説明

半導体集積回路の検査方法および検査装置

【課題】 IDDQ測定値の変動傾向による異常電流検出精度の低下を改善可能な検査方法および検査装置を提供する。
【解決手段】 検査パターンを順次切り替えながら静止電源電流測定を繰返し実施して、検査パターンの各々に対応した静止電源電流測定データの系列を得る過程と、静止電源電流測定データの系列を、測定順に、検査パターンの全数より少ない数の静止電源電流測定データからなる部分系列に分割する過程と、部分系列ごとに、静止電源電流測定データを使用して良否判定指標を算出し、良否判定規格値と比較することにより検査対象の半導体集積回路の良否判定を行う過程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静止電源電流(Quiescent Power Supply Current;以下、IDDQと表記する)を用いた半導体集積回路の検査方法および検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IDDQ検査は、半導体集積回路の検査方法の1つであり、検査対象の半導体集積回路が静止状態にある場合の電源電流の値により同回路中に故障があるかどうかを判定するものである。
【0003】
一般に、CMOS回路においては、各段の出力端子を中心にして電源側にP型MOSトランジスタが、接地側にN型MOSトランジスタがそれぞれ接続されている。各段の入力端子に与えられたパターンにかかわらずP型およびN型MOSトランジスタの相補的な性質により、電源・接地間の全ての経路上に少なくとも1つのOFF状態のトランジスタが存在する。
【0004】
したがって、従来、故障のない正常なCMOS回路では、静止状態において電源・接地間に流れる電流、すなわち電源電流はMOSトランジスタの漏れ電流によるものとなり、その値は非常に小さいのが通例であった。
【0005】
これに対してCMOS回路中に故障が存在する場合は、静止状態において漏れ電流以外の電流が流れる場合がある。例えば、2本の隣接する配線が何らかの異物により短絡している場合、CMOS回路が一方の配線を電源レベルに、他方の配線を接地レベルにそれぞれ駆動するような内部状態にあるとき、その異物を介して電源・接地間に正常なCMOS回路ではあり得ない電流経路が形成されてしまう。このとき漏れ電流に比べて大きな電流が流れるため、IDDQ測定値と単一・固定の設定値を比較することにより容易に故障が検出される。
【0006】
しかし、製造プロセスの微細化が進み、MOSトランジスタの漏れ電流が増加するとともに集積規模も増大してきたため、正常なCMOS回路におけるIDDQの値が大幅に増加してきた。この結果、IDDQ測定値中の故障起因の電流成分が相対的に小さくなり、故障検出の精度が低下してきた。同時に、製造条件の変動に対するIDDQのばらつきも大きくなっており、上記のような単一・固定の設定値との比較によるIDDQ検査は、実質的に不可能な状況になりつつある。
【0007】
以上説明したようなIDDQ検査の問題点を改善し、微細プロセスを使用した半導体集積回路においてもIDDQ検査を有効に適用するため、幾つかの手法が提案されている。これらの手法では、検査対象の半導体集積回路に対し、外部より検査パターンを与える等して順次、複数の異なる内部状態に設定し、それぞれの内部状態におけるIDDQを測定する。そして、全てのIDDQ測定値を対象として所定のデータ処理を実施することにより、IDDQ測定値における半導体集積回路が正常な場合の電流成分を相殺し、故障起因の電流成分を検出する。具体例として、以下の2例を示す。
【0008】
ΔIDDQ法:故障による電流成分がIDDQ測定値間の差分により算出されるとの考えに基づく手法である。差分の取り方の例としては、全測定値中の最大値と最小値の間で差分を取るなどがあり、差分値が設定値を超えた場合、検査対象の半導体集積回路を不良品と判定する(非特許文献1参照)。
【0009】
Current Ratio法:同一種類の半導体集積回路において、IDDQ測定値の最大値と最小値の比が、良品個体間でほぼ一定となる性質を利用する手法である。事前の評価によりIDDQが最小となる内部状態を予め決定し、最大値と最小値の比を求めておく。良否判定のための設定値としては上限と下限の2つがあり、上限は予め決定した内部状態でのIDDQ測定値と上記の比の積にマージンを加えたものとし、下限は予め決定した内部状態でのIDDQ測定値からマージンを差し引いたものとする(特許文献1、非特許文献2参照)。
【0010】
以下、既存のIDDQ検査改善手法について説明する。
【0011】
図7は、IDDQ検査改善手法を実施するための検査装置の構成例を示すブロック図である。図7に示す検査装置400は、検査パターン印加装置410、電源電流測定装置420、良否判定指標算出装置440、良否判定装置450、および、制御装置470から構成される。
【0012】
検査パターン印加装置410は、制御装置470からの検査パターン制御信号471に従って検査対象の半導体集積回路490に対して検査パターン411を印加する。検査パターン411には、半導体集積回路490の内部状態設定のためのデータパターン、および、IDDQ測定モード設定をはじめとするモード設定パターンが含まれている。
【0013】
電源電流測定装置420は、電源421が検査対象の半導体集積回路490に電源電流を供給する経路上に配置され、制御装置470からの電流測定指示信号472に従って電源電流を測定する。測定結果を電源電流測定データ422として出力する。
【0014】
良否判定指標算出装置440は、制御装置470からのデータ取り込み指示信号473に従って電源電流測定データ422を取り込み、格納する。また、制御装置470からの良否判定指標算出指示信号475に従って格納済みの電源電流測定データ422を用いて良否判定指標441を算出、出力する。
【0015】
良否判定装置450は、良否判定指標441を取り込み、内部に格納されている良否判定規格値と比較して、検査対象の半導体集積回路490の良否判定を行い、良否判定結果451を出力する。
【0016】
以上説明した各装置の動作を踏まえて、制御装置470の動作、および、検査装置400によるIDDQ検査について説明する。以下、検査パターンとしては100パターンが準備されているものとする。
(1)制御装置470は、検査パターン制御信号471を通じて検査パターン印加装置410に検査パターンの出力を開始させる。同検査パターンによる半導体集積回路490の内部状態設定が完了すると半導体集積回路490はIDDQ測定モードに設定される。
(2)制御装置470は、電流測定指示信号472を出力する。電源電流測定装置420は、電流測定指示信号472を受けてIDDQ測定を実行し、測定結果を電源電流測定データ422として出力する。
(3)制御装置470は、データ取り込み指示信号473を出力する。良否判定指標算出装置440は、データ取り込み指示信号473を受けて電源電流測定データ422を取り込む。検査手法としてΔIDDQ法を採用する場合には、良否判定指標算出装置440が新規に電源電流測定データ422を取り込む度に、測定済みの電源電流測定データ422の中から選別され格納されている最大値および最小値のデータと比較して、電源電流測定データ422の最大値および最小値のデータを更新する。Current Ratio法の場合は、上記の動作に加えて、事前の評価において設定されたIDDQ測定値が最小となる検査パターンに対応する電源電流測定データ422を識別するために、データ取り込み指示信号473に追加情報を付加したものを使用する。良否判定指標算出装置440は、データ取り込み指示信号473がIDDQ最小設定データを示す場合のみ、電源電流測定データ422を他のデータと区別して格納する。
(4)(1)〜(3)を100回繰返して、100個の検査パターンに対応した100個のIDDQ測定値中の最大値および最小値のデータが良否判定指標算出装置440に格納される。Current Ratio法の場合は、上記のデータに加えて、予め設定されたIDDQ測定値が最小となる検査パターンに対応する電源電流測定データ422が別途格納されている。
