説明

切削工具、切削加工方法、切削加工装置、光学素子成形用金型、光学素子及び光学素子成形用金型の切削加工方法

【課題】
高い周波数で切削工具を振動させながら切削する加工に用いることができる切削工具、切削加工方法、切削加工装置、光学素子成形金型、それにより形成された光学素子及び光学素子成形用金型の切削加工方法を提供する。
【解決手段】
切削工具23のシャンク23bを、密度が1以上6.2以下であり、ヤング率が250GPa以上であり、線膨張係数が5×10-6以下である材料を用いて形成したので、1kHz以上の周波数で切削工具23を高速駆動する振動切削加工に用いた場合に、軽量で高剛性を有することから、高い周波数に追従でき、高精度で高効率の切削加工を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動切削やFTS(Fast Tool Servo)のように工具自体を移動させる切削加工で、高速に工具を移動させる且つビビリのない良好な加工面を得るための軽量・高剛性の切削工具、工具自体を高速に移動させる切削加工に用いる切削工具、それを用いた切削加工方法、装置、それにより得られた光学素子成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
光学素子成形用金型の加工には一般的に切削が用いられている。金型光学面の加工面は鏡面である必要がある。従って、鏡面を得るための一般的な切削加工においては、切削工具(バイト)をなるべく高剛性にし刃先ビビリを極力小さくしている。
【0003】
ところで、切削工具をピエゾ素子や超磁歪素子などによって切り込み方向に駆動して、被加工物の回転運動に同期して切削を行う加工方式が知られており、その方式をファーストツールサーボ(FTS)等と呼んでいる。このFTSを使った切削加工においては、できるだけ高速で被加工物を回転させ、それに同期させながら高い周波数で切削工具を駆動することで、加工効率を向上させることができるが、実際には切削工具を着脱するための固定部品や突き当て部材などが必要なため、被駆動体の重量が増大してしまい、その駆動周波数帯域が制限されてしまう。そのため、非常に高い周波数振動を与えるFTSにおいても、5kHz程度が実用の上限となっている。より高い周波数で切削工具を駆動するためには、切削工具を軽量化することが非常に重要であり、その大きさを小さくする試みが成されてきたものの、それ以外の対策は取られていなかった。
【0004】
また、振動切削と呼ばれる加工方式が知られているが、これは工具刃先に1軸や2軸の振動を与えながら工具を用いて送り切削を行うものであって、特に2軸や3軸の振動を同期させて刃先を円や楕円軌跡に振動させる切削においては、(1)切削における背分力が通常の数分の1に低減され、被加工物や工具刃先の両方に負担が少なくなる、(2)切り屑を掻き出す効果がある、(3)従来切削加工できなかった硬脆性材料も切削加工できる、(4)硬脆性材料の延性モード切削において、臨界切り込み量(延性モードが維持できる最大の切り込み量)が大きくできる、といった優れた特徴を有し、近年、注目されている。
【0005】
この振動切削においては、工具刃先を高速に振動させればさせるほど、これらの効果が顕著となり、かつ切削工具や被加工物の送り速度を速くできるので、数kHz以上の周波数で振動させるのが一般的である。さらに、20kHz以上の周波数で振動させると、人間の可聴域を超える超音波振動のため、装置から不快な音がすることもなく、かつ、加工効率の良い振動切削加工が実現できるので、多用されている。しかし、周波数が高くなるにつれその実現難度は指数関数的に増加するので、60kHz以上の周波数で切削工具を振動させるのは非常に難しく、現状では100kHz程度が実用的な上限と言われている。
【0006】
この振動切削に用いる切削工具は、一般的に、切れ刃を有するチップとこれを固定するシャンクが一体となった形の切削工具を、ネジなどの締結で振動体に固定する構造になっており、取り付けた切削工具を容易に交換できるようにしている。
【0007】
切削工具が先端に取り付いた振動体を高速で振動させるための振動子として、ピエゾ素子や超磁歪素子などが使われるが、この振動により励振して振動体を共振させ、定在波を発生させることで高い周波数の振動を安定化している。この振動体の共振には、切削工具の切り込み方向となる軸方向の振動(つまり音波)や振動体のたわみ振動などを利用するが、さまざまな共振モードの中から切削負荷などの変化によることなく所望の周波数に固定することが、前述した効果を発揮し高精度で高効率な振動切削加工を再現性良く実現する上で重要である。
【0008】
以上のように、振動切削においては、高速かつ高精度に切削工具を振動させることが、高精度で高効率な加工を実現する上で重要であり、そのためには切削工具の質量を十分小さく抑えることが重要である。切削工具が重いと、振動体の最先端に重りをつけたのと同じ状態となり、振動体の先端部が振られなくなって切削工具の振動振幅が大きく減少し、所望の振動切削効果が得られなくなる。特に振動周波数が高いほど、急激に質量の影響が大きくなり、高効率な振動切削を行う上で問題となる。
【0009】
従来は、高速度鋼と呼ばれる工具鋼をシャンクにして、ダイヤモンドやセラミックなどの切れ刃を有するチップがシャンクにロー付けされていたが、工具鋼の密度は7.8と大きく、そのため振動切削の周波数が高くなるにつれシャンクの大きさを極端に小さくせざるを得ず、それに伴い、固定するチップの大きさも小さくせざるを得ないので、切れ刃がどんどん小さくなり、その分、狭い領域で切削加工の負担を負わなければならないので、刃先の摩耗が急速に進行するようになり、工具寿命が短くなっていた。そのため、頻繁に工具交換を必要とし、そのたびに加工を中断する時間が増加し、結局、加工効率を向上するために周波数を高めたにもかかわらず、その効果が反映されないということが起きていた。
【0010】
さらに、シャンクの大きさが小さくなることで、切削負荷などに対する剛性が低下し微小にたわんだりするため、刃先先端の位置を高精度に維持することが難しくなったり、ここでビビリなどの振動を発生して、切削加工面の表面粗さを悪くするということも発生していた。
【0011】
従来、シャンクのたわみやビビリ対策としては、高速度鋼の代わりに超硬材料が使われることがあったが、ヤング率は550GPaと非常に高く対策効果は高いが、反面、超硬の密度は14.5程度と非常に重いため、副作用として振動振幅の大幅な減衰を生じてしまい問題があった。
【特許文献1】特開平6−155112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一方、特許文献1には、ダイヤモンドチップに、熱膨張係数の近い反応焼結炭化珪素材をシャンク部分に生成させる技術が開示されている。しかしながら、特許文献1の技術は、高温環境下で使用できる切削工具を提供するものであり、振動切削等に用いる切削工具についての開示も示唆もない。
【0013】
本発明は、従来技術にかかる問題点に鑑みてなされたものであり、高い周波数で切削工具を振動させながら切削する加工に用いることができる切削工具、切削加工方法、切削加工装置、光学素子成形金型、光学素子及び光学素子成形用金型の切削加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の切削工具は、1kHz以上の周波数で切削工具を振動させながら切削する加工に用いる切削工具であって、
