説明

制御装置及び供給電力特定方法

【課題】 自立運転状態において、太陽電池が供給可能な電力を特定することを可能とする制御装置及び供給電力特定方法を提供する。
【解決手段】 PCS200は、太陽電池11の動作点を記憶する記憶部240と、太陽電池11の動作点を制御する制御部250とを備える。制御部250は、太陽電池11が電力系統から解列された自立運転状態において、所定時点における太陽電池11の動作点及び記憶部240に記憶された情報に基づいて、所定時点における環境条件に対応する特性カーブを特定し、特定された特性カーブに基づいて、所定時点において太陽電池11が負荷13に供給可能な最大供給電力を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池及び負荷を有する電力管理システムに設けられる制御装置及び電力管理システムに適用される供給電力特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池の出力(発電能力)を最大化するために、太陽電池の動作点(動作点電圧値と電力値とによって定まる点、或いは、動作点電圧値と電流値とによって定まる点)を変化させる技術が知られている。このような技術は、MPPT(Maximum Power Point Tracking)法と称される。
【0003】
ここで、最適動作点の学習によって、太陽電池の動作点を速やかに最適動作点に近づける技術が提案されている(例えば、特許文献1)。詳細には、以下に示す動作によって、太陽電池を制御する。
【0004】
(1) 予め日射量などの動作条件をパラメータとして、太陽電池の特性カーブ(例えば、I−V特性)を測定する
(2) 作条件における最適動作点を求める
(3) 現在のI−V特性に基づいて、実際の動作条件を推定する
(4) 動作条件に対応する最適動作点を制御目標として、太陽電池を制御する
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−234733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、太陽電池が電力系統に連系された状態では、単純に、最適動作点を制御目標として太陽電池を制御すればよい。これに対して、太陽電池が電力系統から解列された状態(以下、自立運転状態)では、太陽電池に接続された負荷の消費電力に応じて、太陽電池の動作点が自動的に変わってしまう。
【0007】
発明者らは、鋭意検討の結果、自立運転状態において、太陽電池の動作点が自動的に変わってしまった場合に、どれだけの電力を供給することができるのか不明であるという課題を着想した。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、自立運転状態において、太陽電池が供給可能な電力を特定することを可能とする制御装置及び供給電力特定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の特徴に係る制御装置は、太陽電池及び負荷を有する電力管理システムに設けられる。制御装置は、前記太陽電池の動作点を記憶する記憶部と、前記太陽電池の動作点を制御する制御部とを備える。前記制御部は、前記太陽電池が電力系統から解列された自立運転状態において、所定時点における前記太陽電池の動作点及び前記記憶部に記憶された情報に基づいて、前記所定時点における環境条件に対応する特性カーブを特定し、特定された特性カーブに基づいて、前記所定時点において前記太陽電池が前記負荷に供給可能な最大供給電力を特定する。
【0010】
第1の特徴において、制御装置は、特定された最大供給電力を表示によって出力し、或いは、特定された最大供給電力を音声によって出力する出力部をさらに備える。
【0011】
第1の特徴において、制御装置は、特定された最大供給電力に基づいて、前記太陽電池によって供給可能な残り電力量を表示によって出力し、或いは、特定された最大供給電力に基づいて、前記太陽電池によって供給可能な残り電力量を音声によって出力する出力部をさらに備える。
【0012】
第1の特徴において、前記制御部は、少なくとも1つの環境条件に対応する特性カーブを学習して、学習された特性カーブを前記記憶部に記憶する。
【0013】
第1の特徴において、前記記憶部には、前記特性カーブが予め記憶されている。
【0014】
第2の特徴において、供給電力特定方法は、太陽電池及び負荷を有する電力管理システムに適用される。供給電力特定方法は、前記太陽電池が電力系統から解列された自立運転状態において、所定時点における前記太陽電池の動作点に基づいて、前記所定時点における環境条件に対応する特性カーブを特定するステップAと、前記ステップAで特定された特性カーブに基づいて、前記所定時点において前記太陽電池が前記負荷に供給可能な最大供給電力を特定するステップBとを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、自立運転状態において、太陽電池が供給可能な電力を特定することを可能とする制御装置及び供給電力特定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、第1実施形態に係る電力管理システム100の構成を示す図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る需要家10の構成を示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る太陽電池11の特性カーブを示す図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る特性カーブの学習を説明するための図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係る電源タップ300を示す図である。