(5)制御装置470は、良否判定指標算出指示信号475を出力する。良否判定指標算出装置440は、良否判定指標算出指示信号475を受けて格納済みのデータを用いて良否判定指標を算出し、結果を出力する。ΔIDDQ法の場合は、最終更新された電源電流測定データ422の中の最大値および最小値のデータの差分を計算して、良否判定指標441として出力する。Current Ratio法の場合は、別途格納されたIDDQ最小設定データから良否判定の上限および下限を計算し、最終更新された電源電流測定データ422の最大値および最小値のデータからそれぞれ差し引いたものを良否判定指標441として出力する。
(6)良否判定装置450は、良否判定指標441を取り込み、内部に格納されている良否判定規格値と比較して良否判定を行い、結果を出力する。
【特許文献1】特開2000−171529号公報
【非特許文献1】A. C. Miller, “IDDQ Testing In Deep Submicron Integrated Circuits”, Proceedings International Test Conference, pp724-729, 1999
【非特許文献2】P. Maxwell et al., “Current Ratios: A Self-Scaling Technique for Production IDDQ Testing”, Proceedings International Test Conference, pp738-746, 1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、現実に半導体集積回路製品の量産出荷検査にIDDQ検査を導入する場合には、検査時間の短縮のため、半導体集積回路の内部状態設定のための検査パターンの実行とIDDQ測定の間には測定安定化のための最低限の待ち時間しか設定できない。また、IDDQ測定後、次の検査パターンの実行開始までの期間においても、電源電圧の開閉動作は行われず、検査対象の半導体集積回路には常に電源電流が流れている状態にある。
【0018】
上記のような検査環境においては、IDDQ測定値の系列に図8(a)に示すような増加傾向が見られる。ここで、横軸は実行順序に従って割り当てられた検査パターンの番号であり、縦軸は各検査パターンに対するIDDQ測定値である。局所的な検査パターン番号間のIDDQ測定値の変動幅に比べて大きな幅の変動がIDDQ測定値の系列全体に亘って現れている。
【0019】
また、IDDQ検査の直前にIDDQ測定対象回路が高い頻度で動作する検査項目がある場合には、IDDQ測定値の系列に図8(b)に示すような減少傾向が見られる。
【0020】
IDDQ測定値の系列に図8に示すような変動傾向がある場合、このIDDQ測定値の系列に一律にデータ処理を実施すると、故障検出能力が低下する。すなわち、故障起因の電流成分の割合が低下するため検出精度が低下する。また、故障起因の電流成分がごく限られた検査パターンにおいてのみ現れる場合においては、その発生箇所によっては本来IDDQ測定値中の最大値であるべきものが特性変動分に隠蔽され、全く検出されない事態が発生する。
【0021】
したがって、本発明の目的は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、量産出荷検査という制約の厳しい検査環境において、IDDQ測定値の変動傾向による異常電流検出精度の低下を改善可能とし、IDDQ検査を有効に実施することができる半導体集積回路の検査方法および検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1記載の半導体集積回路の検査方法は、検査対象の半導体集積回路に対して検査パターンを印加し、前記検査対象の半導体集積回路の内部状態を設定した後、前記検査対象の半導体集積回路を静止状態に設定して電源電流を測定する静止電源電流測定を用いた半導体集積回路の検査方法であって、前記検査パターンを順次切り替えながら前記静止電源電流測定を繰返し実施して、前記検査パターンの各々に対応した静止電源電流測定データの系列を得る過程と、前記静止電源電流測定データの前記系列を、測定順に、前記検査パターンの全数より少ない数の前記静止電源電流測定データからなる部分系列に分割する過程と、前記部分系列ごとに、前記静止電源電流測定データを使用して良否判定指標を算出し、良否判定規格値と比較することにより前記検査対象の半導体集積回路の良否判定を行う過程とを含む。
【0023】
請求項2記載の半導体集積回路の検査方法は、検査対象の半導体集積回路に対して検査パターンを印加し、前記検査対象の半導体集積回路の内部状態を設定した後、前記検査対象の半導体集積回路を静止状態に設定して電源電流を測定する静止電源電流測定を用いた半導体集積回路の検査方法であって、前記検査パターンを順次切り替えながら前記静止電源電流測定を繰返し実施して、前記検査パターンの各々に対応した静止電源電流測定データの系列を得る過程と、前記静止電源電流測定データの前記系列全体の変動傾向を算出する過程と、前記静止電源電流測定データに対して前記変動傾向を相殺する補正を適用して静止電源電流補正済みデータを算出する過程と、前記静止電源電流補正済みデータを使用して良否判定指標を算出し、良否判定規格値と比較することにより前記検査対象の半導体集積回路の良否判定を行う過程とを含む。
【0024】
請求項3記載の半導体集積回路の検査方法は、検査対象の半導体集積回路に対して検査パターンを印加し、前記検査対象の半導体集積回路の内部状態を設定した後、前記検査対象の半導体集積回路を静止状態に設定して電源電流を測定する静止電源電流測定を用いた半導体集積回路の検査方法であって、前記検査パターンを順次切り替えながら前記静止電源電流測定を繰返し実施して、前記検査パターンの各々に対応した静止電源電流測定データの系列を得る過程と、前記静止電源電流測定データの前記系列を、測定順に、前記検査パターンの全数より少ない数の前記静止電源電流測定データからなる部分系列に分割する過程と、前記静止電源電流測定データの前記部分系列ごとに、前記部分系列全体の変動傾向を算出する過程と、前記静止電源電流測定データに対して前記変動傾向を相殺する補正を適用して静止電源電流補正済みデータを算出する過程と、前記静止電源電流補正済みデータを使用して良否判定指標を算出し、良否判定規格値と比較することにより前記検査対象の半導体集積回路の良否判定を行う過程とを含む。
【0025】
請求項4記載の半導体集積回路の検査方法は、請求項3記載の半導体集積回路の検査方法において、前記静止電源電流測定データの前記部分系列のうち1つ以上において、前記部分系列全体の前記変動傾向を算出する過程、および、前記変動傾向を相殺する前記補正を適用して前記静止電源電流補正済みデータを算出する過程を実施せず、前記静止電源電流測定データをそのまま前記静止電源電流補正済みデータとする。
【0026】
請求項5記載の半導体集積回路の検査装置は、検査対象の半導体集積回路に対して内部状態設定のための検査パターンを印加する検査パターン印加装置と、前記検査対象の半導体集積回路の電源電流を測定し、前記検査パターンに対応した電源電流測定データを出力する電源電流測定装置と、前記電源電流測定装置から取り込んだ前記電源電流測定データを使用して前記良否判定指標を算出し、出力する良否判定指標算出装置と、前記良否判定指標と良否判定規格値を比較して、前記検査対象の半導体集積回路の良否判定を行い、良否判定結果を出力する良否判定装置と、前記電源電流の測定回数を計数し、計数結果が所定の回数に達したときは前記良否判定指標算出装置に対して、検査開始あるいは前回の前記良否判定指標の出力以降に取り込んだ前記電源電流測定データに基づいて前記良否判定指標の算出を指示し、前記計数結果を初期化する計数装置と、前記検査パターン印加装置に対して検査パターンの印加、保持および選択に関する制御を行い、前記電源電流測定装置に対する電源電流測定の実施を指示し、前記良否判定指標算出装置に対して前記電源電流測定データの取り込みを指示する制御装置とを備えた。
【0027】
