説明

刈払機

【課題】本発明の目的は、回転刃及びヘッド部材の横振れを防止して刈払のための移動操作を容易にして、刈払物の巻き込みによる滞積を防止することで、利用者が長時間継続して刈払作業を行うことのできる刈払機を提供する。
【解決手段】回転刃保護部材が、回転軸に軸受を介して係止された係止部材、回転刃の底部側で、操作部材の長手方向に延びるそり部形状とされ、係止部材に装置された複数のそり部材から構成され、1つのそり部材を前記操作部材に接続する接続部材が、操作部材の側方に回転刃から離間して配設されて、そり部材のそり部形状の操作部材側の一端にそり部形状に沿った形状でもって接続され、操作部材側に延び、ヘッド部材から所定の距離を置いた位置で操作部材に連結されること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雑草等の刈払いに用いる刈払機に関し、特に、刈払機の回転刃の中央部への刈払物の巻込みを防止できる刈払機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刈払機は、エンジン等の駆動源による駆動力を伝達する部材を内蔵する操作部材の一端にヘッド部材を取付け、このヘッド部材へ中央に回転軸を有する回転刃を回転可能に取付け、操作部材の他端をエンジンに接続し、エンジンによる駆動力により回転刃を高速回転させる構成となって
いる。この回転刃には、外周に複数の切刃が設けられており、回転刃を高速回転させて左右に揺り動かすことで雑草等の刈払対象物を容易に刈払うことができる。
【0003】
また、この刈払機は、操作部材にループハンドル、ツーグリップハンドル又は両手ハンドル等の取っ手を備え、操作部材またはハンドルのグリップにスロットルレバーが設けられる。そして、利用者がハンドルを持って操作部材の上下又は左右の姿勢を調整し、スロットルレバーの操作をすることで、回転刃の回転及び停止を制御できる構成となっている。
【0004】
このように高速回転する回転刃を有する刈払機に共通する問題として、主に、回転刃にて雑草等を刈り払った際に、この刈払物がヘッド部材、即ち回転刃の中央部に巻込まれて絡まってしまい、回転刃の回転が変動したり停止したりする問題があった。
【0005】
また、他の問題として、例えば刈払作業中に刈払物対象外のコンクリート等の硬い障害物に誤って回転刃を接触させて破損させてしまったり、回転刃が底面の地面や石等と接触して衝撃や耳障りな接触音を発生してしまったりして、作業性を低下したりする問題があった。また、上述の刈払機は、刈払対象物を刈払う箇所の高さを一定に保ちたい場合に、利用者が地面から回転刃までの高さを常に保持する必要があり、特に刈払対象物が斜面にある場合に利用者に負担となり、長時間の作業が困難となる問題があった。
【0006】
これら問題を解決するために、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、回転する草刈り刃を先端に備えた草刈り機に取付けられる草寄せ具であり、草刈り刃により切断された切断草を受止めて草刈り機の揺動刈り取り操作に伴って草寄せするようにし、草寄せ具の本体を草刈り刃の上方において横架する棒状体にて形成した寄せ具本体に凸又は凹状の草掛け部を形成した草刈り機が提案されている。
【0007】
この発明によれば、草刈り機の草刈り刃によって刈られて飛散される草は草寄せ具にて受止め、切断された草を効率的に一方に寄せることができので、この草寄せ具が障害物となって刈払物の回転刃の中央部への巻込みを防止することができる。
【0008】
また、上述の他の問題を解決するものとして、特許文献2には、外周に刃部を備えた回転刃が回動自在に支持される支持体を、操作部材を介してエンジンに連結して設けた揺動式草刈機において、回転刃の両側面に支持体を地表面に活動自在に保持するためのそり部を設けた揺動式草刈機が提案されている。
【0009】
この発明によれば、そり部により回転刃の両側面を保護することができ、かつ地面から回転刃までの高さを一定に保持することができるので、利用者への負担を低減することができる。
【0010】
更に、特許文献3には、ハンドルシャフトの先端部に回転駆動される刈払刃が回動自在に設けられた刈払機に用いる刈払機用ガイド部の取付構造であって、刈払刃の下面側にガイド部を取り付け、このガイド部を刈払刃が装着される回転軸に対して軸受を介して相対的に回動自在に設ける刈払機用ガイド部の取付構造を刈払機に適用することが提案されている。
【0011】
