説明

切り屑積載装置及びシート処理装置

【課題】本発明の目的は、屑が外部に漏れることがなく、且つ屑の満載を誤検知することのない切り屑積載装置を提供すること。
【解決手段】シートに対して処理を施す処理手段によって発生した切り屑を積載する屑ボックス536と、前記屑ボックス536の外に設けられ、電磁波を発生する発振手段537aと、前記屑ボックス536の外に設けられ、前記発振手段537aによって発振された電磁波を前記屑ボックス536を通して受信する受信手段537bと、を有し、前記発振手段537aは30GHz〜100THz帯域の電磁波を発生し、前記発振手段537aによって発振された電磁波を前記屑ボックス536を通して前記受信手段537bが受信することで前記屑ボックス536に積載された切り屑P1の積載状態を発振手段537aと受信手段537bを結ぶ方向で検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに処理を施した際に発生する切り屑を積載し、その積載状態を検出することが可能な切り屑積載装置及びこれを備えたシート処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置によって画像が形成されたシートに対して、所定の処理を施す処理手段を備えたシート処理装置が種々提案されている。処理手段としては、例えば、シートに対して穿孔を施す穿孔手段や、中綴じ及び中折りされて製本されたシート束に対して断裁を施す断裁手段などが知られている。このような処理手段を有するシート処理装置では、穿孔手段や断裁手段によりシート屑が発生するため、このシート屑を積載するシート屑積載装置が設けられている。このシート屑積載装置には、特許文献1に開示されているように、シート屑の満載を検知する発振手段、受信手段からなるシート屑検知装置が設けられている。このシート屑検知装置では、発振手段が発する電磁波を、シート屑を収納するダストボックスに設けられた電磁波の入射口を通してダストボックス内に入射する。そして、シート屑が満載となった際には入射してきた電磁波をシート屑が遮蔽し出射口及び受信手段への到達を不可とすることでシート屑の満載を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−293691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、前記ダストボックスに、電磁波を通すための入射口及び出射口を設ける必要がある。ここで、入出射口として穴を設けた場合、シート屑がこの穴から漏れてダストボックスの外に飛散するおそれがある。これに対し、入出射口として電磁波透過材を設けた場合、ダストボックス外へのシート屑の飛散は防げるものの、シート屑が帯電することにより入出射口に張り付き、満載となる前に満載を検出してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、屑が外部に漏れることがなく、且つ屑の満載を誤検知することのない切り屑積載装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、シートに対して処理を施す処理手段によって発生した切り屑を積載する積載手段と、前記積載手段の外に設けられ、電磁波を発生する発振手段と、前記積載手段の外に設けられ、前記発振手段によって発振された電磁波を前記積載手段を通して受信する受信手段と、を有し、前記発振手段は30GHz〜100THz帯域の電磁波を発生し、前記発振手段によって発振された電磁波を前記積載手段を通して前記受信手段が受信することで前記積載手段に積載された切り屑の積載状態を前記発振手段と前記受信手段を結ぶ方向で検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高分子材料を透過する性質をもつ30GHz〜100THz帯域の電磁波を用いることで、発振手段から発振した前記電磁波が積載手段及びシート屑を透過して受信手段に到達することが可能である。これにより、電磁波の入出射口を設ける必要がなくなるため、シート屑等の切り屑が積載手段外に漏れる心配はない。また積載手段の内壁にシート屑が張り付いた場合においても電磁波を受信手段まで確実に到達させることができ、積載手段に積載された屑の積載状態を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】屑積載装置を有するシート処理装置及び画像形成装置の縦断正面図
