説明

原稿読取装置

【課題】簡単に構成できるとともに、CCD基板の位置決めが行い易いCCD基板の固定構造を備えた原稿読取装置を提供する。
【解決手段】縮小光学系のイメージスキャナ装置は、樹脂製のスキャナフレーム12と、第1ブラケット17と、第2ブラケット18と、CCD基板58と、集光レンズ67と、を備えている。第1ブラケット17は、板金からなり、スキャナフレーム12に固定されている。第2ブラケット18は、板金からなり、第1ブラケット17にネジ止めされている。CCD基板58は、CCD57を実装し、第2ブラケット18にネジ止めされている。集光レンズ67は、CCD57に光を収束させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取装置に関する。詳細には、縮小光学系の原稿読取装置においてCCD基板等を固定するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、縮小光学系と呼ばれる読取方式を採用した原稿読取装置が知られている。この種の原稿読取装置においては、組立作業時などに、レンズからの光がCCD(電荷結合素子)上に適切に結像されるようにCCD基板の位置合せ作業が行われる。この作業は数十ミクロン程度の精度が要求されるデリケートな作業であるため、その作業効率は、CCD基板の固定構造によって大きく影響を受ける。
【0003】
この点に関し、特許文献1は、CCD基板を取り付けるためのブロックと、位置決めをするための複数の締結具と、当該締結具を押圧するための弾性部材とを備えた画像読取装置を開示する。上記特許文献1は、この構成によりCCD基板の位置調整が容易になるとする。
【特許文献1】特開平11−205531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成は、ブロック及び弾性部材などを備えているためにCCD基板の固定構造が複雑となり、加工が難しくなるとともにコストの面でも不利である。また、各締結具の固定に弾性部材の押圧力を用いているため、ネジによって直接締め付ける場合などと比較した場合、十分な固定力が発揮されない場合があると考えられる。
【0005】
一方、CCD基板の固定構造を簡素な構成とするため、特許文献1のように複雑な固定構造は用いずに、CCD基板及びブラケットを画像読取装置が備えるフレームに対して直接ネジ止めにより取り付ける方法も知られている。この場合、例えばブラケットとフレームの間にシムを挟み、シムの枚数によって位置決めを行う。しかしこの方法では、位置決め作業をやり直す際にネジを外してシムの枚数を変更する必要があるため、作業が煩雑である。
【0006】
また、前記のようにCCD基板を直接フレームにネジ止めする構成とすると、フレームの材質によっては、ネジの固定力を確保するためにネジ山のピッチ(送り量)が大きいネジを使用せざるを得ない場合がある。この場合、CCD基板を固定する際の微調整が難しくなり、作業性が悪くなってしまう。特に、送り量の大きいネジを使用すると基板の位置決めが終わった後に本締めを行う際にズレが生じ易く、作業のやり直しが必要になる場合もあり、効率が悪いという問題があった。
【0007】
本願発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、簡単に構成できるとともに、CCD基板の位置決めが行い易いCCD基板の固定構造を備えた原稿読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の観点によれば、以下の構成の縮小光学系の原稿読取装置が提供される。即ち、この原稿読取装置は、フレームと、第1ブラケットと、第2ブラケットと、CCD基板と、集光レンズと、を備える。前記第1ブラケットは、前記フレームに固定される。前記第2ブラケットは、前記第1ブラケットにネジ止めされる。前記CCD基板は、CCDセンサを実装し、前記第2ブラケットにネジ止めされる。前記集光レンズは、前記CCDセンサに光を収束させる。そして、前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットの少なくとも一方は、前記フレームに比べて硬い素材からなる。
【0010】