この発明によれば、ガイド部を設けたことにより、草刈作業中に刈払刃が地面や石等との接触による衝撃や耳障りな接触音が発生することを低減することができ、かつ回動自在のガイド部を地面に接触させることによって、利用者が刈払刃を左右に滑らかに揺動させて作業をすることができ、利用者への負担を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実開平02−134821号公報
【特許文献2】特開2003−143919号公報
【特許文献3】特開2008−182964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1記載の発明では、そり部を用いているが、提案の構造では刈払物の巻き込みによる滞積を防止することは困難である。
【0014】
上記の特許文献2あるいは特許文献3記載の発明では、刈払物の長さがヘッド部材の外周よりも長い場合に、このヘッド部材の外周部即ち回転刃の中央部に刈払物が巻込まれて回転刃の回転が停止する等の不具合が生じる問題が依然としてあった。これにより、巻込まれた刈払物の除去のため作業を一時中止する必要が生じてしまい、作業性が著しく低下してしまう問題があった。また、特許文献2記載の発明では、雑草等の刈払いの状況に応じて、草寄せ具の着脱を切換える必要があり、これによっても作業性を低下してしまう問題があった。
【0015】
本発明の目的は、回転刃及びヘッド部材の横振れを防止して刈払のための移動操作を容易にして、刈払物の巻き込みによる滞積を防止することで、利用者が長時間継続して刈払作業を行うことのできる刈払機を提供することにある。
【0016】
本発明の目的は、また、回転刃を外部の障害物から保護することができて、刈払機の回転刃の中央部への刈払物の巻込みを容易に防止できる刈払機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の刈払機は、操作部材と、該操作部材の一端に設けられるヘッド部材と、該操作部材の他端に設けられる駆動源と、前記ヘッド部材の底部に設けた回転軸に回転可能に接続される回転刃と、該回転刃の底部側に設けられる回転刃保護部材とから構成され、前記ヘッド部材は前記操作部材を前記回転刃の上部表面に対して所定の仰角を形成して回転刃に接続するように構成され、前記回転刃は前記駆動源による駆動力により回転駆動される刈払機において、
前記回転刃保護部材が、前記回転軸に軸受を介して係止された係止部材、前記回転刃の底部側で、前記操作部材の長手方向に延びるそり部形状とされ、該係止部材に装着された複数のそり部材から構成され、
1つのそり部材を前記操作部材に接続する接続部材が、前記操作部材の側方に前記回転刃から離間して配設されて、該そり部材のそり部形状の操作部材側の一端に該そり部形状に沿った形状でもって接続され、前記操作部材側に延び、前記ヘッド部材から所定の距離を置いた位置で前記操作部材に連結されること
を特徴としている。
【0018】
本発明の刈払機は、また、前記回転刃の底部側で、前記係止部材に装着された縦突出部、横突出部及び円筒部からなる保持部底部もしくは円盤状の保持底部もしくは円盤状の保持底部を備えることを特徴としている。
【0019】
本発明の刈払機は、また、前記接続部材が、前記操作部材の1側方のみに、L字形状を有して配設され、該L字形状の一端が前記操作部材に連結されることを特徴としている。
【0020】
本発明の刈払機は、また、複数のそり部材の内の最外側に配置された外側そり部材が、前記回転刃の外径の近傍に配置され、前記接続部材が、該外側そり部材の操作部材側の一端に接続されることを特徴としている。
【0021】
本発明の刈払機は、また、最外側に配置された外側そり部材は、その外側面が前記回転刃の外径よりも外側に位置し、その内側面が前記回転刃の外径よりも内側に位置するように配置されることを特徴としている。
【0022】
本発明の刈払機は、また、複数のそり部材の内の内側に配置された内側そり部材が、前記回転刃の外径よりも内側に位置するように配置されて、前記操作部材の長手方向に延びるそり部形状とされ、先端そり部が回転刃の外径よりも内側あるいは外側にある形状とされ、前記接続部材が、該内側そり部材の操作部材側の一端に接続されることを特徴としている。
【0023】
本発明の刈払機は、また、前記操作部材に刈払物巻込防止部材が設けられ、前記ヘッド部材に他の刈払物巻込防止部材が設けられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明の刈払機は、上述のように構成しているので、回転刃及びヘッド部材の横振れをそり部材によって防止し、刈払いのための移動操作を容易にして、刈払物の巻き込みによる滞積を防止することで、利用者が長時間継続して刈払作業を行うことができる刈払機を提供することができる。また、回転刃を外部の障害物から保護することができて、刈払物が回転刃の中央部に巻込むことを容易に防止でき、利用者による作業性の低下を防ぐことができる。また、利用者が地面から回転刃までの高さを容易に一定に保持できるため、利用者による長時間作業による疲労を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例である刈払機の外観を示す概略斜視図。
