双極型電池の製造方法および製造装置
【課題】良好な歩留まりを達成し得る双極型電池の製造方法および製造装置を、提供する。
【解決手段】集電体111、集電体111の一方の面に配置される正極113および集電体111の他方の面に配置される負極112を有する双極型電極と、正極113あるいは負極112に配置される電解質層120とを有する双極型電池110(110A〜110F)を、複数積層するための積層手段150を有する。積層手段150は、双極型電池110を、把持自在である保持機構153、双極型電池110が位置合せされかつ互いに接触しないように、双極型電池110の面方向に対して垂直な方向に、保持機構153が取り付けられる支持構造体154、双極型電池110の積層体が配置される受け台156、および、保持機構153および受け台156を、垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段を有する。
【解決手段】集電体111、集電体111の一方の面に配置される正極113および集電体111の他方の面に配置される負極112を有する双極型電極と、正極113あるいは負極112に配置される電解質層120とを有する双極型電池110(110A〜110F)を、複数積層するための積層手段150を有する。積層手段150は、双極型電池110を、把持自在である保持機構153、双極型電池110が位置合せされかつ互いに接触しないように、双極型電池110の面方向に対して垂直な方向に、保持機構153が取り付けられる支持構造体154、双極型電池110の積層体が配置される受け台156、および、保持機構153および受け台156を、垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双極型電池の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護のため二酸化炭素排出量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車およびハイブリッド電気自動車の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、その実用化の鍵を握るモータ駆動用電源として、双極型(バイポーラ型)電池に注目が集まっている。
【0003】
双極型電池においては、正極および負極が配置された集電体と電解質層とが交互に積層され、かつ、電解質が接触しないようにシール基材を設けて、液絡を防止している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−232003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、精度良く積層することが困難である。そのため、電極および電解質層(セパレータ)にずれが生じた場合、電極同士の接触による内部短絡や、シール性の低下を生じ、歩留まりが低下する問題を有する。低い歩留まりは、原材料費や製造コストの上昇を引き起こし、企業の収益を圧迫する要因となる。
【0005】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、良好な歩留まりを達成し得る双極型電池の製造方法および製造装置を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、
集電体、前記集電体の一方の面に配置される正極および前記集電体の他方の面に配置される負極を有する双極型電極と、別体の電解質層とを、交互に複数積層するための積層工程を有し、
前記積層工程においては、
前記双極型電極および前記電解質層を、交互に把持自在である保持機構、前記双極型電極および前記電解質層が、位置合せされかつ互いに接触しないように、前記双極型電極および前記電解質層の面方向に対して垂直な方向に、前記保持機構が取り付けられる支持構造体、前記双極型電極および前記電解質層の積層体が配置される受け台、および、前記保持機構および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段を有する積層手段を使用し、
前記双極型電極および前記電解質層を交互に把持している前記保持機構、および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動させることで、
前記双極型電極および前記電解質層を、前記受け台に順次配置し、前記双極型電極および前記電解質層を交互に積層する
ことを特徴とする双極型電池の製造方法である。
【0007】
上記目的を達成するための請求項2に記載の発明は、
集電体、前記集電体の一方の面に配置される正極および前記集電体の他方の面に配置される負極を有する双極型電極と、前記正極あるいは前記負極に配置される電解質層とを有する双極型電池を、複数積層するための積層工程を有し、
前記積層工程においては、
前記双極型電池を、把持自在である保持機構、前記双極型電池が位置合せされかつ互いに接触しないように、前記双極型電池の面方向に対して垂直な方向に、前記保持機構が取り付けられる支持構造体、前記双極型電池の積層体が配置される受け台、および、前記保持機構および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段を有する積層手段を使用し、
前記双極型電池を把持している前記保持機構、および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動させ、
前記双極型電池を、前記受け台に順次配置し、前記双極型電池を積層する
ことを特徴とする双極型電池の製造方法である。
【0008】
上記目的を達成するための請求項12に記載の発明は、
集電体、前記集電体の一方の面に配置される正極および前記集電体の他方の面に配置される負極を有する双極型電極と、別体の電解質層とを、交互に複数積層するための積層手段を有し、
前記積層手段は、
前記双極型電極および前記電解質層を、交互に把持自在である保持機構、
前記双極型電極および前記電解質層が、位置合せされかつ互いに接触しないように、前記双極型電極および前記電解質層の面方向に対して垂直な方向に、前記保持機構が取り付けられる支持構造体、
前記双極型電極および前記電解質層の積層体が配置される受け台、および、
前記保持機構および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段
を有することを特徴とする双極型電池の製造装置である。
【0009】
上記目的を達成するための請求項13に記載の発明は、
集電体、前記集電体の一方の面に配置される正極および前記集電体の他方の面に配置される負極を有する双極型電極と、前記正極あるいは前記負極に配置される電解質層とを有する双極型電池を、複数積層するための積層手段を有し、
前記積層手段は、
前記双極型電池を、把持自在である保持機構、
前記双極型電池が位置合せされかつ互いに接触しないように、前記双極型電池の面方向に対して垂直な方向に、前記保持機構が取り付けられる支持構造体、
前記双極型電池の積層体が配置される受け台、および、
前記保持機構および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段
を有することを特徴とする双極型電池の製造装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、保持機構および受け台を、双極型電極および電解質層の面方向に対して垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動させることで、双極型電極および電解質層が交互に積層される。相対移動は、双極型電極および電解質層のブレを抑制するため、双極型電極および電解質層が精度良く積層される。したがって、双極型電極および電解質層により構成される双極型電池のずれの発生が抑制され、内部短絡の発生が避けられるため、不良品の発生を削減することが可能となる。つまり、良好な歩留まりを達成し得る双極型電池の製造方法を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、保持機構および受け台を、双極型電池の面方向に対して垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動させることで、双極型電池が積層される。相対移動は、双極型電池のブレを抑制するため、双極型電池が精度良く積層される。したがって、双極型電池を構成する双極型電極および電解質層のずれの発生が抑制され、内部短絡の発生が避けられるため、不良品の発生を削減することが可能となる。つまり、良好な歩留まりを達成し得る双極型電池の製造方法を提供することができる。
【0012】
請求項12に記載の発明によれば、保持機構および受け台を、双極型電極および電解質層の面方向に対して垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動させることで、双極型電極および電解質層を交互に積層することが可能である。相対移動は、双極型電極および電解質層のブレを抑制するため、双極型電極および電解質層を精度良く積層することができる。したがって、双極型電極および電解質層により構成される双極型電池のずれの発生が抑制され、内部短絡の発生が避けられるため、不良品の発生を削減することが可能となる。つまり、良好な歩留まりを達成し得る双極型電池の製造装置を提供することができる。
【0013】
請求項13に記載の発明によれば、保持機構および受け台を、双極型電池の面方向に対して垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動させることで、双極型電池を積層することが可能である。相対移動は、双極型電池のブレを抑制するため、双極型電池を精度良く積層することができる。したがって、双極型電池を構成する双極型電極および電解質層のずれの発生が抑制され、内部短絡の発生が避けられるため、不良品の発生を削減することが可能となる。つまり、良好な歩留まりを達成し得る双極型電池の製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、実施の形態1に係る双極型電池を説明するための断面図、図2は、実施の形態1に係る双極型電池を説明するための断面図、図3は、図1に示される双極型電池を利用する組電池を説明するための斜視図、図4は、図3に示される組電池が搭載されている車両の概略図である。
【0016】
実施の形態1に係る双極型電池110は、電解液系であり、負極112、正極113、集電体111、セパレータ(電解質層)120、第1シール115および第2シール117を有する。集電体111は、正極113および負極112の間に配置されている。電解質層は、負極面に電解液を滲み込ますことで形成されている。第1シール115は、正極113の周囲を取り囲むように配置されている。セパレータ120は、正極113および第1シール115を覆うように配置されている。第2シール117は、第1シール115と位置合せされて、セパレータ120上に配置されている。
【0017】
双極型電池110は、複数の単電池(電池要素)の積層体100の形態で、外部からの衝撃や環境劣化を防止するための外装ケース104に収容される。積層体100の最外層(最上位および最下位)には、端子プレート101,102が配置される。
【0018】
端子プレート101,102は、高導電性部材からなり、積層体100の最外層の電極投影面の全てを、少なくとも覆うように構成されている。したがって、最外層の電流取り出し部は、低抵抗化され、面方向の電流取り出しにおける低抵抗化を図ることで、電池の高出力化が可能になる。高導電性部材は、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス、これらの合金である。
【0019】
端子プレート101,102は、外装ケース104の外部に延長しており、積層体100から電流を引き出すための電極タブを兼用している。なお、独立した別体の電極タブを配置し、直接的あるいはリードを利用して、端子プレート101,102と接続することで、積層体100から電流を引き出すことも可能である。また、積層体100の最外層に位置する集電体111によって、端子プレート101,102を構成することも可能である。
【0020】
外装ケース104は、軽量化および熱伝導性の観点から、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅などの金属(合金を含む)をポリプロピレンフィルム等の絶縁体で被覆した高分子−金属複合ラミネートフィルムなどの外装材からなり、その外周部の一部または全部が、熱融着により接合さることで形成される。
【0021】
外装ケース104は、単独で使用することが可能であるが、例えば、組電池130の形態で利用することが可能である。組電池130は、外装ケース104を直列化および/又は並列化し、複数接続して構成されており、導電バー132,134を有する。導電バー132,134は、各外装ケース104の内部から延長する端子プレート101,102に接続されている。
【0022】
外装ケース104を接続して構成する際に、適宜、直列あるいは並列化することで、容量および電圧を自由に調整することができる。接続方法は、例えば、超音波溶接、熱溶接、レーザー溶接、リベット、かしめ、電子ビームである。
【0023】
組電池130自体を、直列化および/又は並列化し、複数接続することで組電池モジュール(大型の組電池)140として提供することも可能である。
【0024】
組電池モジュール140は、良好な信頼性を有しかつ大出力を確保し得るため、例えば、車両145のモータ駆動用電源として搭載することで、良好な信頼性を有する車両を提供すること可能である。車両は、例えば、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、電車である。
【0025】
組電池モジュール140は、例えば、内蔵する外装ケース104毎あるいは組電池130毎の充電制御を行うなど、非常にきめ細かい制御ができるため、1回の充電あたりの走行距離の延長、車載電池としての寿命の長期化などの性能の向上を図ることが可能である。
【0026】
図5は、実施の形態1に係る双極型電池の製造方法を説明するための工程図である。
【0027】
実施の形態1に係る双極型電池の製造方法は、電極形成工程、シール前駆体配置工程、電極セット工程、電解質層形成工程、真空導入工程、電極積層工程、プレス工程、および、真空解除工程を有する。
【0028】
次に、図6〜図17を参照し、各工程を順次説明する。
【0029】
図6は、図5に示される電極形成工程に係る正極を説明するための正面図、図7は、図5に示される電極形成工程に係る負極を説明するための背面図、図8は、図6の線VIII−VIIIに関する断面図である。
【0030】
電極形成工程においては、まず,正極スラリーが、調整される。正極スラリーは、正極活物質[85重量%]、導電助剤[5重量%]およびバインダ[10重量%]を有し、粘度調整溶媒を添加することで、所定の粘度にされる。
【0031】
正極活物質は、LiMn2O4である。導電助剤は、アセチレンブラックである。バインダは、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)である。粘度調整溶媒は、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)である。
【0032】
正極スラリーは、ステンレススチール箔(厚さ20μm)からなる集電体111の一方の面に塗布される。正極スラリーの塗膜は、例えば、真空オーブンを利用して、乾燥させられ、厚さ30μmの正極活物質層からなる正極113を形成する。この際、NMPは、揮発することで除去される。
【0033】
次に、負極スラリーが、調整される。負極スラリーは、負極活物質[90重量%]およびバインダ[10重量%]を有し、粘度調整溶媒を添加することで、所定の粘度にされる。負極活物質は、ハードカーボンである。バインダおよび粘度調整溶媒は、PVDFおよびNMPである。
【0034】
負極スラリーは、集電体111の他方の面に、塗布される。負極スラリーの塗膜は、例えば、真空オーブンを利用して、乾燥させられ、厚さ30μmの負極活物質層からなる負極112を形成する。この際、NMPは、揮発することで除去される。