これにより、簡単な構成の固定構造により、CCD基板をフレームに対して固定することができる。また、ネジによって直接締め付けるので、十分な固定力でCCD基板を固定することができる。また、ブラケットがフレームよりも硬い素材からなることにより、フレームにネジ止めする場合と比べてネジのピッチを細かくすることができる。従って、CCD基板をフレームに対して直接ネジ止めする場合と比べて、送り量の小さいネジを用いることができるため、当該CCD基板の固定時の位置ズレを抑制できる。これにより、CCD基板の位置合せが容易になり、生産性が向上する。
【0011】
前記の原稿読取装置においては、前記フレームは樹脂製であり、前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットは板金からなることが好ましい。
【0012】
即ち、一般的にフレームは成型を容易等にするために樹脂製とされることが多いが、樹脂の性質上、送り量の小さいネジを用いることは難しい。この点、上記の構成により、樹脂製のフレームに対して金属製のブラケットを介してCCD基板を固定できるので、樹脂製のフレームに対して直接ネジ止めする場合と比べて送り量の小さいネジを用いることができ、固定時の位置ズレを抑制できる。これにより、CCD基板の位置合せが容易になり、生産性が向上する。また、ブラケットが板金からなるため、複雑な構成の固定具に比べて加工が容易であり、コストも低く抑えることができる。また、例えば樹脂フレームに雌ネジ部をインサート成形するなど、送り量の小さいネジを用いるために樹脂性フレームに金属部材等を埋め込む必要が無いため、分離性が良くリサイクルの観点からも好適である。
【0013】
前記の原稿読取装置においては、前記第1ブラケットは光軸と平行になるように取り付けられ、前記第2ブラケットは前記第1ブラケットの前記光軸と平行な面に取り付けられていることが好ましい。
【0014】
これにより、第1ブラケットの面を利用して第2ブラケットの向きを拘束し、これによりCCDの向きを光軸に対して一定に保つことができる。この結果、CCDの位置決めを精度良く行うことができる。
【0015】
前記の原稿読取装置においては、前記第1ブラケットと前記第2ブラケットが長孔状の挿通孔を介してネジ止めされていることが好ましい。
【0016】
これにより、第2ブラケットの位置を長孔の範囲でズラすことができるので、位置の調整が可能になる。また、第2ブラケットを長孔の長手方向に移動可能とする一方、前記長孔の長手方向に垂直な方向の移動を規制できるので、位置決めが容易になる。
【0017】
前記の原稿読取装置においては、前記集光レンズは、前記第1ブラケットに取り付けられた弾性部材によって固定されていることが好ましい。
【0018】
これにより、例えば剛体によって集光レンズを押圧して固定する場合に比べて、当該集光レンズに無理な力が掛からないので、集光レンズの歪みを抑制することができる。また、第1ブラケットを第2ブラケットの固定だけでなく集光レンズの固定にも用いることができるので、構成が簡素になる。
【0019】
前記の原稿読取装置においては、前記第1ブラケットには、前記集光レンズに外乱光が入らないようにするための遮光部が形成されていることが好ましい。
【0020】
これにより、簡単な構成で、外乱光の影響を防止して画像の読取品質を向上させることができる。
【0021】
前記の原稿読取装置においては、前記フレーム、前記第1ブラケット、前記第2ブラケット、前記CCD基板及び前記集光レンズは、自動原稿搬送装置の筐体の内部に配置されるように構成することができる。
【0022】
これにより、自動原稿搬送装置内のフレームに対してCCD基板を精度良く固定することができ、画質の向上を実現できる。
【0023】
前記の原稿読取装置においては、前記フレーム、前記第1ブラケット、前記第2ブラケット、前記CCD基板及び前記集光レンズは、フラットベッド方式の読取部に配置されるように構成することができる。
【0024】
これにより、フラットベッド方式の読取部が備えるフレームに対してCCD基板を精度良く固定することができ、画質の向上を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る原稿読取装置としてのイメージスキャナ装置10を含むコピーファクシミリ複合機(複合機)20の外観斜視図である。図2はイメージスキャナ装置10の正面断面図である。
【0026】