請求項6記載の半導体集積回路の検査装置は、検査対象の半導体集積回路に対して検査パターンを印加する検査パターン印加装置と、前記検査対象の半導体集積回路の電源電流を測定し、前記検査パターンに対応した電源電流測定データを出力する電源電流測定装置と、前記電源電流測定装置から検査開始以降に取り込んだ前記電源電流測定データの変動傾向を算出し、前記電源電流測定データに対して前記変動傾向を相殺する補正を適用した結果を電源電流補正済みデータとして出力するデータ補正装置と、前記電源電流補正済みデータを使用して良否判定指標を算出し、出力する良否判定指標算出装置と、前記良否判定指標と良否判定規格値を比較して、前記検査対象の半導体集積回路の良否判定を行い、良否判定結果を出力する良否判定装置と、前記検査パターン印加装置に対して検査パターンの印加、保持および選択に関する制御を行い、前記電源電流測定装置に対する電源電流測定の実施を指示し、前記データ補正装置に対して前記電源電流測定データの取り込みを指示し、前記検査パターンの全てに対応した前記電源電流測定データが得られた後に前記データ補正装置に対して前記変動傾向の算出、および、前記補正の適用を指示し、前記良否判定指標算出装置に対して前記良否判定指標の算出を指示する制御装置とを備えた。
【0028】
請求項7記載の半導体集積回路の検査装置は、検査対象の半導体集積回路に対して検査パターンを印加する検査パターン印加装置と、前記検査対象の半導体集積回路の電源電流を測定し、電源電流測定データを出力する電源電流測定装置と、前記電源電流測定装置から取り込んだ前記電源電流測定データの変動傾向を算出し、前記電源電流測定データに対して前記変動傾向を相殺する補正を適用した結果を前記電源電流補正済みデータとして出力するデータ補正装置と、前記電源電流補正済みデータを使用して良否判定指標を算出し、出力する良否判定指標算出装置と、前記良否判定指標と良否判定規格値を比較して、前記検査対象の半導体集積回路の良否判定を行い、良否判定結果を出力する良否判定装置と、電源電流の測定回数を計数し、計数結果が所定の回数に達したときは前記データ補正装置に対して、検査開始あるいは前回の前記電源電流補正済みデータ出力以降に取り込んだ前記電源電流測定データに基づいて前記変動傾向の算出、および、前記補正の適用を指示し、前記良否判定指標算出装置に対して、検査開始あるいは前回の前記良否判定指標出力以降に取り込んだ前記電源電流補正済みデータに基づいて良否判定指標の算出を指示し、前記計数結果を初期化する計数装置と、前記検査パターン印加装置に対して検査パターンの印加、保持および選択に関する制御を行い、前記電源電流測定装置に対する電源電流測定の実施を指示し、前記データ補正装置に対して前記電源電流測定データの取り込みを指示する制御装置とを備えた。
【0029】
請求項8記載の半導体集積回路の検査装置は、請求項7記載の半導体集積回路の検査装置において、前記計数装置は、予め設定された特定のときにおいて、前記計数結果が所定の回数に達していても前記データ補正装置に対して前記変動傾向の算出、および、前記補正の適用の指示を行わず、前記データ補正装置は、前記変動傾向の算出、および、前記補正の適用の指示のないときに、前記電源電流測定データの変動傾向の算出、および、前記変動傾向を相殺する補正を実施せず、前記電源電流測定データをそのまま前記電源電流補正済みデータとして出力する。
【発明の効果】
【0030】
本発明の請求項1記載の半導体集積回路の検査方法によれば、静止電源電流測定データの系列を、測定順に、検査パターンの全数より少ない数の静止電源電流測定データからなる部分系列に分割する過程と、部分系列ごとに、静止電源電流測定データを使用して良否判定指標を算出し、良否判定規格値と比較することにより検査対象の半導体集積回路の良否判定を行う過程とを含むので、IDDQ測定値の系列全体を測定順に部分系列に分割することにより、IDDQ測定値の系列における変動傾向の影響を低減し、故障起因の電流成分の低下を改善できる。このため、異常電流の検出精度が向上する。また、故障起因の電流成分がごく限られた検査パターンにおいてのみ現れる場合において、本来IDDQ測定値中の最大値であるべきものが変動傾向の中に隠蔽される事態を回避できるため、やはり異常電流の検出精度が向上する。
【0031】
本発明の請求項2記載の半導体集積回路の検査方法によれば、静止電源電流測定データの系列全体の変動傾向を算出する過程と、静止電源電流測定データに対して変動傾向を相殺する補正を適用して静止電源電流補正済みデータを算出する過程と、静止電源電流補正済みデータを使用して良否判定指標を算出し、良否判定規格値と比較することにより検査対象の半導体集積回路の良否判定を行う過程とを含むので、IDDQ測定値の系列全体にかかる変動傾向を算出し、これを相殺する補正を適用することにより、IDDQ測定値の系列における変動傾向の影響を低減し、故障起因の電流成分の低下を解消できる。このため、異常電流の検出精度が向上する。また、請求項1と同様に本来IDDQ測定値中の最大値であるべきものが変動傾向の中に隠蔽される事態を回避できる。
【0032】
本発明の請求項3記載の半導体集積回路の検査方法によれば、静止電源電流測定データの系列を、測定順に、検査パターンの全数より少ない数の静止電源電流測定データからなる部分系列に分割する過程と、静止電源電流測定データの部分系列ごとに、部分系列全体の変動傾向を算出する過程と、静止電源電流測定データに対して変動傾向を相殺する補正を適用して静止電源電流補正済みデータを算出する過程と、静止電源電流補正済みデータを使用して良否判定指標を算出し、良否判定規格値と比較することにより検査対象の半導体集積回路の良否判定を行う過程とを含むので、IDDQ測定値の系列全体を測定順に部分系列に分割し、かつ、部分系列ごとにIDDQ測定値の変動傾向を算出し、これを相殺する補正を適用することにより、IDDQ測定値の系列における変動傾向の影響をより低減し、故障起因の電流成分の低下をより効果的に解消できる。このため、異常電流の検出精度が更に向上する。また、請求項1と同様に本来IDDQ測定値中の最大値であるべきものが変動傾向の中に隠蔽される事態を更に回避できる。
【0033】
請求項4では、静止電源電流測定データの部分系列のうち1つ以上において、部分系列全体の変動傾向を算出する過程、および、変動傾向を相殺する補正を適用して静止電源電流補正済みデータを算出する過程を実施せず、静止電源電流測定データをそのまま静止電源電流補正済みデータとするので、部分系列によって、IDDQ測定値の変動傾向の算出、および、これを相殺する補正の適用を回避することにより、事前の評価によりIDDQ測定値の変動傾向が明らかにされている場合には、異常電流の検出精度を低下させることなくデータ処理に要する時間が削減できる。このため、検査時間の短縮につながり、有効である。
【0034】
本発明の請求項5記載の半導体集積回路の検査装置によれば、電源電流の測定回数を計数し、計数結果が所定の回数に達したときは良否判定指標算出装置に対して、検査開始あるいは前回の良否判定指標の出力以降に取り込んだ電源電流測定データに基づいて良否判定指標の算出を指示し、計数結果を初期化する計数装置を備えているので、この計数装置によりIDDQ測定回数を計り、検査パターンの全数より小さい回数で良否判定指標の算出を指示することにより、IDDQ測定値の系列を部分系列に分割ことができる。このため、IDDQ測定値の変動傾向の影響を低減し、異常電流の検出精度が向上する。
【0035】
本発明の請求項6記載の半導体集積回路の検査装置によれば、電源電流測定装置から検査開始以降に取り込んだ電源電流測定データの変動傾向を算出し、電源電流測定データに対して変動傾向を相殺する補正を適用した結果を電源電流補正済みデータとして出力するデータ補正装置を備えているので、このデータ補正装置によりIDDQ測定値の変動傾向を算出し、これを相殺する補正を適用することにより、IDDQ測定値の変動傾向の影響を低減し、異常電流の検出精度が向上する。
【0036】
本発明の請求項7記載の半導体集積回路の検査装置によれば、電源電流測定装置から取り込んだ電源電流測定データの変動傾向を算出し、電源電流測定データに対して変動傾向を相殺する補正を適用した結果を電源電流補正済みデータとして出力するデータ補正装置と、電源電流の測定回数を計数し、計数結果が所定の回数に達したときはデータ補正装置に対して、検査開始あるいは前回の電源電流補正済みデータ出力以降に取り込んだ電源電流測定データに基づいて変動傾向の算出、および、補正の適用を指示し、良否判定指標算出装置に対して、検査開始あるいは前回の良否判定指標出力以降に取り込んだ電源電流補正済みデータに基づいて良否判定指標の算出を指示し、計数結果を初期化する計数装置とを備えているので、計数装置によりIDDQ測定回数を計り、検査パターンの全数より小さい回数でIDDQ測定値の変動傾向の算出およびこれを相殺する補正の適用を指示し、データ補正装置によりIDDQ測定値の変動傾向の算出およびこれを相殺する補正を適用することにより、IDDQ測定値の系列を部分系列に分割し、かつ、IDDQ測定値の変動傾向の影響を低減するため、異常電流の検出精度が向上する。
