説明

制御基板

【課題】小型化を図ることができ、放熱性に優れた制御基板を提供すること。
【解決手段】制御基板1は、導体回路24を有する回路基板2と、回路基板2上に配置され、導体回路24に電気的に接続された半導体素子3aおよび3bと、回路基板2上に半導体素子3aおよび3bと異なる位置に配置され、導体回路24に電気的に接続された複数のピン41と、これらのピン41を収納し、回路基板2に対し立設したハウジング42とを有するコネクタ4と、導体回路24を覆うように層状に設けられ、厚さtがハウジング42の高さhよりも小さく、硬質の樹脂材料で構成された保護部材5とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御基板に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、ヘッドライト、電装品等の各種機器を制御する多数の回路装置(制御基板)が搭載されている。この回路装置としては、導体回路上に複数の半導体素子や電子部品が実装された電子回路基板と、半導体素子、電子部品を導体回路ごと封止する樹脂封止材とを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。樹脂封止材で封止する理由としては、例えば、厳しい条件下での使用を考慮し、湿気による電子部品間での電流のリークや基板のパターン間での電流のリークを防止することが望まれるからである。また、半導体素子、電子部品の実装済み基板の部品面上及び半田面上に防湿剤(タフィー、シリコン等)を塗布する防湿処理を施す場合もある。
【0003】
この特許文献1に記載されているような回路装置は、例えばアルミニウム製のケースに収納された状態で、自動車に搭載されるのが一般的である。このため、ケースを用いる分だけその大きさが大きくなり、結果、自動車の総重量が増大してしまうという問題があった。
【0004】
また、半導体素子、その他の電子部品は、通電により発熱を伴うものであるため、その熱を放熱する必要がる。半導体素子、電子部品で生じた熱は、その一部がケースを介して外部に放熱されるが、残りはケース内こもることとなる。さらに、特許文献1に記載された回路装置は、半導体素子、電子部品が樹脂封止材に埋設された状態となっており、ケースに収納された状態であることと相まって、十分な放熱が不可能となるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−303216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、小型化を図ることができ、放熱性に優れた制御基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)〜(14)の本発明により達成される。
(1) 導体回路を有する回路基板と、
前記回路基板上に配置され、前記導体回路に電気的に接続された少なくとも1つの半導体素子と、
前記回路基板上に前記半導体素子と異なる位置に配置され、前記導体回路に電気的に接続された複数の端子と、該複数の端子を収納し、前記回路基板に対し立設したハウジングとを有するコネクタと、
前記導体回路を覆うように層状に設けられ、厚さが前記ハウジングの高さよりも小さく、硬質の樹脂材料で構成された保護部材とを備えることを特徴とする制御基板。
【0008】
(2) 前記半導体素子は、複数配置され、互いに厚さが異なるものであり、
前記保護部材の厚さは、前記複数の半導体素子のうちの厚さが最大の半導体素子の厚さよりも大きい上記(1)に記載の制御基板。
【0009】
(3) 前記半導体素子は、複数配置され、互いに厚さが異なるものであり、
前記保護部材の厚さは、前記複数の半導体素子のうちの厚さが最大の半導体素子の厚さと同じかまたはそれよりも小さい上記(1)に記載の制御基板。
【0010】
(4) 前記厚さが最大の半導体素子の厚さは、前記ハウジングの高さよりも小さい上記(2)または(3)に記載の制御基板。
【0011】
(5) 前記保護部材は、前記半導体素子と前記ハウジングとを一括して固定する機能を有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の制御基板。
【0012】
(6) 前記保護部材と前記ハウジングとの間には、間隙が形成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の制御基板。
【0013】
(7) 前記保護部材は、該保護部材が未だ載置されていない状態の前記回路基板上に液状の前記樹脂材料を供給し、固化して形成されるものであり、
前記回路基板は、前記ハウジングが配置される部分に、前記液状の樹脂材料が前記ハウジングに到達するのを阻止する阻止部を有する上記(6)に記載の制御基板。
【0014】
(8) 前記樹脂材料は、前記半導体素子の外装部の構成材料よりも軟質なものである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の制御基板。