切れ刃を有するチップと、それを保持するシャンクとを有し、前記シャンクを、密度が1以上6.2以下であり、ヤング率が250GPa以上である材料を用いて形成したことを特徴とする。
【0015】
振動を伴う切削においては、特に、切削工具のシャンクの材料を適切に選択することが重要であり、それによって振動を伴う加工の本来の特徴を高い周波数まで活かすことができる。
【0016】
前述したように高い振動周波数では、振動体先端に取り付けた切削工具の質量が指数関数的に大きく影響するので、シャンクの大きさは同じでも材料密度を低減することで、振動振幅の低減を大幅に改善できる。前記シャンクの材料の密度が6.2以下であれば重量が軽くなるので高速化に有利であり、その密度が1以上であれば、一般的に剛性を確保できる。又、本発明では、従来の高速度鋼の密度が7、8程度であるので、その80%以下となる密度6.2以下を顕著な差が期待できる範囲とした。密度の最小値としては、小さければ小さいほど軽量化できるので良いが、剛体であるならば現実的には水よりは密度が大きいため、1以上とした。
【0017】
また、前述したように、切削加工中に切削工具にたわみやビビリが発生しないことも同時に重要であるのに対し、前記シャンクの材料のヤング率を、250GPa以上とすると剛性が高くたわみやビビリの発生を効果的に抑制できる。又、ヤング率が高速度鋼の200GPaより25%高い250GPa以上を、これを顕著に防止する材料特性範囲とした。ヤング率の上限値としては、大きければ大きいほど良いが、最大のヤング率は、ダイアモンドなどの1200GPa等であるので、これが事実上の上限値となる。特に高速度鋼のヤング率は、金属材料としてはかなり高いので、値を25%増加するだけでもビビリ抑制には顕著な差が生じる。
【0018】
シャンクの材料として、具体的には、アルミナや窒化珪素、炭化珪素、ジルコニアなどのセラミック材料が候補としてあげられ、これらのどの材料を用いても、前述の振動減衰を低減することができる。しかし、例えばジルコニアは密度が6であり、高速度鋼より25%も軽いので、高い周波数での振動切削を実現するには効果があるが、重量の観点からは、それの2/3ほどの重さの他のアルミナや窒化珪素などのセラミックがより好ましい。
【0019】
請求項2に記載の切削工具は、請求項1に記載の発明において、前記シャンクの材料の線膨張係数は、5×10-6以下であることを特徴とする。
【0020】
特に振動切削等においては、高い周波数で切削工具が振動するため、部品間の結合部などが微小変位して摩擦を生じ、そのため摩擦熱を発生することがある。振動体先端にネジなどの締結によって取り付けられた切削工具も、高い周波数の振動によって振動体に突き当てられ、接触しているシャンク底面などに振動体との摩擦が生じて発熱が起きる。
【0021】
この摩擦熱は、切削工具を直接的に加熱するのと、振動を阻害しないようにできるだけシャンク形状を小さく作るため、常温から10〜30℃程もシャンクの温度を上昇させる。しかも、切削工具の締め付け具合や互いの接触面の表面粗さ、シャンク材料の剛性や摩擦係数などに依存するため再現性に乏しく、工具交換すると摩擦熱が増えて工具の温度がより高くなったりする。そのため、シャンク材料が熱膨縮を発生し、これに固定されているチップの切れ刃位置を高精度に安定することが難しい。
【0022】
一方、振動体は切削工具に比べて体積が大きく熱容量が格段に大きいので、摩擦熱の発生面から遠ざかるに従って急速に温度が減少し、かつ、内部に乾燥空気を吹き付けるなどの冷却手段を盛り込んである場合もあり、全体としての温度上昇は非常に小さい。従って、この摩擦熱による温度上昇は小さく、これに伴う振動体の熱膨縮は少ない。
【0023】
従来のシャンク材料である高速度鋼の熱膨張係数は、約11×10-6であるが、シャンクの切り込み方向の長さを10mmとすると、シャンク温度が30℃上昇すると、シャンク先端位置が3.3μmも延びることになる。当然、シャンク先端に取り付けられたチップの切れ刃の位置も、同程度に温度ドリフトする訳であり、このような温度ドリフトを考慮しなければ、高精度な加工面形状を得ることは困難である。特に、高精度な光学素子の光学面を成形するための金型の転写光学面のように、形状精度が50nm以下であることを求められるような切削加工においては、この摩擦熱による刃先位置の温度ドリフトは非常に大きな問題である。
【0024】
また、超硬やガラスなどの硬脆性材料を振動切削加工する場合は、その材料の臨界切り込み量が小さいため切り込み量が1μm以下と非常に小さい場合が多く、このような切削加工中に前述した刃先位置の温度ドリフトが生じると、切り込み量が加工中に変化し当初の3倍以上にも増加してしまい、延性モード切削が不可能となって脆性破壊モードとなり、切削加工面が鏡面にならなくなるという深刻な問題を生じる。つまり、この摩擦熱による刃先位置の温度ドリフトは、延性モード加工が安定して実現できるかできないかを左右する程、大きな問題であった。
【0025】
そのため、特に振動切削等においては、シャンク材料の熱膨縮を低減することが、高精度な切削加工を実現するためには重要であり、従ってシャンクに低線膨張係数の材料を選択することが重要であるといえる。
【0026】
線膨張係数は、それが小さければ小さいほど刃先の位置を一定に維持する効果は高いが、前記シャンクの材料の線膨張係数を、5×10-6以下であるようにすれば、切削加工時の熱膨張の影響を抑えるのに効果的である。又、従来の高速度鋼のシャンク材料と比較して顕著な効果が期待できる線膨張係数の範囲として、前述の例では1/2以下である5×10-6とした。これは絶対値であり、従って0から−5×10-6までも範囲として含んでいる。これにより前述の刃先位置の温度ドリフトは1.5μm程度に低減されるので、臨界切り込み量があまり小さくない材料の切削加工では、加工形状誤差を補正しながら加工できる範囲になる。
【0027】
線膨張係数が、この範囲に入る材料としては、インバー(1.5×10-6)、スーパーインバー(1×10-6)、ステンレスインバー(1.3×10-6)、超硬(4.8〜5×10-6)、石英(−5×10-7)、窒化珪素(室温で1.3×10-6)、炭化珪素(4×10-6)等がある。ところが、インバーやスーパーインバー材では密度が8.1程度と大きく、超硬ではさらに密度が14.5と大きい。一方、石英はヤング率が低い。従って、窒化珪素や炭化珪素などのセラミック材料が、線膨張係数も密度も満たしているので好ましい。ここでいう線膨張係数とは、シャンクが実際になり得る0℃〜50℃の温度における平均線膨張係数を指す。ちなみに、セラミック材料などでは、0℃〜1000℃間の平均線膨張係数を用いることが多いが、特に窒化珪素やサイアロンなどでは、20℃である室温付近の線膨張係数とは値が大きく異なることとなる。
【0028】
請求項3に記載の切削工具は、請求項1〜2に記載の発明において、前記シャンクの材料は、窒化珪素を主成分とすることを特徴とする。
【0029】