図1に示すように、コピーファクシミリ複合機20は、ブックスキャナ及びオートドキュメントフィードスキャナとして機能するイメージスキャナ装置10を備える。また、複合機20は、コピー部数、ファクシミリ送信先及び原稿読取等を指示するための操作パネル77と、記録媒体としての用紙に画像を形成する画像形成部等を内蔵した本体78と、前記用紙を順次供給する給紙カセット79と、を備えている。前記本体78は、通信回線を介して画像データを伝送するための図略の送受信部を備える。
【0027】
前記複合機20が備えるイメージスキャナ装置10は、図2に示すように、プラテンガラス22と原稿台カバー21とを備えている。この原稿台カバー21には自動原稿搬送装置(オートドキュメントフィーダ、ADF)25が備えられている。また、イメージスキャナ装置10は、原稿の画像を読み取るための第1スキャナユニット50及び第2スキャナユニット60を備えている。これら第1スキャナユニット50及び第2スキャナユニット60は、何れも縮小光学系のスキャナユニットとして構成されている。
【0028】
このイメージスキャナ装置10をオートドキュメントフィードスキャナとして使用する場合は、前記ADF25によって原稿を1枚ずつ搬送する。そして、原稿の表側の面(第1面)の画像は第1スキャナユニット50によって読み取られ、裏側の面(第2面)の画像は第2スキャナユニット60によって読み取られる。
【0029】
一方、イメージスキャナ装置10をブックスキャナとして使用する場合は、読み取るべきブック原稿をユーザがプラテンガラス22上に載置して、その上から原稿台カバー21によって押圧し、ブック原稿が動かないように固定する。この状態で、フラットベッド方式により第1スキャナユニット50によって原稿の画像を読み取ることができるようになっている。
【0030】
図2に示すように、前記原稿台カバー21が備えるADF25は、原稿台カバー21の上部に設けられた原稿トレイ23と、この原稿トレイ23の下方に設けられた排出トレイ24と、を備える。
【0031】
図2に示すように、前記原稿台カバー21の内部には、原稿トレイ23と排出トレイ24とを繋ぐ湾曲状の原稿搬送経路30が構成されている。この構成で、原稿トレイ23に重ねてセットされた原稿は、1枚ずつ分離されて湾曲状の前記原稿搬送経路30に沿って搬送され、排出トレイ24へ排出される。原稿の読取の開始等の指示は、図1に示す操作パネル77によって行うことができる。
【0032】
次に、原稿搬送経路30に沿って、ADF25の各部の構成を詳細に説明する。
【0033】
図2に示すように、原稿トレイ23から原稿搬送経路30に原稿が供給される箇所にはピックアップローラ31が配置されている。このピックアップローラ31の下流側には分離ローラ32が備えられ、この分離ローラ32に対向して対向ローラ37が配置されている。ピックアップローラ31は原稿トレイ23上の最上層の原稿を繰り込み、下流の分離ローラ32へ向かって搬送する。分離ローラ32は、原稿を対向ローラ37との間でニップしながら駆動することで、原稿を1枚ずつ分離し、更に下流側へ搬送する。
【0034】
分離ローラ32の下流側には、レジストローラ39と、このレジストローラ39と対になる対向ローラと、が配置されている。レジストローラ39は前記対向ローラとともに、分離ローラ32によって搬送されてくる原稿の先頭側を一時的に止めて弛ませ、所定時間後に弛みを除去しつつ下流側に搬送する。これにより、原稿の斜行が矯正される。
【0035】
レジストローラ39の下流側には、複数の搬送ローラ33,34,35が設けられる。また、この搬送ローラ33,34,35のそれぞれに対向するようにローラが配置されている。前記レジストローラ39の駆動によって下流側へ搬送された原稿は、搬送ローラ33,34,35とそれらに対向するローラとによりニップされて、更に下流側へ搬送される。
【0036】
2つの搬送ローラ34,35の間には第1原稿読取位置80が設定されており、この第1原稿読取位置80を通過する原稿は、以下に説明する第1スキャナユニット50によって走査され、読み取られる。なお、この第1原稿読取位置80にはプラテンローラ29が配置されている。
【0037】
第1スキャナユニット50について説明する。この第1スキャナユニット50は本体78側に設置されるとともに、ADF25及びプラテンガラス22の下方に配置されている。また、この第1スキャナユニット50は、光源51と、反射ミラー52,53,54と、集光レンズ55と、CCDセンサ56と、を備えている。なお、以下の説明では、CCDセンサを単にCCDと略称する場合がある。
【0038】