【図2】シート処理装置の縦断正面図
【図3】パンチユニットの断面図
【図4】パンチダイの断面図
【図5】(a)パンチユニット及び屑ボックスの縦断正面図、(b)パンチユニット及び屑ボックスの斜視図
【図6】(a)屑がない時の屑ボックスの斜視図、(b)屑がない時の屑ボックス内の検出結果を表す図、(c)屑積載時の屑ボックスの斜視図、(b)屑積載時の屑ボックス内の検出結果を表す図
【図7】(a)内壁に屑が貼り付いている状態の屑ボックスの斜視図、(b)内壁に屑が貼り付いている状態の屑ボックス内の検出結果を表す図、(c)屑積載状態が山形になっている時の屑ボックス内の検出結果を表す図
【図8】加振手段の縦断正面図
【図9】撹拌手段の縦断右視図
【図10】穴あけ処理のフローチャート
【図11】装置全体の制御に係るブロック図
【図12】トリマー部の縦断正面図
【図13】断裁部の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0010】
まず、図1を用いて、切り屑積載装置を備えたシート処理装置及び画像形成装置の全体構成について説明する。図1は、シート処理装置が適用可能な画像形成装置としての複写装置1000の内部構造を示す断面図である。
【0011】
複写装置1000は、原稿給送部100、イメージリーダ部200及びプリンタ部300、折り処理部400、フィニッシャ500、インサータ900、トリマー部1100等を有する。上記折り処理部400、インサータ900、トリマー部1100等は、オプションとして装備することができる。
【0012】
原稿給送部100は、イメージリーダ部200の画像読取位置に向けて原稿を一枚ずつ順次給送するものである。イメージリーダ部200は、原稿の画像を読み取るものである。プリンタ部300は、イメージリーダ部200で読み取った原稿の画像情報、又は送られてきた画像情報に基づいてシートに画像を形成するものである。
【0013】
フィニッシャ500は、プリンタ部300から画像形成されたシートを取り込み、取り込んだ複数のシートを整合して、1つのシート束として束ねる処理を行うためのものである。更に、シート束の後端側をステイプルするステイプル処理(綴じ処理)、同じく後端側に穿孔を施す穿孔処理を行うためのものである。またソート処理、ノンソート処理、及び中綴じ製本処理等のシートの処理を行うためのものである。
【0014】
つづいてシートの流れと共にシート処理装置の構成を説明する。図2に示すように、フィニッシャ500は、折り処理部400を介して搬送されたシートを装置内部に取り込むための搬送パス520が有り、搬送パス520には、入口ローラ対515から順番に搬送ローラ対502〜508が設けられている。搬送ローラ対502と搬送ローラ対503の間には穿孔手段としてのパンチユニット530が設けられている。パンチユニット530は必要に応じて動作を行い、搬送されるシートの後端部に穴あけ(穿孔)処理を行う。穴あけ処理部の下流にある搬送パス520の終端に設けられた切替部材513は、下流に繋がれた上排出パス521と下排出パス522とに経路を切り替えるものである。上排出パス521は、上排出ローラ対509により、スタックトレイ701へのシートの排出を行う。一方、下排出パス522は、搬送ローラ対510,511,512が設けられ、処理トレイ550へのシートの排出を行う。処理トレイ550に排出されるシートは順次整合処理されながら束状に収容され、操作部1(図11参照)からの設定に応じて、仕分け処理やステイプル処理が行われる。その後、シート束は、束排出ローラ対551によりスタックトレイ700,701へ選択的に排出される。
【0015】
なお、上記したステイプル処理は綴じ手段としてのステイプラ560により行われる。ステイプラ560はシート搬送方向と直交する幅方向に移動可能となっており、シート束の任意の位置にステイプルすることができる。スタックトレイ700,701は上下方向に移動可能に構成されている。上側のスタックトレイ701は上排出パス521と処理トレイ550からのシートを受け取ることができ、下側のスタックトレイ700は処理トレイ550からのシートを受け取ることができる。このようにして、スタックトレイ700,701には大量のシート又はシート束を積載することができ、積載されたシート又はシート束はその後端を上下方向に伸びる後端ガイド710に規制されて整列される。