【図6】図6は、第1実施形態に係る負荷13の接続例を示す図である。
【図7】図7は、第1実施形態に係る供給電力特定方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、本発明の実施形態に係る電力管理システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0018】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0019】
[実施形態の概要]
実施形態に係る制御装置は、太陽電池及び負荷を有する電力管理システムに設けられる。制御装置は、前記太陽電池の動作点を記憶する記憶部と、前記太陽電池の動作点を制御する制御部とを備える。前記制御部は、前記太陽電池が電力系統から解列された自立運転状態において、所定時点における前記太陽電池の動作点及び前記記憶部に記憶された情報に基づいて、前記所定時点における環境条件に対応する特性カーブを特定し、特定された特性カーブに基づいて、前記所定時点において前記太陽電池が前記負荷に供給可能な最大供給電力を特定する。
【0020】
実施形態では、制御部は、所定時点における環境条件に対応する特性カーブを特定して、特定された特性カーブに基づいて、最大供給電力を特定する。言い換えると、自立運転状態において、太陽電池の動作点が自動的に変わってしまった場合であっても、最大供給電力を特定することができる。これによって、自立運転状態において、どれだけの電力を供給することができるのかを把握することが可能である。
【0021】
[第1実施形態]
(電力管理システム)
以下において、第1実施形態に係る電力管理システムの構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る電力管理システム100を示す図である。
【0022】
図1に示すように、電力管理システム100は、需要家10と、EMS20と、変電所30と、スマートサーバ40と、発電所50とを有する。なお、需要家10、EMS20、変電所30及びスマートサーバ40は、ネットワーク60によって接続されている。
【0023】
需要家10は、太陽電池などの分散電源を有する。また、需要家10は、分散電源として、蓄電池などを有していてもよい。なお、需要家10は、例えば、一戸建ての住宅であってもよく、マンションなどの集合住宅であってもよく、ビルなどの商用施設であってもよい。
【0024】
第1実施形態では、複数の需要家10によって、需要家群10A及び需要家群10Bが構成されている。需要家群10A及び需要家群10Bは、例えば、地理的な地域によって分類される。
【0025】
EMS20は、複数の需要家10と電力系統との間の連系を制御する。なお、EMS20は、複数の需要家10を管理するため、CEMS(Cluster Energy Management System)と称されることもある。具体的には、EMS20は、停電時などにおいて、複数の需要家10と電力系統との間を解列する。一方で、EMS20は、復電時などにおいて、複数の需要家10と電力系統との間を連系する。
【0026】
第1実施形態では、EMS20A及びEMS20Bが設けられている。EMS20Aは、例えば、需要家群10Aに含まれる需要家10と電力系統との間の連系を制御する。EMS20Bは、例えば、需要家群10Bに含まれる需要家10と電力系統との間の連系を制御する。
【0027】
変電所30は、複数の需要家10に対して、配電線31を介して電力を供給する。具体的には、変電所30は、発電所50から供給される電圧を降圧する。
【0028】
第1実施形態では、変電所30A及び変電所30Bが設けられている。変電所30Aは、例えば、需要家群10Aに含まれる需要家10に対して、配電線31Aを介して電力を供給する。変電所30Bは、例えば、需要家群10Bに含まれる需要家10に対して、配電線31Bを介して電力を供給する。
【0029】
スマートサーバ40は、複数のEMS20(ここでは、EMS20A及びEMS20B)を管理する。また、スマートサーバ40は、複数の変電所30(ここでは、変電所30A及び変電所30B)を管理する。言い換えると、スマートサーバ40は、需要家群10A及び需要家群10Bに含まれる需要家10を統括的に管理する。スマートサーバ40は、例えば、需要家群10Aに供給すべき電力と需要家群10Bに供給すべき電力とのバランスを取る機能を有する。
【0030】
発電所50は、火力、風力、水力、原子力などによって発電を行う。発電所50は、複数の変電所30(ここでは、変電所30A及び変電所30B)に対して、送電線51を介して電力を供給する。