このCCD56は、樹脂製の本体側フレーム76に対して、第1ブラケット14、第2ブラケット15を介して固定されている。光源51は前記ADF25の前記第1原稿読取位置80(又はプラテンガラス22)に対して光を照射し、反射ミラー52,53,54は原稿からの反射光を反射させる。そしてこの反射光を集光レンズ55で収束させて、この収束光がCCD56の部分で結像するように構成されている。
【0039】
第1スキャナユニット50の光源51及び反射ミラー52等は移動可能に構成されている。前述したようにイメージスキャナ装置10をブックスキャナとして使用する場合は、第1スキャナユニット50の光源51及び反射ミラー52等をプラテンガラス22に沿って移動させる。これによって、プラテンガラス22上に載置された原稿を読み取ることができるようになっている。
【0040】
イメージスキャナ装置10をオートドキュメントフィードスキャナとして使用する場合(ADF25を用いて原稿を読み取る場合)について説明する。この場合、光源51及び反射ミラー52等は、図2に示すように、前記第1原稿読取位置80に対向する位置まで移動させて静止させておく。この状態でADF25を駆動することにより、原稿搬送経路30を搬送されて第1原稿読取位置80を通過する原稿の表側の面を、第1スキャナユニット50が走査して読み取ることができる。
【0041】
第1スキャナユニット50において、原稿からの反射光は前述のとおりCCD56へ導かれて結像し、CCD56は原稿の画像情報に応じた電気信号を出力する。この信号は適宜変換処理され、複合機20が備える画像形成部に送信される。そして、この送信された画像情報が画像形成部によって記録媒体としての用紙に転写されることで、複合機20のコピー機能等が実現される。
【0042】
原稿搬送経路30において、前記第1原稿読取位置80の下流側(搬送ローラ35の下流側)には第2原稿読取位置90が設定されている。この第2原稿読取位置90を通過する原稿の裏面は、次に説明する第2スキャナユニット60によって走査されて読み取られる。
【0043】
第2スキャナユニット60について説明する。この第2スキャナユニット60は、内部の光学系を構成する部品等を保持する樹脂製のスキャナフレーム(フレーム)12を備えている。このスキャナフレーム12は、第2スキャナユニット60の構成部品の外側を覆うように構成されている。
【0044】
また、このスキャナフレーム12の下側であって排出トレイ24側の一部は開放可能に構成されている。この開放部は、通常時においては蓋部13で覆われており、これによって第2スキャナユニット60が密閉状態に保たれている。
【0045】
スキャナフレーム12の底部には、原稿の裏面を読み取るための読取ガラス42が備えられる。この読取ガラス42は、前記第2原稿読取位置90に対応する位置に配置される。また、ADF25本体側に備えられた排出ローラ36と対向する位置において、前記スキャナフレーム12には対向排出ローラ40が備えられている。
【0046】
スキャナフレーム12の内部には、第2スキャナユニット60の構成部品が配置される。この第2スキャナユニット60は前記第1スキャナユニット50と同様に、光源61と、反射ミラー62,63,64,65と、集光レンズ67と、CCD57と、を備えている。
【0047】
このCCD57は、第1スキャナユニット50のCCD56と同様に、樹脂製のスキャナフレーム12に対して第1ブラケット17、第2ブラケット18を介して固定されている。
【0048】
前記光源61は前記読取ガラス42を介して第2原稿読取位置90に光を照射し、原稿からの反射光は反射ミラー62,63,64,65によって反射し、更に集光レンズ67で収束してCCD57の部分に結像する。CCD57は、第1スキャナユニット50におけるCCD56と同様に、原稿の画像情報に応じた電気信号を出力する。この信号も適宜変換処理され、複合機20が備える画像形成部に送信される。
【0049】
また、スキャナフレーム12の第2原稿読取位置90(前記読取ガラス42)に対向するように、プラテンローラ38がADF25本体部分に配置されている。この構成で、前記搬送ローラ35により搬送された原稿がプラテンローラ38の部分に差し掛かると、当該原稿はプラテンローラ38により搬送されながらその裏側の面が走査されて読み取られる。
【0050】
以上のようにして2つの原稿読取位置で表裏両面の内容を読み取られた原稿は、排出ローラ36によって搬送され、排出トレイ24へ排出される。このようにして、原稿搬送経路30に原稿を1回通過させるだけで両面読取が可能な構成の、いわゆるワンパス方式のADF25が構成されている。