【0037】
請求項8では、計数装置は、予め設定された特定のときにおいて、計数結果が所定の回数に達していてもデータ補正装置に対して変動傾向の算出、および、補正の適用の指示を行わず、データ補正装置は、変動傾向の算出、および、補正の適用の指示のないときに、電源電流測定データの変動傾向の算出、および、変動傾向を相殺する補正を実施せず、電源電流測定データをそのまま電源電流補正済みデータとして出力するので、部分系列によって、IDDQ測定値の変動傾向の算出、および、これを相殺する補正の適用を回避するように計数装置およびデータ補正装置を動作させることにより、事前の評価によりIDDQ測定値の変動傾向が明らかにされている場合には、異常電流の検出精度を低下させることなくデータ処理に要する時間が削減できる。このため、検査時間の短縮につながり、有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明の第1の実施の形態を図1に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態の半導体集積回路の検査方法について示したものである。
【0039】
この半導体集積回路の検査方法は、検査対象の半導体集積回路に対して検査パターンを印加し、検査対象の半導体集積回路の内部状態を設定した後、検査対象の半導体集積回路を静止状態に設定して電源電流を測定する静止電源電流測定を用い、検査パターンを順次切り替えながら静止電源電流測定を繰返し実施して、検査パターンの各々に対応した静止電源電流測定データの系列を得る過程と、静止電源電流測定データの系列を、測定順に、検査パターンの全数より少ない数の静止電源電流測定データからなる部分系列に分割する過程と、部分系列ごとに、静止電源電流測定データを使用して良否判定指標を算出し、良否判定規格値と比較することにより検査対象の半導体集積回路の良否判定を行う過程とを含む。
【0040】
この場合、図中のグラフにおいて、横軸は実行順序に従って割り当てられた検査パターンの番号であり、本実施の形態においては第1パターンから第1000パターンまでとなっている。一方、縦軸は各検査パターンに対するIDDQ測定値である。
【0041】
グラフは、第1パターンから第1000パターンに対して得られたIDDQ測定値をプロットしたもので、第1測定値から第1000測定値からなる系列である。IDDQ測定値を◆で示してあり、異常電流成分がある場合を含んでいる。異常のない場合を◇で示してあり、両者の差が異常電流成分である。IDDQ検査を単独で実行した場合、あるいは、IDDQ検査の直前の検査項目においてIDDQ測定対象回路の動作頻度が低い場合には、図1に示すようにIDDQ測定値の系列に増加傾向の後、平坦な傾向となる。
【0042】
まず、1000個のIDDQ測定値の系列全体に対し、第1測定値から第10測定値までを第1部分系列に、第11測定値から第20測定値までを第2部分系列に、…、第991測定値から第1000測定値までを第100部分系列に、というように10個のIDDQ測定値からなる100の部分系列に分割する。
【0043】
次に、各部分系列ごとに良否判定指標を算出する。良否判定指標として最大値と最小値の差分を取るΔIDDQ法を採用した場合、まず、IDDQ測定値の第1部分系列において、第1測定値から第10測定値の中から最大、最小となる測定値を選択し、それらの差分を取って第1ΔIDDQ値とする。続いて、第2部分系列において、第11測定値から第20測定値の中から最大、最小となる測定値を選択し、それらの差分を取って第2ΔIDDQ値とする。以降、第3部分系列から第100部分系列まで同様にΔIDDQ値を算出することができ、それぞれ第3ΔIDDQ値、…、第100ΔIDDQ値が得られる。
【0044】
第1ΔIDDQ値、…、第100ΔIDDQ値は、良否判定規格値と比較され、検査対象の半導体集積回路の良否が判定される。IDDQ測定値の系列全体の中で最大値と最小値を求めてΔIDDQ値を算出する場合に比べて、異常電流の成分の割合が増加していることが分かる。
【0045】
なお、IDDQ測定値の系列全体を部分系列に分割する際、全ての部分系列において同数のIDDQ測定値を含む必要はない。例えば、IDDQ測定値の変動傾向が大きい箇所を細かく分割し、変動傾向の小さい箇所を粗く分割しても同様の効果が得られる。
【0046】
また、上記の説明では、一旦、IDDQ測定値の系列全体を取得しておき、後で部分系列への分割および良否判定指標の算出を実施するように記載したが、IDDQ測定値の取得と以降のデータ処理を並列して実施してもよい。すなわち、上記の例において、10個のIDDQ測定値が取得される毎にΔIDDQ値の算出を行い、その都度、良否判定規格値と比較して検査対象の半導体集積回路の良否判定を行うことも可能である。
【0047】
本発明の第2の実施の形態を図2に基づいて説明する。図2は、本発明の第2の実施の形態の半導体集積回路の検査方法について示したものである。
【0048】
この半導体集積回路の検査方法は、第1の実施形態と同様に静止電源電流測定を用い、検査パターンを順次切り替えながら静止電源電流測定を繰返し実施して、検査パターンの各々に対応した静止電源電流測定データの系列を得る過程と、静止電源電流測定データの系列全体の変動傾向を算出する過程と、静止電源電流測定データに対して変動傾向を相殺する補正を適用して静止電源電流補正済みデータを算出する過程と、静止電源電流補正済みデータを使用して良否判定指標を算出し、良否判定規格値と比較することにより検査対象の半導体集積回路の良否判定を行う過程とを含む。
【0049】
本実施の形態においては、図2(a)に示すように検査パターンとして第1パターンから第100パターンまでが使用されているものとしている。
【0050】
グラフは、第1パターンから第100パターンに対して得られたIDDQ測定値をプロットしたもので、第1測定値から第100測定値からなる系列である。ただし、本来、1000個の検査パターンが準備され、IDDQ測定値の系列全体としては同数のIDDQ測定値からなるものであったが、検査時間短縮のため先頭の100パターンのみを実施する場合を想定している。図1と同様に、IDDQ測定値を◆で示してあり、異常電流成分がある場合を含んでいる。異常のない場合を◇で示してあり、両者の差が異常電流成分である。IDDQ検査の直前の検査項目においてIDDQ測定対象回路の動作頻度が高い場合には、図2(a)に示すようにIDDQ測定値の系列に減少傾向の後、平坦な傾向となる。本実施の形態では、先頭100パターン分には減少傾向の部分のみ含まれるものとしている。
【0051】
まず、データ系列全体(第1検査パターン〜第100検査パターン)において、良否判定指標を算出する。良否判定指標として最大値と最小値の差分を取るΔIDDQ法を採用した場合、第1測定値から第100測定値の中から最大、最小となる測定値を選択し、それらの差分を取ってΔIDDQ値が得られる。ΔIDDQ値は、良否判定規格値と比較され、検査対象の半導体集積回路の良否が判定される。
【0052】
ここで、故障起因の異常電流成分が小さく、かつ、限られた検査パターンに対してのみ現れる場合を考える。異常電流を含むIDDQ測定値が、部分系列の中での最大のIDDQ測定値として認識されないため、故障が見逃されてしまう。
【0053】
上記の問題に対しては、IDDQ測定値の系列の変動傾向を相殺する補正を行うのが有効である。図2(a)のデータ系列全体に適用すると、まず、第1測定値から第100測定値のプロットに対してその変動傾向を算出する。例として、最小自乗法による直線近似を行い、同近似直線をデータ系列全体における変動傾向とする。
【0054】