【0016】
次に、フィニッシャにおける中綴じ製本部800の構成を説明する。前記下排出パス522の途中に設けられた切替部材514により、サドル排出パス523に経路が切り替えられたシートは、中綴じ製本部800へ送られる。シートはサドル入口ローラ対801に受け渡され、サイズに応じてソレノイドにより動作する切替部材802により搬入口を選択されて、中綴じ製本部800の収納ガイド803内に搬入される。搬入されたシートは滑りローラ804により、先端が可動式のシート位置決め部材805に接するまで搬送される。サドル入口ローラ対801と滑りローラ804はモータM1により駆動される。また、収納ガイド803の途中位置には、収納ガイド803を挟んで対向配置された綴じ手段としてのステイプラ820が設けられている。ステイプラ820は、針を突き出すドライバー820aと突き出された針を折り曲げるアンビル820bとに分割されている。なお、シート位置決め部材805は、シート搬入時において、シート搬送方向中央部が、このステイプラ820の綴じ位置になる位置で停止する。シート位置決め部材805は、モータM2の駆動を受けて移動自在であり、シートサイズ等に応じて位置を変える。
【0017】
ステイプラ820の下流側には、折りローラ対810a,810bが設けられており、折りローラ対810a,810bの対向位置には、突き出し部材830が設けられている。この突き出し部材830は、収納ガイド803から退避した位置をホームポジションとしている。突き出し部材830は、モータM3の駆動により収納されたシート束に向けて突き出すことにより、シート束を、折りローラ対810a,810bのニップに押し込みながら折り畳む。その後、突き出し部材830は、再びホームポジションに戻る。なお、折りローラ対810間には、束に折り目付けをするのに充分な圧F1が不図示のバネにより掛けられている。折り目付けされた束は、第1折搬送ローラ対811a,811b、及び第2折搬送ローラ対812a,812bにより搬送される。第1折搬送ローラ対811、及び第2折搬送ローラ対812にも、折り目付けされた束を搬送、停止させるのに充分な圧F2、F3が掛けられている。
【0018】
搬送ガイド813は、折りローラ対810と第1折搬送ローラ対811間をつなぐ搬送ガイドである。搬送ガイド814は第1折搬送ローラ対811と第2折搬送ローラ対812をつなぐ搬送ガイドである。なお、折りローラ対810、第1折搬送ローラ対811、第2折搬送ローラ対812は、同一のモータM4(不図示)により等速回転する。
【0019】
なお、ステイプラ820で綴じられたシート束の折り畳み動作は、ステイプル処理終了後に、シート束のステイプル位置が折りローラ対810のニップ位置となるように、シート位置決め部材805をステイプル処理時の位置から所定距離降下させた後に実行される。こうしてステイプル処理を施した位置でシート束を折り畳むことができる。
【0020】
整合板対815は、収納ガイド803に収納されたシートを整合する整合手段であり、折りローラ対810a,810bの外周面を挟んで収納ガイド803に突出した面を持つ。整合板対815は、モータM5の駆動を受けて、シートに対し挟み込み方向に移動することで、シートの幅方向の位置決めを行うものである。
【0021】
そして、前記第2折搬送ローラ対812の下流には、折り目プレスユニット860が設けられている。この折り目プレスユニット860は、プレスローラ対861を支持したプレスホルダー862を有し、プレスローラ対861が折り目をニップした状態で、プレスホルダー862を折り目方向に移動させることで、折り目を強化するものである。
【0022】
インサータ900は、ユーザによりインサートトレイ901,902にセットされたシートをプリンタ部300を通さずに、スタックトレイ701,700、或いは中綴じ製本部のいずれかに向けて給送するためのものである。インサートトレイ901,902上に積載されたシート束は、1枚ずつ順次分離され、所望のタイミングで搬送パス520に合流する。
【0023】
