単一の回転コンポーネントを用いた光学パターン生成器
光学パターン生成器は、単一の回転コンポーネントを使用する。回転コンポーネントは、多数の偏向セクタを含む。各セクタは、入射光ビームをほぼ一定の角度量だけ偏向させるが、この量はセクタごとに変化してもよい。回転コンポーネントは、例えば、ライン軌跡(locus)に沿って変位する像点、像スポットまたは像ラインを生成する結像レンズ群と組み合わせてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願番号第60/652891号(名称「High Efficiency, High Speed Optical Pattern Generator Using a Single Rotating Component」、2005年2月14日出願)の優先権を主張するものであり、米国特許出願番号第10/750790号(名称「High Speed, High Efficiency Optical Pattern Generator Using Rotating Optical Elements」、2003年12月31日出願)の一部継続出願である。上述の全ての主題は参照によって全体がここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、アレイ状の像点、像スポットまたは像ラインなどの図形パターンを光学的に生成することに関する。特に、本発明は、入射光ビームを様々な量だけ偏向させる複数の偏向セクタを有する単一の回転コンポーネントを用いて、こうしたパターンを生成することに関する。
【背景技術】
【0003】
所定パターンのスポットや走査ラインの光学的生成は、種々の用途で用いられている。デジタルコピー機、プリンタ、指紋識別、携帯バーコードスキャナー、工業的応用、光のショー催し、ディスプレイ、遠距離通信の交換、医療応用は、幾つかの例である。おそらく、図形パターンを生成する最もありふれた機構は、傾斜ミラー(例えば、ガルバノメータによって駆動される振動ミラー)、および回転する凸面ポリゴンからの反射である。
【0004】
しかしながら、傾斜ミラーをベースとした光学パターン生成器は、典型的には、一定の応用にとって不適当である特性を有する。例えば、こうしたシステムでの走査は、典型的には、ミラーを往復して傾斜させることによって達成される。しかし、往復運動は、ミラーが停止して、方向を反転させることを要する。これは時間を要し、走査レートを制限する。これらのシステムの走査レートを増加させるために、ミラーは、多くの場合、共振周波数に近いレートの振動運動で駆動される。
【0005】
しかしながら、このことは、生成可能なパターンを著しく制限してしまう。例えば、ミラー運動が振動的なものに制約されるため、不規則なパターンを生成することは困難である。近共振条件も、達成可能な走査レートの範囲を制限する。例えば、近共振条件は広い範囲で適合しないため、こうしたシステムを広範囲の走査レートに渡って同調させることは困難である。さらに、共振スキャナの走査角速度は、通常、正弦波であり、各ポイントでの滞留(dwell)時間が適切に一定であるべき多数の応用には向いていない。
【0006】
2次元パターンが望ましい場合(例えば、一連の平行な走査ラインや2次元パターンのスポット)、典型的には、単一ミラーが2方向に同時に傾斜したり、または2つの調和した傾斜ミラーが用いられる。多くの場合、レーザ光などの光の利用効率が重要である。この効率は、所定の期間で、光源によって生成された全エネルギーに対する、処理表面での所望のパターンに割り当てられたエネルギーの割合として定義できる。
【0007】
パターンがバックグランドと比べてまばらである場合、光源が時間で有効利用されるように、光源をオフにしてバックグランドを素早く走査し、光ビームが露光すべきスポットに位置した時点で再びオンにして、スポットをパターン露光することが好ましい。このことは、加速、減速、位置決めを素早く行うことができる、より敏感なデバイスが必要になる。これらの特性の結果、ガルバノメータベースのシステムおよび凸面ポリゴンシステムは、特に、パターンが不規則であったり、まばらである場合に、高速パターン生成にあまり適していない。
【0008】
回転ポリゴンの手法では、3次元ポリゴンの側面が鏡面化され、ポリゴンは中心軸回りに回転する。鏡面化した各側面が入射光ビーム中で回転すると、光ビームは反射され、走査線上にポイントを生成する。光ビーム中での鏡面の回転は、1本の走査線を生成する。もし全ての鏡面が同一(例えば、ポリゴンの底部に関して同じピラミッド角を形成)であれば、同一の走査線が何回も軌跡を描く。もし鏡面が異なっていれば、各側面が光ビーム中で回転するごとに、異なる走査線が軌跡を描く。例えば、各側面のピラミッド角を変化させることによって、反射した光ビームは、一連の走査線の軌跡を描くことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、回転ポリゴンの手法はまた、一定の応用には向いていないという不具合を有する。例えば、一連の走査線を生成するシステムは、回転に起因した収差を受けることがある。一連の走査線を描くためには、各側面は、基本の走査線を、走査方向に垂直な方向にオフセットさせるような異なるピラミッド角を有する。
【0010】
しかしながら、各側面が光ビーム中で回転すると、角度が付いた側面の向きも回転する。これは、オフセット量及び/又は他の不要な収差での変化を生じさせる。1つの例は、走査線の曲がりである。理想の走査線は、一般に、直線的な線分であるが、実際の走査線はしばしば円弧線分である。円弧線分のたるみが曲がりである。回転ポリゴンスキャナの場合、非ゼロのピラミッド角を有する側面は、弓形の走査線を生成する。曲がり量は、ピラミッド角に依存する。
【0011】
異なるピラミッド角を用いて、複数の走査線を描いたり、異なる場所でスポットを生成するポリゴンスキャナでは、各走査線が曲がるだけでなく、曲がりが走査線ごとに変化するようになる。最上部の走査線の曲がりと最下部の走査線の曲がりの差が重大になることがある。
【0012】
回転によって生じた走査線曲がりおよび他の影響は、用途に応じて追加の問題を生じさせる。例えば、幾つかの応用では、スキャナがターゲットに対して移動する場合であっても、光ビームが理想的にはターゲット上の固定スポットに留まるように、ターゲットに対するスキャナ運動を補償するための走査活動が用いられる。
【0013】
この場合、走査線曲がりは、光ビームを走査方向に対して垂直な方向に移動させることなる。この動きがターゲット上での光ビームの滞留時間と比べて遅い場合、曲がりは、不要な動きを垂直方向に効率的に導入する。この動きがターゲット上での光ビームの滞留時間と比べて速い場合、曲がりは、半径方向の偏向となって、未補償の接線方向の動きと組合せた場合、光ビームを効率的にぼやかして、ターゲット上でのビームのスポットサイズを増加させる。一般には、いずれの影響も望ましくない。
【0014】
各像点で長い滞留時間を備え、特に、不規則パターンの生成のための高速で動作可能な光学パターン生成器のニーズが存在する。低減した収差及び/又は画像にじみを備えたパターン生成器のニーズも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、単一の回転コンポーネントを用いて光学パターン生成器を提供することによって、先行技術の制限を克服するものである。回転コンポーネントは、光学要素を備えた多数の偏向セクタを含む。各セクタは、入射光ビームをほぼ一定の角度だけ偏向させるが、この角度はセクタごとに変化してもよい。回転コンポーネントは、例えば、ライン軌跡(locus)に沿って変位した像点、像スポットまたは像ラインを生成する結像レンズ群と組み合わせてもよい。像スポットは、例えば、直交方向に傾き(tilt)を導入することによって、ラインの両側へ変位させることができる。
【0016】
この手法は、多くの利点をもたらす。外周において連続して位置決めされたセクタを備えた単一の回転コンポーネントの使用は、高い放射効率を提供できる。外周に配置された光学要素を備えた回転コンポーネントの幾何形状、例えば、薄い円板、は、高い角速度での回転を容易にし、像パターンを高速レートで生成する。
【0017】
準静止系(pseudo-stationary)の角度偏向と組み合わせた回転コンポーネントの角速度は、個々の像点、像スポットまたは像ラインを生じさせるように使用でき、高い放射エネルギー量を像空間での小さなポイントに高い放射効率で供給する。各偏向セクタは、入射光ビーム中で回転すると、ほぼ一定の角度偏向を生成するが、各偏向セクタは異なる一定の角度偏向を有するという意味において、角度偏向は準静止系である。
【0018】
単一の回転コンポーネントの他の利点は、2つの逆回転(counter-rotating)コンポーネントと比べて、2つの逆回転コンポーネント間の同期化およびその高い追加コストを回避できる点である。単一の回転コンポーネントのための駆動機構は、2つの逆回転コンポーネントのものより複雑でなく、同期を維持する必要がなく、角速度は急速に変化させることができる。
【0019】
2つでなく、1つの回転コンポーネントの使用は、サイズおよび重量を低減できる。光学要素の収納形状は、よりコンパクトな回転コンポーネントをもたらし、コンポーネントの数は、これらの追加コストとともに著しく減少する。
【0020】
本発明の一態様では、好ましい実施形態は、光学パターン生成器が、入射光ビームの波長から依存しないようにした反射面を使用しており、この条件から利益が得られる応用において、幾つか異なる波長の同一パターンの同時生成を可能にする。
【0021】
1つの応用では、スキャナは、直線的なライン軌跡(locus)に沿って変位するスポットまたは線分からなる光学パターンを生成する。2次元パターンは、パターン生成器に対するターゲット領域の移動によって展開される。
【0022】
本発明の実施は、「塗布(painting)」概念を利用できるが、「ジクザグ」の像点パターンを有するパターンも提供することができる。ある応用でのジクザグ像点パターンの使用は、隣接する像点間の熱的相互作用を防止し、例えば、生物組織をダメージから救い、生物組織の偶発的切除を防止するという利点を有する
【0023】
ある実施形態では、光学パターン生成器は、回転ディスクの外周上に配置された複数の偏向セクタを有する単一の回転コンポーネントを含む。入射光ビームは、ディスクの回転面内で伝搬する。ディスクは、セクタを収納したエッジを入射光ビームへ提示する。ディスクが回転すると、セクタは、入射光ビーム中で進行する。各セクタは、回転面内にある表面法線を有する、対向した一対の平面ミラーを含む。入射光ビームは、一方のミラーから他方のミラーへ反射し、続いて、光ビームの入射角に対しておおよそ90度の偏向角度で回転コンポーネントを出射する。
【0024】
ミラー内の光学経路は、主としてディスク面内にある。2つのミラーのこの配置は、一対のミラーが入射光ビーム中で回転しても、偏向角が変化しないという性質を有する。従って、回転ディスクコンポーネントの外周にある一対のミラーは、入射光ビーム中で移動して、入射光ビームに対して一定の偏向角を有する出射光ビームを生成する。
【0025】
連続した一対のミラー(即ち、別々のセクタ)は、異なる開先角度(included angle)を有してもよく、別々の一対のミラーが出射光ビームを異なる量で偏向させることができる。よって、この幾何形状は、準静止系偏向(PSD)パターン生成を達成している。
【0026】
この例の幾何形状は、回転コンポーネントから、コリメートされた出力光ビームを生成している(コリメート入射光ビームと仮定)。出力光ビームは、異なるセクタに対応した選択可能なビーム角度のセットで、次の結像光学系に提示される。次の結像光学系は、入射ビームに存在する波長に依存しない像パターンを作成する簡単な反射対物光学系を含む。屈折、回折またはホログラフィックの対物光学系も使用できる。
【0027】
本実施形態では、例示の像パターンは、反射面が単一方向にのみ傾き成分を有する場合、像ライン軌跡(locus)に沿って変位する一連の像点を含む。反射面が直交方向にも小さな傾き成分を有する場合、像パターンは、像ライン軌跡に沿ってジグザグパターンで変位する像点を有することがある。
【0028】
隣接した像点の連続的な照射に起因した熱的な焦点ぼけ(blooming)や他の不要な影響を低減するため、回転コンポーネント上のセクタは、像パターン中の非隣接点がシステムの速度や放射効率を落とすことなく連続照射されるように、設計可能である。ガルバノメータおよび他のパターン生成器は、一般には、この能力を有していない。
【0029】
他の実施形態は、長斜方形(rhomboid)の構成で配置された一対の平面ミラーを使用する。回転コンポーネントの一側面にある各対のうちの1つのミラーは、回転コンポーネントの対向側面にある第2ミラーに対応している。入射光ビームは、第1ミラーで反射し、回転ディスクコンポーネントの中心を横切って、ミラー対の第2ミラーで反射する。ミラー対の傾斜角は、入射または出射光ビームに対してほぼ45度である。
【0030】
一実施形態では、一方のミラー対の各ミラーの傾斜角は45度であり、他方のミラー対の傾斜角は、出射光ビームが入射光ビームに対して異なる角度で出射するように、僅かに変化している。この幾何形状はまた、出射光ビーム角の不変条件を維持している。
【0031】
入射ビームが、選択したミラー対にある限り、出射ビーム角は、ミラー対の回転に関して不変である。出射ビームは、先の実施形態のように、PSD不変である。入射光ビームを含む面内で一緒に回転する偶数個のミラーのいずれの組合せは、PSDパターン生成の性質を有するように設計可能である。
【0032】
他の実施形態は、単一の回転コンポーネントを使用するものであり、入射光ビームが回転コンポーネントの外側から由来して、回転コンポーネントの回転面内にない方向に伝搬している。例えば、入射光ビームは、面を入射光ビームに向けるディスク上に配置された2つの光学面に方向付けしてもよい。
【0033】