【0015】
(9) 前記回路基板は、前記導体回路を支持し、金属材料で構成された支持板と、該支持板と前記導体回路との間に形成され、前記支持板と前記導体回路とを絶縁する絶縁層とを有し、
前記支持板は、前記半導体素子が発した熱を放熱する機能を有する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の制御基板。
【0016】
(10) 前記保護部材は、前記半導体素子が発した熱を放熱する機能を有する上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の制御基板。
【0017】
(11) 前記各端子は、それぞれ、前記回路基板に対し垂直方向に起立するピンで構成されている上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の制御基板。
【0018】
(12) 前記ハウジングは、筒体で構成されている上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の制御基板。
【0019】
(13) 前記コネクタは、光を照射する光源に接続され、
前記半導体素子は、前記光源を制御するものである上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の制御基板。
【0020】
(14) 当該制御基板は、自動車に搭載されるものであり、前記光源は、前記自動車のヘッドライトである上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の制御基板。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、保護部材で導体回路や半導体素子を確実に保護することができる程度に、保護部材の厚さをできる限り抑えることができる。その結果、制御基板の小型化を図ることができる。
【0022】
また、半導体素子が発した熱を保護部材と回路基板とで放熱することができ、よって、制御基板は、全体として放熱性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の制御基板の第1実施形態を示す部分断面図である。
【図2】図1に示す制御基板を製造する工程を順に示す部分断面図である。
【図3】図1に示す制御基板を製造する工程を順に示す部分断面図である。
【図4】本発明の制御基板の第2実施形態を示す部分断面図である。
【図5】本発明の制御基板の第3実施形態を示す部分断面図である。
【図6】図5に示す制御基板を製造する工程を順に示す部分断面図である。
【図7】図5に示す制御基板を製造する工程を順に示す部分断面図である。
【図8】本発明の制御基板の第4実施形態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の制御基板を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の制御基板の第1実施形態を示す部分断面図、図2および図3は、それぞれ、図1に示す制御基板を製造する工程を順に示す部分断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図3中(図4〜図7についても同様)の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。また、図1中では、見易くするために制御基板の大きさを誇張して模式的に図示しており、制御基板と自動車との大きさの比率は実際とは大きく異なる。
【0025】
図1に示すように、制御基板1は、自動車20に搭載され、その前方に向かって光を照射するヘッドライト(光源)201の例えばON/OFF(点燈/消灯)を制御するものである。なお、ヘッドライト201は、図1に示す構成では多数の発光ダイオード素子(LED)202が配置されたものとなっているが、これに限定されず、例えば、ディスチャージを有するものであってもよい。
【0026】
制御基板1は、回路基板2と、半導体素子3aおよび3bと、コネクタ4と、保護部材5とを備えている。以下、各部の構成について説明する。
【0027】
回路基板2は、自動車20のエンジンルーム内に配置されている。回路基板2は、平面視で長方形をなしており、各角部には、それぞれ、厚さ方向に貫通する貫通孔21が形成されている。そして、回路基板2は、各貫通孔21にそれぞれボルト30が挿入され、当該ボルト30を介してエンジンルームを画成する壁部203に固定されている。
【0028】
この回路基板2は、支持板22と、支持板22上に形成された絶縁層23と、絶縁層23上に形成された導体回路24とを有する積層体で構成されている。
【0029】