次に、同近似直線を図2(b)のA点を中心に横軸と平行になるまで回転させ、変動傾向の補正を行う。すなわち、第1測定値から第100測定値を、近似直線との縦軸方向の距離を保ちつつ近似直線の回転に伴って縦軸方向に移動させ、それぞれ第1補正済みデータから第100補正済みデータが得られる。ここで、図2(b)の変動傾向の補正の説明図において、元のIDDQ測定値(=補正前データ)◆に対して、補正後のデータをハッチング入りの◇で表している。
【0055】
以上の操作の後、第1補正済みデータから第100補正済みデータの中から最大、最小となるものを選択し、それらの差分を取ってΔIDDQ値とする。
【0056】
なお、変動傾向の算出においては、最小自乗法による直線近似以外の方法を用いてもよい。
【0057】
本発明の第3の実施の形態を図3に基づいて説明する。図3は、本発明の第3の実施の形態の半導体集積回路の検査方法について示したものである。
【0058】
この半導体集積回路の検査方法は、第1の実施形態と同様に静止電源電流測定を用い、検査パターンを順次切り替えながら静止電源電流測定を繰返し実施して、検査パターンの各々に対応した静止電源電流測定データの系列を得る過程と、静止電源電流測定データの系列を、測定順に、検査パターンの全数より少ない数の静止電源電流測定データからなる部分系列に分割する過程と、静止電源電流測定データの部分系列ごとに、部分系列全体の変動傾向を算出する過程と、静止電源電流測定データに対して変動傾向を相殺する補正を適用して静止電源電流補正済みデータを算出する過程と、静止電源電流補正済みデータを使用して良否判定指標を算出し、良否判定規格値と比較することにより検査対象の半導体集積回路の良否判定を行う過程とを含む。
【0059】
本実施の形態においては、図3(a)に示すように検査パターンとして第1パターンから第1000パターンまでが使用されるものとしている。
【0060】
グラフは、第1パターンから第1000パターンに対して得られたIDDQ測定値をプロットしたもので、第1測定値から第1000測定値からなる系列である。図1と同様に、IDDQ測定値を◆で示してあり、異常電流成分がある場合を含んでいる。異常のない場合を◇で示してあり、両者の差が異常電流成分である。IDDQ検査の直前の検査項目においてIDDQ測定対象回路の動作頻度が高い場合には、図3(a)に示すようにIDDQ測定値の系列に減少傾向の後、平坦な傾向となる。
【0061】
まず、1000個のIDDQ測定値の系列全体に対し、第1測定値から第10測定値までを第1部分系列に、第11測定値から第20測定値までを第2部分系列に、…、第991測定値から第1000測定値までを第100部分系列に、というように10個のIDDQ測定値からなる100の部分系列に分割する。
【0062】
次に、各部分系列ごとに良否判定指標を算出する。良否判定指標として最大値と最小値の差分を取るΔIDDQ法を採用した場合、まず、IDDQ測定値の第1部分系列において、第1測定値から第10測定値の中から最大、最小となる測定値を選択し、それらの差分を取って第1ΔIDDQ値とする。続いて、第2部分系列において、第11測定値から第20測定値の中から最大、最小となる測定値を選択し、それらの差分を取って第2ΔIDDQ値とする。以降、第3部分系列から第100部分系列まで同様にΔIDDQ値を算出することができ、それぞれ第3ΔIDDQ値、…、第100ΔIDDQ値が得られる。
【0063】
第1ΔIDDQ値、…、第100ΔIDDQ値は、良否判定規格値と比較され、検査対象の半導体集積回路の良否が判定される。
【0064】
ここで、故障起因の異常電流成分が小さく、かつ、限られた検査パターンに対してのみ現れる場合を考える。異常電流を含むIDDQ測定値が、部分系列の中での最大のIDDQ測定値として認識されないため、故障が見逃されてしまう。
【0065】
上記の問題に対しては、IDDQ測定値の系列の変動傾向を相殺する補正を行うのが有効である。図3(a)の第1部分系列に適用すると、まず、第1測定値から第10測定値のプロットに対してその変動傾向を算出する。例として、最小自乗法による直線近似を行い、同近似直線を第1部分系列における変動傾向とする。
【0066】
次に、同近似直線を図3(b)のA点を中心に横軸と平行になるまで回転させ、変動傾向の補正を行う。すなわち、第1測定値から第10測定値を、近似直線との縦軸方向の距離を保ちつつ近似直線の回転に伴って縦軸方向に移動させ、それぞれ第1補正済みデータから第10補正済みデータが得られる。ここで、図3(b)の変動傾向の補正の説明図において、元のIDDQ測定値(=補正前データ)◆に対し、補正後のデータをハッチング入りの◇で表している。
【0067】
以上の操作の後、第1補正済みデータから第10補正済みデータの中から最大、最小となるものを選択し、それらの差分を取って第1ΔIDDQ値とする。その他の部分系列のΔIDDQ値も同様の操作により算出することができる。
【0068】
なお、IDDQ測定値の系列全体を部分系列に分割する際、全ての部分系列において同数のIDDQ測定値を含む必要はない。変動傾向の算出においても、最小自乗法による直線近似以外の方法を用いてもよい。
【0069】
また、上記の説明では、一旦、IDDQ測定値の系列全体を取得しておき、後で部分系列への分割、変動傾向の算出およびこれを相殺する補正の実施、良否判定指標の算出を実施するように記載したが、IDDQ測定値の取得と以降のデータ処理を並列して実施してもよい。すなわち、上記の例において、10個のIDDQ測定値が取得される毎に変動傾向の算出、補正の実施、および、ΔIDDQ値の算出を行い、その都度、良否判定規格値と比較して検査対象の半導体集積回路の良否判定を行うことも可能である。
【0070】
ところで、事前の評価により、部分系列の中で変動傾向が小さいことが分かっているものについては、その部分系列において変動傾向の算出、および、これを相殺する補正の適用を回避するよう予め設定してもよい。この場合、各種演算等に必要な時間が削減されるため、検査時間の短縮につながる。
【0071】
本発明の第4の実施の形態を図4に基づいて説明する。図4は、本発明の第4の実施の形態の半導体集積回路の検査装置を示すブロック図である。なお本検査装置は、第1の実施の形態の検査方法に用いることができる。
【0072】
図4に示す検査装置100は、検査パターン印加装置110、電源電流測定装置120、良否判定指標算出装置140、良否判定装置150、計数装置160、および、制御装置170から構成される。
【0073】
検査パターン印加装置110は、制御装置170からの検査パターン制御信号171に従って検査対象の半導体集積回路190に対して検査パターン111を印加する。検査パターン111には、半導体集積回路190の内部状態設定のためのデータパターン、および、IDDQ測定モード設定をはじめとするモード設定パターンが含まれている。
【0074】
電源電流測定装置120は、電源121が検査対象の半導体集積回路190に電源電流を供給する経路上に配置され、制御装置170からの電流測定指示信号172に従って検査対象の半導体集積回路190の電源電流を測定する。測定結果を検査パターン111に対応した電源電流測定データ122として出力する。
【0075】
良否判定指標算出装置140は、制御装置170からのデータ取り込み指示信号173に従って電源電流測定データ122を取り込み、格納する。また、計数装置160からの良否判定指標算出指示信号165に従って格納済みの電源電流測定データ122を用いて良否判定指標141を算出、出力する。
【0076】
良否判定装置150は、良否判定指標141を取り込み、内部に格納されている良否判定規格値と比較して、検査対象の半導体集積回路190の良否判定を行い、良否判定結果151を出力する。
【0077】
計数装置160は、IDDQ検査に先立って初期化され、IDDQ検査開始後に制御装置170からの電流測定指示信号172を計数する。計数結果が所定の回数に達すると、電流測定指示信号172に対応して良否判定指標算出指示信号165を出力する。良否判定指標算出指示信号165を出力した後、計数装置160は計数結果を初期化する。
【0078】
制御装置170は、検査パターン印加装置110に対して検査パターン111の印加、保持および選択に関する制御を行い、電源電流測定装置120に対する電源電流測定の実施を指示し、良否判定指標算出装置140に対して電源電流測定データ122の取り込みを指示する。
【0079】