【0035】
この結果、集電体111の一方の面および他方の面に、正極113および負極112がそれぞれ形成された双極型電極(電解質層が未形成の双極型電池110)が得られる。
【0036】
双極型電池110は、330×250(mm)のサイズに切り取られる。正極113および負極112の外周部は、集電体を露出させるために、20mmの幅で剥がし取られる。
【0037】
正極活物質は、LiMn2O4に制限されないが、容量および出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物を適用することが好ましい。導電助剤は、例えば、カーボンブラックやグラファイトを利用することも可能である。また、バインダおよび粘度調整溶媒は、PVDFおよびNMPに限定されない。
【0038】
集電体111の構成材料は、ステンレススチール箔に限定されず、例えば、アルミニウム箔、ニッケルとアルミニウムのクラッド材、銅とアルミニウムのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材を利用することも可能である。
【0039】
負極活物質は、ハードカーボン(難黒鉛化炭素材料)に制限されず、例えば、黒鉛系炭素材料や、リチウム−遷移金属複合酸化物を利用することも可能である。なお、カーボンおよびリチウム−遷移金属複合酸化物からなる負極活物質は、容量および出力特性の観点から好ましい。
【0040】
正極113および負極112の厚さは、特に限定されず、電池の使用目的(例えば、出力重視、エネルギー重視)や、イオン伝導性を考慮して設定される。
【0041】
図9は、図5に示されるシール前駆体配置工程の第1シール前駆体を説明するための正面図、図10は、図9の線X−Xに関する断面図、図11は、図5に示されるシール前駆体配置工程の第2シール前駆体を説明するための正面図、図12は、図9の線XII−XIIに関する断面図である。
【0042】
シール前駆体配置工程においては、まず、集電体111が露出している正極側外周部に、第1シール前駆体(1液性未硬化エポキシ樹脂)114が配置される。この際、外周部端面から約10mm幅で、未配置部位が設けられる。第1シール前駆体114の配置は、例えば、ディスペンサを用いる塗布が適用される。
【0043】
次に、セパレータ120が、集電体111の正極側面の全てを覆うように配置される。セパレータ120は、ポリエチレン製であり、その厚みおよびサイズは、12μmおよび335×255(mm)である。
【0044】
その後、セパレータ120上に、第2シール前駆体(1液性未硬化エポキシ樹脂)116が配置される。この際、第2シール前駆体116は、第1シール前駆体114の配置部位と相対するように(重なるように)位置決めされる。第2シール前駆体116の配置は、例えば、ディスペンサを用いる塗布が適用される。
【0045】
第1シール前駆体114および第2シール前駆体116の構成材料は、1液性未硬化エポキシ樹脂に限定されず、使用環境下において良好なシール効果を発揮するものを、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、その他の熱硬化型樹脂(ポリプロピレンやポリエチレン等)や、熱可塑型樹脂を適用することが可能である。
【0046】
セパレータ120の構成材料は、ポリエチレンに限定されず、ポリプロピレン等のその他のポリオレフィンや、ポリアミドや、ポリイミドなどの樹脂材料が適用することが可能である。
【0047】
図13は、図5に示される電極セット工程に係る保持機構のクリップ機構を説明するための概略図、図14は、電極セット工程を説明するための断面図である。
【0048】
電極セット工程においては、6枚の双極型電池110(110A〜110F)が、負極面を上にした状態で、電極ストッカ(積層手段)150にセットされる。なお、最下位に保持される双極型電池110Fは、第1シール前駆体114、第2シール前駆体116およびセパレータ120は、配置されていない。
【0049】
電極ストッカ(積層手段)150は、保持機構、支持構造体154、受け台156、位置センサ158および制御部(不図示)を有する。
【0050】
保持機構は、双極型電池110の外周部の対向する2箇所を把持自在であるクリップ機構153を6個有しており、6枚の双極型電池110をセットすることが可能である。クリップ機構153によって把持される双極型電池110の部位は、外周部端面から約10mm幅の範囲の領域に位置し、第1シール前駆体114および第2シール前駆体116が配置されていない未配置部位である。
【0051】
クリップ機構153は、弾性力に基づいており、下方および上方アーム191,193、ガイドブロック195、可動ブロック197および駆動ロッド198を有する。
【0052】
下方アーム191は、双極型電池110が載置される先端部、および、先端部から下方段差部192を介して延長する基部を有する。上方アーム193は、双極型電池110を押圧する先端部、先端部から第1上方傾斜部を介して延長する中間部、および、中間部から第2上方傾斜部194を介して延長する基部を有する。下方および上方アーム191、192は、例えば、バネからなる弾性部材(不図示)によって、互いに近接するように弾性的に付勢されている。
【0053】
ガイドブロック195は、下方アーム191の基部に固定されており、また、貫通孔196を有する。可動ブロック197は、ガイドブロック195と下方アーム191の下方段差部192との間に配置され、例えば、バネからなる弾性部材(不図示)によって、ガイドブロック195に向かって弾性的に付勢されている。
【0054】
駆動ロッド198は、往復動自在に配置されており、かつ、駆動ロッド198の径は、ガイドブロック195の貫通孔196を通過できるように設定されている。したがって、駆動ロッド198における貫通孔196から突出する先端部は、可動ブロック197を押圧し、下方アーム191の下方段差部192に向かって移動させる。
【0055】
可動ブロック197は、上方アーム193の第2上方傾斜部194と当接しているため、可動ブロック197の移動は、上方アーム193の上昇を引き起こす。
【0056】
つまり、駆動ロッド198を突出させると、下方および上方アーム191、192の先端部は離間するため、双極型電池110を配置、あるいは把持されている双極型電池110の取り外し(リリース)が可能である。一方、駆動ロッド198を後退させると、下方および上方アーム191、192の先端部が近接するため、双極型電池110を把持することが可能である。なお、クリップ機構153は、双極型電池110を把持自在であれば、上記構成に特に限定されない。
【0057】
支持構造体154は、双極型電池110のセットの際の干渉を避けるため、フレーム形状であり、かつ、保持機構が取付けられている。保持機構は、双極型電池110が位置合せされかつ互いに接触しないように、双極型電池110の面方向(XY軸方向)に対して垂直な方向(Z軸方向)に、取り付けられる。
【0058】
また、支持構造体154には、受け台156に向かって垂直な方向に移動するためのZ軸移動手段(不図示)が配置されている。Z軸移動手段は、支持構造体154を受け台156に対して相対移動させるため、設置スペースを有効利用することが可能である。特に、電極ストッカ150は、真空処理装置160(後述)の内部に配置されるため、真空処理装置160を小型化することにより、設備コストの低減を図ることが可能である。
【0059】
Z軸移動手段を支持構造体154に配置する場合、受け台156およびその周辺の構成を簡略化することが可能であるが、Z軸移動手段を受け台156に配置し、受け台156を支持構造体154に対して相対移させることも可能である。この場合、支持構造体154が固定式となり、受け台156は、支持構造体154の内部を移動するため、支持構造体154のブレを抑制することが可能である。
【0060】
受け台156は、積層された双極型電池110を支持するために使用される。受け台156には、双極型電池110の面方向に移動するためのXY軸移動手段(不図示)が、配置されている。なお、XY軸移動手段の一方の軸方向を、受け台156の次工程への移動方向と一致させることによって、XY軸移動手段を、受け台156の次工程への移動機構として、兼用することも可能である。
【0061】
位置センサ158は、支持構造体154の上面における双極型電池110の4辺に対応する位置に配置され、2次元位置検出手段を構成する。したがって、位置センサ158は、双極型電池110の相対移動の際つまり受け台156に向かった双極型電池110の移動の際における位置ズレを検出することが可能である。2次元位置検出手段は、例えば、CCD(固体撮像素子)イメージセンサを利用することも可能である。この場合、支持構造体154の上面における4隅の1つに配置することで、2次元位置検出手段を構成することができる。
【0062】
制御部は、クリップ機構153に把持されている双極型電池110を、積層するために使用され、例えば、クリップ機構153による双極型電池110の把持およびリリースの制御や、位置センサ158の検出結果に基づくXY軸移動手段の制御を実行する。したがって、位置センサ158およびXY軸移動手段は、双極型電池110の相対移動の際における位置ズレを修正するための修正手段を構成する。
【0063】
電解質層形成工程においては、最上位に保持される双極型電池110Aを除いた、5枚の双極型電池110B〜110Fの負極112に、1mlの電解液を、例えば、マイクロピペットを用いて、負極面にたらすことで、滲み込まされる。
【0064】
電解液は、PC(プロピレンカーボネート)およびEC(エチレンカーボネート)からなる有機溶媒、支持塩としてのリチウム塩(LiPF6)および少量の界面活性剤を含んでいる。なお、リチウム塩濃度は、1Mである。
【0065】
有機溶媒は、PCおよびECに特に限定されず、例えば、その他の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類、テトラヒドロフラン等のエーテル類を適用することが可能である。リチウム塩は、LiPF6に特に限定されず、例えば、その他の無機酸陰イオン塩、LiCF3SO3等の有機酸陰イオン塩を、適用することが可能である。
【0066】
図15は、図5に示される真空導入工程〜真空解除工程に係る真空処理装置を説明するための概略図、図16は、図5に示される電極積層工程を説明するための概略図、図17は、図5に示されるプレス工程を説明するための断面図である。
【0067】
真空処理装置160は、真空手段162、プレス手段172および制御部178を有する。
【0068】
真空手段162は、真空チャンバ163、真空ポンプ164および配管系165を有する。真空チャンバ163は、着脱自在(開放自在)の蓋部と、電極ストッカ150およびプレス手段172が配置される固定式の基部を有する。真空ポンプ164は、例えば、遠心式であり、真空チャンバ163の内部を真空状態にするために使用される。配管系165は、真空ポンプ164と真空チャンバ163と連結するために使用され、リークバルブ(不図示)が配置されている。
【0069】
プレス手段172は、下部プレスプレート174、下部プレスプレート174に対して近接離間自在に配置される上部プレスプレート176、下部加熱手段175および上部加熱手段177を有する。
【0070】
下部プレスプレート174は、電極ストッカ150の受け台156が配置される。上部プレスプレート176は、下部プレスプレート174と連携し、双極型電池110の積層体を押圧するために使用される。
【0071】
下部加熱手段175および上部加熱手段177は、例えば、抵抗発熱体を有しており、下部プレスプレート174および上部プレスプレート176の内部に配置され、下部プレスプレート174および上部プレスプレート176の温度を上昇させるために使用される。
【0072】
制御部178は、上部プレスプレート176の移動や押圧力、下部加熱手段175および上部加熱手段177の温度を制御することで、双極型電池110の積層体に対する適当な熱プレスを、真空下で実施するために使用される。
【0073】
なお、下部加熱手段175および上部加熱手段177の一方を省略したり、下部加熱手段175および上部加熱手段177を、下部プレスプレート174および上部プレスプレート176の外部に配置したりすることも可能である。
【0074】
次に、真空処理装置160が適用される真空導入工程〜真空解除工程を順次説明する。
【0075】
真空導入工程においては、真空チャンバ163の蓋部が外され、双極型電池110を保持している電極ストッカ150が、真空チャンバ163の基部に配置される。そして、真空チャンバ163の蓋部が装着されて、真空チャンバ163が密閉されると、真空ポンプ164が稼働され、真空チャンバ163の内部が、真空状態にされる。
【0076】
電極積層工程においては、真空下で、Z軸移動手段によって電極ストッカ150の支持構造体154が、受け台156に向かって移動する。つまり、保持機構(クリップ機構153)および受け台156は、双極型電池110の面方向に対して垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動する。相対移動は、双極型電池110のブレを抑制するため、双極型電池110が精度良く積層される。
【0077】
そして、支持構造体154のクリップ機構153に把持されている双極型電池110が、受け台156に接触するタイミングで、クリップ機構153の駆動ロッド198が制御され、双極型電池110の把持を解消する。
【0078】
一方、位置センサ158が、双極型電池110の相対移動の際における位置ズレを検出すると、XY軸移動手段が制御され、受け台156の面方向の位置が調整される。これにより、積層精度がさらに向上する。また、受け台156は、保持機構と無関係のため、受け台156の移動は、双極型電池110の位置に影響を及ぼさず、位置ズレの調整が容易である。
【0079】
そして、受け台156に対する支持構造体154の移動を継続することで、双極型電池110F〜110Aが、順次積層される。
【0080】
以上のように、双極型電池110のブレが抑制され、双極型電池を精度良く積層することができる。したがって、双極型電池110を構成する双極型電極および電解質層のずれの発生が抑制され、内部短絡の発生が避けられるため、不良品の発生を削減することが可能となる。
【0081】
また、真空下での積層のため、電極および電解質層の積層界面に対する気泡の混入が抑制される。そのため、使用時のイオンの移動は、害されず、電池抵抗は増大しないため、高出力密度を達成することができる。つまり、気泡の混入が抑制された双極型電池が得られるため、使用時におけるイオンの移動は、害されず、電池抵抗は増大しないため、高出力密度を達成することができる。
【0082】
なお、XY軸移動手段は、受け台156に配置することに限定されず、保持機構に配置することで、受け台156およびその近傍の構造を簡素化することも可能である。また、Z軸移動手段を、クリップ機構153に配置することも可能である。
【0083】
プレス工程においては、電極ストッカ150の受け台156が下部プレスプレート174に配置される。この際、受け台156には、電極積層工程によって形成された双極型電池110の積層体100が保持されている。上部プレスプレート176が下部プレスプレート174に向かって降下し、積層体100を押圧し、1.0×105Paの面圧を付与する。
【0084】
一方、下部加熱手段175および上部加熱手段177が稼働され、下部プレスプレート174および上部プレスプレート176を介して、双極型電池110の積層体を加熱する。双極型電池110の積層体は、第1シール前駆体114および第2シール前駆体116を構成する1液性未硬化エポキシ樹脂の硬化温度である80℃に昇温する。
【0085】
電極積層工程における真空状態を維持した状態で、このプレス条件(面圧1.0×105Paかつ80℃)で、1時間保持することで、第1シール前駆体114および第2シール前駆体116が硬化し、所定の厚みの第1シール115および第2シール117が形成され、積層体100が得られる。
【0086】
以上のように、プレスが真空下で積層されるため、積層界面にパージガスが混入することを抑制することができる。また、プレス時における下部プレスプレート174と上部プレスプレート176の間の距離を制御し、積層体100の厚みを、所定の値に設定することで、体積減および電解質抵抗の低減を図ることができる。
