説明

加圧酸素溶解装置

【課題】 酸素の気体又は水圧にて加圧することにより、酸素の気体を大幅に水中に溶解すると共に、水中の溶存酸素量を向上する加圧酸素溶解装置を提供する。
【解決手段】 中空構造である容器と、前記容器の内部に設けられ、気体交換のための少なくとも一枚の波浪プレートと、前記容器内における各波浪プレートに設けられ、気体交換のための少なくとも一つの酸素滞在交換部と、前記容器の上方に設けられ、水を前記容器の内部に注入するための入水口と、前記容器の下方に設けられ、水を前記容器の内部から排出するための排水口と、前記容器の下方に設けられ、ピュア酸素を前記容器の内部に注入するための気体注入口と、を備えることを特徴とする加圧酸素溶解装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素の気体を水中に溶解させる装置であり、特に酸素の気体又は水圧にて加圧することにより、酸素の気体を大幅に水中に溶解すると共に、水中の溶存酸素量を向上する加圧酸素溶解装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸素は、大部分の生物に対して生命を維持するため不可欠の基本要素であり、そして、溶存酸素量の低い水中で水中の生物は充分の酸素量を取るため大変の力が掛かり、且つ水中の溶存酸素量は、環境の変化と伴い変化し、例えば外部の太陽照り又は空気との接触面積の大きさなど、従って、溶存酸素量は、水域生物の成長又は繁殖の重要な要因と指標として使用されている。養殖業者は、養殖池の溶存酸素量の不足による養殖生物が病気を発生する又は死亡によりその利益を損することを防止するために、大部分の業者は、水車を設置して水面を攪動することにより、空気と水との接触面積を増加し、空気における酸素の気体が水中に溶解する速度を加速すると共に、水中の溶存酸素量が向上する目的を達成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現在、一般の養殖業界に使用される水車、或いは酸素の気体を水中に溶解させる装置は、空気における酸素の気体が水中に溶解することが可能であるが、その酸素の気体の溶解方式は、酸素の気体の溶解度が低く、且つ溶解速度が遅い。空気を直接に水中に打ち込む場合、水に直接に吸収される酸素の気体量は、およそ10%以下であり、他の90%は直接に大気に戻す。従って、酸素の気体を如何に有効に利用することにより水中の溶存酸素量を増加するのは、かかる業者より解決しようとする課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前記従来の水車にて水中の溶存酸素量を向上できない問題に鑑み、水中の溶存酸素の飽和量を増加できる加圧酸素溶解装置を提供することを目的とする。
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は下記の手段を採用する。本発明に係わる加圧酸素溶解装置は、中空構造である容器と、前記容器の内部に設けられ、気体交換のための少なくとも一枚の波浪プレートと、前記容器内における各波浪プレートに設けられ、気体交換のための少なくとも一つの酸素滞在交換部と、前記容器の上方に設けられ、水を前記容器の内部に注入するための入水口と、前記容器の下方に設けられ、水を前記容器の内部から排出するための排水口と、前記容器の下方に設けられ、ピュア酸素を前記容器の内部に注入するための気体注入口と、を備えることを特徴とする。
【0006】
又、前記容器の材質は、アクリル又は金属である。
【0007】
また更に、前記入水口の前端には、水中の雑質をろ過するフィルター装置が設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上記の構成を有するため、下記のような効果を達成できる。
(1)気圧による加圧ではなく、水圧によって酸素の気体を水中に溶解する量を増加する。気圧によって未溶解の酸素の気体を加圧すると、回収して再利用するのは難しい。
(2)液体と気体との接触面積を向上することにより、気体を速めに水中に溶解できる。
(3)水中に未溶解の酸素の気体が容器に残留し、水中に溶解した酸素の気体だけ下方の排水口から流出することができ、従って、酸素の気体の利用率は、100%に達することができる。