【0051】
次に、第2スキャナユニット60におけるCCD57と集光レンズ67の固定方法について、図3を参照して説明する。図3は、蓋部13を取り外した状態の第2スキャナユニット60の斜視図である。なお、図3においては、蓋部13を取り外して下側が開放された第2スキャナユニット60の内部をより良く示すために、第2スキャナユニット60は上下を逆にした状態で描かれている。
【0052】
図3に示すように、スキャナフレーム12の内部には、集光レンズ67と、CCD57と、CCD57を搭載したCCD基板58と、が配置されている。なお、図3においてCCD57はCCD基板58の紙面向かって奥側の面に搭載されているので、破線で示している。また、図2で説明したように、スキャナフレーム12の内部には光源61及び反射ミラー62,63,64,65も配置されているが、図3では図示していない。
【0053】
樹脂製のスキャナフレーム12は、これと一体成形された樹脂製の固定ブロック121を備える。この固定ブロック121上に、板金によりなる第1ブラケット17が、例えばセルフタップネジ43によって締め付けられることにより固定されている。
【0054】
この第1ブラケット17上に、同じく板金によりなる第2ブラケット18が調整ネジ44によって締め付けられることにより固定されている。この調整ネジ44は、第2ブラケット18の位置決めを正確なものとするため、ネジの送り量の小さいネジ(例えばJIS規格のM3ネジなど)を用いている。なお、この点、第1ブラケット17をスキャナフレーム12に固定するネジは位置の調整に関係しないので、送り量の大きいネジ(前記セルフタップネジ43)を用いている。比較的軟らかい素材(樹脂)であるスキャナフレーム12に対するネジ止めの場合、セルフタップネジ43のようにネジ山のピッチが大きいネジを用いることが、第1ブラケット17の固定のために強力に締め付けてもネジ穴が破壊されにくい点で有利である。
【0055】
更に、この第2ブラケット18に対して、CCD基板58が調整ネジ45によって締め付けられることにより固定されている。この調整ネジ45も、CCD基板58の位置決めを正確なものとするため、ネジの送り量の小さいネジ(例えばM3ネジなど)を用いている。
【0056】
上記のような構成により、CCD57をスキャナフレーム12上に固定することができる。
【0057】
また、第1ブラケット17には、平板状の板バネ(弾性部材)19が調整ネジ46によってネジ止めされている。この板バネ19は前記集光レンズ67を固定ブロック121に対して押圧するように構成されており、これにより集光レンズ67が固定されている。このように板バネ19の弾性力を用いて押圧する構成とすることにより、確実に集光レンズ67を固定するとともに、押圧する際の応力を一部に集中させずに分散させることができるので、集光レンズ67の歪みを防止することができる。
【0058】
次に、CCD57と集光レンズ67の詳細な固定方法について、図4を参照して説明する。図4は、CCD基板58をスキャナフレーム12に取り付ける構成を示す分解組立斜視図である。なお、この図4においても図3と同様に、スキャナフレーム12及びそれに対する各部品の取付方向等が上下を逆にして描かれている。
【0059】
図4に示すように、スキャナフレーム12上に形成された固定ブロック121には、レンズ受け部122が形成されている。このレンズ受け部122は、複数の平坦な内壁面が相互に接続された多面状の凹部として形成されており、この内壁面が集光レンズ67の外周面に接触可能に構成されている。
【0060】
また、固定ブロック121には、集光レンズ67の光軸と平行になるようにブラケット取付面123が形成されている。このブラケット取付面123に第1ブラケット17を取り付けることにより、第1ブラケット17、及び当該第1ブラケット17に固定される第2ブラケット18を、光軸に対して平行に固定することができる。
【0061】
第1ブラケット17には、調整ネジ44,46を図中の2点鎖線の矢印のように螺着させて固定できるように、予め適切なネジ孔が形成されている。
【0062】