【図2】本発明の実施例である刈払機の縦断面図。
【図3】本発明の実施例である刈払機の概略底面図。
【図4】図2の刈払機の概略側面図。
【図5】本発明の他の実施例である刈払機の概略底面図。
【図6】本発明の更に他の実施例である刈払機の概略底面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例である刈払機を図面に基づいて説明する。但し、本実施例の刈払機に適用する駆動源の構成および操作部材の詳細構成については、従来構成を用いるものとして図示せずに説明する。
【実施例1】
【0027】
図1は、本発明の実施例である刈払機100について、その外観を示す。また、この刈払機100の縦断面図、側面図、底面図を図2、図3、図4にそれぞれ示す。
【0028】
本発明の実施例における刈払機100は、図1に示すように、操作部材1と、この操作部材1の一端に設けられるヘッド部材2と、操作部材1の他端に設けられる図示しない駆動源と、ヘッド部材2の底部2Aで回転可能に設けられる回転刃3と、この回転刃3の底部に設けられる回転刃保護部材4とから構成される。
【0029】
また、ヘッド部材2は、操作部材1を回転刃3の上部表面3Bに対して所定の仰角5を形成して回転刃3に接続するように構成され、回転刃3は駆動源による駆動力により回転駆動される構成となっている。
【0030】
更に、図1に示すように、回転刃保護部材4が、回転軸30に軸受35を介して係止された係止部材37、38、回転刃3の底部側で、係止部材37、38に装着された複数のそり部材40、45から構成される。ここでは複数のそり部材40、45の内、外側に配置されたそり部材を外側そり部材、内側に配置されたそり部材を内側そり部材と称し、最外側のそり部材を指すときには、最外側そり部材と称するが、内側そり部材が設けられない場合もありあり得る。回転刃保護部材4には、両端にそり部4Aを有する外側そり部材40が設けられており、これらそり部4Aの一つは、その操作部材側の一端にそり部4Aの形状に沿った形状で、操作部材側に延び、そり部4Aよりも回転刃3側あるいは操作部材側に傾斜した突出部51が設けられている。そして、この突出部51の一端とL字形状である接続部52の一端はヘッド部材2から所定の距離を置いた位置の結合部53にて連結されており、更に接続部材52の他端と操作部材1はヘッド部材2から隔離した位置にある結合部54にて連結される構成となっている。この構成によって、突出部51、接続部52及び結合部53、54によって接続部材50が構成され、この接続部材50は、回転刃3及びヘッド部材3の上方のいかなる位置にも位置しないことが理解されよう。したがって、接続部材50が操作部材側に傾斜して延び、ヘッド部材2から所定の距離を置いた位置で操作部材1に連続されることで、操作部材1と回転刃3と接続部材50との間には、空間59が形成されることになることが理解されよう。この空間59の形成によって、接続部50との形状とあいまって、刈払物がこの空間に飛されることを許容することになって、刈払物が回転刃3とそり部材40、45の間にからみ、滞積することを防止することになる。
【0031】
なお、接続部52は、操作部材1の中心軸に対して平行に設けられる。これにより、利用者は接続部材5の地面に対する仰角を目視確認にて調整することにより、外側そり部材40の底部4B即ち接地部を支点として回転刃3の地面に対する仰角を調整することができる。即ち、刈払対象物の地面から刈払箇所の高さを適宜調整することができる。
【0032】
なお、これら結合部53、54には雌ねじ部若しくは貫通穴53A、54Aがそれぞれ設けられており、雄ねじ等の結合部材を結合部53、54に螺号若しくは嵌合させることにより各部材1、51、52をそれぞれ締付固定するように構成されている。
【0033】
上述の刈払機100の操作部材1と駆動源の構成について、以下詳述する。操作部材1は、棒状に細長い形状をしており、その内部には駆動源からの駆動力を伝えるための駆動伝達軸が設けられて、駆動源から回転刃3へ駆動力を伝達するように構成されている。
【0034】
また、操作部材1の中央部付近には、利用者が刈払作業時に回転刃3の挙動を操作するためのU字状のハンドルが取付けられ、このハンドルの左右両端部にそれぞれ左グリップ、右グリップが装着される。これにより、利用者は両手でハンドルを持って操作部材1を介して容易に回転刃3の上下又は左右の姿勢を調整することができる。
