凝集撹拌槽において、
前記洗浄水噴射装置は、前記凝集撹拌槽の下部側から前記撹拌羽根に向かって前記洗浄水を噴射するように構成されている
ことを特徴とする凝集撹拌槽。
【請求項4】
請求項3記載の凝集撹拌槽において、
前記洗浄水噴射装置は、前記凝集撹拌槽の下部側から前記撹拌羽根の根元に向かって前記洗浄水を前記撹拌羽根の根元の中心に到達する速度3〜15m/secで噴射するように構成されている
ことを特徴とする凝集撹拌槽。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか記載の凝集撹拌槽と、
前記凝集撹拌槽から供給される汚泥を脱水又は濃縮する汚泥脱水機又は汚泥濃縮機と、
前段に位置する濃縮設備又は汚泥引き抜き設備より供給される汚泥を貯留する汚泥貯留槽と、
前記汚泥貯留槽の汚泥を凝集撹拌槽に送り出す汚泥供給ポンプと、
前記汚泥供給ポンプによって凝集撹拌槽に高分子凝集剤を供給する高分子凝集剤供給部と、
前記凝集撹拌槽及び前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機の運転を制御するとともに、前記汚泥供給ポンプの発停を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機の運転が所定時間経過すると、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機及び前記汚泥供給ポンプを停止させ、前記凝集撹拌槽内の汚泥を排出させ、前記洗浄水噴射装置を駆動させ前記撹拌羽根に洗浄水を噴射して前記撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させる
ことを特徴とする汚泥処理システム。
【請求項6】
請求項5記載の汚泥処理システムにおいて、
前記制御装置は、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機の運転が所定時間経過すると、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機及び前記汚泥供給ポンプを停止させ、前記凝集撹拌槽内の排水路を開かせて汚泥を排出させ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転させ、前記洗浄水噴射装置を駆動させ前記撹拌羽根に洗浄水を噴射して前記撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させ、前記洗浄水噴射装置による噴射が所定時間経過すると、前記洗浄水噴射装置を停止させ、前記凝集撹拌槽内の排水路を閉じさせ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根の逆回転を停止させ、前記汚泥供給ポンプを運転させ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を回転させ、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機を運転させる
ことを特徴とする汚泥処理システム。
【請求項7】
請求項5記載の汚泥処理システムにおいて、
前記制御装置は、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機の運転が所定時間経過すると、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機及び前記汚泥供給ポンプを停止させ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転させ、前記凝集撹拌槽内の排水路を開かせて汚泥を排出させ、前記洗浄水噴射装置を駆動させ前記撹拌羽根に洗浄水を噴射して前記撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させ、前記洗浄水噴射装置による噴射が所定時間経過すると、前記洗浄水噴射装置を停止させ、前記凝集撹拌槽内の排水路を閉じさせ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根の逆回転を停止させ、前記汚泥供給ポンプを運転させ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を回転させ、前記汚泥脱水機又は汚泥濃縮機を運転させる
ことを特徴とする汚泥処理システム。
【請求項8】
請求項5記載の汚泥処理システムにおいて、
前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機は、入口圧力を設定する圧力センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機の運転中に、前記圧力センサが設定値以上の圧力を検知すると、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機及び前記汚泥供給ポンプを停止させ、前記凝集撹拌槽内の汚泥を排出させ、前記洗浄水噴射装置を駆動させ前記撹拌羽根に洗浄水を噴射して前記撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させる
ことを特徴とする汚泥処理システム。
【請求項9】
請求項8記載の汚泥処理システムにおいて、
前記制御装置は、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機の運転中に、前記圧力センサが設定値以上の圧力を検知すると、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機及び前記汚泥供給ポンプを停止させ、前記凝集撹拌槽内の排水路を開かせて汚泥を排出させ、前記凝集撹拌槽の前記撹拌羽根を逆回転させ、前記洗浄水噴射装置を駆動させ前記撹拌羽根に洗浄水を噴射して前記撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させ、前記洗浄水噴射装置による噴射が所定時間経過すると、前記洗浄水噴射装置を停止させ、前記凝集撹拌槽内の排水路を閉じさせ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根の逆回転を停止させ、前記汚泥供給ポンプを運転させ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を回転させ、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機を運転させる
ことを特徴とする汚泥処理システム。
【請求項10】
請求項8記載の汚泥処理システムにおいて、