【0087】
また、加熱プレスであるため、第1シール前駆体114および第2シール前駆体116の硬化が同時に実施されるため、製造工程の短縮を図ることができる。
【0088】
真空解除工程においては、真空ポンプ164の稼働が停止され、リークバルブを開にすることで、真空チャンバ163の真空状態が解除される。上部プレスプレート176が上昇し、真空チャンバ163の蓋部が外される。下部プレスプレート174に配置されている電極ストッカ150の受け台156が、積層体100を保持した状態で、取り出される。また、受け台156以外の電極ストッカ150の部品も取り出される。
【0089】
双極型電池の積層体100は、その後、最上位および最下位に端子プレート101,102が配置され、外装ケース104に収容される(図1および図2参照)。
【0090】
図18は、実施の形態1に係る双極型電池の内部短絡試験結果を説明するための図表である。
【0091】
実施の形態1と比較例を対象とし、初回充電完了後の1時間目において測定される電圧で評価した。評価基準は、電圧の顕著な低下の有無である。符号OKおよびNGは、電圧の顕著な低下が無いものおよび有るものを、それぞれ表している。数字は、サンプル数を10とした場合における、OKあるいはNGと評価された個数である。なお、比較例は、実施の形態1に係る製造装置を利用せずに製造された双極型電池である。初回充電条件は、21V−0.5Cで4時間である。
【0092】
図18に示されるように、実施の形態1は、NGと評価されたものが存在せず、比較例は、4個がNGである。また、NGと評価された比較例を、解体調査を行った結果、電極のずれによるショートが確認された。つまり、実施の形態1は、比較例と比較し、不良品の発生が抑制されており、歩留まりが向上している。
【0093】
図19は、実施の形態1に係る変形例を説明するための概略図である。
【0094】
電池の出力密度を向上させるため、プレス工程を、第1および第2プレス工程に2分割し、初充電で発生する気泡を取り除くための初充電工程を、挿入することも可能である。初充電条件は、例えば、正極の塗布重量から概算された容量ベースで、21V−0.5Cで4時間である。
【0095】
この場合、真空処理装置160に、充放電装置180を配置する。充放電装置180は、プレス手段172の下部プレスプレート174と上部プレスプレート176を介し、積層体100と電気的に接続可能に構成される。
【0096】
第1プレス工程のプレス条件は、面圧1.0×105Paかつ常温の状態での60秒間保持である。第2プレス工程のプレス条件は、面圧1.0×105Paかつ80℃の状態での1時間保持である。なお、第1プレス工程のプレス条件は、特に限定されず、第2プレス工程のプレス条件を考慮し、第1シール前駆体および第2シール前駆体が硬化しないように設定される。
【0097】
以上のように、実施の形態1は、良好な歩留まりを達成し得る電解液系双極型電池の製造方法および製造装置を、提供することができる。
【0098】
なお、電解質層(セパレータ)を別体として、双極型電極(電解質層が未配置の双極型電池)と交互に積層することも可能である。この場合、保持機構は、電解質層および双極型電極を交互に把持し、かつ、双極型電極および電解質層が、位置合せされかつ互いに接触しないように、双極型電極および電解質層の面方向に対して垂直な方向に、支持構造体154に取り付けられることとなる。
【0099】
また、電極セット工程は、設置工程などを考慮すると、大気下で実施することが好ましいが、必要に応じて、真空下で実施することも可能である。
【0100】
プレス工程の前に、双極型電池110、積層体100、あるいは下部および上部プレスプレート174,176を予熱するための予熱工程を有することも可能である。この場合、プレス工程の時間を短縮することが可能になる。
【0101】
双極型電池110の予熱は、例えば、双極型電池110を保持している電極ストッカ150の全体を、オーブンに配置し、昇温させることで実施される。
【0102】
積層体100の予熱は、例えば、積層体100が配置される受け台156に加熱手段を内蔵させ、当該加熱手段によって受け台156を昇温させることで実施される。また、受け台156を、下部プレスプレート174に配置し、下部加熱手段175によって昇温させた後で、電極ストッカ150に組み込むことによっても、積層体100の予熱を、実施することも可能である。
【0103】
下部および上部プレスプレート174,176の予熱は、例えば、受け台156の配置前から、下部加熱手段175および上部加熱手段177を稼働させることで実施される。
【0104】
次に、実施の形態2を説明する。以下において、実施の形態1と同様の機能を有する部材については類似する符号を使用し、重複を避けるため、その説明を省略する。
【0105】
図20は、実施の形態2に係る双極型電池の製造方法を説明するための工程図である。
【0106】
実施の形態2に係る双極型電池は、ゲルポリマー電解質系であり、その製造方法は、電極形成工程、電解質層形成工程、シール前駆体形成工程、電極セット工程、真空導入工程、電極積層工程、プレス工程および真空解除工程を有する。
【0107】
次に、各工程を順次説明する。図21は、図20に示されるシール前駆体配置工程を説明するための断面図、図22は、図20に示される電極セット工程を説明するための断面図ある。
【0108】
電極形成工程においては、実施の形態1と同様に、集電体211の一方の面および他方の面に、正極213および負極212がそれぞれ形成された双極型電極(電解質層が未形成の双極型電池210)が得られる。
【0109】
電解質層形成工程においては、電解質が、正極213および負極212の電極部に塗布される。
【0110】
電解質は、電解液[90重量%]およびホストポリマー[10重量%]の有し、粘度調整溶媒を添加することで、塗布に適した粘度にされている。
【0111】
電解液は、PC(プロピレンカーボネート)およびEC(エチレンカーボネート)からなる有機溶媒、支持塩としてのリチウム塩(LiPF6)を含んでいる。リチウム塩濃度は、1Mである。
【0112】
ホストポリマーは、HFP(ヘキサフルオロプロピレン)コポリマーを10%含むPVDF−HFP(ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体)である。粘度調製溶媒は、DMC(ジメチルカーボネート)である。
【0113】
電極部に塗布された電解質は、乾燥され、DMCを揮発させることで、正極213および負極212上に、ゲルポリマー電解質層218,219が形成される。
【0114】
ホストポリマーは、PVDF−HFPに限定されず、その他のリチウムイオン伝導性を持たない高分子や、イオン伝導性を有する高分子(固体高分子電解質)を適用することも可能である。その他のリチウムイオン伝導性を持たない高分子は、例えば、PAN(ポリアクリロニトリル)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)である。イオン伝導性を有する高分子は、例えば、PEO(ポリエチレンオキシド)やPPO(ポリプロピレンオキシド)である。粘度調製溶媒は、DMCに限定されない。
【0115】
シール前駆体形成工程にいては、実施の形態1と同様に、第1シール前駆体214、セパレータ220および第2シール前駆体216が配置される。
【0116】
電極セット工程においては、保持機構(クリップ機構253)、支持構造体154、受け台156、位置センサ158および制御部(不図示)を有する電極ストッカ250を使用することで、実施の形態1と同様に、6枚の双極型電池210(210A〜210F)が、負極面を上にした状態で、電極ストッカ250にセットされる。なお、最下位に保持される双極型電池210Fは、正極側のゲルポリマー電解質層218、第1シール前駆体214、第2シール前駆体216およびセパレータ220を有していない。
【0117】
真空導入工程においては、真空手段、プレス手段および制御部を有する真空処理装置を使用することで、実施の形態1と同様に、双極型電池210を保持している電極ストッカが、真空チャンバの基部に配置されると、真空チャンバの内部が、真空状態に保持される。
【0118】
電極積層工程においては、真空下で、保持機構(クリップ機構253)および受け台256は、双極型電池210の面方向に対して垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動する。相対移動は、双極型電池210のブレを抑制するため、双極型電池210が精度良く積層される。
【0119】
そして、支持構造体254のクリップ機構253に把持されている双極型電池210が、受け台256に接触するタイミングで、クリップ機構253の駆動ロッドが制御され、双極型電池210の把持を解消する。
【0120】
一方、位置センサ258が、双極型電池210の相対移動の際における位置ズレを検出すると、XY軸移動手段が制御され、受け台256の面方向の位置が調整される。これにより、積層精度がさらに向上する。また、受け台256は、保持機構と無関係のため、受け台256の移動は、双極型電池210の位置に影響を及ぼさず、位置ズレの調整が容易である。
【0121】
そして、受け台256に対する支持構造体254の移動を継続することで、双極型電池210F〜210Aが、順次積層される。
【0122】
以上のように、双極型電池210のブレが抑制され、双極型電池を精度良く積層することができる。したがって、双極型電池210を構成する双極型電極および電解質層のずれの発生が抑制され、内部短絡の発生が避けられるため、不良品の発生を削減することが可能となる。
【0123】
また、真空下での積層のため、電極および電解質層の積層界面に対する気泡の混入が抑制される。その結果、気泡の混入が抑制された双極型電池が得られるため、使用時におけるイオンの移動は、害されず、電池抵抗は増大しないため、高出力密度を達成することができる。
【0124】
プレス工程においては、積層体200が、真空状態を維持した状態で、加熱プレスされる。プレス条件は、面圧1.0×105Paかつ80℃の状態での1時間保持である。これにより、第1シール前駆体および第2シール前駆体が硬化し、所定の厚みの第1シールおよび第2シールが形成される。また、ゲルポリマー電解質層218,219は、可塑化し、所定の厚みを有することなる。
【0125】
また、加熱下でプレスされるため、第1シール前駆体214および第2シール前駆体216の硬化、ゲルポリマー電解質層218,219の完成が同時に実施されるため、製造工程の短縮を図ることができる。
【0126】
真空解除工程においては、真空チャンバの真空状態が解除され、積層体200が取り出される。
【0127】
以上のように、実施の形態2は、良好な歩留まりを達成し得るゲルポリマー電解質系双極型電池の製造方法および製造装置を、提供することができる。
【0128】
なお、実施の形態2に係る双極型電池の内部短絡試験結果は、図18に示される実施の形態1と同様であり、比較例と比較し、不良品の発生が抑制されており、歩留まりが向上している。
【0129】
また、ゲルポリマー電解質層218,219は、ポリマー骨格に電解液を保持した熱可塑型であるため、漏液が防止され、液絡を防ぎ信頼性の高い双極型電池を構成することが可能である。ゲルポリマー電解質は、熱可塑型に限定されず、熱可塑型を適用することも可能である。この場合も、漏液が防止され、液絡を防ぐことが可能である。
【0130】
次に、実施の形態3を説明する。
【0131】
図23は、実施の形態3に係る双極型電池の製造方法を説明するための工程図である。
【0132】
実施の形態3に係る双極型電池は、全固体電解質系であり、その製造方法は、電極形成工程、電解質層形成工程、電極セット工程、真空導入工程、電極積層工程、プレス工程および真空解除工程を有する。
【0133】
次に、各工程を順次説明する。図24は、図23に示される固体電解質層の形成を説明するための断面図、図25は、図23に示される電極セット工程の形成を説明するための断面図、図26は、実施の形態3に係る真空処理装置を説明するための概略図である。
【0134】
電極形成工程においては、まず、正極スラリーが調整される。正極スラリーは、正極活物質[22重量%]、導電助剤[6重量%]、ポリマー[18重量%]、支持塩としてのリチウム塩[9重量%]、スラリー粘度調整溶媒[45重量%]、および、微量の重合開始剤を含んでいる。
【0135】
正極活物質は、LiMn2O4である。導電助剤は、アセチレンブラックである。ポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)である。リチウム塩は、Li(C2F5SO2)2Nである。スラリー粘度調整溶媒は、NMPである。重合開始剤は、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)である。
【0136】
正極スラリーは、ステンレススチール箔からなる集電体311の一方の面に塗布される。正極スラリーの塗膜は、例えば、オーブンを利用して、110℃かつ4時間保持され、熱重合により硬化することで、正極活物質層からなる正極313が形成される。
【0137】
次に、負極スラリーが調整される。負極スラリーは、負極活物質[14重量%]、導電助剤[4重量%]、ポリマー[20重量%]、支持塩としてのリチウム塩[11重量%]、スラリー粘度調整溶媒[51重量%]、および、微量の重合開始剤を含んでいる。
【0138】
負極活物質は、Li4Ti5O12である。導電助剤は、アセチレンブラックである。ポリマーは、PEOである。リチウム塩は、Li(C2F5SO2)2Nである。スラリー粘度調整溶媒は、NMPである。重合開始剤は、AIBNである。
【0139】
負極スラリーは、集電体311の他方の面に、塗布される。負極スラリーの塗膜は、例えば、オーブンを利用して、110℃かつ4時間保持され、熱重合により硬化することで、負極活物質層からなる負極312が形成される。
【0140】
この結果、集電体311の一方の面および他方の面に、正極313および負極312がそれぞれ形成された双極型電極(電解質層が未形成の双極型電池310)が得られる。
【0141】
双極型電池310は、330×250(mm)のサイズに切り取られる。正極313および負極312の外周部は、集電体311を露出させるために、10mmの幅で剥がし取られる。
【0142】
電解質層形成工程においては、まず、固体電解質スラリーが調整される。固体電解質スラリーは、ポリマー[64.5重量%]および支持塩としてのリチウム塩[35.5重量%]を含んでおり、粘度調製溶媒によって所定の粘度とされている。
【0143】
ポリマーは、PEOである。リチウム塩は、Li(C2F5SO2)2Nである。粘度調製溶媒は、アセトニトリルである。ポリマーは、PEOに限定されず、その他の固体高分子電解質(例えば、PPO)や、セラミックなどのイオン伝導性を持つ無機固体型電解質を適用することも可能である。
【0144】
固体電解質スラリーは、正極313の電極部分のみに塗布される。固体電解質スラリーの塗布層は、乾燥させることで粘度調製溶媒が揮発し、40μmの全固体電解質層339が形成される。全固体電解質層339においては、漏液は皆無となり、信頼性の高い双極型電池を構成できる。
【0145】
一方、集電体311が露出している双極型電池310の正極側外周部には、絶縁材料315が配置される。絶縁材料315は、例えば、ポリイミド製カプトン(登録商標)テープである。
【0146】
電極セット工程においては、保持機構(クリップ機構353)、支持構造体354、受け台356、位置センサ358および制御部(不図示)を有する電極ストッカ350を使用することで、実施の形態1と同様に、6枚の双極型電池310(310A〜310F)が、負極面を上にした状態で、電極ストッカ350にセットされる。なお、最下位に保持される双極型電池310Fは、正極313、全固体電解質層339および絶縁材料315を有していない。最上位に保持される双極型電池310Aは、負極312を有していない。
【0147】
真空導入工程においては、真空手段362、プレス手段372および制御部378を有する真空処理装置360を使用することで、実施の形態1と同様に、双極型電池310を保持している電極ストッカ350が、真空チャンバ363の基部に配置されると、真空チャンバ363の内部が、真空状態に保持される。