この幾何形状に基づいた実施形態では、セクタは、出射光ビームを入射光ビームに対してほぼ共軸(collinear)にする「Z型折り曲げ」配置で、2つのミラーを備える。各セクタは、セクタ内のミラー間の異なる開先角度を有することができ、異なるセクタは異なる角度偏向を生じさせる。
【0034】
2つのミラーは、平面でもよく、あるいは、より大きな母回転面の部分、例えば、球面または非球面などにすることができる。角度偏向は、各ミラー面の光軸をディスクの回転軸と一致させることによって、ほぼ一定のレベルに維持することができ、その結果、ディスク回転は、入射光ビームに提供された光学面の形状を変化させない。
【0035】
さらに他の実施形態では、単一の回転コンポーネントは、樽の円筒部分に類似した、その外周回りに配置されたセクタを有する。入射光ビームは、円筒部分の内側から注入される。これらの実施形態は、好ましくは、反射型光学要素の代わりに透過型光学要素を使用しているが、反射面は、例えば、波長非依存性が重要である場合に使用できる。円筒外面での透過型回折構造は、好ましい光学要素である。
【0036】
上述した光学パターン生成器は、種々の応用に使用可能である。例えば、これらは、外部から皮膚上に、あるいは、例えば、種々の開口部を通じて内側から、光エネルギーを人体組織に当てるために使用可能である。光エネルギーは、例えば、局所加熱、切除、切断または焼灼(cauterizing)など、異なる目的を達成するために使用可能である。
【0037】
装置は、光エネルギーを他の材料、例えば、金属、パウダーまたは他の工業材料に当てるためにも使用可能である。切断、溶接、切除、マーキングは、実施可能な製造プロセスの例である。装置は、レーザプリンタやLEDプリンタ、光学撮像スキャナ、コピー機にも使用できる。他の応用は明らかとなろう。
【0038】
本発明の他の態様は、上述した装置、システムおよび応用に対応した方法を含む。
【0039】
本発明は、添付した図面と関連して、下記の本発明の詳細な説明および添付した請求項から容易に明らかとなる他の利点および特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1Aは、本発明に係る光学パターン生成器の側面図であり、入射光ビーム1は、実質的に回転可能なコンポーネント9の回転面内にある。この例では、回転コンポーネント9は、29個のセクタ8A,8B,8Cなどに分割されており、これらは、回転コンポーネント9の回転軸4を中心とした円周に配置されている。入射光ビーム1は、回転面にある方向に沿って伝搬する。各セクタ8は、一対の反射要素(例えば、現時点で活動しているセクタについての反射面2,3)を含む。
【0041】
反射面の表面法線は、回転面内に実質的な成分を有する。この例では、回転コンポーネント9は、円周状に配置されたプリズム6,7などを含む。プリズムの面は反射性コートが施され、隣接したプリズム(例えば、プリズム6,7からの反射面2,3)からの反射性コート面は、セクタに関して対向した反射面を形成する。
【0042】
プリズム以外の離散的な構造も使用することができ、反射面は平面である必要はない。プリズムコンポーネントの代わりに、小型のフラットミラーが使用可能である。
【0043】
コンポーネント9が回転すると、セクタ8は入射光ビーム1の中で回転する。各セクタ8は、到来する光ビーム1を、ある角度量だけ偏向させる。セクタ8は、各セクタが入射光ビーム1の中で回転すると、角度偏向がほぼ一定であるように設計される。しかし、角度偏向は、セクタごとに変化してもよい。詳細には、入射光ビーム1は、プリズム6の第1反射面2で反射し、続いて、プリズム7の反射面3で反射して、出射光ビーム5として出射される。
【0044】
2つの反射面2,3は、ペンタ(Penta)ミラー配置を形成する。折り曲げ光学経路の面内で一緒に回転する偶数個の反射面は、角度偏向が反射面の回転角に対して不変であるという性質を有する。この場合、2つの反射面2,3が存在し、ディスク9の回転により、プリズム6,7およびこれらの反射面2,3は、折り曲げ光学経路の面内で一緒に回転するようになる。その結果、2つの反射面2,3が入射光ビーム1の中で回転しても、出射光ビーム5は変化しない。
【0045】
反射面2,3は、ディスク9の回転に関して自己補正している。さらに、反射面2,3が平面である場合、これらは、ディスク揺れに関して実質的に空間的に不変になる。
【0046】
ディスク9が、時計回りで次のセクタ8および次の2つの反射面へ回転すると、角度偏向は、対向反射面の間で異なる開先角度を用いることによって、変化し得る。この構成では、ビームは開先角度の2倍の角度で偏向するようになる。例えば、セクタ8Aの開先角度が45度である場合、セクタ8Aは入射光ビームを90度偏向させることになる。セクタ8Bの開先角度が44.5度である場合、入射光ビームは89度偏向するようになる。以下、同様。この例では、異なる開先角度が各セクタについて用いられ、各セクタは、異なる量で偏向した出力光ビームを生成することになる。
【0047】
しかしながら、入射ビーム中で一緒に回転する偶数個の反射面に起因して、偏向角度は、各セクタ内で実質的に不変になる。この例では、角度偏向は、90度の公称値と、公称値から−15〜+15度の変動を有する。
【0048】
この例において、下記のように計算すると、各プリズムの頂角は32.5862度である。各セクタ8は、等しい角度量をなしている。29個のセクタが存在することから、各セクタは、図1Bに示すように、360/29=12.4138度をなす。2つのプリズム6,7は、同じ形状を有し、よって同じ頂角βを有する。コンポーネント9は、開先角度が45度であるように設計され、プリズム6,7は、頂角を二等分するラインが回転軸4を通過するように位置決めされる。従って、設計は、β/2+12.4138+β/2=45の式を満足する必要がある。これを解くと、頂角β=32.5862度が得られる。
【0049】
プリズム6からディスク9上で反時計回りで移動する次のプリズム17は、角度+αだけ僅かに傾斜しており、その二等分線17Lはディスクの回転中心4を通過していない。その結果、プリズム6,17によって形成されるセクタの開先角度は、(β/2+α)+12.4138+β/2=45+αとなる。
【0050】
次のプリズム16は、再び回転中心4と整列しているため、プリズム16,17によって形成されるセクタの開先角度は、(β/2−α)+12.4138+β/2=45−αとなる。
【0051】
次のプリズムは、+2αだけ傾斜しており、続いて、整列したプリズム、+3αだけ傾斜したプリズム、他の整列したプリズムとなり、以下同様である。この幾何形状は、ディスク4の外周回りに維持されている。
【0052】
この特定した配置は、公称値90度に対して−15度〜+15度の範囲に渡って変化する29個の偏向角を生成する。この手法は、奇数個のセクタを使用するものであり、1個おき(近似的に)のプリズムが整列して、交互のプリズムが角度α、2α、3α等だけ傾斜していることに留意する。
【0053】
他の個数のセクタおよび異なる回折角パターンが、この特定の幾何形状の変形によって生成できる。さらに、同じ角度偏向を生成するが、単調増加する順番で生成しないようにした別の回転機構が可能である。他の例として、回転コンポーネントは、偶数個のセクタおよびプリズムを有し、1個おきの整列プリズムと、角度α/2、3α/2、5α/2等だけ傾斜した交互のプリズムを備えてもよい。
【0054】
これは、公称値を中心とした角度偏向のセットを生成するようになるが、実際には、公称値での偏向は生成しない。
【0055】
他の手法では、回転機構は、最終スポットが連続的な順序で生成されないようなシーケンスで角度偏向を配置させている。換言すると、パターンがアレイ状のスポット1,2,3…29である場合、セクタは、1から29まで連続しない順番でスポットを生成するように設計してもよい。
【0056】
ある応用では、隣接スポットを短い期間で生成することは、照射領域の間の熱的結合を生じさせることがある。これは、適切な処理に対して有害となり得る。プリズムを適切に配置することによって、一時的に連続したスポットが相互に空間的に分離しつつ、完全なスポットパターンを提供するように、スポットを供給できる。
【0057】
幾つかの応用にとって有益である他の対照的な幾何形状がある。ある応用は、直線的ライン形状ではなく、ジグザグで配置された像パターンによって利益を得ている。例えば、幾つかの生物学応用において、像スポットが直線ラインに沿って配置され、高い照射レベルが存在する場合、照射は、レーザメスのように偶発的に組織を切断してしまうことがある。
【0058】
像スポットをジグザグパターンで配置することにより、熱的処理レベルを提供しつつ、切断または生物組織に対して望ましくない熱的ダメージの傾向を実質的に低減する。ジグザグパターンを得るには、これらに適用される回転角αを有する上述した幾何形状のプリズムは、ジグザグ形状を生成するために用いられる横方向スポット変位を生成するように適用される直交した傾斜角を有することも可能である。
【0059】
この例の応用では、異なる偏向角を持つ出力光ビームの系統は、続いて、図2Aと図2Bに示すように、結像レンズ群19に入って、ライン焦点に沿って変位するスポットパターンを形成する。多くの結像光学系群が、屈折、反射、回折または反射屈折(catadioptric)の形態を用いて使用可能である。
【0060】
図2Aと図2Bの好ましい実施形態は、製造が容易で、広いスペクトル範囲で色収差から解放された、中実の反射屈折(ソリッドキャット(solid cat))の形態を用いている。図2Aは、光学パターン生成器システムの側面図(即ち、図1Aと同じ)であり、図2Bは、このシステムの端面図(即ち、図1Aの左方から見て)である。
【0061】
図2Aは、上述した回転コンポーネント9と組み合わせた、中実の反射屈折結像レンズ群19を示す。この図において、回転コンポーネント9の反射面21,22だけを示し、3つの異なるディスク回転位置を示している。入射光ビーム20は、最初に面21で反射し、そして、面22Aで反射する。光ビームは、結像レンズ群19に入って、スポット27Aを形成する。回転ディスク9の他の2つの位置も示している。入力光ビーム20が面21、そして面22Bで反射すると、スポット27Bを形成する。入力光ビーム20が面21、そして面22Cで反射すると、スポット27Cを形成する。
【0062】
図2Aは、反射面21が全ての光学経路について同じ角度にある実施形態を示していることに留意する。これは、必要条件ではなく、幾何形状は、異なる角度およびデカルト座標を持つ反射面21A,21B,21Cをしばしば使用して、特定の像アレイパターンを達成する。
【0063】
図2Aと図2Bは、ソリッドキャット結像レンズ群19の一実施形態の詳細を示している。回転コンポーネント19から出射した光ビームは、最初に平面28に入って、平面ミラー23で反射し、球面ミラー24で反射し、この場合、面23と連続である平面から出射する。
【0064】
要素25は、結像レンズ群を封止して、光学面を清浄に保つための光学窓である。部材26は、幾つかの生物学応用にとって有用であって、処理される生物組織との光学的接触を維持するための光学窓である。
【0065】
このソリッドキャット結像レンズ群の幾何形状は、伝統的な光学製造方法によって高精度かつ低コストで製造できる。1つの手法では、球面反射面24が最初に材料に生成され、そして、平面の入り面28が球面の中に生成される。平面反射面23は、出射窓として機能する。この幾何形状は、図2Aに示すように、出射ビームが実質的にテレセントリックである点で、他の結像レンズ群に対して重要な利点を有する。テレセントリック出射ビームの配置は、多くの生物学および工業製造の応用にとって有用である。
【0066】
図3は、システムの焦点面において3つの像スポット27を生成する光線扇形(fan)30の詳細図を示す。図3において、3つの像点の各々は、セクタが入射光ビーム中で回転すると、対応したセクタの異なる回転角と関連付けられた3組の光線扇形を有する。例えば、光線扇形30A,30B,30Cは、像スポット27Aについて示している。光線扇形30Aは、入射光ビームに進入したばかりのセクタに対応し、光線扇形30Bは、光ビーム途中の回転角に対応し、光線扇形30Bは、光ビームを出るセクタに対応しているであろう。
【0067】
像スポット27に関して、光ビームは、紙面内で和図に移動することに留意する。例えば、図3に示すように、光線扇形30A,30B,30Cは、同一の焦点スポット27Aで集束していても、角度に関して相互に僅かにオフセットしている。明確化のために3組の光線扇形について示したが、実際には、入射光ビーム中に個々のセクタの連続移動によって生成された、光線セットの連続体が存在している。
【0068】
ある応用では、光線扇形の移動は、有利な性質を有することがある。像スポットが、人体皮膚などの組織の内部に集光した場合、エネルギー密度は、内側の焦点で、個々のミラー対の回転角について最大になり、一方、エネルギー密度パターンは外側皮膚面の上を移動して、皮膚表面での熱的影響を内側処理領域よりかなり低く維持している。この条件は、内側組織の特徴物の処理を高い熱的レベルに維持でき、一方、外側組織の特徴物を低い熱的レベルに維持でき、組織表面への不要なダメージを生じさせない。
【0069】
ターゲット面に沿った光線扇形の移動はまた、例えば、長い直線パターンが用いられるシーム溶接などの応用で有用である。像面に対して傾斜及び/又は変位したターゲット面を用いてスキャナを動作させ、各ビームについて光線扇形の所望の移動を達成することは、望ましいことになる。
【0070】
図4は、本発明に係る他の光学パターン生成器の図であり、入射光ビーム42の伝搬方向は、回転面に対して垂直な方向に実質的な成分を有する。このパターン生成器も、回転軸41を備えた単一の回転コンポーネント40を使用して、目的のパターンを生成する。
【0071】
この例では、ディスク40は、入射光ビーム中で回転する反射セグメント43,44を支持している。このセグメントは、、回転対称である光学母面(parent optical surface)を有し、回転コンポーネントの回転軸41と一致した光軸を備える。
【0072】