前記制御装置は、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機の運転中に、前記圧力センサが設定値以上の圧力を検知すると、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機及び前記汚泥供給ポンプを停止させ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転させ、前記凝集撹拌槽内の排水路を開かせて汚泥を排出させ、前記洗浄水噴射装置を駆動させ前記撹拌羽根に洗浄水を噴射して前記撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させ、前記洗浄水噴射装置による噴射が所定時間経過すると、前記洗浄水噴射装置を停止させ、前記凝集撹拌槽の排水路を閉じさせ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根の逆回転を停止させ、前記汚泥供給ポンプを運転させ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を回転させ、前記汚泥脱水機又は汚泥濃縮機を運転させることを特徴とする
ことを特徴とする汚泥処理システム。
【請求項11】
請求項6記載の汚泥処理システムの運転方法において、
前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機の運転が所定時間経過後に、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機及び前記汚泥供給ポンプを停止させる工程と、
前記凝集撹拌槽内の排水路から汚泥を排出した後に、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転させて前記洗浄水噴射装置を駆動させ前記撹拌羽根に洗浄水を噴射して前記撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させる工程と、
前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転を継続させながら、前記洗浄水噴射装置による噴射が所定時間経過後に、前記洗浄水噴射装置を停止させ、前記凝集撹拌槽内の排水路を閉じさせ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根の逆回転を停止させる工程と、
前記汚泥供給ポンプを運転させ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を回転させ、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機を運転させる工程と
を備えることを特徴とする汚泥処理システムの運転方法。
【請求項12】
請求項7記載の汚泥処理システムの運転方法において、
前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機の運転が所定時間経過後に、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機及び前記汚泥供給ポンプを停止させる工程と、
前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転させながら、前記凝集撹拌槽内の排水路から汚泥を排水させ、排水後に、前記洗浄水噴射装置を駆動させ前記撹拌羽根に洗浄水を噴射して前記撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させる工程と、
前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転を継続させながら、前記洗浄水噴射装置による噴射が所定時間経過後に、前記洗浄水噴射装置を停止させ、前記凝集撹拌槽内の排水路を閉じさせ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根の逆回転を停止させる工程と、
前記汚泥供給ポンプを運転させ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を回転させ、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機を運転させる工程と
を備えることを特徴とする汚泥処理システムの運転方法。
【請求項13】
請求項9記載の汚泥処理システムの運転方法において、
前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機の運転中に、前記圧力センサが設定値以上の圧力を検知すると、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機及び前記汚泥供給ポンプを停止させる工程と、
前記凝集撹拌槽内の排水路から汚泥を排水した後に、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転させて前記洗浄水噴射装置を駆動させ前記撹拌羽根に洗浄水を噴射して前記撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させる工程と、
前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転を継続させながら、前記洗浄水噴射装置による噴射が所定時間経過後に、前記洗浄水噴射装置を停止させ、前記凝集撹拌槽内の排水路を閉じさせ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根の逆回転を停止させる工程と、
前記汚泥供給ポンプを運転させ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を回転させ、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機を運転させる工程と
を備えることを特徴とする汚泥処理システムの運転方法。
【請求項14】
請求項10記載の汚泥処理システムの運転方法において、
前記汚泥脱水機又は汚泥濃縮機の運転中に、前記圧力センサが設定値以上の圧力を検知すると、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機及び前記汚泥供給ポンプを停止させる工程と、
前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転させながら、前記凝集撹拌槽内の排水路から汚泥を排水させ、排水後に、前記洗浄水噴射装置を駆動させ前記撹拌羽根に洗浄水を噴射して前記撹拌羽根に絡み付くし渣分を除去させる工程と、
前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を逆回転を継続させながら、前記洗浄水噴射装置による噴射が所定時間経過後に、前記洗浄水噴射装置を停止させ、前記凝集撹拌槽内の排水路を閉じさせ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根の逆回転を停止させる工程と、
前記汚泥供給ポンプを運転させ、前記凝集撹拌槽の撹拌羽根を回転させ、前記汚泥脱水機又は前記汚泥濃縮機を運転させる工程と
を備えることを特徴とする汚泥処理システムの運転方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−110481(P2011−110481A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268270(P2009−268270)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】