ここで、「窒化珪素を主成分とする材料」とは、窒化珪素が50重量%以上含む材料を指し、具体的には、市販されている窒化珪素セラミックやサイアロン等が含まれる。これらは物性が似通っており、密度が3.3であり、ヤング率が270〜300GPaである。そのため、従来のシャンク材料である高速度鋼と比較し、重量で1/2以下、ヤング率で1.3倍以上を有するので、これを前記シャンクの材料とすることで、1kHz以上の高周波数の振動を容易に実現でき、たわみやビビリがなくかつ高効率な振動切削加工を行うのに極めて有利である。
【0030】
また、窒化珪素を主成分とする材料は、その線膨張係数が室温付近で1.3×10-6と非常に小さいので、熱膨縮量も従来の高速度鋼の1/8以下となり、加工中にも極めて安定した刃先位置を維持できるので、高精度切削加工にも適している。
【0031】
特に、光学素子成形用金型の成形光学面(光学素子の光学面を転写成形する面をいう)を切削加工する場合には、高い表面粗さと形状精度を両立することができて、しかも高速に効率よく加工できるので非常に好ましい。
【0032】
さらに、窒化珪素を主成分とする材料では、破壊じん性値が6.0MN/m3/2と、セラミック材料の中では高くて割れにくいので、例えば切削工具を振動体に固定する際に、ネジなどで強く締結しても割れたりする心配が無く、シャンク加工時に表面に発生するマイクロクラックによって、超音波振動中に突然破断するといった心配も無い。その点では、破壊じん性値が3.5の炭化珪素よりも、シャンク材料として使いやすいといえる。
【0033】
請求項4に記載の切削工具は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記チップが有する切れ刃は、ダイヤモンドであることを特徴とする。
【0034】
FTSを使った切削加工や振動切削加工において、高精度な形状の加工面を得るためには、確実に切れ刃が加工面と対応することができる摩耗が少ない切れ刃を用いることが重要である。高精度な形状精度や表面粗さを獲得するためには、最も硬いダイヤモンドの切れ刃を有するチップを用いるのが好ましい。
【0035】
請求項5に記載の切削工具は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記チップが有する切れ刃は、窒化ボロンを98重量%以上含む材料から形成されていることを特徴とする。
【0036】
窒化ボロン(BN)は、非常に硬くしかも反応性が少ないため、その立方晶の多結晶焼結体は切削工具として広く用いられている。ダイヤモンドで切れ刃を形成すると、切削中の刃先の発熱により大気中の酸素と化合して消耗したり、被加工物中に炭素が拡散したりして、摩耗が急速に進行する場合がある。例えば、ガラスの切削では、ガラスの熱伝導率が非常に悪いため、ダイアモンドを刃先に使うと摩耗が著しいことが良く知られており、また鉄系金属の切削加工ではダイアモンドの炭素が被加工材料中に拡散して摩耗することが知られている。
【0037】
このような材料に対して、FTSを使った切削加工や振動切削加工を行う際には、切れ刃にダイアモンドを用いる場合と比較し、窒化ボロンを使った切れ刃で切削加工を行った方が刃先摩耗が少なく、本発明の軽量、高剛性、低熱膨縮のシャンクの効果をより反映して、表面粗さや形状精度が高い加工面が得られる。
【0038】
また、窒化ボロンの立方晶粉体をチップの大きさに焼結する際に、通常、結合材などの助剤を用いるが、この助剤は窒化ボロンほど硬くなくまた摩耗性も劣るので、助剤の多い窒化ボロン製のチップは、切削加工中の摩耗が大きく、その特徴が活かせない。従って、窒化ボロンの純度が高い材料でチップを製作するのがより好ましく、数値的には材料の98重量%以上を窒化ボロンが占めるようにするのが良い。
【0039】
請求項6に記載の切削工具は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記切れ刃を有するチップを活性金属法により前記シャンクに固定したことを特徴とする。
【0040】
FTSを用いた切削加工や振動切削加工において、切削工具の位置制御の周波数帯域を広げたり、振動体先端に取り付けた切削工具の振動振幅を大きく維持するために、従来から切削工具を小さくして質量を小さくすることが行われていたことは前述した通りである。
【0041】
本発明のシャンクを用いた切削工具であっても、シャンクの大きさを小さくすることは前述の効果を高めるために有効であり、シャンクを小さくすれば、それに載置して固定するチップの大きさも必然的に小さくなる。あまりチップを小さくすると工具寿命が短くなったりするので限界があるが、FTSを用いた加工や振動切削加工においては、このシャンクを小さくする上でクリアすべき重要な課題がある。
【0042】
それは、切れ刃を有するチップをシャンクに固定するための接合面積が小さくなるので、チップの固定力が弱くなる恐れがあることである。FTSを用いた切削加工や振動切削加工では、切削工具を高速に振動させ、特に振動切削加工においては数10kHzで振動させることもあるために、チップとシャンクの接合面が加工中に容易に剥がれてチップが取れてしまうことが起きうる。つまり、チップとシャンクの接合を堅牢にすることが、高い周波数で効率の良い加工を行う上で、非常に重要である。
【0043】
通常は銀ロー付けなどによって、ダイヤモンドのチップを超硬製のシャンクなどに接合しているが、本発明のような軽量、高剛性、低膨縮の特性を有するシャンクにチップを確実に接合するには、かかる接合方式では十分でない場合もあり得る。
【0044】
本発明で用いられるようなセラミック材料のシャンクと、ダイヤモンド等のチップとの接合には、活性金属法と呼ばれる接合方法を行うと、従来の銀ロー付けなどと比較すると、より強固かつ堅牢に前記シャンクに前記チップを接合することができて好ましい。
【0045】
この方法は、接合したい箇所にAg、Cu、Tiなどの高温で活性な金属を含むロー材の薄板を挟み込んで、真空雰囲気または不活性ガス雰囲気として約1000℃で数時間置くことにより、活性化したチタンなどの金属がセラミック材料に拡散して結合し、通常の濡れ性だけに頼るロー付けよりも強固な結合を得られるのである。
【0046】
活性金属法のロー材としては、Ag−Cu−Ti系、Cu−Sn−Ti系、Co−Ti系、Ni−Ti系、アルミニウム合金系などがあり、そのいずれかを主成分とする市販のロー付け材料を用いれば良い。一般的には、Ag−Cu−Tiロー材は最も多く使われていおり、これは銀ローの組成にチタンを1〜3wt%の範囲で添加したものである。
【0047】
活性金属法として、ロー材の薄板を用いる方法を述べたが、シャンクやチップの接合面に、これらの金属をスパッタや蒸着、あるいは微粒子やアマルガム等のペーストを塗布などによって付けた状態で、シャンクとチップを真空雰囲気または不活性ガス雰囲気で熱処理して溶融拡散しても良い。ロー材の供給方法はここでは問わず、活性金属法を用いていれば足りる。
【0048】
また他の接合方法として、Mo−Mn法等によってメタライズ後にロー付けする方法などもあるが、活性金属法が簡単で確実であり、強度も遜色ないので良い。更に、活性金属法によれば、活性金属が酸化しないように大気中ではなく真空中または不活性ガス中でロー付けするため、接合面に気泡のような濡れ不良が発生せず、接合面全体にロー材料が行き渡って確実な接合ができるという特徴もある。
【0049】
請求項7に記載の切削工具は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記チップが有する切れ刃の刃先形状は、剣先形状であることを特徴とする。
