説明

反応性非シロキサン含有樹脂を含む、硬化性シリコーン組成物

本発明は、接着剤、シーリング、ポッティング、および他の用途に有用な2パート湿気硬化組成物に関する。特に、本発明は、1つのパートにシロキサン結合をその骨格中に実質的に含有しない、または含有しない湿気硬化有機ポリマーを含む2パート室温加硫(RTV)組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤、シーリング、ポッティング、および他の用途に有用な2パート湿気硬化組成物に関する。特に、本発明は、1つのパートにシロキサン(SiOSi)結合をその骨格中に実質的に含有しない、または含有しない湿気硬化有機ポリマーを含む2パート室温加硫(RTV)組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
2パートRTV組成物は公知である。一般的に、これらの組成物は、第一の加硫性部分として機能する湿気硬化ポリジオルガノシロキサンポリマーを、2パートの内の少なくとも1パート中に使用してきた。加えて、そのような公知のRTV湿気硬化組成物は、典型的には、湿気硬化触媒、例えば錫または類似の金属、または金属酸化物触媒を含有する。シロキサンポリマーは、保存期間中に、残存する湿気および触媒の存在下で逆反応を起こし、シロキサン結合が開裂し、それに付随して硬化性組成物の粘度が低下してしまうことが知られている。このプロセスは、追加のシラノールとアルコールが開裂反応によって生成するので、自己永続する可能性がある。このプロセスによって、更に、所望の特性を有する硬化ポリマーが得られなくなり、また、架橋性シランの消費のために、2パート配合物の粘度および硬化速度が著しく低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのような望ましくない反応およびポリマー骨格の劣化がない、2パートRTV組成物を得ることは有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの態様では、少なくとも1種のヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンおよび水を含有する第1のパートと;少なくとも1種の湿気硬化シリル官能化炭化水素、少なくとも1種のアルコキシ架橋剤、および少なくとも1種の湿気硬化触媒を含有する第2のパートと、を含む2パート湿気硬化組成物が提供される。
【0005】
本発明の別の態様では、(a)少なくとも1種のヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンおよび水を含有する第1のパートを混合することによって調製するステップと;(b)少なくとも1種の湿気硬化シリル官能化炭化水素、少なくとも1種のアルコキシ架橋剤、および少なくとも1種の湿気硬化触媒を含有する第2のパートを混合することによって調製するステップと、を含む湿気硬化性2パート組成物を調製する方法が提供される。
【0006】
本発明のさらに別の態様では、ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンおよび水を含有する第1のパートと、少なくとも1種の湿気硬化シリル官能化炭化水素、少なくとも1種のアルコキシ架橋剤、および少なくとも1種の湿気硬化触媒を含有する第2のパートとを混合するステップと;その混合物を湿気硬化させるステップと、を含む方法によって形成される重合反応生成物が提供される。
【0007】
本発明のさらに別の態様では、本明細書に記載されたような組成物を、接合する2つの部品の少なくとも1つに塗布するステップ、組成物がその間に存在するように部品を接続するステップ、および組成物を硬化させるステップ、を含む、接着によって部品を接合する方法が含まれる。
【0008】
本発明のさらに別の態様では、本明細書に記載されたような組成物を封止する部品に塗布するステップ、およびそれを硬化させるステップ、を含む封止方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の目的のために、用語(メタ)アクリレートは、メタクリレートおよびアクリレートを含む。
【0010】
本発明の湿気硬化2パート組成物は、電子部品のポッティング(例えばソーラーパネルおよびストーブトップ)、シーリング用途(例えば電子機器、自動車産業において)および接着接合を含む、広範な最終用途に使用できる。
【0011】
本発明の2パート湿気硬化RTV組成物は、第1のパートに、ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンおよび水を含む。
【0012】
有用なポリジオルガノシロキサンは、様々な用途に適合するように設計された様々な分子量および粘度を有する、広範なポリマーから選択することができる。ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンは、下記式の骨格繰り返し単位を有する。
【0013】
【化1】