図11は、複写装置1000のブロック図である。CPU回路部150は、CPU(不図示)を有し、ROM151に格納された制御プログラム及び操作部1の設定に従い、以下の各部を制御する。すなわち、CPU回路部150は、原稿給送制御部101、イメージリーダ制御部201、画像信号制御部202、プリンタ制御部301、折り処理制御部401、フィニッシャ制御部501、トリマー制御部1101、外部I/F203を制御する。そして、原稿給送制御部101は原稿給送部100を制御する。イメージリーダ制御部201はイメージリーダ部200を制御する。プリンタ制御部301はプリンタ部300を制御する。折り処理制御部401は折り処理部400を制御する。フィニッシャ制御部501はフィニッシャ500、中綴じ製本部800、インサータ900を制御する。操作部1は、画像形成に関する各種機能を設定するための複数のキー、設定状態を表示するための表示部等を有している。操作部1は、ユーザによる各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部150に出力すると共に、CPU回路部150からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示する。
【0024】
RAM152は、制御データを一時的に保持するための領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられる。外部I/F203は、複写装置1000と外部のコンピュータ204とのインタフェースであり、コンピュータ204からのプリントデータをビットマップ画像に展開し、画像データとして画像信号制御部202へ出力する。また、イメージリーダ制御部201から画像信号制御部202へは、イメージセンサ(不図示)で読み取った原稿の画像が出力される。プリンタ制御部301は、画像信号制御部202からの画像データを露光制御部(不図示)へ出力する。
【0025】
図3は前述のパンチユニット530の断面図である。搬送パス531,532の間をシートPが通過した際、搬送ローラ対502,503の搬送力により図3(b)のように後端ストッパー534は後端ストッパー回動軸534aを回転中心として矢印A方向へ退避する。その後、シートPの後端が後端ストッパー534を越えた所で後端ストッパー534は後端ストッパー付勢バネ534bの力により図3(a)の位置へと戻される。そしてシートPは搬送ローラ対503の反転動作によりスイッチバックされ、図3(c)のようにシート後端が後端ストッパー534へ突き当てられた後に停止する。この動作により穴あけのための位置出しを行われたシートPは、その後、図3(d)のようにパンチダイ533の矢印B方向への動作により所定位置に穴あけされる。パンチダイ533の動作について示したものが図4である。図4(a)に示すようにパンチダイ533はダイ533a〜533e及びパンチラック533fよりなる。図4(b)に示すようにパンチラック533fが矢印C方向に動いたときはダイ533b,533dにより2穴の穴あけが行われる。一方、図4(c)に示すようにパンチラック533fが反対の矢印D方向に動いたときはダイ533a,533c,533eにより3穴の穴あけが行われる。このように穿孔手段としてのパンチユニット530は、少なくとも1パターン以上の穿孔パターンを有している。ここでは、穿孔パターンとして2パターンを例示しているが、穿孔パターンの数はこれに限定されるものではなく、必要に応じて適宜設ければ良い。
【0026】
前述の如くして穴あけされた際に生じる切り屑としてのパンチ屑(穿孔屑)は、以下に説明する切り屑積載装置に積載される。以下、図5(a)及び図5(b)を用いて、切り屑積載装置について具体的に説明する。
【0027】
前述の如くして穴あけされた際に生じるパンチ屑P1は、図5(a)に示すように、パンチ屑搬送ダクト535を通り積載手段としてのパンチ屑ボックス536へと収容される。この動作が繰り返されることでパンチ屑ボックス536内に屑が溜まる。図5(b)に示すように、パンチ屑ボックス536の両側(外側)にはボックス底部から所定の高さzにパンチ屑検知手段537が設けられている。
【0028】