以上説明した各装置の動作を踏まえて、制御装置170の動作、および、検査装置100によるIDDQ検査について説明する。以下、検査パターンとしては1000パターンを準備し、計数装置160における計数結果の所定の回数を10とする。
(1)検査開始に先立ち、計数装置160は、計数結果を初期化する。
(2)制御装置170は、検査パターン制御信号171を通じて検査パターン印加装置110に検査パターンの出力を開始させる。同検査パターンによる半導体集積回路190の内部状態設定が完了すると半導体集積回路190はIDDQ測定モードに設定される。
(3)制御装置170は、電流測定指示信号172を出力する。電源電流測定装置120は、電流測定指示信号172を受けてIDDQ測定を実行し、測定結果を電源電流測定データ122として出力する。続いて、制御装置170は、データ取り込み指示信号173を出力する。良否判定指標算出装置140は、データ取り込み指示信号173を受けて電源電流測定データ122を取り込み、格納する。
(4)計数装置160は、電流測定指示信号172を受けて計数結果は1だけ増加するが、計数結果が所定の回数に達していないため何もしない。
(5)(2)〜(4)を8回繰返すと、良否判定指標算出装置140には9個のIDDQ測定値が格納されている状態となり、計数装置160の計数結果は9となる。
(6)(2)〜(3)を1回繰返すと、良否判定指標算出装置140には10個のIDDQ測定値が格納されている状態となる。計数装置160は、電流測定指示信号172を受けて計数結果が1だけ増加し、所定の回数である10に達するので、良否判定指標算出指示信号165を出力する。良否判定指標算出装置140は、良否判定指標算出指示信号165を受けて良否判定指標を算出し、結果を出力する。
(7)良否判定装置150は、良否判定指標141を取り込み、内部に格納されている良否判定規格値と比較して良否判定を行い、結果を出力する。
(8)計数装置160は、計数結果を初期化する。
(9)(2)〜(8)を100回繰り返して、1000パターン分のIDDQ検査が完了する。
【0080】
本発明の第5の実施の形態を図5に基づいて説明する。図5は、本発明の第5の実施の形態の半導体集積回路の検査装置を示すブロック図である。なお本検査装置は、第2の実施の形態の検査方法に用いることができる。
【0081】
図5に示す検査装置200は、検査パターン印加装置210、電源電流測定装置220、データ補正装置230、良否判定指標算出装置240、良否判定装置250、および、制御装置270から構成される。
【0082】
検査パターン印加装置210は、制御装置270からの検査パターン制御信号271に従って検査対象の半導体集積回路290に対して検査パターン211を印加する。検査パターン211には、半導体集積回路290の内部状態設定のためのデータパターン、および、IDDQ測定モード設定をはじめとするモード設定パターンが含まれている。
【0083】
電源電流測定装置220は、電源221が検査対象の半導体集積回路290に電源電流を供給する経路上に配置され、制御装置270からの電流測定指示信号272に従って検査対象の半導体集積回路290の電源電流を測定する。測定結果を検査パターン211に対応した電源電流測定データ222として出力する。
【0084】
データ補正装置230は、制御装置270からのデータ取り込み指示信号273に従って電源電流測定データ222を取り込み、格納する。また、制御装置270からのデータ補正指示信号274に従って格納済みの電源電流測定データ222の変動傾向を算出し、その変動傾向を相殺する補正を適用する。補正の適用結果を電源電流補正済みデータ231として出力する。
【0085】
良否判定指標算出装置240は、制御装置270からの良否判定指標算出指示信号275に従って電源電流補正済みデータ231を取り込み、格納する。次に、格納した電源電流補正済みデータ231を用いて良否判定指標241を算出、出力する。
【0086】
良否判定装置250は、良否判定指標241を取り込み、内部に格納されている良否判定規格値と比較して、検査対象の半導体集積回路290の良否判定を行い、良否判定結果251を出力する。
【0087】
制御装置270は、検査パターン印加装置210に対して検査パターン211の印加、保持および選択に関する制御を行い、電源電流測定装置220に対する電源電流測定の実施を指示し、データ補正装置230に対して電源電流測定データ222の取り込みを指示し、検査パターン111の全てに対応した電源電流測定データ222が得られた後にデータ補正装置230に対して変動傾向の算出、および、補正の適用を指示し、良否判定指標算出装置240に対して良否判定指標の算出を指示する。
【0088】
以上説明した各装置の動作を踏まえて、制御装置270の動作、および、検査装置200によるIDDQ検査について説明する。以下、検査パターンとしては100パターンを準備しているものとする。
(1)制御装置270は、検査パターン制御信号271を通じて検査パターン印加装置210に検査パターンの出力を開始させる。同検査パターンによる半導体集積回路290の内部状態設定が完了すると半導体集積回路290はIDDQ測定モードに設定される。
(2)制御装置270は、電流測定指示信号272を出力する。電源電流測定装置220は、電流測定指示信号272を受けてIDDQ測定を実行し、測定結果を電源電流測定データ222として出力する。続いて、制御装置270は、データ取り込み指示信号273を出力する。データ補正装置230は、データ取り込み指示信号273を受けて電源電流測定データ222を取り込み格納する。
(3)(1)〜(2)を99回繰返すと、データ補正装置230には100個のIDDQ測定値が格納されている状態となる。
(4)制御装置270は、100個の検査パターンを全て実行完了したので、データ補正指示信号274を出力する。データ補正装置230は、データ補正指示信号274を受けて格納済みの電源電流測定データ222の変動傾向を算出し、これを相殺する補正を適用する。補正の適用結果を電源電流補正済みデータ231として出力する。
(5)制御装置270は、良否判定指標算出指示信号275を出力する。良否判定指標算出装置240は、良否判定指標算出指示信号275を受けて電源電流補正済みデータ231を取り込み、格納する。続いて、格納した電源電流補正済みデータ231を用いて良否判定指標241を算出し、結果を出力する。
(6)良否判定装置250は、良否判定指標241を取り込み、内部に格納されている良否判定規格値と比較して良否判定を行い、結果を出力する。以上で、100パターン分のIDDQ検査が完了する。
【0089】
なお、本実施の形態においては、各種の指示信号をそれぞれ別々の信号として説明したが、複数の指示信号をまとめて1つの信号として検査装置を構成してもよい。
【0090】
本発明の第6の実施の形態を図6に基づいて説明する。図6は、本発明の第6の実施の形態の半導体集積回路の検査装置を示すブロック図である。なお本検査装置は、第3の実施の形態の検査方法に用いることができる。
【0091】
図6に示す検査装置300は、検査パターン印加装置310、電源電流測定装置320、データ補正装置330、良否判定指標算出装置340、良否判定装置350、計数装置360、および、制御装置370から構成される。
【0092】
検査パターン印加装置310は、制御装置370からの検査パターン制御信号371に従って検査対象の半導体集積回路390に対して検査パターン311を印加する。検査パターン311には、半導体集積回路390の内部状態設定のためのデータパターン、および、IDDQ測定モード設定をはじめとするモード設定パターンが含まれている。
【0093】
電源電流測定装置320は、電源321が検査対象の半導体集積回路390に電源電流を供給する経路上に配置され、制御装置370からの電流測定指示信号372に従って検査対象の半導体集積回路390の電源電流を測定する。測定結果を検査パターン311に対応した電源電流測定データ322として出力する。
【0094】
データ補正装置330は、制御装置370からのデータ取り込み指示信号373に従って電源電流測定データ322を取り込み、格納する。また、計数装置360からのデータ補正指示信号364に従って格納済みの電源電流測定データ322の変動傾向を算出し、その変動傾向を相殺する補正を適用する。補正の適用結果を電源電流補正済みデータ331として出力する。
