説明

制御回路

【課題】本発明は、スイッチング電源の起動動作を安定的に制御する制御回路を提供する。
【解決手段】起動スイッチQ301をオンさせてコンデンサC11を充電させ、該コンデンサの両端電圧が起動開始電圧に達すると、発振駆動部100にスイッチング発振駆動を開始させる制御を行い、該発振駆動部がスイッチング発振駆動を開始した後において、該コンデンサの両端電圧が予め設定された第1設定電圧まで低下した場合にはスイッチング発振駆動を停止させるように該発振駆動部を制御する発振起動制御部400と、該発振駆動部がスイッチング発振駆動を開始した後において、該コンデンサの両端電圧が該起動開始電圧よりも低く、且つ、該第1設定電圧よりも高く設定された第2設定電圧まで低下した場合、該コンデンサの両端電圧が第2設定電圧より低下しないよう該起動スイッチをオンオフさせるスイッチング制御を行う起動補充制御部600と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源を安定的に制御する制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止の観点からスイッチング電源の高効率化の要求が高まり、特に、デジタル機器用電源の分野では、電流共振型スイッチング電源やフライバック型スイッチング電源等の高効率化、とりわけ、微少負荷時の高効率化として待機電力削減の要求が強くなってきている。ここで、特許文献1に記載のスイッチング電源装置を例に取り、待機電力削減の要求に対応するフライバック型スイッチング電源について簡単に説明する。
【0003】
特許文献1に開示されているスイッチング電源装置では、マイコンからのスタンバイ信号がLOWからHIGHになると、モード切替制御回路のホトカプラがオンし、発振と停止を繰り返す、いわゆるバーストモード動作となる。このバーストモードの発振期間においては、スイッチング電源装置がソフトドライブと部分共振とを組み合わせた動作となることで、スイッチング損失が低減される。また、発振停止期間においては、主スイッチであるMOSFETのスイッチング損失およびその駆動部品のドライブ損失は低減される。その結果、スイッチング電源装置の待機電力の削減を図ることができる。
【0004】
しかし、最近ではデジタル機器の待機電力削減要求が更に高まり、起動抵抗等の損失が問題となった。そこで、スイッチング電源の起動後に起動回路を切り離す制御回路が用いられるようになり、図12や特許文献2に示すような構成のスイッチング電源が普及してきている。
【0005】
図12のスイッチング電源5で用いられる制御回路15の例では、AC入力電源が投入され制御回路15が動作開始した後は、起動部30の内部の起動スイッチQ31により起動部30自体がAC入力電源の整流ラインから電気的に切り離されるようになっている。そのため、スイッチング電源5の起動のために消費される電力が削減される。また、特許文献2に示されているスイッチング電源回路においても、起動時には抵抗から供給される動作電流で動作を開始し、起動後の定常動作では上記抵抗による電流供給が遮断されるため、図12のスイッチング電源5と同様に、起動のために消費される電力が削減される。
【0006】
ここで、図12に示したスイッチング電源5の起動の動作について説明する。スイッチング電源5においては、AC入力電源が投入されると、制御回路15のVin端子、抵抗R32を介して電流が流れ、起動スイッチQ31のゲート・ソース間電圧が起動スイッチQ31のオン閾値に達すると、起動スイッチQ31はオン状態となり抵抗R31、起動スイッチQ31、Vcc端子を経由してコンデンサC11が充電される。この充電により、コンデンサC11の両端電圧が制御回路15の起動開始電圧Vcc(start)に達すると、制御回路15は主スイッチQ10をスイッチングさせ、スイッチング電源5の発振が開始される。スイッチング電源5の発振が開始すると、所定の電圧Voに達するまで出力電圧が増加していき、これに伴って補助巻線L11の電圧も上昇する。
【0007】
一方、制御回路15内部の起動部30では、コンデンサC11の両端電圧が制御回路15の起動開始電圧Vcc(start)に達すると、起動スイッチQ31はオフ状態に制御される。そのため、コンデンサC11の両端電圧Vccは、図13に示したように、起動開始電圧Vcc(start)に達した後に(図13の時刻t6)、制御回路15の電力消費により一時低下した後、補助巻線L11からの電力供給により再度増加し出力電圧が所定の値Voに達すると共に、コンデンサC11の両端電圧Vccも所定値に保たれる(図13の時刻t7)。このようにして、スイッチング電源5では、図13に示したように、AC入力電源が投入されてから出力電圧が所定の値Voまで、時刻t1から時刻t7の期間で立ち上がることとなる。
【特許文献1】特開2002−315333号公報
【特許文献2】特開2000−23461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、AC入力電源の投入時において、出力電流が大きいほど出力電圧の立ち上がりが遅くなる。この場合、出力電圧の立ち上がりと共に増加する補助巻線L11の電圧も上昇が遅くなり、コンデンサC11の両端電圧Vccは、図14に示したように、制御回路15の電力消費による一時低下が複数回繰り返された後、補助巻線L11からの電力供給により図13に示した場合よりもゆっくり増加する。すなわち、AC入力電源投入時の出力電流が大きい場合には、補助巻線L11からの電流供給が開始できる電圧まで上昇する時間が長くかかるため、制御回路15の消費電流によりコンデンサC11の両端電圧Vccが制御回路15の発振停止電圧Vcc(stop)まで低下し易くなり、スイッチング電源5は、制御回路15によって再起動制御が掛けられながら、起動することとなる。
【0009】
このように、従来の制御回路15を用いたスイッチング電源5においては、出力電流が大きい場合には、上記一連の再起動動作を何度か繰り返し、出力電圧が所定の値Voまで立ち上ることとなるが、再起動動作の繰り返しによって、起動時間(図14の時刻t1〜t7の時間)が長くなるという欠点がある。また、上記のような再起動の繰り返し現象は、出力電流の大きさによって2回繰り返す場合や3回繰り返す場合、或いはそれ以上の回数繰り返すといったように、起動動作の不安定性に繋がるといった欠点もある。この欠点は、特に、出力電流が大きいほど、再起動の繰り返し回数が多くなるため、顕著になり易い。
【0010】
また、出力電流が0A又は極微少電流の場合においても、以下のような欠点がある。すなわち、スイッチング電源5において、出力電流が0A又は極微少電流の場合には、起動時に出力電圧が所定の値Voを超える値まで過上昇してしまう、いわゆる起動時オーバーシュートという現象が起こり易い(図15の時刻t8)。この起動時オーバーシュートが発生した場合、スイッチング電源5では、出力電圧制御部80等により、出力電圧が所定の値Voよりも低くなるまでの期間は、制御回路15が主スイッチQ10の発振を停止させ(図15の時刻t8〜t9)、出力電圧が所定の値Voよりも低くなったら再び主スイッチQ10を発振させるという制御が行われる。
【0011】