パンチ屑検知手段537は30GHz〜100THz帯域の電磁波を発振する発振手段537aと受信手段537bとを有している。これらはパンチ屑ボックス536を介して互いに向き合った状態で設けられ、前述の穴あけ処理が所定回数行われると矢印E方向に走査する。走査後、再び所定回数穴あけ処理が行われると、今度は反対の矢印F方向へと走査する。前述の穴あけ処理(穿孔処理)が所定回数行われる毎に前述の走査を繰り返す。走査の際に発振手段537aから発振された電磁波はパンチ屑ボックス536を透過するがそのときに振幅の減衰が生じる。さらにパンチ屑ボックス536内にあるパンチ屑P1によっても振幅を減衰させられる。この減衰した電磁波を受信手段537bで検知することでパンチ屑ボックス536内の屑積載量(切り屑の積載状態)を発振手段537aと受信手段537bを結ぶ方向で検出する。
【0029】
更に詳しくは、前記発振手段537aは連続電磁波を発振する。そして、パンチ屑ボックス536及びパンチ屑P1を透過した際に生じる前記電磁波の振幅の減衰を、前記受信手段537bによって受信する。これにより、パンチ屑ボックス536に積載されたパンチ屑P1の積載状態(発振手段537aと受信手段537bの間のパンチ屑の積載状態と、発振手段537aと受信手段537bの走査方向におけるパンチ屑の積載状態)を検出することができる。
【0030】
また、積載手段としてのパンチ屑ボックス536は、発振手段537aによって発振された電磁波を透過するプラスチックなどの材質で構成されている。
【0031】
以下にパンチ屑P1の積載量を検出する際に行う処理を説明する。図6(a)に示すように、予め空の状態のパンチ屑ボックス536をパンチ屑検知手段537で走査し波形(空の積載状態)を記憶する。検出された波形の振幅量と奥行き方向(走査方向)xとの関係を示したものが図6(b)のグラフである。つづいて穴あけ処理が行われ、屑が積載された様子を図6(c)に示す。この図6(c)はダイ533b,533d(図4(b)参照)の2穴によるパンチ屑が積載された様子を示したものである。パンチ屑ボックス536内に進入した電磁波はパンチ屑P1を透過することで、その振幅が減衰される。この減衰量はパンチ屑P1の横方向yの長さによって変わってくる。つまり横方向yに詰まった状態で屑が存在するほど電磁波の減衰量も大きくなる。図6(d)では2穴によって溜まったパンチ屑P1を電磁波が透過しているところは空の状態ときに比べて、電磁波の減衰量が大きく、振幅量が少ない。このとき、パンチ屑P1が詰まった状態で積載されているところほど、その電磁波の減衰量が大きいことが図8からわかる。前述の検出結果よりパンチ屑ボックス536内のパンチ屑の積載状態を検知することができ、所定の高さzに設置したパンチ屑検知手段537の減衰量が屑満載スレッシュ値に達したところで穴あけ処理を中断する(図6(d)参照)。このとき、図6(d)に例示した状態では、2穴の位置は屑満載スレッシュ値に達しているものの、3穴の位置にはまだ積載のゆとりがあるため3穴の穴あけ処理は動作可とする。
【0032】
さらに図7(a)のようにパンチ屑ボックス536の内壁面にパンチ屑P1が張り付いてしまった場合でも、本検出方法によれば電磁波の減衰量から屑の横方向yの詰まり状態を検出できる。すなわち、図7(a)のような状態であっても、得られた波形は図7(b)のように屑満載スレッシュ値に達しないため、ジョブを続けることができる。
【0033】
また、切り屑積載装置は、パンチ屑ボックス536に積載されたパンチ屑を均すための加振手段(図8参照)又は撹拌手段(図9参照)を有している。そして、受信した電磁波の振幅に所定量以上のバラツキがある場合には、積載されたパンチ屑を平坦な状態にならすように、前記加振手段又は前記撹拌手段を動作させる。具体的には、図7(c)のように受信手段537bによって受信した電磁波の振幅に所定量以上のバラツキがある場合は、パンチ屑ボックス536内にパンチ屑P1が山形となって積載されていると判断する。この場合、図8に示す加振手段又は図9(右視図)に示す撹拌手段を動作させて、パンチ屑ボックス536内に積載されたパンチ屑P1を平坦にする。
【0034】
図8に示す加振手段538は、カム538a及びカム回転中心538bよって構成されている。カム538aはカム回転中心538bを中心として回転し、この回転によりパンチ屑ボックス536を上下に振動させてパンチ屑P1を平坦化する。図9に示す撹拌手段539は、スクリュー539aを有している。加振手段の場合と同様にパンチ屑P1が山形に積載されていると判断した際には、スクリュー539aを回転してパンチ屑を平坦化し、パンチユニット530による穴あけを継続する。
【0035】
