説明

切削ブレードの外径サイズ検出方法

【課題】マルチブレードを備える切削装置において、装置構成を複雑とすることなく、短時間でマルチブレードのZ軸方向の位置決めを可能とするために、マルチブレードを構成する各切削ブレードの外径サイズを容易に検出する技術を提供する。
【解決手段】外径サイズ検出用被加工物の上方から切削手段を下降させて所定高さに位置付けることで外径サイズ検出用被加工物に複数の切削ブレードを切り込ませ、外径サイズ検出用被加工物に複数の切削痕を形成する切削痕形成ステップと、複数の切削痕を撮像して各切削痕の長さを検出する長さ検出ステップと、長さ検出ステップで検出した各切削痕の長さとスピンドルの軸心高さ位置から外径サイズ検出用被加工物の上面高さ位置までの距離とから各切削ブレードの外径サイズをそれぞれ算出する外径サイズ算出ステップと、を備えた切削ブレードの外径サイズ検出方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の切削ブレードを装着した切削ユニットを有する切削装置において各切削ブレードの外径サイズを検出する切削ブレードの外径サイズ検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1つのスピンドルに複数の切削ブレードが並設されたマルチブレードを備え、マルチブレードを高速回転させることで複数列の切削加工を行う構成とする切削装置が知られている。マルチブレードを構成する各切削ブレードの外径サイズ(直径)にはばらつきがある上、切削によって摩耗する量も個々の切削ブレード毎に異なる。
【0003】
切削加工を実行する際には、マルチブレードを被加工物に対して好適な高さに位置決めする必要がある。マルチブレードを好適な高さに位置決めするためには各切削ブレードの先端位置を検出する必要があり、各切削ブレードの先端位置を検出するためにセットアップを行う(特許文献1)。
【0004】
このセットアップを行うために、特許文献1では、発光部と受光部を対向配置してなる支持部を基台に回動可能に設けたセンサ手段を用い、センサ手段によってマルチブレードを構成する複数の切削ブレードの刃先位置を個別に測定可能とする技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−028479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、発光部と受光部を備えるセンサ手段が必要となるため、装置構成が複雑となってしまう。加えて、センサ手段によって、複数の切削ブレードの刃先位置を個別に測定するものであることから、測定回数が必然的に多くなり、作業が煩雑となるとともに、作業時間が長くなってしまう。
【0007】
本発明は、マルチブレードを備える切削装置において、装置構成を複雑とすることなく、短時間でマルチブレードのZ軸方向の位置決めを可能とするために、マルチブレードを構成する各切削ブレードの外径サイズを容易に検出するための新規な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明によると、スピンドルとスピンドルの軸心方向に並んで装着された複数の切削ブレードとを含む切削手段を少なくとも備えた切削装置において、複数の切削ブレードの外径サイズをそれぞれ検出する切削ブレードの外径サイズ検出方法であって、外径サイズ検出用被加工物の上方から切削手段を下降させて所定高さに位置付けることで外径サイズ検出用被加工物に複数の切削ブレードを切り込ませ、外径サイズ検出用被加工物に複数の切削痕を形成する切削痕形成ステップと、切削痕形成ステップを実施した後、複数の切削痕を撮像して各切削痕の長さを検出する長さ検出ステップと、長さ検出ステップを実施した後、長さ検出ステップで検出した各切削痕の長さとスピンドルの軸心高さ位置から外径サイズ検出用被加工物の上面高さ位置までの距離とから各切削ブレードの外径サイズをそれぞれ算出する外径サイズ算出ステップと、を備えたことを特徴とする切削ブレードの外径サイズ検出方法が提供される。
【0009】
請求項2に記載の発明によると、外径サイズ検出用被加工物は、複数の交差する分割予定ラインで区画された複数のチップ領域を有し、切削痕形成ステップでは、チップ領域とは異なる領域に切削ブレードが切り込み、複数の切削痕を形成する、切削ブレードの外径サイズ検出方法が提供される。
【0010】