【0031】
(需要家)
以下において、第1実施形態に係る需要家の構成について、図面を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態に係る需要家10の構成を示す図である。なお、図2では、需要家10に設けられるPCS(Power Conditioning System)について主として説明する。
【0032】
図2に示すように、需要家10は、太陽電池11を有する。また、需要家10は、太陽電池11と電力系統(配電線31)との間の連系/解列を切り替えるスイッチ12を有する。さらに、需要家10は、太陽電池11を制御するPCS200を有する。
【0033】
なお、スイッチ12がオフである場合に、需要家10の状態は、太陽電池11が電力系統(配電線31)から解列された状態(以下、自立運転状態)である。自立運転状態では、太陽電池11(PCS200)に接続される負荷13の消費電力に応じて、太陽電池の動作点が自動的に変わることに留意すべきである。負荷13は、例えば、冷蔵庫、照明、エアコンなどである。
【0034】
また、スイッチ12がオンである場合に、需要家10の状態は、太陽電池11が電力系統(配電線31)に連系された状態(連系状態)である。連系状態においては、太陽電池11によって発電された電力を売電することが可能である。
【0035】
PCS200は、昇圧回路210と、インバータ回路220と、検出回路230と、記憶部240と、制御部250と、出力部260とを有する。
【0036】
昇圧回路210は、太陽電池11及びインバータ回路220に接続される。昇圧回路210は、太陽電池11から出力される電力の電圧を昇圧する。
【0037】
インバータ回路220は、昇圧回路210に接続されており、スイッチ12を介して電力系統(配電線31)に接続される。インバータ回路220は、電力系統(配電線31)から供給される交流電力を直流電力に変換する。インバータ回路220は、昇圧回路210から供給される直流電力を交流電力に変換する。
【0038】
検出回路230は、太陽電池11から出力される電力の値を検出する。具体的には、検出回路230は、太陽電池11から出力される電力の電圧値(V)及び電流値(I)を検出する。
【0039】
記憶部240は、各種情報を記憶する。例えば、記憶部240は、太陽電池11の動作点の推移を示す特性カーブを記憶する。特性カーブは、太陽電池11の動作点の推移を示す特性である。例えば、特性カーブは、太陽電池11の出力電流値(I)及び太陽電池11の出力電圧値(V)の関係を示すI−V特性(曲線)である。或いは、太陽電池11の出力電力値(W)及び太陽電池11の出力電圧値(V)の関係を示す出力特性(曲線)であってもよい。
【0040】
第1実施形態では、特性カーブが出力特性(曲線)であるケースについて例示する。例えば、特性カーブは、図3に示すように、太陽電池11の動作電力点の推移を示すカーブで表現される。太陽電池11が動作する環境条件に応じて特性カーブが異なるため、図3では、6種類のカーブ(カーブC1〜カーブC6)が示されている。
【0041】
なお、環境条件は、例えば、日射量、太陽電池11のパネル温度などの情報である。ここでは、環境条件として日射量を例に挙げて説明する。
【0042】
図3に示すように、日射量が最も多い場合に、特性カーブはカーブC1である。日射量が最も少ない場合に、特性カーブはカーブC6である。このように、日射量が多いほど、太陽電池11の出力電力値(W)が大きい。
【0043】
なお、カーブC1〜カーブC6のうち、既知の日射量と対応付けられたカーブを用いて、他のカーブを推定することが可能である。従って、記憶部240に記憶されるカーブは、カーブC1〜カーブC6のいずれかであってもよい。なお、1つのカーブが記憶部240に記憶される場合には、最も日射量が多いときのカーブC1が記憶部240に記憶されていることが好ましい。
【0044】
ここで、特性カーブは、予め記憶部240に記憶されていてもよい。このようなケースでは、特性カーブは、太陽電池11の構造(例えば、結晶系又は薄膜系)に応じて異なることに留意すべきである。或いは、特性カーブは、太陽電池11のメーカに応じて異なることに留意すべきである。
【0045】
特性カーブは、太陽電池11の設置後において、学習によって記憶部240に記憶されていてもよい。なお、学習方法の詳細については後述する(図4を参照)。
【0046】
制御部250は、昇圧回路210及び検出回路230に接続される。制御部250は、昇圧回路210のパルス制御によって、太陽電池11の動作点を制御する。ここでは、連系状態において、制御部250は、MPPT(Maximum Power Point Tracking)法に従って、太陽電池11の動作点を制御する。
【0047】
具体的には、制御部250は、太陽電池11が電力系統から解列された自立運転状態において、所定時点における太陽電池11の動作点及び記憶部240に記憶された情報に基づいて、所定時点における環境条件に対応する特性カーブを特定する。続いて、制御部250は、特定された特性カーブに基づいて、所定時点において太陽電池11が負荷13に供給可能な最大供給電力を特定する。
【0048】