この発振停止制御が行われる間、制御回路15は制御に必要な電力を消費しており、また、発振停止期間は補助巻線L11からの電流供給が停止するため、コンデンサC11の両端電圧Vccが制御回路15の発振停止電圧Vcc(stop)まで低下してしまうことがある。そのような場合、スイッチング電源5では、制御回路15によって再起動制御が掛けられることとなり、起動時間が長くなるという欠点がある。また、最悪のケースにおいては、発振と、出力のオーバーシュートによる発振停止と、を繰り返し正常な起動ができないということも考えられる。
【0012】
以上のように、従来技術においては、スイッチング電源の出力電流が無負荷から重負荷という広い領域で起動動作を安定化することが困難であった。
【0013】
本発明は、スイッチング電源の起動動作を安定的に制御する制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。本発明は、スイッチング電源のスイッチング制御に必要な電力源としての電荷を帯電するコンデンサを有する制御電源部が接続され、前記スイッチング電源のスイッチング発振駆動を行う発振駆動部と、前記発振駆動部によるスイッチング発振駆動の制御を起動開始させるための起動スイッチを有し前記起動スイッチがオンされる期間中に前記コンデンサを充電し前記コンデンサの両端電圧が予め設定された起動開始電圧に達すると前記起動スイッチがオフする起動部と、を備えた制御回路において、前記起動スイッチをオンさせて前記コンデンサを充電させ、前記コンデンサの両端電圧が前記起動開始電圧に達すると、前記発振駆動部にスイッチング発振駆動を開始させる制御を行い、前記発振駆動部がスイッチング発振駆動を開始した後において、前記コンデンサの両端電圧が予め設定された第1設定電圧まで低下した場合にはスイッチング発振駆動を停止させるように前記発振駆動部を制御する発振起動制御部と、前記発振駆動部がスイッチング発振駆動を開始した後において、前記コンデンサの両端電圧が前記起動開始電圧よりも低く、且つ、前記第1設定電圧よりも高く設定された第2設定電圧まで低下した場合、前記コンデンサの両端電圧が第2設定電圧より低下しないよう前記起動スイッチをオンオフさせるスイッチング制御を行う起動補充制御部と、を備えたことを特徴とする制御回路を対象とする。
【0015】
このような構成の本発明では、発振起動制御部によって、起動スイッチがオンされてコンデンサが充電され、コンデンサの両端電圧が起動開始電圧に達すると、発振駆動部がスイッチング発振駆動を開始させる制御が行われる。そして、発振駆動部がスイッチング発振駆動を開始した後において、起動補充制御部によって、コンデンサの両端電圧が予め設定された第1設定電圧まで低下した場合にはスイッチング発振駆動を停止させるように発振駆動部が制御される。また、発振駆動部がスイッチング発振駆動を開始した後において、コンデンサの両端電圧が起動開始電圧よりも低く第1設定電圧よりも高く予め設定された第2設定電圧まで低下した場合、コンデンサの両端電圧が第2設定電圧より低下しないよう起動スイッチをオンオフさせるスイッチング制御が行われる。
【0016】
また、本発明は、スイッチング電源に異常が発生しスイッチング電源の異常情報としての異常信号が制御回路に入力された場合には、発振起動制御部に対してはスイッチング発振駆動を停止させるように発振駆動部を制御させ、更に、起動補充制御部に対しては起動スイッチのスイッチング制御を禁止する制御に切替える制御切替部を備えたことを特徴とする制御回路を対象とする。
【0017】
このような構成の本発明にあっては、スイッチング電源に異常が発生しスイッチング電源の異常情報としての異常信号が制御回路に入力された場合には、制御切替部によって、発振起動制御部に対してはスイッチング発振駆動を停止させるように発振駆動部が制御され、更に、起動補充制御部に対しては起動スイッチのスイッチング制御を禁止する制御に切替えられる。
【0018】
また、本発明は、スイッチング電源に異常が発生しスイッチング電源の異常情報としての異常信号が制御回路に入力された場合には、制御切替部は、起動部に対して起動スイッチをオフにさせておく制御に切替えることを特徴とする制御回路を対象とする。
【0019】
このような構成の本発明にあっては、スイッチング電源に異常が発生しスイッチング電源の異常情報としての異常信号が制御回路に入力された場合には、制御切替部によって、起動部に対して起動スイッチをオフにさせておく制御に切替えられる。
【0020】
また、本発明は、スイッチング電源に異常が発生しスイッチング電源の異常情報としての異常信号が制御回路に入力された場合において、制御切替部は、前記コンデンサの両端電圧が起動開始電圧より低い予め設定された第3設定電圧まで低下した場合、起動部に対して起動スイッチをオンさせる制御に切り替えることを特徴とする制御回路を対象とする。
【0021】
このような構成の本発明にあっては、スイッチング電源に異常が発生しスイッチング電源の異常情報としての異常信号が制御回路に入力された場合において、制御切替部によって、コンデンサの両端電圧が起動開始電圧より低い予め設定された第3設定電圧まで低下した場合、起動部に対して起動スイッチをオンさせる制御に切り替えられる。
【0022】
更に、本発明にあっては、スイッチング電源の出力電流が予め設定された所定の電流値以下である場合には、出力電流が所定値以下である情報を含む微少負荷信号S1を生成する微少負荷信号生成部と、微少負荷信号生成部が生成した微少負荷信号が入力されると、第1設定電圧および第2設定電圧をそれぞれ所定値低下させる制御を行う設定値制御部と、を備えたものである。
【0023】
このような構成の本発明にあっては、スイッチング電源の出力電流が予め設定された所定の電流値以下である場合には、微少負荷信号生成部によって、出力電流が所定値以下である情報を含む微少負荷信号が生成され、設定値制御部に微少負荷信号生成部が生成した微少負荷信号が入力されて、設定値制御部によって、第1設定電圧および第2設定電圧がそれぞれ所定値低下させられる制御が行われる。
【0024】
本発明にあっては、微少負荷信号生成部は、スイッチング電源の主スイッチに流れるスイッチング電流を検出し、スイッチング電流が所定電流値以下の場合に、微少負荷信号を生成するものである。
【0025】
このような構成の本発明にあっては、微少負荷信号生成部によって、スイッチング電源の主スイッチに流れるスイッチング電流が検出され、スイッチング電流が所定電流値以下の場合に、微少負荷信号が生成される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、発振起動制御部によって、起動スイッチがオンされてコンデンサが充電され、コンデンサの両端電圧が起動開始電圧に達すると、発振駆動部がスイッチング発振駆動を開始させる制御が行われる。そして、発振駆動部がスイッチング発振駆動を開始した後において、起動補充制御部によって、コンデンサの両端電圧が予め設定された第1設定電圧まで低下した場合にはスイッチング発振駆動を停止させるように発振駆動部が制御される。また、発振駆動部がスイッチング発振駆動を開始した後において、コンデンサの両端電圧が起動開始電圧よりも低く、且つ、第1設定電圧よりも高く設定された第2設定電圧まで低下した場合、コンデンサの両端電圧が第2設定電圧より低下しないよう起動スイッチをオンオフさせるスイッチング制御が行われる。そのため、無負荷から重負荷領域に亘る広い出力電流範囲でスイッチング電源の起動動作を安定させることができる。すなわち、出力電流が大きい重負荷の条件でスイッチング電源が起動されても、出力電圧の立上り遅れによる起動エラーが解消され、また、出力電流が小さい軽負荷の条件でスイッチング電源が起動され出力電圧オーバーシュートによる発振停止期間が長くなっても、制御電源部のコンデンサの両端電圧が制御回路の発振停止電圧まで低下して起動エラーとなることが防止される。更に、スイッチング電源の出力電圧が従来技術に比べ短時間で所定の値まで安定的に立ち上げることができる。