また、パンチ屑ボックス536は装置本体に対して取り外し可能に装着される。これにより、パンチ屑ボックス536に積載されたパンチ屑が満載になった場合には、このパンチ屑ボックス536を交換することができる。また、このパンチ屑ボックス536が非装着の際は、パンチ屑ボックス536による電磁波(振幅)の減衰が発生しないため、図7(d)に示すように検知した電磁波の振幅値が記憶した振幅値よりも大きくなる。この結果よりパンチ屑ボックス536の非装着を認識することが可能である。また、ここでは発振手段537aと受信手段537bとからなるパンチ屑検知手段537を1つ設けた構成を例示しているが、この屑検知手段の設置数、設置箇所は必要に応じて適宜設定されるものであり、これに限定されるものではない。例えば、追加として図6(c)に示す高さ方向zに複数の屑検知手段を設ければ、より詳細にパンチ屑ボックス536内の屑の積載状態を検出することもできる。
【0036】
図10はパンチユニット及び切り屑積載装置における処理動作のフローチャートである。始めにパンチ屑検知手段の走査を行い(ステップS11)、ステップS12にて記憶している振幅値(空の積載状態)よりも検知結果の振幅値が大きい場合にはパンチ屑ボックス536が非装着であると認識し、穴あけ処理を中断する(ステップS13)。一方、ステップS12にて記憶している振幅値よりも検知結果の振幅値が小さい場合にはパンチ屑ボックス536が装着されていると判断し、穴あけ処理を行う(ステップS14)。その後、ステップS15にて穴あけ処理(穿孔処理)が所定回数行われたかを判断し、所定回数行われていない場合は穴あけ回数のカウンターを1つ進め(ステップS16)、再び穴あけ処理を行う(ステップS14)。一方、ステップS15にて穴あけ処理が所定回数行われた場合には発振手段537aの電磁波の発振を開始すると共にカウンターをリセットする(ステップS17)。その後、発振手段537a及び受信手段537bを共に動かしパンチ屑ボックス536への走査を行う(ステップS18)。そして、ステップS19にて、前述の走査により検知した電磁波の振幅が所定のバラツキ量以上であるか否かを判断する。ここでは、前述の走査により検知した電磁波の振幅の最大値(屑少ない)と最小値(屑多い)との差を求め、この求めた差が予め設定した値(所定のバラツキ量)以上であるか否かを判断する。検知した電磁波の振幅が所定のバラツキ量以上ある場合には、加振手段538又は撹拌手段539を動作させる(ステップS20)。一方、検知した電磁波の振幅が所定のバラツキ量未満の場合には、ステップS21に移行する。ステップS21では、電磁波の振幅が前述の屑満載スレッシュ値(所定量)に達しているか否かを判断する。ステップS21にて電磁波の振幅が満杯スレッシュ値に達していない場合はステップS14に移行して再び穴あけ処理を行う。一方、ステップS21にて電磁波の振幅が満杯スレッシュ値に達している場合は、さらに現在穴あけ処理を行っている位置近傍において屑の積載が屑満杯スレッシュ値を下回っているか否かを判断する(ステップS22)。ステップS22にて現在穴あけ処理を行っている位置近傍において屑の積載が屑満載スレッシュ値を下回っている(Yes)ならば、まだ屑を積載する余地があるので、ステップS14に移行して再び穴あけ処理を行う。一方、ステップS22にて現在穴あけ処理を行っている位置近傍において屑の積載が屑満載スレッシュ値を下回っていない(No)ならば、パンチ屑P1が満載であると判断して穴あけ処理を終了する(ステップS23)。
【0037】
前述の切り屑積載装置は、フィニッシャのパンチユニットにて発生したパンチ屑だけでなく、図1及び図12に示すトリマー部1100の断裁手段1105にて発生したシート屑を積載収容する装置として用いることも可能である。
【0038】
つづいてトリマー部1100において適用される切り屑積載装置について図12及び図13を用いて説明する。中綴じ製本部800の第2折搬送ローラ対812a,812bによって排出された中綴じ束は、中綴じされた側の端部(背部)先端にして、トリマー部1100のコンベア対1113に受け渡される。コンベア対1113によって搬送された中綴じ束は揺動パス1103及び下刃1105b上を通りコンベア対1102へと搬送される。コンベア対1102へと搬送された中綴じ束は、中綴じされた側の端部(背部)が先端ストッパー1107に突き当たるまで搬送される。先端ストッパー1107に突き当たって位置決めされた中綴じ束はその後上刃1105aの落下によって前記背部とは反対側の小口部の断裁が行われる。断裁が終了すると、先端ストッパー1107は回動中心1108を軸に反時計周りに回動し、コンベア対1102の搬送パス上から先端ストッパー1107を退避させる。退避が終了するとコンベア対1102は再び搬送動作を開始し、下流のコンベア対1109へと中綴じ束を受け渡す。コンベア対1109は束押えローラ1110へ中綴じ束を受け渡し、その後積載トレイ1111上へ積載する。この動作を繰り返すことで、後続の中綴じ束に順次断裁を施していく。