支持板22は、導体回路24を支持するベースとなるものである。支持板22は、金属材料で構成され、特に、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成されているのが好ましい。支持板22がアルミニウムまたはその合金で構成されている場合、当該支持板22は、熱伝導性が比較的高いものとなり、よって、半導体素子3aおよび3b、その他、コネクタ4や導体回路24が発した熱を確実に放熱することができる。
【0030】
支持板22の厚さとしては、特に限定されないが、例えば、1〜5mmであるのが好ましく、1〜2mmであるのがより好ましい。支持板22の厚さをこのような数値範囲に設定することにより、回路基板2を自動車20に載置可能な程度の強度に確保することができる。また、回路基板2が比較的薄いものとなり、制御基板1の小型化にも寄与する。さらに、前記熱を効率よく放熱することができる。
【0031】
絶縁層23は、支持板22と導体回路24との間に形成され、支持板22と導体回路24とを絶縁する層である。この絶縁層23により、導体回路24のショート(短絡)を確実に防止することができる。絶縁層23の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、各種樹脂材料が挙げられ、特に、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂が好ましい。
【0032】
また、絶縁層23の厚さとしては、例えば、50〜200μmであるのが好ましく、80〜150μmであるのがより好ましい。
【0033】
導体回路24は、導電性を有する金属材料で構成されたものである。この導体回路24は、絶縁層23の上面全面に積層された金属箔をエッチングにより所定のパターンに形成したものである。なお、導体回路24を構成する金属材料としては、特に限定されないが、例えば、銅を好適に用いることができる。これにより、比較的抵抗値が小さい導体回路24となる。
【0034】
導体回路24の厚さとしては、例えば、10〜200μmであるのが好ましく、18〜70μmであるのがより好ましい。
【0035】
また、導体回路24には、その少なくとも一部を覆うように形成された被覆層(ソルダーレジスト層)25が積層されている。これにより、導体回路24を保護することができ、よって、例えば、導体回路24の劣化やショートを防止することができる。なお、導体回路24の半導体素子3aおよび3bが接続される部分は、被覆層25が省略されており、露出している。また、被覆層25の構成材料としては、特に限定されず、例えば、絶縁層23と同様の樹脂材料を用いることができる。
【0036】
被覆層25の厚さとしては、例えば、10〜100μmであるのが好ましく、10〜30μmであるのがより好ましい。
【0037】
図1に示すように、回路基板2上には、ヘッドライト201の作動を制御する半導体素子3aおよび3bが配置されている。半導体素子3aおよび3bは、それぞれ、その全体形状が板状をなすものであり、互いに厚さが異なるものである。図1に示す構成では、半導体素子3aは、その厚さtが半導体素子3bの厚さtよりも大きく、ハウジング42の高さhよりも小さいものである。
【0038】
半導体素子3aと半導体素子3bとの構成は、ほぼ同じであるため、以下、半導体素子について代表的に説明する。
【0039】
半導体素子3aの内部には、銅等の導電性金属材料で構成される配線パターン(図示せず)が、所定形状で設けられている。この配線パターンは、下面31から突出した複数の端子32に電気的に接続されている。そして、各端子32がそれぞれ導体回路24と接合され、これにより、半導体素子3aが導体回路24と電気的に接続されることとなる。なお、各端子32は、それぞれ、例えば、半田、銀ろう、銅ろう、燐銅ろうのようなろう材を主材料として構成されている。
【0040】
なお、半導体素子3aの外装部を構成するモールド部33は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のような熱硬化性樹脂で構成されている。
【0041】
図1に示すように、回路基板2上には、半導体素子3aおよび3bと異なる位置にコネクタ4が配置されている。コネクタ4は、中継ケーブル204を介して、ヘッドライト201に接続されている。なお、中継ケーブル204のヘッドライト201と反対側の端部には、コネクタ4と接続されるコネクタ205が設置されている。
【0042】
コネクタ4は、いわゆる「オス側」のコネクタであり、複数のピン(端子)41と、これらのピン41を一括して収納するハウジング42とを有している。
【0043】
各ピン41は、それぞれ、銅等の導電性金属材料で構成され、導体回路24に電気的に接続されている。そして、各ピン41と、いわゆる「メス側」のコネクタ205の各端子(図示せず)とが嵌合により接続することができる。
【0044】
ハウジング42は、筒体で構成され、回路基板2に対し立設している。そして、ハウジング42に収納された各ピン41も回路基板2に対し垂直方向に、すなわち、鉛直上方に向かって起立している。これにより、コネクタ4に中継ケーブル204のコネクタ205を接続する際、コネクタ205を上方から差し込むことができ、その接続作業を容易に行なうことができる。