【0050】
チップの切れ刃が剣先状に尖っている場合は、シャンクも被加工物に干渉しないように細長い形状となるので剛性が低く、切削の負荷によって容易にたわんだりビビリ振動を発生しやすい。また、固定のためのネジなどは、所望の大きさを必要とするので、シャンクの先端は細くかつ付け根は太くする必要があり、そのためシャンク形状が長くなって体積が大きくなる。そこで、シャンク材料を請求項1に記載された範囲で選択すると、剛性も高くなってたわみやビビリ振動が抑制され、かつ軽量化がでさるので、FTSを用いた切削加工では、駆動周波数帯域を高め制御精度を向上でき、また振動切削加工においては、高い周波数でも充分な振幅を得られるので、他の形状の切削工具よりも効果が大きい。
【0051】
さらに、細長いシャンク形状のために、摩擦熱などによる熱膨縮量が大きくなるので、請求項2に記載のような低線膨張材料を使うと、更に刃先位置が安定して高精度な微細形状の光学面などを切削加工することができる。
【0052】
また、前記チップと前記シャンクとの接合面積が大きく取りがたいので、前記チップと前記シャンクの接合においては、上述活性金属法を用いると、強固に接合できて前記チップの剥離を防止できる。
【0053】
ここで剣先状の刃先形状とは、図5に示すように、すくい面23rの第1の縁部RB1と、第1の縁部RB1に交わる方向に延在する第2の縁部RB2と、第1の縁部RB1の端と第2の縁部RB2の端とを結ぶ第3の縁部RB3とから輪郭付けられ、第1の縁部RB1と第2の縁部RB2とが成す角度Aは、10°≦A≦45°とし、第3の縁部RB3が円弧である場合には、その半径rは、0.05μm≦r≦3μmとするし、第3の縁部RB3が非円弧である場合には、第3の縁部RB3の端部同士を直線で結んだ距離をbとして、0.1μm≦b≦5μmとするものである。
【0054】
請求項8に記載の切削加工方法は、請求項1〜7のいずれかに記載の切削工具を1kHz以上の周波数で振動させながら切削することを特徴とする。
【0055】
請求項9に記載の切削加工装置は、請求項1〜7のいずれかに記載の切削工具と、前記切削工具を1kHz以上の周波数で振動させることができる駆動装置とを有することを特徴とする。
【0056】
請求項10に記載の光学素子成形用金型は、請求項1〜7のいずれかに記載の切削工具を1kHz以上の周波数で振動させながら切削することにより加工された成形光学面を有することを特徴とする。
【0057】
請求項11に記載の光学素子は、請求項10に記載の光学素子成形用金型を用いて成形されたことを特徴とする。
【0058】
請求項12に記載の光学素子成形用金型の切削加工方法は、請求項9に記載の切削加工装置を用いて、光学素子成形用金型の成形光学面を切削することを特徴とする。
【発明の効果】
【0059】
本発明によれば、高い周波数で切削工具を振動させながら切削する加工に用いることができる切削工具、切削加工方法、切削加工装置、光学素子成形金型、それにより形成された光学素子及び光学素子成形用金型の切削加工方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して説明する。図1は、レンズ等の光学素子を成形するための光学素子用成形金型の成形光学面を加工する切削加工装置の構造を概念的に説明するブロック図である。本発明の実施の形態にかかる切削工具は、図1に示す切削加工装置又は切削加工方法に用いることができる。
【0061】
図1に示すように、切削加工装置10は、被加工体であるワークWを切削加工するための振動切削ユニット20と、振動切削ユニット20をワークWに対して支持するNC駆動機構30と、NC駆動機構30の動作を制御する駆動制御装置40と、振動切削ユニット20に所望の振動を与える振動子駆動装置50と、振動切削ユニット20に冷却用のガスを供給するガス供給装置60と、装置全体の動作を統括的に制御する主制御装置70とを備える。
【0062】
振動切削ユニット20は、Z軸方向に延びるツール部21先端に切削工具23を埋め込んでなり、この切削工具23の高周波振動によってワークWを効率良く切削する。振動切削ユニット20の詳細については後述する。
【0063】
NC駆動機構30は、台座31上に第1ステージ32と第2ステージ33とを載置した構造の駆動装置である。ここで、第1ステージ32は、第1可動部35を支持しており、この第1可動部35は、チャック37を介して、光学素子成形用金型の素材であるワークWを間接的に支持している。第1ステージ32は、ワークWを、例えばZ軸方向に沿った所望の位置に所望の速度で移動させることができる。また、第1可動部35は、ワークWをZ軸に平行な水平回転軸RAのまわりに所望の速度で回転させることができる。一方、第2ステージ33は、第2可動部36を支持しており、この第2可動部36は、振動切削ユニット20を支持している。第2ステージ33は、第2可動部36及び振動切削ユニット20を支持して、これらを例えばX軸方向やY軸方向に沿った所望の位置に所望の速度で移動させることができる。また、第2可動部36は、振動切削ユニット20を、Y軸に平行な鉛直旋回軸PXのまわりに所望の角度量だけ所望の速度で回転させることができる。特に、第2可動部36に対する振動切削ユニット20の固定位置や角度等を適宜調節して、振動切削ユニット20の先端点を鉛直旋回軸PX上に配置することにより、振動切削ユニット20をその先端点のまわりに所望の角度だけ回転させることができる。
【0064】
なお、以上のNC駆動機構30において、第1ステージ32と第1可動部35とは、ワークWを駆動する被加工体駆動部を構成し、第2ステージ33と第2可動部36とは、振動切削ユニット20を駆動する工具駆動部を構成する。
【0065】
駆動制御装置40は、高精度の数値制御を可能にするものであり、NC駆動機構30に内蔵されたモータや位置センサ等を主制御装置70の制御下で駆動することによって、第1及び第2ステージ32、33や、第1及び第2可動部35、36を目的とする状態に適宣動作させる。例えば、第1及び第2ステージ32、33によって、振動切削ユニット20のツール部21先端に設けた切削工具23先端の加工点を低速でXZ面に平行な面内に設定した所定の軌跡に沿ってワークWに対して相対的に移動(送り動作)させつつ、第1可動部35によって、ワークWを水平回転軸RAのまわりに高速で回転させることができる。結果的に、駆動制御装置40の制御下で、NC駆動機構30を高精度の旋盤として活用することができる。この際、第2可動部36によって、切削工具23先端に対応する加工点を中心として、切削工具23先端を鉛直旋回軸PXのまわりに適宜回転させることができ、ワークWの被加工点に対して切削工具23先端を所望の姿勢(傾き)に設定することができる。
【0066】
振動子駆動装置(駆動装置ともいう)50は、振動切削ユニット20に内蔵された振動源に電力を供給するためのものであり、内蔵する発振回路やPLL回路によって、ツール部21先端を主制御装置70の制御下で所望の振動数及び振幅で振動させることができる。なお、詳細は後述するが、ツール部21先端は、軸(すなわち切り込み深さ方向に延びる工具軸)に垂直な撓み振動や軸に沿った軸方向振動が可能になっており、その2次元的な振動や3次元的な振動によってワークW表面にツール部21先端すなわち切削工具23を向けた微細で効率的な加工が可能になっている。
【0067】