【0148】
電極積層工程においては、真空下で、保持機構(クリップ機構353)および受け台356は、双極型電池310の面方向に対して垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動する。相対移動は、双極型電池310のブレを抑制するため、双極型電池310が精度良く積層される。
【0149】
そして、支持構造体354のクリップ機構353に把持されている双極型電池310が、受け台356に接触するタイミングで、クリップ機構353の駆動ロッドが制御され、双極型電池310の把持を解消する。
【0150】
一方、位置センサ358が、双極型電池310の相対移動の際における位置ズレを検出すると、XY軸移動手段が制御され、受け台356の面方向の位置が調整される。これにより、積層精度がさらに向上する。また、受け台356は、保持機構と無関係のため、受け台356の移動は、双極型電池310の位置に影響を及ぼさず、位置ズレの調整が容易である。
【0151】
そして、受け台356に対する支持構造体354の移動を継続することで、双極型電池210F〜210Aが、順次積層される。
【0152】
以上のように、双極型電池310のブレが抑制され、双極型電池を精度良く積層することができる。したがって、双極型電池310を構成する双極型電極および電解質層のずれの発生が抑制され、内部短絡の発生が避けられるため、不良品の発生を削減することが可能となる。
【0153】
また、真空下での積層のため、電極および電解質層の積層界面に対する気泡の混入が抑制される。その結果、気泡の混入が抑制された双極型電池が得られるため、使用時におけるイオンの移動は、害されず、電池抵抗は増大しないため、高出力密度を達成することができる。
【0154】
プレス工程においては、積層体300が、真空状態を維持した状態で、プレスされる。プレス条件は、面圧1.0×105Paかつ常温の状態での3分間保持である。これにより、負極312と全固体電解質層339が密着する。実施の形態3に係るプレス工程は、加熱プレスが適用されないため、真空処理装置360のプレス手段372の下部プレスプレート374および上部プレスプレート376には、加熱手段が配置されていない。なお、符号364および365は、真空ポンプおおび配管系を示している。
【0155】
真空解除工程においては、真空チャンバ363の真空状態が解除され、積層体300が取り出される。
【0156】
以上のように、実施の形態3は、良好な歩留まりを達成し得る全固体電解質系双極型電池の製造方法および製造装置を、提供することができる。
【0157】
なお、実施の形態3に係る双極型電池の内部短絡試験結果は、図18に示される実施の形態1と同様であり、比較例と比較し、不良品の発生が抑制されており、歩留まりが向上している。ただし、初回充電条件は、12.5V−0.5Cで4時間である。また、NGと評価された比較例を、解体調査を行った結果、電極のずれによるシール不良が確認された。
【0158】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。
【0159】
例えば、実施の形態1に係る変形例(初充電工程および充放電装置)を、実施の形態2および実施の形態3に適用することで、電池の出力密度を向上させることも可能である。なお、実施の形態3に係る初充電条件は、例えば、正極の塗布重量から概算された容量ベースで、2.5V−0.5Cで4時間である。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】実施の形態1に係る双極型電池を説明するための斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る双極型電池を説明するための断面図である。
【図3】図1に示される双極型電池を利用する組電池を説明するための斜視図である。
【図4】図3に示される組電池が搭載されている車両の概略図である。
【図5】実施の形態1に係る双極型電池の製造方法を説明するための工程図である。
【図6】図5に示される電極形成工程に係る正極を説明するための正面図である。
【図7】図5に示される電極形成工程に係る負極を説明するための背面図である。
【図8】図6の線VIII−VIIIに関する断面図である。
【図9】図5に示されるシール前駆体配置工程の第1シール前駆体を説明するための正面図である。
【図10】図9の線X−Xに関する断面図である。
【図11】図5に示されるシール前駆体配置工程の第2シール前駆体を説明するための正面図である。
【図12】図9の線XII−XIIに関する断面図である。
【図13】図5に示される電極セット工程に係る保持機構のクリップ機構を説明するための概略図である。
【図14】電極セット工程を説明するための断面図である。
【図15】図5に示される真空導入工程〜真空解除工程に係る真空処理装置を説明するための概略図である。
【図16】図5に示される電極積層工程を説明するための概略図である。
【図17】図5に示されるプレス工程を説明するための断面図である。
【図18】実施の形態1に係る双極型電池の内部短絡試験結果を説明するための図表である。
【図19】実施の形態1に係る変形例を説明するための概略図である。
【図20】実施の形態2に係る双極型電池の製造方法を説明するための工程図である。
【図21】図20に示されるシール前駆体配置工程を説明するための断面図である。
【図22】図20に示される電極セット工程を説明するための断面図である。
【図23】実施の形態3に係る双極型電池の製造方法を説明するための工程図である。
【図24】図23に示される固体電解質層の形成を説明するための断面図である。
【図25】図23に示される電極セット工程の形成を説明するための断面図である。
【図26】実施の形態3に係る真空処理装置を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0161】
100・・積層体、
101,102・・端子プレート、
104・・外装ケース、
110(110A〜110F)・・双極型電池、
111・・集電体、
112・・負極、
113・・正極、
114・・第1シール前駆体、
115・・第1シール、
116・・第2シール前駆体、
117・・第2シール、
120・・セパレータ、
130・・組電池、
132,134・・導電バー、
140・・組電池モジュール、
145・・車両、
150・・電極ストッカ、
153・・クリップ機構、
154・・支持構造体、
156・・受け台、
158・・位置センサ、
160・・真空処理装置、
162・・真空手段、
163・・真空チャンバ、
164・・真空ポンプ、
165・・配管系、
172・・プレス手段、
174・・下部プレスプレート、
175・・下部加熱手段、
176・・上部プレスプレート、
177・・上部加熱手段、
178・・制御部、
180・・充放電装置、
191・・下方アーム、
192・・下方段差部、
193・・上方アーム、
194・・第2上方傾斜部、
195・・ガイドブロック、
196・・貫通孔、
197・・可動ブロック、
198・・駆動ロッド、
200・・積層体、
210・・双極型電池、
210(210A〜210F)・・双極型電池、
211・・集電体、
212・・負極、
213・・正極、
214・・第1シール前駆体、
216・・第2シール前駆体、
218,219・・ゲルポリマー電解質層、
220・・セパレータ、
250・・電極ストッカ、
253・・クリップ機構、
254・・支持構造体、
256・・受け台、
258・・位置センサ、
300・・積層体、
310(310A〜310F)・・双極型電池、
311・・集電体、
312・・負極、
313・・正極、
315・・絶縁材料、
339・・全固体電解質層、
350・・電極ストッカ、
353・・クリップ機構、
354・・支持構造体、
356・・受け台、
358・・位置センサ、
360・・真空処理装置、
362・・真空手段、
363・・真空チャンバ、
364・・真空ポンプ、
365・・配管系、
372・・プレス手段、
374・・下部プレスプレート、
376・・上部プレスプレート、
378・・制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、双極型電池の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護のため二酸化炭素排出量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車およびハイブリッド電気自動車の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、その実用化の鍵を握るモータ駆動用電源として、双極型(バイポーラ型)電池に注目が集まっている。
【0003】
双極型電池においては、正極および負極が配置された集電体と電解質層とが交互に積層され、かつ、電解質が接触しないようにシール基材を設けて、液絡を防止している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−232003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、精度良く積層することが困難である。そのため、電極および電解質層(セパレータ)にずれが生じた場合、電極同士の接触による内部短絡や、シール性の低下を生じ、歩留まりが低下する問題を有する。低い歩留まりは、原材料費や製造コストの上昇を引き起こし、企業の収益を圧迫する要因となる。
【0005】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、良好な歩留まりを達成し得る双極型電池の製造方法および製造装置を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、
集電体、前記集電体の一方の面に配置される正極および前記集電体の他方の面に配置される負極を有する双極型電極と、別体の電解質層とを、交互に複数積層するための積層工程を有し、
前記積層工程においては、
前記双極型電極および前記電解質層を、交互に把持自在である保持機構、前記双極型電極および前記電解質層が、位置合せされかつ互いに接触しないように、前記双極型電極および前記電解質層の面方向に対して垂直な方向に、前記保持機構が取り付けられる支持構造体、前記双極型電極および前記電解質層の積層体が配置される受け台、および、前記保持機構および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段を有する積層手段を使用し、
前記双極型電極および前記電解質層を交互に把持している前記保持機構、および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動させることで、
前記双極型電極および前記電解質層を、前記受け台に順次配置し、前記双極型電極および前記電解質層を交互に積層する
ことを特徴とする双極型電池の製造方法である。
【0007】
上記目的を達成するための請求項2に記載の発明は、
集電体、前記集電体の一方の面に配置される正極および前記集電体の他方の面に配置される負極を有する双極型電極と、前記正極あるいは前記負極に配置される電解質層とを有する双極型電池を、複数積層するための積層工程を有し、
前記積層工程においては、
前記双極型電池を、把持自在である保持機構、前記双極型電池が位置合せされかつ互いに接触しないように、前記双極型電池の面方向に対して垂直な方向に、前記保持機構が取り付けられる支持構造体、前記双極型電池の積層体が配置される受け台、および、前記保持機構および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段を有する積層手段を使用し、
前記双極型電池を把持している前記保持機構、および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動させ、
前記双極型電池を、前記受け台に順次配置し、前記双極型電池を積層する
ことを特徴とする双極型電池の製造方法である。
【0008】
上記目的を達成するための請求項12に記載の発明は、
集電体、前記集電体の一方の面に配置される正極および前記集電体の他方の面に配置される負極を有する双極型電極と、別体の電解質層とを、交互に複数積層するための積層手段を有し、
前記積層手段は、
前記双極型電極および前記電解質層を、交互に把持自在である保持機構、
前記双極型電極および前記電解質層が、位置合せされかつ互いに接触しないように、前記双極型電極および前記電解質層の面方向に対して垂直な方向に、前記保持機構が取り付けられる支持構造体、
前記双極型電極および前記電解質層の積層体が配置される受け台、および、
前記保持機構および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段
を有することを特徴とする双極型電池の製造装置である。
【0009】
上記目的を達成するための請求項13に記載の発明は、
集電体、前記集電体の一方の面に配置される正極および前記集電体の他方の面に配置される負極を有する双極型電極と、前記正極あるいは前記負極に配置される電解質層とを有する双極型電池を、複数積層するための積層手段を有し、
前記積層手段は、
前記双極型電池を、把持自在である保持機構、
前記双極型電池が位置合せされかつ互いに接触しないように、前記双極型電池の面方向に対して垂直な方向に、前記保持機構が取り付けられる支持構造体、
前記双極型電池の積層体が配置される受け台、および、
前記保持機構および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段
を有することを特徴とする双極型電池の製造装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、保持機構および受け台を、双極型電極および電解質層の面方向に対して垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動させることで、双極型電極および電解質層が交互に積層される。相対移動は、双極型電極および電解質層のブレを抑制するため、双極型電極および電解質層が精度良く積層される。したがって、双極型電極および電解質層により構成される双極型電池のずれの発生が抑制され、内部短絡の発生が避けられるため、不良品の発生を削減することが可能となる。つまり、良好な歩留まりを達成し得る双極型電池の製造方法を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、保持機構および受け台を、双極型電池の面方向に対して垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動させることで、双極型電池が積層される。相対移動は、双極型電池のブレを抑制するため、双極型電池が精度良く積層される。したがって、双極型電池を構成する双極型電極および電解質層のずれの発生が抑制され、内部短絡の発生が避けられるため、不良品の発生を削減することが可能となる。つまり、良好な歩留まりを達成し得る双極型電池の製造方法を提供することができる。
【0012】
請求項12に記載の発明によれば、保持機構および受け台を、双極型電極および電解質層の面方向に対して垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動させることで、双極型電極および電解質層を交互に積層することが可能である。相対移動は、双極型電極および電解質層のブレを抑制するため、双極型電極および電解質層を精度良く積層することができる。したがって、双極型電極および電解質層により構成される双極型電池のずれの発生が抑制され、内部短絡の発生が避けられるため、不良品の発生を削減することが可能となる。つまり、良好な歩留まりを達成し得る双極型電池の製造装置を提供することができる。
【0013】