また第1ブラケット17は、その一部が集光レンズ67の光軸に直交するように折り曲げられている。この折曲げ部分には、前記集光レンズ67に入射する光を通過させる矩形状の貫通孔(光通過部)170が形成されている。また、前記貫通孔170の周囲の部分は、光を遮るための遮光部171とされている。この遮光部171は、集光レンズ67への外乱光の入射を規制するためのものであり、いわば機械的なシェーディング補正部として機能する。また、この折曲げ部が形成されることで第1ブラケット17の剛性が向上するので、CCD基板58の位置決め精度が良好になる。
【0063】
更に、第1ブラケット17には、レンズ受け部122に対応する位置にレンズ収納孔172が形成されている。このレンズ収納孔172の内部に集光レンズ67を配置し、図4の紙面上側の板バネ19と、下側のレンズ受け部122とで挟み込むようにして、集光レンズ67を固定できるように構成されている。
【0064】
第2ブラケット18には、一部が適宜折り曲げられることにより、その表面が集光レンズ67の光軸に直交するように構成された基板取付面182が形成されている。またこの基板取付面182には、調整ネジ45を図中の2点鎖線の矢印のように螺着させて固定できるように、予め適切なネジ孔が形成されている。この基板取付面182にCCD基板58をネジ止めすることにより、CCD57を光軸に対して直交させるように適切に配置することができる。
【0065】
第2ブラケット18には、第1ブラケット17に対して固定するための調整ネジ44を挿通させる長孔181が形成されている。この長孔181は、集光レンズ67の光軸に対して平行な方向に細長く形成されている。従って、第2ブラケット18を第1ブラケット17に取り付けるとき等に、調整ネジ44を緩めることにより、第2ブラケット18を集光レンズ67に対して近づく方向又は遠ざかる方向に移動させることができる。
【0066】
これにより、第2ブラケットに取り付けられたCCD基板58上に搭載されているCCD57の、ピント調整を行うことができる。また、長孔181及び調整ネジ44によって前記光軸に対して直交する方向に第2ブラケット18が動くことが規制されているので、ピント調節作業時にCCD57が不必要な方向に動くことが無い。これにより、ピント調整作業を容易に行うことができる。
【0067】
CCD基板58には、第2ブラケット18に対して固定するための調整ネジ45を挿通させる調節孔581が形成されている。この調節孔581は、調整ネジ45のネジ部の外径に対して若干大きい径で形成された丸孔として構成されており、所定の遊びが形成されている。従って、CCD基板58を第2ブラケット18に取り付けるとき等に、調整ネジ45を緩めることにより、集光レンズ67の光軸に対して直交する平面上でCCD基板58を上記遊びの分だけ移動させることができる。これにより、CCD基板58上に搭載されているCCD57の、主走査方向及び副走査方向の位置決めを行うことができる。
【0068】
以上に説明したように、本実施形態のイメージスキャナ装置10は、縮小光学系の第2スキャナユニット60の部分において、スキャナフレーム12と、第1ブラケット17と、第2ブラケット18と、CCD基板58と、集光レンズ67と、を備えている。第1ブラケット17は、スキャナフレーム12に固定されている。第2ブラケット18は、第1ブラケット17にネジ止めされている。CCD基板58は、CCD57を実装し、第2ブラケット18にネジ止めされている。集光レンズ67は、CCD57に光を収束させる。そして、第1ブラケット17及び第2ブラケット18は、スキャナフレーム12(樹脂製)よりも硬い板金(即ち金属製)によって構成されている。
【0069】
これにより、樹脂製のスキャナフレーム12に対して金属製のブラケットを介してCCD基板58を固定できるので、送り量の小さい調整ネジ44,45を用いることができ、固定時の位置ズレを抑制できる。これにより、CCD基板58の位置合せが容易になり、生産性が向上する。また、ブラケットが板金からなるため、複雑な構成の固定具に比べて加工が容易であり、コストも低く抑えることができる。また、ネジの締付けにより固定する構成であるため、十分な固定力を得ることができる。更に、スキャナフレーム12に雌ネジ部をインサート成形する必要が無いため、リサイクルの観点からも好適である。
【0070】
また、本実施形態のイメージスキャナ装置10においては、第1ブラケット17は光軸と平行になるように取り付けられ、第2ブラケット18は第1ブラケット17の前記光軸と平行な面に取り付けられている。
【0071】
これにより、第1ブラケット17の面を利用して第2ブラケット18の向きを拘束し、これによりCCD57の向きを光軸に対して一定に保つことができる。この結果、CCD57の位置決めを精度よく行うことができる。