ガス供給装置60は、振動切削ユニット20を冷却するためのものであり、加圧された乾燥空気を供給するガス状流体源61と、ガス状流体源61からの加圧乾燥空気を通過させることによってその温度を調節する温度調整手段としての温度調節部63と、温度調節部63を通過した加圧乾燥空気の流量調節を行う流量調整手段としての流量調節部65とを備える。ここで、ガス状流体源61は、例えば熱的工程やデシケータ等を利用した乾燥機に空気を送り込むことによって空気を乾燥させ、コンプレッサで乾燥空気を所望の気圧まで昇圧させる。また、温度調節部63は、図示を省略するが、例えば冷媒を周囲に循環させた流路と、この流路の途中に設けた温度センサとを有し、冷媒の温度や供給量の調節によって、流路に通した加圧乾燥空気を所望の温度に調節することができる。さらに、流量調節部65は、例えばバルブやフローコントローラ(不図示)を有し、温度調節された加圧乾燥空気を振動切削ユニット20に供給する際の流量を調節することができるようになっている。
【0068】
図2は、振動切削ユニット20の構造を説明する断面図である。振動切削ユニット20は、切削工具23と、振動体82と、軸方向振動子83と、撓み振動子84と、カウンタバランス85と、筐体86とを備える。
【0069】
ここで、切削工具23は、振動体82の先端側であるツール部21の先端部21aに埋め込むように固定されている。切削工具23は、後に詳述するが、先端のダイヤモンドチップの切刃23cと、シャンク23bとから構成されており、共振状態とされた振動体82の開放端として振動体82とともに振動する。つまり、切削工具23は、振動体82の軸方向振動に伴ってZ方向に変位する振動を生じ、振動体82の撓み振動に伴ってY軸方向(或いはX軸方向)に変位する振動を生じる。結果的に、切削工具23の先端は、例えば誇張して図示したような楕円軌道EOを描いて高速変位する。
【0070】
振動体82は、線膨張係数が6×10-6以下の材料によって形成されており、具体的には、窒化珪素、サイアロン、超硬、インバー材、ステンレスインバー材等が好適に用いられる。振動体82は、先端側のツール部21で外径が細くなっており、根元側で外径が太くなっている。振動体82の側面の適当な箇所には、板状部分である第1固定フランジ87が形成されており、振動体82は、第1固定フランジ87を介して筐体86に例えばネジ93で固定されている。なお、振動体82は、軸方向振動子83によって振動し、Z方向に局所的に変位する定在波が形成されている共振状態となる。また、振動体82は、撓み振動子84によって振動し、Y軸方向(或いはX軸方向)に局所的に変位する定在波が形成されている共振状態となる。ここで、第1固定フランジ87の位置は、振動体82にとって、軸方向振動と撓み振動とに共通の節となっており、第1固定フランジ87を介して振動体82を固定することにより、軸方向振動や撓み振動が妨げられることを防止できる。
【0071】
図3に、第1固定フランジ87の形状を例示する。図3(a)に示す第1固定フランジ87は、完全な円板状の固定部材であり、外周部分が図2の筐体86に固定されて筐体86を封止しており、通気のない構造となっている。図3(b)に示す第1固定フランジ87は、複数の開口87aを有する固定部材であり、外周部分を図2の筐体86に固定しても、筐体86内外の通気がある程度確保できるようになっている。図3(c)に示す第1固定フランジ87は、例えば等角度で3方向に延びる支持部材87bを有する固定部材であり、支持部材87b先端を図2の筐体86に固定しても、筐体86内外の十分な通気が確保できるようになっている。
【0072】
図2において、軸方向振動子83は、ピエゾ素子(PZT)や超磁歪素子等で形成され振動体82の根元側端面に接続される駆動源であり、図示を省略するコネクタ等を介して図1の振動子駆動装置50に接続されている。軸方向振動子83は、振動子駆動装置50からの駆動信号に基づいて動作し高周波で伸縮振動することによって振動体82に縦波を与える。なお、軸方向振動子83は、Z方向に関しては変位可能になっているが、XY方向に関しては変位しないようになっている。
【0073】
撓み振動子84は、ピエゾ素子や超磁歪素子等で形成され振動体82の根元側側面に接続される振動源であり、図示を省略するコネクタ等を介して図1の振動子駆動装置50に接続されている。撓み振動子84は、振動子駆動装置50からの駆動信号に基づいて動作し、高周波で振動することによって振動体82に横波すなわち図示の例ではY方向の振動を与える。
【0074】
カウンタバランス85は、軸方向振動子83を挟んで振動体82の反対側に接続される。カウンタバランス85の側面の適当な箇所には、第2固定フランジ88が形成されており、カウンタバランス85は、第2固定フランジ88を介して筐体86に固定されている。第2固定フランジ88の形状は、図3に示す第1固定フランジ87と同様のものとなっている。なお、カウンタバランス85は、軸方向振動子83によって振動し、Z方向に局所的に変位する定在波が形成されている共振状態となる。ここで、第2固定フランジ88の位置は、カウンタバランス85にとって、軸方向振動の節となっており、第2固定フランジ88を介して固定することにより、振動体82の軸方向振動が妨げられることを防止できる。なお、カウンタバランス85も、振動体82と同一の材料で形成されている。
【0075】
筐体86は、円柱状の内部空間を有する部材であり、第1及び第2固定フランジ87、88を介して振動体82やカウンタバランス85を支持固定する部分である。筐体86の一端には、開口を塞ぐように上述の第1固定フランジ87が取り付けられており、他端には、端面の開口に連結された給気パイプ92が設けられている。この給気パイプ92は、図1のガス供給装置60に連結されており、所望の流量及び温度に設定された加圧乾燥空気が供給される。
【0076】
以上の振動切削ユニット20において、振動体82と、軸方向振動子83と、カウンタバランス85とは、互いにロウ付けによって接合・固定されており、軸方向振動子83の効率的な振動が可能になっている。また、振動体82と、軸方向振動子83と、カウンタバランス85との軸心には、これらの接合面を横切るようにこれらを貫通する貫通孔91が形成されており、給気パイプ92からの加圧乾燥空気が流通する。つまり、貫通孔91は、加圧乾燥空気を送り出す供給路であり、ガス供給装置60や給気パイプ92とともに、振動切削ユニット20を内部から冷却するための冷却手段を構成する。貫通孔91の先端部は、切削工具23を差し込んで固定するための保持孔に兼用されており、貫通孔91に導入された加圧乾燥空気を切削工具23の周辺に供給できるようになっている。また、貫通孔91の先端は、切削工具23を固定した場合にも隙間を残しており、切削工具23に隣接して形成された開口91aからは、加圧乾燥空気が高速で噴射され、切削工具23先端の加工点を効率良く冷却することができるだけでなく、加工点やその周囲に付着する切り屑を気流によって確実に除去することができる。
【0077】
図4(a)は、図2に示すツール部21先端の側面図であり、図4(b)は、ツール部21先端の平面図である。
【0078】
