説明

出窓

【課題】 組み立てが容易でかつ部品点数を低減でき、運搬・保管コストを低減可能であるとともに、縦枠および方立の中空部を介した空気ないし熱の出入りを防止して断熱性を向上させることができる出窓を提供する。
【解決手段】 縦枠3、方立、上枠および下枠からなる出窓本体を備え、縦枠3および方立が中空に形成されている出窓であって、縦枠3の中空部および方立の中空部の上端部および下端部の少なくとも一方が、中空部内法寸法よりも大きくかつ変形可能であり、所定の長さを有する気密材22を中空部内に圧入することにより閉塞されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出窓に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、出窓は、建物の躯体における開口の両側に位置させて取り付けられる縦枠と、これらの縦枠と平行に室外側に配置される方立と、これらの縦枠および方立の上端部間および下端部間に掛け渡される上枠および下枠とからなり、平面視において台形状や三角形状等に形成された骨格としての出窓本体を備えている。そして、出窓本体の上部に天板および屋根が設けられ、下部にテーブル板等が設けられる。また、出窓本体の正面部および側面部にガラス障子等が装着される。
【0003】
ところで、縦枠および方立が中空の部材で形成され、上下に連通している場合、その中空部を介して室外側と室内側とが連通して空気や熱の出入りが生じ、断熱性を低下させる問題がある。
【0004】
このため、従来、縦枠および方立の上端および下端にこれを気密に閉塞するための気密材付きの蓋体をねじ等の固定具により取り付けて、縦枠および方立の中空部を介した空気ないし熱の出入りを防止し、断熱性を向上させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平8−165845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のこのような出窓にあっては、縦枠および方立に気密材と蓋体とを装着するので、部品点数が多いとともに、固定具で取り付けるので、組み立て作業に手間がかかるという問題がある。また、縦枠および方立の外部に蓋体等は装着されるので、蓋体等は縦枠および方立とは別個に現場に運搬され、保管されるため、運搬・保管が煩雑である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたもので、組み立てが容易でかつ部品点数を低減でき、運搬・保管コストを低減可能であるとともに、縦枠および方立の中空部を介した空気ないし熱の出入りを防止して断熱性を向上させることができる出窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の出窓は、縦枠、方立、上枠および下枠からなる出窓本体を備え、前記縦枠および前記方立が中空に形成されている出窓であって、前記縦枠の中空部および前記方立の中空部の上端部および下端部の少なくとも一方が、前記中空部内法寸法よりも大きくかつ変形可能であり、所定の長さを有する気密材を前記中空部内に圧入することにより閉塞されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の出窓によれば、縦枠の中空部および方立の中空部の上端部および下端部の少なくとも一方が、気密材により閉塞されているので、縦枠および方立の各中空部を介した空気ないし熱の出入りを防止することができ、断熱性を向上させることができる。さらに、縦枠および方立の上端および下端からそれぞれ中空部に気密材を圧入して、各中空部の上端部および下端部に位置させるだけで、気密材を縦枠および方立に装着することができるので、組み立てが容易であるとともに、部品点数を低減することができる。さらには、気密材が縦枠および方立の各中空部に位置するので、工場等において縦枠および方立に気密材を装着し、縦枠および方立のみを運搬・保管するのと同様にして、この気密材付き縦枠および方立を現場に運搬・保管することも可能であるため、運搬コストおよび保管コストを低減可能であるとともに、現場での組み立て作業を簡略化することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る出窓を示す横断面図であり、図2は嵌め殺し部の縦断面図であり、図3は縦すべり窓サッシ部の縦断面図である。
本実施の形態の出窓は、側面部を形成する左右の縦すべり窓サッシ部と、正面部を形成する左右の嵌め殺し部を備えた左右対称の4面タイプの出窓であって、建物の躯体Tの窓開口部Kの屋外側に設けられている。
【0011】
この出窓は、正面部および側面部を形成する出窓本体1を備えており、この出窓本体1の上部には天板や屋根が設けられ、出窓本体1の下部にはテーブル板や底面板が設けられる。出窓本体1は、躯体Tの柱Hの屋外面にネジ2等で固定される左右一対の縦枠3と、これらの縦枠3と平行に屋外側に左右対称に配置される3つの方立4と、縦枠3と方立4との上端部間および下端部間に掛け渡された側面上枠(上枠)5および側面下枠(下枠)6と、両方立4の上端部間および下端部間に掛け渡された正面上枠7(上枠)および正面下枠(下枠)8とを備えている。
【0012】
縦枠3、方立4、側面上枠5および側面下枠6で構成される方形の枠体に、縦すべり障子11および網戸12が取り付けられて、縦すべり窓サッシ部13が形成されている。また、隣接する2つの方立4、正面上枠7および正面下枠8で構成される方形の枠体に、複合ガラス15が取り付けられて、嵌め殺し部16が形成されている。出窓本体1を構成する各枠材および障子の框材は、アルミニウム合金の押出形材からなる。また、縦枠3および方立4は、中空の形材からなる。縦枠3、側面下枠6および正面下枠8の室内側にはそれぞれ、合成樹脂製アングル17、18、19が設けられて、出窓本体1の断熱性が高められている。