【0027】
また、本発明によれば、スイッチング電源に異常が発生しスイッチング電源の異常情報としての異常信号が制御回路に入力された場合には、制御切替部によって、発振起動制御部に対してはスイッチング発振駆動を停止させるように発振駆動部が制御され、更に、起動補充制御部に対しては起動スイッチのスイッチング制御を禁止する制御に切替えられる。そのため、スイッチング電源に異常が発生した場合には、発振が止まり起動電流が流れたままになることによって起動回路が発熱することを防止し、スイッチング電源のスイッチング発振を確実かつ安全に停止させることができ、本発明に係る制御回路の他に外部部品を設けずに、異常時の保護を確実に働かせることができる。
【0028】
更に、本発明によれば、スイッチング電源に異常が発生しスイッチング電源の異常情報としての異常信号が制御回路に入力された場合には、制御切替部によって、起動部に対して起動スイッチをオフにさせておく制御に切替えられる。そのため、スイッチング電源に異常が発生した場合には、起動電流が流れたままになることによって起動回路が発熱することを確実に防止し、スイッチング電源のスイッチング発振を確実かつ安全に停止させることができ、本発明に係る制御回路の他に外部部品を設けずに、異常時の保護を確実に働かせることができる。
【0029】
また、本発明によれば、スイッチング電源に異常が発生しスイッチング電源の異常情報としての異常信号が制御回路に入力された場合において、制御切替部によって、コンデンサの両端電圧が起動開始電圧より低い予め設定された第3設定電圧まで低下した場合、起動部に対して起動スイッチをオンさせる制御に切り替えられる。そのため、スイッチング電源に異常が発生した場合に、制御回路で異常信号を保持するための制御電圧が確保できる。これにより、スイッチング電源のスイッチング発振を確実かつ安全に停止させることができ、本発明に係る制御回路の他に外部部品を設けずに、異常時の保護を確実に働かせることができる。
【0030】
また、スイッチング電源の出力電流が予め設定された所定の電流値以下である場合には、微少負荷信号生成部によって、出力電流が所定値以下である情報を含む微少負荷信号が生成され、設定値制御部に微少負荷信号生成部が生成した微少負荷信号が入力されて、設定値制御部によって、第1設定電圧および第2設定電圧がそれぞれ所定値低下させられる制御が行われる。そのため、制御電源部のコンデンサの両端電圧を低くしてスイッチング制御を行うことで、制御回路の損失を極めて小さくすることができ、スタンバイ時効率を大幅に改善することができる。これらの効果に加え、制御電源部のコンデンサの両端電圧を低く設定できるので、制御電源部のコンデンサに外部周辺回路からの電源供給をする構成において、当該電源供給の電圧範囲を広範囲で許容でき、当該電源供給の電圧範囲を狭くするためのドロッパ回路等が不要となるという点で、低コスト化、省スペース化および設計容易化を図ることができる。
【0031】
更に、本発明によれば、微少負荷信号生成部によって、スイッチング電源の主スイッチに流れるスイッチング電流が検出され、スイッチング電流が所定電流値以下の場合に、微少負荷信号が生成される。そのため、スイッチング電源の外部から微少負荷信号の入力を必要とせずに、上記起動安定化等の効果を得ることができるので、更なる低コスト化、省スペース化および設計容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態としての制御回路を使用したスイッチング電源を示した回路図
【図2】本発明の一実施の形態としての制御回路図
【図3】図2の制御回路における起動部の内部回路図
【図4】図2の制御回路における発振起動制御部の内部回路図
【図5】図2の制御回路における設定値制御部の内部回路図
【図6】図2の制御回路における起動補充制御部の内部回路図
【図7】図2の制御回路における制御切替部の内部回路図
【図8】図1のスイッチング電源1の通常時の動作フローチャート
【図9】図1のスイッチング電源1の異常時の動作フローチャート
【図10】図1のスイッチング電源1の重負荷起動時の動作タイミングチャート
【図11】図1のスイッチング電源1の軽負荷起動時の動作タイミングチャート
【図12】従来の制御回路を使用したスイッチング電源を示した回路図
【図13】図12のスイッチング電源5の起動時のタイミングチャート
【図14】図12のスイッチング電源5の重負荷起動時のタイミングチャート
【図15】図12のスイッチング電源5の軽負荷起動時のタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の一実施の形態としての制御回路を使用したスイッチング電源を示した回路図である。スイッチング電源1は、AC入力電源を整流する一次整流部60と、直流整流して出力する二次整流部90と、スイッチング電源1の一次側と二次側とを絶縁し電力変換するトランスT10と、スイッチング素子としての主スイッチQ10と、主スイッチQ10をスイッチング制御する制御回路10と、制御回路10によるスイッチング制御に必要な電力源としての制御電源部70と、二次側の直流電圧出力をフィードバック制御する出力電圧制御部80と、を備えている。
【0034】
一次整流部60は、ブリッジダイオードD10およびコンデンサC10で構成され、AC入力電源を一次側で全波整流するものである。二次整流部90は、ダイオードD12およびコンデンサC12で構成され、トランスT10の二次側出力を整流するものである。トランスT10は、一次巻線L10と、制御巻線L11と、二次巻線L12および図示しない磁性コア部材と、で組み立てられている。主スイッチQ10は、例えば、NチャネルのMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transisitor)が使用される。制御電源部70は、トランスT10の制御巻線L11、ダイオードD11およびコンデンサC11で構成されている。
【0035】
次に、本発明の一実施の形態としての制御回路図の構成について説明する。図2は、本発明の一実施の形態としての制御回路図である。図2に示す制御回路10は、スイッチング電源1のスイッチング制御に必要な電力源としての電荷を帯電するコンデンサC11等を有する制御電源部70が接続されている。更に、制御回路10は、発振駆動部100と、微少負荷信号生成部200と、起動部300と、発振起動制御部400と、設定値制御部500と、起動補充制御部600と、制御切替部700と、を備えている。これらに加え、制御回路10は、オン幅制御部800を備えている。