図からも明らかなように、ツール部21に設けた先端部21aは、テーパ状の先細形状を有しており、切込み深さ方向に延びる工具軸AXのまわりに回転対称な截頭円錐形状を有する。また、先端部21aの先端に保持された切削工具23は、先端が三角で全体が板状のシャンク23bと、シャンク23bの尖端に固定された加工用チップ23cとを備える。このうち、シャンク23bは、窒化珪素セラミック等によって形成されており、軽量でありながら撓みにくく、振動に有利な構成となっている。また、加工用チップ23cは、ダイヤモンド製のチップであり、シャンク23bの先端に活性金属法によるロウ付け等によって固定されている。切削工具23自体は、先端部21aの端面21dに埋め込むようにして固定されており、加工用チップ23cの尖端は、工具軸AXの延長上に配置されている。また、加工用チップ23cやこれを支持するシャンク23bは、先端部21aの側面形状を延長した円錐状の空間内に収まっている。ここで、先端部21aのテーパ角θは、15°〜90°の範囲となっており、好ましくは30°〜90°の範囲とする。テーパ角θが15°以上の場合、先端部21aの曲げ強度等が確保され、特に30°以上で十分な強度が確保される。また、テーパ角θが15°以上の場合、先端部21a近傍で振動モードが変化する傾向を抑制でき、切削工具23による切削加工精度が、特に30°以上で意図しない振動を回避して効果的に向上する傾向が生じる。一方、先端部21aのテーパ角θが90°以下の場合、先端部21aがワークWの被加工面SAと干渉し難くなるので、加工形状の任意性が高まる。
【0079】
切削工具23すなわちシャンク23bの固定部分23eは、先端部21aの端面21dから工具軸AXに沿って穿設された孔21f内に挿入されており、ツール部21の材料と同一の材料等で形成された2つの固定ネジ25、26によって、先端部21aに対して着脱可能にしっかりと固定されている。具体的には、先端部21aの上下側面問を貫通する固定穴21h、21gに固定ネジ25、26を順次ねじ込んで固定する。これらの固定穴21h、21gは、例えばY軸方向に延びており、両者の締付け方向は、工具軸AXに直交する。両固定穴21h、21gは、内径が異なっており、固定穴21gの内径の方が固定穴21hの内径よりも大きくなっている。両固定穴21h、21gは、両固定ネジ25、26のネジ付けによって充填される。つまり、固定穴21h、21gの位置には、深い凹部が残ったり高い凸部が形成されないようにしている。固定穴21hにねじ込まれる一方の固定ネジ25は、切削工具23を固定するための締結部材であり、雄ネジ部25bとへッド部25aとを含むトルクスネジである。雄ネジ部25bを固定穴21gに差し込んだ状態でヘッド部25aを適当な工具でネジ回すことにより、雄ネジ部25bが、固定部分23eに形成された開口23hを貫通して、固定穴21gの奥に形成された固定穴21h内面の雌ネジと螺合する。この際、切削工具23の固定部分23eがヘッド部25aと孔21fの内面とに挟まれて締付けられ、固定部分23eが上面側から固定されるので、切削工具23の分離が防止され切削工具23の固定が確保される。固定穴21gにねじ込まれる他方の固定ネジ26は、先端部に直径が減少した突起部分を有するイモネジであり、固定ネジ25の抜けを防止するための係止部材として機能する。この固定ネジ26は、下端を固定穴21gにあてがって上端を適当な工具でネジ回すことにより、固定穴21g内面の雌ネジと螺合して固定穴21gにねじ込まれ固定穴21g内を充填する。こうしてねじ込まれた固定ネジ26の突起部分により、固定ネジ25が上端から締付けられ、固定ネジ25の緩みが防止されるので、切削工具23の固定がより確実なものとなり、切削工具23の振動や緩みを低減することができる。
【0080】
切削工具23を振動体82の先端部21aに固定するための固定ネジ25、26は、振動体82と同様の線膨張係数を有する材料を用いることが望ましい。具体的には、その他の加工条件にも依存するが、振動体82の線膨張係数の0.75〜1.25倍程度が実用的である。この場合、ツール部21と固定ネジ25、26とが同様に膨張することになり、温度変化に拘らず切削工具23を安定して確実に固定することができる。さらに、固定ネジ25、26の材料としては、加工の容易性等を考慮すると、シャンク23bと同様に超硬材料の他、セラミックス材料、ハイス鋼等が適するが、窒化珪素、サイアロン、インバー材、ステンレスインバー材等を用いることもできる。また、固定ネジ25、26は、振動体82の振動にノイズ等を与えない観点で、振動体82の材料の密度と略等しい密度を有する材料で形成することが望ましい。具体的には、その他の加工条件にも依存するが、振動体82の密度の0.75〜1.25倍程度が実用的である。一般的には、固定ネジ25、26と振動体82とを同一材料で作製することになるが、固定ネジ25、26と振動体82とを異なる材料で形成することもできる。
【0081】
切削工具23の固定部分23eが挿入される孔21fの内寸は、Y軸方向の厚みに関して、切削工具23の固定部分23eの外寸より僅かに大きくなっている。また、孔21fの内壁のうち切削工具23の固定部分23eを支持していない側には、貫通孔91をそのまま延長した状態の半円柱状の溝21kが形成されている。この溝21kの端部は、貫通孔91から送り出される加圧乾燥空気をツール部21の先端部21aに吐出させるための開口91aとなっている。これにより、切削工具23の上側側面を、先端部21aに埋め込まれて支持された固定部分23e側から直接的に無駄なく冷却することができる。また、ワークW上の加工点に近い開口91aから切削工具23の先端に向けて加圧乾燥空気を射出させるので、ワークWの温度上昇を抑え、加工精度を向上させることができる。また、溝21k内の気流断面は、貫通孔91内の気流断面よりも小さくなっており、溝21kの部分で加圧乾燥空気の流速を増加させることができる。この結果、ワークW上の加工点に十分な勢いの加圧乾燥空気を噴射することができるので、ワークWを確実に冷却することができ、ワークWの加工点やその近傍に付着する切り屑を迅速に除去することができ、切削工具23による加工精度を高めることができる。
【0082】
ツール部21の先端部21aは、切削加工中に、例えばYZ面内で1kHz以上の周波数で高速振動する。また、ツール部21の先端部21aは、図1のNC駆動機構30によって、被加工体であるワークWに対し、例えばXZ面内で所定の軌跡を描いて徐々に移動する。つまり、ツール部21の送り動作が行われる。また、被加工体であるワークWは、図1のNC駆動機構30によって、Z軸に平行な回転軸RAのまわりに一定速度で回転する(図4参照)。これにより、ワークWの旋削加工が可能になり、ワークWに対し回転軸RAのまわりに回転対称な例えば被加工面SA(例えば、凹凸の球面、非球面等の曲面のほか、位相素子面等の段差面)を形成することができる。この際、第2ステージ33を利用して、ツール部21の切削工具23の尖端(つまり刃先23r)をY軸方向に平行な旋回軸PXのまわりに回転させることで、図5に示すように、切削工具23先端の振動面OSがワークWに形成すべき被加工面SAに対して略垂直になるようにする。これにより、被加工面SAの加工精度を高め、被加工面SAをより滑らかなものとすることができる。また、ワークWの加工中、ツール部21先端の開口91aから切削工具23の先端に向けて加圧乾燥空気を高速で射出させるので、切削工具23や被加工面SAを効率良く冷却することができるだけでなく、切削工具23や被加工面SAの温度を加圧乾燥空気の温度と流量とによって一定範囲に収まるようにすることも可能である。この加圧乾燥空気は、ツール部21の軸心を貫通する貫通孔91を介して導入され、振動体82、軸方向振動子83、カウンタバランス85等の内部を流れるので、振動体82等の温度を加圧乾燥空気の温度と流量とによって調整することができる。このように、加圧乾燥空気の温度を調整することにより、振動体82の温度を安定させることができるので、結果的に、その先端に保持された切削工具23の刃先位置の温度ドリフトを低減することができ、高精度で再現性の高い切削加工面が得られる。