【0035】
また、操作部材1若しくは左右グリップには、後述する駆動源の駆動力を制御できるスロットルレバーが設けられており、このスロットルレバーの操作をすることで駆動力を制御し、回転刃3の回転数を自由に制御できるようになっている。例えば、スロットルレバーの操作により、回転刃3の回転及び停止を容易に切換えることができる。
【0036】
駆動源としては、操作部材1内に設けられた駆動伝達軸を介して回転刃3を回転駆動するためのクラッチ式内燃エンジンが操作部材1の他端の取付具を介して取り付けられて構成されている。また、このクラッチ式内燃エンジンの燃料としてはガソリンが用いられ、このため内燃エンジンには燃料タンクが付設されている。
【0037】
本実施例の刈払機100の駆動源は、このクラッチ式内燃エンジンが発生する駆動力を駆動伝達軸に伝達することにより回転刃3を回転駆動するようになっている。なお、本実施例の刈払機100の駆動源は、回転刃3を高速回転駆動でき、上述の駆動源の駆動力を制御できるスロットルレバーにより回転刃3の回転数をある程度制御できるものであれば、別の駆動源を適用できることは言うまでもない。
【0038】
次に、ヘッド部材2、回転刃3及び駆動機構部10の構成について、図2を用いて詳述する。ヘッド部材2の内部は中空構造となっており、駆動機構部10が設けられている。この駆動機構部10は操作部材1の駆動伝達部と回転刃3間とを接続して回転刃3に駆動力を伝達するように構成されている。
【0039】
また、ヘッド部材2の底部2Aは、回転刃3の上部表面3Bと略接するように設けられる。また、ヘッド部材2は、この外壁2Dを介して、操作部材1が回転刃3の上部表面3Bに対して所定の仰角5を形成するようになっている。この仰角5は、利用者である操作者の操作部材1のハンドルを持つ手の平均的高さ位置、利用者から回転刃3までの距離および操作部材1の長さを検討して、利用者が平均的に利用しやすい角度に設定される。
【0040】
この駆動機構部10は、回転軸30が回転刃3の中央に形成されている挿通孔3Dに挿通すると共に、回転刃3が挟持部材31と押付部材32及び内側ケース33の間に狭持されて回転軸30に固定して取付けられている。
【0041】
また、回転軸30には、ヘッド部材2の内部に図示しない回転動力伝達部が設けられており、回転軸30と操作部材1の駆動伝達部とは回転動力伝達部を介して連結されている。この回転動力伝達部は、例えば複数の傘歯車により構成されており、駆動伝達部による駆動力を回転軸30の回転力、即ち回転刃3の回転力に変換するように構成されている。
【0042】
また、挟持部材31は、円板状体であり、中央に形成されている雌ねじ31Aが回転軸30に形成されている雄ねじ30Aに螺合することによって回転軸30と結合されている。内側ケース33は、下向きの略カップ状体であり、中央に形成されている挿通孔33Aに回転軸30が挿通している。そして、回転軸30の先端部にはナット34が螺合されており、このナット34の締付けによって、内側ケース33を、押付部材32を介して回転刃3及び挟持部材31に押付けて、回転刃3を回転軸30に固定して取付けている。
【0043】
また、内側ケース33は、外周面に軸受35の内周面が装着されており、その内側には、ナット34が収容されている。軸受35としては、例えばラジアル玉軸受のような玉軸受が用いられる。また、挟持部材31の上部の回転軸30にも同様に玉軸受である軸受36が装着される。また、押付部材32および軸受35の外内周面には、係止部材37、38が装着されており、押付部材32および軸受35は外側に変位しないように係止部材37、38によって係止されている。
【0044】
以上により駆動機構部10が構成されており、回転刃3は、駆動機構部10の回転軸30により、挟持部材31、押付部材32、内側ケース33およびナット34を介して回動自在に構成される。即ち、回転刃3は、駆動機構部10を介してヘッド部材2の底部2Aで回動自在に設けられることとなる。
【0045】
本実施例の刈払機100に用いる回転刃3は、金属製の円板であり、この円板の外周3Cに沿って複数の凸部3Eと凹部3Fとが交互に形成され、凸部3Fには刃3Gが形成されている。このような回転刃3は、上記の刃3Gを超硬チップへ代えて用いてもよい。
【0046】
本実施例の刈払機100に用いる回転刃保護部材4は、図3に示すように、上述の係止部材38の外周面に保持部材底部が嵌合されて固定されて構成されている。また、保持部材底部は、嵌合穴41、縦突出部42、横突出部43および円筒部44で形成されている。また、嵌合穴41が上述の係止部材38の外周面に嵌合接続されて構成される。更に、係止部材38の底部には、嵌合穴41の内周面に嵌合するようにして係止蓋39がねじ締め等によって取付固定される。