(4)本発明の波浪プレートは、水流の攪動を増加するため設けられるものであり、波浪プレートと波浪プレートとの間に設けられる空間は、各波浪プレートに気体が回流して混合することを防止するため設けられるものであり、水流の攪動によって液体と気体との接触面積を増加することにより、気体の交換速度を加速し、従って、下方から取得する水に大量の酸素を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係わる加圧酸素溶解装置を示す平面図である。
【図2】本発明に係わる加圧酸素溶解装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。尚、下記実施例は、本発明の好適な実施の形態を示したものにすぎず、本発明の技術的範囲は、下記実施例そのものに何ら限定されるものではない。
【0011】
図1を参照する。図1は、本発明に係わる加圧酸素溶解装置を示す平面図であり、本発明に係わる加圧酸素溶解装置は、中空であって圧力に耐える容器(10)(本発明の実施例において、前記容器(10)は円柱体である)と、前記容器(10)の内部に設けられ、気体交換のための少なくとも一枚の波浪プレート(20)と、前記容器(10)の上方に設けられ、水を前記容器(10)の内部に注入するための入水口(A)と、前記容器(10)の下方に設けられ、水を前記容器(10)の内部から排出するための排水口(B)と、前記容器(10)の下方に設けられ、ピュア酸素を前記容器(10)の内部に注入するための気体注入口(C)と、を備える。
【0012】
水が前記入水口(A)から進入し、上方から下方まで流れ行く。一般の水には、水中の溶存酸素量が約2〜5ppmであり、水中に溶解した気体の20%であり、他の80%の気体は、窒素の気体(N)、二酸化炭素(CO)及び他の気体を含む。ピュア酸素が気体注入口(C)から進入し、前記容器(10)のサイズに応じて注入の気体量を制御する。前記波浪プレート(20)は、波浪形の界面である。符号E、F乃至Lは、酸素滞在交換部であり、その目的は、水の撹動を作り出し、水と酸素の気体との接触面積を増加する。各波浪プレート(20)は、一つ乃至複数の酸素滞在交換部を有する。
【0013】
本発明を使用する際、酸素の気体が前記容器(10)の下方における気体注入口(C)から前記容器(10)の内部に進入され、各酸素滞在交換部(E)(F)(G)(I)(J)(K)(L)に充満される。進入される酸素の気体が所定の圧力に達した後、水が前記容器(10)の上方における入水口(A)から前記容器(10)の内部に進入され、酸素の気体を充満される酸素滞在交換部(E)(F)(G)(I)(J)(K)(L)に一層ずつ流れ行き、この時、酸素の気体が自然的に水中に溶解され、そして圧力によって溶存酸素量が大幅に向上し、その後、酸素の気体(O)が飽和される水が前記排水口(B)から流れ出す。
【0014】
前記の構成で、酸素の気体を大量に水に溶解すると共に、酸素の気体の使用率が100%に達する。水が下方へ、気体が上方へ、気体が自動的に溶解する原理によって酸素の気体が水に溶解し、水中の溶存酸素を飽和させる目的を達成する。
【0015】
本発明を使用する際、酸素の気体が先に前記容器(10)に進入され、その時、前記容器(10)内の圧力が1ATMよりやや大きく、その後、加圧によって水を進入させ、この時の圧力は、1ATM以上、15ATM以下である。
【0016】
水圧が所定の圧力に達すると、酸素の気体がヘンリーの法則(Henry’s Law)に従って水に溶解され、しかし、溶解速度は、液体と気体との接触面積の大きさにより異なり、複数の波浪プレート(20)と複数の酸素滞在交換部(E)(F)(G)(I)(J)(K)(L)は、溶解速度を加速するために設けられるものである。
【0017】
下方における排水口(B)は、溶存酸素量が高い水を排出する。所定量の水を排出した後、加圧によって水を入水口(A)から進入することを制御する。
【0018】
更に、進入される水量又は圧力を計算し、或いは前記容器(10)の内部に感知センサーが設けられ、酸素の気体量を測り出すことにより、水中に進入した酸素の気体量、未溶解の酸素の気体量を計算することができ、酸素の気体量が所定数値より低い時に、下方における気体注入口(C)から酸素の気体を注入することができる。
【0019】