図4は、より小型の反射セグメント43,44を備えた、大型の光学母面を示しており、ビーム42は2回反射して、パターン生成器を出る。図4において、回転コンポーネントは、各セクタにつき一対の対向する反射面43,44を備えたディスク40を含み、異なるセクタは、異なる曲率半径を持つ反射面を収納しており、出射ビームがセクタごとに異なる角度で変位しつつ、PSD条件を維持するようにしている。
【0073】
面43,44は、回転対称であって、これらの光学中心線の回りに回転することから、光ビームと交差する面43,44の両方が、回転に関して空間的に不変である。2つの反射セグメント43,44の半径およびこれらの軸上間隔は、システムを全てのセグメントについてほぼアフォーカル(無限焦点)系に維持しつつ、出力ビーム角を変化させるように選ばれる。
【0074】
図5Aは、反射型結像レンズ群と組み合わせた、図4の光学パターン生成器の側面図を示す。屈折回折結像レンズ群も使用できる。入力ビーム42は、第1面セグメント43で反射し、そして第2面セグメント44Aで反射する。
【0075】
この特定の実施形態において、面セグメント43は、全ての連続したセグメントについて同一表面であり、第2面セグメントの半径は、各連続セグメントについて相違しており、44A,44B,44Cのように示している。
【0076】
連続セグメントについて異なる第1面半径を用いた本実施形態の変形も可能であり、これらのセグメントは43A,43B,43Cでそれぞれ表されるであろう。回転コンポーネントからの角度偏向での変化は、第1面セグメント43での異なる半径に起因するであろう。
【0077】
特定の実施形態では、面セグメント43が全ての連続した光学経路について同一であるが、面セグメントは非回転でもよい。例えば、それは、ディスク40ではなく、結像レンズ群45にしっかり固定してもよい。
【0078】
図5Aにおいて、結像レンズ群45は、像面53に3つの連続セクタによって生成される3つのスポットからなる像パターンを形成する。この光学パターン生成器では、無非点収差(stigmatic)(即ち、鮮鋭な結像)の像が、結像レンズ群45の光軸に対して傾斜した面に存在する。この像面傾斜は、面セグメント対の一方だけが、出射ビームを入力ビームと共軸にする2つの半径および間隔距離を有することができ、ビームに追加される屈折パワーが無いという事実の結果である。
【0079】
他の面セグメント対は、これらの半径および間隔距離が、所望の出力ビーム角度偏向を達成するように選ばれることを必要とする。角度偏向を、共軸の出力ビームを生成する光学経路より小さくするには、一般に、第1反射面43Cはより平坦になって、より増加した曲率半径を有し、一方、第2反射面44Cはより急峻になって、より減少した曲率半径を有する。
【0080】
このことは、2つの面はアフォーカル対を作らず、正のパワーが出力ビームに追加され、結像レンズ群により接近して焦点を結ばせることを意味する。出力ビームの角度偏向が共軸出力ビームより大きい場合、反対が生じて、負のパワーが出力ビームに追加され、結像レンズ群により遠くに焦点を結ぶ。
【0081】
ほぼ回折限界の像スポットを達成するには、システムの回転軸41と一致する光軸を持つ非球面の回転面のセグメントである面セグメントを使用することが好都合である。幾つかの応用は、より大きな像スポットを有することができ、これらの場合、非球面の回転面が許容される。
【0082】
高い光学処理効率を必要としない幾つかの応用では、ビームは、各セクタの回転範囲の短い部分だけに作用する。面セグメントは、トーリック(toric)非球面にすることができ、屈折パワーは、面セグメント対の各々について解消できる。これは、面セグメント対が入射光ビーム中で回転すると、像スポットの小さな移動を生じさせる。移動の方向は、スポットがシステム光軸から変位する方向に対して直交している。直交した像移動は、面のトーリックパワーの関数であり、像中の各スポットは、その変位距離に対して直交して異なる量だけ移動する。この条件は、システムのデューティ比(即ち、放射効率)が低い場合は、許容できる。
【0083】
図5Bは、図5Aの斜視図を示す。回転軸41を備えた回転ディスク40は、2つの面セグメント43,44を支持するように示しており、これらは、回転軸41と一致した共通の光軸を持つ非球面の回転面のセグメントである。ディスク40が回転すると、面セグメントの異なる対(不図示)が入射光ビーム42と交差し、光ビームが結像レンズ群45に入る手前で、出射光ビーム46の偏向角を変化させる。
【0084】
結像レンズ群45は、第1平面折り曲げミラー50と、好ましくはアナモフィック非球面であって、ほぼ回折限界の像スポットを生成する像形成ミラー51と、長い作動距離を持つ一定の応用にとって必要な空間中の好ましい場所に像を向ける第2平面折り曲げミラー52とを備える。
【0085】
ほぼ回折限界の像スポットを必要としない応用は、非点収差が補正される場合はトーリック形態で、あるいは、非円形の像スポットがある応用で許容される場合は球面形態である像形成ミラー51を使用することができる。
【0086】
図5Cは、結像レンズ群の一実施形態で用いた折り曲げ配置を示す本実施形態の平面図である。この折り曲げ配置は、像形成ミラー51の軸外セグメント、または像形成ミラー51の傾斜セグメントを用いることによって、光学経路の自己掩蔽を回避している。
【0087】
この中心外し配置は、像形成ミラー51が球面形態である場合、非点収差を導入する。この非点収差は、像形成ミラー51をトロイダル(toroidal)または非球面トロイダルの形態にすることによって、大きく補正することができる。
【0088】
さらに、像補正は、像形成ミラー51を、反射面で直交した2つの非球面形状からなるアナモフィック非球面にすることによって、達成される。
【0089】
本実施形態の変形は、図6に示しており、反射面セグメント43,44は、トーリックまたはアナモフィック非球面の形態である母表面からのものである。この変形は、異なる光学経路についてビーム角変動および屈折パワーの完全補正の両方を提供して、回転コンポーネントがアフォーカルとなり、像面は、システム光軸に対して垂直になる。
【0090】
トーリックまたはアナモフィック非球面のセグメント43,44は、回転すると、プロファイルを変えるため、像面でのスポットの直線変位にも依存する像スポットの小さい直交変位が存在するようになる。露光期間および回転角が小さい応用では、この変形構成が許容される。
【0091】
図7は、入射光ビームを一連の出力光ビームに偏向させる回折要素を用いた他の光学パターン生成器の図である。図7において、入力光ビーム70が折り曲げミラー71に入射して、一連の偏向セクタを有する回転ディスク72を通過する。各セクタは、ディスク外周上に配置された回折光学要素を有する。
【0092】
ディスク72は、その軸73の回りに回転する。異なるセクタによって生成された出力光ビーム74は、像面76の上にパターンを形成する結像レンズ群75に入るように示している。各回折光学要素は、異なる空間的周期を有しており、それぞれ連続するセクタが光ビームについて異なる角度偏差を生じさせ、結像レンズ群75が焦点ラインに沿って異なるスポットに結像させる。
【0093】
好ましい実施形態では、回折要素は、平行ラインでない弓状形態の回折構造を使用しており、弓状溝は、回転軸73と一致した軸を有する。この回折構造は、透過波面を単一角度で偏向させずに、小さな角度変化の波面を導入し、像スポットの小さな滲みを生じさせる。この不要な滲みは、結像レンズ群の設計によって部分的に補正でき、像スポットは、回折限界の品質に接近する。弓状の性質は、各セクタが入射光ビーム70中で回転しても、空間的不変をもたらす。本実施形態の変形は、反射回折光学要素を使用する。
【0094】
図8は、本発明に係る他の光学パターン生成器の図である。この例では、回転コンポーネントは、回転軸83を有する。図8において、入力光ビーム80は、最初に、内側円筒面81を通過し、続いて、円筒面82を通過する。円筒面は、共通の回転軸83を有する。面82は、それぞれ光学要素を収納したセクタに分割される。
【0095】
図8において、これらの光学要素は、異なる周期性を持つリニア回折格子である。図8に関して、回折格子の線引き(ruling)は、紙面に垂直な方向に延びている。各回折格子面は、出力光ビーム84を異なる角度で偏向させ、結像レンズ群85は、像面86にスポットパターンを形成する。リニア回折格子の使用は、光ビーム80中で回転しても、セクタが空間的に不変であることを意味する。
【0096】
代替の実施形態では、屈折または反射の光学要素も使用できる。例えば、反射切り子面(facet)が、円筒面82で入力光ビームに作用してもよく、あるいは屈折プリズムを円筒面82の上で用いてもよい。さらに、要素は、面81,82の両方に配置してもよく、例えば、図4と類似したZ形状の折り曲げ光学経路を形成してもよい。
【0097】
上記の例は、1つの入射光ビームおよび1つの出力光ビームについて検討した。例えば、図1Aを参照して、1つ以上の光ビームが、図示したセクタに同時に入射してもよい。光ビームは、重なっても、そうでなくてもよい。重なったビームは、例えば、波長に敏感なデバイスによって、回転コンポーネント9の上流で結合して、回転コンポーネント9へ向けて同じ光学経路を伝搬してもよい。
【0098】
代替として、光ビームは、セクタ内の同じスポットで異なる角度で到達してもよい。図1Aでは、第2光源を紙面の少し上方に配置して、少し下向きの角度で進行するようにしてもよく、その結果、図1Aに示す光ビーム1と同じ場所でセクタに入射する。
【0099】
代替として、光ビームは、全て重なり合わなくてもよい。図1Aにおいて、プリズムが、紙面に垂直な方向に延びて、単一の光ビームを紙面に垂直な方向に延びるアレイ状の光ビームと置き換えてもよい。
【0100】
最後の例として、1つ以上のセクタが一度に活動してもよい。図1Aにおいて、光ビーム1は、左方から到来して、回転コンポーネント9の約7時30分の位置に入射している。第2の光ビームが右方から到来して、対称な4時30分の位置に入射してもよい。光ビームは、他の位置に入射してもよく、次の結像が少し複雑になるかもしれない。
【0101】
上述した光学パターン生成器は、多くの異なる応用に使用してもよい。生物学応用の幾つかの例は、米国特許出願番号第10/888356号(名称"Method and Apparatus for Fractional Photo Therapy of Skin")、同第10/751041号(名称"Multi-Spot Laser Surgical Apparatus and Method")、および同第60/xxx号(代理人事件番号9454)(名称"Optically-Induced Treatment of Internal Tissue")に記載されており、これらの全ては参照によりここに組み込まれる。
【0102】
種々の工業的応用も明らかになろう。一例は、図9Aと図9Bに示している。この例では、図1に示した光学パターン生成器は、レーザビーム91をワークピース95上の種々のスポットへ向けて、溶接ジョイント97を生成するために用いている。図9Aは、光学パターン生成器92の1つのセクタによって偏向した単一のレーザビーム91を示しており、レンズ93によってワークピース95に焦点を結んでいる。
【0103】
図9Bは、斜視図を示している。さらに、2つのレーザビーム91A,91Bを同時に使用して、2つの平行な溶接列97A,97Bを生成している。図9Bはまた、全てのセクタによって生成される全体の溶接パターンを示す。各レーザビームに関して、図9Bに示す各焦点スポットが、光学パターン生成器92の別々のセクタによって生成される。
【0104】
図9Cは、図9Bに示す溶接パターンの一列を示す。全部で15個の仮付け(tack)溶接が存在している。数字は、溶接が生成された順序を示す。溶接は左から右の順序で生じていないことに留意する。代わりに、最も左の溶接1が生成され、次に、最も右の溶接2が生成される。
【0105】
残りの溶接は、これらの中間点で長いスパンを仮付けするように選択される。例えば、溶接3は、溶接1と溶接2の間のスパンのほぼ中央を仮付けし、溶接4は、溶接2と溶接3の間の中間点を仮付けし(この時点で最長のスパン)、溶接5は、溶接1と溶接3の間のほぼ中間点を仮付けしている。
【0106】
この手法は、初期の2つの溶接が両端の部分を拘束して、クランプ止めの必要性を低減している点で好都合である。さらに、レーザエネルギーがワークピースを横断して分配され、溶接が左から右へ連続して行われた場合に生じ得る過剰な熱蓄積を回避できる。長いスパンの中間を仮付けすることは、局所的な熱蓄積に起因した異なる熱膨張の影響も制御している。
【0107】
溶接パターンの対称性により、溶接1ではなく溶接9から開始することによって、同じ効果が得られる。これは、溶接パターンの開始前の待機時間を低減する。ワークピースは溶接の準備ができているが、動作セクタが溶接2に関するものである場合には、デバイスは、全体パターンではなく、溶接9に関するセクタが溶接1に戻るまで待機することだけが必要になる。本発明を用いて、1〜10000(溶接/秒)の溶接速度、好ましくは、数百または数千(溶接/秒)の溶接速度が得られる。
【0108】
図9Dに示すように、対称性がスキャナホイールで必要でない場合、熱膨張の制御はより最適化できる。他の配置は、当業者にとって明らかであろう。
【0109】
図10は、本発明に係る他の光学パターン生成器を示す。この光学パターン生成器は、回転軸1001を持つ単一の回転コンポーネントを使用して、目的のパターンを生成している。この例では、各セグメントは、一対の反射面1003,1004で構成され、これらは、単一の回転コンポーネントによって支持されている。
【0110】
単一の回転コンポーネント1000の3つの異なる回転角は、図1において重ね表示されており、単一の回転コンポーネントが回転したとき、一対の反射面1003,1004からの入射光ビーム1002の偏向を示している。
【0111】
この回転は、1003,1004に関して3つの分離した位置を生成し、これらは1003A,1003B,1003C,1004A,1004B,1004Cとしてそれぞれ示している。入射光ビームの偏向角は、回転コンポーネント1000が回転しても、保存される(偶数個の表面での反射のため)。