【0047】
また、回転刃保護部材4は、保持部材底部の両側の円筒部44の外周近傍で、横突出部43の底部に設けられた内側そり部材45を備える。また、この内側そり部材45の両端には、回転刃3側に反ったそり部4Aがそれぞれ設けられている。また更に、横突出部42の端部、即ち内側そり部材45の外側にはそれぞれ外側そり部材40が設けられる。この外側そり部材40の両端には、上記のそり部材45同様に回転刃3側に反ったそり部4Aがそれぞれ設けられている。なお、そり部4Aの一つには、上述の通り接続部材50の突出部51が設けられている。
【0048】
また、これら縦突出部42、そり部材40、45は、操作部材1の長手方向に延びるようにそれぞれ設けられる。これは、利用者が操作部材1の押出方向即ち操作部材1の長手方向に滑らかに移動させるためである。
【0049】
更に、そり部材40、45には、図2に示すように、回転刃3と所定の高さ間隔6を置いて設けられる。また、回転保護部材4の両端に設けられた最外側のそり部4Aは、回転刃3の外径円周上を含めた回転刃3の近傍に設けられ、本願の場合、それぞれ両端の幅寸法7が回転刃の外径3Cよりも大きくなるように設けられている。すなわち、複数のそり部材40、45の内の最外側の配置された外側そり部材40が、回転用3の外径の近傍に配置され、接続部材50が、外側そり部材の部材の操作部材側の一端に接続される。そして、最外側の配置された外側そり部材40は、その外側面が回転刃3の外径よりも外側に位置し、その内側面が回転刃3の外径よりも内側に位置するように配置される。図3に示すように、内側そり部材45の操作部材側先端部は、回転刃の外径3Cよりも内側にあり、反対側先端そり部4Aは、回転刃の外径3Cの外側にある。
【0050】
本実施例の刈払機100は、更に、図4に示すように、回転刃3の上部表面3Bにはこの回転刃3の外径3Cと同心となり、ヘッド部材2の底部2Aの外径2Cよりも大きくされた同心円13の円上に複数の突起物11がヘッド部材2に近接して、かつこの上部表面3Bに対して垂直方向に延びるように設けられている。
【0051】
また、操作部材1に刈払物巻込防止部材21が取付けられる。この刈払物巻込防止部材21は、突起物11とヘッド部材2と回転刃3の上部表面3Bとの間に生成される空間部16に配置される。また、この刈払物巻込防止部材21の先端部21Aは、先端の一方の側面21Bが突起物11の側面11Aに間隙を置いて配置され、上記先端の他方の側面21Cがヘッド部材2の底部2Aに間隙を置いて配置され、上記先端の底面21Dが回転刃3の上部表面3Bに間隙を置いて配置されるように構成されている。
【0052】
本実施例の刈払機100は、好ましい構成として、回転刃3の上部表面3Bには回転刃3の外径3Cと同心となり、上記の同心円13よりも大きくされた同心円14の円上に複数の他の突起物12が突起物11に近接して、かつ上部表面3Bに対して垂直方向に延びるように設けられている。
【0053】
また、ヘッド部材2に刈払物巻込防止部材22が取付けられる。この刈払物巻込防止部材22は、突起物11と他の突起物12と回転刃3の上部表面3Bとの間に生成される空間部17に配置される。また、この刈払物巻込防止部材22の先端部22Aは、先端の一方の側面22Bが突起物11の側面11Bに間隙を置いて配置され、上記先端の他方の側面22Cが他の突起物12の側面12Aに間隙を置いて配置され、上記先端の底面22Dが回転刃3の上部表面3Bに間隙を置いて配置されるように構成されている。以下、突起物11、12および刈払物巻込防止部材21、22について詳述する。
【0054】
本実施例の刈払機100に用いる回転刃3の突起物11、12としては、皿部11C、12Cと突起部11D、12Dを有するリベットピン等の鋲がそれぞれ用いられ、回転刃3の下部表面3Hから装着し、回転刃3の上部表面3Bに対して突起部11D、12Dがそれぞれ垂直方向に延びるように設けられる。このため、回転刃3には、図2に示すように、これら突起部11D、12Dを下部表面3Hから上部表面3Bへ貫通させるための貫通孔3Jが設けられている。これら突起物11、12は、回転刃3から外れないように貫通孔3Jにかしめて固定される。
【0055】
また、上述の突起物11は、この突起物11の中心軸が図3に示される同心円13の円上に配置されるようにして複数個設けられている。この同心円13は、回転刃3の外径3Cと同心の円であり、ヘッド部材2の底部2Aの外径2Cよりも大きくされる。また、上述の突起物12も突起物11同様に、突起物12の中心軸が図4に示される同心円14の円上に配置されるようにして複数個設けられている。この同心円14は、同心円13同様に回転刃3の外径3Cと同心の円であり、上記の同心円13よりも大きくされる。