【0045】
なお、ハウジング42の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、半導体素子3aのモールド部33の構成材料と同様の熱硬化性樹脂が用いることができる。
【0046】
図1に示すように、保護部材5は、導体回路24や半導体素子3aおよび3b、特に、導体回路24と半導体素子3aおよび3bとの接続部を覆うものである。この保護部材5は、硬質の樹脂材料で構成され、層状に設けられている。これにより、半導体素子3aおよび3bや、コネクタ4(ハウジング42)を一括して固定することができる。従って、自動車20が走行しているときにその振動が制御基板1に伝達したとしても、当該振動による半導体素子3a、3bやコネクタ4の離脱を確実に防止することができる。
【0047】
保護部材5を構成する硬質の樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、半導体素子3aのモールド部33やハウジング42の構成材料と同様の熱硬化性樹脂を用いることができ、特にエポキシ樹脂、フェノール樹脂が好ましい。
【0048】
制御基板1では、保護部材5の厚さtは、ハウジング42の高さhよりも小さく、かつ、半導体素子3aの厚さtよりも大きい。すなわち、保護部材5の上面51は、鉛直方向で、ハウジング42の上面421と半導体素子3aの上面34との間に位置している。これにより、保護部材5で半導体素子3a等を確実に保護することができる程度に、保護部材5の厚さtをできる限り抑えることができる。その結果、制御基板1の小型化(軽量化)を図ることができる。
【0049】
また、保護部材5は、硬質ものものであるため、従来のように車積時にアルミニウム製のケースで制御基板1を覆わなくとも、半導体素子3a等を確実に保護することができる。このように、制御基板1では、車積時に用いられる従来のアルミニウム製のケースを省略することができ、その省略した分だけ、自動車20の総重量を抑えることができる。
【0050】
また、図1に示すように、半導体素子3a等が保護部材5に埋設された状態となるため、これらに対する防水・防塵機能が発揮される。
【0051】
保護部材5を構成する樹脂材料には、アルミナ等の金属酸化物、窒化ホウ素等の窒化物に代表される電気絶縁性かつ高熱伝導性フィラーを充填されているのが好ましい。これにより、保護部材5を介して、半導体素子3a等が発した熱の放熱が促進される。そして、この放熱と、前述した支持板22を介しての放熱とが相まって、制御基板1は、全体として放熱性に極めて優れたものとなる。
【0052】
次に、制御基板1を製造する方法について、図2、図3を参照しつつ説明する。
まず、図2(a)に示すように、回路基板2と、半導体素子3aおよび3bと、コネクタ4とを用意する。
【0053】
次に、図2(b)に示すように、回路基板2の所定の箇所に、半導体素子3aおよび3bと、コネクタ4とをそれぞれ、例えば半田(図示せず)を介して接合する。
【0054】
次に、図2(c)に示すように、半導体素子3a、3b、コネクタ4が接合された状態(保護部材5が未だ載置されていない状態)の回路基板2に対し、その上方から金型40を装着する。この金型40は、保護部材5を成形するものであり、そのキャビティ401の形状は、保護部材5の外形形状に対応している。
【0055】
そして、金型40に形成された供給口402から、保護部材5となる液状の樹脂材料5’をキャビティ401内(回路基板2上)に供給する。これにより、キャビティ401内全体に液状の樹脂材料5’が充填される。
【0056】
次に、図3(d)に示すように、液状の樹脂材料5’は、自然冷却または強制冷却により固化して保護部材5となる。
【0057】
次に、図3(e)に示すように、金型40を上方に退避させて、離型する。これにより、制御基板1が得られる。
【0058】
なお、液状の樹脂材料5’は、固化して保護部材5となるものであるが、その固化した状態は、半導体素子3a、3bのモールド部33、ハウジング42の構成材料よりも軟質であるのが好ましい。液状の樹脂材料5’は、固化するときに半導体素子3a、3b、ハウジング42に対し力を作用させてしまうが、前述したように軟質であれば、当該力で半導体素子3a等に位置ズレを生じさせてしまうのを確実に防止することができる。
【0059】
このような液状の樹脂材料5’とする方法としては、特に限定されないが、例えば、液状の樹脂材料5’の濃度を調整する方法等が挙げられる。
【0060】
<第2実施形態>
図4は、本発明の制御基板の第2実施形態を示す部分断面図である。
【0061】
以下、この図を参照して本発明の制御基板の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、保護部材の厚さが異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0062】