【0112】
詳細な説明は多くの具体例を含んでいるが、これらは本発明の範囲を制限するものと解釈すべきでなく、単に本発明の異なる例および態様を示すものである。本発明の範囲は、詳細に上述していない他の実施形態を含むと理解すべきである。例えば、光ビームは、回転コンポーネントの回転面に対して平行または垂直である以外の角度で入射してもよい。さらに、特定の応用に応じて異なる波長を使用してもよい。一般に、光ビームの用語は、200〜12000nmの波長範囲で少なくとも半分のパワーを有する電磁放射を意味するとして用いている。
【0113】
当業者に明らかな他の種々の変更、変化、変形は、添付の請求項に規定されたような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、ここに開示された本発明の方法および装置の配置、動作および詳細に関して行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1A】本発明に係る光学パターン生成器の側面図であり、入射光ビームは、実質的に回転面内にある。
【図1B】図1Aのプリズムの傾斜を示す拡大図である。
【図2A】反射型結像群と組み合わせた、図1の光学パターン生成器の側面図である。
【図2B】反射型結像群と組み合わせた、図1の光学パターン生成器の端面図である。
【図3】図2のシステムの焦点領域の詳細図である。
【図4】本発明に係る他の光学パターン生成器の動作原理を示す側面図であり、入射光ビームは、回転面に垂直な方向に実質的な成分を有し、反射セグメントの全ての母表面を示している。
【図5A】反射型結像群と組み合わせた、図4の光学パターン生成器の側面図である。
【図5B】反射型結像群と組み合わせた、図4の光学パターン生成器の斜視図である。
【図5C】反射型結像群と組み合わせた、図4の光学パターン生成器の平面図である。
【図6】アナモフィック非球面セグメントおよび反射型結像群を用いた、他の光学パターン生成器の側面図である。
【図7】円板形状の基板面にある回折要素を用いた、他の光学パターン生成器の側面図である。
【図8】樽状基板の側面にある回折要素を備えた、他の光学パターン生成器の側面図である。
【図9A】図1の光学パターン生成器を用いた工業溶接応用の端面図である。
【図9B】図1の光学パターン生成器を用いた工業溶接応用の斜視図である。
【図9C】図9Aと図9Bに示したようなスキャナーから生成可能な溶接パターンを示す。
【図9D】図9Aと図9Bに示したようなスキャナーから生成可能な溶接パターンを示す。
【図10】長斜方形(rhomboid)のミラー形状を用いた、他の光学パターン生成器を示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願番号第60/652891号(名称「High Efficiency, High Speed Optical Pattern Generator Using a Single Rotating Component」、2005年2月14日出願)の優先権を主張するものであり、米国特許出願番号第10/750790号(名称「High Speed, High Efficiency Optical Pattern Generator Using Rotating Optical Elements」、2003年12月31日出願)の一部継続出願である。上述の全ての主題は参照によって全体がここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、アレイ状の像点、像スポットまたは像ラインなどの図形パターンを光学的に生成することに関する。特に、本発明は、入射光ビームを様々な量だけ偏向させる複数の偏向セクタを有する単一の回転コンポーネントを用いて、こうしたパターンを生成することに関する。
【背景技術】
【0003】
所定パターンのスポットや走査ラインの光学的生成は、種々の用途で用いられている。デジタルコピー機、プリンタ、指紋識別、携帯バーコードスキャナー、工業的応用、光のショー催し、ディスプレイ、遠距離通信の交換、医療応用は、幾つかの例である。おそらく、図形パターンを生成する最もありふれた機構は、傾斜ミラー(例えば、ガルバノメータによって駆動される振動ミラー)、および回転する凸面ポリゴンからの反射である。
【0004】
しかしながら、傾斜ミラーをベースとした光学パターン生成器は、典型的には、一定の応用にとって不適当である特性を有する。例えば、こうしたシステムでの走査は、典型的には、ミラーを往復して傾斜させることによって達成される。しかし、往復運動は、ミラーが停止して、方向を反転させることを要する。これは時間を要し、走査レートを制限する。これらのシステムの走査レートを増加させるために、ミラーは、多くの場合、共振周波数に近いレートの振動運動で駆動される。
【0005】
しかしながら、このことは、生成可能なパターンを著しく制限してしまう。例えば、ミラー運動が振動的なものに制約されるため、不規則なパターンを生成することは困難である。近共振条件も、達成可能な走査レートの範囲を制限する。例えば、近共振条件は広い範囲で適合しないため、こうしたシステムを広範囲の走査レートに渡って同調させることは困難である。さらに、共振スキャナの走査角速度は、通常、正弦波であり、各ポイントでの滞留(dwell)時間が適切に一定であるべき多数の応用には向いていない。
【0006】
2次元パターンが望ましい場合(例えば、一連の平行な走査ラインや2次元パターンのスポット)、典型的には、単一ミラーが2方向に同時に傾斜したり、または2つの調和した傾斜ミラーが用いられる。多くの場合、レーザ光などの光の利用効率が重要である。この効率は、所定の期間で、光源によって生成された全エネルギーに対する、処理表面での所望のパターンに割り当てられたエネルギーの割合として定義できる。
【0007】
パターンがバックグランドと比べてまばらである場合、光源が時間で有効利用されるように、光源をオフにしてバックグランドを素早く走査し、光ビームが露光すべきスポットに位置した時点で再びオンにして、スポットをパターン露光することが好ましい。このことは、加速、減速、位置決めを素早く行うことができる、より敏感なデバイスが必要になる。これらの特性の結果、ガルバノメータベースのシステムおよび凸面ポリゴンシステムは、特に、パターンが不規則であったり、まばらである場合に、高速パターン生成にあまり適していない。
【0008】
回転ポリゴンの手法では、3次元ポリゴンの側面が鏡面化され、ポリゴンは中心軸回りに回転する。鏡面化した各側面が入射光ビーム中で回転すると、光ビームは反射され、走査線上にポイントを生成する。光ビーム中での鏡面の回転は、1本の走査線を生成する。もし全ての鏡面が同一(例えば、ポリゴンの底部に関して同じピラミッド角を形成)であれば、同一の走査線が何回も軌跡を描く。もし鏡面が異なっていれば、各側面が光ビーム中で回転するごとに、異なる走査線が軌跡を描く。例えば、各側面のピラミッド角を変化させることによって、反射した光ビームは、一連の走査線の軌跡を描くことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、回転ポリゴンの手法はまた、一定の応用には向いていないという不具合を有する。例えば、一連の走査線を生成するシステムは、回転に起因した収差を受けることがある。一連の走査線を描くためには、各側面は、基本の走査線を、走査方向に垂直な方向にオフセットさせるような異なるピラミッド角を有する。
【0010】
しかしながら、各側面が光ビーム中で回転すると、角度が付いた側面の向きも回転する。これは、オフセット量及び/又は他の不要な収差での変化を生じさせる。1つの例は、走査線の曲がりである。理想の走査線は、一般に、直線的な線分であるが、実際の走査線はしばしば円弧線分である。円弧線分のたるみが曲がりである。回転ポリゴンスキャナの場合、非ゼロのピラミッド角を有する側面は、弓形の走査線を生成する。曲がり量は、ピラミッド角に依存する。
【0011】
異なるピラミッド角を用いて、複数の走査線を描いたり、異なる場所でスポットを生成するポリゴンスキャナでは、各走査線が曲がるだけでなく、曲がりが走査線ごとに変化するようになる。最上部の走査線の曲がりと最下部の走査線の曲がりの差が重大になることがある。
【0012】
回転によって生じた走査線曲がりおよび他の影響は、用途に応じて追加の問題を生じさせる。例えば、幾つかの応用では、スキャナがターゲットに対して移動する場合であっても、光ビームが理想的にはターゲット上の固定スポットに留まるように、ターゲットに対するスキャナ運動を補償するための走査活動が用いられる。
【0013】
この場合、走査線曲がりは、光ビームを走査方向に対して垂直な方向に移動させることなる。この動きがターゲット上での光ビームの滞留時間と比べて遅い場合、曲がりは、不要な動きを垂直方向に効率的に導入する。この動きがターゲット上での光ビームの滞留時間と比べて速い場合、曲がりは、半径方向の偏向となって、未補償の接線方向の動きと組合せた場合、光ビームを効率的にぼやかして、ターゲット上でのビームのスポットサイズを増加させる。一般には、いずれの影響も望ましくない。
【0014】
各像点で長い滞留時間を備え、特に、不規則パターンの生成のための高速で動作可能な光学パターン生成器のニーズが存在する。低減した収差及び/又は画像にじみを備えたパターン生成器のニーズも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、単一の回転コンポーネントを用いて光学パターン生成器を提供することによって、先行技術の制限を克服するものである。回転コンポーネントは、光学要素を備えた多数の偏向セクタを含む。各セクタは、入射光ビームをほぼ一定の角度だけ偏向させるが、この角度はセクタごとに変化してもよい。回転コンポーネントは、例えば、ライン軌跡(locus)に沿って変位した像点、像スポットまたは像ラインを生成する結像レンズ群と組み合わせてもよい。像スポットは、例えば、直交方向に傾き(tilt)を導入することによって、ラインの両側へ変位させることができる。
【0016】
この手法は、多くの利点をもたらす。外周において連続して位置決めされたセクタを備えた単一の回転コンポーネントの使用は、高い放射効率を提供できる。外周に配置された光学要素を備えた回転コンポーネントの幾何形状、例えば、薄い円板、は、高い角速度での回転を容易にし、像パターンを高速レートで生成する。
【0017】
準静止系(pseudo-stationary)の角度偏向と組み合わせた回転コンポーネントの角速度は、個々の像点、像スポットまたは像ラインを生じさせるように使用でき、高い放射エネルギー量を像空間での小さなポイントに高い放射効率で供給する。各偏向セクタは、入射光ビーム中で回転すると、ほぼ一定の角度偏向を生成するが、各偏向セクタは異なる一定の角度偏向を有するという意味において、角度偏向は準静止系である。
【0018】
単一の回転コンポーネントの他の利点は、2つの逆回転(counter-rotating)コンポーネントと比べて、2つの逆回転コンポーネント間の同期化およびその高い追加コストを回避できる点である。単一の回転コンポーネントのための駆動機構は、2つの逆回転コンポーネントのものより複雑でなく、同期を維持する必要がなく、角速度は急速に変化させることができる。
【0019】
2つでなく、1つの回転コンポーネントの使用は、サイズおよび重量を低減できる。光学要素の収納形状は、よりコンパクトな回転コンポーネントをもたらし、コンポーネントの数は、これらの追加コストとともに著しく減少する。
【0020】
本発明の一態様では、好ましい実施形態は、光学パターン生成器が、入射光ビームの波長から依存しないようにした反射面を使用しており、この条件から利益が得られる応用において、幾つか異なる波長の同一パターンの同時生成を可能にする。
【0021】
1つの応用では、スキャナは、直線的なライン軌跡(locus)に沿って変位するスポットまたは線分からなる光学パターンを生成する。2次元パターンは、パターン生成器に対するターゲット領域の移動によって展開される。
【0022】
本発明の実施は、「塗布(painting)」概念を利用できるが、「ジクザグ」の像点パターンを有するパターンも提供することができる。ある応用でのジクザグ像点パターンの使用は、隣接する像点間の熱的相互作用を防止し、例えば、生物組織をダメージから救い、生物組織の偶発的切除を防止するという利点を有する
【0023】
ある実施形態では、光学パターン生成器は、回転ディスクの外周上に配置された複数の偏向セクタを有する単一の回転コンポーネントを含む。入射光ビームは、ディスクの回転面内で伝搬する。ディスクは、セクタを収納したエッジを入射光ビームへ提示する。ディスクが回転すると、セクタは、入射光ビーム中で進行する。各セクタは、回転面内にある表面法線を有する、対向した一対の平面ミラーを含む。入射光ビームは、一方のミラーから他方のミラーへ反射し、続いて、光ビームの入射角に対しておおよそ90度の偏向角度で回転コンポーネントを出射する。
【0024】
ミラー内の光学経路は、主としてディスク面内にある。2つのミラーのこの配置は、一対のミラーが入射光ビーム中で回転しても、偏向角が変化しないという性質を有する。従って、回転ディスクコンポーネントの外周にある一対のミラーは、入射光ビーム中で移動して、入射光ビームに対して一定の偏向角を有する出射光ビームを生成する。
【0025】
連続した一対のミラー(即ち、別々のセクタ)は、異なる開先角度(included angle)を有してもよく、別々の一対のミラーが出射光ビームを異なる量で偏向させることができる。よって、この幾何形状は、準静止系偏向(PSD)パターン生成を達成している。
【0026】
この例の幾何形状は、回転コンポーネントから、コリメートされた出力光ビームを生成している(コリメート入射光ビームと仮定)。出力光ビームは、異なるセクタに対応した選択可能なビーム角度のセットで、次の結像光学系に提示される。次の結像光学系は、入射ビームに存在する波長に依存しない像パターンを作成する簡単な反射対物光学系を含む。屈折、回折またはホログラフィックの対物光学系も使用できる。