【0056】
より具体的には、突起物11、12は、同心円13の中心角90度毎に4つずつ設ける。また、これら突起物11、12の設けられる位置は、相互に中心角45度の相違がある。即ち、回転刃3の上部表面3Bには、中心角45度毎に突起物11、12のいずれかが設けられている。
【0057】
また、突起物11を設ける同心円13の外径は、突起物11がヘッド部材2に近接する程度の大きさとし、突起物12を設ける同心円14の外径は、突起物12が突起物11に近接する程度の大きさとして過大にはされない。
【0058】
本実施例の刈払機100に用いる刈払物巻込防止部材21は、図4に示すように、カバー部材26と所定の板厚を有する板材27とからなり、カバー部材26を操作部材1に覆ってカバー部材27の端部に設けられる接続部28により操作部材に取付けて用いる。
【0059】
上記の板材27は、操作部材1の下部に設けられ、板材27の両側面は回転刃3の上部表面3Bの垂直方向と平行になるように設けられる。また、板材27には、所定の形状の先端部21Aが設けられている。この先端部21Aは、突起物11とヘッド部材2と回転刃3の上部表面3Bとの間に生成される空間部16に配置される。以下先端部21Aについて詳述する。
【0060】
先端部21Aは、一方の側面21Bが突起物11の側面11Aに間隙を置いて配置され、上記先端の他方の側面21Cがヘッド部材2の底部2Aに間隙を置いて配置され、そして上記先端の底面21Dが回転刃3の上部表面3Bに間隙を置いて配置されるような先端形状とされている。従って、先端部21Aは、縦断面が略矩形形状となる。なお、これらの間隙は、回転刃3の回転時に先端部21Aが突起部11や回転刃3の上部表面3Bと接触しない程度で、略零に等しい隙間を持つように設定される。
【0061】
また、刈払物巻込防止部材22は、所定の板厚を有する板材23に複数の接続部24が設けられる構成となっており、ヘッド部材2の側面と接続部23、24それぞれとをねじ等によって取付固定して用いる。
【0062】
上記の板材23は、操作部材1と平行に設けられる。また、板材23は、所定の形状の先端部22Aが設けられている。この先端部22Aは、突起物11、12と回転刃3の上部表面3Bとの間に生成される空間部17に配置される。以下先端部22Aについて詳述する。
【0063】
先端部22Aは、一方の側面22Bが突起物11の側面11Bに間隙を置いて配置され、上記先端の他方の側面22Cが突起物12の側面12Aに間隙を置いて配置され、上記先端の底面22Dが回転刃3の上部表面3Bに間隙を置いて配置されるような先端形状とされている。従って、先端部22Aは、上述の先端部21A同様に縦断面が略矩形形状となる。また、これらの間隙も先端部21A同様に、回転刃3の回転時に先端部22Aが突起部11、12や回転刃3の上部表面3Bと接触しない程度で、略零に等しい隙間を持つように設定される。
【0064】
上述の構成である本実施例の芝払機100の刈払物の巻込み防止状況を以下に説明する。まず、刈払機100の回転刃3を高速回転させる。従って、突起物11、12も高速回転する。そして、この回転する回転刃3により雑草等を刈り払った際に、刈払物の長さがヘッド部材2の底部2Aの外径2Bよりも大きい場合は、ヘッド部材の底部2A即ち回転刃3の中央部へ飛散して巻付こうとする。
【0065】
上記の長い刈払物は、回転刃3の中央部に巻付く際に必ず刈払物巻込防止部材21、22の先端部21A若しくは22Aに接触する。しかし、これら刈払物巻込防止部材21、22の先端部21A、22Aは、両側面21B、21C、22B、22Cがそれぞれヘッド部材2の底部2Aや突起物11の側面11Aまたは突起物11の側面11Bや突起物12の側面12Aと略隙間がなく設けられているので、先端部21A、22Aに接触した上記の長い刈払物は、回転する各突起物11、12が各先端部21A、22Aの側面21B、22Cを通過する際に、回転によるトルクにより長い刈払物を巻き込んで回転刃3の外部へ払い出す若しくは長い刈払物を切断し、長い刈払物が回転刃3の中央部へ巻き込むことを防止する役割を果たす。
【0066】
また、刈払物巻込防止部材21、22の先端部21A、22Aは、底面22D、22Dも回転刃3の上部表面3Bとほとんど隙間がなく設けられているので、上記の長い刈払物が突起物11、12のトルクによって払い出される時に先端部の底面21D、22Dと回転刃3の上部表面3Bの隙間に回り込むこともできない。
【0067】