請求項13に記載の発明によれば、保持機構および受け台を、双極型電池の面方向に対して垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動させることで、双極型電池を積層することが可能である。相対移動は、双極型電池のブレを抑制するため、双極型電池を精度良く積層することができる。したがって、双極型電池を構成する双極型電極および電解質層のずれの発生が抑制され、内部短絡の発生が避けられるため、不良品の発生を削減することが可能となる。つまり、良好な歩留まりを達成し得る双極型電池の製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、実施の形態1に係る双極型電池を説明するための断面図、図2は、実施の形態1に係る双極型電池を説明するための断面図、図3は、図1に示される双極型電池を利用する組電池を説明するための斜視図、図4は、図3に示される組電池が搭載されている車両の概略図である。
【0016】
実施の形態1に係る双極型電池110は、電解液系であり、負極112、正極113、集電体111、セパレータ(電解質層)120、第1シール115および第2シール117を有する。集電体111は、正極113および負極112の間に配置されている。電解質層は、負極面に電解液を滲み込ますことで形成されている。第1シール115は、正極113の周囲を取り囲むように配置されている。セパレータ120は、正極113および第1シール115を覆うように配置されている。第2シール117は、第1シール115と位置合せされて、セパレータ120上に配置されている。
【0017】
双極型電池110は、複数の単電池(電池要素)の積層体100の形態で、外部からの衝撃や環境劣化を防止するための外装ケース104に収容される。積層体100の最外層(最上位および最下位)には、端子プレート101,102が配置される。
【0018】
端子プレート101,102は、高導電性部材からなり、積層体100の最外層の電極投影面の全てを、少なくとも覆うように構成されている。したがって、最外層の電流取り出し部は、低抵抗化され、面方向の電流取り出しにおける低抵抗化を図ることで、電池の高出力化が可能になる。高導電性部材は、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス、これらの合金である。
【0019】
端子プレート101,102は、外装ケース104の外部に延長しており、積層体100から電流を引き出すための電極タブを兼用している。なお、独立した別体の電極タブを配置し、直接的あるいはリードを利用して、端子プレート101,102と接続することで、積層体100から電流を引き出すことも可能である。また、積層体100の最外層に位置する集電体111によって、端子プレート101,102を構成することも可能である。
【0020】
外装ケース104は、軽量化および熱伝導性の観点から、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅などの金属(合金を含む)をポリプロピレンフィルム等の絶縁体で被覆した高分子−金属複合ラミネートフィルムなどの外装材からなり、その外周部の一部または全部が、熱融着により接合さることで形成される。
【0021】
外装ケース104は、単独で使用することが可能であるが、例えば、組電池130の形態で利用することが可能である。組電池130は、外装ケース104を直列化および/又は並列化し、複数接続して構成されており、導電バー132,134を有する。導電バー132,134は、各外装ケース104の内部から延長する端子プレート101,102に接続されている。
【0022】
外装ケース104を接続して構成する際に、適宜、直列あるいは並列化することで、容量および電圧を自由に調整することができる。接続方法は、例えば、超音波溶接、熱溶接、レーザー溶接、リベット、かしめ、電子ビームである。
【0023】
組電池130自体を、直列化および/又は並列化し、複数接続することで組電池モジュール(大型の組電池)140として提供することも可能である。
【0024】
組電池モジュール140は、良好な信頼性を有しかつ大出力を確保し得るため、例えば、車両145のモータ駆動用電源として搭載することで、良好な信頼性を有する車両を提供すること可能である。車両は、例えば、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、電車である。
【0025】
組電池モジュール140は、例えば、内蔵する外装ケース104毎あるいは組電池130毎の充電制御を行うなど、非常にきめ細かい制御ができるため、1回の充電あたりの走行距離の延長、車載電池としての寿命の長期化などの性能の向上を図ることが可能である。
【0026】
図5は、実施の形態1に係る双極型電池の製造方法を説明するための工程図である。
【0027】
実施の形態1に係る双極型電池の製造方法は、電極形成工程、シール前駆体配置工程、電極セット工程、電解質層形成工程、真空導入工程、電極積層工程、プレス工程、および、真空解除工程を有する。
【0028】
次に、図6〜図17を参照し、各工程を順次説明する。
【0029】
図6は、図5に示される電極形成工程に係る正極を説明するための正面図、図7は、図5に示される電極形成工程に係る負極を説明するための背面図、図8は、図6の線VIII−VIIIに関する断面図である。
【0030】
電極形成工程においては、まず,正極スラリーが、調整される。正極スラリーは、正極活物質[85重量%]、導電助剤[5重量%]およびバインダ[10重量%]を有し、粘度調整溶媒を添加することで、所定の粘度にされる。
【0031】
正極活物質は、LiMn2O4である。導電助剤は、アセチレンブラックである。バインダは、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)である。粘度調整溶媒は、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)である。
【0032】
正極スラリーは、ステンレススチール箔(厚さ20μm)からなる集電体111の一方の面に塗布される。正極スラリーの塗膜は、例えば、真空オーブンを利用して、乾燥させられ、厚さ30μmの正極活物質層からなる正極113を形成する。この際、NMPは、揮発することで除去される。
【0033】
次に、負極スラリーが、調整される。負極スラリーは、負極活物質[90重量%]およびバインダ[10重量%]を有し、粘度調整溶媒を添加することで、所定の粘度にされる。負極活物質は、ハードカーボンである。バインダおよび粘度調整溶媒は、PVDFおよびNMPである。
【0034】
負極スラリーは、集電体111の他方の面に、塗布される。負極スラリーの塗膜は、例えば、真空オーブンを利用して、乾燥させられ、厚さ30μmの負極活物質層からなる負極112を形成する。この際、NMPは、揮発することで除去される。
【0035】
この結果、集電体111の一方の面および他方の面に、正極113および負極112がそれぞれ形成された双極型電極(電解質層が未形成の双極型電池110)が得られる。
【0036】
双極型電池110は、330×250(mm)のサイズに切り取られる。正極113および負極112の外周部は、集電体を露出させるために、20mmの幅で剥がし取られる。
【0037】
正極活物質は、LiMn2O4に制限されないが、容量および出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物を適用することが好ましい。導電助剤は、例えば、カーボンブラックやグラファイトを利用することも可能である。また、バインダおよび粘度調整溶媒は、PVDFおよびNMPに限定されない。
【0038】
集電体111の構成材料は、ステンレススチール箔に限定されず、例えば、アルミニウム箔、ニッケルとアルミニウムのクラッド材、銅とアルミニウムのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材を利用することも可能である。
【0039】
負極活物質は、ハードカーボン(難黒鉛化炭素材料)に制限されず、例えば、黒鉛系炭素材料や、リチウム−遷移金属複合酸化物を利用することも可能である。なお、カーボンおよびリチウム−遷移金属複合酸化物からなる負極活物質は、容量および出力特性の観点から好ましい。
【0040】
正極113および負極112の厚さは、特に限定されず、電池の使用目的(例えば、出力重視、エネルギー重視)や、イオン伝導性を考慮して設定される。
【0041】
図9は、図5に示されるシール前駆体配置工程の第1シール前駆体を説明するための正面図、図10は、図9の線X−Xに関する断面図、図11は、図5に示されるシール前駆体配置工程の第2シール前駆体を説明するための正面図、図12は、図9の線XII−XIIに関する断面図である。
【0042】
シール前駆体配置工程においては、まず、集電体111が露出している正極側外周部に、第1シール前駆体(1液性未硬化エポキシ樹脂)114が配置される。この際、外周部端面から約10mm幅で、未配置部位が設けられる。第1シール前駆体114の配置は、例えば、ディスペンサを用いる塗布が適用される。
【0043】
次に、セパレータ120が、集電体111の正極側面の全てを覆うように配置される。セパレータ120は、ポリエチレン製であり、その厚みおよびサイズは、12μmおよび335×255(mm)である。
【0044】
その後、セパレータ120上に、第2シール前駆体(1液性未硬化エポキシ樹脂)116が配置される。この際、第2シール前駆体116は、第1シール前駆体114の配置部位と相対するように(重なるように)位置決めされる。第2シール前駆体116の配置は、例えば、ディスペンサを用いる塗布が適用される。
【0045】
第1シール前駆体114および第2シール前駆体116の構成材料は、1液性未硬化エポキシ樹脂に限定されず、使用環境下において良好なシール効果を発揮するものを、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、その他の熱硬化型樹脂(ポリプロピレンやポリエチレン等)や、熱可塑型樹脂を適用することが可能である。
【0046】
セパレータ120の構成材料は、ポリエチレンに限定されず、ポリプロピレン等のその他のポリオレフィンや、ポリアミドや、ポリイミドなどの樹脂材料が適用することが可能である。
【0047】
図13は、図5に示される電極セット工程に係る保持機構のクリップ機構を説明するための概略図、図14は、電極セット工程を説明するための断面図である。
【0048】
電極セット工程においては、6枚の双極型電池110(110A〜110F)が、負極面を上にした状態で、電極ストッカ(積層手段)150にセットされる。なお、最下位に保持される双極型電池110Fは、第1シール前駆体114、第2シール前駆体116およびセパレータ120は、配置されていない。
【0049】
電極ストッカ(積層手段)150は、保持機構、支持構造体154、受け台156、位置センサ158および制御部(不図示)を有する。
【0050】
保持機構は、双極型電池110の外周部の対向する2箇所を把持自在であるクリップ機構153を6個有しており、6枚の双極型電池110をセットすることが可能である。クリップ機構153によって把持される双極型電池110の部位は、外周部端面から約10mm幅の範囲の領域に位置し、第1シール前駆体114および第2シール前駆体116が配置されていない未配置部位である。
【0051】
クリップ機構153は、弾性力に基づいており、下方および上方アーム191,193、ガイドブロック195、可動ブロック197および駆動ロッド198を有する。
【0052】
下方アーム191は、双極型電池110が載置される先端部、および、先端部から下方段差部192を介して延長する基部を有する。上方アーム193は、双極型電池110を押圧する先端部、先端部から第1上方傾斜部を介して延長する中間部、および、中間部から第2上方傾斜部194を介して延長する基部を有する。下方および上方アーム191、192は、例えば、バネからなる弾性部材(不図示)によって、互いに近接するように弾性的に付勢されている。
【0053】
ガイドブロック195は、下方アーム191の基部に固定されており、また、貫通孔196を有する。可動ブロック197は、ガイドブロック195と下方アーム191の下方段差部192との間に配置され、例えば、バネからなる弾性部材(不図示)によって、ガイドブロック195に向かって弾性的に付勢されている。
【0054】
駆動ロッド198は、往復動自在に配置されており、かつ、駆動ロッド198の径は、ガイドブロック195の貫通孔196を通過できるように設定されている。したがって、駆動ロッド198における貫通孔196から突出する先端部は、可動ブロック197を押圧し、下方アーム191の下方段差部192に向かって移動させる。
【0055】
可動ブロック197は、上方アーム193の第2上方傾斜部194と当接しているため、可動ブロック197の移動は、上方アーム193の上昇を引き起こす。
【0056】
つまり、駆動ロッド198を突出させると、下方および上方アーム191、192の先端部は離間するため、双極型電池110を配置、あるいは把持されている双極型電池110の取り外し(リリース)が可能である。一方、駆動ロッド198を後退させると、下方および上方アーム191、192の先端部が近接するため、双極型電池110を把持することが可能である。なお、クリップ機構153は、双極型電池110を把持自在であれば、上記構成に特に限定されない。
【0057】
支持構造体154は、双極型電池110のセットの際の干渉を避けるため、フレーム形状であり、かつ、保持機構が取付けられている。保持機構は、双極型電池110が位置合せされかつ互いに接触しないように、双極型電池110の面方向(XY軸方向)に対して垂直な方向(Z軸方向)に、取り付けられる。
【0058】
また、支持構造体154には、受け台156に向かって垂直な方向に移動するためのZ軸移動手段(不図示)が配置されている。Z軸移動手段は、支持構造体154を受け台156に対して相対移動させるため、設置スペースを有効利用することが可能である。特に、電極ストッカ150は、真空処理装置160(後述)の内部に配置されるため、真空処理装置160を小型化することにより、設備コストの低減を図ることが可能である。
【0059】
Z軸移動手段を支持構造体154に配置する場合、受け台156およびその周辺の構成を簡略化することが可能であるが、Z軸移動手段を受け台156に配置し、受け台156を支持構造体154に対して相対移させることも可能である。この場合、支持構造体154が固定式となり、受け台156は、支持構造体154の内部を移動するため、支持構造体154のブレを抑制することが可能である。
【0060】
受け台156は、積層された双極型電池110を支持するために使用される。受け台156には、双極型電池110の面方向に移動するためのXY軸移動手段(不図示)が、配置されている。なお、XY軸移動手段の一方の軸方向を、受け台156の次工程への移動方向と一致させることによって、XY軸移動手段を、受け台156の次工程への移動機構として、兼用することも可能である。
【0061】
位置センサ158は、支持構造体154の上面における双極型電池110の4辺に対応する位置に配置され、2次元位置検出手段を構成する。したがって、位置センサ158は、双極型電池110の相対移動の際つまり受け台156に向かった双極型電池110の移動の際における位置ズレを検出することが可能である。2次元位置検出手段は、例えば、CCD(固体撮像素子)イメージセンサを利用することも可能である。この場合、支持構造体154の上面における4隅の1つに配置することで、2次元位置検出手段を構成することができる。
【0062】
制御部は、クリップ機構153に把持されている双極型電池110を、積層するために使用され、例えば、クリップ機構153による双極型電池110の把持およびリリースの制御や、位置センサ158の検出結果に基づくXY軸移動手段の制御を実行する。したがって、位置センサ158およびXY軸移動手段は、双極型電池110の相対移動の際における位置ズレを修正するための修正手段を構成する。
【0063】
電解質層形成工程においては、最上位に保持される双極型電池110Aを除いた、5枚の双極型電池110B〜110Fの負極112に、1mlの電解液を、例えば、マイクロピペットを用いて、負極面にたらすことで、滲み込まされる。
【0064】
電解液は、PC(プロピレンカーボネート)およびEC(エチレンカーボネート)からなる有機溶媒、支持塩としてのリチウム塩(LiPF6)および少量の界面活性剤を含んでいる。なお、リチウム塩濃度は、1Mである。