【0083】
以上において、加圧乾燥空気によって振動子83、84や振動体82を冷却しているが、乾燥空気は、安価で容易に入手・供給でき、かつ漏電等の原因となる水分が無いので、安全である。乾燥状態としては、相対湿度で10%以下が、結露の危険を避けられるので好ましい。また、切削油をミスト状にして加圧乾燥空気と混合して供給すると、熱容量が大きくなるのでさらに冷却効果を高められ、加工点における工具刃先摩耗も低減できるので都合が良い。
【0084】
本実施の形態によれば、切削工具23のシャンク23bを、密度が1以上6.2以下であり、ヤング率が250GPa以上であり、線膨張係数が5×10-6以下である材料を用いて形成したので、1kHz以上の周波数で切削工具23を高速駆動する振動切削加工に用いた場合に、軽量で高剛性を有することから、高い周波数に追従でき、高精度で高効率の切削加工を行うことができる。このような切削工具を用いて振動切削加工された成形転写面を有する光学素子成形用金型を用いることで、高精度な光学面を有する光学素子を成形できる。
【0085】
(実施例1)
図6は、本発明者が行った試験に用いた切削加工装置である超精密加工機の斜視図である。図6において、不図示の制御装置によってX軸方向に駆動されるX軸テーブル2が、台座1上に配置されている。X軸テーブル2上には、旋回テーブル2aが載置され、その上に図7に示すダイアモンド工具23が取り付けられている。又、不図示の制御装置によってZ軸方向に駆動されるZ軸テーブル4が、台座1上に配置されている。Z軸テーブル4上には、不図示の制御装置によって回転駆動される主軸(旋回軸)5が取り付けられている。主軸5は、加工すべき転写光学面を有する光学素子成形用型(図6で不図示)を取り付け可能となっている。切削工具であるダイアモンド工具23は、X軸テーブル2上に、振動切削ユニット20を介して支持されている。ダイヤモンド工具23を含む振動切削ユニット20は、図2に示すものと同様である。
【0086】
本発明者は、光学面成形用の金型を製作した。まず前加工として、被加工物Wには、Co含有の超硬材料で、これに汎用研削加工機により荒取り研削加工を行って、光学面の近似形状を創製し、さらにより精密な軸動作をする研削加工機により非球面光学面形状を、形状誤差1μmで創製した。
【0087】
仕上げの切削加工には、図6に示す主軸5を有する軸分解能1nmの超精密加工機を用いた。被加工物Wは、Z軸スライダ上の主軸5に取り付けられて回転保持され、振動切削ユニット20はX軸テーブル2上の旋回工具台2aに取り付けられて、40kHzの周波数で振動体のたわみ振動と軸振動を同期して共振させ、切り込み方向振幅2μm、これと垂直な方向の振幅3μmの楕円振動をダイアモンド工具23に与えている。
【0088】
被加工物Wは、旋削により楕円振動切削されるが、ダイアモンド工具23の工具刃先は、旋回工具台2aにより常に加工面(成形光学面)に対して垂直を維持するように向きを変えるので、楕円振動面は常に加工面に垂直となり、低背分力や切り屑のすくい出し、深い臨界切り込み量等の楕円振動切削の効果が、転写光学面の最外周から中心まで維持されて切削加工が進行する。
【0089】
成形光学面として仕上げる非球面加工形状は、凹面で中心曲率半径が1.8mm、有効径3.8mmで最外周における成形光学面の法線角は68.4°と非常に深い形状である。そのため、ダイアモンド工具23のシャンクの頂角は、35°と狭くして細長い形状とし、加工中の干渉が無いようにした。
【0090】
振動切削ユニット20の先端に取り付けたダイアモンド工具23は、人造ダイアモンドチップで切れ刃のすくい面形状が円弧のRバイトである。その円弧半径は0.8mmである。シャンクについては、従来の超硬にロー付けしたものと、本発明である窒化珪素シャンクにAg−Cu−Tiの活性ロー材料を真空中で拡散接合したものを用意した。
【0091】
まず、従来の超硬シャンクの人造ダイアモンドRバイトにより、被加工物Wの成形光学面を、最外周から切り込み量1μmで切削を開始した。楕円振動切削を用いない場合は、臨界切り込み量が0.1μm未満であるから、10倍の効率で切削する加工条件である。最外周から1mmまで切削工具を送ったところで、突然ダイアモンドチップが消失して加工ができなくなった。慎重に探した結果、人造ダイアモンドチップが工具台の下のベース面上に落ちており、シャンクから剥離したことがわかった。また、この剥離面を観察した結果、ロー付けに用いたロー材料が接合面全体にまわっておらず、中心部に空隙があったことが確認された。更に、外周部だけであるが切削加工面を観察した結果、径方向に無数のスジ模様が見られ、微小なビビリが発生していたことがわかり、この模様の間隔からビピリ振動は16kHz程度と判読された。一応、切削加工面は、鏡面となっているが、平均表面粗さRaで10nmと良好な光学面ではなかった。
【0092】
シャンク材料は超硬のため、そのヤング率は550GPaと決して小さくないので、このシャンク材料によってビビリ振動が発生したとは考え難い。これは、シャンク重量が大きいため、設定より実際の楕円振動の振幅が小さくなっていて、切削開始時点から切削負荷が低減されていない中で、切削加工が進行するにつれて超音波振動によるシャンクと振動体との摩擦熱によりシャンクが熱膨張し、切り込み量が増加して切削負荷がさらに急増しビビリを発生したと推論づけることができる。人造ダイアモンドチップが剥離したのは、もともと大気中で行われる通常の銀ロー付けであったため、接合面全体がロー材料で濡れておらす不完全であったことで、急増した切削負荷に耐えきれず、剥離したと思われる。
【0093】
次に、窒化珪素のシャンク材料に人造ダイアモンドチップを活性金属法で接合した全く同じ形状の切削工具によって、同じ条件で切削を行った。その結果、成形転写面の最外周から中心まで問題なく切削加工が進行した。さらに、加工創製された非球面光学面形状を測定して誤差分を補正する加工を1度行って仕上げたところ、形状精度は80nmPV、平均表面粗さRa2.3nmであり、全く問題がみられなかった。
【0094】
さらに、同じ切削工具により同じ形状の超硬型6面について続けて楕円振動切削を行ったが、2つ目以降は補正量を予め見込んで加工したため、1回の仕上げ加工で75〜90nmPVの形状誤差と平均表面粗さRa2.2〜2.6nmが再現性良く得られた。かかる場合、ビビリ振動も見られず非常に安定した切削加工が実現しており、通常の10倍という切り込み量であり、しかも超硬材の7面以上を加工できる工具寿命を有するほど、楕円振動切削の特徴が発揮されて、本発明の優位性が明らかとなった。
【0095】
(実施例2)
実施例1と同じように形状誤差1μm以下で荒取り加工を行った、CVD−SiC材料による光学面成形型の仕上げ加工を、同じ超精密加工機を用いて旋削で行った。
【0096】