【0027】
本実施形態では、例示の像パターンは、反射面が単一方向にのみ傾き成分を有する場合、像ライン軌跡(locus)に沿って変位する一連の像点を含む。反射面が直交方向にも小さな傾き成分を有する場合、像パターンは、像ライン軌跡に沿ってジグザグパターンで変位する像点を有することがある。
【0028】
隣接した像点の連続的な照射に起因した熱的な焦点ぼけ(blooming)や他の不要な影響を低減するため、回転コンポーネント上のセクタは、像パターン中の非隣接点がシステムの速度や放射効率を落とすことなく連続照射されるように、設計可能である。ガルバノメータおよび他のパターン生成器は、一般には、この能力を有していない。
【0029】
他の実施形態は、長斜方形(rhomboid)の構成で配置された一対の平面ミラーを使用する。回転コンポーネントの一側面にある各対のうちの1つのミラーは、回転コンポーネントの対向側面にある第2ミラーに対応している。入射光ビームは、第1ミラーで反射し、回転ディスクコンポーネントの中心を横切って、ミラー対の第2ミラーで反射する。ミラー対の傾斜角は、入射または出射光ビームに対してほぼ45度である。
【0030】
一実施形態では、一方のミラー対の各ミラーの傾斜角は45度であり、他方のミラー対の傾斜角は、出射光ビームが入射光ビームに対して異なる角度で出射するように、僅かに変化している。この幾何形状はまた、出射光ビーム角の不変条件を維持している。
【0031】
入射ビームが、選択したミラー対にある限り、出射ビーム角は、ミラー対の回転に関して不変である。出射ビームは、先の実施形態のように、PSD不変である。入射光ビームを含む面内で一緒に回転する偶数個のミラーのいずれの組合せは、PSDパターン生成の性質を有するように設計可能である。
【0032】
他の実施形態は、単一の回転コンポーネントを使用するものであり、入射光ビームが回転コンポーネントの外側から由来して、回転コンポーネントの回転面内にない方向に伝搬している。例えば、入射光ビームは、面を入射光ビームに向けるディスク上に配置された2つの光学面に方向付けしてもよい。
【0033】
この幾何形状に基づいた実施形態では、セクタは、出射光ビームを入射光ビームに対してほぼ共軸(collinear)にする「Z型折り曲げ」配置で、2つのミラーを備える。各セクタは、セクタ内のミラー間の異なる開先角度を有することができ、異なるセクタは異なる角度偏向を生じさせる。
【0034】
2つのミラーは、平面でもよく、あるいは、より大きな母回転面の部分、例えば、球面または非球面などにすることができる。角度偏向は、各ミラー面の光軸をディスクの回転軸と一致させることによって、ほぼ一定のレベルに維持することができ、その結果、ディスク回転は、入射光ビームに提供された光学面の形状を変化させない。
【0035】
さらに他の実施形態では、単一の回転コンポーネントは、樽の円筒部分に類似した、その外周回りに配置されたセクタを有する。入射光ビームは、円筒部分の内側から注入される。これらの実施形態は、好ましくは、反射型光学要素の代わりに透過型光学要素を使用しているが、反射面は、例えば、波長非依存性が重要である場合に使用できる。円筒外面での透過型回折構造は、好ましい光学要素である。
【0036】
上述した光学パターン生成器は、種々の応用に使用可能である。例えば、これらは、外部から皮膚上に、あるいは、例えば、種々の開口部を通じて内側から、光エネルギーを人体組織に当てるために使用可能である。光エネルギーは、例えば、局所加熱、切除、切断または焼灼(cauterizing)など、異なる目的を達成するために使用可能である。
【0037】
装置は、光エネルギーを他の材料、例えば、金属、パウダーまたは他の工業材料に当てるためにも使用可能である。切断、溶接、切除、マーキングは、実施可能な製造プロセスの例である。装置は、レーザプリンタやLEDプリンタ、光学撮像スキャナ、コピー機にも使用できる。他の応用は明らかとなろう。
【0038】
本発明の他の態様は、上述した装置、システムおよび応用に対応した方法を含む。
【0039】
本発明は、添付した図面と関連して、下記の本発明の詳細な説明および添付した請求項から容易に明らかとなる他の利点および特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1Aは、本発明に係る光学パターン生成器の側面図であり、入射光ビーム1は、実質的に回転可能なコンポーネント9の回転面内にある。この例では、回転コンポーネント9は、29個のセクタ8A,8B,8Cなどに分割されており、これらは、回転コンポーネント9の回転軸4を中心とした円周に配置されている。入射光ビーム1は、回転面にある方向に沿って伝搬する。各セクタ8は、一対の反射要素(例えば、現時点で活動しているセクタについての反射面2,3)を含む。
【0041】
反射面の表面法線は、回転面内に実質的な成分を有する。この例では、回転コンポーネント9は、円周状に配置されたプリズム6,7などを含む。プリズムの面は反射性コートが施され、隣接したプリズム(例えば、プリズム6,7からの反射面2,3)からの反射性コート面は、セクタに関して対向した反射面を形成する。
【0042】
プリズム以外の離散的な構造も使用することができ、反射面は平面である必要はない。プリズムコンポーネントの代わりに、小型のフラットミラーが使用可能である。
【0043】
コンポーネント9が回転すると、セクタ8は入射光ビーム1の中で回転する。各セクタ8は、到来する光ビーム1を、ある角度量だけ偏向させる。セクタ8は、各セクタが入射光ビーム1の中で回転すると、角度偏向がほぼ一定であるように設計される。しかし、角度偏向は、セクタごとに変化してもよい。詳細には、入射光ビーム1は、プリズム6の第1反射面2で反射し、続いて、プリズム7の反射面3で反射して、出射光ビーム5として出射される。
【0044】
2つの反射面2,3は、ペンタ(Penta)ミラー配置を形成する。折り曲げ光学経路の面内で一緒に回転する偶数個の反射面は、角度偏向が反射面の回転角に対して不変であるという性質を有する。この場合、2つの反射面2,3が存在し、ディスク9の回転により、プリズム6,7およびこれらの反射面2,3は、折り曲げ光学経路の面内で一緒に回転するようになる。その結果、2つの反射面2,3が入射光ビーム1の中で回転しても、出射光ビーム5は変化しない。
【0045】
反射面2,3は、ディスク9の回転に関して自己補正している。さらに、反射面2,3が平面である場合、これらは、ディスク揺れに関して実質的に空間的に不変になる。
【0046】
ディスク9が、時計回りで次のセクタ8および次の2つの反射面へ回転すると、角度偏向は、対向反射面の間で異なる開先角度を用いることによって、変化し得る。この構成では、ビームは開先角度の2倍の角度で偏向するようになる。例えば、セクタ8Aの開先角度が45度である場合、セクタ8Aは入射光ビームを90度偏向させることになる。セクタ8Bの開先角度が44.5度である場合、入射光ビームは89度偏向するようになる。以下、同様。この例では、異なる開先角度が各セクタについて用いられ、各セクタは、異なる量で偏向した出力光ビームを生成することになる。
【0047】
しかしながら、入射ビーム中で一緒に回転する偶数個の反射面に起因して、偏向角度は、各セクタ内で実質的に不変になる。この例では、角度偏向は、90度の公称値と、公称値から−15〜+15度の変動を有する。
【0048】
この例において、下記のように計算すると、各プリズムの頂角は32.5862度である。各セクタ8は、等しい角度量をなしている。29個のセクタが存在することから、各セクタは、図1Bに示すように、360/29=12.4138度をなす。2つのプリズム6,7は、同じ形状を有し、よって同じ頂角βを有する。コンポーネント9は、開先角度が45度であるように設計され、プリズム6,7は、頂角を二等分するラインが回転軸4を通過するように位置決めされる。従って、設計は、β/2+12.4138+β/2=45の式を満足する必要がある。これを解くと、頂角β=32.5862度が得られる。
【0049】
プリズム6からディスク9上で反時計回りで移動する次のプリズム17は、角度+αだけ僅かに傾斜しており、その二等分線17Lはディスクの回転中心4を通過していない。その結果、プリズム6,17によって形成されるセクタの開先角度は、(β/2+α)+12.4138+β/2=45+αとなる。
【0050】
次のプリズム16は、再び回転中心4と整列しているため、プリズム16,17によって形成されるセクタの開先角度は、(β/2−α)+12.4138+β/2=45−αとなる。
【0051】
次のプリズムは、+2αだけ傾斜しており、続いて、整列したプリズム、+3αだけ傾斜したプリズム、他の整列したプリズムとなり、以下同様である。この幾何形状は、ディスク4の外周回りに維持されている。
【0052】
この特定した配置は、公称値90度に対して−15度〜+15度の範囲に渡って変化する29個の偏向角を生成する。この手法は、奇数個のセクタを使用するものであり、1個おき(近似的に)のプリズムが整列して、交互のプリズムが角度α、2α、3α等だけ傾斜していることに留意する。
【0053】
他の個数のセクタおよび異なる回折角パターンが、この特定の幾何形状の変形によって生成できる。さらに、同じ角度偏向を生成するが、単調増加する順番で生成しないようにした別の回転機構が可能である。他の例として、回転コンポーネントは、偶数個のセクタおよびプリズムを有し、1個おきの整列プリズムと、角度α/2、3α/2、5α/2等だけ傾斜した交互のプリズムを備えてもよい。
【0054】
これは、公称値を中心とした角度偏向のセットを生成するようになるが、実際には、公称値での偏向は生成しない。
【0055】
他の手法では、回転機構は、最終スポットが連続的な順序で生成されないようなシーケンスで角度偏向を配置させている。換言すると、パターンがアレイ状のスポット1,2,3…29である場合、セクタは、1から29まで連続しない順番でスポットを生成するように設計してもよい。
【0056】
ある応用では、隣接スポットを短い期間で生成することは、照射領域の間の熱的結合を生じさせることがある。これは、適切な処理に対して有害となり得る。プリズムを適切に配置することによって、一時的に連続したスポットが相互に空間的に分離しつつ、完全なスポットパターンを提供するように、スポットを供給できる。
【0057】
幾つかの応用にとって有益である他の対照的な幾何形状がある。ある応用は、直線的ライン形状ではなく、ジグザグで配置された像パターンによって利益を得ている。例えば、幾つかの生物学応用において、像スポットが直線ラインに沿って配置され、高い照射レベルが存在する場合、照射は、レーザメスのように偶発的に組織を切断してしまうことがある。
【0058】
像スポットをジグザグパターンで配置することにより、熱的処理レベルを提供しつつ、切断または生物組織に対して望ましくない熱的ダメージの傾向を実質的に低減する。ジグザグパターンを得るには、これらに適用される回転角αを有する上述した幾何形状のプリズムは、ジグザグ形状を生成するために用いられる横方向スポット変位を生成するように適用される直交した傾斜角を有することも可能である。
【0059】
この例の応用では、異なる偏向角を持つ出力光ビームの系統は、続いて、図2Aと図2Bに示すように、結像レンズ群19に入って、ライン焦点に沿って変位するスポットパターンを形成する。多くの結像光学系群が、屈折、反射、回折または反射屈折(catadioptric)の形態を用いて使用可能である。
【0060】
図2Aと図2Bの好ましい実施形態は、製造が容易で、広いスペクトル範囲で色収差から解放された、中実の反射屈折(ソリッドキャット(solid cat))の形態を用いている。図2Aは、光学パターン生成器システムの側面図(即ち、図1Aと同じ)であり、図2Bは、このシステムの端面図(即ち、図1Aの左方から見て)である。
【0061】
図2Aは、上述した回転コンポーネント9と組み合わせた、中実の反射屈折結像レンズ群19を示す。この図において、回転コンポーネント9の反射面21,22だけを示し、3つの異なるディスク回転位置を示している。入射光ビーム20は、最初に面21で反射し、そして、面22Aで反射する。光ビームは、結像レンズ群19に入って、スポット27Aを形成する。回転ディスク9の他の2つの位置も示している。入力光ビーム20が面21、そして面22Bで反射すると、スポット27Bを形成する。入力光ビーム20が面21、そして面22Cで反射すると、スポット27Cを形成する。
【0062】
図2Aは、反射面21が全ての光学経路について同じ角度にある実施形態を示していることに留意する。これは、必要条件ではなく、幾何形状は、異なる角度およびデカルト座標を持つ反射面21A,21B,21Cをしばしば使用して、特定の像アレイパターンを達成する。
【0063】
図2Aと図2Bは、ソリッドキャット結像レンズ群19の一実施形態の詳細を示している。回転コンポーネント19から出射した光ビームは、最初に平面28に入って、平面ミラー23で反射し、球面ミラー24で反射し、この場合、面23と連続である平面から出射する。
【0064】
要素25は、結像レンズ群を封止して、光学面を清浄に保つための光学窓である。部材26は、幾つかの生物学応用にとって有用であって、処理される生物組織との光学的接触を維持するための光学窓である。
【0065】
このソリッドキャット結像レンズ群の幾何形状は、伝統的な光学製造方法によって高精度かつ低コストで製造できる。1つの手法では、球面反射面24が最初に材料に生成され、そして、平面の入り面28が球面の中に生成される。平面反射面23は、出射窓として機能する。この幾何形状は、図2Aに示すように、出射ビームが実質的にテレセントリックである点で、他の結像レンズ群に対して重要な利点を有する。テレセントリック出射ビームの配置は、多くの生物学および工業製造の応用にとって有用である。
【0066】