【0039】
断裁手段1105をなす前述の上刃1105a及び下刃1105bによって断裁された中綴じ束のシート屑(切り屑)は、切り屑積載装置における積載手段である屑箱1106へと収容される。所定枚数の断裁が行われると切り屑検知手段1112が屑箱1106の奥行き方向へ走査を行い、屑の積載状態を検知する。この切り屑検知手段1112は、前述したパンチ屑検知手段537と同様に、30GHz〜100THz帯域の電磁波を発振する発振手段1112aと受信手段1112bとを有している。この切り屑検知手段1112による屑の積載状態の検知方法も、前述したパンチユニットにおける切り屑積載装置と同様である。
【0040】
ここでは、製本されたシート束の小口部を断裁する断裁手段を例示して説明したが、断裁手段はこれに限定されるものではない。例えば、製本されたシート束の天地部を断裁する断裁手段や、シート束の小口部及び天地部を断裁する断裁手段を有するものであっても良い。つまり、断裁手段によってシート束の端部を断裁した時に生じるシート屑(切り屑)を積載する切り屑積載装置においても本発明は有効である。
【0041】
上述したように、本実施形態によれば、高分子材料を透過する性質をもつ30GHz〜100THz帯域の電磁波を用いることで、発振手段から発振した前記電磁波が積載手段及びシート屑を透過して受信手段に到達することが可能である。これにより、電磁波の入出射口を設ける必要がなくなるため、シート屑等の切り屑が積載手段外に漏れる心配はない。また積載手段の内壁にシート屑が張り付いた場合においても電磁波を受信手段まで確実に到達させることができ、積載手段に積載された屑の積載状態を検知することができる。
【0042】
また、前述した実施形態では、シートに対して処理を施す処理手段として、少なくとも1パターン以上の穿孔パターンを有する穿孔手段、製本されたシート束の小口部及び天地部を断裁する断裁手段を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、前記処理手段は、針などの綴じ具によってシート束に綴じる処理を行うとともに、シート束の厚みに応じて綴じ具の綴じ足をカットする切断手段を備えたものであっても良い。この場合、切り屑はシート束の厚みに応じて綴じ具の綴じ足をカットした際に生じるカット屑である。このような屑を積載する切り屑積載装置においても本発明は有効である。
【0043】
また前述した実施形態では、画像形成装置として複写機を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えばスキャナ、プリンタ、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。これらの画像形成装置に用いられるシート処理装置又は切り屑積載装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【0044】
また前述した実施形態では、シート処理装置が一体的に有する切り屑積載装置(積載手段は着脱可能)を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、シート処理装置に対して着脱可能な切り屑積載装置であっても良く、該切り屑積載装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。また、画像形成装置に対して着脱可能なシート処理装置における切り屑積載装置を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば画像形成装置が一体的に有する切り屑積載装置であっても良く、該切り屑積載装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0045】
P …シート