成形光学面として仕上げる非球面光学面形状は、中心曲率半径1.2mm、光学面有効径2.5mm、最外周での光学面の法線角は68.4度の深い凹面である。更に、成形光学面には回折溝として、深さ1.56μmのブレーズ形状の段差を40個設けてある。
【0097】
使用した切削工具は、頂角25度の剣先形状の刃先を有する、単結晶ダイアモンドチップを高速度鋼に銀ロー付けしたものと、同じ刃先形状の単結晶ダイアモンドチップをサイアロンのシャンクにAg‐Cu‐Tiのロー材料で活性金属法により接合したものを用意した。
【0098】
CVD−SiC材料は、極めて硬度が高く(HV2200)、しかも破壊じん性値が3.5MN/m3/2と小さいので、臨界切り込み量が非常に小さくて(<0.03μm)容易に欠けやすい、最も光学面切削加工が難しい材料である。つまり、通常の切削加工では、成形光学面を創製することは極めて困難な材料である。
【0099】
X軸テーブル2上の旋回軸に取り付けた工具台2aの振動切削ユニット20について、切り込み方向の振幅を1μm、これと垂直な方向に2μmの振幅を与えて、切り込み量0.5μmの楕円振動切削を行った。
【0100】
最初にサイアロン製のシャンクを有する単結晶ダイアモンド工具を切削工具として、外周より切削加工を開始した。1回の切り込み量よりも回折溝の段差が3倍以上深いので、4回切削加工して仕上けた。切削加工は最後まで完了し、形状誤差67nmPV、平均表面粗さRa2.6nmの良好な光学鏡面が得られた。
【0101】
更に、ブレーズ溝の段差部を詳細に評価したところ、工具刃先の形状がそのまま転写される段差の最も底の部分が、0.3μm程の凹円弧形状となっていた。この部分が鋭角形状となっていないことで回折効率が1%程度落ちる可能性はあるが、実用上は問題ない加工結果であった。
【0102】
従来では平滑な光学面でさえも全く切削加工ができないと思われていたCVD−SiC材料で、0.5μmもの切り込み量で、鋭利な刃先により段差形状が創製できたことは、特筆すべきである。
【0103】
続いて、高速度鋼製のシャンクを有する単結晶ダイアモンド工具を切削工具として用いて、全く同じ条件で同じ光学面形状を振動切削加工した。加工すべき成形光学面の外周部に刃先が触れた時点で刃先先端が折損し、加工が不可能であった。これは、高速度鋼製のシャンク剛性が低いため、切削負荷により楕円振動が刃先で実現できなかったものと推論できる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】レンズ等の光学素子を成形するための光学素子用成形金型の成形光学面を加工する切削加工装置の構造を概念的に説明するブロック図である。
【図2】振動切削ユニット20の構造を説明する断面図である。
【図3】第1固定フランジ87の形状を例示する図である。
【図4】図4(a)は、図2に示すツール部21先端の側面図であり、図4(b)は、ツール部21先端の平面図である。
【図5】切削工具23のすくい面でワークWを加工している状態を示す図である。
【図6】実施例に用いた超精密加工機の斜視図である。
【図7】実施例に用いた切削工具の上面図(a)及び側面図(b)である。
【符号の説明】
【0105】
10 切削加工装置
20 振動切削ユニット
21 ツール部
21a 先端部
21d 端面
21f 孔
21g 固定穴
21h 固定穴
21k 半円柱状の溝
23 切削工具
23b シャンク
23c 切刃
23c 加工用チップ
23e 固定部分
23h 開口
23r 刃先
25 固定ネジ
25a ヘッド部
25b 雄ネジ部
26 固定ネジ
30 駆動機構
31 台座
32 第1ステージ
33 第2ステージ
35 第1可動部
36 第2可動部
37 チャック
40 駆動制御装置
50 振動子駆動装置
60 ガス供給装置
61 ガス状流体源
63 温度調節部
65 流量調節部
70 主制御装置
82 振動体
83 振動子
84 振動子
85 カウンタバランス
86 筐体
87 固定フランジ
87a 開口
87b 支持部材
88 固定フランジ
91 貫通孔
91a 開口
92 給気パイプ
93 ネジ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
1kHz以上の周波数で切削工具を振動させながら切削する加工に用いる切削工具であって、
切れ刃を有するチップと、それを保持するシャンクとを有し、前記シャンクを、密度が1以上6.2以下であり、ヤング率が250GPa以上である材料を用いて形成したことを特徴とする切削工具。
【請求項2】
前記シャンクの材料の線膨張係数は、5×10-6以下であることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
【請求項3】
前記シャンクの材料は、窒化珪素を主成分とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の切削工具。
【請求項4】
前記チップが有する切れ刃は、ダイヤモンドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の切削工具。
【請求項5】
前記チップが有する切れ刃は、窒化ボロンを98重量%以上含む材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の切削工具。
【請求項6】
前記切れ刃を有するチップを活性金属法により前記シャンクに固定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の切削工具。
【請求項7】
前記チップが有する切れ刃の刃先形状は、剣先形状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の切削工具。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の切削工具を1kHz以上の周波数で振動させながら切削することを特徴とする切削加工方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の切削工具と、前記切削工具を1kHz以上の周波数で振動させることができる駆動装置とを有することを特徴とする切削加工装置。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載の切削工具を1kHz以上の周波数で振動させながら切削することにより加工された成形光学面を有することを特徴とする光学素子成形用金型。
【請求項11】
請求項10に記載の光学素子成形用金型を用いて成形されたことを特徴とする光学素子。
【請求項12】
請求項9に記載の切削加工装置を用いて、光学素子成形用金型の成形光学面を切削することを特徴とする光学素子成形用金型の切削加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−334732(P2006−334732A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163165(P2005−163165)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.トルクス
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】