図3は、システムの焦点面において3つの像スポット27を生成する光線扇形(fan)30の詳細図を示す。図3において、3つの像点の各々は、セクタが入射光ビーム中で回転すると、対応したセクタの異なる回転角と関連付けられた3組の光線扇形を有する。例えば、光線扇形30A,30B,30Cは、像スポット27Aについて示している。光線扇形30Aは、入射光ビームに進入したばかりのセクタに対応し、光線扇形30Bは、光ビーム途中の回転角に対応し、光線扇形30Bは、光ビームを出るセクタに対応しているであろう。
【0067】
像スポット27に関して、光ビームは、紙面内で和図に移動することに留意する。例えば、図3に示すように、光線扇形30A,30B,30Cは、同一の焦点スポット27Aで集束していても、角度に関して相互に僅かにオフセットしている。明確化のために3組の光線扇形について示したが、実際には、入射光ビーム中に個々のセクタの連続移動によって生成された、光線セットの連続体が存在している。
【0068】
ある応用では、光線扇形の移動は、有利な性質を有することがある。像スポットが、人体皮膚などの組織の内部に集光した場合、エネルギー密度は、内側の焦点で、個々のミラー対の回転角について最大になり、一方、エネルギー密度パターンは外側皮膚面の上を移動して、皮膚表面での熱的影響を内側処理領域よりかなり低く維持している。この条件は、内側組織の特徴物の処理を高い熱的レベルに維持でき、一方、外側組織の特徴物を低い熱的レベルに維持でき、組織表面への不要なダメージを生じさせない。
【0069】
ターゲット面に沿った光線扇形の移動はまた、例えば、長い直線パターンが用いられるシーム溶接などの応用で有用である。像面に対して傾斜及び/又は変位したターゲット面を用いてスキャナを動作させ、各ビームについて光線扇形の所望の移動を達成することは、望ましいことになる。
【0070】
図4は、本発明に係る他の光学パターン生成器の図であり、入射光ビーム42の伝搬方向は、回転面に対して垂直な方向に実質的な成分を有する。このパターン生成器も、回転軸41を備えた単一の回転コンポーネント40を使用して、目的のパターンを生成する。
【0071】
この例では、ディスク40は、入射光ビーム中で回転する反射セグメント43,44を支持している。このセグメントは、、回転対称である光学母面(parent optical surface)を有し、回転コンポーネントの回転軸41と一致した光軸を備える。
【0072】
図4は、より小型の反射セグメント43,44を備えた、大型の光学母面を示しており、ビーム42は2回反射して、パターン生成器を出る。図4において、回転コンポーネントは、各セクタにつき一対の対向する反射面43,44を備えたディスク40を含み、異なるセクタは、異なる曲率半径を持つ反射面を収納しており、出射ビームがセクタごとに異なる角度で変位しつつ、PSD条件を維持するようにしている。
【0073】
面43,44は、回転対称であって、これらの光学中心線の回りに回転することから、光ビームと交差する面43,44の両方が、回転に関して空間的に不変である。2つの反射セグメント43,44の半径およびこれらの軸上間隔は、システムを全てのセグメントについてほぼアフォーカル(無限焦点)系に維持しつつ、出力ビーム角を変化させるように選ばれる。
【0074】
図5Aは、反射型結像レンズ群と組み合わせた、図4の光学パターン生成器の側面図を示す。屈折回折結像レンズ群も使用できる。入力ビーム42は、第1面セグメント43で反射し、そして第2面セグメント44Aで反射する。
【0075】
この特定の実施形態において、面セグメント43は、全ての連続したセグメントについて同一表面であり、第2面セグメントの半径は、各連続セグメントについて相違しており、44A,44B,44Cのように示している。
【0076】
連続セグメントについて異なる第1面半径を用いた本実施形態の変形も可能であり、これらのセグメントは43A,43B,43Cでそれぞれ表されるであろう。回転コンポーネントからの角度偏向での変化は、第1面セグメント43での異なる半径に起因するであろう。
【0077】
特定の実施形態では、面セグメント43が全ての連続した光学経路について同一であるが、面セグメントは非回転でもよい。例えば、それは、ディスク40ではなく、結像レンズ群45にしっかり固定してもよい。
【0078】
図5Aにおいて、結像レンズ群45は、像面53に3つの連続セクタによって生成される3つのスポットからなる像パターンを形成する。この光学パターン生成器では、無非点収差(stigmatic)(即ち、鮮鋭な結像)の像が、結像レンズ群45の光軸に対して傾斜した面に存在する。この像面傾斜は、面セグメント対の一方だけが、出射ビームを入力ビームと共軸にする2つの半径および間隔距離を有することができ、ビームに追加される屈折パワーが無いという事実の結果である。
【0079】
他の面セグメント対は、これらの半径および間隔距離が、所望の出力ビーム角度偏向を達成するように選ばれることを必要とする。角度偏向を、共軸の出力ビームを生成する光学経路より小さくするには、一般に、第1反射面43Cはより平坦になって、より増加した曲率半径を有し、一方、第2反射面44Cはより急峻になって、より減少した曲率半径を有する。
【0080】
このことは、2つの面はアフォーカル対を作らず、正のパワーが出力ビームに追加され、結像レンズ群により接近して焦点を結ばせることを意味する。出力ビームの角度偏向が共軸出力ビームより大きい場合、反対が生じて、負のパワーが出力ビームに追加され、結像レンズ群により遠くに焦点を結ぶ。
【0081】
ほぼ回折限界の像スポットを達成するには、システムの回転軸41と一致する光軸を持つ非球面の回転面のセグメントである面セグメントを使用することが好都合である。幾つかの応用は、より大きな像スポットを有することができ、これらの場合、非球面の回転面が許容される。
【0082】
高い光学処理効率を必要としない幾つかの応用では、ビームは、各セクタの回転範囲の短い部分だけに作用する。面セグメントは、トーリック(toric)非球面にすることができ、屈折パワーは、面セグメント対の各々について解消できる。これは、面セグメント対が入射光ビーム中で回転すると、像スポットの小さな移動を生じさせる。移動の方向は、スポットがシステム光軸から変位する方向に対して直交している。直交した像移動は、面のトーリックパワーの関数であり、像中の各スポットは、その変位距離に対して直交して異なる量だけ移動する。この条件は、システムのデューティ比(即ち、放射効率)が低い場合は、許容できる。
【0083】
図5Bは、図5Aの斜視図を示す。回転軸41を備えた回転ディスク40は、2つの面セグメント43,44を支持するように示しており、これらは、回転軸41と一致した共通の光軸を持つ非球面の回転面のセグメントである。ディスク40が回転すると、面セグメントの異なる対(不図示)が入射光ビーム42と交差し、光ビームが結像レンズ群45に入る手前で、出射光ビーム46の偏向角を変化させる。
【0084】
結像レンズ群45は、第1平面折り曲げミラー50と、好ましくはアナモフィック非球面であって、ほぼ回折限界の像スポットを生成する像形成ミラー51と、長い作動距離を持つ一定の応用にとって必要な空間中の好ましい場所に像を向ける第2平面折り曲げミラー52とを備える。
【0085】
ほぼ回折限界の像スポットを必要としない応用は、非点収差が補正される場合はトーリック形態で、あるいは、非円形の像スポットがある応用で許容される場合は球面形態である像形成ミラー51を使用することができる。
【0086】
図5Cは、結像レンズ群の一実施形態で用いた折り曲げ配置を示す本実施形態の平面図である。この折り曲げ配置は、像形成ミラー51の軸外セグメント、または像形成ミラー51の傾斜セグメントを用いることによって、光学経路の自己掩蔽を回避している。
【0087】
この中心外し配置は、像形成ミラー51が球面形態である場合、非点収差を導入する。この非点収差は、像形成ミラー51をトロイダル(toroidal)または非球面トロイダルの形態にすることによって、大きく補正することができる。
【0088】
さらに、像補正は、像形成ミラー51を、反射面で直交した2つの非球面形状からなるアナモフィック非球面にすることによって、達成される。
【0089】
本実施形態の変形は、図6に示しており、反射面セグメント43,44は、トーリックまたはアナモフィック非球面の形態である母表面からのものである。この変形は、異なる光学経路についてビーム角変動および屈折パワーの完全補正の両方を提供して、回転コンポーネントがアフォーカルとなり、像面は、システム光軸に対して垂直になる。
【0090】
トーリックまたはアナモフィック非球面のセグメント43,44は、回転すると、プロファイルを変えるため、像面でのスポットの直線変位にも依存する像スポットの小さい直交変位が存在するようになる。露光期間および回転角が小さい応用では、この変形構成が許容される。
【0091】
図7は、入射光ビームを一連の出力光ビームに偏向させる回折要素を用いた他の光学パターン生成器の図である。図7において、入力光ビーム70が折り曲げミラー71に入射して、一連の偏向セクタを有する回転ディスク72を通過する。各セクタは、ディスク外周上に配置された回折光学要素を有する。
【0092】
ディスク72は、その軸73の回りに回転する。異なるセクタによって生成された出力光ビーム74は、像面76の上にパターンを形成する結像レンズ群75に入るように示している。各回折光学要素は、異なる空間的周期を有しており、それぞれ連続するセクタが光ビームについて異なる角度偏差を生じさせ、結像レンズ群75が焦点ラインに沿って異なるスポットに結像させる。
【0093】
好ましい実施形態では、回折要素は、平行ラインでない弓状形態の回折構造を使用しており、弓状溝は、回転軸73と一致した軸を有する。この回折構造は、透過波面を単一角度で偏向させずに、小さな角度変化の波面を導入し、像スポットの小さな滲みを生じさせる。この不要な滲みは、結像レンズ群の設計によって部分的に補正でき、像スポットは、回折限界の品質に接近する。弓状の性質は、各セクタが入射光ビーム70中で回転しても、空間的不変をもたらす。本実施形態の変形は、反射回折光学要素を使用する。
【0094】
図8は、本発明に係る他の光学パターン生成器の図である。この例では、回転コンポーネントは、回転軸83を有する。図8において、入力光ビーム80は、最初に、内側円筒面81を通過し、続いて、円筒面82を通過する。円筒面は、共通の回転軸83を有する。面82は、それぞれ光学要素を収納したセクタに分割される。
【0095】
図8において、これらの光学要素は、異なる周期性を持つリニア回折格子である。図8に関して、回折格子の線引き(ruling)は、紙面に垂直な方向に延びている。各回折格子面は、出力光ビーム84を異なる角度で偏向させ、結像レンズ群85は、像面86にスポットパターンを形成する。リニア回折格子の使用は、光ビーム80中で回転しても、セクタが空間的に不変であることを意味する。
【0096】
代替の実施形態では、屈折または反射の光学要素も使用できる。例えば、反射切り子面(facet)が、円筒面82で入力光ビームに作用してもよく、あるいは屈折プリズムを円筒面82の上で用いてもよい。さらに、要素は、面81,82の両方に配置してもよく、例えば、図4と類似したZ形状の折り曲げ光学経路を形成してもよい。
【0097】
上記の例は、1つの入射光ビームおよび1つの出力光ビームについて検討した。例えば、図1Aを参照して、1つ以上の光ビームが、図示したセクタに同時に入射してもよい。光ビームは、重なっても、そうでなくてもよい。重なったビームは、例えば、波長に敏感なデバイスによって、回転コンポーネント9の上流で結合して、回転コンポーネント9へ向けて同じ光学経路を伝搬してもよい。
【0098】
代替として、光ビームは、セクタ内の同じスポットで異なる角度で到達してもよい。図1Aでは、第2光源を紙面の少し上方に配置して、少し下向きの角度で進行するようにしてもよく、その結果、図1Aに示す光ビーム1と同じ場所でセクタに入射する。
【0099】
代替として、光ビームは、全て重なり合わなくてもよい。図1Aにおいて、プリズムが、紙面に垂直な方向に延びて、単一の光ビームを紙面に垂直な方向に延びるアレイ状の光ビームと置き換えてもよい。
【0100】
最後の例として、1つ以上のセクタが一度に活動してもよい。図1Aにおいて、光ビーム1は、左方から到来して、回転コンポーネント9の約7時30分の位置に入射している。第2の光ビームが右方から到来して、対称な4時30分の位置に入射してもよい。光ビームは、他の位置に入射してもよく、次の結像が少し複雑になるかもしれない。
【0101】
上述した光学パターン生成器は、多くの異なる応用に使用してもよい。生物学応用の幾つかの例は、米国特許出願番号第10/888356号(名称"Method and Apparatus for Fractional Photo Therapy of Skin")、同第10/751041号(名称"Multi-Spot Laser Surgical Apparatus and Method")、および同第60/xxx号(代理人事件番号9454)(名称"Optically-Induced Treatment of Internal Tissue")に記載されており、これらの全ては参照によりここに組み込まれる。
【0102】
種々の工業的応用も明らかになろう。一例は、図9Aと図9Bに示している。この例では、図1に示した光学パターン生成器は、レーザビーム91をワークピース95上の種々のスポットへ向けて、溶接ジョイント97を生成するために用いている。図9Aは、光学パターン生成器92の1つのセクタによって偏向した単一のレーザビーム91を示しており、レンズ93によってワークピース95に焦点を結んでいる。
【0103】
図9Bは、斜視図を示している。さらに、2つのレーザビーム91A,91Bを同時に使用して、2つの平行な溶接列97A,97Bを生成している。図9Bはまた、全てのセクタによって生成される全体の溶接パターンを示す。各レーザビームに関して、図9Bに示す各焦点スポットが、光学パターン生成器92の別々のセクタによって生成される。
【0104】
図9Cは、図9Bに示す溶接パターンの一列を示す。全部で15個の仮付け(tack)溶接が存在している。数字は、溶接が生成された順序を示す。溶接は左から右の順序で生じていないことに留意する。代わりに、最も左の溶接1が生成され、次に、最も右の溶接2が生成される。