式中、Rは有機基であり、mは100〜10,000の整数である。RはC1〜20アルキル、望ましくはC1〜4アルキル、例えばメチル、エチル、プロピルまたはブチルから選択することができる。より望ましくは、ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンは、ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンである。R基は各々のケイ素原子上で同じであっても、そうでなくてもよい。ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンは、2パート組成物の第1のパートの約20重量%〜約90重量%の量で存在してよい。
【0014】
2パート組成物の第1のパートのための水供給源は、「自由」水として直接添加されてもよく、または別の成分、例えばフィラー材料に保持されてもよい。望ましくは、そのような水供給源は湿性フィラー(水で湿ったフィラー)、例えば沈降カルシウムカーボネート、ナトリウムカーボネート、カリウムカーボネート、およびそれらの組み合わせの形態である。様々なシリケート、アルミナ、酸化物、カーボンブラックおよびシリカ、およびこれらの材料の組み合わせもまた、乾性または湿性で使用することができる。湿性フィラーは、第1のパートが第2のパートと混合された時に起こる縮合反応のための水供給源を提供するだけではなく、硬化した組成物全体に構造上のボディおよび強度を与えることもできる。湿性フィラーが、組成物の第1のパートの約5重量%〜約70重量%の量で第1のパートに存在してよい。乾性または湿性のフィラーの組み合わせを使用してもよい。
【0015】
本発明の組成物の第2のパートは、湿気硬化シリル官能化炭化水素を含有する。これらの湿気硬化反応性材料は、使用前、例えば触媒と共に保管中に、開裂および逆反応を起こしやすいシロキサン結合をその骨格に含まないことが望ましい。骨格は、様々な最終用途の特性を達成するために結合した様々な単位を有する、広範なポリマー種から選択することができる。ランダム共重合体およびブロック共重合体などの共重合体もまた骨格として使用することができる。
【0016】
シロキサン結合を含有しないそのような反応性樹脂の非限定的な例として、下式に従うものが挙げられる:
【0017】
【化2】