P1 …屑
530 …パンチユニット
535 …パンチ屑搬送ダクト
536 …パンチ屑ボックス
537 …パンチ屑検知手段
537a …発振手段
537b …受信手段
538 …加振手段
539 …撹拌手段
800 …中綴じ製本部
1100 …トリマー部
1105 …断裁手段
1105a …上刃
1105b …下刃
1106 …屑箱
1112 …切り屑検知手段
1112a …発振手段
1112b …受信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに対して処理を施す処理手段によって発生した切り屑を積載する積載手段と、
前記積載手段の外に設けられ、電磁波を発生する発振手段と、
前記積載手段の外に設けられ、前記発振手段によって発振された電磁波を前記積載手段を通して受信する受信手段と、
を有し、
前記発振手段は30GHz〜100THz帯域の電磁波を発生し、前記発振手段によって発振された電磁波を前記積載手段を通して前記受信手段が受信することで前記積載手段に積載された切り屑の積載状態を前記発振手段と前記受信手段を結ぶ方向で検出することを特徴とする切り屑積載装置。
【請求項2】
前記処理手段は少なくとも1パターン以上の穿孔パターンを有する穿孔手段であり、前記切り屑は前記穿孔手段の穿孔により発生した穿孔屑であることを特徴とする請求項1に記載の切り屑積載装置。
【請求項3】
前記処理手段は製本されたシート束の端部を断裁する断裁手段であり、前記切り屑は前記断裁手段によって断裁されたシート屑であることを特徴とする請求項1に記載の切り屑積載装置。
【請求項4】
前記処理手段は、シート束を綴じ具によって綴じる処理を行うとともに、シート束の厚みに応じて綴じ具の綴じ足をカットする切断手段を含み、
前記切り屑はシート束の厚みに応じて綴じ具の綴じ足をカットした際に生じるカット屑であることを特徴とする請求項1に記載の切り屑積載装置。
【請求項5】
前記積載手段は前記発振手段によって発振された電磁波を透過する材質からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の切り屑積載装置。
【請求項6】
前記積載手段及び前記切り屑を透過した際に生じる前記電磁波の振幅の減衰を前記受信手段によって受信することで前記積載手段に積載された切り屑の積載状態を検出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の切り屑積載装置。
【請求項7】
前記発振手段及び前記受信手段は前記積載手段を介して互いに対向した状態で前記積載手段を走査することで前記積載手段に積載された切り屑の前記走査した方向の積載状態を検出することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の切り屑積載装置。
【請求項8】
前記切り屑積載装置は前記積載手段に積載された切り屑を均すための加振手段を有しており、受信した電磁波の振幅が所定のバラツキ量以上の場合には前記加振手段を動作させることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の切り屑積載装置。
【請求項9】
前記切り屑積載装置は前記積載手段に積載された切り屑を均すための撹拌手段を有しており、受信した電磁波の振幅に所定のバラツキ量以上の場合には前記撹拌手段を動作させることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の切り屑積載装置。
【請求項10】
シートに対して処理を施す処理手段と、前記処理手段の処理によって発生した切り屑を積載する切り屑積載装置と、を有するシート処理装置であって、前記切り屑積載装置として請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の切り屑積載装置を備えていることを特徴とするシート処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−136375(P2011−136375A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295865(P2009−295865)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】