【0036】
発振駆動部100は、スイッチング電源1のスイッチング発振駆動を行うものである。微少負荷信号生成部200は、スイッチング電源1の出力電流が予め設定された所定の電流値I1以下である場合には、出力電流が所定値以下である情報を含む微少負荷信号S1を生成するものである。起動部300の一例を図3に示す。図3に示す起動部300の構成については後述する。起動部300は、発振駆動部100によるスイッチング発振駆動の制御を起動開始させるための起動スイッチQ301を有する。また、起動部300は、起動スイッチQ301がオンされる期間中に制御電源部70に備えたコンデンサC11を充電し、コンデンサC11の両端電圧Vccが予め設定された起動開始電圧Vcc(start)に達すると、起動スイッチQ301をオフさせるようになっている。
【0037】
発振起動制御部400の一例を図4に示す。図4に示す発振起動制御部400の構成については後述する。発振起動制御部400は、起動スイッチQ301をオンさせてコンデンサC11を充電させ、コンデンサC11の両端電圧Vccが起動開始電圧Vcc(start)に達すると、発振駆動部100にスイッチング発振駆動を開始させ、発振駆動部100がスイッチング発振駆動を開始した後において、コンデンサC11の両端電圧Vccが予め設定された第1設定電圧まで低下した場合にはスイッチング発振駆動を停止させるように発振駆動部100を制御するものである。
【0038】
設定値制御部500の一例を図5に示す。図5に示す設定値制御部500の構成については後述する。設定値制御部500は、微少負荷信号生成部200が生成した微少負荷信号S1が入力されると、第1設定電圧V1および第2設定電圧V2をそれぞれ所定値低下させる制御を行うものである。
【0039】
起動補充制御部600の一例を図6に示す。図6に示す起動補充制御部600の構成については後述する。起動補充制御部600は、発振駆動部100がスイッチング発振駆動を開始した後において、コンデンサC11の両端電圧Vccが起動開始電圧Vcc(start)よりも低く、且つ、第1設定電圧V1よりも高く設定された第2設定電圧V2まで低下した場合、コンデンサC11の両端電圧Vccが第2設定電圧V2より低下しないよう起動スイッチQ301をオンオフさせ起動スイッチQ301のスイッチング制御を行うものである。
【0040】
制御切替部700の一例を図7に示す。図7に示す制御切替部700の構成については後述する。制御切替部700は、スイッチング電源1に異常が発生しスイッチング電源1の異常情報としての異常信号が制御回路10に入力された場合には、発振起動制御部400に対してはスイッチング発振駆動を停止させるように発振駆動部100を制御させ、起動部300に対しては起動スイッチQ301をオフさせておき、更に、起動補充制御部600に対しては起動スイッチQ301のスイッチング制御を禁止する制御に切替える制御に切替えるものである。オン幅制御部800は、出力電圧制御部80によるフィードバック制御において、主スイッチQ10のスイッチング電流の電流時間幅を制御してトランスT10へ蓄積するエネルギーを調整し、二次側への出力電力を制御するものである。
【0041】
なお、制御切替部700は、スイッチング電源1に異常が発生しスイッチング電源1の異常情報としての異常信号が制御回路10に入力された場合には、発振起動制御部400に対してはスイッチング発振駆動を停止させるように発振駆動部100を制御させると共に、コンデンサC11の両端電圧Vccが起動開始電圧より低い予め設定された第3設定電圧まで低下した場合には、起動部300に対して起動スイッチQ301をオンさせる制御を行うと共に、起動補充制御部600に対しては起動スイッチQ301のスイッチング制御を禁止する制御に切替えるように構成しても良い。
【0042】
ここで、スイッチング電源1の回路接続関係について図1を参照して説明する。ブリッジダイオードD10の4つの各端子は、AC入力電源のLIVE、NEUTRAL、コンデンサC10のプラス端子およびコンデンサC10のマイナス端子にそれぞれ接続されている。コンデンサC10のプラス端子は、一次巻線L10の一端と制御回路10のVin端子に接続されている。一方、C10のマイナス端子は、主スイッチQ10のソース端子、制御回路10のGND端子、コンデンサC11のマイナス端子、および制御巻線L11の一端に接続されている。
【0043】
主スイッチQ10のドレイン端子は、一次巻線L10の他端に接続されている。主スイッチQ10のゲート端子は、制御回路10のVG端子に接続されている。ダイオードD11のアノードは、制御巻線L11の他端に接続されている。ダイオードD11のカソードは、制御回路10のVcc端子およびコンデンサC11のプラス端子に接続されている。
【0044】
トランスT10の二次巻線L12の一端は、コンデンサC12のマイナス端子、およびGND2に接続され、他端はダイオードD12のアノードに接続されている。ダイオードD12のカソードは、コンデンサC12のプラス端子、出力電圧制御部80の一端、および出力端子OUTに接続されている。出力電圧制御部80の他端は、スイッチング電源1の一次側と二次側とを電気的に絶縁するようにして制御回路10内のオン幅制御部800に接続されている。
【0045】
続いて、制御回路10の構成について図2乃至図7を参照して説明する。発振駆動部100は、発振起動制御部400およびオン幅制御部800等の制御により、主スイッチQ10をスイッチング駆動するものであり、主スイッチQ10のゲート端子に接続されている。
【0046】
微少負荷信号生成部200は、制御回路10のOCL端子を介して主スイッチQ10のソース端子に接続され、スイッチング電源1の主スイッチQ10に流れるスイッチング電流を検出し、スイッチング電流が所定電流値以下の場合に、微少負荷信号を生成するようになっている。また、微少負荷信号生成部200は、設定値制御部500の否定論理積NANDゲート501の入力端子の一端に接続され、微少負荷信号S1を設定値制御部500の否定論理積NANDゲート501の入力端子に出力するようになっている。
【0047】
起動部300は、起動スイッチQ301の他に、スイッチQ302と、抵抗R301〜R303と、を備えている。本実施の形態において、起動スイッチQ301およびスイッチQ302は、NチャネルのMOSFETが使用されている。スイッチQ302のソース端子は、制御回路10のGND端子に接続され、抵抗R303を介してスイッチQ301のソース端子、制御回路10のVcc端子、発振起動制御部400内の抵抗R401に接続されている。スイッチQ302のゲート端子は、制御切替部700内の反転素子INV704の出力端子に接続されている。スイッチQ302のドレイン端子は、起動スイッチQ301のゲート端子に接続され、抵抗R302を介して制御回路10のVin端子に接続されている。起動スイッチQ301のドレイン端子は、抵抗R301を介して制御回路10のVin端子に接続されている。
【0048】