【0072】
また、本実施形態のイメージスキャナ装置10においては、第1ブラケット17と第2ブラケット18が長孔181を介してネジ止めされている。
【0073】
これにより、第2ブラケット18の位置を長孔181の範囲でズラすことができるので、位置の調整が可能になる。また、第2ブラケット18を長孔181の長手方向に移動可能とする一方、長孔181の長手方向と垂直な方向の移動を規制できるので、位置決めが容易になる。
【0074】
また、本実施形態のイメージスキャナ装置10においては、集光レンズ67は、第1ブラケット17に取り付けられた板バネ19によって固定されている。
【0075】
これにより、例えば剛体によって集光レンズ67を押圧して固定する場合に比べて、当該集光レンズ67に無理な力が掛からないので、集光レンズ67の歪みを抑制することができる。また、第1ブラケット17を第2ブラケット18の固定だけでなく集光レンズ67の固定にも用いることができるので、構成が簡素になる。
【0076】
また、本実施形態のイメージスキャナ装置10においては、第1ブラケット17には、集光レンズ67に外乱光が入らないようにするための遮光部171が形成されている。
【0077】
これにより、簡単な構成で、外乱光の影響を防止して画像の読取品質を向上させることができる。
【0078】
また、本実施形態のイメージスキャナ装置10においては、第2スキャナユニット60のスキャナフレーム12、第1ブラケット17、第2ブラケット18、CCD57及び集光レンズ67は、ADF25の筐体の内部に配置されている。
【0079】
これにより、ADF25の筐体の内部のスキャナフレーム12に対してCCD基板58を精度良く固定することができ、画質の向上を実現できる。
【0080】
なお、図3及び図4の構成はADF25内にある第2スキャナユニット60についてのものであるが、本実施形態では、前記第1スキャナユニット50においても、上記の説明と同様に2つの板金製のブラケットを介してCCD56を固定している。具体的には、第1スキャナユニット50に備えられた前記本体側フレーム76に第1ブラケット14を固定し、この第1ブラケット14に第2ブラケット15をネジ止めしている。そして、CCD56を実装したCCD基板は前記第2ブラケット15にネジ止めされている。
【0081】
このように、第1スキャナユニット50及び第2スキャナユニット60内においてCCDを固定するための構成を同一とすることにより、部品を共通化してコストを削減することができる。
【0082】
以上に説明したように、本実施形態のイメージスキャナ装置10においては、本体側フレーム76、第1ブラケット14、第2ブラケット15、CCD56及び集光レンズ55は、フラットベッド方式の第1スキャナユニット50に配置されている。
【0083】
これにより、フラットベッド方式の第1スキャナユニット50が備える本体側フレーム76に対してCCD基板を精度良く固定することができ、画質の向上を実現できる。
【0084】
以上に本発明の好適な実施形態について説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0085】
前記遮光部171は省略することができる。また、遮光部171を第1ブラケット17に一体的に形成する構成に代えて、第1ブラケット17とは別の部材に形成することもできる。ただし、簡単な構成で外乱光の影響を防止する観点からは、第1ブラケット17に遮光部171を形成することが好ましい。
【0086】
固定ブロック121に対して第1ブラケット17を固定する方法はセルフタップネジ43に限らず、例えば接着剤で固定しても良い。第1ブラケット17はCCD基板の位置合せの際に移動させる必要が無いためである。ただし、リサイクル性を向上させるという観点からは、ネジ止めとしてスキャナフレーム12から容易に分離可能とすることが好ましい。
【0087】
第1スキャナユニット50と第2スキャナユニット60では、異なる形状のブラケットを用いても良い。ただし部品を共通化してコストを抑える観点からは、同じ形状のブラケットを用いることが好ましい。
【0088】
また、上記の実施形態では第1ブラケット及び第2ブラケットは板金(金属製)としたが、この構成に限られない。即ち、第1ブラケット及び第2ブラケットがフレームに比べて硬い素材によって形成されていれば、フレームに直接ネジ止めする場合と比べて送り量が小さいネジを用いることが可能である。従って、例えばフレームを構成する樹脂に比べて硬い硬質樹脂などによって第1及び第2ブラケットを構成しても良い。