本実施例の刈払機100は、上述のように、突起物11、12と刈払物巻込防止部材21、22を設けただけで、回転軸30を含めた回転刃3の中央部への長い刈払物の巻込みを確実に防止できる。なお、本実施例の刈払機100は、突起物11と刈払物巻込防止部材21のみでも、上述のように長い刈払物の回転刃の中央部への巻込みを防止できるが、突起物12と刈払物巻込防止部材22を設けるとより効果的に刈払物の回転刃の中央部への巻込みを防止することができる。
【0068】
また、本実施例の刈払機100は、各突起物11、12の上面側の先端部21A、21Bの近傍に、各突起物11、12の上面に略零に等しい隙間を置くようにして形状21E、22Eをそれぞれ設けると、より効果的に刈払物の回転刃の中央部への巻込みを防止することができる。
【0069】
本実施例の刈払機は、上述したようにそり部材を回転刃の底部側に設け、そり部材の操作部材への取り付けを操作部材側で行うようにしたことで、回転保護部材に回転刃と所定の高さ位置を置いたそり部構成とすることにより、利用者が回転刃の高さ位置を安易に保持することができて、特に操作部材の進行方向即ち前後方向に沿って滑らかに回転刃を移動することができ、刈払物のヘット部材への巻きつき滞積を減少させることができるので、利用者による刈払作業が安定し、長時間作業による疲労を低減できる。そして、そり部間の両端間の幅寸法を回転刃の外径より大きくしたので、回転刃を外部の硬い障害物への接触による刃の消耗を低減できる。
【0070】
また、本実施例の刈払機においては、上述したように、回転刃の底部にそり部を設けることで、上述のように利用者による刈払作業が安定したものとなる。その結果、そり部を備えずに左右に回転刃を揺動させて雑草等を刈払うような刈払機に比べて、揺動させることなくより雑草等を容易に根元から刈払うことができて、容易に長さの長い刈払物とすることができることとなる。また、本実施例の刈払機は、長い刈払物の回転刃の中央部への巻込みを防止できるので、回転刃の底部にそり部を設けた汎用の刈払機とすることができる。
【0071】
なお、本実施例の刈払機100は、また、突起物の突起部の高さ、突起物の配置数、突起物と他の突起物の配置ピッチ、巻込防止部材の先端部の回転刃半径方向の大きさおよび突起物の突起部の外径の大きさ、即ち空間部の回転半径方向の大きさ等は、刈払機100の使用状況によって適宜変更され得るものであって、上述の記載の構成に限定されないことは言うまでもない。また、本実施例の刈払機100を構成する刈払物巻込防止部材21、22の形状は、上述の効果を達成できる範囲内において、図に示した形状に限定されないことは言うまでもない。
【0072】
本発明は、上述のように構成しているので、刈払物が回転刃の中央部に巻込むことを容易に防止でき、利用者による作業性の低下を防ぐことができる。また、利用者が地面から回転刃までの高さを容易に一定に保持できるため、利用者による長時間作業による疲労を低減できる。更に、回転刃を外部の障害物から保護することができるため、回転刃の著しい消耗を抑えることができて経済的に用いることができる。
【実施例2】
【0073】
図5は、本発明の第2の実施例である刈払機100の概略底面図を示し、実施例1の図3に対応する。図5を用いて、実施例1との相違点を主として説明する。同一構成、類似構成については実施例1についての説明を援用する。
【0074】
本実施例が実施例1と相違する点は、接続部材50の接続先が外側のそり部材40ではなく、内側のそり部材45としていることにある。すなわち接続部材50の接続部51は、内側のそり部材45の一端に接続される。
【0075】
この構成によれば、複数のそり部材40、45の内の内側に配置された内側そり部材45が、回転刃3の外径よりも内側に位置するように配置されて、操作部材1の長手方向に延びるそり部形状とされ、先端そり部45Aが回転刃3の外径よりも内側あるいは外側にある形状とされ、接続部材50の接続部51が内側そり部材45の操作材側の一端に接続された刈払機100が構成される。図5では、先端そり部45Aが内側にある形状とされているが、外側にある形状とすることができる。他の構成は、先の実施例1と同一である。
【0076】
この構成によっても、実施例1で得られる作用、効果を得ることができる。
【実施例3】
【0077】
図6は、本発明の第3の実施例である刈払機100の概略底面図を示し、実施例1の図3に対応する。
【0078】
本実施例が実施例1と相違する点は、最外側の外側そり部材40が回転刃3の外径内配置となっていることにある。
【0079】
すなわち、この構成によって、複数のそり部材40、45の内の最外側に配置された外側そり部材40が、回転刃3の外径の近傍に配置され、接続部材50接続部51が外側そり部材40の操作部材側の一端に接続される。そして、最外側に配置された外側そり部材は、その外側面が回転刃3の外径よりも内側に位置するように配置される。
【0080】