発振起動制御部400は、比較器CMP401と、スイッチQ401と、スイッチQ402と、抵抗R401〜R407と、を備えている。スイッチQ401およびスイッチQ402は、NチャネルMOSFETを使用して構成されている。比較器CMP401の出力端子は、スイッチQ402のゲート端子、設定値制御部500内の否定論理積NANDゲート501の入力端子、起動補充制御部600内のスイッチQ602のゲート端子、発振駆動部100および抵抗R407の一端に接続され、抵抗R407の他端は基準電圧源VREFに接続されている。更に、比較器CMP401の出力端子は、制御切替部700内のインバータINV701の入力端子に接続されている。
【0049】
比較器CMP401の非反転入力端子は、抵抗R401を介して起動部300内の抵抗R303および起動スイッチQ301のソースに接続され、また、抵抗R402を介して基準電位源GNDに接続され、更に、起動補充制御部600内の比較器CMP601の非反転入力端子に接続されている。比較器CMP401の反転入力端子は、抵抗R403を介して基準電圧源VREFに接続され、また、抵抗R406を介してスイッチQ402のドレイン端子に接続され、さらに、抵抗R405を介してスイッチQ401のドレイン端子に接続されている。加えて、抵抗R404を介してスイッチQ401のソース端子とスイッチQ402のソース端子と基準電位源GNDとに接続されている。スイッチQ401のゲート端子は、設定値制御部500のインバータINV501〜INV503の出力端子および起動補充制御部600内のスイッチQ601のゲート端子に接続されている。
【0050】
設定値制御部500は、否定論理積NANDゲート501と、インバータINV501〜INV503と、を備えている。否定論理積NANDゲート501の入力端子の一端は、発振駆動部100、発振起動制御部400内の比較器CMP401の出力端子、抵抗R407、スイッチQ402のゲート端子、起動補充制御部600内のスイッチQ602のゲート端子、および制御切替部700内のINV701の入力端子に接続されている。否定論理積NANDゲート501の入力端子の他端は、微小負荷信号生成部200に接続されている。否定論理積NANDゲート501の出力端子は、インバータINV501〜INV503の入力端子に接続される。インバータINV501〜INV503の出力端子は、発振起動制御部400内のスイッチQ401のゲート端子、および起動補充制御部600内のスイッチQ601のゲート端子に接続されている。
【0051】
起動補充制御部600は、比較器CMP601と、スイッチQ601と、スイッチQ602と、抵抗R601〜R605と、を備えている。スイッチQ601およびスイッチQ602は、NチャネルMOSFETを使用して構成されている。比較器CMP601の出力端子は、抵抗R605を介して基準電圧源VREFに接続されているとともに、制御切替部700内のインバータINV702の入力端子に接続されている。比較器CMP601の非反転入力端子は、発振起動制御部400の比較器CMP401の非反転入力端子、抵抗R401およびR402に接続されている。比較器CMP601の反転入力端子は、抵抗R601を介して基準電圧源VREFに接続されている。また、抵抗R602を介して基準電位源GNDとスイッチQ601のソース端子とスイッチQ602のソース端子に接続されている。さらに、抵抗R603を介してスイッチQ601のドレイン端子に接続されているとともに、抵抗R604を介してスイッチQ602のドレイン端子に接続されている。スイッチQ601のゲート端子は、発振起動制御部400内のQ401のゲート端子、および設定値制御部500内のインバータINV501〜INV503出力端子に接続されている。スイッチQ602のゲート端子は、発振起動制御部400内の比較器CMP401の出力端子、発振駆動部100、抵抗R407、スイッチQ402のゲート端子、設定値制御部500内のNAND501の入力端子、および制御切替部700内のINV701の入力端子に接続されている。
【0052】
制御切替部700は、否定論理積NANDゲート701〜NANDゲート703と、インバータINV701〜INV704と、を備えている。インバータINV704の出力端子は、起動部300のスイッチQ302のゲートに接続されている。インバータINV704の入力端子は、否定論理積NANDゲート703の出力端子に接続されている。否定論理積NANDゲート703の入力端子の一端は、否定論理積NANDゲート701の出力端子に接続され、否定論理積NANDゲート703の入力端子の他端は否定論理積NANDゲート702の出力端子に接続されている。
【0053】
否定論理積NANDゲート701の入力端子の一端は、インバータINV701を介して発振起動制御部400内の比較器CMP401の出力端子、抵抗R407、スイッチQ402のゲート端子、発振駆動部100、設定値制御部500内のNAND501の入力端子、起動補充制御部600内のスイッチQ602のゲート端子に接続されている。否定論理積NANDゲート701の入力端子の他端は、インバータINV703を介して否定論理積NANDゲート702の入力端子の一端に接続され、否定論理積NANDゲート702の入力端子の一端には、スイッチング電源1の異常発生時にHIGH信号が入力されるようになっている。否定論理積NANDゲート702の入力端子の他端は、インバータINV702を介して起動補充制御部600の比較器CMP601の出力端子および抵抗R605に接続されている。
【0054】
上記微少負荷信号生成部200は、スイッチング電源1の主スイッチQ10に流れるスイッチング電流を検出し、スイッチング電流が所定電流値以下の場合に、微少負荷信号S1を生成することが望ましい。また、微少負荷信号生成部200は、例えば、主スイッチQ10のスイッチング電流ピークを検出しスイッチング電流閾値I2以下の状態で一定時間経過した場合に設定制御部500に微小負荷信号S1を出力するようにすれば、より安定した制御を行うことができる。
【0055】
なお、上記制御回路10、スイッチング電源1、コンデンサC11、制御電源部70、発振駆動部100、起動スイッチQ301、起動部300、発振起動制御部400、起動補充制御部600、制御切替部700、微少負荷信号生成部200および設定値制御部500は、それぞれ、本発明に係る制御回路、スイッチング電源、コンデンサ、制御電源部、発振駆動部、起動スイッチ、起動部、発振起動制御部、起動補充制御部、制御切替部、微少負荷信号生成部および設定値制御部に相当する。
【0056】
続いて、スイッチング電源1および制御回路10の各構成部の作用について、図8乃至図11に示す動作フローチャートおよび動作タイミングチャートを用いて説明する。
【0057】
本実施形態の制御回路10を使用したスイッチング電源1では、図10の時刻t1においてAC入力電源が投入されると(STEP1)、制御回路10のVin端子、抵抗R302を介して電流が流れ、起動スイッチQ301のゲート・ソース端子間が充電される。そして、起動スイッチQ301のゲート・ソース端子間電圧が起動スイッチQ301のオン閾値に達すると、起動スイッチQ301はオン状態となり、制御回路10のVin端子、抵抗R301、Vcc端子を経由してコンデンサC11が充電される(STEP2)。
【0058】