例えば、自立運転状態において、最大供給電力を特定する方法について、図3を参照しながら説明する。ここで、所定時点において、太陽電池11の動作点がPであるケースについて説明する。すなわち、太陽電池11の出力電力値がW1であり、太陽電池11の出力電圧値がV1である。また、太陽電池11の動作点は、上述した検出回路230によって検出可能であることは勿論である。
【0049】
なお、自立運転状態においては、太陽電池11の出力電力値は、負荷13の消費電力に応じて自動的に変化することに留意すべきである。
【0050】
このようなケースにおいて、第1に、制御部250は、カーブC1〜カーブC6に基づいて、動作点Pを通るカーブを特定する。ここでは、動作点Pを通るカーブがカーブC3であるケースについて例示している。しかしながら、動作点Pを通るカーブが存在しなくても、動作点Pの近くの点を通るカーブに基づいて、動作点Pを通るカーブが特定されてもよい。
【0051】
第2に、制御部250は、特定されたカーブ(ここでは、カーブC3)上において、太陽電池11の最適動作点PMAXを特定する。制御部250は、最適動作点PMAXに対応する電力W3を最大供給電力として特定する。
【0052】
なお、太陽電池11が電力系統に連系された連系状態においては、太陽電池11の動作点が最適動作点に近づけられる。従って、連系状態において、太陽電池11の出力電力値がW1である場合には、太陽電池11の出力電圧値はV2であることに留意すべきである。
【0053】
以下において、特性カーブの学習について、図4を参照しながら説明する。制御部250は、少なくとも1つの環境条件に対応する特性カーブを学習して、学習された特性カーブを記憶部240に記憶する。
【0054】
詳細には、第1に、制御部250は、図4に示すように、所定期間(例えば、1ヶ月)において、太陽電池11の動作点をプロットする。なお、動作点のプロットは、連系状態において行われるため、太陽電池11の動作点は、最適動作点と略等しいことに留意すべきである。なお、太陽電池11の動作点は、上述した検出回路230によって検出されることに留意すべきである。
【0055】
第2に、制御部250は、動作点のプロット結果に基づいて、環境条件(例えば、日射量)毎の最適動作点を推定して、最適動作点、短絡電流値及び開放電圧値に基づいて特性カーブを学習する。なお、短絡電流値及び開放電圧値は既知であることに留意すべきである。
【0056】
なお、制御部250は、太陽電池11の出力電力値が最も大きい最適動作点PPEAKのみを推定して、最適動作点PPEAK、短絡電流値及び開放電圧値に基づいて特性カーブを学習する。このようなケースでは、環境条件(例えば、日射量)毎の最適動作点を推定しなくてもよい。
【0057】
図2に戻って、出力部260は、例えば、ディスプレイやスピーカなどである。出力部260は、特定された最大供給電力を表示によって出力してもよい。或いは、出力部260は、特定された最大供給電力を音声によって出力する。或いは、出力部260は、特定された最大供給電力に基づいて、太陽電池11によって供給可能な残り電力量(すなわち、追加可能な負荷13の消費電力量)を表示によって出力してもよい。出力部260は、特定された最大供給電力に基づいて、太陽電池11によって供給可能な残り電力量(すなわち、追加可能な負荷13の消費電力量)を音声によって出力してもよい。
【0058】
例えば、出力部260の構成例について、図5を参照しながら説明する。図5は、PCS200に設けられる自立運転用コンセントに差し込む電源タップ300を示す図である。電源タップ300は、複数のコンセント(コンセント311〜コンセント313)を有する。なお、各コンセントに割り振られた番号(ここでは、“1”、“2”及び“3”)は、コンセントの優先順位を示している。
【0059】
出力部260は、電源タップ300に設けられている。ここでは、出力部260がレベルメータであるケースについて例示する。例えば、出力部260は、使用電力を所定色(例えば、“赤”)で表示し、残り電力量を所定色(例えば、“緑”)で表示する。
【0060】
なお、太陽電池11によって供給される電力量が下がった場合には、下位の番号が割り振られたコンセントから順に電力を遮断してもよい。或いは、電力を遮断するためのリレーや半導体スイッチを内蔵し、かつ、各コンセントに大容量コンデンサを内蔵してもよい。
【0061】
このような電源タップ300を用いることによって、例えば、図6に示すように、最大供給可能量に追随して、各コンセントに電力が供給される。なお、負荷Aは、優先順位“1”が割り振られたコンセント311に接続された負荷であり、負荷Bは、優先順位“2”が割り振られたコンセント312に接続された負荷であり、負荷Cは、優先順位“3”が割り振られたコンセント313に接続された負荷である。
【0062】
(供給電力特定方法)
以下において、第1実施形態に係る供給電力特定方法について、図面を参照しながら説明する。図7は、第1実施形態に係る供給電力特定方法を示すフロー図である。
【0063】
図7に示すように、ステップ10において、制御部250は、太陽電池11が電力系統から解列された自立運転状態において、所定時点における太陽電池11の動作点及び記憶部240に記憶された情報に基づいて、所定時点における環境条件に対応する特性カーブを特定する。