【0095】
良否判定指標算出装置340は、計数装置360からの良否判定指標算出指示信号365に従って電源電流補正済みデータ331を取り込み、格納する。次に、格納した電源電流補正済みデータ331を用いて良否判定指標341を算出、出力する。
【0096】
良否判定装置350は、良否判定指標341を取り込み、内部に格納されている良否判定規格値と比較して、検査対象の半導体集積回路390の良否判定を行い、良否判定結果351を出力する。
【0097】
計数装置360は、IDDQ検査に先立って初期化され、IDDQ検査開始後に制御装置370からの電流測定指示信号372を計数する。計数結果が所定の回数に達すると、電流測定指示信号372に対応して良否判定指標算出指示信号365を出力する。良否判定指標算出指示信号365を出力した後、計数装置360は計数結果を初期化する。
【0098】
制御装置370は、検査パターン印加装置310に対して検査パターンの印加、保持および選択に関する制御を行い、電源電流測定装置320に対する電源電流測定の実施を指示し、データ補正装置330に対して電源電流測定データ322の取り込みを指示する。
【0099】
以上説明した各装置の動作を踏まえて、制御装置370の動作、および、検査装置300によるIDDQ検査について説明する。以下、検査パターンとしては1000パターンを準備し、計数装置360における計数結果の所定の回数を10とする。
(1)検査開始に先立ち、計数装置360は、計数結果を初期化する。
(2)制御装置370は、検査パターン制御信号371を通じて検査パターン印加装置310に検査パターンの出力を開始させる。同検査パターンによる半導体集積回路390の内部状態設定が完了すると半導体集積回路390はIDDQ測定モードに設定される。
(3)制御装置370は、電流測定指示信号372を出力する。電源電流測定装置320は、電流測定指示信号372を受けてIDDQ測定を実行し、測定結果を電源電流測定データ322として出力する。続いて、制御装置370は、データ取り込み指示信号373を出力する。データ補正装置330は、データ取り込み指示信号373を受けて電源電流測定データ322を取り込み格納する。
(4)計数装置360は、電流測定指示信号372を受けて計数結果は1だけ増加するが、計数結果が所定の回数に達していないため何もしない。
(5)(2)〜(4)を8回繰返すと、計数装置360の計数結果は9となり、データ補正装置330には9個のIDDQ測定値が格納されている状態となる。
(6)(2)〜(3)を1回繰返すと、データ補正装置330には10個のIDDQ測定値が格納されている状態となる。計数装置360は、電流測定指示信号372を受けて計数結果が1だけ増加し、所定の回数である10に達するので、データ補正指示信号364を出力する。データ補正装置330は、データ補正指示信号364を受けて格納済みの電源電流測定データ322の変動傾向を算出し、これを相殺する補正を適用する。補正の適用結果を電源電流補正済みデータ331として出力する。
(7)計数装置360は、良否判定指標算出指示信号365を出力する。良否判定指標算出装置340は、良否判定指標算出指示信号365を受けて電源電流補正済みデータ331を取り込み、格納する。続いて、格納した電源電流補正済みデータ331を用いて良否判定指標341を算出し、結果を出力する。
(8)良否判定装置350は、良否判定指標341を取り込み、内部に格納されている良否判定規格値と比較して良否判定を行い、結果を出力する。
(9)計数装置360は、計数結果を初期化する。
(10)(2)〜(9)を100回繰り返して、1000パターン分のIDDQ検査が完了する。
【0100】
なお、本実施の形態においては、各種の指示信号をそれぞれ別々の信号として説明したが、複数の指示信号をまとめて1つの信号として検査装置を構成してもよい。
【0101】
ところで、事前の評価により、部分系列の中で変動傾向が小さいことが分かっているものについては、その部分系列において変動傾向の算出、および、これを相殺する補正の適用を回避してもよい。
【0102】
この場合、計数装置360は、計数結果が所定の回数に達する回数を計数する機能を有し、IDDQ測定値の変動傾向の算出、および、これを相殺する補正の適用を回避すべき部分系列の情報を予め格納する。そして、計数結果が所定の回数に達するごとに、IDDQ測定値の変動傾向の算出、および、これを相殺する補正の適用を回避するかどうかを判断する。
【0103】
データ補正装置330は、データ補正指示信号364が出力されない場合には格納済みの電源電流測定データ322をそのまま電源電流補正済みデータ331として出力する。
【0104】
IDDQ測定値の変動傾向の算出、および、これを相殺する補正の適用が回避される場合は、上記の説明における(6)でデータ補正指示信号364が出力されない。したがって、データ補正装置330は、格納済みの電源電流測定データ322をそのまま電源電流補正済みデータ331として出力する。
【0105】
IDDQ測定値の変動傾向が小さい部分系列においては、異常電流の検出精度が低下することなく、各種演算等に必要な時間が削減されるため、検査時間の短縮につながる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明に係る半導体集積回路の検査方法および検査装置は、IDDQ測定値の系列における変動傾向の影響を低減し、故障起因の電流成分の低下を改善できるため、異常電流の検出精度が向上するという効果を有し、IDDQを用いた半導体集積回路の検査方法および検査装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるIDDQ測定値の部分系列への分割に関する説明図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態にかかるIDDQ測定値の変動傾向の算出およびデータ補正の適用に関する説明図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態にかかるIDDQ測定値の部分系列への分割、ならびに、部分系列内でのIDDQ測定値の変動傾向の算出およびデータ補正の適用に関する説明図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態にかかるIDDQ測定値の部分系列への分割を行うための構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態にかかるIDDQ測定値の変動傾向の算出およびデータ補正の適用に関する説明図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態にかかるIDDQ測定値の部分系列への分割、ならびに、部分系列内でのIDDQ測定値の変動傾向の算出およびデータ補正の適用を行うための構成例を示すブロック図である。
【図7】従来のΔIDDQ法あるいはCurrent Ratio法によるIDDQ検査を行うための検査装置の構成例を示すブロック図である。
【図8】IDDQ測定値の系列の変動傾向と異常電流が認識されない場合を示す図である。
【符号の説明】
【0108】
100,200,300,400 検査装置
110,210,310,410 検査パターン印加装置
111,211,311,411 検査パターン
120,220,320,420 電源電流測定装置
121,221,321,421 電源
122,222,322,422 電源電流測定データ
230,330 データ補正装置
231,331 電源電流補正済みデータ
140,240,340,440 良否判定指標算出装置
141,241,341,441 良否判定指標
150,250,350,450 良否判定装置
151,251,351,451 良否判定結果
160,360 計数装置
364 データ補正指示信号
165,365 良否判定指標算出指示信号
170,270,370,470 制御装置
171,271,371,471 検査パターン制御信号
172,272,372,472 電流測定指示信号
173,273,373,473 データ取り込み指示信号
274 データ補正指示信号