この充電により、コンデンサC11の両端電圧Vccが起動開始電圧Vcc(start)に達すると、発振起動制御部400の比較器CMP401がHIGH信号を発振駆動部100等へ出力する。このHIGH信号が発振駆動部100に入力されると、時刻t2において、発振駆動部100から主スイッチQ10に駆動電流が供給されて主スイッチQ10が発振開始すると共に、起動スイッチQ301がオフ状態となる(STEP3)。
【0059】
この時、スイッチQ402はオン状態となり、比較器CMP401の閾値が抵抗R403およびR404で合成された抵抗値で決まる電圧値から、抵抗R403、R404、R406で合成された抵抗値で決まる電圧値となる。その結果、基準電圧源Vrefを分圧して設定される閾値が第1設定電圧V1に低下することとなる。これにより、起動開始電圧Vcc(start)と、発振停止電圧Vcc(stop)としての第1設定電圧V1と、にヒステリシスが設けられることとなる。
【0060】
例えば、本実施例では、起動開始電圧Vcc(start)が12V、発振停止電圧Vcc(stop)が7Vに設定されている。主スイッチQ10が発振開始すると、トランスT10によって電力変換され、ダイオードD12によって整流された電圧がコンデンサC12に充電される。この時、出力電流が大きい場合には、出力電圧Voの立ち上がりが遅れ、その一方で制御回路10が電力を消費するので、コンデンサC11両端電圧が低下し易くなる。図10の時刻t3に於いて、コンデンサC11両端電圧が第2設定電圧V2まで低下すると、起動補充制御部600によって、コンデンサC11の両端電圧Vccが第2設定電圧V2より低下しないよう起動スイッチQ301をオンオフさせるアシストスイッチング制御が行われる。
【0061】
この時、具体的には、スイッチQ602がオンし、Q601がオフしているので、比較器CMP601の閾値は、抵抗R601、R602、R604で合成された抵抗値で決まる電圧値に設定されている。従って、比較器CMP601はコンデンサC11両端電圧を抵抗R401、R402で分圧した電圧と、抵抗R601、R602、R604で合成された抵抗値で決まる電圧値と、を比較する。例えば、本実施例では、第2設定電圧V2は8Vに設定されている。
【0062】
この比較に基づいて、制御回路10では、コンデンサC11の両端電圧Vccが第2設定電圧V2より低下しないよう、時刻t3からt4の期間中、起動スイッチQ301をオンオフさせるアシストスイッチング制御が行われる(STEP4)。このアシストスイッチング制御が行われる期間中、発振駆動部100は、主スイッチQ10のスイッチング駆動を継続しているため、出力電圧は徐々に上昇し、巻線L11からの電力供給によって、コンデンサC11の両端電圧Vccが第2設定電圧V2より低下しなくなったら、アシストスイッチング制御が停止される(STEP5)。その後、更に出力電圧は上昇していき、時刻t5で所定の値Voに達する(STEP6)。
【0063】
このように、制御回路10を用いたスイッチング電源1では、出力電流が大きい重負荷の条件でスイッチング電源が起動されても、図10に示したように、出力電圧の立上り遅れによる起動エラーは起きず、起動時間が極端に遅延することは起こらない。また、出力電流が0A又は極微少電流の場合にも、図11に示したように、出力電圧のオーバーシュートにより発振停止期間が発生し、制御回路10の電力消費によりコンデンサC11の両端電圧Vccが低下するが、上記重負荷の場合と同様に、制御回路10では、コンデンサC11の両端電圧Vccが第2設定電圧V2より低下しないように、アシストスイッチング制御が行われる。その結果、出力電流が0A又は極微少電流の場合においても、コンデンサC11の両端電圧Vccが制御回路10の発振停止電圧Vcc(stop)まで低下して起動エラーとなることが防止される。
【0064】
このように、図2に示した制御回路10では、発振起動制御部400によって、起動スイッチQ301がオンされてコンデンサC11が充電され、コンデンサC11の両端電圧Vccが起動開始電圧Vcc(start)に達すると、発振駆動部100がスイッチング発振駆動を開始させる制御が行われる。そして、発振駆動部100がスイッチング発振駆動を開始した後において、起動補充制御部600によって、コンデンサC11の両端電圧Vccが予め設定された第1設定電圧V1まで低下した場合にはスイッチング発振駆動を停止させるように発振駆動部100が制御される。
【0065】
また、発振駆動部100がスイッチング発振駆動を開始した後において、コンデンサC11の両端電圧Vccが起動開始電圧Vcc(start)よりも低く第1設定電圧V1よりも高く予め設定された第2設定電圧V2まで低下した場合、起動スイッチQ301がスイッチングさせられてコンデンサC11が充電される。これにより、コンデンサC11の両端電圧Vccが第2設定電圧V2より低下しないよう、アシストスイッチング制御が行われる。そのため、軽負荷でも重負荷でもコンデンサC11の両端電圧VccがV1まで低下して発振停止することが防止される。
【0066】
次に、スイッチング電源1に異常が発生した場合(例えば、加熱異常)の作用について、図9を参照しながら説明する。この場合、図示しない保護回路から、スイッチング電源1の異常情報としての異常信号(例えば、HIGHからLOWの信号)が制御切替部700に入力される(STEP1)。この異常信号が入力されると、図示しない回路が発振起動制御部400を制御し、発振駆動部100によるスイッチング発振駆動を停止させる。これと共に、制御切替部700では、NAND702により起動補充制御部600内の比較器CMP601の出力からの信号が無効にされ、発振起動制御部400内の比較器CMP401の出力からの信号が有効とされる。
【0067】
従って、比較器CMP401の出力がHIGHの時は、反転素子INV704の出力はHIGHとなり、起動部300内のスイッチQ302を駆動させ起動スイッチQ301がオフとなり、起動電流が切断される。逆に比較器CMP401の出力がLOWの時は、反転素子INV704の出力はLOWとなり起動部300内のスイッチQ302はオフし起動スイッチQ301がオンとなり起動電流が流れる。すなわち、上記異常信号が制御切替部700に入力されると、第1設定電圧V1のみ有効となり、第2設定電圧V2が無効とされる(STEP2)。これにより、上述のアシストスイッチング制御は禁止され、コンデンサC11の両端電圧Vccが発振停止電圧Vcc(stop)まで低下し、主スイッチQ10のスイッチング発振が停止する(STEP3)。
【0068】
また、上記異常信号は、発振駆動部100に入力されており、これを受けて、発振駆動部100は主スイッチQ10の駆動を禁止しているので、スイッチング電源1に異常が発生した場合には、スイッチング電源1は安全に停止する。なお、制御回路10は、図示しない停止解除部を有しており、この停止解除部が第1設定電圧V1および第2設定電圧V2よりも低いラッチ解除電圧VULを検出(STEP4)したら、主スイッチQ10の停止を解除する(STEP5)。従って、スイッチング電源1のAC入力を切り離し、且つ、異常信号が入力されないようにスイッチング電源1を正常な状態に修復させれば、停止解除部が停止を解除するので、スイッチング電源1を正常に起動させることができる。