【0065】
有機溶媒は、PCおよびECに特に限定されず、例えば、その他の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類、テトラヒドロフラン等のエーテル類を適用することが可能である。リチウム塩は、LiPF6に特に限定されず、例えば、その他の無機酸陰イオン塩、LiCF3SO3等の有機酸陰イオン塩を、適用することが可能である。
【0066】
図15は、図5に示される真空導入工程〜真空解除工程に係る真空処理装置を説明するための概略図、図16は、図5に示される電極積層工程を説明するための概略図、図17は、図5に示されるプレス工程を説明するための断面図である。
【0067】
真空処理装置160は、真空手段162、プレス手段172および制御部178を有する。
【0068】
真空手段162は、真空チャンバ163、真空ポンプ164および配管系165を有する。真空チャンバ163は、着脱自在(開放自在)の蓋部と、電極ストッカ150およびプレス手段172が配置される固定式の基部を有する。真空ポンプ164は、例えば、遠心式であり、真空チャンバ163の内部を真空状態にするために使用される。配管系165は、真空ポンプ164と真空チャンバ163と連結するために使用され、リークバルブ(不図示)が配置されている。
【0069】
プレス手段172は、下部プレスプレート174、下部プレスプレート174に対して近接離間自在に配置される上部プレスプレート176、下部加熱手段175および上部加熱手段177を有する。
【0070】
下部プレスプレート174は、電極ストッカ150の受け台156が配置される。上部プレスプレート176は、下部プレスプレート174と連携し、双極型電池110の積層体を押圧するために使用される。
【0071】
下部加熱手段175および上部加熱手段177は、例えば、抵抗発熱体を有しており、下部プレスプレート174および上部プレスプレート176の内部に配置され、下部プレスプレート174および上部プレスプレート176の温度を上昇させるために使用される。
【0072】
制御部178は、上部プレスプレート176の移動や押圧力、下部加熱手段175および上部加熱手段177の温度を制御することで、双極型電池110の積層体に対する適当な熱プレスを、真空下で実施するために使用される。
【0073】
なお、下部加熱手段175および上部加熱手段177の一方を省略したり、下部加熱手段175および上部加熱手段177を、下部プレスプレート174および上部プレスプレート176の外部に配置したりすることも可能である。
【0074】
次に、真空処理装置160が適用される真空導入工程〜真空解除工程を順次説明する。
【0075】
真空導入工程においては、真空チャンバ163の蓋部が外され、双極型電池110を保持している電極ストッカ150が、真空チャンバ163の基部に配置される。そして、真空チャンバ163の蓋部が装着されて、真空チャンバ163が密閉されると、真空ポンプ164が稼働され、真空チャンバ163の内部が、真空状態にされる。
【0076】
電極積層工程においては、真空下で、Z軸移動手段によって電極ストッカ150の支持構造体154が、受け台156に向かって移動する。つまり、保持機構(クリップ機構153)および受け台156は、双極型電池110の面方向に対して垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動する。相対移動は、双極型電池110のブレを抑制するため、双極型電池110が精度良く積層される。
【0077】
そして、支持構造体154のクリップ機構153に把持されている双極型電池110が、受け台156に接触するタイミングで、クリップ機構153の駆動ロッド198が制御され、双極型電池110の把持を解消する。
【0078】
一方、位置センサ158が、双極型電池110の相対移動の際における位置ズレを検出すると、XY軸移動手段が制御され、受け台156の面方向の位置が調整される。これにより、積層精度がさらに向上する。また、受け台156は、保持機構と無関係のため、受け台156の移動は、双極型電池110の位置に影響を及ぼさず、位置ズレの調整が容易である。
【0079】
そして、受け台156に対する支持構造体154の移動を継続することで、双極型電池110F〜110Aが、順次積層される。
【0080】
以上のように、双極型電池110のブレが抑制され、双極型電池を精度良く積層することができる。したがって、双極型電池110を構成する双極型電極および電解質層のずれの発生が抑制され、内部短絡の発生が避けられるため、不良品の発生を削減することが可能となる。
【0081】
また、真空下での積層のため、電極および電解質層の積層界面に対する気泡の混入が抑制される。そのため、使用時のイオンの移動は、害されず、電池抵抗は増大しないため、高出力密度を達成することができる。つまり、気泡の混入が抑制された双極型電池が得られるため、使用時におけるイオンの移動は、害されず、電池抵抗は増大しないため、高出力密度を達成することができる。
【0082】
なお、XY軸移動手段は、受け台156に配置することに限定されず、保持機構に配置することで、受け台156およびその近傍の構造を簡素化することも可能である。また、Z軸移動手段を、クリップ機構153に配置することも可能である。
【0083】
プレス工程においては、電極ストッカ150の受け台156が下部プレスプレート174に配置される。この際、受け台156には、電極積層工程によって形成された双極型電池110の積層体100が保持されている。上部プレスプレート176が下部プレスプレート174に向かって降下し、積層体100を押圧し、1.0×105Paの面圧を付与する。
【0084】
一方、下部加熱手段175および上部加熱手段177が稼働され、下部プレスプレート174および上部プレスプレート176を介して、双極型電池110の積層体を加熱する。双極型電池110の積層体は、第1シール前駆体114および第2シール前駆体116を構成する1液性未硬化エポキシ樹脂の硬化温度である80℃に昇温する。
【0085】
電極積層工程における真空状態を維持した状態で、このプレス条件(面圧1.0×105Paかつ80℃)で、1時間保持することで、第1シール前駆体114および第2シール前駆体116が硬化し、所定の厚みの第1シール115および第2シール117が形成され、積層体100が得られる。
【0086】
以上のように、プレスが真空下で積層されるため、積層界面にパージガスが混入することを抑制することができる。また、プレス時における下部プレスプレート174と上部プレスプレート176の間の距離を制御し、積層体100の厚みを、所定の値に設定することで、体積減および電解質抵抗の低減を図ることができる。
【0087】
また、加熱プレスであるため、第1シール前駆体114および第2シール前駆体116の硬化が同時に実施されるため、製造工程の短縮を図ることができる。
【0088】
真空解除工程においては、真空ポンプ164の稼働が停止され、リークバルブを開にすることで、真空チャンバ163の真空状態が解除される。上部プレスプレート176が上昇し、真空チャンバ163の蓋部が外される。下部プレスプレート174に配置されている電極ストッカ150の受け台156が、積層体100を保持した状態で、取り出される。また、受け台156以外の電極ストッカ150の部品も取り出される。
【0089】
双極型電池の積層体100は、その後、最上位および最下位に端子プレート101,102が配置され、外装ケース104に収容される(図1および図2参照)。
【0090】
図18は、実施の形態1に係る双極型電池の内部短絡試験結果を説明するための図表である。
【0091】
実施の形態1と比較例を対象とし、初回充電完了後の1時間目において測定される電圧で評価した。評価基準は、電圧の顕著な低下の有無である。符号OKおよびNGは、電圧の顕著な低下が無いものおよび有るものを、それぞれ表している。数字は、サンプル数を10とした場合における、OKあるいはNGと評価された個数である。なお、比較例は、実施の形態1に係る製造装置を利用せずに製造された双極型電池である。初回充電条件は、21V−0.5Cで4時間である。
【0092】
図18に示されるように、実施の形態1は、NGと評価されたものが存在せず、比較例は、4個がNGである。また、NGと評価された比較例を、解体調査を行った結果、電極のずれによるショートが確認された。つまり、実施の形態1は、比較例と比較し、不良品の発生が抑制されており、歩留まりが向上している。
【0093】
図19は、実施の形態1に係る変形例を説明するための概略図である。
【0094】
電池の出力密度を向上させるため、プレス工程を、第1および第2プレス工程に2分割し、初充電で発生する気泡を取り除くための初充電工程を、挿入することも可能である。初充電条件は、例えば、正極の塗布重量から概算された容量ベースで、21V−0.5Cで4時間である。
【0095】
この場合、真空処理装置160に、充放電装置180を配置する。充放電装置180は、プレス手段172の下部プレスプレート174と上部プレスプレート176を介し、積層体100と電気的に接続可能に構成される。
【0096】
第1プレス工程のプレス条件は、面圧1.0×105Paかつ常温の状態での60秒間保持である。第2プレス工程のプレス条件は、面圧1.0×105Paかつ80℃の状態での1時間保持である。なお、第1プレス工程のプレス条件は、特に限定されず、第2プレス工程のプレス条件を考慮し、第1シール前駆体および第2シール前駆体が硬化しないように設定される。
【0097】
以上のように、実施の形態1は、良好な歩留まりを達成し得る電解液系双極型電池の製造方法および製造装置を、提供することができる。
【0098】
なお、電解質層(セパレータ)を別体として、双極型電極(電解質層が未配置の双極型電池)と交互に積層することも可能である。この場合、保持機構は、電解質層および双極型電極を交互に把持し、かつ、双極型電極および電解質層が、位置合せされかつ互いに接触しないように、双極型電極および電解質層の面方向に対して垂直な方向に、支持構造体154に取り付けられることとなる。
【0099】
また、電極セット工程は、設置工程などを考慮すると、大気下で実施することが好ましいが、必要に応じて、真空下で実施することも可能である。
【0100】
プレス工程の前に、双極型電池110、積層体100、あるいは下部および上部プレスプレート174,176を予熱するための予熱工程を有することも可能である。この場合、プレス工程の時間を短縮することが可能になる。
【0101】
双極型電池110の予熱は、例えば、双極型電池110を保持している電極ストッカ150の全体を、オーブンに配置し、昇温させることで実施される。
【0102】
積層体100の予熱は、例えば、積層体100が配置される受け台156に加熱手段を内蔵させ、当該加熱手段によって受け台156を昇温させることで実施される。また、受け台156を、下部プレスプレート174に配置し、下部加熱手段175によって昇温させた後で、電極ストッカ150に組み込むことによっても、積層体100の予熱を、実施することも可能である。
【0103】
下部および上部プレスプレート174,176の予熱は、例えば、受け台156の配置前から、下部加熱手段175および上部加熱手段177を稼働させることで実施される。
【0104】
次に、実施の形態2を説明する。以下において、実施の形態1と同様の機能を有する部材については類似する符号を使用し、重複を避けるため、その説明を省略する。
【0105】
図20は、実施の形態2に係る双極型電池の製造方法を説明するための工程図である。
【0106】
実施の形態2に係る双極型電池は、ゲルポリマー電解質系であり、その製造方法は、電極形成工程、電解質層形成工程、シール前駆体形成工程、電極セット工程、真空導入工程、電極積層工程、プレス工程および真空解除工程を有する。
【0107】
次に、各工程を順次説明する。図21は、図20に示されるシール前駆体配置工程を説明するための断面図、図22は、図20に示される電極セット工程を説明するための断面図ある。
【0108】
電極形成工程においては、実施の形態1と同様に、集電体211の一方の面および他方の面に、正極213および負極212がそれぞれ形成された双極型電極(電解質層が未形成の双極型電池210)が得られる。
【0109】
電解質層形成工程においては、電解質が、正極213および負極212の電極部に塗布される。
【0110】
電解質は、電解液[90重量%]およびホストポリマー[10重量%]の有し、粘度調整溶媒を添加することで、塗布に適した粘度にされている。
【0111】
電解液は、PC(プロピレンカーボネート)およびEC(エチレンカーボネート)からなる有機溶媒、支持塩としてのリチウム塩(LiPF6)を含んでいる。リチウム塩濃度は、1Mである。
【0112】
ホストポリマーは、HFP(ヘキサフルオロプロピレン)コポリマーを10%含むPVDF−HFP(ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体)である。粘度調製溶媒は、DMC(ジメチルカーボネート)である。
【0113】
電極部に塗布された電解質は、乾燥され、DMCを揮発させることで、正極213および負極212上に、ゲルポリマー電解質層218,219が形成される。
【0114】
ホストポリマーは、PVDF−HFPに限定されず、その他のリチウムイオン伝導性を持たない高分子や、イオン伝導性を有する高分子(固体高分子電解質)を適用することも可能である。その他のリチウムイオン伝導性を持たない高分子は、例えば、PAN(ポリアクリロニトリル)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)である。イオン伝導性を有する高分子は、例えば、PEO(ポリエチレンオキシド)やPPO(ポリプロピレンオキシド)である。粘度調製溶媒は、DMCに限定されない。
【0115】
シール前駆体形成工程にいては、実施の形態1と同様に、第1シール前駆体214、セパレータ220および第2シール前駆体216が配置される。
【0116】
電極セット工程においては、保持機構(クリップ機構253)、支持構造体154、受け台156、位置センサ158および制御部(不図示)を有する電極ストッカ250を使用することで、実施の形態1と同様に、6枚の双極型電池210(210A〜210F)が、負極面を上にした状態で、電極ストッカ250にセットされる。なお、最下位に保持される双極型電池210Fは、正極側のゲルポリマー電解質層218、第1シール前駆体214、第2シール前駆体216およびセパレータ220を有していない。
【0117】
真空導入工程においては、真空手段、プレス手段および制御部を有する真空処理装置を使用することで、実施の形態1と同様に、双極型電池210を保持している電極ストッカが、真空チャンバの基部に配置されると、真空チャンバの内部が、真空状態に保持される。
【0118】
電極積層工程においては、真空下で、保持機構(クリップ機構253)および受け台256は、双極型電池210の面方向に対して垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動する。相対移動は、双極型電池210のブレを抑制するため、双極型電池210が精度良く積層される。
【0119】
そして、支持構造体254のクリップ機構253に把持されている双極型電池210が、受け台256に接触するタイミングで、クリップ機構253の駆動ロッドが制御され、双極型電池210の把持を解消する。
【0120】
一方、位置センサ258が、双極型電池210の相対移動の際における位置ズレを検出すると、XY軸移動手段が制御され、受け台256の面方向の位置が調整される。これにより、積層精度がさらに向上する。また、受け台256は、保持機構と無関係のため、受け台256の移動は、双極型電池210の位置に影響を及ぼさず、位置ズレの調整が容易である。
【0121】
そして、受け台256に対する支持構造体254の移動を継続することで、双極型電池210F〜210Aが、順次積層される。
【0122】
以上のように、双極型電池210のブレが抑制され、双極型電池を精度良く積層することができる。したがって、双極型電池210を構成する双極型電極および電解質層のずれの発生が抑制され、内部短絡の発生が避けられるため、不良品の発生を削減することが可能となる。
【0123】