請求項3に記載の発明によると、外径サイズ算出ステップで算出された各切削ブレードの外径サイズの差が所定値を超えるか否かを判定する判定ステップをさらに備える、切削ブレードの外径サイズ検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、マルチブレードを備える切削装置において、装置構成を複雑とすることなく、複数の切削ブレードの外径サイズを同時に検出することができ、短時間でマルチブレードのZ軸方向の位置決めが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】切削装置の外観について示す斜視図である。
【図2】フレームと一体化されたウェーハを示す斜視図である。
【図3】マルチブレードの構成について示す側面図である。
【図4】切削加工について説明する側面図である。
【図5】切削痕形成ステップについて説明する側面図である。
【図6】切削痕が形成された外径サイズ検出用被加工物の平面図である。
【図7】外径サイズ算出ステップについて説明する側面図である。
【図8】マルチブレードのZ軸方向の位置決めの一例について説明する側面図である。
【図9】被加工物が外径サイズ検出用被加工物の機能を兼ね備える実施形態について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。まず、本実施形態にかかる切削装置2と、切削装置2において加工される被加工物の例について、図1及び図2を用いて説明する。
【0014】
図1に示される切削装置2においては、例えば、図2に示されるウェーハWについて切削加工が施される。加工対象の半導体ウェーハWの表面においては、第1の分割予定ラインS1と第2の分割予定ラインS2とが直交されて形成されており、第1の分割予定ラインS1と第2の分割予定ラインS2とによって区画された領域に多数のデバイスDが形成されている。
【0015】
ウェーハWは粘着テープであるダイシングテープTに貼着され、ダイシングテープTの外周縁部は環状フレームFに貼着されている。これにより、ウェーハWはダイシングテープTを介して環状フレームFに支持された状態となり、図1に示したウェーハカセット8中にウェーハが複数枚(例えば25枚)収容される。ウェーハカセット8は上下動可能なカセットエレベータ9上に載置され、ウェーハWは、自動的にチャックテーブル18上へと搬送される。
【0016】
チャックテーブル18は、図1に示すように、回転可能且つX軸方向に往復動可能に構成されており、チャックテーブル18のX軸方向の移動経路の上方には、ウェーハWの切削すべき分割予定ラインを検出するアライメント機構20が配設されている。
【0017】
アライメント機構20は、ウェーハWの表面を撮像する撮像ユニット22を備えており、撮像により取得した画像に基づき、パターンマッチング等の処理によって切削すべき分割予定ラインを検出することができる。撮像ユニット22によって取得された画像は、表示モニタ6に表示される。
【0018】
アライメント機構20の左側には、チャックテーブル18に保持されたウェーハWに対して切削加工を施す切削ユニット24が配設されている。切削ユニット24はアライメント機構20と一体的に構成されており、両者が連動してY軸方向及びZ軸方向に移動する。
【0019】
切削ユニット24は、図3に示すように、回転可能なスピンドル26の軸心方向に、複数の切削ブレード28A〜28Gを並べて装着してなるマルチブレード25を有する構成としており、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能となっている。
【0020】
マルチブレード25の相隣接する切削ブレード28A〜28Gの間には、例えば略円筒形状の部材にて構成されるスペーサ29A〜29Fが配設されており、このスペーサ29A〜29Fの幅によって、隣り合う切削ブレード28A〜28Gの間隔が分割予定ラインの間隔(ストリートピッチ)と一致するように設定される。
【0021】
スピンドル26は図示せぬ電動モータにて高速回転されることで、スピンドル26に装着された切削ブレード28A〜28Gが高速回転される。切削ブレード28A〜28Gは、例えば、略リング形状を有する極薄の切削砥石で構成され、各切削ブレード28A〜28Gが略平行に並ぶようにスピンドル26に装着される。
【0022】
スピンドル26には、切削ブレード28A〜28G、及び、スペーサ29A〜29Fを並べてなる仕組みを両側から挟みこむように固定するためのフランジ26a,26bが設けられている。このフランジ26a,26bにより切削ブレード28A〜28G、及び、スペーサ29A〜29Fがスピンドル26と一体化される。
【0023】
このように構成された切削装置2において、ウェーハWは、チャックテーブル18により吸引保持され、チャックテーブル18がX軸方向に移動してウェーハWは撮像ユニット22の直下に位置づけられる。
【0024】