【0064】
ステップ20において、制御部250は、特定された特性カーブに基づいて、所定時点において太陽電池11が負荷13に供給可能な最大供給電力を特定する。
【0065】
(作用及び効果)
第1実施形態では、制御部250は、所定時点における環境条件に対応する特性カーブ特定して、特定された特性カーブに基づいて、最大供給電力を特定する。言い換えると、自立運転状態において、太陽電池11の動作点が自動的に変わってしまった場合であっても、最大供給電力を特定することができる。これによって、自立運転状態において、どれだけの電力を供給することができるのかを把握することが可能である。
【0066】
第1実施形態では、出力部260は、最大供給電力或いは残り電力量を出力する。従って、自立運転状態において、どれだけの電力を供給することができるのかを容易に把握することが可能である。また、電源タップ300で供給される電力量が下がった場合に優先順位の低いコンセントから順に電力を遮断することにより、PCS200を停止せずに駆動させることができる。このような遮断を行わない場合は、一般にハンチング動作防止のため、PCS200を一旦停止し、日射量が改善されて再び電力が確保できても手動で復帰操作をする必要があったが、本実施形態の自動的な遮断・復帰の調整により、PCS200自体を停止することを避けることができる。
【0067】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0068】
実施形態では、環境条件が日射量であるケースについて主として説明した。しかしながら、環境条件は、太陽電池11のパネル温度、気温、湿度などであってもよい。例えば、太陽電池11のパネル温度を検出する温度センサが設けられている場合には、制御部250は、パネル温度に基づいて特性カーブを補正してもよい。同様に、気温や湿度などを検出する気象センサが設けられている場合には、制御部250は、気温や湿度などに基づいて特性カーブを補正してもよい。
【符号の説明】
【0069】
10…需要家、11…太陽電池、12…スイッチ、13…負荷、20…EMS、30…変電所、31…配電線、40…スマートサーバ、50…発電所、51…送電線、60…ネットワーク、100…電力管理システム、200…PCS、210…昇圧回路、220…インバータ回路、230…検出回路、240…記憶部、250…制御部、260…出力部、300…電源タップ、311〜313…コンセント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池及び負荷を有する電力管理システムに設けられる制御装置であって、
前記太陽電池の動作点を記憶する記憶部と、
前記太陽電池の動作点を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記太陽電池が電力系統から解列された自立運転状態において、所定時点における前記太陽電池の動作点及び前記記憶部に記憶された情報に基づいて、前記所定時点における環境条件に対応する特性カーブを特定し、
特定された特性カーブに基づいて、前記所定時点において前記太陽電池が前記負荷に供給可能な最大供給電力を特定することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
特定された最大供給電力を表示によって出力し、或いは、特定された最大供給電力を音声によって出力する出力部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
特定された最大供給電力に基づいて、前記太陽電池によって供給可能な残り電力量を表示によって出力し、或いは、特定された最大供給電力に基づいて、前記太陽電池によって供給可能な残り電力量を音声によって出力する出力部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、少なくとも1つの環境条件に対応する特性カーブを学習して、学習された特性カーブを前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記記憶部には、前記特性カーブが予め記憶されていることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
太陽電池及び負荷を有する電力管理システムに適用される供給電力特定方法であって、
前記太陽電池が電力系統から解列された自立運転状態において、所定時点における前記太陽電池の動作点に基づいて、前記所定時点における環境条件に対応する特性カーブを特定するステップAと、
前記ステップAで特定された特性カーブに基づいて、前記所定時点において前記太陽電池が前記負荷に供給可能な最大供給電力を特定するステップBとを備えることを特徴とする供給電力特定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−226501(P2012−226501A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92529(P2011−92529)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】