【0069】
上記のように、本実施例では、異常信号が入力された場合に、制御切替部700により、第1設定電圧V1のみ有効となり、第2設定電圧V2が無効とされる。その結果、制御切替部700によって、発振起動制御部400に対してはスイッチング発振駆動を停止させるように発振駆動部100が制御され、更に、起動補充制御部600に対しては起動スイッチQ301のスイッチング制御を禁止する制御に切替えられる。なお、スイッチング電源1に異常が発生しスイッチング電源1の異常情報としての異常信号が制御回路10に入力された場合には、制御切替部700は、起動部300に対して起動スイッチQ301をオフにさせておく制御に切替えるようにしても好適である。この場合には、スイッチング電源に異常が発生した場合には、起動部300が発熱することを確実に防止できる。
【0070】
更に、スイッチング電源1に異常が発生しスイッチング電源1の異常情報としての異常信号が制御回路10に入力された場合において、制御切替部700によって、コンデンサC11の両端電圧が起動開始電圧より低い予め設定された第3設定電圧まで低下した場合、起動部300に対して起動スイッチQ301をオンさせる制御に切り替えられるにしても好適である。この場合には、スイッチング電源1に異常が発生した場合に、制御回路10で異常信号を保持するための制御電圧が確保できる。これにより、スイッチング電源のスイッチング発振を確実かつ安全に停止させることができ、本発明に係る制御回路の他に外部部品を設けずに、異常時の保護を確実に働かせることができる。
【0071】
また、本実施の形態における上記第1設定電圧V1、第2設定電圧V2および第3設定電圧については、それぞれの値として、例えば、8V、9Vおよび7Vとしたり、8V、9Vおよび8Vとしたり、或いは、8V、9Vおよび9Vと設定する等して、制御回路10の内部に設定された上記基準電圧源VREF(例えば、本実施の形態では5Vと設定)よりも高い値に設定しておくことが望ましい。これにより、スイッチング電源に異常が発生した場合でも、制御回路10で異常信号に基づく制御を保持するための制御保持電圧として、上記基準電圧源VREFを安定的に保つことができる。更に、異常信号は本実施例では一例としてHIGHからLOWの信号として説明したが、LOWからHIGHの信号で動作するように構成しても良い。
【0072】
スイッチング電源1の出力電流が予め設定された所定電流値以下である場合には、微少負荷信号生成部200によって、出力電流が所定値以下である情報を含む微少負荷信号S1が生成され、設定値制御部500に微少負荷信号生成部200が生成した微少負荷信号S1が入力される。そして、設定値制御部500によって、第1設定電圧V1および第2設定電圧V2がそれぞれ所定値(例えば、本実施例では1V)低下させられる制御が行われる。
【0073】
なお、微少負荷信号生成部200を用いない構成とした場合には、スイッチング電源1の出力電流が予め設定された所定電流値以下である場合、制御回路10の外部から、例えば、マイコン等により出力電流が所定値以下である情報を含む微負荷信号S1を生成させて、この微少負荷信号S1を設定値制御部500に入力しても良い。このような構成にした場合でも、上記と同様に、設定値制御部500によって、第1設定電圧V1および第2設定電圧V2がそれぞれ所定値(例えば、本実施例では1V)低下させられる制御が行われる。
【0074】
本発明を実施するための形態に係る制御回路10によれば、発振起動制御部400によって、起動スイッチQ301がオンされてコンデンサC11が充電され、コンデンサC11の両端電圧が起動開始電圧に達すると、発振駆動部100がスイッチング発振駆動を開始させる制御が行われる。そして、発振駆動部100がスイッチング発振駆動を開始した後において、起動補充制御部600によって、コンデンサC11の両端電圧が予め設定された第1設定電圧まで低下した場合にはスイッチング発振駆動を停止させるように発振駆動部が制御される。更に、発振駆動部がスイッチング発振駆動を開始した後において、コンデンサの両端電圧が起動開始電圧よりも低く第1設定電圧V1よりも高く予め設定された第2設定電圧V2まで低下した場合、コンデンサC11の両端電圧が第2設定電圧V2より低下しないよう起動スイッチQ301をオンオフさせるスイッチング制御が行われる。そのため、無負荷から重負荷領域に亘る広い出力電流範囲でスイッチング電源1の起動動作を安定させることができる。すなわち、出力電流が大きい重負荷の条件でスイッチング電源が起動されても、出力電圧の立上り遅れによる起動エラーが解消され、また、出力電流が小さい軽負荷の条件でスイッチング電源1が起動され、スイッチング電源1がバースト制御状態となっても、制御電源部70のコンデンサC11の両端電圧Vccが制御回路10の発振停止電圧まで低下して起動エラーとなることが防止される。更に、スイッチング電源1の出力電圧を従来技術に比べて短時間に所定まで安定的に立ち上げることができる。
【0075】
また、本発明を実施するための形態に係る制御回路10によれば、スイッチング電源1に異常が発生しスイッチング電源の異常情報としての異常信号が制御回路10に入力された場合には、制御切替部700によって、発振起動制御部400に対してはスイッチング発振駆動を停止させるように発振駆動部100が制御され、更に、起動補充制御部600に対しては起動スイッチQ301のスイッチング制御を禁止する制御に切替えられる。そのため、スイッチング電源1に異常が発生した場合には、発振が止まり起動電流が流れたままになることによって起動部300が発熱することを防止し、スイッチング電源1のスイッチング発振を確実かつ安全に停止させることができ、本発明に係る制御回路10の他に外部部品を設けずに、異常時の保護を確実に働かせることができる。
【0076】
更に、本発明を実施するための形態に係る制御回路10によれば、スイッチング電源1に異常が発生しスイッチング電源1の異常情報としての異常信号が制御回路10に入力された場合には、制御切替部700によって、起動部300に対して起動スイッチQ301をオフにさせておく制御に切替えられる。そのため、スイッチング電源1に異常が発生した場合には、起動電流が流れたままになることによって起動部300が発熱することを確実に防止し、スイッチング電源1のスイッチング発振を確実かつ安全に停止させることができ、本発明に係る制御回路10の他に外部部品を設けずに、異常時の保護を確実に働かせることができる。
【0077】
また、本発明を実施するための形態に係る制御回路10によれば、スイッチング電源1に異常が発生しスイッチング電源1の異常情報としての異常信号が制御回路10に入力された場合において、制御切替部700によって、コンデンサC11の両端電圧が起動開始電圧より低い予め設定された第3設定電圧まで低下した場合、起動部300に対して起動スイッチQ301をオンさせる制御に切り替えられる。そのため、スイッチング電源1に異常が発生した場合に、制御回路10で異常信号を保持するための制御電圧が確保できる。これにより、スイッチング電源のスイッチング発振を確実かつ安全に停止させることができ、本発明に係る制御回路の他に外部部品を設けずに、異常時の保護を確実に働かせることができる。