275,475 良否判定指標算出指示信号
190,290,390,490 検査対象の半導体集積回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の半導体集積回路に対して検査パターンを印加し、前記検査対象の半導体集積回路の内部状態を設定した後、前記検査対象の半導体集積回路を静止状態に設定して電源電流を測定する静止電源電流測定を用いた半導体集積回路の検査方法であって、
前記検査パターンを順次切り替えながら前記静止電源電流測定を繰返し実施して、前記検査パターンの各々に対応した静止電源電流測定データの系列を得る過程と、
前記静止電源電流測定データの前記系列を、測定順に、前記検査パターンの全数より少ない数の前記静止電源電流測定データからなる部分系列に分割する過程と、
前記部分系列ごとに、前記静止電源電流測定データを使用して良否判定指標を算出し、良否判定規格値と比較することにより前記検査対象の半導体集積回路の良否判定を行う過程とを含む半導体集積回路の検査方法。
【請求項2】
検査対象の半導体集積回路に対して検査パターンを印加し、前記検査対象の半導体集積回路の内部状態を設定した後、前記検査対象の半導体集積回路を静止状態に設定して電源電流を測定する静止電源電流測定を用いた半導体集積回路の検査方法であって、
前記検査パターンを順次切り替えながら前記静止電源電流測定を繰返し実施して、前記検査パターンの各々に対応した静止電源電流測定データの系列を得る過程と、
前記静止電源電流測定データの前記系列全体の変動傾向を算出する過程と、
前記静止電源電流測定データに対して前記変動傾向を相殺する補正を適用して静止電源電流補正済みデータを算出する過程と、
前記静止電源電流補正済みデータを使用して良否判定指標を算出し、良否判定規格値と比較することにより前記検査対象の半導体集積回路の良否判定を行う過程とを含む半導体集積回路の検査方法。
【請求項3】
検査対象の半導体集積回路に対して検査パターンを印加し、前記検査対象の半導体集積回路の内部状態を設定した後、前記検査対象の半導体集積回路を静止状態に設定して電源電流を測定する静止電源電流測定を用いた半導体集積回路の検査方法であって、
前記検査パターンを順次切り替えながら前記静止電源電流測定を繰返し実施して、前記検査パターンの各々に対応した静止電源電流測定データの系列を得る過程と、
前記静止電源電流測定データの前記系列を、測定順に、前記検査パターンの全数より少ない数の前記静止電源電流測定データからなる部分系列に分割する過程と、
前記静止電源電流測定データの前記部分系列ごとに、前記部分系列全体の変動傾向を算出する過程と、
前記静止電源電流測定データに対して前記変動傾向を相殺する補正を適用して静止電源電流補正済みデータを算出する過程と、
前記静止電源電流補正済みデータを使用して良否判定指標を算出し、良否判定規格値と比較することにより前記検査対象の半導体集積回路の良否判定を行う過程とを含む半導体集積回路の検査方法。
【請求項4】
前記静止電源電流測定データの前記部分系列のうち1つ以上において、前記部分系列全体の前記変動傾向を算出する過程、および、前記変動傾向を相殺する前記補正を適用して前記静止電源電流補正済みデータを算出する過程を実施せず、前記静止電源電流測定データをそのまま前記静止電源電流補正済みデータとする請求項3記載の半導体集積回路の検査方法。
【請求項5】
検査対象の半導体集積回路に対して内部状態設定のための検査パターンを印加する検査パターン印加装置と、
前記検査対象の半導体集積回路の電源電流を測定し、前記検査パターンに対応した電源電流測定データを出力する電源電流測定装置と、
前記電源電流測定装置から取り込んだ前記電源電流測定データを使用して良否判定指標を算出し、出力する良否判定指標算出装置と、
前記良否判定指標と良否判定規格値を比較して、前記検査対象の半導体集積回路の良否判定を行い、良否判定結果を出力する良否判定装置と、
前記電源電流の測定回数を計数し、計数結果が所定の回数に達したときは前記良否判定指標算出装置に対して、検査開始あるいは前回の前記良否判定指標の出力以降に取り込んだ前記電源電流測定データに基づいて前記良否判定指標の算出を指示し、前記計数結果を初期化する計数装置と、
前記検査パターン印加装置に対して検査パターンの印加、保持および選択に関する制御を行い、前記電源電流測定装置に対する電源電流測定の実施を指示し、前記良否判定指標算出装置に対して前記電源電流測定データの取り込みを指示する制御装置とを備えた半導体集積回路の検査装置。
【請求項6】
検査対象の半導体集積回路に対して検査パターンを印加する検査パターン印加装置と、
前記検査対象の半導体集積回路の電源電流を測定し、前記検査パターンに対応した電源電流測定データを出力する電源電流測定装置と、
前記電源電流測定装置から検査開始以降に取り込んだ前記電源電流測定データの変動傾向を算出し、前記電源電流測定データに対して前記変動傾向を相殺する補正を適用した結果を電源電流補正済みデータとして出力するデータ補正装置と、
前記電源電流補正済みデータを使用して良否判定指標を算出し、出力する良否判定指標算出装置と、
前記良否判定指標と良否判定規格値を比較して、前記検査対象の半導体集積回路の良否判定を行い、良否判定結果を出力する良否判定装置と、
前記検査パターン印加装置に対して検査パターンの印加、保持および選択に関する制御を行い、前記電源電流測定装置に対する電源電流測定の実施を指示し、前記データ補正装置に対して前記電源電流測定データの取り込みを指示し、前記検査パターンの全てに対応した前記電源電流測定データが得られた後に前記データ補正装置に対して前記変動傾向の算出、および、前記補正の適用を指示し、前記良否判定指標算出装置に対して前記良否判定指標の算出を指示する制御装置とを備えた半導体集積回路の検査装置。
【請求項7】
検査対象の半導体集積回路に対して検査パターンを印加する検査パターン印加装置と、
前記検査対象の半導体集積回路の電源電流を測定し、前記検査パターンに対応した電源電流測定データを出力する電源電流測定装置と、
前記電源電流測定装置から取り込んだ前記電源電流測定データの変動傾向を算出し、前記電源電流測定データに対して前記変動傾向を相殺する補正を適用した結果を電源電流補正済みデータとして出力するデータ補正装置と、
前記電源電流補正済みデータを使用して良否判定指標を算出し、出力する良否判定指標算出装置と、
前記良否判定指標と良否判定規格値を比較して、前記検査対象の半導体集積回路の良否判定を行い、良否判定結果を出力する良否判定装置と、
電源電流の測定回数を計数し、計数結果が所定の回数に達したときは前記データ補正装置に対して、検査開始あるいは前回の前記電源電流補正済みデータ出力以降に取り込んだ前記電源電流測定データに基づいて前記変動傾向の算出、および、前記補正の適用を指示し、前記良否判定指標算出装置に対して、検査開始あるいは前回の前記良否判定指標出力以降に取り込んだ前記電源電流補正済みデータに基づいて前記良否判定指標の算出を指示し、前記計数結果を初期化する計数装置と、
前記検査パターン印加装置に対して検査パターンの印加、保持および選択に関する制御を行い、前記電源電流測定装置に対する電源電流測定の実施を指示し、前記データ補正装置に対して前記電源電流測定データの取り込みを指示する制御装置とを備えた半導体集積回路の検査装置。
【請求項8】
前記計数装置は、予め設定された特定のときにおいて、前記計数結果が所定の回数に達していても前記データ補正装置に対して前記変動傾向の算出、および、前記補正の適用の指示を行わず、
前記データ補正装置は、前記変動傾向の算出、および、前記補正の適用の指示のないときに、前記電源電流測定データの変動傾向の算出、および、前記変動傾向を相殺する補正を実施せず、前記電源電流測定データをそのまま前記電源電流補正済みデータとして出力する請求項7記載の半導体集積回路の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−214860(P2006−214860A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27613(P2005−27613)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】