【0105】
残りの溶接は、これらの中間点で長いスパンを仮付けするように選択される。例えば、溶接3は、溶接1と溶接2の間のスパンのほぼ中央を仮付けし、溶接4は、溶接2と溶接3の間の中間点を仮付けし(この時点で最長のスパン)、溶接5は、溶接1と溶接3の間のほぼ中間点を仮付けしている。
【0106】
この手法は、初期の2つの溶接が両端の部分を拘束して、クランプ止めの必要性を低減している点で好都合である。さらに、レーザエネルギーがワークピースを横断して分配され、溶接が左から右へ連続して行われた場合に生じ得る過剰な熱蓄積を回避できる。長いスパンの中間を仮付けすることは、局所的な熱蓄積に起因した異なる熱膨張の影響も制御している。
【0107】
溶接パターンの対称性により、溶接1ではなく溶接9から開始することによって、同じ効果が得られる。これは、溶接パターンの開始前の待機時間を低減する。ワークピースは溶接の準備ができているが、動作セクタが溶接2に関するものである場合には、デバイスは、全体パターンではなく、溶接9に関するセクタが溶接1に戻るまで待機することだけが必要になる。本発明を用いて、1〜10000(溶接/秒)の溶接速度、好ましくは、数百または数千(溶接/秒)の溶接速度が得られる。
【0108】
図9Dに示すように、対称性がスキャナホイールで必要でない場合、熱膨張の制御はより最適化できる。他の配置は、当業者にとって明らかであろう。
【0109】
図10は、本発明に係る他の光学パターン生成器を示す。この光学パターン生成器は、回転軸1001を持つ単一の回転コンポーネントを使用して、目的のパターンを生成している。この例では、各セグメントは、一対の反射面1003,1004で構成され、これらは、単一の回転コンポーネントによって支持されている。
【0110】
単一の回転コンポーネント1000の3つの異なる回転角は、図1において重ね表示されており、単一の回転コンポーネントが回転したとき、一対の反射面1003,1004からの入射光ビーム1002の偏向を示している。
【0111】
この回転は、1003,1004に関して3つの分離した位置を生成し、これらは1003A,1003B,1003C,1004A,1004B,1004Cとしてそれぞれ示している。入射光ビームの偏向角は、回転コンポーネント1000が回転しても、保存される(偶数個の表面での反射のため)。
【0112】
詳細な説明は多くの具体例を含んでいるが、これらは本発明の範囲を制限するものと解釈すべきでなく、単に本発明の異なる例および態様を示すものである。本発明の範囲は、詳細に上述していない他の実施形態を含むと理解すべきである。例えば、光ビームは、回転コンポーネントの回転面に対して平行または垂直である以外の角度で入射してもよい。さらに、特定の応用に応じて異なる波長を使用してもよい。一般に、光ビームの用語は、200〜12000nmの波長範囲で少なくとも半分のパワーを有する電磁放射を意味するとして用いている。
【0113】
当業者に明らかな他の種々の変更、変化、変形は、添付の請求項に規定されたような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、ここに開示された本発明の方法および装置の配置、動作および詳細に関して行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1A】本発明に係る光学パターン生成器の側面図であり、入射光ビームは、実質的に回転面内にある。
【図1B】図1Aのプリズムの傾斜を示す拡大図である。
【図2A】反射型結像群と組み合わせた、図1の光学パターン生成器の側面図である。
【図2B】反射型結像群と組み合わせた、図1の光学パターン生成器の端面図である。
【図3】図2のシステムの焦点領域の詳細図である。
【図4】本発明に係る他の光学パターン生成器の動作原理を示す側面図であり、入射光ビームは、回転面に垂直な方向に実質的な成分を有し、反射セグメントの全ての母表面を示している。
【図5A】反射型結像群と組み合わせた、図4の光学パターン生成器の側面図である。
【図5B】反射型結像群と組み合わせた、図4の光学パターン生成器の斜視図である。
【図5C】反射型結像群と組み合わせた、図4の光学パターン生成器の平面図である。
【図6】アナモフィック非球面セグメントおよび反射型結像群を用いた、他の光学パターン生成器の側面図である。
【図7】円板形状の基板面にある回折要素を用いた、他の光学パターン生成器の側面図である。
【図8】樽状基板の側面にある回折要素を備えた、他の光学パターン生成器の側面図である。
【図9A】図1の光学パターン生成器を用いた工業溶接応用の端面図である。
【図9B】図1の光学パターン生成器を用いた工業溶接応用の斜視図である。
【図9C】図9Aと図9Bに示したようなスキャナーから生成可能な溶接パターンを示す。
【図9D】図9Aと図9Bに示したようなスキャナーから生成可能な溶接パターンを示す。
【図10】長斜方形(rhomboid)のミラー形状を用いた、他の光学パターン生成器を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図形パターンを生成するための光学パターン生成器であって、
回転面および回転軸を有する回転コンポーネントを備え、
回転コンポーネントは、回転軸の回りにパターン配置された複数の偏向セクタを備え、
パターンは、ほぼ回転面内に位置しており、セクタが入射光ビーム中で回転すると、各セクタは入射光ビームをほぼ一定の角度偏向だけ偏向させるようにした光学パターン生成器。
【請求項2】
偏向セクタは、回転軸を中心とした円周上にほぼ配置されており、
セクタは、回転コンポーネントの回転に関してほぼ自己補正して、回転コンポーネントの揺れに関して実質的に空間的に不変であり、
角度偏向は、主として回転面内にあるようにした請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項3】
偏向セクタは、回転軸を中心とした円周上にほぼ配置されており、
大部分のセクタについて、セクタが、回転面内に実質的な成分を有する表面法線を持つ一対の対向反射面を備える請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項4】
回転コンポーネントは、円周上にほぼ配置された複数の離散構造を備え、
各離散構造は、少なくとも2つの反射面を有し、
隣接した構造からの反射面は、セクタについて対向反射面を形成している請求項3記載の光学パターン生成器。
【請求項5】
離散構造は、プリズムである請求項4記載の光学パターン生成器。
【請求項6】
離散構造は、プリズムであって、
ほぼ1つおきのプリズムが、プリズムの頂角の二等分線が回転軸を通るように整列している請求項4記載の光学パターン生成器。
【請求項7】
離散構造は、同じ形状を有し、円周配置に関して異なる角度で傾斜しており、セクタについて異なる偏向角を生成する請求項4記載の光学パターン生成器。
【請求項8】
セクタは、公称値を上回る値と公称値を下回る値の間で交互に変わる角度偏向を生じさせる請求項4記載の光学パターン生成器。
【請求項9】
対向反射面は、ペンタミラー配置を形成する請求項3記載の光学パターン生成器。
【請求項10】
大部分のセクタについて、入射光ビームがセクタ内の偶数個の反射面で反射する請求項3記載の光学パターン生成器。
【請求項11】
回転コンポーネントは、奇数個のセクタを含む請求項3記載の光学パターン生成器。
【請求項12】
少なくとも幾つかのセクタに関する反射面は、回転面に対して垂直な成分を持つ角度偏向を導入する請求項3記載の光学パターン生成器。
【請求項13】
セクタが入射光ビーム中で回転すると、角度偏向の垂直成分は2つの値の間で交互に変わるようにした請求項12記載の光学パターン生成器。
【請求項14】
偏向セクタは、回転軸を中心とした円周上にほぼ配置されており、
セクタは、回転コンポーネントの揺れに関してほぼ自己補正して、回転コンポーネントの回転に関して実質的に空間的に不変であり、
角度偏向は、主として回転面内にないようにした請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項15】
偏向セクタは、回転軸を中心とした円周上にほぼ配置されており、
大部分のセクタについて、セクタが、回転面に対して垂直な方向に実質的な成分を有する表面法線を持つ一対の対向反射面を備える請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項16】
対向反射面の各々は、回転軸とほぼ一致した光軸を持つ回転面である請求項15記載の光学パターン生成器。
【請求項17】
異なるセクタについての対向反射面は、異なる半径または異なる間隔を有し、少なくとも1つのセクタは、入射光ビームを角度偏向させないようにした請求項16記載の光学パターン生成器。
【請求項18】
少なくとも幾つかの反射面は、非球面である請求項16記載の光学パターン生成器。
【請求項19】
少なくとも幾つかのセクタに関する反射面は、入射光ビームおよび回転コンポーネントの回転軸を含む面内にない成分を持つ角度偏向を導入する請求項15記載の光学パターン生成器。
【請求項20】
第1の非回転反射面をさらに備え、
偏向セクタは、回転軸を中心とした円周上にほぼ配置されており、
大部分のセクタについて、セクタが、回転面内に実質的な成分を有しない表面法線を持つ第2の反射面を備え、
第1および第2の反射面は、入射光ビームを偏向させるための一対の対向反射面を形成している請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項21】
対向反射面の各々は、回転軸と一致した光軸を持つ回転面である請求項20記載の光学パターン生成器。
【請求項22】
偏向した光ビームを受けて、異なる角度偏向をターゲット面で異なるビーム位置に変換するように位置決めされ、回転コンポーネントの回転に起因して、1つ又はそれ以上の図形がターゲット面を横断するようにした結像要素をさらに備える請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項23】
偏向した光ビームを受けて、異なる角度偏向を図形パターン内で異なる像位置に変換するように位置決めされた結像レンズ群をさらに備える請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項24】
結像レンズ群は、単一ブロックの光学材料から製作された、中実の反射屈折の一体コンポーネントを備える請求項23記載の光学パターン生成器。
【請求項25】
中実の反射屈折の一体コンポーネントは、光学経路に沿った下記の順序で、入口窓、反射性の光路折り曲げ面、湾曲した反射面、および出口窓面を含む請求項24記載の光学パターン生成器。
【請求項26】
反射性の光路折り曲げ面および出口窓面は、同一物理面である請求項25記載の光学パターン生成器。
【請求項27】
少なくとも2つの同時入射の光ビームをさらに備える請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項28】
大部分のセクタについて、少なくとも2つの光ビームが、回転コンポーネントの各回転についてセクタに入射している請求項27記載の光学パターン生成器。
【請求項29】
大部分のセクタについて、少なくとも2つの光ビームが、回転コンポーネントの回転での1つの角度でセクタに同時入射している請求項28記載の光学パターン生成器。
【請求項30】
大部分のセクタについて、第1の光ビームが、回転コンポーネントの回転での第1角度でセクタに入射し、第2の光ビームが、回転コンポーネントの回転での第2角度でセクタに入射し、2つの光ビームは、回転コンポーネントの回転でのいずれの角度でもセクタに同時入射しないようにした請求項28記載の光学パターン生成器。
【請求項31】
図形パターンは、アレイ状のほぼ静止スポットである請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項32】
スポットは、ワークピースの動きを補償するように移動する請求項31記載の光学パターン生成器。
【請求項33】
光ビームのパラメータは、溶接材料について選択されている請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項34】
光ビームのパラメータは、切断材料について選択されている請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項35】
光ビームのパラメータは、切除材料について選択されている請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項36】
光ビームのパラメータは、焼灼材料について選択されている請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項37】
光ビームのパラメータは、人体組織を処理するように選択されている請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項38】
光ビームのパラメータは、人体皮膚を処理するように選択されている請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項39】
図形パターンを生成するための光学パターン生成器であって、
回転面および回転軸を有する回転コンポーネントを備え、
回転コンポーネントは、ほぼ回転面内で、回転軸の回りに配置された複数の回折偏向セクタを備え、
セクタが入射光ビーム中で回転すると、各回折偏向セクタは、入射光ビームをほぼ一定の角度偏向だけ偏向させるようにした光学パターン生成器。
【請求項40】
回折偏向セクタは、回転軸を中心とした円周上にほぼ配置されており、
入射光ビームは、回転面に対して垂直な方向に実質的な成分を有する方向に沿って伝搬し、
大部分のセクタについて、セクタは、実質的に平坦な回折光学要素を備える請求項39記載の光学パターン生成器。
【請求項41】