図2を参照する。図2は、本発明に係わる加圧酸素溶解装置を示す斜視図であり、本発明に係わる加圧酸素溶解装置は、容器(10)と波浪プレート(20)を有し、図面に示すように、本発明に係わる加圧酸素溶解装置の全体構成を簡単に理解できる。
【0020】
又、本発明の装置は、他の気体をろ過するために使用してもよく、酸素の気体を収集するために使用されるには限られない。
【0021】
前記容器(10)の材質は、プラスチック素材(例えばアクリル、ガラスファイバーなど)、カーボンファイバー又は金属(例えばステンレススチール、金、銀、銅、鉄など)である。
【0022】
前記入水口(A)の前端には、水中の雑質をろ過するためのフィルター装置が設けられ、或いは前記入水口(A)の前端には、水源(例えば水道水の水源、タンク水の水源など)が連接される。
【0023】
本発明は、下方における気体注入口(C)から酸素の気体で加圧し、又は上方における入水口(A)から水で加圧し、或いは下方における気体注入口(C)から酸素の気体で加圧すると共に、上方における入水口(A)から水で加圧することにより、所定の圧力に達することができるので、酸素の気体が水に溶解される速度を加速することができる。
【0024】
更に、本発明の波浪プレート(20)は、水流の攪動を増加するため設けられるものであり、波浪プレート(20)と波浪プレート(20)との間に設けられる空間は、各波浪プレートに気体が回流して混合することを防止するため設けられるものであり、水流の攪動によって液体と気体との接触面積を増加することにより、気体の交換速度を加速し、従って、下方から取得する水に大量の酸素を含むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は上記の構成を有するので、酸素の気体又は水圧にて加圧することにより、酸素の気体を大幅に水中に溶解すると共に、水中の溶存酸素量を向上する加圧酸素溶解装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0026】
10 容器
20 波浪プレート
A 入水口
B 排水口
C 気体注入口
E 酸素滞在交換部
F 酸素滞在交換部
G 酸素滞在交換部
I 酸素滞在交換部
J 酸素滞在交換部
K 酸素滞在交換部
L 酸素滞在交換部
M 他の気体滞在部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、
前記容器の内部に設けられ、気体交換のための少なくとも一枚の波浪プレートと、
前記容器内における各波浪プレートに設けられ、気体交換のための少なくとも一つの酸素滞在交換部と、
前記容器の上方に設けられ、水を前記容器の内部に注入するための入水口と、
前記容器の下方に設けられ、水を前記容器の内部から排出するための排水口と、
前記容器の下方に設けられ、ピュア酸素を前記容器の内部に注入するための気体注入口と、を備えることを特徴とする加圧酸素溶解装置。
【請求項2】
前記容器の材質は、プラスチック素材であることを特徴とする請求項1に記載の加圧酸素溶解装置。
【請求項3】
前記容器の材質は、カーボンファイバーであることを特徴とする請求項1に記載の加圧酸素溶解装置。
【請求項4】
前記容器の材質は、金属であることを特徴とする請求項1に記載の加圧酸素溶解装置。
【請求項5】
前記容器は、円柱体であることを特徴とする請求項1に記載の加圧酸素溶解装置。
【請求項6】
前記入水口の前端には、水中の雑質をろ過するためのフィルター装置が設けられることを特徴とする請求項1に記載の加圧酸素溶解装置。
【請求項7】
前記入水口の前端には、水源が連接されることを特徴とする請求項1に記載の加圧酸素溶解装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−515594(P2013−515594A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545048(P2012−545048)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【国際出願番号】PCT/CN2009/076075
【国際公開番号】WO2011/075915
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(511200845)
【Fターム(参考)】