図4に示すように、保護部材5Aは、その厚さtが半導体素子3aの厚さtと同じものとなっている。これにより、半導体素子3aの上面34が露出することとなり、よって、当該半導体素子3aが発した熱を上面34から直接的に放熱することができる。これにより、制御基板1は、さらに放熱性に優れたものとなる。
【0063】
なお、保護部材5Aの厚さtは、図4に示す構成では半導体素子3aの厚さtと同じであるが、これに限定されず、例えば、厚さtよりも小さくてもよい。
【0064】
<第3実施形態>
図5は、本発明の制御基板の第3実施形態を示す部分断面図、図6および図7は、それぞれ、図5に示す制御基板を製造する工程を順に示す部分断面図である。
【0065】
以下、これらの図を参照して本発明の制御基板の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0066】
本実施形態は、保護部材とコネクタとの位置関係が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0067】
図5に示すように、保護部材5Bとコネクタ4のハウジング42の外周面422との間には、間隙52が形成されている。この間隙52を介してコネクタ4が発した熱を放熱することができる。
【0068】
なお、間隙52は、保護部材5Bを成形する際に形成されるものである。以下、これについて、図6、図7を参照しつつ、本実施形態の制御基板1を製造する方法とともに説明する。
【0069】
まず、図6(a)に示すように、回路基板2Bと、半導体素子3aおよび3bと、コネクタ4とを用意する。回路基板2Bには、コネクタ4が配置される部分に、被覆層25の厚さが厚くなった阻止部251が形成されている。阻止部251は、平面視でハウジング42の外周面422の周方向に沿ったリング状をなし、液状の樹脂材料5’が外周面422に到達するのを阻止する部分である。この阻止部251の厚さは、被覆層25のそれ以外の部分の厚さの1.2〜4倍であるのが好ましく、1.5〜3倍であるのがより好ましい。
【0070】
次に、図6(b)に示すように、回路基板2Bの所定の箇所に、半導体素子3aおよび3bと、コネクタ4とをそれぞれ、例えば半田(図示せず)を介して接合する。
【0071】
次に、図6(c)に示すように、半導体素子3a、3b、コネクタ4が接合された状態の回路基板2Bに対し、その上方から金型40Bを装着する。この金型40Bは、保護部材5Bを成形するものであり、そのキャビティ401の形状は、保護部材5Bの外形形状に対応している。また、金型40Bは、阻止部251に対向する部分に、筒状に突出した筒状部403を有している。この筒状部403で間隙52を形成することができる。
【0072】
そして、金型40Bの供給口402から液状の樹脂材料5’をキャビティ401内に供給する。これにより、キャビティ401内全体に液状の樹脂材料5’が充填される。このとき、液状の樹脂材料5’は、阻止部251および筒状部403により、ハウジング42の外周面422に到達するのが阻止される。これにより、例えばハウジング42と各ピン41との間に隙間が形成されていたとしても、当該隙間を介して液状の樹脂材料5’がハウジング42に流入するのを確実に防止することができる。
【0073】
次に、図7(d)に示すように、液状の樹脂材料5’は、自然冷却または強制冷却により固化して保護部材5Bとなる。
【0074】
次に、図7(e)に示すように、金型40Bを上方に退避させて、離型する。これにより、間隙52が形成された制御基板1が得られる。
【0075】
<第4実施形態>
図8は、本発明の制御基板の第4実施形態を示す部分断面図である。
【0076】
以下、この図を参照して本発明の制御基板の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0077】
本実施形態は、半導体素子の他にトランスが搭載されていることが異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0078】
図8に示すように、回路基板2上には、半導体素子3aの他に、電子部品として、トランス11が配置されている。このトランス11は、導体回路24と電気的に接続されている。また、トランス11は、その厚さが半導体素子3aよりも小さいものである。これにより、保護部材5の厚さtをできる限り抑えることができ、よって、制御基板1の小型化を図ることができる。
【0079】
なお、回路基板2上に実装される電子部品としては、トランスに限定されず、例えば、ノイズフィルタ、コンデンサ、抵抗器等であってもよい。
【0080】
以上、本発明の制御基板を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、制御基板を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0081】
また、本発明の制御基板は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0082】