偏向した光ビームを受けて、異なる角度偏向をターゲット面で異なるビーム位置に変換するように位置決めされ、回転コンポーネントの回転に起因して、1つ又はそれ以上の図形がターゲット面を横断するようにした結像要素をさらに備える請求項39記載の光学パターン生成器。
【請求項42】
回折光学要素は、異なる空間周期を有し、回転コンポーネントの回転軸とほぼ一致した光軸を持つ弓状である請求項39記載の光学パターン生成器。
【請求項43】
図形パターンを生成するための光学パターン生成器であって、
回転軸を有する中空の円筒コンポーネントを備え、
円筒コンポーネントは、円筒コンポーネントの回りに配置された複数の偏向セクタを備え、
セクタが入射光ビーム中で回転すると、各セクタは、入射光ビームをほぼ一定の角度偏向だけ偏向させるようにした光学パターン生成器。
【請求項44】
入射光ビームは、円筒コンポーネントの内側から到来するようにした請求項43記載の光学パターン生成器。
【請求項45】
入射光ビームは、円筒コンポーネントの外側から到来するようにした請求項43記載の光学パターン生成器。
【請求項46】
大部分のセクタは、回折光学要素を含み、
少なくとも2つのセクタについての回折光学要素は、異なる空間周期を有する請求項43記載の光学パターン生成器。
【請求項47】
大部分のセクタは、プリズムを含み、
少なくとも2つのセクタについてのプリズムは、異なる頂角を有する請求項43記載の光学パターン生成器。
【請求項48】
図形パターンを生成するための光学パターン生成器であって、
回転面および回転軸を有する回転コンポーネントを備え、
回転コンポーネントは、回転軸の回りにパターン配置された一対の反射面を備え、
パターンは、ほぼ回転面内に位置しており、反射面が入射光ビーム中で回転すると、反射面の各対は、入射光ビームをほぼ一定の角度偏向だけ偏向させるようにした光学パターン生成器。
【請求項1】
図形パターンを生成するための光学パターン生成器であって、
回転面および回転軸を有する回転コンポーネントを備え、
回転コンポーネントは、回転軸の回りにパターン配置された複数の偏向セクタを備え、
パターンは、ほぼ回転面内に位置しており、セクタが入射光ビーム中で回転すると、各セクタは入射光ビームをほぼ一定の角度偏向だけ偏向させるようにした光学パターン生成器。
【請求項2】
偏向セクタは、回転軸を中心とした円周上にほぼ配置されており、
セクタは、回転コンポーネントの回転に関してほぼ自己補正して、回転コンポーネントの揺れに関して実質的に空間的に不変であり、
角度偏向は、主として回転面内にあるようにした請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項3】
偏向セクタは、回転軸を中心とした円周上にほぼ配置されており、
大部分のセクタについて、セクタが、回転面内に実質的な成分を有する表面法線を持つ一対の対向反射面を備える請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項4】
回転コンポーネントは、円周上にほぼ配置された複数の離散構造を備え、
各離散構造は、少なくとも2つの反射面を有し、
隣接した構造からの反射面は、セクタについて対向反射面を形成している請求項3記載の光学パターン生成器。
【請求項5】
離散構造は、プリズムである請求項4記載の光学パターン生成器。
【請求項6】
離散構造は、プリズムであって、
ほぼ1つおきのプリズムが、プリズムの頂角の二等分線が回転軸を通るように整列している請求項4記載の光学パターン生成器。
【請求項7】
離散構造は、同じ形状を有し、円周配置に関して異なる角度で傾斜しており、セクタについて異なる偏向角を生成する請求項4記載の光学パターン生成器。
【請求項8】
セクタは、公称値を上回る値と公称値を下回る値の間で交互に変わる角度偏向を生じさせる請求項4記載の光学パターン生成器。
【請求項9】
対向反射面は、ペンタミラー配置を形成する請求項3記載の光学パターン生成器。
【請求項10】
大部分のセクタについて、入射光ビームがセクタ内の偶数個の反射面で反射する請求項3記載の光学パターン生成器。
【請求項11】
回転コンポーネントは、奇数個のセクタを含む請求項3記載の光学パターン生成器。
【請求項12】
少なくとも幾つかのセクタに関する反射面は、回転面に対して垂直な成分を持つ角度偏向を導入する請求項3記載の光学パターン生成器。
【請求項13】
セクタが入射光ビーム中で回転すると、角度偏向の垂直成分は2つの値の間で交互に変わるようにした請求項12記載の光学パターン生成器。
【請求項14】
偏向セクタは、回転軸を中心とした円周上にほぼ配置されており、
セクタは、回転コンポーネントの揺れに関してほぼ自己補正して、回転コンポーネントの回転に関して実質的に空間的に不変であり、
角度偏向は、主として回転面内にないようにした請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項15】
偏向セクタは、回転軸を中心とした円周上にほぼ配置されており、
大部分のセクタについて、セクタが、回転面に対して垂直な方向に実質的な成分を有する表面法線を持つ一対の対向反射面を備える請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項16】
対向反射面の各々は、回転軸とほぼ一致した光軸を持つ回転面である請求項15記載の光学パターン生成器。
【請求項17】
異なるセクタについての対向反射面は、異なる半径または異なる間隔を有し、少なくとも1つのセクタは、入射光ビームを角度偏向させないようにした請求項16記載の光学パターン生成器。
【請求項18】
少なくとも幾つかの反射面は、非球面である請求項16記載の光学パターン生成器。
【請求項19】
少なくとも幾つかのセクタに関する反射面は、入射光ビームおよび回転コンポーネントの回転軸を含む面内にない成分を持つ角度偏向を導入する請求項15記載の光学パターン生成器。
【請求項20】
第1の非回転反射面をさらに備え、
偏向セクタは、回転軸を中心とした円周上にほぼ配置されており、
大部分のセクタについて、セクタが、回転面内に実質的な成分を有しない表面法線を持つ第2の反射面を備え、
第1および第2の反射面は、入射光ビームを偏向させるための一対の対向反射面を形成している請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項21】
対向反射面の各々は、回転軸と一致した光軸を持つ回転面である請求項20記載の光学パターン生成器。
【請求項22】
偏向した光ビームを受けて、異なる角度偏向をターゲット面で異なるビーム位置に変換するように位置決めされ、回転コンポーネントの回転に起因して、1つ又はそれ以上の図形がターゲット面を横断するようにした結像要素をさらに備える請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項23】
偏向した光ビームを受けて、異なる角度偏向を図形パターン内で異なる像位置に変換するように位置決めされた結像レンズ群をさらに備える請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項24】
結像レンズ群は、単一ブロックの光学材料から製作された、中実の反射屈折の一体コンポーネントを備える請求項23記載の光学パターン生成器。
【請求項25】
中実の反射屈折の一体コンポーネントは、光学経路に沿った下記の順序で、入口窓、反射性の光路折り曲げ面、湾曲した反射面、および出口窓面を含む請求項24記載の光学パターン生成器。
【請求項26】
反射性の光路折り曲げ面および出口窓面は、同一物理面である請求項25記載の光学パターン生成器。
【請求項27】
少なくとも2つの同時入射の光ビームをさらに備える請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項28】
大部分のセクタについて、少なくとも2つの光ビームが、回転コンポーネントの各回転についてセクタに入射している請求項27記載の光学パターン生成器。
【請求項29】
大部分のセクタについて、少なくとも2つの光ビームが、回転コンポーネントの回転での1つの角度でセクタに同時入射している請求項28記載の光学パターン生成器。
【請求項30】
大部分のセクタについて、第1の光ビームが、回転コンポーネントの回転での第1角度でセクタに入射し、第2の光ビームが、回転コンポーネントの回転での第2角度でセクタに入射し、2つの光ビームは、回転コンポーネントの回転でのいずれの角度でもセクタに同時入射しないようにした請求項28記載の光学パターン生成器。
【請求項31】
図形パターンは、アレイ状のほぼ静止スポットである請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項32】
スポットは、ワークピースの動きを補償するように移動する請求項31記載の光学パターン生成器。
【請求項33】
光ビームのパラメータは、溶接材料について選択されている請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項34】
光ビームのパラメータは、切断材料について選択されている請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項35】
光ビームのパラメータは、切除材料について選択されている請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項36】
光ビームのパラメータは、焼灼材料について選択されている請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項37】
光ビームのパラメータは、人体組織を処理するように選択されている請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項38】
光ビームのパラメータは、人体皮膚を処理するように選択されている請求項1記載の光学パターン生成器。
【請求項39】
図形パターンを生成するための光学パターン生成器であって、
回転面および回転軸を有する回転コンポーネントを備え、
回転コンポーネントは、ほぼ回転面内で、回転軸の回りに配置された複数の回折偏向セクタを備え、
セクタが入射光ビーム中で回転すると、各回折偏向セクタは、入射光ビームをほぼ一定の角度偏向だけ偏向させるようにした光学パターン生成器。
【請求項40】
回折偏向セクタは、回転軸を中心とした円周上にほぼ配置されており、
入射光ビームは、回転面に対して垂直な方向に実質的な成分を有する方向に沿って伝搬し、
大部分のセクタについて、セクタは、実質的に平坦な回折光学要素を備える請求項39記載の光学パターン生成器。
【請求項41】
偏向した光ビームを受けて、異なる角度偏向をターゲット面で異なるビーム位置に変換するように位置決めされ、回転コンポーネントの回転に起因して、1つ又はそれ以上の図形がターゲット面を横断するようにした結像要素をさらに備える請求項39記載の光学パターン生成器。
【請求項42】
回折光学要素は、異なる空間周期を有し、回転コンポーネントの回転軸とほぼ一致した光軸を持つ弓状である請求項39記載の光学パターン生成器。
【請求項43】
図形パターンを生成するための光学パターン生成器であって、
回転軸を有する中空の円筒コンポーネントを備え、
円筒コンポーネントは、円筒コンポーネントの回りに配置された複数の偏向セクタを備え、
セクタが入射光ビーム中で回転すると、各セクタは、入射光ビームをほぼ一定の角度偏向だけ偏向させるようにした光学パターン生成器。
【請求項44】
入射光ビームは、円筒コンポーネントの内側から到来するようにした請求項43記載の光学パターン生成器。
【請求項45】
入射光ビームは、円筒コンポーネントの外側から到来するようにした請求項43記載の光学パターン生成器。
【請求項46】
大部分のセクタは、回折光学要素を含み、
少なくとも2つのセクタについての回折光学要素は、異なる空間周期を有する請求項43記載の光学パターン生成器。
【請求項47】
大部分のセクタは、プリズムを含み、
少なくとも2つのセクタについてのプリズムは、異なる頂角を有する請求項43記載の光学パターン生成器。
【請求項48】
図形パターンを生成するための光学パターン生成器であって、
回転面および回転軸を有する回転コンポーネントを備え、
回転コンポーネントは、回転軸の回りにパターン配置された一対の反射面を備え、
パターンは、ほぼ回転面内に位置しており、反射面が入射光ビーム中で回転すると、反射面の各対は、入射光ビームをほぼ一定の角度偏向だけ偏向させるようにした光学パターン生成器。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【公表番号】特表2009−501345(P2009−501345A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555260(P2007−555260)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/004821
【国際公開番号】WO2006/088744
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(504226009)リライアント・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】RELIANT TECHNOLOGIES, INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/004821
【国際公開番号】WO2006/088744
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(504226009)リライアント・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】RELIANT TECHNOLOGIES, INC.
【Fターム(参考)】
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