式中、RはC1〜4アルキル、アリール、アシル、アルコキシアルキルであり;aは0〜2の整数であり;Aは二価の炭化水素基であり;qは2〜1,000であり;RはC1〜20炭化水素基である。望ましくは、Rはメチル、エチル、またはプロピルである。Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、置換されていても置換されていなくてもよい。Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、置換されていても置換されていなくてもよい。骨格AはN、O、SおよびSiから選択される1つ以上の原子によって遮られた有機セグメントを含んでよい。
【0018】
湿気硬化有機ポリマーは、そのような骨格単位を含むポリマーに共通する保管中の逆反応の可能性を克服するために、その骨格にシロキサン単位を、完全にではないとしても、実質的に含有しないように設計されている。したがって、本発明において用いることのできる反応性ポリマーは、一般的に使用される、反応性樹脂としてポリオルガノシロキサンを有する2パート組成物に伴う問題を解消するための手段を提供する。
【0019】
置換基Rは、それが結合している酸素と共に、加水分解可能な基を形成し、それにより、室温加硫(RTV)することができる本発明の組成物を提供する。RTV硬化は、典型的には、本発明の組成物が湿気に曝露されることで起こる。ケイ素原子上の加水分解可能な湿気硬化基、例えばアルコキシ基の存在によって、本発明の組成物は架橋することができる。好適な加水分解可能な基としては、アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシ;アリール基、例えばフェノキシ;アシルオキシ基、例えばアセトキシ;アリールオキシ基、例えばフェノキシ;および、アルコキシアルキル基、例えばCHOCHCH−、が挙げられる。より大きな基、例えばプロポキシおよびブトキシは、より小さな基、例えばメトキシおよびエトキシと比べて反応がより遅い。したがって、本発明の組成物が湿気硬化する速度は、置換基Rに適切な大きさの基を選択することによって影響されることがある。
【0020】
本明細書で使用されるように、用語「炭化水素基」は、主に炭素原子および水素原子で構成される基を指すことを意図する。したがって、この用語は脂肪族基、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル基;芳香族基、例えばフェニル;および脂環式基、例えばシクロアルキルおよびシクロアルケニルを包含する。用語「二価の炭化水素基」は、これらの基の対応する2価の基を指すことを意図する。
【0021】
上記のように、湿気硬化シリル末端官能化炭化水素の骨格Aは、多様なポリマーおよび構造単位から選択することができる。例えば、ある例では、Aはポリアクリレート骨格、ポリウレタン骨格、ポリエーテル骨格、ポリエチレンまたはポリプロピレン骨格、ポリプロピレンオキシド骨格、エポキシ骨格、またはこれらのポリマー単位の組み合わせであってよい。それぞれの場合で、末端はシリル化されており、且つ、上で定義されたような湿気硬化基を含む。望ましくは、湿気硬化基はC1〜4である。
【0022】
特に望ましい態様では、骨格Aはポリアクリレート、例えばKaneka(登録商標)株式会社によって、商品名KANEKA Telechelic Polyacrylatesで販売されているものである。例えば、Kaneka(登録商標)シリル基末端ポリアクリレート、例えばグレードSA100S、SA110S、SA120S、OR100S、OR110S、OR120S、SA200SX、およびOR300Sを使用することができる。さらには、GE/Momentiveによって市販されているSPURポリマー、およびWacker Chemieによって市販されているSTPポリマーもまた、使用することができる。
【0023】
例えば、ポリアクリレートの骨格は多官能であってもよく、それによってポリマーに対してアルキル(メタ)アクリレートポリマーよりも高度の官能性を付与することができ、それらはまたAに含まれ、下に記載される。ポリアクリレートポリマーの骨格を形成するのに使用されるモノマーは特に制限されず、様々なモノマーを選択して使用することができる。好適な例としては、(メタ)アクリル系モノマー、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸−エチレンオキシド付加物、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらのモノマーはそれぞれ単独で使用されてもよく、またはこれらの複数を共重合してもよい。
【0024】
ポリアクリレートは分子量分布、すなわちゲル透過クロマトグラフィーによって決定される重量平均分子量の数平均分子量に対する比が1.8未満、望ましくは1.7以下、より望ましくは1.6以下、さらにより望ましくは1.5以下、または1.4以下、最も望ましくは1.3以下であってもよい。
【0025】