もう1つの大きな相違点は、本例にあっては外側のそり部材40が設けられているだけで、実施例1で設けられた内側のそり部材45が設けられていないことである。内側のそり部材が設けられていないので、横方向への揺動動力を抑止する力が外側のそり部材40による抵抗力のみとなって多少減少するが、実用的には問題がない。
【0081】
この例にあっては、先の2つの実施例で設けられた係止部材37、38に装置された縦突出部42、横突出部43及び円筒部44からなる保持部底部に代えて、円盤状の保持部底部60が設けてあり、この保持部底部60に小片の横突出部43が設けられて、外側のそり部材40が連結されている。他の構成は、先の実施例と同一である。
【0082】
この構成によっても、実施例1、2で得られる作用、効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0083】
1…操作部材、2…ヘッド部材、2A…ヘッド部材の底部、2B…ヘッド部材の底部の外径、3…回転刃、3A…回転刃の底部中央部、3B…回転刃の上部表面、3C…回転刃の外径、4…回転刃保護部材、4A…そり部、4C…底部、5…仰角、11、12…突起物、11C、12C…突起物の側面、13、14…回転刃外径の同心円、16、17…空間部、21、22…刈払物巻込防止部材、21C、22C…先端部、21D、22D、21E、22E…先端部側面、21F、22F…先端部底面、30…回転軸、35…軸受、37、38…係止部材、50…接続部材、51…突出部、52…接続部、60…両側そり部間幅寸法、61…高さ間隔、100…刈払機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部材と、該操作部材の一端に設けられるヘッド部材と、該操作部材の他端に設けられる駆動源と、前記ヘッド部材の底部に設けた回転軸に回転可能に接続される回転刃と、該回転刃の底部側に設けられる回転刃保護部材とから構成され、前記ヘッド部材は前記操作部材を前記回転刃の上部表面に対して所定の仰角を形成して回転刃に接続するように構成され、前記回転刃は前記駆動源による駆動力により回転駆動される刈払機において、
前記回転刃保護部材が、前記回転軸に軸受を介して係止された係止部材、前記回転刃の底部側で、前記操作部材の長手方向に延びるそり部形状とされ、該係止部材に装着された複数のそり部材から構成され、
1つのそり部材を前記操作部材に接続する接続部材が、前記操作部材の側方に前記回転刃から離間して配設されて、該そり部材のそり部形状の操作部材側の一端に該そり部形状に沿った形状でもって接続され、前記操作部材側に延び、前記ヘッド部材から所定の距離を置いた位置で前記操作部材に連結されること
を特徴とする刈払機。
【請求項2】
請求項1において、前記回転刃の底部側で、前記係止部材に装着された縦突出部、横突出部及び円筒部からなる保持部底部もしくは円盤状の保持底部もしくは円盤状の保持底部を備えることを特徴とする刈払機。
【請求項3】
請求項1において、前記接続部材が、前記操作部材の1側方のみに、L字形状を有して配設され、該L字形状の一端が前記操作部材に連結されることを特徴とする刈払機。
【請求項4】
請求項1において、複数のそり部材の内の最外側に配置された外側そり部材が、前記回転刃の外径の近傍に配置され、前記接続部材が、該外側そり部材の操作部材側の一端に接続されることを特徴とする刈払機。
【請求項5】
請求項4において、最外側に配置された外側そり部材は、その外側面が前記回転刃の外径よりも外側に位置し、その内側面が前記回転刃の外径よりも内側に位置するように配置されることを特徴とする刈払機。
【請求項6】
請求項1において、複数のそり部材の内の内側に配置された内側そり部材が、前記回転刃の外径よりも内側に位置するように配置されて、前記操作部材の長手方向に延びるそり部形状とされ、先端そり部が回転刃の外径よりも内側あるいは外側にある形状とされ、前記接続部材が、該内側そり部材の操作部材側の一端に接続されることを特徴とする刈払機。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかにおいて、前記操作部材に刈払物巻込防止部材が設けられ、前記ヘッド部材に他の刈払物巻込防止部材が設けられたことを特徴とする刈払機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−17440(P2013−17440A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154888(P2011−154888)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(510188908)
【Fターム(参考)】