ここで、アライメント機構20が切削すべき分割予定ラインを自動検出するアライメントの際のパターンマッチングに用いる画像(キーパターン)は、切削前に予め取得され切削装置2のコントローラ(制御装置)に記憶されており、チャックテーブル18により吸引保持されたウェーハWの分割予定ラインに沿った切断の際には、記憶させたキーパターンの画像と実際に撮像ユニット22により撮像されて取得された画像とのパターンマッチングがアライメント機構20にて自動的に行なわれる。
【0025】
このパターンマッチングをX軸方向に離れた2点で行ない、2点を結んだ直線がX軸方向に平行となるようにチャックテーブル18を回転する。次いで、キーパターンのY軸方向の位置と、いずれかひとつの切削ブレード28A〜28Gの位置を合わせるように切削ユニット24をY軸方向に移動させ、その後、キーパターンと分割予定ラインの中心線との距離分だけ切削ユニット24をY軸方向に移動させることにより、切削しようとする各分割予定ラインと各切削ブレード28A〜28Gとの位置合わせが行なわれる。
【0026】
位置合わせが行われた状態において、図4に示すように、高速回転するマルチブレード25を所定の位置に下降させてから、チャックテーブル18をX軸方向に移動させると、位置合わせされた複数の分割予定ラインS1について、所定の切削加工が同時になされる。
【0027】
分割予定ラインS1において切削加工を行った後、更に、チャックテーブル18を90°回転させてから上記と同様の切削加工を行うことで、位置合わせされた複数の分割予定ラインS2について、所定の切削加工が同時になされる。
【0028】
ところで、スピンドル26に設けられる切削ブレード28A〜28Gの外径サイズ(直径)にはばらつきがある上、切削によって摩耗する量も個々の切削ブレード毎に異なるため、ブレードによって過度に切り込んだり、切り込みが不十分でアンカット領域を形成したりしないためにも、マルチブレードを被加工物に対して好適な高さに位置決めする必要がある。マルチブレードを被加工物に対して好適な高さに位置決めするには、各ブレードの先端位置を検出する必要がある。
【0029】
以下に説明する本実施例では、スピンドル26とスピンドル26の軸心方向に並んで装着された複数の切削ブレード28A〜28Gとを含む切削ユニット24とを少なくとも備えた切削装置2において複数の切削ブレード28A〜28Gの外径サイズをそれぞれ検出する切削ブレードの外径サイズ検出方法において、装置構成を複雑とすることなく、複数の切削ブレード28A〜28Gの外径サイズを同時に検出し、短時間でマルチブレードのZ軸方向の位置決めを可能とする。
【0030】
まず、図5に示すように、外径サイズ検出用被加工物51の上方から切削ブレード28A〜28Gを回転させつつ切削ユニット24を下降させて所定高さに位置付けることで外径サイズ検出用被加工物51に複数の切削ブレード28A〜28Gを切り込ませ、図6に示すように、外径サイズ検出用被加工物51に複数の切削痕52A〜52Gを形成する切削痕形成ステップが実施される。
【0031】
具体的には、本実施形態の外径サイズ検出用被加工物51は、スピンドル26の軸方向を長手方向とする板状部材にて構成され、図1に示されるように、切削装置2のチャックテーブル18の横に配置される。外径サイズ検出用被加工物51は、X軸方向に往復動可能に構成されるテーブル55上に配置され、撮像ユニット22、及び、切削ユニット24の下方に移動され得るようになっている。
【0032】
そして、切削痕52A〜52Gを形成する際には、まず、切削ユニット24の下方の位置に外径サイズ検出用被加工物51を移動させた状態とする。次に、切削ユニット24を下降させて所定高さに位置付けることで、外径サイズ検出用被加工物51の表面51aに対し、各切削痕52A〜52Gを切り込ませる。
【0033】
ここで、切削ユニット24を加工させた際の「所定高さ」は、図6に示すように、「後の長さ検出ステップにおいて長さDa〜Dgが十分に検出可能となるように切削痕52A〜52Gを形成させる高さ」であって、且つ「外径サイズ検出用被加工物51を完全切断して切削ブレードの先端がテーブル55の上面に切り込まない高さ」である。このため、例えば、「所定高さ」は、未使用の切削ブレードの半径と同等の長さの長さDa〜Dgが形成され得る高さとすることができる。
【0034】
加えて、外径サイズ検出用被加工物51の厚みにはばらつきが生じることが懸念されるため、「所定高さ」に切削ユニット24を位置づけた場合でも、切削痕52A〜52Gの長さにばらつき生じることが懸念される。
【0035】