シリル官能化ポリアクリレート骨格の官能化は、ペンダント基または末端基またはエンドキャップ基の形態であってよい。望ましくは、骨格の末端基は湿気硬化基であるが、骨格それ自体が、湿気硬化、ラジカル硬化、または他の反応性官能基で官能化されていてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、ポリアクリレートはアルキルアクリレートポリマー、例えばアルキル(メタ)アクリレートポリマーであってよい。より具体的には、シリルでエンドキャップされたアルキル(メタ)アクリレートポリマーの骨格として、C〜C10(メタ)アクリレートのホモポリマー、またはC〜C10(メタ)アクリレートのコポリマーが挙げられる。好適なアルキルアクリレートとして、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、および2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。コポリマーのアクリレート骨格は、40重量%までのモノビニルモノマー、例えばスチレン、アクリロニトリル、ビニルブチルエーテル、アクリル酸、および主要なアルキルアクリレートコモノマーとは異なるC〜C10アルキルアクリレートの、共重合された単位を含んでもよい。そのようなコポリマー、例えばHytemps(登録商標)アクリレートゴム(Nippon Zeon,KKより入手可能であるアクリル系ホモポリマーおよびコポリマーゴム)およびToacron(登録商標)AR−601アクリレートゴム(Toa Paint,KKより入手可能であるポリエチルアクリレートポリマー)は市販されている。
【0026】
湿気硬化シリル官能化炭化水素樹脂は、任意の有用な量で存在することができるが、望ましくはそのパートの約30重量%〜約90重量%の量であり、より望ましくは全ての組成物全体として(両方のパートを含む)の約50重量%〜約80重量%の量である。
【0027】
本発明の組成物は、硬化速度を更に増大または制御するための湿気硬化触媒を含んでもよい。好適な湿気硬化触媒として、特に限定されるものではないが、例えばチタン、錫、またはジルコニウムのような金属を含む金属化合物が挙げられる。チタン化合物の例示的な例としては、テトライソプロポキシチタネートおよびテトラブトキシチタネートが挙げられる。錫化合物の例示的な例としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジカルボキシレート、ジメチル錫ジカルボキシレート、およびジブチル錫ジオクトエートが挙げられる。ジルコニウム化合物の例示的な例として、ジルコニウムオクタノエートが挙げられる。他の縮合触媒も意図されている。湿気硬化触媒は、湿気硬化を促進するのに充分な量で使用することができ、それは、一般的には混合された配合物全体の約0.05重量%〜約5.00重量%、有利には混合された配合物全体(すなわち、2パート組成物の全体の重量)の約0.1重量%〜約1.0重量%である。
【0028】
本発明の組成物はまた、接着促進剤として機能する1種以上のアミノ含有シラン化合物を含んでもよい。これらのアミノ含有シラン化合物は、混合された配合物全体(すなわち、2パート組成物の全体の重量)の約0.05重量%〜約5.0重量%の量で存在してよい。望ましくは、これらの化合物は、混合された配合物全体(すなわち、2パート組成物の全体の重量)の約0.3重量%〜約1.5重量%の量で存在してよい。本発明において用いることのできるアミノ含有シラン化合物として、アミノ−アルキル基を含有するシラン化合物、例えばγ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N’−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)尿素、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、第3級アルキルカルバメートシラン、およびアミノエチル−3−アミノプロピル−メチル−ジメチルシランが挙げられるが、これらに限定されない。他の望ましいアミノ含有シラン化合物として、アミノ−脂環式基を含有するシラン化合物、例えばメチルトリス(シクロヘキシルアミノ)シラン、アミノ−芳香族基を含有するシラン化合物、例えばメチルトリス(N−メチルベンズアミド)シランが挙げられる。接着促進剤は、混合された配合物全体(すなわち、2パート組成物の全体の重量)の約5重量%までの量、望ましくは約2重量%までの量で存在してよい。
【0029】
有用な市販されている接着促進剤の例としては、オクチルトリメトキシシラン(Witco社、Greenwich、CTから商品名A−137で市販されている)、グリシジルトリメトキシシラン(Witco社から商品名A−187で市販されている)、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Witco社から商品名A−174で市販されている)、ビニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシランおよびその部分的な縮合生成物、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
オルガノシラン成分は、任意の有用な量で存在してよい。望ましくは、混合された配合物全体(すなわち、2パート組成物の全体の重量)の約1重量%〜約10重量%の量で存在する。
【0031】
本発明の組成物はまた、硬化のメカニズム、特性、または意図した用途を有害に阻害しない限り、他の添加剤を含むことができる。例えば、従来の添加剤、例えばフィラー、抗酸化剤、他の接着促進剤、顔料、湿気捕捉剤、反応抑制剤、消臭剤などを含むことができる。
【実施例】
【0032】
以下の実施例は、本発明の様々な態様を例示する。パーセンテージは、特に記載がない限り、パートAおよびパートBそれぞれの重量に基づく。パートAおよびパートBは、特定の体積比で混合される。
【0033】
以下の表Iは、本発明の組成物A〜Fを示している。これらの組成物は、10:1(パートA:パートB)の体積混合比で使用するように配合された。
【0034】
【表1】