また、本発明の制御基板は、自動車に搭載されている場合、ヘッドライトを制御するよう構成されたものであるが、これに限定されず、例えば、電装品の電子制御するよう構成されたものでもよい。
【0083】
また、本発明の制御基板が搭載されるものとしては、前記各実施形態では自動車であったが、これに限定されず、例えば、船舶、航空機、鉄道車両でもよい。
【0084】
また、回路基板上には、前記第1〜第3実施形態では2つの半導体素子が配置され、前記第4実施形態では、1つの半導体素子が配置されているが、これに限定されず、例えば、3つ以上の半導体素子が配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 制御基板
2、2B 回路基板
21 貫通孔
22 支持板
23 絶縁層
24 導体回路
25 被覆層(ソルダーレジスト層)
251 阻止部
3a、3b 半導体素子
31 下面
32 端子
33 モールド部
34 上面
4 コネクタ
41 ピン(端子)
42 ハウジング
421 上面
422 外周面
5、5A、5B 保護部材
5’ 液状の樹脂材料
51 上面
52 間隙
11 トランス
20 自動車
201 ヘッドライト(光源)
202 発光ダイオード素子(LED)
203 壁部
204 中継ケーブル
205 コネクタ
30 ボルト
40、40B 金型
401 キャビティ
402 供給口
403 筒状部
、t、t 厚さ
高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体回路を有する回路基板と、
前記回路基板上に配置され、前記導体回路に電気的に接続された少なくとも1つの半導体素子と、
前記回路基板上に前記半導体素子と異なる位置に配置され、前記導体回路に電気的に接続された複数の端子と、該複数の端子を収納し、前記回路基板に対し立設したハウジングとを有するコネクタと、
前記導体回路を覆うように層状に設けられ、厚さが前記ハウジングの高さよりも小さく、硬質の樹脂材料で構成された保護部材とを備えることを特徴とする制御基板。
【請求項2】
前記半導体素子は、複数配置され、互いに厚さが異なるものであり、
前記保護部材の厚さは、前記複数の半導体素子のうちの厚さが最大の半導体素子の厚さよりも大きい請求項1に記載の制御基板。
【請求項3】
前記半導体素子は、複数配置され、互いに厚さが異なるものであり、
前記保護部材の厚さは、前記複数の半導体素子のうちの厚さが最大の半導体素子の厚さと同じかまたはそれよりも小さい請求項1に記載の制御基板。
【請求項4】
前記厚さが最大の半導体素子の厚さは、前記ハウジングの高さよりも小さい請求項2または3に記載の制御基板。
【請求項5】
前記保護部材は、前記半導体素子と前記ハウジングとを一括して固定する機能を有する請求項1ないし4のいずれかに記載の制御基板。
【請求項6】
前記保護部材と前記ハウジングとの間には、間隙が形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の制御基板。
【請求項7】
前記保護部材は、該保護部材が未だ載置されていない状態の前記回路基板上に液状の前記樹脂材料を供給し、固化して形成されるものであり、
前記回路基板は、前記ハウジングが配置される部分に、前記液状の樹脂材料が前記ハウジングに到達するのを阻止する阻止部を有する請求項6に記載の制御基板。
【請求項8】
前記樹脂材料は、前記半導体素子の外装部の構成材料よりも軟質なものである請求項1ないし7のいずれかに記載の制御基板。
【請求項9】
前記回路基板は、前記導体回路を支持し、金属材料で構成された支持板と、該支持板と前記導体回路との間に形成され、前記支持板と前記導体回路とを絶縁する絶縁層とを有し、
前記支持板は、前記半導体素子が発した熱を放熱する機能を有する請求項1ないし8のいずれかに記載の制御基板。
【請求項10】
前記保護部材は、前記半導体素子が発した熱を放熱する機能を有する請求項1ないし9のいずれかに記載の制御基板。
【請求項11】
前記各端子は、それぞれ、前記回路基板に対し垂直方向に起立するピンで構成されている請求項1ないし10のいずれかに記載の制御基板。
【請求項12】
前記ハウジングは、筒体で構成されている請求項1ないし11のいずれかに記載の制御基板。
【請求項13】
前記コネクタは、光を照射する光源に接続され、
前記半導体素子は、前記光源を制御するものである請求項1ないし12のいずれかに記載の制御基板。
【請求項14】
当該制御基板は、自動車に搭載されるものであり、前記光源は、前記自動車のヘッドライトである請求項1ないし13のいずれかに記載の制御基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−253946(P2011−253946A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127021(P2010−127021)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】