【0013】
図4および図5に示すように、縦枠3の中空部21の上端部は、気密材22により閉塞されている。気密材22としては、例えば、合成ゴムあるいは合成樹脂の軟質の発泡体などが用いられる。発泡体としては、独立気泡の発泡体を用いると気密性、断熱性に優れていて好ましい。気密材22は、高さの低い(扁平な)柱状に形成されており、その横断面形状は中空部21の横断面形状とほぼ相似形に形成されている。気密材22の高さ(長さ)は、例えば、15mm〜50mm程度に設定される。そして、気密材22の横断面寸法は、中空部21の横断面寸法(内法寸法)よりも少し大きく設定されており、気密材22は縦枠3の上端側から中空部21に圧入されて、中空部21の上端部に装着される。このとき、気密材22の外周面が縦枠3の内周面に密着している。
【0014】
また、図6および図7に示すように、方立4の中空部25の上端部は、気密材26により閉塞されている。気密材26としては、気密材22と同様のものが用いられる。気密材26は、高さの低い(扁平な)柱状に形成されており、その横断面形状は中空部25の横断面形状とほぼ相似形に形成されている。気密材26の高さ(長さ)は、例えば、15mm〜50mm程度に設定される。そして、気密材26の横断面寸法は、中空部25の横断面寸法(内法寸法)よりも少し大きく設定されており、気密材26は方立4の上端から中空部25に圧入されて、中空部25の上端部に装着される。このとき、気密材26の外周面が方立4の内周面に密着している。
【0015】
このような出窓にあっては、縦枠3の中空部21の上端部が、気密材22で閉塞されているので、縦枠3の中空部21を介した空気ないし熱の出入りを防止することができ、断熱性を向上させることができる。さらに、縦枠3の上端から中空部21に気密材22を圧入して、中空部21の上端部に位置させるだけで、気密材22を縦枠3に装着することができるので、組み立てが容易であるとともに、部品点数を低減することができる。加えて、気密材22が縦枠3の中空部21に位置するので、工場等において縦枠3に気密材22を装着し、縦枠3のみを運搬・保管するのと同様にして、この気密材22付き縦枠3を現場に運搬・保管することもできるため、運搬コストおよび保管コストを低減できるとともに、現場での組み立て作業を簡略化することができる。方立4の中空部25に気密材26を装着する場合にも、上述の縦枠3の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0016】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変形等が可能である。
例えば、前記実施の形態では、縦枠3の中空部21の上端部を、気密材22により閉塞するようにしたが、これに代えて、縦枠3の中空部21の下端部を、気密材22により閉塞するようにしてもよく、このようにしても前記実施の形態と同様の効果を得ることができる。方立4についても同様に、方立4の中空部25の上端部を、気密材26により閉塞するのに代えて、方立4の中空部25の下端部を、気密材26により閉塞するようにしてもよい。
【0017】
さらには、縦枠3の中空部21の上端部および下端部をそれぞれ、気密材22により閉塞するようにしてもよい。方立4についても同様に、方立4の中空部25の上端部および下端部をそれぞれ、気密材26により閉塞するようにしてもよい。このようにすると、前記実施の形態と同様の効果を得ることができ、さらに縦枠3の中空部21および方立ての中空部25をそれぞれ、断熱空間とすることができるので、断熱性がさらに向上する。
【0018】
また、正面部および側面部には、縦すべり窓サッシ部13あるいは嵌め殺し部16の代わりに、引き違い窓サッシ部等を設けるようにしてもよい。また、出窓の横断面形状としては、例えば、台形、弓形、方形、三角形等の種々の形状を採用することが可能である。さらに、縦枠3の中空部21および方立4の中空部25の上端部および下端部にそれぞれ、1個ではなく、複数個の気密材を装着するようにしてもよい。また、少なくとも縦枠3および方立4が中空に形成されていればよく、上枠、下枠はソリッド材からなっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る出窓を示す図であって、横断面図である。
【図2】同、嵌め殺し部の縦断面図である。
【図3】同縦すべり窓サッシ部の縦断面図である。
【図4】縦枠の上端部分の側面図である。
【図5】図4のA−A線に沿う断面図である。
【図6】方立の上端部分の側面図である。
【図7】図6のB−B線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 出窓本体
3 縦枠
4 方立
5 側面上枠(上枠)
6 側面下枠(下枠)
7 正面上枠(上枠)
8 正面下枠(下枠)
21 中空部
22 気密材
25 中空部
26 気密材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦枠、方立、上枠および下枠からなる出窓本体を備え、前記縦枠および前記方立が中空に形成されている出窓であって、前記縦枠の中空部および前記方立の中空部の上端部および下端部の少なくとも一方が、前記中空部内法寸法よりも大きくかつ変形可能であり、所定の長さを有する気密材を前記中空部内に圧入することにより閉塞されていることを特徴とする出窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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