【0035】
本発明の組成物はそれぞれ、最初に成分を混合して、パートAおよびBそれぞれを作製することによって調製した。次に、パートAおよびBを10:1(A:B)の体積比で混合し、基体に塗布して、湿気硬化させた。それぞれの場合において、硬化したポリマーは優れた硬化特性を示した。加えて、下の表2に示されるように、組成物を6ヶ月間、貯蔵容器またはカートリッジに別々のパートとして貯蔵した場合、シリル化湿気硬化樹脂を含むパートBは、メチル末端PDMSを用いた同じ配合物と比較して、粘度の変化がなく、硬化速度の低下がなく、安定であった。
【0036】
【表2】

【0037】
上の表2から理解されるように、本発明の組成物Aを、湿気硬化シリル官能化炭化水素(シロキシ末端基を有するポリアクリレート骨格ポリマー)の代わりにシロキサン骨格ポリマー(メチル末端ポリジメチルシロキサン)を使用した以外は配合が同じである組成物P(従来技術)と比較した。表2から分かるように、室温エージング期間(3ヶ月および6ヶ月)で、従来技術である比較例の粘度は顕著に、すなわち50%を超えて低下し、これは、ポリマー鎖の分子量が低下することになる。この低下は、そのような配合物で典型的な、望ましくない開裂反応のためである。当業者に理解されるように、その粘度の低下は、得られる最終硬化生成物の硬化特性、および硬化能力に直接的に影響を及ぼす。
【0038】
加えて、スキン時間経過は25分から3〜7日の間に増加し、これは更に、組成物の、室温で湿気硬化する能力が実質的に低下していることを示している。
【0039】
これらの結果は、3ヶ月および6ヶ月の室温エージング試験で粘度の低下が全くなく、6ヶ月の期間でスキン時間経過が初期の25分から27分および28分までしか増加しなかったことによって実証されているように、硬化能力が実質的に低下しなかった組成物Aとは全く対照的である。
【0040】
下の表3は、本発明の組成物G〜Kを示している。本発明は混合比が限定されないことを示すために、組成物G〜Iは4:1(A:B)の体積混合比で使用するように配合され、組成物J〜Kは2:1(A:B)の体積混合比で使用するように配合され、組成物Lは1:1(A:B)の体積混合比で使用するように配合された。
【0041】
【表3】

【0042】
パートAおよびパートBの各々は、混合によって表1〜3のように配合した。次に、これらのパートを組み合わせ、記載した体積比で混合し、部品に塗布した。全ての場合において、均一な固体エラストマー材料が24時間未満の硬化で得られ、それは生成物が設計された多くの用途に好適であった。
【0043】
それぞれの組成物において、パートBは室温で6ヶ月間の貯蔵の間、硬化速度または粘度の低下がなく、安定であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンおよび水を含有する第1のパートと;
(b)少なくとも1種の湿気硬化シリル官能化炭化水素、少なくとも1種のアルコキシ架橋剤、および少なくとも1種の湿気硬化触媒を含有する第2のパート
を含む、2パート湿気硬化組成物。
【請求項2】
前記湿気硬化シリル官能化炭化水素が、アルコキシシリル末端基およびポリアクリレート基を炭化水素骨格上に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記シリル官能化炭化水素が、式:
【化1】

(式中、RはC1〜4アルキル、アリール、アシル、アルコキシアルキルであり;aは0〜2の整数であり;Aは二価の炭化水素基であり;qは2〜1,000であり;RはC1〜20炭化水素基である。)
を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
Aがポリアクリレートである、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリアクリレートが官能化されている、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
Aが、N、O、SおよびSiからなる群から選択される1つ以上の原子によって遮られた有機セグメントを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
Aがポリプロピレンオキシド単位を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
Aがポリウレタン単位を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
Aがポリテトラヒドロフラン−ポリエーテル単位を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項10】
前記水の供給源が湿性フィラー材料を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
更に、前記第2のパートが湿気硬化性オルガノシランを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
更に、前記第2のパートが湿気捕捉剤成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記湿気触媒が、錫化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記湿気硬化シリル官能化炭化水素が、全組成物の約50重量%〜約80重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンが、全組成物の約50重量%〜約80重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
湿気硬化性2パート組成物を調製する方法であって、
(a)少なくとも1種のヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンおよび水を含有する第1のパートを混合することによって調製するステップ;および
(b)少なくとも1種の湿気硬化シリル官能化炭化水素、少なくとも1種のアルコキシ架橋剤、および少なくとも1種の湿気硬化触媒を含有する第2のパートを混合することによって調製するステップ、
を含む、方法。
【請求項17】
少なくとも1種のヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンおよび水を含有する第1のパートと、少なくとも1種の湿気硬化シリル官能化炭化水素、少なくとも1種のアルコキシ架橋剤、および少なくとも1種の湿気硬化触媒を含有する第2のパートとを混合するステップ;および
前記混合物を湿気硬化させるステップ、
を含む方法によって形成されるポリマーの反応生成物。
【請求項18】
請求項1に記載の組成物を、接合する2つの部品の少なくとも1つに塗布するステップ、
組成物がその間に存在するように部品を接続するステップ、および
前記組成物を硬化させるステップ
を含む、接着によって部品を接合する方法。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物を封止する部品に塗布するステップ、および
それを硬化させるステップ
を含む、封止方法。

【公表番号】特表2012−533678(P2012−533678A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521720(P2012−521720)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/042538
【国際公開番号】WO2011/011371
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【Fターム(参考)】