このため、外径サイズ検出用被加工物51の上面高さ位置を、例えば、図示せぬ背圧センサ等の非接触式高さ位置検出器や、接触式高さ位置検出器にて検出し、外径サイズ検出用被加工物51の上面高さ位置からスピンドル26の軸心高さ位置までの相対距離が規定値になるように、スピンドル26のZ軸方向位置をセットした上で、切削ブレード28A〜28Gによる切削痕52A〜52Gの形成をすることが好ましい。
【0036】
切削痕形成ステップを実施した後、複数の切削痕52A〜52Gを撮像して各切削痕52A〜52Gの長さを検出する長さ検出ステップが実施される。
【0037】
具体的には、まず、テーブル55を移動させ外径サイズ検出用被加工物51を撮像ユニット22の下方に配置させる。次に、撮像ユニット22にて外径サイズ検出用被加工物51の表面51aが撮像される。そして、切削装置2のコントローラは撮像された各切削痕52A〜52Gの長さDa〜Dgを演算により求め、記憶する。
【0038】
長さ検出ステップが実施を実施した後、図7に示されるように、長さ検出ステップで検出した切削痕52Aの長さDaとスピンドル26の軸心高さ位置H1から外径サイズ検出用被加工物51の上面高さ位置H2までの距離Z1とから切削ブレード28Aの外径サイズを算出する外径サイズ算出ステップが実施される。
【0039】
具体的には、切削装置2のコントローラは、スピンドル26の軸心高さ位置H1を、スピンドル26の軸心のZ軸座標位置情報に基づいて取得する。また、切削装置2のコントローラは、外径サイズ検出用被加工物51の上面高さ位置H2を、例えば、図示せぬ背圧センサ等の非接触式高さ位置検出器や、接触式高さ位置検出器にて検出したものを取得する。そして、切削装置2のコントローラは、軸心高さ位置H1と上面高さ位置H2の間の距離Z1を演算により求める。加えて、切削装置2のコントローラは、長さ検出ステップにおいて記憶された切削ブレード28Aの切削痕52Aの長さDaを取得する。
【0040】
次に、切削装置2のコントローラは、次の計算式により、切削ブレード28Aの外径サイズ2raを算出する。なお、切削ブレード28Aの半径長さraを二倍にしたものが外径サイズ2raとなるものである。
ra=(1/2×Da)+Z1 ・・・・・・・・・(式1)
2ra=2(1/4×Da+Z11/2 ・・・・・・(式2)
【0041】
以上のようにして、切削ブレード28Aについての外形サイズ2raを算出することができ、同様に、他の切削ブレード28B〜28Gについても、各切削痕52B〜52Gについて検出された切削痕52B〜52Gの長さDb〜Dgに基づいて、外形サイズ2rb〜2rgが算出され、すべての切削ブレード28A〜28Gの外径サイズ2ra〜2rgが記憶される状態とする。
【0042】
以上の説明から明らかなように、外径サイズ検出用被加工物51について一度だけ切削痕52A〜52Gを形成し、その後は、撮像、演算により各切削ブレード28A〜28Gの外径サイズ2ra〜2rgを検出することができるため、マルチブレードを備える切削装置において、装置構成を複雑とすることなく、短時間で各切削ブレード28A〜28Gの外径サイズ2ra〜2rgを検出することが可能となる。
【0043】
そして、検出された各切削ブレード28A〜28Gの各外径サイズ2ra〜2rgをもとに、ウェーハWなどの被加工物に対して好適な高さにスピンドル26の軸心高さ位置H1(図7参照)を調整する。
【0044】
例えば、検出された外径サイズ2ra〜2rgのうち、最小の外径サイズを有する切削ブレードが被加工物を完全に切断するように、切削ユニット24のZ軸方向位置を設定するものである。具体的には、仮に図7に示される厚さZ2の外径サイズ検出用被加工物51を被加工物として完全に切断する場合で想定すると、次式のように、軸心高さ位置H1と上面高さ位置H2の間の距離Z1と、外径サイズ検出用被加工物51の厚み寸法Z2の合計寸法Z3が、半径raよりも小さくなるように、スピンドル26の軸心高さ位置H1を設定する。
Z3<ra ・・・・(式3)
【0045】
上述の外径サイズ算出ステップに加え、外径サイズ算出ステップで算出された各切削ブレード28A〜28Gの外径サイズ2ra〜2rgの差が所定値を超えるか否かを判定する判定ステップ実施してもよい。
【0046】
具体的には、検出された外径サイズ2ra〜2rgのうち、例えば、図8の例のように、もっとも大きい外径サイズ2raと、もっとも小さい外径サイズ2rbを抽出し、両者の差分Mを算出し、この差分Mが所定値よりも大きい場合には、もっとも大きい外径サイズを呈する切削ブレードを交換する、或いは、もっとも小さい外径サイズを呈する切削ブレードを交換する、という判断を行うものである。この所定値は、例えば、切削ブレード28Aについて許容される最大深さNをもとに設定することができる。仮に差分Mが最大深さNよりも大きい場合には、もっとも小さい外径サイズ2rbの切削ブレード28Bは加工面Kに到達できないことになる。