【0078】
スイッチング電源1の出力電流が予め設定された所定電流値以I1下である場合には、微少負荷信号生成部200によって、出力電流が所定値I1以下である情報を含む微少負荷信号S1が生成され、設定値制御部500に微少負荷信号生成部200が生成した微少負荷信号S1が入力される。そして、設定値制御部500によって、第1設定電圧V1および第2設定電圧V2がそれぞれ所定値低下させられる制御が行われる。そのため、軽負荷条件でスイッチング電源1がバースト制御状態となり、制御電源部70のコンデンサC11の両端電圧Vccが低下し易くなっても、第1設定電圧V1および第2設定電圧V2に達し難くなり、発振停止や再起動が起こり難くなる。従って、軽負荷条件でスイッチング電源1の発振制御を安定化することができるという効果を奏する。
【0079】
この効果に加え、スイッチング電源1の出力電流が予め設定された所定の電流値以下である場合には、微少負荷信号生成部200によって、出力電流が所定値以下である情報を含む微少負荷信号S1が生成され、この微少負荷信号S1が設定値制御部に入力され、設定値制御部500によって、第1設定電圧V1および第2設定電圧V2がそれぞれ所定値低下させられる制御が行われる。そのため、制御電源部70のコンデンサC11の両端電圧Vccを低くしてスイッチング制御を行うことができるため、制御回路10の損失を極めて小さくすることができ、スタンバイ時効率を大幅に改善することができる。また、制御電源部70のコンデンサC11の両端電圧Vccを低く設定できるので、制御電源部70のコンデンサC11に外部周辺回路からの電源供給をする構成において、当該電源供給の電圧範囲を広範囲で許容でき、当該電源供給の電圧範囲を狭くするためのドロッパ回路等が不要となるという点で、低コスト化、省スペース化および設計容易化という効果をも奏する。
【0080】
以上の効果に加え、本発明を実施するための形態に係る制御回路10によれば、微少負荷信号生成部200によって、スイッチング電源1の主スイッチQ10に流れるスイッチング電流が検出され、スイッチング電流が所定電流値I1以下の場合に、微少負荷信号S1が生成されるので、スイッチング電源1の外部から微少負荷信号S1の入力を必要とせずに、上記の起動安定化等の効果を得ることができるので、更なる低コスト化、省スペース化および設計容易化を図ることができる。
【0081】
なお、図1に示すスイッチング電源1はフライバック方式の構成を一例としたものであるが、本発明に係る制御回路は、電流共振方式等の他の方式のスイッチング電源に適用しても良い。
【0082】
本実施形態の制御回路10は、1チップに制御回路を搭載した集積回路として、そのまま適用しても良い。また、本実施形態の制御回路10および主スイッチQ10等を単一のパッケージに搭載したモジュールや、制御回路10および主スイッチQ10等を1チップに搭載し単一のパッケージに搭載したモジュールにしても良い。これらのような構成にすることで、更なる低コスト化、省スペース化および設計容易化を図ることができる。
【0083】
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値等による限定は受けない。
【符号の説明】
【0084】
1: スイッチング電源
10:制御回路
100:発振駆動部
200:微少負荷信号生成部
300:起動部
400:発振起動制御部
500:設定値制御部
600:起動補充制御部
700:制御切替部
800:オン幅制御部
Q10:主スイッチ
C11:コンデンサ
Q301:起動スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング電源のスイッチング制御に必要な電力源としての電荷を帯電するコンデンサを有する制御電源部が接続され、前記スイッチング電源のスイッチング発振駆動を行う発振駆動部と、前記発振駆動部によるスイッチング発振駆動の制御を起動開始させるための起動スイッチを有し前記起動スイッチがオンされる期間中に前記コンデンサを充電し前記コンデンサの両端電圧が予め設定された起動開始電圧に達すると前記起動スイッチがオフする起動部と、を備えた制御回路において、
前記起動スイッチをオンさせて前記コンデンサを充電させ、前記コンデンサの両端電圧が前記起動開始電圧に達すると、前記発振駆動部にスイッチング発振駆動を開始させる制御を行い、前記発振駆動部がスイッチング発振駆動を開始した後において、前記コンデンサの両端電圧が予め設定された第1設定電圧まで低下した場合にはスイッチング発振駆動を停止させるように前記発振駆動部を制御する発振起動制御部と、
前記発振駆動部がスイッチング発振駆動を開始した後において、前記コンデンサの両端電圧が前記起動開始電圧よりも低く、且つ、前記第1設定電圧よりも高く設定された第2設定電圧まで低下した場合、前記コンデンサの両端電圧が第2設定電圧より低下しないよう前記起動スイッチをオンオフさせるスイッチング制御を行う起動補充制御部と、
を備えたことを特徴とする制御回路。
【請求項2】
請求項1記載の制御回路に於いて、
前記スイッチング電源に異常が発生し前記スイッチング電源の異常情報としての異常信号が前記制御回路に入力された場合には、前記発振起動制御部に対してはスイッチング発振駆動を停止させるように前記発振駆動部を制御させ、更に、前記起動補充制御部に対しては前記起動スイッチのスイッチング制御を禁止する制御に切替える制御切替部を備えたことを特徴とする制御回路。
【請求項3】
請求項2記載の制御回路に於いて、
前記制御切替部は、前記起動部に対して前記起動スイッチをオフにさせておく制御に切替えることを特徴とする制御回路。
【請求項4】
請求項2又は3記載の制御回路に於いて、
前記制御切替部は、前記コンデンサの両端電圧が前記起動開始電圧より低い予め設定された第3設定電圧まで低下した場合、前記起動部に対して起動スイッチをオンさせる制御に切り替えることを特徴とする制御回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の制御回路に於いて、
前記スイッチング電源の出力電流が予め設定された所定の電流値以下である場合には、前記出力電流が所定値以下である情報を含む微少負荷信号を生成する微少負荷信号生成部と、
前記微少負荷信号生成部が生成した前記微少負荷信号が入力されると、前記第1設定電圧および前記第2設定電圧をそれぞれ所定値低下させる制御を行う設定値制御部と、
を備えたことを特徴とする制御回路。
【請求項6】
請求項5記載の制御回路に於いて、
前記微少負荷信号生成部は、前記スイッチング電源の主スイッチに流れるスイッチング電流を検出し、前記スイッチング電流が所定電流値以下の場合に、前記微少負荷信号を生成することを特徴とする制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−105505(P2012−105505A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253971(P2010−253971)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】