また、真空下での積層のため、電極および電解質層の積層界面に対する気泡の混入が抑制される。その結果、気泡の混入が抑制された双極型電池が得られるため、使用時におけるイオンの移動は、害されず、電池抵抗は増大しないため、高出力密度を達成することができる。
【0124】
プレス工程においては、積層体200が、真空状態を維持した状態で、加熱プレスされる。プレス条件は、面圧1.0×105Paかつ80℃の状態での1時間保持である。これにより、第1シール前駆体および第2シール前駆体が硬化し、所定の厚みの第1シールおよび第2シールが形成される。また、ゲルポリマー電解質層218,219は、可塑化し、所定の厚みを有することなる。
【0125】
また、加熱下でプレスされるため、第1シール前駆体214および第2シール前駆体216の硬化、ゲルポリマー電解質層218,219の完成が同時に実施されるため、製造工程の短縮を図ることができる。
【0126】
真空解除工程においては、真空チャンバの真空状態が解除され、積層体200が取り出される。
【0127】
以上のように、実施の形態2は、良好な歩留まりを達成し得るゲルポリマー電解質系双極型電池の製造方法および製造装置を、提供することができる。
【0128】
なお、実施の形態2に係る双極型電池の内部短絡試験結果は、図18に示される実施の形態1と同様であり、比較例と比較し、不良品の発生が抑制されており、歩留まりが向上している。
【0129】
また、ゲルポリマー電解質層218,219は、ポリマー骨格に電解液を保持した熱可塑型であるため、漏液が防止され、液絡を防ぎ信頼性の高い双極型電池を構成することが可能である。ゲルポリマー電解質は、熱可塑型に限定されず、熱可塑型を適用することも可能である。この場合も、漏液が防止され、液絡を防ぐことが可能である。
【0130】
次に、実施の形態3を説明する。
【0131】
図23は、実施の形態3に係る双極型電池の製造方法を説明するための工程図である。
【0132】
実施の形態3に係る双極型電池は、全固体電解質系であり、その製造方法は、電極形成工程、電解質層形成工程、電極セット工程、真空導入工程、電極積層工程、プレス工程および真空解除工程を有する。
【0133】
次に、各工程を順次説明する。図24は、図23に示される固体電解質層の形成を説明するための断面図、図25は、図23に示される電極セット工程の形成を説明するための断面図、図26は、実施の形態3に係る真空処理装置を説明するための概略図である。
【0134】
電極形成工程においては、まず、正極スラリーが調整される。正極スラリーは、正極活物質[22重量%]、導電助剤[6重量%]、ポリマー[18重量%]、支持塩としてのリチウム塩[9重量%]、スラリー粘度調整溶媒[45重量%]、および、微量の重合開始剤を含んでいる。
【0135】
正極活物質は、LiMn2O4である。導電助剤は、アセチレンブラックである。ポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)である。リチウム塩は、Li(C2F5SO2)2Nである。スラリー粘度調整溶媒は、NMPである。重合開始剤は、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)である。
【0136】
正極スラリーは、ステンレススチール箔からなる集電体311の一方の面に塗布される。正極スラリーの塗膜は、例えば、オーブンを利用して、110℃かつ4時間保持され、熱重合により硬化することで、正極活物質層からなる正極313が形成される。
【0137】
次に、負極スラリーが調整される。負極スラリーは、負極活物質[14重量%]、導電助剤[4重量%]、ポリマー[20重量%]、支持塩としてのリチウム塩[11重量%]、スラリー粘度調整溶媒[51重量%]、および、微量の重合開始剤を含んでいる。
【0138】
負極活物質は、Li4Ti5O12である。導電助剤は、アセチレンブラックである。ポリマーは、PEOである。リチウム塩は、Li(C2F5SO2)2Nである。スラリー粘度調整溶媒は、NMPである。重合開始剤は、AIBNである。
【0139】
負極スラリーは、集電体311の他方の面に、塗布される。負極スラリーの塗膜は、例えば、オーブンを利用して、110℃かつ4時間保持され、熱重合により硬化することで、負極活物質層からなる負極312が形成される。
【0140】
この結果、集電体311の一方の面および他方の面に、正極313および負極312がそれぞれ形成された双極型電極(電解質層が未形成の双極型電池310)が得られる。
【0141】
双極型電池310は、330×250(mm)のサイズに切り取られる。正極313および負極312の外周部は、集電体311を露出させるために、10mmの幅で剥がし取られる。
【0142】
電解質層形成工程においては、まず、固体電解質スラリーが調整される。固体電解質スラリーは、ポリマー[64.5重量%]および支持塩としてのリチウム塩[35.5重量%]を含んでおり、粘度調製溶媒によって所定の粘度とされている。
【0143】
ポリマーは、PEOである。リチウム塩は、Li(C2F5SO2)2Nである。粘度調製溶媒は、アセトニトリルである。ポリマーは、PEOに限定されず、その他の固体高分子電解質(例えば、PPO)や、セラミックなどのイオン伝導性を持つ無機固体型電解質を適用することも可能である。
【0144】
固体電解質スラリーは、正極313の電極部分のみに塗布される。固体電解質スラリーの塗布層は、乾燥させることで粘度調製溶媒が揮発し、40μmの全固体電解質層339が形成される。全固体電解質層339においては、漏液は皆無となり、信頼性の高い双極型電池を構成できる。
【0145】
一方、集電体311が露出している双極型電池310の正極側外周部には、絶縁材料315が配置される。絶縁材料315は、例えば、ポリイミド製カプトン(登録商標)テープである。
【0146】
電極セット工程においては、保持機構(クリップ機構353)、支持構造体354、受け台356、位置センサ358および制御部(不図示)を有する電極ストッカ350を使用することで、実施の形態1と同様に、6枚の双極型電池310(310A〜310F)が、負極面を上にした状態で、電極ストッカ350にセットされる。なお、最下位に保持される双極型電池310Fは、正極313、全固体電解質層339および絶縁材料315を有していない。最上位に保持される双極型電池310Aは、負極312を有していない。
【0147】
真空導入工程においては、真空手段362、プレス手段372および制御部378を有する真空処理装置360を使用することで、実施の形態1と同様に、双極型電池310を保持している電極ストッカ350が、真空チャンバ363の基部に配置されると、真空チャンバ363の内部が、真空状態に保持される。
【0148】
電極積層工程においては、真空下で、保持機構(クリップ機構353)および受け台356は、双極型電池310の面方向に対して垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動する。相対移動は、双極型電池310のブレを抑制するため、双極型電池310が精度良く積層される。
【0149】
そして、支持構造体354のクリップ機構353に把持されている双極型電池310が、受け台356に接触するタイミングで、クリップ機構353の駆動ロッドが制御され、双極型電池310の把持を解消する。
【0150】
一方、位置センサ358が、双極型電池310の相対移動の際における位置ズレを検出すると、XY軸移動手段が制御され、受け台356の面方向の位置が調整される。これにより、積層精度がさらに向上する。また、受け台356は、保持機構と無関係のため、受け台356の移動は、双極型電池310の位置に影響を及ぼさず、位置ズレの調整が容易である。
【0151】
そして、受け台356に対する支持構造体354の移動を継続することで、双極型電池210F〜210Aが、順次積層される。
【0152】
以上のように、双極型電池310のブレが抑制され、双極型電池を精度良く積層することができる。したがって、双極型電池310を構成する双極型電極および電解質層のずれの発生が抑制され、内部短絡の発生が避けられるため、不良品の発生を削減することが可能となる。
【0153】
また、真空下での積層のため、電極および電解質層の積層界面に対する気泡の混入が抑制される。その結果、気泡の混入が抑制された双極型電池が得られるため、使用時におけるイオンの移動は、害されず、電池抵抗は増大しないため、高出力密度を達成することができる。
【0154】
プレス工程においては、積層体300が、真空状態を維持した状態で、プレスされる。プレス条件は、面圧1.0×105Paかつ常温の状態での3分間保持である。これにより、負極312と全固体電解質層339が密着する。実施の形態3に係るプレス工程は、加熱プレスが適用されないため、真空処理装置360のプレス手段372の下部プレスプレート374および上部プレスプレート376には、加熱手段が配置されていない。なお、符号364および365は、真空ポンプおおび配管系を示している。
【0155】
真空解除工程においては、真空チャンバ363の真空状態が解除され、積層体300が取り出される。
【0156】
以上のように、実施の形態3は、良好な歩留まりを達成し得る全固体電解質系双極型電池の製造方法および製造装置を、提供することができる。
【0157】
なお、実施の形態3に係る双極型電池の内部短絡試験結果は、図18に示される実施の形態1と同様であり、比較例と比較し、不良品の発生が抑制されており、歩留まりが向上している。ただし、初回充電条件は、12.5V−0.5Cで4時間である。また、NGと評価された比較例を、解体調査を行った結果、電極のずれによるシール不良が確認された。
【0158】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。
【0159】
例えば、実施の形態1に係る変形例(初充電工程および充放電装置)を、実施の形態2および実施の形態3に適用することで、電池の出力密度を向上させることも可能である。なお、実施の形態3に係る初充電条件は、例えば、正極の塗布重量から概算された容量ベースで、2.5V−0.5Cで4時間である。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】実施の形態1に係る双極型電池を説明するための斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る双極型電池を説明するための断面図である。
【図3】図1に示される双極型電池を利用する組電池を説明するための斜視図である。
【図4】図3に示される組電池が搭載されている車両の概略図である。
【図5】実施の形態1に係る双極型電池の製造方法を説明するための工程図である。
【図6】図5に示される電極形成工程に係る正極を説明するための正面図である。
【図7】図5に示される電極形成工程に係る負極を説明するための背面図である。
【図8】図6の線VIII−VIIIに関する断面図である。
【図9】図5に示されるシール前駆体配置工程の第1シール前駆体を説明するための正面図である。
【図10】図9の線X−Xに関する断面図である。
【図11】図5に示されるシール前駆体配置工程の第2シール前駆体を説明するための正面図である。
【図12】図9の線XII−XIIに関する断面図である。
【図13】図5に示される電極セット工程に係る保持機構のクリップ機構を説明するための概略図である。
【図14】電極セット工程を説明するための断面図である。
【図15】図5に示される真空導入工程〜真空解除工程に係る真空処理装置を説明するための概略図である。
【図16】図5に示される電極積層工程を説明するための概略図である。
【図17】図5に示されるプレス工程を説明するための断面図である。
【図18】実施の形態1に係る双極型電池の内部短絡試験結果を説明するための図表である。
【図19】実施の形態1に係る変形例を説明するための概略図である。
【図20】実施の形態2に係る双極型電池の製造方法を説明するための工程図である。
【図21】図20に示されるシール前駆体配置工程を説明するための断面図である。
【図22】図20に示される電極セット工程を説明するための断面図である。
【図23】実施の形態3に係る双極型電池の製造方法を説明するための工程図である。
【図24】図23に示される固体電解質層の形成を説明するための断面図である。
【図25】図23に示される電極セット工程の形成を説明するための断面図である。
【図26】実施の形態3に係る真空処理装置を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0161】
100・・積層体、
101,102・・端子プレート、
104・・外装ケース、
110(110A〜110F)・・双極型電池、
111・・集電体、
112・・負極、
113・・正極、
114・・第1シール前駆体、
115・・第1シール、
116・・第2シール前駆体、
117・・第2シール、
120・・セパレータ、
130・・組電池、
132,134・・導電バー、
140・・組電池モジュール、
145・・車両、
150・・電極ストッカ、
153・・クリップ機構、
154・・支持構造体、
156・・受け台、
158・・位置センサ、
160・・真空処理装置、
162・・真空手段、
163・・真空チャンバ、
164・・真空ポンプ、
165・・配管系、
172・・プレス手段、
174・・下部プレスプレート、
175・・下部加熱手段、
176・・上部プレスプレート、
177・・上部加熱手段、
178・・制御部、
180・・充放電装置、
191・・下方アーム、
192・・下方段差部、
193・・上方アーム、
194・・第2上方傾斜部、
195・・ガイドブロック、
196・・貫通孔、
197・・可動ブロック、
198・・駆動ロッド、
200・・積層体、
210・・双極型電池、
210(210A〜210F)・・双極型電池、
211・・集電体、
212・・負極、
213・・正極、
214・・第1シール前駆体、
216・・第2シール前駆体、
218,219・・ゲルポリマー電解質層、
220・・セパレータ、
250・・電極ストッカ、
253・・クリップ機構、
254・・支持構造体、
256・・受け台、
258・・位置センサ、
300・・積層体、
310(310A〜310F)・・双極型電池、
311・・集電体、
312・・負極、
313・・正極、
315・・絶縁材料、
339・・全固体電解質層、
350・・電極ストッカ、
353・・クリップ機構、
354・・支持構造体、
356・・受け台、
358・・位置センサ、
360・・真空処理装置、
362・・真空手段、
363・・真空チャンバ、
364・・真空ポンプ、
365・・配管系、
372・・プレス手段、
374・・下部プレスプレート、
376・・上部プレスプレート、
378・・制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体、前記集電体の一方の面に配置される正極および前記集電体の他方の面に配置される負極を有する双極型電極と、別体の電解質層とを、交互に複数積層するための積層工程を有し、
前記積層工程においては、
前記双極型電極および前記電解質層を、交互に把持自在である保持機構、前記双極型電極および前記電解質層が、位置合せされかつ互いに接触しないように、前記双極型電極および前記電解質層の面方向に対して垂直な方向に、前記保持機構が取り付けられる支持構造体、前記双極型電極および前記電解質層の積層体が配置される受け台、および、前記保持機構および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段を有する積層手段を使用し、
前記双極型電極および前記電解質層を交互に把持している前記保持機構、および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動させることで、
前記双極型電極および前記電解質層を、前記受け台に順次配置し、前記双極型電極および前記電解質層を交互に積層する
ことを特徴とする双極型電池の製造方法。
【請求項2】
集電体、前記集電体の一方の面に配置される正極および前記集電体の他方の面に配置される負極を有する双極型電極と、前記正極あるいは前記負極に配置される電解質層とを有する双極型電池を、複数積層するための積層工程を有し、
前記積層工程においては、