【0047】
さらに、外径サイズ算出ステップを実施した後においても、検出した各切削ブレード28A〜28Gの外径サイズ2ra〜2rgを、例えば、第一の外径サイズ情報として記憶しておくとともに、後に外径サイズ算出ステップをした際に検出される外径サイズ2ra〜2rgを、第二の外径サイズ情報とし、この第二の外径サイズ情報と第一の外径サイズ情報と寸法差を算出することで、各切削ブレード28A〜28Gの摩耗量を算出することができる。
【0048】
そして、この摩耗量を元にして切削ブレード28A〜28Gの交換スケジュールを設定することが可能となる。
【0049】
以上の実施形態では、図1に示すように、被加工物となるウェーハWとは別に、外径サイズ検出用被加工物51を用いて切削ブレード28A〜28Gの外径サイズ2ra〜2rgを求めることとしたが、このほかにも、例えば、図9に示すように、切削装置2の加工対象となる被加工物を外径サイズ検出用被加工物54とし、この外径サイズ検出用被加工物54に切削痕53A〜53Gを形成することとしてもよい。
【0050】
即ち、外径サイズ検出用被加工物54は、複数の交差する分割予定ラインS1,S2で区画された複数のチップ領域(デバイスD)を有し、切削痕形成ステップでは、チップ領域とは異なる領域に切削ブレード28A〜28Gが切り込み、複数の切削痕52A〜52Gを形成するものである。
【0051】
この実施形態によれば、図1に示される実施形態のように別途外径サイズ検出用被加工物51を設けずに、通常の切削加工の対象となる被加工物(外径サイズ検出用被加工物54)を利用して、マルチブレードに設けられる各切削ブレードの外径サイズを測定することができる。つまりは、被加工物が外径サイズ検出用被加工物の機能を兼ね備えることとするものである。
【0052】
この場合、チップ領域(デバイスD)を避けるように切削痕52A〜52Gを形成すればよく、例えば、図9のように分割予定ラインS1を利用して切削痕52A〜52Gを形成するほか、チップ領域が形成されない外周余剰領域17に切削痕を形成することとしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
24 切削ユニット
25 マルチブレード25
26 スピンドル
26a フランジ
28A 切削ブレード
51 外径サイズ検出用被加工物
52A 切削痕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピンドルと該スピンドルの軸心方向に並んで装着された複数の切削ブレードとを含む切削手段を少なくとも備えた切削装置において、複数の切削ブレードの外径サイズをそれぞれ検出する切削ブレードの外径サイズ検出方法であって、
外径サイズ検出用被加工物の上方から該切削手段を下降させて所定高さに位置付けることで該外径サイズ検出用被加工物に複数の該切削ブレードを切り込ませ、該外径サイズ検出用被加工物に複数の切削痕を形成する切削痕形成ステップと、
該切削痕形成ステップを実施した後、複数の該切削痕を撮像して該各切削痕の長さを検出する長さ検出ステップと、
該長さ検出ステップを実施した後、該長さ検出ステップで検出した該各切削痕の長さと該スピンドルの軸心高さ位置から該外径サイズ検出用被加工物の上面高さ位置までの距離とから該各切削ブレードの外径サイズをそれぞれ算出する外径サイズ算出ステップと、
を備えたことを特徴とする切削ブレードの外径サイズ検出方法。
【請求項2】
前記外径サイズ検出用被加工物は、複数の交差する分割予定ラインで区画された複数のチップ領域を有し、
前記切削痕形成ステップでは、該チップ領域とは異なる領域に前記切削ブレードが切り込み、複数の前記切削痕を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の切削ブレードの外径サイズ検出方法。
【請求項3】
前記外径サイズ算出ステップで算出された前記各切削ブレードの外径サイズの差が所定値を超えるか否かを判定する判定ステップをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の切削ブレードの外径サイズ検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−27949(P2013−27949A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165254(P2011−165254)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】