【0089】
前記コピーファクシミリ複合機20に代えて、例えば、コピー機、ファクシミリ装置等にも、上記実施形態のイメージスキャナ装置10を適用することができる。
【0090】
上記実施形態ではイメージスキャナ装置10は複合機20の一部として備えられているが、この構成に代えて、単体のイメージスキャナ装置として構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態に係るコピーファクシミリ複合機の様子を示した外観斜視図。
【図2】本実施形態のイメージスキャナ装置の構成を示した正面断面図。
【図3】第2スキャナユニット内部の様子を示した斜視図。
【図4】CCD基板をスキャナフレームに取り付ける構成を示す分解組立斜視図。
【符号の説明】
【0092】
10 イメージスキャナ装置
12 スキャナフレーム(フレーム)
17 第1ブラケット
18 第2ブラケット
19 板バネ(弾性部材)
20 コピーファクシミリ複合機
25 自動原稿搬送装置
50 第1スキャナユニット
57 CCD(CCDセンサ)
58 CCD基板
60 第2スキャナユニット
67 集光レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームに固定された第1ブラケットと、
前記第1ブラケットにネジ止めされた第2ブラケットと、
CCDセンサを実装し、前記第2ブラケットにネジ止めされたCCD基板と、
前記CCDセンサに光を収束させるための集光レンズと、
を備え、
前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットの少なくとも一方は、前記フレームに比べて硬い素材からなることを特徴とする縮小光学系の原稿読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の原稿読取装置であって、
前記フレームは樹脂製であり、
前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットは板金からなることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の原稿読取装置であって、
前記第1ブラケットは、光軸と平行になるように取り付けられ、
前記第2ブラケットは、前記第1ブラケットの前記光軸と平行な面に取り付けられていることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の原稿読取装置であって、
前記第1ブラケットと前記第2ブラケットが長孔状の挿通孔を介してネジ止めされていることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の原稿読取装置であって、
前記集光レンズは、前記第1ブラケットに取り付けられた弾性部材によって固定されていることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の原稿読取装置であって、
前記第1ブラケットには、前記集光レンズに外乱光が入らないようにするための遮光部が形成されていることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の原稿読取装置であって、
前記フレーム、前記第1ブラケット、前記第2ブラケット、前記CCD基板及び前記集光レンズは、自動原稿搬送装置の筐体の内部に配置されていることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載の原稿読取装置であって、
前記フレーム、前記第1ブラケット、前記第2ブラケット、前記CCD基板及び前記集光レンズは、フラットベッド方式の読取部に配置されていることを特徴とする原稿読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−267980(P2009−267980A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117807(P2008−117807)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】