前記双極型電池を、把持自在である保持機構、前記双極型電池が位置合せされかつ互いに接触しないように、前記双極型電池の面方向に対して垂直な方向に、前記保持機構が取り付けられる支持構造体、前記双極型電池の積層体が配置される受け台、および、前記保持機構および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段を有する積層手段を使用し、
前記双極型電池を把持している前記保持機構、および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動させ、
前記双極型電池を、前記受け台に順次配置し、前記双極型電池を積層する
ことを特徴とする双極型電池の製造方法。
【請求項3】
前記電解質層は、セパレータを含んでいることを特徴とする請求項2に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項4】
前記保持機構は、弾性力に基づいて、前記双極型電池の外周部を把持自在であるクリップ機構を有し、
前記双極型電池が前記受け台に順次配置される度に、前記クリップ機構による把持を解消することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項5】
前記双極型電池の相対移動の際における位置ズレを修正することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項6】
前記位置ズレは、
前記面方向に関する前記双極型電池の位置を検出するための2次元位置検出手段の検出結果に基づき、XY軸移動手段によって、前記双極型電池あるいは前記受け台を、前記面方向に移動させることによって、修正される
ことを特徴とする請求項5に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項7】
前記XY軸移動手段は、前記受け台に配置されており、前記受け台は、前記2次元位置検出手段の検出結果に基づいて、前記面方向に移動することを特徴とする請求項6に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項8】
前記XY軸移動手段は、前記支持構造体に配置されており、前記支持構造体は、前記2次元位置検出手段の検出結果に基づいて、前記面方向に移動することを特徴とする請求項6に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項9】
前記Z軸移動手段は、前記受け台に配置されており、前記受け台は、前記支持構造体の内部を移動することを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項10】
前記Z軸移動手段は、前記支持構造体に配置されており、前記支持構造体は、前記受け台に向かって移動することを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項11】
前記双極型電池は、真空下で複数積層されることを特徴とする請求項2〜10のいずれか1項に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項12】
集電体、前記集電体の一方の面に配置される正極および前記集電体の他方の面に配置される負極を有する双極型電極と、別体の電解質層とを、交互に複数積層するための積層手段を有し、
前記積層手段は、
前記双極型電極および前記電解質層を、交互に把持自在である保持機構、
前記双極型電極および前記電解質層が、位置合せされかつ互いに接触しないように、前記双極型電極および前記電解質層の面方向に対して垂直な方向に、前記保持機構が取り付けられる支持構造体、
前記双極型電極および前記電解質層の積層体が配置される受け台、および、
前記保持機構および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段
を有することを特徴とする双極型電池の製造装置。
【請求項13】
集電体、前記集電体の一方の面に配置される正極および前記集電体の他方の面に配置される負極を有する双極型電極と、前記正極あるいは前記負極に配置される電解質層とを有する双極型電池を、複数積層するための積層手段を有し、
前記積層手段は、
前記双極型電池を、把持自在である保持機構、
前記双極型電池が位置合せされかつ互いに接触しないように、前記双極型電池の面方向に対して垂直な方向に、前記保持機構が取り付けられる支持構造体、
前記双極型電池の積層体が配置される受け台、および、
前記保持機構および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段
を有することを特徴とする双極型電池の製造装置。
【請求項14】
前記電解質層は、セパレータを含んでいることを特徴とする請求項13に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項15】
前記保持機構は、弾性力に基づいて、前記双極型電池の外周部を把持自在であるクリップ機構を有することを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項16】
前記双極型電池の相対移動の際における位置ズレを修正するための修正手段を有することを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項17】
前記修正手段は、
前記面方向に関する前記双極型電池の位置を検出するための2次元位置検出手段、および、
前記2次元位置検出手段の検出結果に基づいて、前記双極型電池あるいは前記受け台を、前記面方向に移動させるためのXY軸移動手段
を有することを特徴とする請求項16に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項18】
前記XY軸移動手段は、前記受け台に配置されており、前記受け台は、前記2次元位置検出手段の検出結果に基づいて、前記面方向に移動することを特徴とする請求項17に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項19】
前記XY軸移動手段は、前記支持構造体に配置されており、前記支持構造体は、前記2次元位置検出手段の検出結果に基づいて、前記面方向に移動することを特徴とする請求項17に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項20】
前記Z軸移動手段は、前記受け台に配置されており、前記受け台は、前記支持構造体の内部を移動することを特徴とする請求項13〜19のいずれか1項に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項21】
前記Z軸移動手段は、前記支持構造体に配置されており、前記支持構造体は、前記受け台に向かって移動することを特徴とする請求項13〜19のいずれか1項に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項22】
前記積層手段を真空下で保持するための真空手段を有することを特徴とする請求項13〜21のいずれか1項に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項1】
集電体、前記集電体の一方の面に配置される正極および前記集電体の他方の面に配置される負極を有する双極型電極と、別体の電解質層とを、交互に複数積層するための積層工程を有し、
前記積層工程においては、
前記双極型電極および前記電解質層を、交互に把持自在である保持機構、前記双極型電極および前記電解質層が、位置合せされかつ互いに接触しないように、前記双極型電極および前記電解質層の面方向に対して垂直な方向に、前記保持機構が取り付けられる支持構造体、前記双極型電極および前記電解質層の積層体が配置される受け台、および、前記保持機構および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段を有する積層手段を使用し、
前記双極型電極および前記電解質層を交互に把持している前記保持機構、および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動させることで、
前記双極型電極および前記電解質層を、前記受け台に順次配置し、前記双極型電極および前記電解質層を交互に積層する
ことを特徴とする双極型電池の製造方法。
【請求項2】
集電体、前記集電体の一方の面に配置される正極および前記集電体の他方の面に配置される負極を有する双極型電極と、前記正極あるいは前記負極に配置される電解質層とを有する双極型電池を、複数積層するための積層工程を有し、
前記積層工程においては、
前記双極型電池を、把持自在である保持機構、前記双極型電池が位置合せされかつ互いに接触しないように、前記双極型電池の面方向に対して垂直な方向に、前記保持機構が取り付けられる支持構造体、前記双極型電池の積層体が配置される受け台、および、前記保持機構および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段を有する積層手段を使用し、
前記双極型電池を把持している前記保持機構、および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、Z軸移動手段によって相対移動させ、
前記双極型電池を、前記受け台に順次配置し、前記双極型電池を積層する
ことを特徴とする双極型電池の製造方法。
【請求項3】
前記電解質層は、セパレータを含んでいることを特徴とする請求項2に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項4】
前記保持機構は、弾性力に基づいて、前記双極型電池の外周部を把持自在であるクリップ機構を有し、
前記双極型電池が前記受け台に順次配置される度に、前記クリップ機構による把持を解消することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項5】
前記双極型電池の相対移動の際における位置ズレを修正することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項6】
前記位置ズレは、
前記面方向に関する前記双極型電池の位置を検出するための2次元位置検出手段の検出結果に基づき、XY軸移動手段によって、前記双極型電池あるいは前記受け台を、前記面方向に移動させることによって、修正される
ことを特徴とする請求項5に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項7】
前記XY軸移動手段は、前記受け台に配置されており、前記受け台は、前記2次元位置検出手段の検出結果に基づいて、前記面方向に移動することを特徴とする請求項6に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項8】
前記XY軸移動手段は、前記支持構造体に配置されており、前記支持構造体は、前記2次元位置検出手段の検出結果に基づいて、前記面方向に移動することを特徴とする請求項6に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項9】
前記Z軸移動手段は、前記受け台に配置されており、前記受け台は、前記支持構造体の内部を移動することを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項10】
前記Z軸移動手段は、前記支持構造体に配置されており、前記支持構造体は、前記受け台に向かって移動することを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項11】
前記双極型電池は、真空下で複数積層されることを特徴とする請求項2〜10のいずれか1項に記載の双極型電池の製造方法。
【請求項12】
集電体、前記集電体の一方の面に配置される正極および前記集電体の他方の面に配置される負極を有する双極型電極と、別体の電解質層とを、交互に複数積層するための積層手段を有し、
前記積層手段は、
前記双極型電極および前記電解質層を、交互に把持自在である保持機構、
前記双極型電極および前記電解質層が、位置合せされかつ互いに接触しないように、前記双極型電極および前記電解質層の面方向に対して垂直な方向に、前記保持機構が取り付けられる支持構造体、
前記双極型電極および前記電解質層の積層体が配置される受け台、および、
前記保持機構および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段
を有することを特徴とする双極型電池の製造装置。
【請求項13】
集電体、前記集電体の一方の面に配置される正極および前記集電体の他方の面に配置される負極を有する双極型電極と、前記正極あるいは前記負極に配置される電解質層とを有する双極型電池を、複数積層するための積層手段を有し、
前記積層手段は、
前記双極型電池を、把持自在である保持機構、
前記双極型電池が位置合せされかつ互いに接触しないように、前記双極型電池の面方向に対して垂直な方向に、前記保持機構が取り付けられる支持構造体、
前記双極型電池の積層体が配置される受け台、および、
前記保持機構および前記受け台を、前記垂直な方向に関し、近接離間自在に相対移動させるためのZ軸移動手段
を有することを特徴とする双極型電池の製造装置。
【請求項14】
前記電解質層は、セパレータを含んでいることを特徴とする請求項13に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項15】
前記保持機構は、弾性力に基づいて、前記双極型電池の外周部を把持自在であるクリップ機構を有することを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項16】
前記双極型電池の相対移動の際における位置ズレを修正するための修正手段を有することを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項17】
前記修正手段は、
前記面方向に関する前記双極型電池の位置を検出するための2次元位置検出手段、および、
前記2次元位置検出手段の検出結果に基づいて、前記双極型電池あるいは前記受け台を、前記面方向に移動させるためのXY軸移動手段
を有することを特徴とする請求項16に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項18】
前記XY軸移動手段は、前記受け台に配置されており、前記受け台は、前記2次元位置検出手段の検出結果に基づいて、前記面方向に移動することを特徴とする請求項17に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項19】
前記XY軸移動手段は、前記支持構造体に配置されており、前記支持構造体は、前記2次元位置検出手段の検出結果に基づいて、前記面方向に移動することを特徴とする請求項17に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項20】
前記Z軸移動手段は、前記受け台に配置されており、前記受け台は、前記支持構造体の内部を移動することを特徴とする請求項13〜19のいずれか1項に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項21】
前記Z軸移動手段は、前記支持構造体に配置されており、前記支持構造体は、前記受け台に向かって移動することを特徴とする請求項13〜19のいずれか1項に記載の双極型電池の製造装置。
【請求項22】
前記積層手段を真空下で保持するための真空手段を有することを特徴とする請求項13〜21のいずれか1項に記載の双極型電池の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2008−130451(P2008−130451A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315960(P2006−315960)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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